使用条件 - IPA · 2.4.1 書き方のコツ...

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Copyright ©2008 IPA 使用条件 <ガイドラインをご使用になる前にお読みください> 発注者ビューガイドライン(以下、「本ガイドライン」といいます。)を利用することをもって、以下に記載する使用条件(以下、「本使用条件」といいます。)に同意したものとさせていただきます。 本ガイドラインの著作権は、独立行政法人 情報処理推進機構が保有しています。 以下の利用可能な行為を除き、本ガイドラインの一部または全部を著作権法の定める範囲を超え、許可なく改変、公衆送信、販売、出版、翻訳、翻案等をすることは営利、非営利など目的の いかんに関わらず禁じられています。 <本ガイドラインの目的> 本ガイドラインは、外部設計工程における、発注者にわかりやすい仕様の記述方法及び合意方法を世の中に広く普及することを目的としています。 <利用可能な行為> 本ガイドラインは、以下の著作権表示を明記した上で、 著作権表示 : Copyright©2008 IPA 情報システム開発に携わる方が本目的のために ・本ガイドラインの全部または一部を無償で複製すること、 ・本使用条件を配布先に遵守させることを条件に本ガイドラインの複製物を無償で再配布すること、 により利用することができます。 独立行政法人 情報処理推進機構は、本ガイドラインが第三者の著作権、特許権、実用新案権等の知的財産権に抵触しないことを一切保証するものではなく、また、本ガイドラインの内容に 誤りがあった場合でも一切責任を負うものではありません。 独立行政法人 情報処理推進機構は、上記の利用可能な行為を除き、第三者の著作権、特許権、実用新案権等の知的財産権に基づくいかなる権利も許諾するものではありません。 独立行政法人 情報処理推進機構は、本ガイドラインのシステム開発への利用、開発したシステムの使用及びシステムの使用不能により生じるいかなる損害についても、なんら責任を負うも のではありません。 本ガイドラインを海外へ持ち出し、または外国籍の人に提供する場合には、「外国為替及び外国貿易法」の規制及び米国輸出管理規則等外国の輸出関連法規を確認の上、必要な手続きを 行ってください。 本ガイドラインへのお問い合わせについては、独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センターまでご連絡下さい。 JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは、米国およびその他の国における米国 Sun Microsystems,Inc.の商標または登録商標です。 その他、本書に記載されている会社名、製品名などは各社の商標または登録商標です。 なお、本資料では、™ または® の表記は省略しております。

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使用条件

<ガイドラインをご使用になる前にお読みください>

発注者ビューガイドライン(以下、「本ガイドライン」といいます。)を利用することをもって、以下に記載する使用条件(以下、「本使用条件」といいます。)に同意したものとさせていただきます。

本ガイドラインの著作権は、独立行政法人 情報処理推進機構が保有しています。

以下の利用可能な行為を除き、本ガイドラインの一部または全部を著作権法の定める範囲を超え、許可なく改変、公衆送信、販売、出版、翻訳、翻案等をすることは営利、非営利など目的の

いかんに関わらず禁じられています。

<本ガイドラインの目的>

本ガイドラインは、外部設計工程における、発注者にわかりやすい仕様の記述方法及び合意方法を世の中に広く普及することを目的としています。

<利用可能な行為>

本ガイドラインは、以下の著作権表示を明記した上で、

著作権表示 : Copyright©2008 IPA

情報システム開発に携わる方が本目的のために

・本ガイドラインの全部または一部を無償で複製すること、

・本使用条件を配布先に遵守させることを条件に本ガイドラインの複製物を無償で再配布すること、

により利用することができます。

独立行政法人 情報処理推進機構は、本ガイドラインが第三者の著作権、特許権、実用新案権等の知的財産権に抵触しないことを一切保証するものではなく、また、本ガイドラインの内容に

誤りがあった場合でも一切責任を負うものではありません。

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独立行政法人 情報処理推進機構は、本ガイドラインのシステム開発への利用、開発したシステムの使用及びシステムの使用不能により生じるいかなる損害についても、なんら責任を負うも

のではありません。

本ガイドラインを海外へ持ち出し、または外国籍の人に提供する場合には、「外国為替及び外国貿易法」の規制及び米国輸出管理規則等外国の輸出関連法規を確認の上、必要な手続きを

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第1部 - 21Copyright ©2008 IPA

第2章 システム化業務フロー システム化業務フロー

この章では、「システム化業務フロー」とは何かを定義し、その構成要素と表記

例を解説する。

発注者とのコミュニケーションを促進するために、「システム化業務フロー」の内

容を、効果的に書くコツを解説する。

発注者とのレビューに備えて、「システム化業務フロー」の内容を、齟齬なく確認

するコツを解説する。

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2.1 工程成果物の定義 システム化業務フロー

業務フローは、業務全体を俯瞰する流れ図であり、システム化業務フローは業務

フローにおいて、システム化する部分を識別したものである。

システム化業務フローの役割

業務全体において、システム化する範囲を明示的に表す。

複数の部門が関係する場合には、相互の役割分担を明示的に表す。

システム化業務フローを作成する目的

システム化する部分と、それが業務全体における位置づけを明確にする。

特定したシステム化部分のおおよその処理内容を発注者と共有する。

システム化業務フローでは、次の情報を記述範囲とする。

業務全体

システム化する部分

入出力のファイルやデータ

部門等の役割区分にしたがった業務フロー

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2.2 工程成果物の構成要素(1/2)

システム化業務フローの構成要素

システム化業務フロー

分類項番

記述内容 記述内容の説明

プロジェクト名、システム名、工程名、ドキュメントID、ドキュメント名、作成者、作成日付、バージョン、更新者、更新日付

システム化業務フローのID

システム化業務フローを一意に識別するためのコード

システム化業務フローの名称

システム化業務フローの範囲、目的を説明する。

システム化業務フローにおいて、人が行う作業を表す。序ⅳ‐(3)用語参照

システム化業務フローにおいて、業務(人の作業かシステムの作業かは特定されないもの)を表す。序ⅳ‐ (3)用語参照

システム化業務フローにおいて、利用者がシステムを用いて行う作業を表す。序ⅳ‐ (3)用語参照

システム化業務フローにおいて、システムだけで行う作業を表す。序ⅳ‐ (3)用語参照

このシステム化業務には更に、細部のフローが存在することを表す。

システム化業務フローの名称

概要

作業

業務

システム化業務(システム利用作業)

システム化業務(機能)

システム化業務(階層化されたシステム化業務)

凡例

共通情報 -

1

2

3

4

5

6

7

8

システム化業務フローの構成要素

書誌情報

+

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第1部 - 24Copyright ©2008 IPA

2.2 工程成果物の構成要素(2/2)

分類項番

記述内容 記述内容の説明

9 区画 各部門などの役割別の領域を表す。

14 デ-タの流れシステム化業務に対する業務データの入出力関係を表す。矢線を用いてそのデータの流れを表す。

システム化業務フローの開始点を示す。

システム化業務フローの終了点を示す。

システム化業務間で入出力となるファイルやその他媒体などを表す。帳票や画面なども含まれる。(その場合、記号を変えてもよい。)

業務間の処理の流れを表す。矢線を用いてその前後関係を表す。

15 条件分岐/合流条件により、フローが分岐する場合に記述する。合流は分岐した複数のフローが単一のフローに集約されることを表す。

システム化業務フローの構成要素

並行処理の分岐及びその合流

開始点

終了点

業務データ

処理の流れ

並行分岐/同期合流

凡例

10 <<開始点>>

11 <<終了点>>

12

13

16

システム化業務フロー

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2.3 表記例(サンプル)

システム化業務フローの表記例

システム化業務フロー

プロジェクト名 A社殿向けBシステム開発 システム名 Bシステム 工程名 外部設計

ドキュメントID JS0001バージョ

ン1 作成者

佐藤一郎 作成日付 2007/1/12

ドキュメント名 Bシステム 外部設計書 更新者 更新日付

システム化業務フローID

M0001

システム化業務フローの名称

受注処理

概要

システム化業務フローの表記例は次ページ以降で3つのパターンを表す。なお、これらの3つのパターンについては、使い分けを示すわけではない。

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2.3 表記例(サンプル)

システム化業務フローの表記例1

顧客 営業部門 製造部門

<<開始点>>

<<終了点>>

注文入力 受注処理 注文確認

作業指示

生産出荷

注文

商品

受領

商品

[在庫数>発注数]

注文取消

[在庫数≦発注数]

【開始点】

【データの流れ】

【処理の流れ】

【業務データ】

【区画】

【条件分岐】

【システム化業務(機能)】

【システム化業務(階層化されたシステム化業務)】

【システム化業務(システム利用作業)】

システム化業務フロー

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第1部 - 27Copyright ©2008 IPA

+

システム化業務フローの表記例2

2.3 表記例(サンプル)

顧客 営業部門 製造部門

注文入力 受注処理 注文確認

作業指示

生産出荷

注文

受領

[在庫数>発注数]

注文取消

[在庫数≦発注数]【業務】 【業務データ】

【条件分岐】

【区画】

【システム化業務(階層化されたシステム化業務)】【処理の流れ】

システム化業務フロー

※表記例2の表法自体には、業務、システム化業務の区別がない。

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2.3 表記例(サンプル)

システム化業務フローの表記例3

顧客 営業部門 製造部門

注文入力 受注処理

注文確認

作業指示

生産出荷

受領

注文

【システム化業務(システム利用作業)】

【業務データ】

【作業】 【システム化業務(機能)】

【処理の流れ】

システム化業務フロー

【区画】

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2.4 設計書記述のポイント

この節では、システム化業務フロー固有の設計記述やその確認ポイントを記述する。

2.4.1 書き方のコツ

2.4.2 確認のコツ

システム化業務フロー

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 30Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローの書き方のコツは次のとおり(1/2)。

ID 内容

SD2001 システム化業務フローは、業務フローの1業務に対応させる形で記述する。

SD2004 システム化業務フローで、システムを表す区画を記述する。

SD2005 システム化する部分をシステム化業務を表す図記号を用いて記述する。

SD2006 処理の流れ、データの流れを表す矢線は、それぞれ異なる線の種類を用いる。

SD2002 システム化業務フローの詳細を隠蔽して大きな流れを記述する。

SD2003 システム化業務フローを部門等の役割に基づき対応する区画に記述する。

システム化業務フロー

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 31Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローの書き方のコツは次のとおり(2/2) 。

システム化業務フロー

ID 内容

SD2007 フローが交差しないように記述する。

SD2010 処理の頻度・タイミングを明示する。

SD2011 バッチを表すシステム化業務フローは、起動条件、終了条件、処理時間等を記述する。

SD2012 バッチに関しては、時間軸を明示する。

SD2008 1枚のシステム化業務フローに記述する業務は10個前後にする。

SD2009 開発対象と開発対象外を区別して表す。

SD2013 システム化業務フローに説明文も併せて記述する。

SD2014 処理内容を誤解なく伝える必要のあるシステム化業務は文章などで表す。

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システム振舞い編 第1部 表現

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2.4.1 書き方のコツ(補足)

業務における位置づけ・役割を明確にするにはSD2001:システム化業務フローは、業務フローの1業務に対応させる形で記述する。

全体の大きな流れを捉えるにはSD2002:システム化業務フローの詳細を隠蔽して大きな流れを記述する。

システム化業務フローのもれを少なくするにはSD2003:システム化業務フローを部門等の役割に基づき対応する区画に記述する。

システム化する範囲を明確にするにはSD2004:システム化業務フローで、システムを表す区画を記述する。

SD2005:システム化する部分をシステム化業務を表す図記号を用いて記述する。

システム化業務フローにおいて、システムの振舞いに焦点を絞るにはSD2006:処理の流れ、データの流れを表す矢線は、それぞれ異なる線の種類を用いる。

システム化業務フロー

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システム振舞い編 第1部 表現

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2.4.1 書き方のコツ(補足)

見やすいシステム化業務フローにするにはSD2007:フローが交差しないように記述する。

SD2008:1枚のシステム化業務フローに記述する業務は10個前後にする。

システム化業務フローにおいて開発対象を明確にするにはSD2009:開発対象と開発対象外のシステム化業務を区別して表す。

システムが動作する状況を明確にするにはSD2010:処理の頻度・タイミングを明示する。

バッチの実行されるタイミングや状況を明確にするにはSD2011:バッチを表すシステム化業務フローは、起動条件、終了条件、処理時間等を記述す

る。

システム化業務フローの処理内容を正確に伝えるにはSD2013:システム化業務フローに説明文も併せて記述する。

SD2014:処理内容を誤解なく伝える必要のあるシステム化業務は文章などで表す。

SD2012:バッチに関しては時間軸を明示する。

システム化業務フロー

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システム振舞い編 第1部 表現

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2.4.1 書き方のコツ

業務における位置づけ・役割を明確にするには

SD2001:「システム化業務フローは、業務フローの1業務に対応させる形で記述する。」業務フローと対比させて記述することで、詳細なシステム化業務が全体のどの業務に対するものかが直感的にわかりやすくなる。

システム化業務フロー

業務フロー システム化業務フロー

顧客 事業者

顧客

契約伝票整理

注文入力

顧客の登録

契約情報

販売部門出荷部門(倉庫)

仕入先

詳細化して表わす業務を示す。

※ 表記例1に従って表したもの

顧客登録機能

進捗登録機能

凡例

業務データ(画面)

業務:見積書作成

引き合い 引き合い受付

顧客へ見積書送付見積もり回答送付

見積書作成

見積書

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 35Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

全体の大きな流れを捉えるには

SD2002:「システム化業務フローの詳細を隠蔽して大きな流れを記述する。」全体の大きな流れを掴むことができるため、システム化業務フローを発注者が理解しやすくなる。

システム化業務フロー

※表記例1に従って表したもの

全体の大きな流れを表したシステム化業務フロー 詳細化したシステム化業務フロー

:仕入先:出荷部門(倉庫):販売部門

<<システム 支援 >>

受注伝票入力

<<システム 支援 >>

在庫確認

<<システム >>

作業指示

受注情報確認[在庫なし ]

発注伝票入力 受付 ・発送

入荷確認

[在庫あり ]

受注情報入

力画面

在庫情報照会画面

発注伝票

モノ注文品

納品書

宅配便

詳細な流れを隠し、全体の大きな流れを見せることでシステム化業務フローの要点がわかりやすくなる。

信用の意思の確認

物件仮押え

顧客の登録

テナント契約

販売部門 出荷部門(倉庫) 仕入先

進捗登録機能

業務:見積書作成

顧客登録機能

凡例

業務データ(画面)

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システム振舞い編 第1部 表現

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2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローのもれを少なくするには

SD2003:「システム化業務フローを部門等の役割に基づき対応する区画に記述する。」各役割毎に関与する部分に着目ができるので、不足しているシステム化業務が見つけやすくなる。

システム化業務フロー

部門(組織)毎の区画

※表記例1に従って表したもの

凡例

業務データ(画面)

業務データ(物品)

業務データ(配送手段)

モノ

:仕入先出荷部門(倉庫):販売部門

受注伝票入力

在庫確認

作業指示

受注情報確認[在庫なし]

発注伝票入力 受付・発送

入荷確認

[在庫あり]

受注情報入力画面

在庫情報照会画面

発注伝票

モノ注文品

納品書

宅配便

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2.4.1 書き方のコツ システム化業務フロー

システム化する範囲を明確にするには(1/2)

SD2004:「システム化業務フローで、システムを表す区画を記述する。」システム化領域が明確になり、発注者が理解しやすくなる。

システムを表す区画を記述する。

勤務記録

確認

連絡 連絡受取

承認・保管

勤務情報保存

勤務申請処理

保存結果表示

勤務票印刷用画面表示

提出

勤務票印刷

勤務票

従業員 事務担当 管理者 勤務管理システム

※表記例3に従って表したもの

勤務情報入力

勤務情報確認

勤務申請

勤務承認

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2.4.1 書き方のコツ

システム化する範囲を明確にするには(2/2)

SD2005:「システム化する部分をシステム化業務を表す図記号を用いて記述する。」システム化対象となる機能やシステム利用作業の箇所が特定され、発注者が理解しやすくなる。

システム化業務フロー

顧客

契約登録機能

信用の意思の確認

顧客の登録

※表記例1に従って表したもの

テナント契約

凡例

業務データ(画面)

システム化業務の中のシステム利用作業を表す。

システム化業務の中の機能を表す。

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システム振舞い編 第1部 表現

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2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローにおいて、システムの振舞いに焦点を絞るには

SD2006:「処理の流れ、データの流れを表す矢線は、それぞれ異なる線の種類を用いる。」処理の流れに焦点を絞ることが可能となり、システムの振舞いに着目することが容易になる。

システム化業務フロー

顧客 営業部門 製造部門

<<開始点>>

<<終了点>>

注文確認

生産出荷

注文

商品

受領

商品

[在庫数>発注数][在庫数≦発注数]【データの流れ】

処理の流れと区別する。

【処理の流れ】データの流れと区別する。

※表記例1に従って表したもの

作業指示注文取消

注文入力 受注処理

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第1部 - 40Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

見やすいシステム化業務フローにするには(1/2)

SD2007:「フローが交差しないように記述する。」

システム化業務フロー

×望ましくない例 ○望ましい例

可能な限り、矢線が交差しないようにする。たとえば、各システム化業務を表す記号の配置を工夫し、交差がなくなるように描くようにする。繰り返しがある場合は、繰り返し部分と逐次的に流れる部分が交差しないようにして構造が単純にわかるようにする。

引合

見積書送付

見積回答

見積書修正

受注処理敗退原因分析

顧客 販売部門

[修正]

[受注][敗退]

引合

見積書送付

見積回答

見積書修正受注処理 敗退原因分析

顧客 販売部門

[修正][受注]

[敗退]

※表記例1に従って表したもの

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第1部 - 41Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

見やすいシステム化業務フローにするには(2/2)SD2008:「1枚のシステム化業務フローに記述する業務は10個前後にする。」

一覧性があると全体像を把握するのに役立ち、発注者が理解しやすくなる。

システム化業務フロー

「一枚のシステム化業務フローに記述する業務は10個前後にする」とは、1印刷ページは、1つの完結した業務となるように記述し、それは10個前後のシステム化業務となるようにする。(階層化された業務フローを用いることにより分割し、不必要に別ページとしない。)

接続子による分割は極力使用しない。特に、密接に関連する業務がある場合には、その流れの途中で分断しないように記述する。※表記例1に従って表したもの

引合

見積書送付

見積回答

見積書確認受注処理 敗退原因分析

顧客 販売部門

[修正][受注][敗退]

受注処理

受注受付

在庫確認

見積書取消

見積り書

見積書修正

×望ましくない例

引合

見積書送付

見積回答

受注処理 敗退原因分析

顧客 販売部門

[修正][受注] [敗退]

○望ましい例

修正処理

受注処理見積り書

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 42Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローにおいて開発対象を明確にするには

SD2009:「開発対象と開発対象外のシステム化業務を区別して表す。」開発対象であるシステム化業務が確認しやすくなる。

システム化業務フロー

○望ましい例×望ましくない例

※表記例3に従って表したもの

在庫管理システム発注管理システム発注管理システム

在庫見込み情報更新

発注情報読込み

承認

返却

開発対象外のシステム化業務

凡例

<<開始点>>

発注書作成

発注書申請

発注書発行

発注書返却

<<終了点>>

発注書印刷

在庫管理システム発注管理システム発注管理システム

在庫見込み情報更新

発注情報読込み

承認

返却

<<開始点>>

発注書作成

発注書申請

発注書発行

発注書返却

<<終了点>>

発注書印刷

開発対象外が区別されていないためどのシステム化業務が開発対象外なのかがわからない。

開発対象は実線、開発対象外は破線で区別して表している。

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 43Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ

システムが動作する状況を明確にするには

SD2010:「処理の頻度・タイミングを明示する。」システムの動作する状況が明確になり、システム化業務の考慮しなくてはならない業務上の制約が明らかになる。

システム化業務フロー

顧客

契約契約登録機能

信用の意思の確認

顧客の登録

月1回

頻度・タイミングがある場合には、そのタイミングを明示する。

※表記例1に従って表したもの

テナント契約

凡例

業務データ(画面)

顧客

契約契約登録機能

信用の意思の確認

顧客の登録テナント契約

×望ましくない例 ○望ましい例

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システム振舞い編 第1部 表現

第1部 - 44Copyright ©2008 IPA

2.4.1 書き方のコツ システム化業務フロー

バッチの実行されるタイミングや状況を明確にするには

SD2011:「バッチを表すシステム化業務フローは、起動条件、終了条件、処理時間等を記述する。」

SD2012:「バッチに関しては、時間軸を明示する。」バッチに対する利用者要件が明確になり、発注者が理解しやすくなる。

バッチで重要なタイミングが明示できる。

売上高集計機能 日時集計機能

時刻

18:00 19:00 20:00

起動条件:毎日18時に起動終了条件:20時までに終了処理時間:1時間以内

起動条件:売上高集計機能の処理完了後に起動

終了条件:22時までに終了処理時間:1時間以内

※ 表記例1に従って表したもの

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2.4.1 書き方のコツ

システム化業務フローの処理内容を正確に伝えるには(1/2)

SD2013:「システム化業務フローに説明文も併せて記述する。」図と文章でステム化業務フローを説明することで、発注者が理解しやすくなる。

システム化業務フロー

※表記例3に従って表したもの

【説明】本フローは、発注書の作成から発行、印刷までのシステム化業務フローを示している。(1)発注書作成:

仕入れ担当は、発注情報(製品名、数量、発注先、・・・)を入力し、発注書を作成する。

(2)発注書申請:ワークフローに従い、発注書発行申請を承認者に通知する。

(3)発注書発行:・・・

図だけではなく図の内容を文章で記述した説明文をつける。

開発対象外のシステム化業務

凡例

在庫管理システム発注管理システム発注管理システム

在庫見込み情報更新

発注情報読込み

承認

返却

<<開始点>>

発注書作成

発注書申請

発注書発行

発注書返却

<<終了点>>

発注書印刷

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2.4.1 書き方のコツ システム化業務フロー

システム化業務フローの処理内容を正確に伝えるには(2/2)

SD2014:「処理内容を誤解なく伝える必要のあるシステム化業務は文章などで表す。」システム化業務フローでは表せない処理内容が明確になり、発注者と開発者の間の誤解が少なくなる。

システム化業務フローでは表せない詳細の内容を文章で記述する。用いる用語は、業務で用いるものを使用し実装依存の用語等は用いない。

システム化業務フローで表しきれない処理内容は、文章を併記する。これにより、業務の全体感を掴んだ上で、個々の各処理内容が把握できる。

※表記例1に従って表したもの

凡例

業務データ(画面)

業務データ(物品)

業務データ(配送手段)

モノ

受注処理について①受注は、商品の引当を行い生産場所

を決定する。②引当をされた商品は、該当する倉庫

の在庫から受注数を減じ、在庫数を最新にする。

③生産する個数、単価から金額を決定する。

④発注した場所と生産場所から、配送料を決定し、原価を決定する。

・・・

:仕入先:出荷部門(倉庫):販売部門

受注伝票入力

在庫確認

作業指示

受注情報確認[在庫なし]

発注伝票入力 受付・発送

入荷確認

受注情報入力画面

在庫情報照会画面

発注伝票

モノ注文品

納品書

宅配便

[在庫あり]

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2.4.2 確認のコツ

システム化業務フローの確認のコツは次のとおり。

ID 内容

SD2015 システム化業務フローで、使用される画面や帳票の対応関係を確認する。

システム化業務フロー

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2.4.2 確認のコツ システム化業務フロー

勤務記録

確認

連絡 連絡受取

承認・保管

勤務情報保存

勤務申請処理

保存結果表示

勤務票印刷用画面表示

勤務情報入力

勤務申請

提出

勤務情報確認

勤務票印刷

勤務承認

勤務票

従業員 事務担当 管理者 勤務管理システム

画面

帳票

システム化業務フローの処理の概略を確認するには

SD2015:「システム化業務フローで、使用される画面や帳票の対応関係を確認する。」入出力となる画面や帳票の対応関係を確認することでおおよその処理内容が把握しやすくなる。

※表記例3に従って表したもの

使用する画面や帳票が正しいかを確認する。

凡例

画面

帳票

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コラム1

状態遷移図、処理動作一覧を記述する。(1/2)

状況システム化業務において、内部で使用されるデータの状態に応じてシステム化業務の動作が変わることがある。

関連するコツなし

補足

システム化業務において、状態を変更できる処理動作および条件が把握しやすくなった。

システム化業務フロー

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第1部 - 50Copyright ©2008 IPA

処理動作ID 処理動作名 利用者 処理動作を実行できる条件 実行後の状態関連する

システム化業務

C0001 作成 申請者 - 未申請 申請書作成

C0002 申請 申請者 状態が「未申請」である。 承認待ち 申請書作成

C0003 却下 上長 状態が「承認待ち」である。

項目XXX、YYYが未入力である。

却下 申請書承認・却下

C0004 承認 上長 状態が「承認待ち」である。

項目XXX、YYYが入力されている。

承認済み 申請書承認・却下

コラム1

状態遷移図、処理動作一覧を記述する。(2/2)具体例

状態遷移図および処理動作一覧を作成する。一覧表には状態を変更可能な利用者も併せて記述する。また、その処理動作で状態を変更できる条件(ビジネスルール)を明確にすることで、発注者との仕様の齟齬をなくすことができる。

状態遷移図の例

処理動作一覧の例

状態遷移図を作成しておくと、データ状態がどのように変化していくのか、視覚的に把握できる。

状態を変更可能な利用者を記述すると、誰が変更できるのか明確になる。

状態の遷移が発生する処理動作を記述すると、その状態へ遷移するタイミングが明確になる。

実際のシステム開発では、条件が複雑で一覧には収まりきらない場合が多い。そのような場合は別紙にまとめ、処理動作IDや

処理動作名で処理動作一覧とリンク付けする。

システム化業務フロー

未申請 承認待ち 承認済み作成

申請

却下

承認