アジア人種型2型糖尿病モデルマウス - JST研究背景③...

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アジア人種型2型糖尿病モデルマウス 熊本大学大学院 生命科学研究部 教授 富澤 一仁

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アジア人種型2型糖尿病モデルマウス

熊本大学大学院 生命科学研究部

教授 富澤 一仁

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研究背景①

アジア人種とヨーロッパ人種では2型糖尿病のメカニズムが異なる

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研究背景②

アジア人種型2型糖尿病の特徴

・インスリン分泌が悪い。

・肥満を伴わない。

・インスリン抵抗性が少ない。

問題点

・アジア人種型2型糖尿病の分子メカニズムが不明。

・現在、アジア人種でもヨーロッパ人種でも、2型糖尿病治療薬は同じである。

・アジア人種型2型糖尿病モデル動物の非存在。

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研究背景③

アジア人種型2型糖尿病に特徴的な遺伝子多型の発見

アジア人種

Cdkal1

変異配列1

アジア人種

ヨーロッパ人種

AA : 非危険配列

Cdkal1

変異配列2

28.9%

48.9%

22.2

%

8.3%

33.3

%

58.3%

15.6%

51.1%

33.3%

8.3%

45.0%46.7%

頻度 遺伝子配列の型

aa : 危険配列

Aa : 非危険配列

ヨーロッパ人種

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研究結果①

膵β細胞特異的Cdkal1欠損マウスの作製

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3 4 5 6 7 80

10

20

30Flox

KO

Weeks

Bo

dy w

eig

ht

(g)

表現型(1)ー 通常飼育下における体重変化

Cdkal1ノックアウトマウスと野生型マウスの体重変化に差が見られない。餌:日本クレア CE-2

研究結果①

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表現型(2)ー 高脂肪食飼育下における体重変化

0 1 2 3 4 5 6 7 8 920

25

30

35

40KO-HFD

KO-LFD

WT-HFD

WT-LFD

Weeks

Weig

ht

(g)

高脂肪食(HFD)飼育ならびに低脂肪食飼育(LFD)とも、Cdkal1ノックアウトマウスと野生型マウスの体重に差が見られなかった。

研究結果②

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HFD LFD0

100

200

300

400KO

WT

Blo

od

Glu

co

se

(m

g/d

l)

表現型(3)ー 空腹時血糖値

低脂肪食(LFD)飼育下では、ノックアウトマウスと野生型の空腹時血糖値に差が見られなかった。一方、高脂肪食を3週間与えた実験群(HFD)では、Cdkal1ノックアウトマウスの空腹時血糖値が野生型マウスより有意に高かった。*p<0.05

*

研究結果③

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HFD LFD0

100

200

300KO

WT

Blo

od

Glu

co

se

(m

g/d

l)

表現型(4)ー 随時血糖値

低脂肪食(LFD)飼育下では、ノックアウトマウスと野生型の随時血糖値に差が見られなかった。一方、高脂肪食を3週間与えた実験群(HFD)では、Cdkal1ノックアウトマウスの随時血糖値が野生型マウスより有意に高かった。*p<0.05

*

研究結果④

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0 30 60 90 1200

200

400

600KO-HFD

KO-LFD

WT-HFD

WT-LFD

Time (minutes)

Blo

od

Glu

co

se

(m

g/d

l)

表現型(5)ー ブトウ糖負荷時の血糖値変化

低脂肪食飼育下では、ブトウ糖負荷後15分及び30分後の血糖値が、野生型マウスよりCdkal1ノックアウトマウスにおいて有意に高かった。

高脂肪食飼育下では、同ノックアウトマウスのブトウ糖負荷後15分及び30分後の血糖値が、野生型マウスよりさらに高かった。

研究結果⑤

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0 min 15 min 30 min0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5KO

Flox

Time (minutes)

Seru

m in

su

lin

(ng

/ml)

表現型(6)ー 通常飼育下のインスリン分泌

低脂肪食飼育下では、野生型マウスよりCdkal1ノックアウトマウスにおいて、ブトウ糖負荷15分後の血中インスリン量が有意に低かった。*p<0.05

*

研究結果⑥

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0 min 15 min 30 min0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0KO

Flox

Time (minutes)

Seru

m in

su

lin

(ng

/ml)

表現型(7)ー 高脂肪飼育下のインスリン分泌

高脂肪食飼育下では、Cdkal1ノックアウトマウスのブトウ糖負荷15分後の血中インスリン量が、野生型マウスと比較してさらに低下した。*p<0.05

*

研究結果⑦

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0 20 40 60 80 100 1200

50

100

150KO-HFD

KO-LFD

WT-HFD

WT-LFD

Time (minutes)

Blo

od

Glu

co

se

(m

g/d

l)表現型(8)ー インスリン感受性(抵抗性試験)

Cdkal1ノックアウトマウスと野生型マウスにおいて、インスリン負荷後の血糖

値低下に差が見られなかった。すなわち、インスリン感受性(抵抗性)に差は認められなかった。

研究結果⑧

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500

400

300

200

100

0

Blo

od

glu

co

se

(m

g/d

l)

0 15 30 60 0 15 30 60 0 15 30 60

Time (minutes)Time (minutes) Time (minutes)

投与前

*

***

2型糖尿病治療薬、Exendin-4による耐糖能の改善

高脂肪食飼育下のWTマウスまたはKOマウスにExendin-4(0.1mg/kg体重)を一日2回、2週間投与。投与前後においてグルコース負荷15分後の血糖値は、KOがWTマウスより有意に高かった。

(*p<0.05, **p<0.01)一方、WT及びKOマウスともにExendin-4投与による耐糖能の改善が有意に見られた。

(ANOVAによる検定p=0.02)

KO

WT

KO

WT

KO

WT

研究結果⑨

1週間投与 2週間投与

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通常食飼育 高脂肪食飼育

体重 X X

随時血糖値 X◯

(上昇)

空腹血糖値 X◯

(上昇)

インスリン分泌◯

(低下)◯

(低下)

耐糖能◯

(低下)◯

(低下)

インスリン抵抗性 X X

膵島形態X X

Cdkal1ノックアウトマウス表現型一覧(野生型と比較して有意差あり◯、有意差なしX)

研究結果のまとめ①

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膵β細胞特異的Cdkal1欠損マウスの特徴

研究結果のまとめ②

・2型糖尿病のヒトゲノムワイド関連解析結果に基づいて作製されたマウス

・アジア人種型2型糖尿病の病態に酷似するマウス。

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既存の2型糖尿病モデル動物との比較

動物モデル 耐糖能異常 肥満度 遺伝的因子 血中インスリン濃度

ob/ob マウス 有り 重度 レプチン遺伝子欠損 高い

db/db マウス 有り 重度 レプチン受容体欠損 高い

A yマウス 有り 軽度 不明 高い

KK マウス 有り 軽度 不明 高い

Cdkal1 KO ○有り ○軽度 ○Cdkal1 ○低い

アジア人種の

2 型糖尿病 有り 軽度

Cdkal1

KCNQ1

UBE2E2

低い

Cdkal1 KOマウスのみ、アジア人種型2型糖尿病の病態を呈する。

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想定される用途

• アジア型2型糖尿病の創薬研究開発のスクリーニング

• リード化合物探索

• 2型糖尿病を対象とした健康食品開発

• 化合物の最適化

• 糖尿病研究 など

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想定される業界

• 利用者・対象

製薬企業

食品企業

糖尿病研究を行っている大学、研究所、企業など

• 市場規模

2型糖尿病治療薬市場:1兆2千億円

トクホなど健康食品市場:2千億円

研究開発市場:2億円

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実用化に向けた課題

• マウス供給体制

一度に多量のマウス発注があった場合、現在の体制では困難。

→ 動物繁殖業者に委託

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企業への期待

• 新規糖尿病薬や健康食品などの開発のスクリーニングに

ぜひ用いていただきたい。

• 共同研究でマウスを供与することも可能。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称: 2型糖尿病モデルマウス非ヒト動物

• 出願番号: 特願2009−258382

• 出願人: 熊本大学

• 発明者: 魏 范研、富澤一仁

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熊本大学 マーケティング推進部

産学連携ユニット

松本 泰彦

TEL 096-342 -3209

FAX 096-342 -3239

e-mail: y-matsumoto@jimu.kumamoto-u.ac.jp

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