第6回 商業界POP大賞 POPの鉄人 - 株式会社商業界...

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開始から今年で回目を迎える商業界POP大賞。今回も全国から多数の応募作品が集まり、選 考委員氏による厳正な審査が行われた。その結果、大賞をはじめつのPOPが入賞。いずれ もフレッシュな顔触れとなった。また残念ながら、学生賞は該当なしとなった。 POP 鉄人 丹 亜紀子さん (特産品販売業/秋田市) 粘る食感を伝える 抜き出しのコピー さいとう イオン御所野店 商業 商業 POP大 大賞 結果 発表 第6回 商業界POP大賞 「冷やし中華はじめました」からヒントを得たという、「乾燥ぎばさ粘りました。」。キャッチーな見出し と、ズルッと伸びた写真がぎばさの食感をよく表している 2015/2 商業界 ─2─

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開始から今年で6回目を迎える商業界POP大賞。今回も全国から多数の応募作品が集まり、選考委員3氏による厳正な審査が行われた。その結果、大賞をはじめ9つのPOPが入賞。いずれもフレッシュな顔触れとなった。また残念ながら、学生賞は該当なしとなった。

POPの鉄人

丹 亜紀子さん (特産品販売業/秋田市)

「粘る」食感を伝える

抜き出しのコピー

さいとうイオン御所野店商業商業商業界界界

POP大大賞賞

大賞

結果発表

第6回 商業界POP大賞

「冷やし中華はじめました」からヒントを得たという、「乾燥ぎばさ粘りました。」。キャッチーな見出しと、ズルッと伸びた写真がぎばさの食感をよく表している

2015/2 商業界─ 2 ─

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審査委員講評

製作者からのPR

大賞受賞者POPふだんのこだわりポイント

文字を抜き出して配置し立体感のある見せ方を意識

抜き出しにした「とろりとろとろ」という文字に目が留まり、自然にPOPの言葉に入っていきます。そして商品説明に共感を受け、思わず購入へと導かれます。POPのどこから見せるか、どうすると商品の特徴が伝わりやすいのか、さらにお客が特徴を理解するためにはどうすればいいかということがきちんと考えられています。商品のそばに一人の販売員が立っていて、商品説明をしているかのような説得力のあるPOPです。

審査委員長 山口 茂 評

商品の良さ、特徴というのは文字だけでは分からないことも少なくありません。いくら丁寧に説明をしても、商品の良さがお客に伝わらないこともあります。その点、このPOPはツボを押さえたコピーが使われており、抵抗なく商品の知識が頭に入ってきます。商品説明だけではありません。「とろりとろとろ」という言葉は強いインパクトを持っています。その他にも、ここに使われているさまざまな言葉は腕利きの実演販売員が使うようなものといえるでしょう。

審査委員 中山マコト 評

まず、「とろりとろとろ」というコピーが「おやっ!?」と思わせます。お客の足を立ち止まらせるためには、この「おやっ!?」という喚起が大切です。また、その横の説明は消費者の発見へとつながっています。一見しただけでは「ぎばさ」が何だか分からないのですが、それを丁寧に説明してあげることで、完成されたPOPに仕上がっています。このように商品の良さがきちんと伝われば、消費者は思わず買ってしまうことでしょう。

審査委員 石川香代 評

「ぎばさ」は、地元に住む人ではないとなじみがないので、その特徴に加え食べ方についても説明するなど親切なPOPになっている

送料のご案内や新商品情報など、必ず伝えなければならない事務的なPOPはパソコンで、商品の特徴や実際に試してみた感想といったスタッフの思いを伝えたいPOPは手書きでというように使い分けています。また当店では秋田の郷土品を扱っていますが、お客さまは地元の人がほとんど。毎日いらっしゃる方もいますので、飽きさせないためにPOPは短い周期で付け替えるようにしています。その方がスタッフのモチベーション向上にもつながりますし、売場の新鮮さを保つこともできます。 (大賞受賞/丹亜紀子さん)

秋田ではおなじみの「ぎばさ」 という海藻のドライフードを紹介したPOPです。「乾燥ぎばさ 粘りました。」というコピーは「冷やし中華 はじめました」という定番コピーからイメージしました。ぎばさの最大の特徴である「粘り」を分かりやすく表現するため、画像を切り抜きにして作りました。当店には地元の方だけでなく、県外からのお客さまや帰省中の方も多くいらっしゃるので、ぎばさそのものの説明や食べ方についても紹介し、手軽に食べられる食材であることが伝わるように意識しました。また「とろりとろとろ」の文字を抜き出して配置し、奥行き(立体感)の感じられるPOPとしてみました。

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POPの鉄人結果発表第6回 商業界POP大賞

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秋田駅から車で20分ほどの郊外に、

イオン御所野店はある。その立地から、

来店客の大半が生活雑貨や日用品、食

料品などを買いに来る地元の人たちだ。

その一角に、秋田の特産品を集めた

店がある。「さいとう

イオン御所野店」。

ここには3人のスタッフがいるが、「店

長」はいない。今回大賞を受賞した丹

亜紀子さんは本社所属の「店舗課

理主任」で常に店に立つわけではなく、

普段は店舗全体の販促に携わっている。

「手書き」への分岐点は

イオンPOPコンテスト

さいとう

イオン御所野店には、今

でこそ趣向を凝らしたさまざまなPO

Pが並ぶが、丹さんの入社当時POP

はほとんどがパソコンで事務的に製作

したものだった。

「販促業務に携わる中で、スタッフの

モチベーションを上げるために何かな

いかと考えていました。そんなとき、

イオンのテナント会が主催するPOP

コンテストがあると知ったのです」

たとえ入賞することができなくても、

自分で手作りしたPOPを応募するこ

とがスタッフのモチベーションアップ

につながるのではないか。そう考えた

丹さんだったが、イオンのコンテスト

はテナントしか参加できない(もう一

店舗は秋田駅構内)。そこで丹さんは

2つの店舗が参加できるPOPコンテ

ストがないか探し始めた。またこのこ

ろ、手書きPOPの割合を徐々に増や

していくことにしたのだった。

「初めは本当に素人丸出しのものばか

りでした」と丹さん。しかし、次第に

スタッフらに工夫が生まれ、何より丹

さん自身が手書きでPOPを製作する

魅力にハマったという。また手書きで

作るようになってからは、販促部門の

統括役として、売場に立つスタッフに

対し「商品への思い入れをPOPに込

めてほしい」と考えるようになった。

それ以来、普段の生活でも他店のPO

Pを注意してみるようになった。

丹た ん

亜あ き こ

紀子さん

さいとうイオン御所野店

大賞受賞者の素顔

秋田県の特産品店「さいとう イオン御所野店」。来店客のメーンである地元客に売るためには、アイデアに富んだPOPが不可欠だ。そのアイデアの極みが、大賞受賞作品だった。

丹亜紀子さんは斎藤昭一商店に入社して8年目。それまでいた東京の会社では小売業とは無関係の仕事で、POPの製作をする機会もなかった。しかし、今では手書きPOPで売れた時の喜びが仕事のモチベーションになっている。また新たなPOPを作ることはお客へのアピールはもちろん、丹さんやスタッフが、その商品への思い入れを強くすることにもつながるという。そのこともあって、さいとうでは比較的短いサイクルでPOPを付け替えている

ご飯を団子状にした食品「だまこ餅」をスーパーマンに模したイラストは丹さんがアイデアを出し、スタッフが製作した

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人が楽しまなければ、楽しいPOPは

できません」

現在は、丹さんが素材を集めて「こ

れらを使ってこんな感じのPOPを作

ってみて」とスタッフに頼むことが多

い。それでも、徐々にスタッフの方か

らアイデアが出てくるようになってき

た。「今後はもっと自分からPOPの

アイデア、コピーのアイデアが出てく

るようになったらいいですね」

丹さんはPOP大賞受賞に満足する

ことなく、スタッフとともに、さらに

切磋琢磨していくつもりである。

ることだった。丹さんは「鯉のぼりの

ポール」を使うことにした。

これに文字を切り抜いて張り付け、

「とろりとろ」に続く、最後の「とろ」

はあえて独立させて棚に張り付けた。

「『とろり感』『ぎばさ感』が出せるか

なと思って」と丹さん。

こうしたアイデアは、一人で思い付

くこともあるが、定期的に行うスタッ

フとの打ち合わせの中で出てくること

もある。以前、スタッフに「何が難し

い?」と聞いたとき、「どんな言葉を

使うか」とコピーを考えるのが一番難

しい、というスタッフが多かった。丹

さんは、そうしたスタッフに対し「も

う少し遊び心が欲しい」と考えている。

「POP作りには楽しさが必要。作る

受賞作品は、さいとう

イオン御所

野店のスタッフみんなで考えた。見出

しの「とろりとろとろ」には、丹さん

の「思わず口に出したくなるようなも

のにしたい」という思いが込められて

いる。受賞のPOPだけではなく、丹

さんは常に子供が思わず口に出してし

まうようなもの、そして見た瞬間にク

スッと笑えるようなPOPを考えてい

る。「お客さまだけではなく、売場に

立つスタッフも楽しくなるようなもの

を目指しています」と丹さんは話す。

目に留まるPOPは

遊び心があってこそ

斎藤昭一商店が扱う秋田の名産品に

は、見た目や名前に特徴のあるものが

多い。そのため、セールスポイントを

打ち出しやすく、コピーも作りやすい。

しかし、POP製作の醍醐味はあまり

特徴のないもの、日陰に隠れたような

商品をPOPで売れるようにすること

にあると丹さんは考えている。

県外者には「何これ?」という、大

賞受賞POPのぎばさ(海藻)も、秋

田の人には身近な食品だ。それを地元

客の多いイオン御所野店で売り出すた

めには、POPに工夫が必要だった。

そこで思い付いたのが、立体的に見せ

そして出合ったのが、商業界POP

大賞審査委員長である山口茂氏のメル

マガだった。「今でも参考にさせても

らっている」という山口氏のメルマガ

の中で、「商業界POP大賞

POPの

鉄人」の募集を知った。

初めての応募となった2013年は

「慌てて作ったので、納得のゆく出来

には程遠かった」というが、14年は事

前に準備し、じっくりと時間をかけて

アイデアを捻出した。コピーがすぐに出てくる丹さんはスゴい!

スタッフから見た大賞受賞者

店舗概要

企業概要

「とろりとろとろ」というキャッチコピーのうち、最後の「とろ」はあえて棚に直接張り付け、文字を曲げて見せることで粘る感じを強く打ち出したという

 私たちがなかなか思い付かないコピーがすぐに出てくるのはすごいと思います。普段から他の店に良いPOPがないか、常にアンテナを張って貪欲に情報を取り入れようとするなど、私たちが丹さんから学ぶべきことは少なくありません。

さいとう イオン御所野店スタッフの菅原さんと河野さん。大賞受賞者の丹さんはコピーのアイデアを考える力がすごいと話す

店 舗 名/さいとう イオン御所野店所 在 地/秋田市     御所野地蔵田1-1-1開  店/1993年9月従業員数/3人売場面積/約70坪

企 業 名/㈲斎藤昭一商店代 表 者/齋藤秀光設  立/1971年年  商/11億6000万円従業員数/46人

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審査委員講評

審査委員長 山口 茂 評花のビフォアアフターというのは「お見事 ! 」と言うより他ありません。トリビア系POPの代表的な作品ではないでしょうか。花の楽しみ方がうまく伝わってきます。これはプロではないと気付かない視点だと思います。

審査委員 石川香代 評高価な花を納得して買ってもらうのはなかなか難しいと思います。しかし、きちんと情報を伝えることでお客さまも納得されます。花の重さなど、店頭で花を眺めているだけでは分からないことが、きちんとPOPに込められた作品です。

「いわい生花の花は、大輪で(大きくて)長持ちする」という評判を頂きます。「ではなぜ長持ちするのか」をPOPに込めたいと思いました。そこでまだつぼみのものを「ビフォア」、見事に咲いた花をアフターとして見比べてもらい、大きい理由、長持ちする理由を紹介しました。これはどうしても伝えたい内容なのでフレーム枠をカラフルにし、段ボールと色紙で作製。これが他社との差別化ポイントです。

ビフォア/アフターで大輪・長持ちの理由を紹介

千野圭祐さん (生花販売業/栃木県鹿沼市)

いわい生花総本店商業商業商業界界界POP大大賞賞

優秀賞

段ボールと色紙で作っ

特別感あるフレーム枠

応募作品のPOPを中心に、売場全体が明るい雰囲気で構成されているいわい生花の店内

市販されている花にはランクがあり、いわい生花では「特A」と「A」というハイクラスのみ扱っている。なぜ大きく開くのかというこの説明は、お客に新たな知識を植え付けることにも一役買っている

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審査委員講評

審査委員長 山口 茂 評何を伝えたいのかが感覚的に伝わるPOPです。特に「17年」と数字を使ったことがいいと思います。分かりやすく、頭にスッと入ってきますね。「タコは硬いものだ」という一部の人の誤解を解くのに十分な説得力があります。

審査委員 中山マコト 評地図のイラストが素晴らしいですね。「下北半島」と言われても普通の人はどの辺りにあるのか分かりません。それがイラストで表現されることで、「下北半島ってこんなところにあるのか」という学びにつながっています。

青森のお正月に水だこは欠かせません。その中でも自分が食べてみて最も柔らかいと感じた脇野沢産の水だこをお客さまに味わってほしくて、このPOPを作製しました。キャッチコピーで工夫した点は「17年」の部分で、文字を赤くすることで視認性を高めました。また、自分の似顔絵と氏名を加えることで、お客さまに説得力を与えられるのではないかと思いました。

似顔絵と担当者名を記し説得力のアップを図る

佐々木恒司さん (スーパーマーケット/青森県十和田市)

ファミリープラザとわだ商業商業商業界界界POP大大賞賞

優秀賞

キャリアの長さを打ち出し「タコは硬い」の誤解を解消

「17年」という数字を赤にして鮮魚のプロであることを強調。脇野沢産の水だこが柔らかいというコピーに説得力を持たせている

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POPの鉄人結果発表第6回 商業界POP大賞

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中田早織さん(青果販売業/東京都豊島区)

宮本和明さん(スーパーマーケット/東京都練馬区)

東武池袋線・北池袋駅からほど近い場所にある丸勢青果。応募者の中田さんは店の前をゆく人に、青果の魅力や良さを知ってもらいたいと考えているそうだ

製作者からのPR

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製作の過程で生まれた「キリヌキ大根」のアイデア

「自信を持ってオススメ」を優しいピンク調で紹介

商品説明だけではなく「知らなかった!」を紹介

お客の「なぜ?」に答える基本を押さえた佳作

丸勢青果

九州屋鮮場21富士見台店

商業界商業界商業界POP大賞大賞

入賞

商業界商業界商業界POP大賞大賞

入賞

審査委員講評 ● 審査委員 中山マコト 評

審査委員講評 ● 審査委員長 山口 茂 評

900円と煎餅にしては比較的高価だが、それでもお客を納得させるだけの魅力を伝えている。「わざわざ割った」と強調し、割れていても味は良いというアピールに成功している

青果のマメ知識を知ってもらい、見た人が「知らなかった ! 」と興味を持ってもらえるような情報発信を意識しています。初めは長方形の紙に大根の絵を描いたのですが、進めていくうちに大根そのものにした方が面白いと思い、切り抜きにしました。

製造工程で割れてしまった「ワケあり」ではなく、味の追求のために割って作りました。私も「これはおいしい」と感じましたので、POPにも「自信を持ってオススメ」としました。年齢層を考え、渋めのPOPも考えましたが、目を引く優しいピンク調にしました。

どうしたら商品の良さが伝わるのかについて懸命に考えたことが分かる作品ですね。大根は葉っぱもきちんと食べられるということは、徐々に浸透していますが、まだ知らない人もいる。そうした人に知識を与えられるPOPになっています。

かわいい仕上げになっていますが、お客が知りたいところはきちんと押さえられています。どんなPOPにも必要な基本的なこと、誰しもが当たり前に欲しいと思う情報が読みやすくきちんと書かれている点が素晴らしいと思います。

精肉店の牛や豚のごとく、大根

を各部位に分けて味や適した調

理法を紹介。これまでにはない

斬新なPOPとなっている

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Page 8: 第6回 商業界POP大賞 POPの鉄人 - 株式会社商業界 ...開始から今年で6回目を迎える商業界POP大賞。今回も全国から多数の応募作品が集まり、選

藤井千晶さん(菓子製造販売業/北海道倶知安町)

中村和希さん(スーパーマーケット/山梨県韮崎市)

同店のオリジナルキャラクターが描かれたメッセージカードは4種類。店でメッセージを書いていくという人も少なくないそうだ

多種多様なぶどうに、色とりどりのPOPが添えられたコーナー。これなら、思わず足を止めてしまう人も多いだろう

少しだけでいいという人に、「つまむ程度」は効果的なコピーだ 担当者の一生懸命さが伝わる「必死

に取り寄せます ! 」

プレゼントに一言加えてうれしさをアップさせて

普段から心掛けている「必死に取り寄せます」

無料のメッセージカードを

ぶどうの聖地・山梨で

捨てられない販促物に

県民に食べてもらうために

お菓子のふじい

スーパーやまと富士見店

商業界商業界商業界POP大賞大賞

入賞

審査委員講評 ● 審査委員 石川香代 評

審査委員講評 ● 審査委員 石川香代 評

製作者からのPR

製作者からのPR

商業界商業界商業界POP大賞大賞

入賞

ぶどうで有名な山梨ですが、山梨県民はあまりぶどうを食べない印象があります。そこで売場に立ち止まってもらうため、たくさんのPOPを付けました。意識したのは分かりやすくという点です。「必死に取り寄せます ! 」は私が普段から心掛けていることです。

当店ではギフトとしてお菓子を買う方も多く、そうしたお客さまに向けて無料のメッセージカードを配っています。これはただ物をプレゼントするよりも、一言メッセージを添えるともらった側はうれしいのではないかという思いからスタートしたものです。その思いをPOPに込めました。

「つまむ程度」は少しの量でいいという人の心に響くコピーだと思います。また、「必死に取り寄せます」は製作者の温かい人柄が出ていますね。こうしたPOPの並ぶ店であれば、店内を歩いているだけでも楽しい気分になるのではないでしょうか。

相手に気持ちを込めたい、という人にPOPでフォローするという作品です。メッセージカードを書いてもらうことで、お客とのつながりを深めることができます。その結果、リピーターになりやすいのではないでしょうか。お客参加型POPの好例といえるでしょう。

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POPの鉄人結果発表第6回 商業界POP大賞

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片岡悦子さん(カメラ・DTP店/栃木県宇都宮市)

佐藤 恵さん(豆腐製造販売業/埼玉県ときがわ町)

製作者からのPR

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店の前の通路を行く人に読みやすい「ひらがな」POP

ほぼ毎日違う調理例で「カンタン」「美味」を伝えたい

買物帰りに寄り道する主婦層の目を引きつける

製法を紹介することでお客の「えっ!?」を喚起

サトカメミニ 駒生店

とうふ工房わたなべ

商業界商業界商業界POP大賞大賞

特別賞

商業界商業界商業界大賞POP大賞大賞

編集部賞

審査委員講評 ● 審査委員 石川香代 評

審査委員講評 ● 審査委員長 山口 茂 評この商品は煮豆を蒸して作るという製法過程を伝えることで、お客に新鮮な驚きを与えています。POPに添えられた調理例をほぼ毎日変えているそうですが、料理提案だけのために毎日来てしまう人もいるのではないでしょうか。

「よりみちプリント」という名前が良いですね。イメージしやすいし、女子にも受けるかわいさがあります。もう一点の年賀状印刷は年末の恒例行事なのに、ここまで工夫できるのはすごいと思います。まだまだ年賀状の売り方はいろいろあるものだ、と感じました。

商品には「煮豆」とありますが、実は蒸してあるという点を強調したいと思いました。また、お客さまに「あら、カンタンにできるのね。おいしそう」と思わせ、利便性をアピールするために調理例の写真を添付しています。

当店はスーパーマーケットの中にあり、食料品などを買いに来る主婦層が立ち寄ることが多いのが特徴です。そうした主婦を主な対象として目を引きやすく足を止めやすいものとし、店の通路側にPOPを置きました。またPOPを見た人がイメージしやすいよう、携帯電話などで誰もが撮っていそうな写真を選んで紹介しています。さらにPOPに使う文字は通路を行く人が読みやすいよう、ひらがなにしました。

煮豆という商品名ながら蒸して作られているという。それを強調するべく「蒸」という漢字を大きく書いてある。さらに「売場にイキイキ感を出したい」という思いから、黄色のPOP用紙を使っているという。また、調理例はほぼ毎日貼り変えているそうだ

「奥さん ! 」と呼び掛け、見てもらいたい対象を明確にしている。来店客の中でも多くの割合を占める主婦層が、思わず目を向けるコピーだ

「5秒で仕上ります」というコピーに、思わず「え、そんなに短時間でできちゃうの?」という新鮮な驚きが生まれる

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審査員修正案

審査員修正案

応募作品

応募作品

①おみやげの店 十一屋商店  福原基裕さん (食品・酒類販売業/新潟県十日町市)

 ステンダース・ジャパン  大阪本店 庄島亜砂美さん (バスアイテム販売業/大阪市)

 トキハインダストリー四日市店  須賀有紀子さん (スーパーマーケット/大分県宇佐市)

②ブティックマルシャン  浪花三貴子さん(婦人洋品店/大阪府八尾市)

③鮨処わたつみ  鈴木香緒里さん(寿司店/宮崎市)

入賞目前のPOPたち

こちらもあともう少し――

ここを変えれば入賞へ!

あと一歩

製作者からのPR

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審査員からワンポイントアドバイス 審査員からワンポイントアドバイス

審査員からワンポイントアドバイス

審査員ワンポイントアドバイス!!

店舗イメージに合った黒板POPですね。もう一工夫加えるなら、言いたいことが何か、一つに絞ることです。たくさん書いても通行客は瞬間しか見ないので伝わりません。「季節のオススメ商品 ! 」と、絞ることにより、見た瞬間に分かる黒板POPになります。 (石川)

「素人にやさしい」ということを店のコンセプトに掲げています。一番のおすすめ商品には目を引く、黄色の紙を使うことが多いです。

ミセスを中心とする品揃えにしています。その中で体型が気になる世代のボディラインをカバーできるという点をアピールしました。

「和」のテイストにしたかったので、和紙を使い、筆ペンで文字を記しました。またサンプルを邪魔しないような色合いを意識しました。

②審査委員 石川香代 評「お尻がすっぽりかくれる」は、女心をつかんでいるのですが、露骨に言わない方が良いでしょう。また、文字の大きさにメリハリをつけると、ポイントが強調されます。

①審査委員長 山口 茂 評「これが日本酒なの?」というキャッチは素晴らしいですね。ただ、なぜ酒蔵でしか飲めなかったのか、という点についてのエピソードを書くと、さらに良いでしょう。

③審査委員 中山マコト 評「わたつみ」が店の名前であるということが分かりづらいですね。また、どういう食材が使われているかなどについても、もう少し丁寧に伝えてあげましょう。

丁寧に愛情込めて書かれていますね。さらに良くするために一番のアピールポイントを考えてみましょう。それがブロッコリーの甘みなら、「甘み増すブロッコリー」を大きく書きます。見た瞬間に目を引く言葉を大きく。あとは小さくても読んでもらえます。 (石川)

働き始めて間もないのですがPOPが好きで、食品フロアのポップ製作を全て担当しています。今回は色を使い分け、見た目も楽しいように工夫しました。

来店客の主を占める女性向けのオススメアイテムの他、男性向けのオススメアイテムについても紹介しました。また、「ギフト」の言葉を使い、プレゼント用の来店も促せればと考えました。

受賞9作品の他に、残念ながらあと一歩で入賞ならずという応募作があった。次回以降の入賞を目指すそれらの作品について、審査員諸氏からワンポイントアドバイスをもらった。

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POPの鉄人結果発表第6回 商業界POP大賞

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次回のご応募お待ちしています!!

を振り返ってPOPの鉄人第6回 商業界POP大賞

審査委員長㈱山口デザイン事務所 代表 山口 茂

審査委員㈱ビーアップ 代表取締役 石川香代

審査委員売れる言葉のマエストロ 中山マコト

入賞作品に多かった「語り掛け」

受賞しなかった作品にも気持ちのこもったものが多数

基本への回帰こそが受賞の近道である!

ただいま審査中

今回の応募作品を見ると、いずれも奇をてらったものではなく、商品の価値やお客の役に立つことをきちんと伝えているものが多かったように思います。また、クスッと笑えるような、ウイットの効いたものが多かったのも特徴でした。それらは受賞を狙って応募するというよりも、自分のPOP作製力を試したいという意図が感じられました。その中で、お客に語り掛けようという思いの伝わるものが入賞に選ばれました。

商品の良さを伝えたいという製作者の気持ちが伝わる作品がたくさんありました。POPをアートや装飾として考えるのではなく、販促ツールであるという本質を理解した応募者が増えたと思います。残念ながら入賞できなかった中にも、驚くほど売上げを上げたPOPやお客に喜ばれているものが多く、大いに悩ませていただきました! 入賞を逃された方々も、お客さまから目に見えない賞をもらわれていることと思います。

POPの本質的な価値は、商品の特徴や商品への愛情をきちんとお客に伝えるということにあります。今年の応募作品を見るとそうした基本に立ち返っている作品が多いように感じました。入賞作品についても、いずれもそうしたセオリーに忠実なものです。これから応募を考えているという人やPOPの効果を高めたいという人には、ぜひとも今回の入賞作品を参考にしていただきたいと思います。

第6回となる今回は初めての応募者の作品も多く、個性的なPOPが多数寄せられた。審査終了後、選考委員各氏に今回の応募作品について、そして今後の展望についてまとめてもらった。

2015/2 商業界─ 12 ─