第4回 泌尿器系1 (尿の生成と排泄 小 腎杯 大 腎杯 どうして尿...

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第4回 泌尿器系1 尿の生成と排泄 今日の目標 どうして尿をつくるのか?その理由を説明できる。 泌尿器系の構成を説明できる。 腎臓の構造と尿生産の仕組みを説明できる。 (ネフロンの構造と役割を説明できる。) 1.泌尿器系の働き:尿を作って排尿する。 腎臓で尿を作ることにより、代謝により体内に生じた 老廃物や過剰な塩類、不揮発性の酸などを血液中 から効率よく除去し排泄する。 尿の量や濃度を調節することにより、循環する血液 量やその化学的組成を一定に保つ。 (体液環境の 恒常性(ホメオスターシス)) 2.泌尿器系の全体像 腎臓(尿の形成) 尿管(尿の輸送) 膀胱(尿の貯蔵) 尿路 尿道(排尿路) 3.腎臓の構造と機能 位置と形 左右一対 第12胸椎~第3腰椎の高さ (右側は半椎体分低い位置) 150g 腎門 腎動脈・腎静脈・尿管が出入り 循環血量の25%が腎臓を流れる 腎臓の内部 皮質・髄質に分かれる 腎門部で尿管が広がったところが腎盂 髄質は腎盂に向かって凸な腎乳頭を作る 腎乳頭は腎杯に包まれる 尿は腎乳頭から分泌され腎杯→腎盂へ送られる。 機能: ①尿の生成による体液の恒常性維持 浸透圧(水と塩濃度),pHの安定 代謝産物や薬物の排出 ②ホルモン分泌 レニン分泌と血圧調節 エリスロポエチンによる赤血球生成促進 ビタミンDの活性化 4.腎臓の微細構造 ネフロン(腎単位)と尿生産 ネフロン= 腎小体+尿細管 (+集合管) 5.腎小体 腎臓一つに100万個 糸球体ろ過膜を介した血液の限外濾過 →原尿生産(150l/日) 原尿の99%は続く尿細管で再吸収 cf.p.189 原尿:血漿からたんぱく成分を除去したもの。 T11 L3 6cm 10cm 3cm 腎門 腎動脈 腎静脈 尿管 腎皮質 腎柱 腎髄質(腎錐体) 腎葉 ()腎杯 ()腎杯 腎盤(腎盂) 腎洞 尿管

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  • 第4回 泌尿器系1 尿の生成と排泄

    今日の目標

    どうして尿をつくるのか?その理由を説明できる。

    泌尿器系の構成を説明できる。

    腎臓の構造と尿生産の仕組みを説明できる。

    (ネフロンの構造と役割を説明できる。)

    1.泌尿器系の働き:尿を作って排尿する。

    ① 腎臓で尿を作ることにより、代謝により体内に生じた

    老廃物や過剰な塩類、不揮発性の酸などを血液中

    から効率よく除去し排泄する。

    ② 尿の量や濃度を調節することにより、循環する血液

    量やその化学的組成を一定に保つ。 (体液環境の

    恒常性(ホメオスターシス))

    2.泌尿器系の全体像

    腎臓(尿の形成)

    尿管(尿の輸送)

    膀胱(尿の貯蔵) 尿路

    尿道(排尿路)

    3.腎臓の構造と機能 位置と形

    左右一対

    第12胸椎~第3腰椎の高さ

    (右側は半椎体分低い位置)

    150g

    腎門

    腎動脈・腎静脈・尿管が出入り

    循環血量の25%が腎臓を流れる

    腎臓の内部

    皮質・髄質に分かれる

    腎門部で尿管が広がったところが腎盂

    髄質は腎盂に向かって凸な腎乳頭を作る

    腎乳頭は腎杯に包まれる

    尿は腎乳頭から分泌され腎杯→腎盂へ送られる。

    機能:

    ①尿の生成による体液の恒常性維持

    浸透圧(水と塩濃度),pHの安定

    代謝産物や薬物の排出

    ②ホルモン分泌

    レニン分泌と血圧調節

    エリスロポエチンによる赤血球生成促進

    ビタミンDの活性化

    4.腎臓の微細構造

    ネフロン(腎単位)と尿生産

    ネフロン= 腎小体+尿細管 (+集合管)

    5.腎小体

    腎臓一つに100万個

    糸球体ろ過膜を介した血液の限外濾過

    →原尿生産(150l/日)

    原尿の99%は続く尿細管で再吸収

    cf.p.189

    原尿:血漿からたんぱく成分を除去したもの。

    T11

    L3

    6cm

    10cm

    3cm

    腎門 腎動脈 腎静脈 尿管

    腎皮質 腎柱

    腎髄質(腎錐体)

    腎葉

    (小)腎杯 (大)腎杯 腎盤(腎盂) 腎洞 尿管

  • 6.尿細管での再吸収と分泌

    原尿は生体に必要な物質を多く含む。

    (水・ナトリウム・糖・アミノ酸など)

    尿細管は原尿から必要なものを再吸収し、

    不要なものを積極的に尿細管内に分泌する。

    *能動輸送:エネルギー(ATP を使って物質を輸送)

    ①尿細管の構成

    近位尿細管

    大部分の有用物質の吸収と不要物質の排出

    Henle のワナ

    尿の塩類と水を吸収・浸透圧勾配形成

    下行脚・上行脚をもち皮質→髄質→皮質の順

    髄質は塩濃度(浸透圧)が高い

    下行脚は浸透圧に従って尿濃縮(水の再吸収)

    上行脚は能動輸送で塩の排出(濃度勾配形成)

    この浸透圧勾配は集合管での尿濃縮に関与

    遠位尿細管(集合管)

    尿の内容物を調節

    集合管はバソプレシン依存性に尿の濃度調節