第4回全国支部問題シンポジウム 進行次第 · 資料 12...

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第4回全国支部問題シンポジウム 進行次第 【日 時】2011年3月1日(火) 12時30分~16時30分 (希望する弁護士会とテレビ会議中継) 【場 所】弁護士会館17階 1701会議室 【主 催】日本弁護士連合会 総合司会 曽場尾 雅宏(長崎県弁護士会) 開会挨拶 宇都宮 健児 日本弁護士連合会会長 [第1部] 支部で生じている問題点の検証 基調報告 (1) 支部会員及び弁護士会へのアンケート結果について (2) 弁護士会連合会の支部交流会・首都圏支部サミットの内容について 浜崎 大輔(山口県弁護士会) 徳田 陽一(香川県弁護士会) 後藤 正邦(福井弁護士会) 中井 洋輔(島根県弁護士会) 志摩 恭臣(徳島弁護士会) 討論 (1) 刑事事件(裁判員裁判を含む )について (2) 労働審判について 第1部総括 浜崎 大輔(山口県弁護士会) [休憩] [第2部] 支部問題における今後の運動のあり方 基調報告 杉井 静子(第二東京弁護士会) パネルディスカッション [パネリスト] ・高崎 暢(北海道弁護士会連合会理事長) ・原 章夫(長崎県弁護士会会長) ・田岡 直博(日弁連公設事務所・法律相談センター事務局長,日弁連日本司 法支援センター対応室嘱託,元宮古ひまわり事務所(岩手県)所長) [コーディネーター] 前田 豊(福岡県弁護士会) シンポジウムのまとめ 中尾 正信 日弁連裁判官制度改革・地域司法計画 推進本部 本部長代行) (16時30分) 閉会 懇親会(弁護士会館地下1階 メトロ) 時~ 17

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第4回全国支部問題シンポジウム進行次第

【日 時】2011年3月1日(火) 12時30分~16時30分(希望する弁護士会とテレビ会議中継)【場 所】弁護士会館17階 1701会議室

【主 催】日本弁護士連合会

総合司会 曽場尾 雅宏(長崎県弁護士会)

開会挨拶 宇都宮 健児 日本弁護士連合会会長

[第1部] 支部で生じている問題点の検証

1 基調報告(1) 支部会員及び弁護士会へのアンケート結果について(2) 弁護士会連合会の支部交流会・首都圏支部サミットの内容について

浜崎 大輔(山口県弁護士会) 徳田 陽一(香川県弁護士会)後藤 正邦(福井弁護士会) 中井 洋輔(島根県弁護士会)志摩 恭臣(徳島弁護士会)

2 討論(1) 刑事事件(裁判員裁判を含む )について。(2) 労働審判について

3 第1部総括 浜崎 大輔(山口県弁護士会)

[休憩]

[第2部] 支部問題における今後の運動のあり方

1 基調報告 杉井 静子(第二東京弁護士会)

2 パネルディスカッション[パネリスト]・高崎 暢(北海道弁護士会連合会理事長)・原 章夫(長崎県弁護士会会長)・田岡 直博(日弁連公設事務所・法律相談センター事務局長,日弁連日本司法支援センター対応室嘱託,元宮古ひまわり事務所(岩手県)所長)

[コーディネーター]前田 豊(福岡県弁護士会)

シンポジウムのまとめ 中尾 正信 日弁連裁判官制度改革・地域司法計画(推進本部 本部長代行)

(16時30分)閉会

※ 懇親会(弁護士会館地下1階 メトロ) 時~17

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資料名 頁

資料 1 参加者名簿 1

資料 2 労働審判制度について(浜崎 大輔) 2

資料 3 労働審判制度の利用について・パワーポイント資料(浜崎 大輔) 4

資料 4 労働審判事件の全国の地方裁判所ごとの新受件数(最高裁行政局調べ) 7

資料 5 支部会員及び単位会へのアンケート結果・刑事事件(徳田 陽一) 8

資料 6 裁判官・検察官の配置・増減等について(後藤 正邦) 13

資料 7 北海道弁連支部協議会報告書(中村 隆) 16

資料 8 東北弁連支部問題協議会報告書(中林 裕雄) 18

資料 9 第6回関弁連支部交流会報告書(間部 俊明) 20

資料 10 近弁連管内の支部交流会報告書(長谷川 彰) 22

資料 11 中国弁連支部問題協議会報告書(浜崎 大輔) 28

資料 12 四国弁連第2回支部問題協議会報告書(志摩 恭臣) 31

資料 13 九弁連支部交流会報告書(前田 豊) 35

資料 14 関東支部サミットの総括及び提言 37

司法改革から取り残された「支部問題

配布資料一覧(基調編)

資料番号

資料 15司法改革から取り残された「支部問題」今改めて「市民に身近な裁判所」を創るための運動を考える(杉井 静子)

47

資料 16 司法制度改革から取り残された裁判所・検察庁支部(杉井 静子) 56

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弁護士会 出席者 弁護士会 出席者 弁護士会 出席者

東京 宇都宮 健児 京都 川中 宏 山形県 脇山 拓

東京 近藤 智孝 京都 長谷川 彰 岩手 川上 博基

東京 斎藤 義房 京都 脇田 喜智夫 札幌 高崎 暢

東京 中尾 正信 京都 橘 英樹 札幌 肘井 博行

東京 小林 元治 兵庫県 田中 秀雄 札幌 中村 隆

東京 赤羽 宏 奈良 緒方 賢史 札幌 田中 貴文

東京 木下 信行 奈良 無漏田 恭生 函館 嶋田 敬昌

東京 中嶋 重造 滋賀 小山 英則 旭川 中村 元弥

第一東京 木津川 迪洽 和歌山 藤井 幹雄 香川県 堀井 茂

第一東京 二島 豊太 愛知県 渡邊 一平 香川県 徳田 陽一

第二東京 杉井 静子 愛知県 田中 亮次 徳島 志摩 恭臣

第二東京 飯田 隆 岐阜県 河合 良房

第二東京 高木 一彦 岐阜県 綴喜 秀光

第二東京 小林 克信 福井 後藤 正邦

第二東京 田岡 直博 金沢 高見 健次郎

横浜 間部 俊明 広島 土本 育司

横浜 三嶋 健 広島 本田 祐二

横浜 町川 智康 広島 岸田 光弘

横浜 徳久 京子 山口県 山元 浩

埼玉 南雲 芳夫 山口県 浜崎 大輔

埼玉 鈴木 經夫 山口県 鈴木 朋絵

埼玉 篠崎 淳 岡山 光成 卓明

千葉県 笠原 郁子 岡山 秋山 義信

千葉県 大家 浩明 島根県 中井 洋輔

千葉県 見付 泰範 福岡県 前田 豊

千葉県 岩井 浩志 福岡県 田邉 宜克

千葉県 越川 新太郎 福岡県 田中 利美

茨城県 天野 義章 福岡県 市丸 信敏

茨城県 吉岡 隆久 福岡県 野田部 哲也

群馬 高坂 隆信 福岡県 高峰 真

静岡県 南條 潤 佐賀県 中尾 中

長野県 石曽根 清晃 長崎県 曽場尾 雅宏

新潟県 板垣 剛 長崎県 山下 肇

新潟県 丸山 央 大分県 古田 邦夫

新潟県 中澤 泰二郎 仙台 齋藤 拓生

新潟県 山田 聡之 仙台 開発 健次

大阪 明賀 英樹 福島県 齊藤 正俊

大阪 岸本 達司 福島県 渡辺 淑彦

福島県 湯坐 聖史

出席予定者一覧(2月24日までに回答があった分)

※個人情報が含まれていますので、本資料は出席者限りとしてください。

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基調編
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第4回全国支部シンポジウム(2011年3月1日)

【第1部】支部で生じている問題点の検証 基調報告

文責・浜崎 大輔(山口県・下関)「労働審判制度について」

第1 労働審判制度の概要

労働審判法…平成16年制定,平成18年4月1日施行

趣旨…「個別労働関係民事紛争」について,迅速,適正かつ実効的な解決を図る(法1条 。)

労働審判委員会の構成(法7条)…労働審判官1名,労働審判員2名(労働側は連合,使用者

側は経団連が候補者を推薦)

手続…原則3回以内の期日で審理を終結し(法15条2項 ,調停等による解決ができなけれ)

ば審判を行う(法20条 。審判に対して不服がある当事者は,異議申立可能(法21条 。) )

第2 労働審判制度の利用状況

1 労働審判の事件数…年々急増していたが,平成22年は前年を下回った(別紙資料参照 。)

平成18年(4 ) 877件 平成19年 1494件 平成20年 2052件月~

平成21年 3468件 平成22年 3375件 (新受件数)

2 高い紛争解決率

平成21年に終局した事件…3226件

調停成立 2200件/3226件 → 68.2%

解決率(調停成立,取下げ,労働審判に対して異議申立なし)

2706件/3226件 83.4%もの解決率

(審判に対して,異議申立あり388件,なし211件)

[理由]労働審判の「判定機能」…調停及び審判の中で,労使双方の審判員の意見も踏まえて,

一定の判定がなされたことによる納得が得られる(後記日弁連シンポより 。)

3 労働審判員の増加

平成18年4月 約1000名 → 平成22年4月 1210名

平成23年4月 1450名になる見込み

第3 支部での実施に向けて

1 施行当初は,本庁のみで実施。ようやく平成22年4月から,立川,小倉の2支部で実施。

しかし,支部地域にも相当数の人口がおり,労働紛争はどこでも生じているはずである。

※ 全国の労働局に対して実施した,各総合労働相談コーナー(労働局と各地の労働基準監督署

等に設置)における総合労働相談件数の回答データ参照

支部地域の住民にとっては,労働審判を申し立てたくても,本庁までのアクセスの負担,弁護

,「 」 。士費用も増加するなどの問題があるため 労働審判 を受ける権利が制約されているといえる

2 最高裁の考え方(平成20年9月29日開催の「第10回労働審判制度に関する協議会」での,最高

裁行政局の説明資料から)

[本庁集約時の基本説明] ① 労働審判員の確保に当たり,非常に困難が伴うこと

② 事務処理態勢の確立とノウハウの蓄積の必要性 → 前提状況の変化

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基調編
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[支部での実施を検討において,考慮すべき要素の基本的な考え方(3要素)

① ニーズ(事件数,取扱希望の状況) ② 裁判所へのアクセスの利便性

③ 個別事情(運用状況,労働審判員の確保等) これを総合的に判断する。

第4 アンケート結果

(支部会員宛)問7 あなたの事務所が所在する地裁支部でも労働審判を行うべきと考えるか。

ア 行うべきである 314 イ 行わなくてもよい 61 (回答数470)

ウ どちらでもよい 73 エ わからない 18 オ その他 4

☆ 自由意見の中には,支部でも需要がある,支部住民が利用できないのは不公平,一定程度の

規模の支部であれば十分実施可能といった積極的な意見が多数あった反面,支部での実施に対

する消極的意見もあった。この点は,第5で説明する。

第5 支部での労働審判実施へ向けての課題

1 労働審判員の確保 ← 需要がある支部では確保は容易であろう。

2 審判官(裁判官)の確保 ← 裁判官増員は必要不可欠である。

3 審判官,審判員,代理人弁護士の「質」の確保

※ 本庁での事件数を比較しても,大都市部(東京,横浜,大阪,福岡等)では急増している

のに対し,地方では伸びていない。

大都市部では,労働専門部・集中部による運用の工夫がなされ,代理人弁護士側もこれに

対応している。他方,地方では,労働紛争の経験の乏しい審判官,審判員による運営が問題

になることが多々あるようであり,また,弁護士側においても対応態勢が十分でないという

問題があると思われる。

4 狭すぎる地域では利用しにくい(後記野田教授の論文でも 「当事者が再び相まみえるであ,

ろう狭い地域社会では,真に「和解」することのない解決のあり方では,当事者が期待する解

決とは言い難いのではないか 」との指摘がなされている )。 。

☆ まずは,多くの利用が見込まれ,上記各課題への対応が可能な支部での実施を目指し,徐々

にその範囲を広げていくのが望ましいのではないか。

【参考文献】

・ 春名 茂「労働審判制度の現状と課題 (ジュリスト1408号(2010年10月1日号 ,」 )

特集「個別労働紛争の実際と法的処理の今後」44頁)

・ 野田 進「個別労働紛争解決における“司法過疎 (法学セミナー2011年1月号,”」

特集「ポスト「ゼロ・ワン」時代の司法過疎対策に学ぶ」17頁)

・ 日弁連「労働審判制度5年目記念シンポジウム-労働審判制度の成果・課題・展望-」

(2010年7月24日開催)配布資料

【解説用パワーポイント作成者】 島田直行会員(山口県・下関)

以 上

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労働審判の利用について

弁護士 浜崎大輔

3500 

4000 

労働審判の新受事件数推移

1000 

1500 

2000 

2500 

3000 

500 

H18 H19 H20 H21 H22

3

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解決率

83.4%

労働審判の判定機能

328 203

1 492 575

328,203

1,492,575山口県人口(平成17年10月時点)

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25000

30000

5000

10000

15000

20000

弁護士

裁判官

検察官

0

5000

H6 H11 H16 H21

H19 H22 増加件数増加件数

東京 485 1106 621

山山口 7 15 8

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労働

審判

事件

の全

国の

地方

裁判

所ご

との

新受

件数

(注

) 1

 件

数は

,平

成23年

2月

7日

集計

によ

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政局

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であ

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成18年

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から

12月

の合

計件

数)。

2 

平成

22年

4月

以降

は,

東京

地裁

の件

数に

は立

川支

部の

件数

が,

福岡

地裁

の件

数に

は小

倉支

部の

件数

が,

それ

ぞれ

含ま

れて

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 大

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件数

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堺支

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横浜

地裁

の件

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田原

支部

に申

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1件

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ぞれ

含ま

れて

いる

1月2月

3月4月

5月6月

7月8月

9月10

月11

月12

月合

東 京

258

485

711

1140

6881

9010

078

119

101

9798

8310

388

1106

3700

横 浜

7796

155

256

1414

2827

1727

2135

1320

1728

261

845

さいたま

2564

9215

48

1118

1811

2013

157

914

1415

849

3

千 葉

2670

6986

411

98

810

313

811

1110

106

357

水 戸

87

718

15

13

22

22

10

86

3373

宇都

宮3

48

252

21

21

50

13

13

223

63

前 橋

313

1267

55

02

27

35

64

54

4814

3

静 岡

139

3939

43

33

52

12

31

33

3313

3

甲 府

87

25

01

01

00

01

00

13

729

長 野

1114

2316

19

14

04

22

111

14

4010

4

新 潟

716

2020

41

33

07

30

03

42

3093

大 阪

8410

513

929

915

1734

1423

3230

2630

2322

3930

593

2

京 都

2431

4453

83

44

27

42

33

27

4920

1

神 戸

3372

8012

54

157

910

312

77

712

710

041

0

奈 良

79

514

21

04

02

32

41

13

2358

大 津

39

1020

11

13

12

03

13

10

1759

和歌

山5

45

72

20

11

02

23

00

114

35

名古

屋54

111

124

275

1717

1910

716

1323

1511

814

170

734

津2

1216

222

12

33

12

10

14

222

74

岐 阜

810

1827

62

20

51

11

01

13

2386

福 井

23

414

12

01

01

10

13

10

1134

金 沢

56

826

11

13

13

52

10

30

2166

富 山

15

44

01

01

11

00

20

01

721

広 島

1518

3559

52

17

86

82

43

55

5618

3

山 口

87

913

01

21

21

03

03

20

1552

岡 山

1111

1740

30

63

23

42

33

23

3411

3

鳥 取

56

810

13

10

11

10

10

00

938

松 江

13

69

01

11

10

01

11

02

928総 計

平成

18年

合計

平成

19年

合計

地 裁

平成20

年合

計平成

21年

合計

平成

22年

1月2月

3月4月

5月6月

7月8月

9月10

月11

月12

月合

福 岡

2966

121

208

1612

1919

187

2211

920

1616

185

609

佐 賀

25

212

10

00

03

01

00

00

526

長 崎

36

515

20

21

12

40

21

30

1847

大 分

415

1026

02

45

32

10

40

11

2378

熊 本

813

1927

51

53

35

67

62

34

5011

7

鹿児

島5

814

200

12

23

13

00

01

013

60

宮 崎

53

512

10

10

11

12

20

02

1136

那 覇

48

1124

22

25

46

13

34

32

3784

仙 台

1635

3253

46

84

67

27

55

511

7020

6

福 島

97

812

14

10

23

11

01

11

1652

山 形

58

79

01

01

20

01

12

31

1241

盛 岡

28

811

21

13

01

00

20

10

1140

秋 田

27

513

22

23

13

10

10

00

1542

青 森

33

97

11

20

10

20

10

10

931

札 幌

3449

6989

79

1011

78

814

138

68

109

350

函 館

63

812

00

22

01

01

01

00

736

旭 川

76

118

10

00

21

01

12

12

1143

釧 路

25

25

01

01

00

00

01

10

418

高 松

32

312

10

02

11

11

02

02

1131

徳 島

37

1111

10

00

20

03

11

01

941

高 知

812

814

00

30

01

00

02

00

648

松 山

1011

1425

10

12

03

01

00

23

1373

総 計

877

1494

2052

3468

227

256

300

300

249

339

288

304

267

258

282

305

3375

1126

6

平成

19年

合計

総 計

地 裁

平成

18年

合計

平成20

年合計

平成21

年合計

平成22

4

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基調編
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第4回全国支部シンポジウム【第1部】基調報告

支部会員及び単位会へのアンケート結果(刑事事件)

文責:徳 田 陽 一(香川県)

第1 弁護士会宛アンケート結果

1 裁判員裁判について

⑴ 問5【事件総数及び事件発生件数の比率】

○本庁(実施支部)と非実施支部で,発生件数が同等…岐阜県,岡山,秋田

( ) , , ,○本庁 実施支部 より非実施支部の方が発生件数が多い…小田原 福井県 山口

長崎県,郡山,山形県

⑵ 問6【非実施による不都合】

① 非実施支部会員の不都合

○接見・証拠の閲覧・公判前整理手続・公判等のための遠距離移動の負担…川

崎,横須賀,相模原,ほか多数

○非実施支部の会員が裁判員裁判を経験する機会が減る・弁護技術に差が出る…

熊谷,広島,福岡県

② 本庁及び実施支部会員の不都合

○接見,現場確認や関係者との打合せに遠距離移動を要する…茨城,松本,新潟

県,岐阜県,広島,山口,福岡県,長崎県,大分県,札幌

③ 被告人,事件関係者,裁判員候補者の不都合

○遠方からの裁判所への出頭の負担…川崎,横須賀,相模原,ほか多数

○交通・宿泊費の負担…新潟県,岐阜県,山口,鳥取県,大分県,山形県

⑶ 問7【国選弁護人の複数選任】

① 2人目までの選任について

ア(申立をすれば,全件認められる)…74%

イ(選任について,案件ごとに検討がなされる)…24%

② 3人目以上の選任について

ア(申立をすれば,全件認められる)…10%

イ(選任について,案件ごとに検討がなされる)…46%

エ(原則として認められていない)…14%

オ(事件が発生していないので,分からない)…23%

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基調編
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⑷ 問8【国選弁護人の交代型複数選任】

ア(申立をすれば,全件認められている)…14%

イ(事案によるが,原則として認められている)…6%

エ(事案によるが,原則として認められていない)…8%

オ(事案によりケースバイケース,または,それぞれの裁判体の判断による)…

14%

カ(事件が発生していないので,わからない)…35%

⑸ 問9【裁判員裁判への人員集中による問題点】

① 対裁判所

○期日が入りにくい,事件処理の滞留…県西(横浜 ,山梨県,松本,新潟県,)

福岡県,長崎県,大分県,岩手

○合議事件が行われなくなった…群馬,滋賀

○刑事事件が行われなくなった…新見

○人的・物的な規模の縮小,整備の遅れ…県西(横浜 ,川崎,相模原)

② 対検察庁

○正検事の減少,本庁への出張等による不在…相模原,熊谷,千葉県,高崎,新

見,山形県,釧路

○追起訴等の事件処理の遅れ…東京,第一東京,第二東京,岐阜県,長崎県,熊

本県,釧路

2 裁判員裁判以外の刑事事件について

⑴ 問10【被疑者国選対象範囲拡大後の弁護体制】

① 支部会員に発生している不都合

○弁護士一人当たりの負担増…千葉県,多治見,御嵩,長崎県,鹿児島,白河,

釧路

○接見室が少ないことによる接見渋滞…川崎,松本,兵庫県,釧路

( ) , , , ,○支部管外に勾留 観護措置 された場合の接見負担…岡崎 豊橋 山口 岡山

釧路

② 本庁や他の支部の会員に生じている不都合

○応援で受任した会員の接見負担…東京,第一東京,第二東京,横浜,熊谷,茨

城,群馬,和歌山,岐阜県,長崎県,鹿児島,白河,徳島

○事件発生支部に起訴された場合の公判・記録閲覧等の負担…愛知県,岐阜県

③ 被疑者・被告人や事件関係者に生じている不都合

○本庁管内に勾留され,あるいは本庁起訴された場合の面会・打合せ・出頭の負

担…熊谷,越谷,岡山,長崎県,山形県,岩手

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⑵ 問11【刑事公判を取り扱わない支部】

① 内訳

刑事公判分類1…1,刑事公判分類2…10,刑事公判分類3…10

② 刑事公判分類3の内容

( ) , , ,○当初から本庁の検察官が担当している事件 複雑な事件 …三条 米子 米沢

香川県

③ 刑事公判を取り扱わないことによる不都合

○遠方の裁判所・拘置所への移動の負担…熊谷,京都,和歌山,岡山,鳥取県,

山形県,弘前,五所川原,八戸,十和田,函館,香川県

④ 裁判所及び検察庁への申入れ

5会が申し入れるも,顕著な改善はない模様。

第2 支部会員宛アンケート結果

1 裁判員裁判について

⑴ 問1【現在裁判員裁判が実施されていない支部でも実施すべきか】

ア 刑事合議事件実施支部のみで見た場合の内訳・比率(回答数:213)

①(行うべきだ)…128(60%)

②(行わなくてもよい)…60(28%)

イ ①(行うべきだ)の理由の選択肢の内訳

ア…209,イ…111,ウ…152,エ…135

(個別意見)

○支部で実施しない理由がない…小樽,弘前,川崎,川越,福山

○支部の事件は支部で解決すべき…稚内,諏訪

○実施しないことによる裁判官・検察官の質の低下…川崎,川越

②(行わなくてもよい)の理由の選択肢の内訳

オ…89,カ…151,キ…106,ク…41,ケ…75

(個別意見)

○人口の少ない支部では,人間関係が濃密であるが故の弊害がある…根室,

秩父,御坊

⑵ 問2【所属支部で裁判員裁判が実施されていることについての考え】

①(行われてよかった…57%)の理由の選択肢の内訳

ア…24,イ…24,ウ…15,エ…20,オ…23

②(行われない方がよかった…16%)の理由の選択肢の内訳

カ…12,キ…11,ク…6

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2 裁判員裁判以外の刑事事件について

⑴ 問3【被疑者国選対象範囲拡大後の不都合・苦労】

① 多かった選択肢

ア…165,ク…186

② 個別意見

○公判期日が入りにくくいため,身柄拘束が長期化する…浦河,山鹿

○複雑な事件は本庁に起訴される…紋別,福山

○勾留場所が遠方になることが多い…川崎,岡崎,倉敷,壱岐,知覧

⑵ 問4【刑事事件全般について支部会員から見た問題点・意見】

① 裁判所に関するもの

○準抗告は本庁で取り扱われるため,書記官が記録を遠方の本庁まで持っていか

ねばならず,時間がかかる…小樽,帯広,安芸,五島,厳原

○期日が入りにくい・決定が遅れる…浦河,相模原,小田原,福知山,岩国,須

崎,久留米

○合議事件に対応できない…相模原,萩,周南,八代

○公判前整理手続に付された事件を本庁で担当する場合,毎回の出頭は負担が重

いので,電話会議や進行協議期日を柔軟に活用してほしい…宮古

○勾留担当裁判官と公判担当裁判官が同じであるため,予断排除の原則が徹底さ

れていない…新宮

② 検察庁に関するもの

○正検事の不在,不足(副検事しかいない)…小樽,北見,いわき,遠野,相模

原,川越,福山,西郷,壱岐,佐世保

○証拠開示が遅い…立川,川越

○地検支部が廃止された…大河原

○本庁起訴…新庄,三条,彦根,西郷

③ その他

○刑事事件の負担が一部の会員に偏っている・配点の不公平…立川,小田原,松

本,彦根,唐津,日南

○若手でも,裁判員裁判に登録していない会員がいる…川崎

○遠方での勾留・手続による負担(特に少年事件)…稚内,郡山,一宮,上田,

飯田,岡崎,輪島,五條,三次,須崎,久留米,壱岐,厳原,中津,日南

○刑事裁判・刑事弁護の質に隔たりが生じている…会津若松,岩国

以 上

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第4回全国支部シンポジウム(2011年 3月 1日)

【第1部】 基調報告「裁判官・検察官の配置・増減等について」資料

裁判官・検察官の配置・増減等について

文責・後藤 正邦(福井)

裁判官・検察官の配置・増減等の状況について、地家裁支部管内に事務所会員を対象として行

われた支部問題アンケートの結果を報告する。

◆1 裁判官数について(問11)

○民事

・裁判官数が「足りていない(ア)」との回答が、全回答のうち約半数(47.8%)を占めた。

・これに対し「足りている(イ)」が32%、「十分に足りている(ウ)」は1.1%であった。

・事件数が多すぎて期日が入らない。特に、証拠調べ期日が入らない(熊谷、岡崎など)。尋問

時間が十分でない(相模原、千葉・一宮、松本など)。

・3ヶ月に2回(西郷)、月に1回(浦河)、月に2回(新見)など、開廷日が少ない。

・記録の読み込みが十分でない(帯広、川崎、土浦など)。ずさんな判断・審理(葛城、堺など)。

・強引に和解を勧める(愛知・一宮、千葉・一宮ほか)。

・保全まで手が回っていない(鶴岡など)。DV保護命令申立てなど、書記官が必要以上にスク

リーニングしている事件の期日が入りにくい(御嵩)。

・破産にしわ寄せ、決定が遅い(宮古、萩など)。

・事件数が多いのに単独の裁判官が少ないため、裁定合議に回される事件がふえている(川崎)。

合議事件を望んでも単独にされる(岡崎)。複雑な事件は本庁に送られる(唐津)。

・合議事件ができない(相模原など)。

・裁判官数が足りているとの回答がなされた支部は、事件数が少ない(江差など)というところ

が多いが、増員されたことが原因になっている支部がある(明石、鹿屋)ことに注目。

○刑事

・裁判官数について「足りていない(ア)」との回答は、37.7%であった。

・裁判官数が「足りている(イ)」との回答は 38.3%で、「足りていない(ア)」をわずかに

上回った。なお、「十分に足りている(ウ)」は1.5%であった。

・開廷日が月2回(山鹿)など、開廷日が少なく、なかなか期日が入らない支部が多い。

・審理時間が 40 分に限られる(松戸、相模原)など、審理が短時間で、形骸化・定型化(一宮

など)、粗雑化(小田原など)している。

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・裁判員裁判を実施している支部では、裁判員裁判の期日が速やかに入らないのみならず、それ

以外の事件も圧迫している(立川、小田原、岡崎、姫路)。

・対象事件数が多いにも関わらず、合議事件を扱えない支部がある(相模原など)。

・起訴後第1回公判までの期間が2ヶ月を超えることがよくある(松戸、堺)、保釈や準抗告へ

の支障が生じる(帯広、厳原)など、被告人の身柄拘束の当否に関わる問題が存在する。

・裁判官が1人しかいない支部では、民事・家事事件や簡裁事件など、あらゆる業務をかかえる

ことの限界が指摘されている(白河、麻生、桐生、大村など)。

・全件本庁に起訴される(江差、新見)、在宅事件しか扱わない(十和田、日南)といった支部

が見受けられる。

○家事

・裁判官数が「足りていない(ア)」との回答が、全回答のうち約半数(48.9%)を占めた。

・これに対し「足りている(イ)」が26.1%、「十分に足りている(ウ)」は0.8%だった。

・開廷日が月に2、3日しかない(新見、留萌)、家裁出張所で調停期日が、2、3ヶ月に1回し

か入らない(大村・諫早)など、期日が入らないとの意見が多数。

・刑事・民事などの兼任のため、調停成立時など裁判官の同席を要する手続きで、長時間にわた

り待機になってしまうことがあるだけではなく(佐倉、下関など)、「評議」と言いながら他

事件で欠席(いわき)といった事例も報告された。

・調停への裁判官の関与が不十分、不適切(小樽、尼崎、岡崎など)。

・増加する成年後見事件に対応できていない(下関、津山など)。

・判決が出るのが遅い、延期されることが多い(高崎、川崎)。

・少年審判を別支部に回される(宮津)。

・調査官がいないため、調査が必要な事件は進行が遅くなる(浜田)。

○総評

・事件数のみではなく、民事・刑事・家事、簡裁との兼任や、他支部の填補などにより、様々な

面においてしわ寄せが生じていることが明らかとなった。

・裁判官が常駐していないことの諸問題。

◆2 検察官数について(問12)

・検察官数が「足りていない(ア)」との回答が、全回答のうち約半数(45.7%)を占めた。

・これに対し「足りている(イ)」が25.5%、「十分に足りている(ウ)」は0.8%だった。

・正検事がいない、不足。副検事しかいない(多数)。

・本庁の裁判員裁判に支部検事もかり出されているため、副検事がほとんどの事件を担当してい

る(多治見)。

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・重大事件・主要事件などの本庁、他支部への起訴(米子、八戸など)。

・取調べ、起訴が遅れ、勾留が長くなる(松戸、高田など)。1度も検事調べが無いまま勾留延

長されることがある(相模原)。追起訴が遅い(長浜など)。

・証拠開示が遅い(多数)。

◆3 裁判官・検察官の増減について(問13)

○裁判官・検察官の増加

・裁判員裁判対応のための刑事裁判官(立川、小田原、岡崎、姫路)、検察官(小田原、松本)

の増加。

・地裁支部長が裁判官増員を求めていた結果、判事補が1名増員され、破産・同時廃止事件の進

行が早まる、民事合議事件の期日が入りやすくなるなどの効果が表れた(いわき)。

・事件の増加に対応するため、刑事裁判官の増加・填補(岸和田、半田)。検察官・裁判官の増

加(葛城)。副検事の増加(延岡)。

・裁判官が1名増員し、期日が入りやすくなった(名瀬ほか)。

○裁判官・検察官の減少

・本庁の裁判員裁判対応のための支部検察官減(帯広、相模原、川越、平戸など)。

・事件が少ないからと検察官減、ただし主要事件は本庁起訴(小樽)。

・常駐裁判官の減員(越谷、立川)、填補の消滅(桐生、下妻)により、期日が入らなくなった。

・常駐裁判官の減員、他支部増員のあおり?(白河)。

・支部廃止のため検事を兼任化されたが、法務省に抗議し専任とした(三条)。

◆4 裁判官・検察官数、その他についての自由意見(問14、問15)

・裁判官、検察官のいずれも増加すべき(多数)。

・司法試験合格者・司法修習生が極端に増加しながら、裁判官・検察官の人数をふやさないのは

理解できない。裁判官、検察官は、その職務の重要性に鑑みて、全員が司法試験合格者で占め

られるよう早急に改革すべき。

・事件を本庁に集約した上で事件が少ないことを理由に人員を減らしており、弁護士会が過疎地

へ弁護士を定着させようと努力していることに逆行している。

・支部では多様な事件を1人の裁判官が扱うので、それなりの能力を要求したい。

・書記官・調査官も足りない。

・事件数・裁判官数とも本庁(釧路)と同程度なのに、裁判官・検察官が少ない。修習生を受け

入れられるようにすべき(帯広)。

・合議事件ができるようにして欲しい(相模原)。

以 上

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北海道弁連支部協議会報告書

2011(平成 23)年 1 月 25 日

報告者 中 村 隆(札幌)

日 時 平成22年12月9日(木)午後1時~4時

場 所 札幌弁護士会館(旭川,釧路,函館弁護士会とテレビ中継)

主 催 北海道弁護士会連合会

共 催 日本弁護士連合会

司 会 田村智幸(道弁連常務理事)

第1 進行

1 開会挨拶 北海道弁護士会連合会理事長 高 崎 暢

2 アンケート報告 大町英祐会員・大沼邦匡会員(札幌)

3 基調報告 弘前大学准教授 飯 孝 行 先 生

4 発言形式による討論 司 会 川 上 有 会員(札幌)

5 質疑応答

6 支部協議会宣言の表明

7 閉会挨拶 日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部副本部長

中 村 隆

第2 参加者

1 外部参加者

① 自治体:小樽市、江差町(以上2自治体)

② 議員:民主党衆議院議員3名の各秘書、自由民主党参議院議秘書1名、

新党大地衆議院議員秘書2名、公明党参議院議員秘書1名(以上7名)

③ マスコミ:北海道新聞、朝日新聞、毎日新聞、共同通信、札幌テレビ

④ 一般市民:1名

2 会員参加者

① 支部会員:13名,② 一般会員:約35名

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第3 協議会の概要

1 アンケート報告(30分)

支部会員に対し行ったアンケート及び聞き取り調査の結果を報告した。

①民事事件 事件類型・事件数,依頼者の不利益・負担

②家事事件 裁判官等の数・開廷日,依頼者の不利益・負担

③刑事事件 保釈・準抗告,本庁起訴

④裁判官非常駐支部改善のための諸方策

⑤裁判員裁判・労働審判の現状と課題

2 基調報告(30分)

①司法過疎対策の経過,②取り残された支部?,③司法過疎対策の背景,

④支部問題の行方の観点から講演が行われ,司法過疎対策の中でも支部問題

は取り残された課題であること、近時の研究から民事訴訟率は裁判官が多い

ほど高まることが判明していること、等が報告された。

3 討論(90分)

支部会員の発言形式による討論において、裁判所の現状肯定的な発言の

紹介、緊急性の高い事件(DV事件、準抗告等)での状況、労働審判制度

が利用できないことの不都合等、具体的な実例と課題が明らかとなった。

なお、司法記者の一人から「今日の協議会は需要喚起のためですか。」と

の質問があり、支部会員から「税と権利保障は全国共通であるべきであり、

これが支部問題の本質がある。」との回答がなされたことが印象に残った。

討論の録音反訳文(未校正・取扱注意)は既に日弁連当本部 ML で送信

済み。

4 支部協議会宣言

裁判官・検察官非常駐支部の解消に向けた行動宣言を表明した。

以 上

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東北弁連支部問題協議会報告書

日時 平成22年12月18日(土)午後1時~4時

会場 仙台弁護士会4階会議室

司会 東北弁護会連合会 幹事 小野寺友宏(仙台)

第1 進行

1 開会挨拶       東北弁護士会連合会 会長 熊 谷   誠

2 日弁連の活動報告  日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部

副本部長 中 林 裕 雄

3 各弁護士会の支部問題への取り組み報告

4 協 議  進行 東北弁連支部問題連絡協議会委員長 斎藤 拓生

(1)裁判所支部における裁判員裁判の実施について

(2)裁判所支部における労働審判の実施について

(3)支部問題への今後の取り組みについて

5 閉会挨拶 東北弁連支部問題連絡協議会 副委員長 川 上 博 基

第2 参加者東北6県の各単位会の弁護士 約50名司法修習生            1名

第3 協議会の概要

1 各弁護士会の支部問題への取り組み報告

各単位会から支部管内の実情と支部問題への取り組み状況が報告され

れた。

仙台弁護士会からは、昨年11月20日に宮城県北部の栗原市で開催さ

れた市民集会(宮城県北の司法を考える)の内容が報告された。同会は、今後も、定期的に県内の支部管内で司法過疎・偏在をテーマとした市民集会を開催し、

地域の住民等に司法過疎・偏在(弁護士過疎・偏在や司法機関の偏在問題等)

の周知を図るとともに、国等の取り組みを促す活動を行う予定とのことであり、

各会もこのような取り組みを今後の活動の参考にすることとされた。

2 協議1・・・裁判所支部における裁判員裁判の実施について

東北ブロックにおいては、福島地裁郡山支部で裁判員裁判が実施され

ている以外は、裁判員裁判が実施されている支部はない。本協議において

は、①裁判員裁判が支部で実施されていないことによる弁護士及び地域住

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民の不便や不都合、②支部における裁判員裁判実施の当否などについて情

報・意見交換がなされた。

①の点については、公判前整理手続きの度に本庁に出頭することの負

担や本庁との共同弁護人との打ち合わせの不便などが指摘された。また、

住民の負担としては、裁判員裁判実施の裁判所から遠隔地に居住する住民の交通・宿泊の負担などが指摘された。

②の点については、現状の裁判所以外に比較的規模の大きい支部では

裁判員裁判を実施できるようにすべきという意見が多数であった。

3 協議2・・・裁判所支部における労働審判の実施について

東北ブロックにおいては、労働審判が実施されている支部はない。本

協議においては、①労働審判が支部で実施されていないことによる弁護士

及び地域住民の不便や不都合、②支部における労働審判実施の当否などに

ついて情報・意見交換がなされた。

①の点については、本庁までの交通費や時間が負担であるとの指摘や、支部で労働審判が行われていないためにやくなく訴訟等別の手続きを選

択せざるを得ない等の問題が指摘された。

②の点については、全ての裁判所支部で労働審判を実施できるように

すべきという意見、比較的規模の大きい支部では労働審判を実施できるよ

うにすべきという意見が多数であった。

4 協議3・・・支部問題への今後の取り組みについて

支部に関する問題点は指摘し尽くされた感があり、今後はどのような

形で改善に向けての取り組みを行うかが課題である。具体的には、仙台会

が実施した支部管内における市民集会の開催や国会議員・地方議会議員へ

の要請活動などを各地で実施することなどの意見が提案された。

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第6回関弁連支部交流会報告開催日 2011年1月22日

場所法曹会館2階

出席者64人

間 部 俊 明(横浜)

アンケート結果の報告の後、基調報告があり、討論に入り、活発な議論が交わされた。

1 アンケートに見る地域の司法

(1)弁護士数は、多くの支部で増加している。立川支部は平成 年 人であったが17 785

平成 年 人に、川崎支部は同じ期間に 人から 人に、松戸支部は、 人21 1057 69 111 54

から 人に、高崎支部は 人から 人に、松本支部は 人から 人に、新発田79 43 69 28 39

支部は 人から 人、太田支部が 人から 人に増えている。1 4 10 16

(2)裁判官が忙しすぎる、少ないとの声は相変わらずで、諏訪支部(かつて 人いて合3

議できたのに今では 人の裁判官と月 回の填補の裁判官 、松本支部(家裁調停期1 2 )

日が裁判官不在のため入りにくい、手持ち事件が多いため、朝 時から準備手続きを9

)、 ( 、 、入れている 浜松支部 裁判官室の明かりが夜 時 時になっても消灯しない10 11

調停事件の成立に迅速に対応できていない 、麻生支部(非常勤 名では明らかに足) 1

りない。過労に追い込まれている現状が心苦しい 、川崎支部(家事事件の進行が遅)

く、滞留が相当問題になっている)など書ききれないほどの支部について裁判官の不

足が指摘がされている。

(3)検察官についても、足りないとの声が多い。高崎支部では、管内人口が 万人な50

、 、 )、のに正検事は 人 しかもその 人は裁判員裁判担当であり ほとんど本庁にいる1 1

龍ヶ崎支部では、事件が多い地域であるのに、本庁に人を取られていて、証拠開示が

「異常に遅い 、その他、副検事がほとんどの事件を扱っていることへの指摘が相変」

わらず多い。

2 地域の簡裁、家裁出張所について、多くの議論がされた。

(1)支部統廃合の時に新設された長野家裁の大町出張所の調停の期日が裁判所の都合で

3ヶ月後になっている、存続させるのであればもっと事実させてほしいし、廃止する

のであれば廃止してほしい。中途半端な状態ではおかしい、との意見が出された。大

町出張所は、平成2年の地家裁支部統廃合のとき廃止された長野家裁大町支部の後に

新設された出張所であるが、日弁連が最高裁から入手したデータでは、調停件数がな

かった。受付事務だけをしていると理解していたが、調停をしているとの発言があっ

たことは驚きであった。統廃合のとき新設された20の家裁出張所の扱い業務がどう

なっているのかを調査する必要がある。

(2)市川家裁出張所(市川簡裁に併設)の管内人口は124万人であり、弁護士数は6

4名であり、同出張所の平成20年の家事事件総数(新受件数)は5910件に達し

ているのに、裁判所は支部にすらしてくれない、との発言があった。家裁出張所には

裁判官が常駐していない。週2日しか来ない裁判官の負担の多さ、書記官など職員の

多忙ぶりも大変だが、そのツケは利用者に回ってきている。短い発言に盛られた課題

は多く、大きい。4名で参加した千葉県弁護士会京葉支部のメンバーは、2011年

度に開催される第9回首都圏弁護士会支部サミットに向けて準備を始めている。

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基調編
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(3)新潟では、年末に法曹人口についての臨時総会があったが、法曹人口を適切にと言

うことも良いが、裁判所や検察庁にについても強く増員を言わないといけない、支部

の会員からは、支部統廃合で廃止された支部の復活に向けて弁護士会が積極的にリー

ドして議論してほしいと意見がすごく出たとのこと。

(4)東京の簡裁は、霞ヶ関に統廃合されたが、その後、調停センターが墨田に移転した

ことで、東京の簡裁の機能は偏頗となった。東京三会の中から新宿簡裁復活運動が起

こり、その成果として新宿調停センターを3年試行することになった。しかし、利用

があまりないまま今年3月で試行期間が切れる。この後、東京三会はどうするのか。

あまり会内議論は進んでいないようだった。東京の廃止された簡裁の復活と家裁出張

所の併設の議論が進むことが期待される。

3 弁護士会における支部問題については貴重な情報交換が行われた。

(1)静岡では、裁判所本庁に対応して弁護士会静岡支部があり、浜松支部、沼津支

部の3つがそれぞれ会館を持ち、独立して委員会活動を行っている。新潟では、本会

中心の委員会活動が行われている。埼玉では、会の規則で、支部には刑弁センターと

法律相談センターを作り活動することとされており、支部独自で名簿を作り活動して

いる。

神奈川では、弁護士会期の中に支部の委員会活動を位置づける動きが進んでいる。長

野では、支部という言い方ではなく、在住会という言い方をしていて、在住会ごとに

委員会の割り当てがあり、連邦制に近い。南北に長い県であるため、日弁連の援助を

受けてテレビ会議システムを導入した。

(2)裁判所支部はないものの、弁護士会支部を作って活動しているのが京葉支部であ

る。静岡県弁護士会の浜松支部は地家裁掛川支部の会員を含み、沼津支部は富士支部

の会員を含み、茨城県弁護士会土浦支部は、水戸地家裁麻生支部などの会員を含んで

いる。そのため、課題も指摘されている。

4 その他

(1)柏崎市には弁護士がいなかったが、同市が法律事務所を開設すれば資金面で支援

することになり、最近、弁護士が 人市内に開業した。市民の身近に弁護士が進出す1

ることは重要であり、そのためには、自治体と情報交換をすることが重要であると感

じられた。い状態であったが、支部地域における弁護士ゼロ解消と地方自治体

(2)支部に置ける弁護士需要はあるか、を巡って「需要はあるという考えは捨ててほ

しい」と言う発言と「三条支部ではまだ仕事はあると思う」という意見が出されルな

ど活発な議論となったが、これについては、引き続き各所で議論していくことが望ま

れるだろう。

4 最後に、日弁連から脇田喜智夫副本部長(京都)の挨拶をいただき、懇親会でも、前

田豊副本部長(福岡)の発言があり、とても実りある交流会となった。後日開かれた

委員会では、これからこの運動をどう進めていくかについてについて絵論がされた。

(1)次回の企画に支部会員の声をどう生かしていくか。支部会員が当日参加して意見を

言うだけではなく、議論の柱を設定する段階から関与できる仕組みを考える。

(2)家裁出張所や出張事件処理の実状など調査活動につなげていくか。それには、関弁

連(ブロック)の力だけではなく、各単位会における地域司法計画の改訂作業が重要

である。

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近弁連管内の支部交流会報告書

2011.2.23

近弁連司法問題対策委員会

委員長 長谷川 彰

1 開催日時・場所

平成23年2月19日(土)午後1時30分~午後4時30分

大阪弁護士会会議室

2 参加者

。 、 、近弁連管内の裁判所支部は合計22ヶ所あります 交流会当日は このうち

16の支部所在地に事務所を開設している会員に参加いただきました。また、

本庁管内に事務所がある会員も参加され、合計では、日弁連の前田副本部長を

含めて、42名の参加者でした。

3 プログラム

最初に近弁連の山崎理事長から開会のごあいさつがあり、その後日弁連裁判

官制度改革・地域司法計画推進本部の前田副本部長から基調講演をいただきま

した。これを受けて、支部から参加の会員全員に現在問題だと考えておられる

点について発言してもらいました。

ここで一旦休憩し、後半は、前半で出された問題点の中からいくつかテーマ

を絞って、意見交換を行いました。最後は近弁連の池内常務理事が閉会のご挨

拶をされました。

4 内容

(1)前田副本部長は詳細なレジュメを用意され、1989年の支部統廃合によ

り、41の支部が廃止され、苫小牧と相模原の2支部が新設されたというお話

しからはじめられました。この時最高裁は 「裁判所数そのものは、全体とし、

て減ることになるとしても、ちょっとだけ足を伸ばせばこれまでよりも人的に

も質的にも、より充実した裁判所を利用していただけるようにしたいと思いま

す 」とコメントしたそうです。。

また、支部問題は、概ね当弁護士制度が契機となってクローズアップされた

とのお話しがあり、その後1992年の日弁連第14回司法シンポジウム以降

の支部問題に対する取り組みをご紹介いただきました。

そして、1996年には弁護士ゼロの支部が49、弁護士一人の支部が25

あったのが、現在弁護士ゼロの支部は解消し、弁護士が一人しかいないところ

も留萌、紋別、佐伯の3支部になったと報告されました。

これに対し、裁判官が常駐していない支部が全国に46ヶ所あり、近弁連管

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基調編
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内でも京都地裁園部支部が常駐から非常駐になったのをはじめ、神戸地裁柏原

支部、和歌山地裁御坊支部と3ヶ所あります。地域司法の活性化のためにも裁

判官を増員し、非常駐の支部をなくしていくことを求めていかなければならな

いと述べられました。

(2)支部の会員からは、①支部で労働審判が行われないのは、同制度のメリッ

トを減殺している、②一審簡裁の事件を支部に控訴できないため、コストを考

えて不利な和解でも応じざるを得ない、③少年鑑別所の支所がないため、接見

に支障がある、④刑事事件の開廷日が週に1回しかなく、その日が差し支える

と1週間先になり、身柄事件の場合に問題である、⑤検察庁に副検事1名しか

配属しておらず、追起訴の遅れ、保釈意見が遅いなどの問題がある、⑥管轄の

配分が適正でないため、たとえば和歌山県串本町の事件は新宮支部の管轄の法

が便利であるのに、田辺支部の管轄となっている、福井県高浜町は舞鶴の方が

交通至便であるのに、敦賀まで行かなければならないなど具体的な不都合の報

告、⑦裁判官、書記官、家裁調査官の人員不足など多くの問題点が指摘され、

参加者の共通認識とすることができました。

(3)後半は、このような問題点について、さらに議論を深めました。支部で労

働審判が行われていないという問題は、全国的にも問題になっているとの前田

副本部長の指摘もあり、近弁連でも今後裁判所への申し入れや決議などを検討

することになりました。また、独立簡裁の機能を拡張して、支部機能や家裁の

出張所機能を持たせるなど、独立簡裁の管轄地域での弁護士事務所開設へのイ

ンセンチブを持たせる方策が必要であるという意見や、支部の新設を求めてい

く必要がある(京都府南部や和歌山県橋本市 、競合管轄や管轄の配分の見直)

しなどという管轄をめぐる問題も議論されました。鑑別所支所の新設問題も今

後の課題として確認されました。その他、待合室の不足やエレベーター設備の

不存在などの設備面での不備も多くの支部の共通した課題であることが改めて

認識され、今後近弁連全体で改善を求めていくことを確認しました。

5 終わりに

近弁連では、今回初めて支部にて事務所を開設する会員が一堂に集まりまし

た。各支部の抱える問題には共通することも多く、本庁周辺に事務所を持つ会

員からは、支部の大変さが実感できたとの感想もでており、今後支部問題の解

決に近弁連全体で取り組んでいかなければならないという意識が、少なくとも

参加者の間では共通のものとなりました。

また、大阪にはいわゆる支部問題はないということも改めて感じることにな

りました。

以上

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近畿弁護士会連合会管内の支部交流会 基調報告

2011年2月19日 前田 豊

1 支部の現状

全国に裁判所本庁が50カ所,支部が203カ所あります。

平成元年1989年に支部の統廃合がありました。そのとき41支部が統廃合され、相模原、苫

小牧の2支部が新設されました。統廃合の理由は事件数と時間的利便性を考慮した結果ということ

でした。最高裁は「適正配置」という冊子で,

「裁判所の数そのものは,全体として減ることになるとしても,ちょっと足を伸ばせばこれまで

よりも人的にも質的にもより充実した裁判所を利用していただけるようにしたいと思います」

と言いましたが,それから20年,はたして,全国の裁判所支部は,そのように,人的にも質的に

もより充実した裁判所になっているでしょうか。

2 支部への意識

東京,大阪という大都市では,支部は極端に少ないです。東京は立川だけ,大阪は堺と岸和田だ

けです。それに対して,全国道府県では支部が多い。一番支部の数が多い裁判所はどこかご存じで

しょうか。北海道は16カ所でダントツですが,札幌地裁に限れば支部は7カ所です。一番支部が

多い本庁はどこか。福岡県の9カ所と,御当地兵庫県の9カ所です。

私は1976年,36年前の弁護士登録です。ずっと司法問題,市民の司法アクセスの問題に関

わってきましたが,かつて,支部問題というのは,あまり強く意識されていなかったと思います。

一番の原因は,合格者がずっと500人で,弁護士も裁判官も少なくて,弁護士は大都市に登録し,

みんなの目と足が支部に向かわなかったからだと思います。私の同期では,敬愛する福井茂夫さん

が兵庫県の豊岡支部に登録しましたが,それは当時珍しい例で,地元から来てくれと強い要請があ

って豊岡支部に行かれたと思います。

支部統廃合反対の運動もありましたが,本当に自分の問題として支部問題に注目しだしたのは2

0年前のことで,1990年平成2年に当番弁護士を始めたことであり,支部問題が広く日弁連の

課題になってくるのは,ようやく10年前のことで,2000年平成12年に司法改革論議が本格

化し,全国的に地域司法を考え,地域司法計画を作成するようになったころからだと思います。

3 支部問題の経過

なぜ当番弁護士が支部問題に関わるのでしょうか。当番弁護士を広げるため,裁判所に勾留質問

時に当番弁護士の告知を頼みました。ところが,弁護士の数が少ない支部では,告知をすると,当

番弁護士の負担が重なり,大変なので,勾留質問の告知をしてもらっては困るという声が出るので

す。事情はわかります。しかし,弁護士会が告知を求めないのではその存在意義が問われます。勢

い,本庁の会員が支部の当番弁護士をバックアップするシステムを作るしかないのですが,それは

本庁の弁護士にとって,時間的にも大きな負担です。

そこで初めて,本庁の弁護士たちは,地域や支部に弁護士集団がたくさんいることが大事だとい

うことに気がつきました。とかく本庁と支部の弁護士間ではぎくしゃくすることもありますが,当

番弁護士で,初めて,地域や支部に弁護士たちがいてくれてありがとう,助かったと感謝すること

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ができるようになったと思います。

それが,弁護士過疎問題,弁護士偏在問題に,弁護士会が取り組むきっかけになりました。

1992年,平成4年,日弁連の第14回司法シンポジウムを福岡で開き,初めて日弁連は「市

民とともに司法改革」というテーマを立てて司法改革に取り組みました。島根県の岡崎由美子弁護

士が,島根県の西部地方,浜田や益田には弁護士がゼロであることを報告しました。週刊朝日で

「島年県西部では弁護士がいなくても生活できる?」と批判的に述べていることも知りました。

1993年,平成5年,九弁連は弁護士偏在シンポを開いて,九州各地の弁護士過疎状況を洗い

直しました。その時,支部の弁護士は,支部に弁護士が増えることを希望していることを知りまし

た。シンポでは,パネラーの女性が,宮崎県の地元ではイノシシは見たことはあるが,弁護士は見

たことがないと言いました。また,裁判所は,都会の中の秘境だ,とも言われました。弁護士や裁

判所が,地域や人々の中で根付いていないことを思い知らされました。

その後,日弁連は,1994年,平成6年,高松業対シンポで裁判所支部ごとの弁護士数のゼロ

ワンマップを作り,1996年平成8年,名古屋宣言で弁護士偏在の解消を課題としました。

日弁連は,1999年,平成11年,ひまわり基金を作って,2000年,平成12年,ひまわ

り基金の第1号事業として「対馬弁護士センター」を設置しました。「対馬弁護士センター」は2

0年間弁護士がゼロであった長崎県対馬に,ひまわり基金を使って,長崎県弁護士会から3人,福

岡県弁護士会から6人の弁護士が交替でクルーとなって,月火水の3日間,毎週事務所を開くもの

でした。私もその一人になり,2年間,国境の島対馬で支部暮らしを経験しました。対馬弁護士セ

ンターは,ひまわり基金の第1号ですから絶対に失敗は許されず,九弁連は,日弁連副会長を務め

た上田国広弁護士をはじめ,前九弁連事務局長など,会務に熱心な重鎮や中堅の弁護士を送りまし

た。対馬では,支部とはいえ著作権や民事再生の相談があるかと思えば,今だに頼母子講が息づい

ていることも知りました。私たちは,いつもワクワクしながら対馬で仕事をしていました。

その後,浜田に京都の國広弁護士が常駐型のひまわり基金法律事務所を開設し,石垣島に大阪の

藤井弁護士が事務所を開設されるなど,ひまわり基金法律事務所は全国に広がりました。紋別の松

本弁護士の奮闘が全国の若い弁護士たちの共感を誘い,続々とひまわり基金法律事務所が弁護士過

疎地を埋めていくようになりました。それは,東京,大阪の弁護士を初め,全国の弁護士がお金を

出し合って,弁護士偏在を解消しようという日弁連の運動の成果でした。お金を出し,人も出して

下さった東京や大阪の先生方には,弁護士偏在解消の見地から心から感謝を捧げたいと思います。

4 支部の弁護士

ゼロワンマップを作った1996年当時,弁護士ゼロは49支部,弁護士ワンは25支部でした。

今思えば,全国にはたくさんの弁護士ゼロワン支部がありました。

しかし,その後,日弁連の弁護士偏在解消の取組が精力的に進められ,現在では,ゼロ支部はな

くなり,ワン支部は3になりました。ワンの3支部は,北海道の留萌と紋別,九州の大分県佐伯で

す。ただ,留萌は第2ひまわりが設置予定で,紋別もまたその方向で検討中と聞いています。佐伯

は,1つの弁護士事務所と週に4~5日弁護士がいる弁護士法人の支店がありますので,常駐はワ

ンですが,半常駐を入れると実質的には限りなくツーに近づきます。弁護士のゼロワンは,近い内

に解消される可能性があります。

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それだけでなく,全国を見渡せば,弁護士がゼロであった島根県西部では,益田に4人,浜田に

8人の弁護士が活動するようになりました。鹿児島の奄美大島には4人の弁護士が活動し,その他

の九州の離島,対馬,壱岐,平戸,五島,宮古島,石垣島にも,ひまわりや法テラスの奮闘で弁護

士が二人以上活動するようになりました。高隈事件,大崎事件,志布志事件など再審無罪事件や冤

罪事件が多かった鹿児島県鹿屋地方にも,3人の弁護士が活動するようになりました。しかも,支

部の弁護士のみなさんが,大きな志をもって活動しておられる姿をみて,とても感動します。

近弁連管内でも,同じようなことが起こっていると思います。2年前,豊岡の福井さんのところ

には若い先生がおいでになりました。福井さんが,それを嬉しそうに報告してくれました。大阪の

堀江佳史先生は,1年前に和歌山の橋本市に事務所を開設し,朝日新聞に投稿して,「地方・家庭

裁判所の支部の適正配置こそ司法過疎の真の解消に欠かせないと痛感する。国は,地・家裁支部の

適正配置に早急に取り組むべきだ」と主張されました。

5 裁判所の支部

このように,支部の弁護士事情が一変し,地域の住民のために弁護士が生き生きと活動している

状況に比べると,裁判所の支部と検察庁の支部の現状には,とても問題があります。

今度は裁判官ゼロワンマップが必要になります。近弁連管内でも,京都地裁園部支部,神戸地裁

柏原(かいばら)支部,和歌山地裁御坊支部は裁判官が常駐しない非常駐支部です。もっとも,神

戸地裁社支部,滋賀地裁長浜支部は非常駐だったのが常駐になり,反対に京都地裁園部支部は常駐

から非常駐に変わりました。どうして変わったのか,その要因を調査する必要もあると思います。

全国では,非常駐の支部は46カ所,北海道は10カ所,九州では8カ所もあります。非常駐の

支部では,期日がなかなか入りにくい,証拠調べの最中に調停のため中座する,DV事件で保護命

令が迅速に出ない,保釈の準抗告に時間がかかるなど,いろいろな問題が出されています。

また,仮に常駐していても,事件数のわりに裁判官数が少ないので,裁判官の増員を望む声があ

ります。

支部では上訴事件や行政事件を扱わないのに加えて,裁判員裁判や労働審判をしないことへの批

判や要望があります。特に,支部で労働審判を望む声は強く,関弁連や九弁連では,裁判所との法

曹協議会で議題を出したり,理事長と会長の共同声明を出したりしています。単位会でも,大分,

札幌,福岡などの単位会で,第一審強化方策地方協議会や法曹協議会の議題とされています。

相模原市議会では支部充実の決議,沼津市議会で決議,札幌弁護士会も準備中と聞いています。

今ようやく,支部の問題が,大きくクローズアップされてきたということができます。

6 日弁連と近弁連の支部交流会

日弁連は,2000年,地域司法計画を取り組むなかで支部問題の重要性を意識し,2004年

アンケートを取り,支部問題シンポジウムを開催し,「支部の充実を求める要望書」を出して,最

高裁に提出しました。

また,2003年には,裁判官の倍増を求める意見書を出して,最高裁に提出しました。これは,

和歌山の小野原聡史先生が作った方程式に当てはめて,数値的に必要な裁判官数を算出した優れモ

ノでしたが,あまりにも課題が大きく,残念ながらまだ実現していません。

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これから,裁判官,検察官の増員とともに,支部の充実を求めていく必要があります。支部は,

弁護士会は,ブロックは,そして日弁連は,何をしていかなければならないのか,その実現の方向

を真剣に模索し,運動していく必要があります

本日のこの支部交流会もその一環であると思います。さらに,来る3月1日には,日弁連で第4

回支部問題シンポジウムを開催します。本日の交流会の成果を持ち寄って,ぜひ多数の会員が日弁

連のシンポジウムにも参加されますよう訴えまして,私の基調報告とさせていただきます。ありが

とうございました。

以上

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( )中国地方弁護士連合会・第1回支部問題協議会 支部機能の充実を目指して

平成22年12月4日(土)福山・ニューキャッスルホテル 参加者47名)報告(

文責・浜崎 大輔(山口県・下関)

第1部 労働審判について

【基調報告(三谷浩二郎会員(福山 】))

支部会員へのアンケートでは,支部での労働審判の実施を渇望する意見が圧倒的であった。 こ

れを踏まえ,三谷会員からは,① 支部地域にも労働審判の潜在的な需要はあり,支部で実施でき

れば事件の掘り起こしができるはずである,②特に交通インフラが未発達で,本庁まで行く費用,

時間の負担が重い地方ほどその必要性は高い。③ただ,支部で実施するためには,弁護士側におい

て積極的に引き受ける態勢作りが必要であるとの意見が出された。

【討議】

本庁まで遠い支部(福山,下関,津山,米子)において,労働審判の利用をあきらめて仮処分や

通常訴訟にしたことや,実際に本庁まで審判に行ったときの苦労について報告がなされた。

今後の運動論としては,①市民,社会を巻き込んで 「労働問題を迅速に解決できる場を各地に,

作ることの大切さ」について理解を得る必要があり,自治体との連携,経済界・労働団体への働き

かけを行うべきである,②労働審判員の確保については,十分な需要がある支部では,労使とも確

保できるはずであり,商工会議所等の事業者団体や連合等の労働者団体へ協力を呼びかけるべきで

ある,③裁判所に対しては,一審協や地裁委員会で議題に取り上げたり,労働審判に関する協議会

の申入れをするのが有益であるとの意見が出された。

第2部 刑事事件

【基調報告(光成卓明会員(岡山 】))

アンケート結果の報告があった。注目すべき点は,以下のとおりである。

・ 本庁起訴がなされているのが,尾道(一部 ,新見(全件本庁 ,西郷(身柄全部)である。) )

・ 地区外勾留がなされることがあるところが多い。

・ 少年事件において,鑑別所が本庁のみにあるのが大変であるとの意見が多かった。

, , 。・ 裁判員裁判について 合議事件を行っている支部では 支部でもやるべきとの意見が強かった

・ 裁判員裁判の弁護人の重複選任・リレー選任の運用については,各地ばらばらであった。

( ), ( , , ) , ( )広島 福山等 松江 出雲 浜田 益田等 では リレー選任 被疑者段階の弁護人は解任

が原則認められているのに対し,岡山や山口では,原則認められておらず,重複選任がなされて

いることが明らかになった。

【討議】

1 裁判員裁判以外の支部における刑事事件の負担

本庁起訴,遠方の刑事施設への勾留,少年鑑別所までの接見の負担について報告があった。

2 裁判員裁判については,公判段階の弁護人について,①リレー選任が認められる場合の問題点

として,交代後に被告人と新弁護人が信頼関係を築くのが難しいこと,弁護方針に整合性が持た

せられるのかどうか,解任上申を出してもすぐに解任されないことがあること,また,支部会員

が裁判員裁判を経験できないのは問題であるとの意見が出された。

また,②リレー選任が認められず,支部会員がそのまま担当する場合の問題点として,実際に

担当した支部会員から,本庁会員と重複選任がされたとしても,公判や打合せのために本庁へ移

動する負担が重い,移動の苦労が報酬に反映されないなどの問題点が報告された。

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3 総括として,①支部でも裁判員裁判を実施すべきとの意見はあるが,当面,いかにして支部会

員が本庁での裁判員裁判に携わりやすくするかを考えるべきである,②裁判員裁判の負担を考え

れば,弁護人の数も2名にとどまらず,3人目の重複選任が認められるべきであり,その中に支

部会員も入って裁判員裁判に関わっていくことを目指すべきではないか,とまとめられた。

第3部 裁判官配置について

【基調報告(山元浩会員(下関 】))

各支部における事件数(平成20年 ,裁判官の人数及び担当事件の範囲(平成22年10月現)

在)の調査結果に基づき,各裁判官がどの程度の事件数を担当しているか,各支部において裁判官

が何名不足しているといえるかの分析結果の報告があった(添付資料が山口県内のもの 。)

その結果,執行破産や,家事少年(簡易な事件が多数含まれていることは留意する必要があると

はいえ)など,民事,刑事以外の事件の負担が重いのではないか。特に支部では,各裁判官が多種

類の事件を担当することがほとんどであり負担が重いはずであるとの意見が出された。

【討議】

[島根]出雲は,本庁からの填補が週3日に増えたが,執行事件が本庁に集約された。

[鳥取]米子は,今年度から1名増えた(倉吉への填補込みのため実質0.5 。)

[岡山]津山は,かつては甲号支部であったが,現在は2名(1名は新見も兼任)となった。

成年後見事件が多く,書記官,調査官の負担が増大している。

[広島]呉は,家事事件が遅れがちで,もう一人増やしてもよい。平成21年から執行事件が本庁

に集約されたが,需要があるのに疑問である。

尾道では,執行事件は福山に集約され,通常再生は本庁に回された。

三次は,裁判官を1名から2名に増員すべき。地方でありがちな家事事件での複雑な人間関係

や,絶対に弁護士を付けない当事者がいるのが負担を増やしているのではないか。

[山口]萩は,支部長裁判官が週の内,2日本庁に填補している。裁判官が常駐していないことか

ら,期日が入りにくいなどの多くの問題点が生じている。

4 全体総括

二國則昭会員(広島)から,以下のとおり,総括があった。

, , , ,・ 労働審判は 裁判所の物的設備の問題は少なく 多くの支部において 弁護士も前向きであり

実施は可能といえることが明らかになった。

・ 裁判員裁判については,一定規模の支部では実施に支障がないといえること,後は,裁判所,

検察庁の対応ができるかどうかが問題であることが明らかになった。

・ 各支部において,裁判官が不足している傾向にあること,特に,家事事件の処理などにしわ寄

せが来ていることが明らかになった。

・ 本日の協議結果を,今後の運動の基にしたい。

この支部問題協議会には 多くのマスコミが取材に来られたので 終了後 記者会見を行った 翌, , , (

日,広島地区の新聞には報道された 。。)

また,懇親会では,福山の会員を中心にして,今後の中弁連の運動方針として,まず,福山支部

で労働審判を実施することを目標として,これから自治体や関係団体にも呼びかけて運動をしてい

くこと,そして,これを他の支部にも波及させていくという方針が決まった。 以 上

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四国弁連第2回支部問題協議会報告書

平成23年1月27日

報告者 志摩恭臣(徳島)

第1 概要

開催日時 平成22年12月11日(土)午後1時~午後3時

開催場所 香川県弁護士会館5階大会議室

参加者 15名

(弁連理事(単位会会長等)6名、法テラス所長3名、

支部の弁護士4名、その他2名)

進行次第(司会:志摩)

1 宮﨑浩二四国弁連理事長あいさつ

2 議事

・四国弁連管内の支部の実情について

・支部における刑事事件について

・支部における家事事件について

・日弁連の支部問題運動との連携、要望等

・その他

今後の協議会の持ち方

3 閉会

第2 議事内容

1 四国弁連管内の支部の実情について

昨年の第1回支部問題協議会(平成21年12月開催)以降の動きを中

心に、各会から実情を報告してもらった。

(香川)

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昨年からの大きな変化はない。

広く言えば、支部の規模・機能は縮小する傾向。

以前、一時、観音寺支部の廃止・丸亀支部への統合の動きがあったり、

丸亀支部は旧甲号支部であるが、民事合議事件を本庁へ回付したりする動

きがある。

(徳島)

大きな変化はない。美馬支部では、前年は判決の延期が多いなど問題が

あったが、異動後はそのような問題も解消された。

(高知)

中村支部では、法テラス中村法律事務所が開設され、弁護士が1名増加

する一方、高齢の弁護士が中村支部から転出したため増減はなかった。

また、中村支部では書記官の減員があった。

安芸支部は法テラスの事務所に増員があった。

(愛媛)

西条支部管内の新居浜市に、4~5人の弁護士が新たに開業した (注。

:昨年の支部問題協議会で弁護士需要が見込まれる地域ではないかとされ

ていたところ)

今治支部では弁護士法人の支店があり、当該弁護士法人から派遣されて

弁護士が来ている。

西条支部では、裁判所庁舎内に弁護士会事務局があったが、転出を求め

られている。

2 支部における刑事事件について

各県支部に関する刑事事件の実情を話し合った。

(香川)

被疑者国選の割振りは、留置警察署を基準として本庁もしくは支部の弁

護士に割り振っているところ、裁判員裁判は本庁のみの取り扱いのため、

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当初から高松市内の弁護士を指名している。また、一部の支部では、非公

式にいわゆるリレー方式をしているところもある。

特に深刻な問題は生じていない。

(徳島)

被疑者国選施行当時の法テラスと刑弁委員会との協議に基づき、支部・

本庁とも各弁護士がよく動いてくれている。特に問題はない。

(高知)

中村支部管内の刑事事件が、支部の弁護士で捌ききれない。また、拘置

所が高知市内一箇所しかなく、支部の事件について移監後、接見に時間が

かかる問題がある。

(実例は少年事件であるが)本庁で発生した事件で、たまたま本庁管内

の警察署の空きがなく、安芸支部管内の警察署に勾留された案件があり、

支部の弁護士が本庁の少年審判に行かざるを得なくなった。

(愛媛)

支部の裁判員裁判対象事件は、いわゆるリレー方式を採用しており、か

つ、基本的には被疑者段階では本庁の弁護士と支部の弁護士が組になって

対応するようにしている。

3 支部における家事事件について

四国弁連管内では、4つの家裁出張所がある。

うち、徳島家裁池田出張所は、美馬支部の調停事件・審判事件数とほぼ

同じか上回る事件を処理しているにもかかわらず、月1回(第1金曜日)

の開廷しかない。

そのため、池田出張所近くの家事事件が、安易に高松家裁に移送された

事例がある 理由は 池田出張所と美馬支部を1名の家裁調査官が兼務 し。 、 (

かも少年事件も)しているところ、忙しくて調査の時間が取れないとのこ

とであった。

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4 日弁連の支部問題運動との連携、要望等

日弁連では、3月1日に支部問題シンポジウムを開催することになって

いるので周知案内がなされた。

また、四国弁連としては、上記家裁出張所の問題があるので、それを日

弁連にも考えてもらいたいと思う。

、 、 。さらに 支部の復活・新設や 重複管轄の実現も検討していただきたい

5 今後の協議会の持ち方について

毎年定期的に開催するかどうかはさておき、今後も継続的な開催は必要

であるとの認識で一致した。

また、宮﨑理事長から、是非、高松等の本庁地域ではなく、支部地域も

しくは三好市(池田家裁出張所所在地)などで協議会を開催することは異

議があるのではないか、との提案がなされた。

以 上

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九弁連支部交流会報告(2010年11月13日実施)

報告 前田 豊(福岡)

1 第1回支部交流会2010年1月23日に続き、第2回交流会を実施した。

参加者72名(九州の各支部会員及び弁護士会執行部)

挨拶 九弁連理事長当山尚幸、田辺宜克日弁連副会長

2 アンケート結果

民事訴訟 裁判官非常駐支部で保全事件の手続が遅れる。

刑事訴訟 準抗告が遅れている。

非常駐支部 常駐になった支部はなかった。

填補が増えた 佐賀地裁武雄支部

アクセス 離島は本庁へは飛行機・船による移動で大変、4時間以上の例も

刑事弁護 複数選任やリレー方式採用で対応している

拘置所・鑑別所 飛行機や船を利用して接見、4時間以上かかる例も

労働審判 相談はあっても申立しない例が多い、相談だけで終わる例が多い

3 裁判員裁判とのかかわり

支部の弁護士は積極的に裁判員裁判にかかわっているが大変な苦労がある。

遠く離れた拘置所で接見する期間が長い。拘置所へは船利用で2時間かかる

宮古島から那覇まで飛行機で40分かかる

事務所を連続4日間空ける。裁判員裁判に2週間とられた

宮古島の刑事事件の新件受任を止め、那覇の弁護士に受任してもらった

弁論前の準備で徹夜状態。4日間連続でウィークリーマンション借りた

ホテルにずっと泊まっていた。法テラスから宿泊代が出ず自腹だった。

唐津の弁護士は、1カ月間、佐賀のウィークリーマンションを借りた

支部で、自動車を運転しないと、電車利用で片道2時間かかることもある

離島からだと、飛行機は欠航の心配がある

2件目の裁判員裁判が係属中。支部と本庁の弁護士で役割分担した

一般刑事・少年事件も大変な苦労をしている

人吉の少年事件は、拘置所が八代、鑑別所が熊本、移動に時間がかかる

阿蘇支部は一番近い接見場所まで40分かかる。熊本には1時間半

天草支部で準抗告すると本庁に記録が行くのに時間がかかる

天草支部で勾留理由開示をしたら1週間先に期日が入った

離島の平良支部は準抗告の書類を飛行機で書記官が本庁に持っていく

離島の五島支部は船で本庁に持っていく。裁判官の判断の時間がとれない

壱岐支部の拘置所は佐世保なので、接見は船利用で、宿泊が必要。

飯塚支部は人口比より刑事事件が多く、本庁の会員の応援を受ける

田川支部は鑑別所が遠くて大変

名瀬支部は放火事件が多く、裁判員裁判で、本庁の会員とリレー方式でやる

延岡支部で、少年事件は信頼関係を大切にするため、リレー方式とれず

指宿は、裁判所まで1時間半かかる。成年後見だと面会に2時間かかる

4 労働審判とのかかわり

支部で労働審判ができるようにして欲しいという声が相次いだ。しかし、はた

して人を確保できるのか、離島では緊密な人間関係の中でうまくやれるのか心

配だとの指摘があり、いやニーズがある以上は条件整備して取り組むべきだと

の反論も出て、議論が沸騰した。

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是非支部でも労働審判をやってほしいが、杵築支部は裁判官一人なので心配

支部では労使の審判員の確保も難しい野ではないかと心配

中津支部では可能かもしれない。まず中津支部で先にやって、次に杵築で

代替策で、社会保険労務士を調停委員に入れたら、と簡栽裁判官に言われた

いや、社会保険労務士は企業寄りの事が多いから、どうだろうか

宮古島では、ニーズがあるから、労働審判を支部でできるよう希望する

対馬でも労働問題があるが、次の就職に差し支えるので遠慮する人がある

壱岐でも労働問題が裁判ざたになったら、狭い島では次の就職口はない

五島では支部で労働審判をやってほしい、本庁でやったが経済負担が大変

延岡でもやってほしいが裁判官や審判員が労働事件に慣れているか心配

日向では労働審判のメリットは大きいと考えている

唐津から、法の支配を広げるために法律家は努力すべきだと思う

沖縄で調停委員の研修している。審判員の能力向上・人材確保は可能と思う

オールオアナッシングでなく、できるところからやるということだと思う

1つ1つ獲得していく、そういう視点を持つのが一番現実的

どうしたらできるか、何ができるのか、その視点で労働審判も裁判員も

2、3年先がどうなるかということを踏まえてもっと議論をしたい

5 これからの運動

筑後部会の取組の紹介

筑後法曹協議会で、10年来、毎年八女支部を常駐化するよう要求している

裁判所もそう要求されて内心は嬉しいのだと思う

第1審強化方策地方協議会に期待する

1審協を通じて全国から声を上げて行かなければならない

長崎では大村支部の裁判官を増やして欲しいとお願いしたがまだ実現しない

6 裁判官が足りない

裁判官が常駐していない支部では住民も弁護士も大変な不便を被っている。裁

判官の常駐化は絶対に必要だ。

強制執行停止がすぐでない

佐賀地裁武雄支部は平成10年ワ号事件が100件だったが、現在555件

唐津支部は合議体が組めなくなった

弁護士会がもっと裁判所にこうしてほしいと大きな声で言うべきだ

名護支部では優秀な裁判官が来てくれるので不満はなく助かっている

7 裁判官の質が大問題

支部に一人しかいない裁判官が当事者の言い分によく耳を傾けてくれないとき

は悲劇である。裁判官については、数の複数化と併せて質の確保も重要だ

裁判官一人だと病気したら大変、質も重要

数年前支部長が代わったら、悪くて、事件が大幅に減った

宮崎の某支部では裁判官が高圧的

8 支部の実情を知ってもらうために

支部の抱えている大きな苦労がまだ知られていない。

弁護士だけの空中戦をするのではなく、客観化し、市民の悲痛な声を掬う事

国民、マスコミ、国会議員の理解が必要、抽象論だけでは突破できない

具体的なエピソードをたくさん積み上げていくことが重要

実現可能なところから一つ一つ実現する努力が大切

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司法改革から取り残された「支部問題」

今改めて「市民に身近な裁判所」を創るための運動を考える 2011.3.1 杉井 静子

1.裁判所支部とは

地裁支部 裁判所法 31 条-「最高裁判所は地方裁判所の事務の一部を取

り扱わせるため、その地方裁判所の管轄区域

内に地方裁判所の支部または出張所を設け

ることができる」

家裁支部 同 31 条の 5 で 31 条を準用

最高裁規則「地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則」(現行)

1条で地裁支部は上訴事件、行政事件は扱えない

└→立川支部でも扱えない!

2条 家裁支部は扱えない事件なし

旧規則上(統廃合前) 甲号支部 乙号支部の区別あり

地裁支部乙号 単独のみ

家裁支部乙号 少年事件扱えない(原則)特乙号あり

2.支部の統廃合 平成元年12月規則改正 平成2年4月1日実施

(1) 甲乙の区別なくす- 合議をするかどうかは「事務分配」の問題となる

規則事項ではなくなる

(2) 廃止41庁 新設2庁(相模原、苫小牧)

↓ うち20庁に家裁出張所

(3) 反対運動

日弁連反対

地方自治体でも - (例)長野地家裁判所大町支部

(4) 統廃合の理由 (資料1)

「乏しい予算」で裁判所をより充実強化させるために効率主義の考

え方

3.統廃合後の状況

(1) 合議事件取扱い庁減る 85庁 → 63庁

旧甲号支部で裁判官が3人以上いても扱わない支部 -(例)足利

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旧乙号の事件数多い庁でも扱わない - 「甲乙の区別なくして見

直す」に反している

新設庁でも扱わない

(2) 刑事事件

扱わない庁 - (例) 佐倉、佐原、一宮、沼田

身柄事件扱わない庁 - (例) 麻生

※ 検察官不足も大いに関係あり

(3) 難しい事件は本庁へ

医療過誤

労働事件

執行事件

破産(管財事件)etc

(4) 裁判官や検察官非常駐支部解消されない

裁判所 46庁(現在) (例) 北海道10庁 九州8庁

検察庁 128庁(現在)

(5) 家裁出張所

統廃合前 昭和62年 - 89カ所(ピーク時96カ所)

平成17年 77カ所

4.司法制度改革の中で

2001(平成 13)年6月司法審最終意見書 支部のこと一言も触れていない

司法改革の具体化の中で - 支部の空洞化

(1) 裁判官裁判実施

支部は10/203庁

圧倒的に実施されない

実施庁への裁判官・検察官の移動応援

対象事件以外の合議も本庁へ (例) 川崎

(2) 労働審判

当初支部では実施せず

今日でも2支部(立川、小倉)のみ

(3) 地家裁委員会

支部には全くない

(4) 日本司法支援センター(法テラス)の支部も少ない

(5) 家裁への人訴移管に伴って

「司法制度改革から

取り残された裁判所

検察庁支部」

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管内人口 100 万人以上の市川出張所でも

家裁移管の意味半減

(6) 非常駐支部改善されたか?

支部の裁判官が常駐になっても簡裁判事減らされたりする

トータルでみる必要あり

地裁、家裁、簡裁兼務の問題

5.法曹人口大幅増加の中で裁判官・検察官増員はわずか

前述の新制度実施にも大幅増員は不可欠

法曹人口に占める裁判官の割合(簡裁判事除く定員)

1964(昭和 39)年 平成 18 年 平成 22 年

17.6% 9.7% 8.4%

同検察官の割合(副検事を除く定員)

10.7% 6.0% 5.3%

裁判官、検察官の大幅増員の必要性

司法審意見書でも強調

6.日弁連のとりくみ

(1) 簡裁の統廃合、支部の統廃合に対して本気(?)で反対運動しただろうか

弁護士の都合で考えていなかったか?

地域住民にとってどうかを考えたか

裁判官からも弁護士不在の支部廃止は「仕方がない」とみられた?

(2) 弁護士過疎・偏在問題へのとりくみ

① 当番弁護士の裁判所の告知をきっかけに支部に弁護士が少ない!

と認識される

※ 被疑者国選拡大からさらに強まる

② 弁護士ゼロ・ワン支部解消へのとりくみ - 2000 年から

71から → ゼロ支部は0

ワン支部 留萌、紋別、佐伯(いずれも近々解消見込)

支部のない地域にも弁護士増

(3) 地域司法計画運動 - ようやく支部問題が日弁連の課題となってきた

よびかけ2000年10月

その後、地域司法計画全国交流会

各弁護士会での地域司法計画策定

司法を地域の観点からとらえ、これを踏まえて改革する運動

この中で「市民の司法」を 支えるには裁判官・検察官の大幅増員

家裁出張所では

人訴扱えない

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が必要との認識へ

(4) 裁判官・検察官増員の提言

2003年10月 「裁判官及び検察官の増員を求める意見書」

2005年11月 「裁判所支部の充実を求める要望書」

(5) 支部シンポジウム

2006年3月 第1回

今回 第4回

(6) 地域での自主的な運動 → ブロック単位の運動へ

① 首都圏弁護士会支部サミット - 2003 年から今日まで8回重ねる

関弁連とタイアップ

② ブロック単位の支部交流会・協議会始まる

関弁連支部交流会 2006年から始まる(今年で第6回)

他のブロックでもとりくみ始まる

7.パネルディスカッションへの問題提起

(1) 支部の実情は国民の権利保障の点から問題

裁判をうける権利の平等保障

地方自治の観点から - 「裁判は地域共同体の自治力を示すバロ

メーター」(佐藤鉄男教授)

司法審意見書から - 「国民に身近で利用しやすい司法」

「ただ一人の声であっても真摯に語られる

正義の言葉には耳を傾けられなければな

らない」(司法の在り方)

「多様なニーズに応じた適正・迅速かつ実効

的な救済」

(2) 裁判所側の効率化の主張にどう反論するか

① 事件数は操作できる

三条支部の例 難しい事件は本庁へ etc

② 効率主義は司法の理念にそぐわない

たった1人の人権(正義の声)をくみあげる役割

(3) 司法予算の拡大の必要

昭和30年度 0.93%

平成8年度 0.40%

そしてこの10年はどうか?

平成19年から5年連続で実額減る

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国家予算に占める司法予算割合は0.346%(平成23年)

(4) 「地域(市民のニーズ)にあった身近な裁判所を!」の運動を

支部 → 本庁 新支部設置 家裁出張所 → 支部

簡裁に家裁出張所併設 簡裁に地裁出張所を 簡裁の新設

裁判官非常駐を常駐に etc

過去の例

戦前(司法省の下にあった時代)

行政改革の名の下に支部の廃止や事務停止、これに対して地

元弁護士会、商工会等の運動で復活した例がいくつもある

戦後 昭和 24 年家裁新設当時 支部数228(甲 63、乙 165)

昭和 47 年 〃 242(甲 82、乙 158)

家裁出張所から支部へ

昭和 28 年青森家裁十和田出張所 → 支部に昇格

水戸家裁日立出張所 → 支部に昇格

家裁出張所 昭和 26 年 34

36 年 74

47 年 96

63 年 89

平成 17 年 77

背景には弁護士会・地域住民の運動があったと思われる

統廃合の際でも新設された相模原支部の教訓

最近の例でも八王子簡裁のエレベーター設置

(5) 支部問題に象徴される司法過疎問題「身近な裁判所を!」との声は、決

して過疎地だけの問題ではない

(例)東京23区における簡裁の統廃合の後遺症

東京の司法を含めて司法全体の問題

支部問題へのとりくみなくして「市民のための司法」真の司法制度改革

はない

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1.1964年(昭和39年)臨時司法制度調査会報告書

「 、 、 、 、地方裁判所の支部は 裁判所法施行の際 経過的に 裁判所法施行令によって

その当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けるものとされ、地方裁判所及

び家庭裁判所支部設置規則においても、原則としてこの状態を引き継ぎ、家庭裁

判所の支部も、同一の地に設けられることとなったものであるが、現在これらの

支部のうち、特に権限乙号のものについては、事件数が少なく、限られた裁判官

をもってしては、これにあまねく裁判官を配置することが必ずしも合理的でない

ため、裁判官が配置されていない庁等における事件処理のために、他の庁(本庁

または他の支部)から出張する裁判官の時間的な損失も無視することができず、

これらは訴訟遅延させる原因ともなっている。そこで、裁判所全体の配置を適正

化し、事務処理の能率適正化を図る見地から 「地方裁判所および家庭裁判所の」

支部については、権限甲乙区別を廃止するとともに、権限乙号の支部は、一部事

件数の多いものを除いて廃止するとともに、権限甲号の支部のうち、事件数の少

ないものを廃止して整理統合を図ることが適当ではないか 」。

2.1984年(昭和59年)7月 最高裁判所事務総局「裁判所の適正配置」

「 、①支部に置ける大規模庁と小規模庁の間の事件の偏在状況が顕著になった結果

一部の大規模乙号支部では、小規模甲号支部より取り扱う事件が多く、甲乙逆転

の現象が生じています。②小規模乙号支部では、小規模独立簡易裁判所で見られ

たのと同様な問題が生じており、例えば乙号支部の過半数の庁では、裁判官を常

駐させることができません。③甲号支部では、合議事件を処理するため、裁判官

は3人以上配置することが望ましいわけですが、裁判官が1人または2人しかい

ません。④そのほか、支部についても現在の管轄区域、所在地が地域の実情を反

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映していないところもあり、また、支部の新設を検討する必要があるところもあ

ると思われます 」。

「多くの独立簡易裁判所・支部で取り扱う事件があまりにも少なく、裁判所らしい

裁判所を設置しておくだけの事件がないこと、事件がいくら少なくても裁判所を

置いてある以上一定の人的物的設備を常時整備しておく必要があることなどが、

その主な原因としてあげられます。このような状況からみますと、これらの問題

を解決するためには、対症療法ではなく、問題の根本にさかのぼり制度発足後変

化のない簡易裁判所支部の配置を全国的に見直し、現在のみならず予想される将

来の社会の実情に合った新しい配置を実現することが司法全体のを活性化するた

めに不可欠の方策です 」。

「裁判所としては、適正な配置のもとで裁判官が常駐しない裁判所・職員が二人

程度しかいない裁判所をできるだけ解消し、庁舎・図書・備品の充実を図り、裁

判所を利用される方々に実質的により質の高い・迅速・的確なサービスができる

ようにしたいと考えています。裁判所の数そのものは、全体として減ることにな

るとしても、ちょっと足を伸ばせばこれまでよりも人的にも質的にもより充実し

た裁判所を利用していただけるようにしたいと考えています 」。

3.1969年(昭和44)年 関弁連主催「法曹連絡協議会」での高裁長官の答弁

「支部に一人の判事、支部長判事をおくだけの十分な事件数がない。事件数ある

いは事件の内容からみてやや重要度が低く、一人の裁判官を常駐させてくぎづけ

にしておく方がいいのか。むしろ本庁に集中させて週2回あるいは3回というよ

うに定期的に支部へ填補として行く方がいいのか」

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