知っておきたい...

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もくじ

知っておきたいHIV感染症とエイズの基礎知識・・・・・・・2

感染経路は3つ

3つの経路以外では感染しない

HIV感染症の臨床経過

北海道のHIV・エイズの動向

日常のお世話での心がけと知っておきたいこと・・・・・・・・7

食事のお世話をするときは

スタンダードプリコーション(標準予防策)

北海道の実例インタビュー・・・・・・・・・・・・・・・・・10

HIV陽性者を地域で支えて

HIV陽性者の介護保険サービス利用に至るまでを支えて

HIV陽性者の声

おさえておきたい役立つ制度や情報・・・・・・・・・・・・・22

北海道の現状Q&A

HIV/AIDS

Navigation

in

北海道

私共はばたき福祉事業団は薬害エイズ被

害者の救済を目的に設立された団体です。

一九九〇年代前半にはまだ確立されてい

なかったHIV医療でしたが、今では慢性疾

患と呼ばれるほど医療が進み、患者は生き続

けることができるようになりました。そんな

なか、今後高齢化する患者がどのように質の

高い生活を送っていったら良いのかは、大き

な課題です。なかには施設や在宅で治療をし

ながら生活していく人がいるであろうこと

も近い未来のこととして考えていかなけれ

ばなりません。

全国的にはいくつかこうした冊子が発行

されておりますが、あえて北海道版として、

北海道でも実際にHIV患者を受け入れて

いる施設があること、在宅で療養している人

がいることなどを知っていただきたいと考

えました。まだ受け入れについて否定的な施

設もあるようなので、それはどこに問題があ

るかなども考えたいと思いました。

配布先は、道内の訪問看護ステーション、

介護施設などを考えています。今は患者がい

なくても、近い将来の現実的な問題としてと

らえていただきたいと思うからです。

これまで薬害被害者の要求でHIV医療

の質が高まったように、道内の他のHIV陽

性者の方にとっても、より良い影響があるこ

とを願って・・・

なお、この冊子の出版にあたっては、北海

道大学HIV相談室に監修・インタビュー等

でご協力いただきましたことをここに感謝

致します。

(社福)はばたき福祉事業団北海道支部

HIV陽性者を支える皆さまへ

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知っておきたい

HIV感染症とエイズの基礎知識

HIVはウイルスの名前

病気の状態がエイズ

ヒト(Human)

免疫不全(Immunodeficiency)

ウイルス(Virus)

HIVに感染しても

エイズを発症すると

は限らない

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は免疫力を弱め、病気にか

かりやすくするウイルスのことです。このウイルスに感染し

て発症するのがエイズ(後天性免疫不全症候群)です。

エイズ(AIDS)

後天性(Acquired)

免疫不全(Immunodeficiency)

症候群(Syndrome)

日和見感染症

通常では感染や発症しませんが、抵抗力

や免疫力が低下しているときにかかる

病気で、カンジダ症やニューモシスチス

肺炎などさまざまなものがあります。

ヒトの血液の中には、病気から体を守る

免疫の司令塔の役割を持つCD4陽性リ

ンパ球が存在します。

HIVはこのCD4陽性リンパ球に入り

込み、細胞を破壊して増えていきます。

HIVの数が増え、CD4陽性リンパ球

の細胞数が減っていくと日和見感染症な

どの免疫不全に伴う疾患を発症し、エイ

ズとなります。

感染経路は 3つ

セックスによる感染

血液による感染

母子感染

HIVは 血液・精液・膣分泌液・母乳などに多く含まれていて、

これらを媒介に感染します。それ以外では感染しません。

HIVは粘膜や傷口を通って体内へと

入り込みます。

セックス時に感染している人の精液・膣

分泌液・血液が、相手の性器・肛門・口

などに触れることにより感染します。

セーファーセックス

セックスによる感染は、コンドー

ムを正しく使って精液や膣分泌

液などが体内に入り込まないよ

うにすることで防ぐことができ

ます。HIVに感染していても相

手に感染させないセックスが可

能です。

HIVが含まれている血液の輸血の

ほか、麻薬や覚せい剤などの回し打ち

による注射器の共用、病院などの針刺

事故等により感染します。

日本では輸血用血液は安全対策が

取られています。注射器は共用しな

いこと。針刺事故は事故直後に抗H

IV薬を服薬することで感染を抑

えることができます。

妊娠中(胎内で胎盤を通して)、

出産時(産道で血液から)、

授乳期(母乳から)に感染します。

妊娠中に抗HIV薬を服用し、

帝王切開での出産や粉ミルク

の使用で感染を防ぐことが可

能です。

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HIV感染症の臨床経過

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1. 急性期 HIV に感染すると、最初はウイル

スが急激に増え、CD4の数が一時

的に激減します。

この時期に発熱や喉の痛み、関節

痛など風邪のような症状が出た

り、発疹や口内炎ができたりしま

すが、症状が出ない人もいます。

その後、残っている免疫の力で

HIV に対する抗体ができてくる

と、ウイルスの増加が抑えられ、

下がっていたCD4の数が回復し、

ウイルスの数を一定のラインまで

減らします。この期間がだいたい

1~3カ月で急性期と呼ばれます。

2. 無症候性キャリア期 急性期を過ぎると、症状の何もな

い状態が続きます。

しかし、体の中ではゆっくりとウ

イルスが増え、CD4は確実に減っ

ていき、徐々に病気に対する抵抗

力が弱くなっていきます。CD4の

数が 200 を下回るようになると

日和見感染症にかかりやすくなり

ます。無症候の期間は人によって

さまざまで、1 年で日和見感染症

を発症する人もいれば、10年以上

症状の現れない人もいます。

3. AIDS期

CD4 の数が低下して病気に対す

る抵抗力が極端に弱くなると、エ

イズ指標疾患と呼ばれる 23 の疾

患のどれかを発症します。この時

期がAIDS期です。

CD4 陽性リンパ球(以下表記 CD4)数は体の免疫状態を表し、数が少

なくなると免疫力が弱くなります。健康な人は血液 1μL 中に 700~

1500 くらいあるといわれています。HIV に感染すると CD4の数が減

っていき、HIV-RNA量(血液中のウイルス量)は増えていきます。

3つの経路以外では感染しない

HIVは感染力の弱いウイルスです。

通常の社会生活の中で感染することはありません

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北海道の HIV・エイズの動向

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日常のお世話での心がけと

知っておきたいこと

北海道の新規 HIV感染・エイズ患者数

北海道の HIV感染・エイズ患者数累計

日本国内の新規のHIV感染者と AIDS患者を合わせた報告数は一年間

で 1400人~1500人ぐらいで、毎年増える傾向にあり、2011年 9

月までの累計では、19533人となっています。

北海道の 2011年 9月までの累計は 280人で、内訳はHIV感染者

数 169 人、エイズ患者数 111 人となっています。(厚生労働省エイ

ズ動向委員会報告より)

北海道では2005年以来、毎年20人を超える新たなHIV感

染・エイズ患者が報告されています。

2010年は、新規HIV感染者16人、エイズ発症者5人の合計

21人で、前年より少なくなっていますが、HIV検査に行く人の

数も前年に比べて千件以上減っていますので、感染者が発見され

ていないだけで、感染が減っている状況とはいえません。

HIV に感染しても HIV 医療の進歩により、抗 HIV 薬を服用することで

HIVの増殖を抑え、免疫力を回復させることができるようになりました。

今ではHIV感染症は慢性疾患のひとつといわれています。

抗HIV薬は飲み忘れがあると、HIV

が、薬の効かない薬剤耐性ウイルスに変身

してしまいます。

ですので、毎日忘れずに飲み続けることが

重要になります。

しかし、症状がない(4頁参照)なかでの

服用はつい忘れがちになったり、また、薬

の副作用や一生飲み続けなければならな

いことに精神的なストレスを感じたりな

ど、薬の服用継続は簡単ではありません。

薬の管理や服薬チェック、声がけなど、

毎日忘れずに飲み続けるお手伝いが必

要になる場面があるかもしれません。

薬は命綱

服用は一生涯

継続が治療成功の鍵

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食事のお世話をするときは スタンダードプリコーション(標準予防策)

人によっては、免疫の低下状態や服用している薬の種類で避け

た方が良い食べ物があります。あらかじめ主治医や担当看護師

に注意点を聞いておくと良いでしょう。

衛生管理の徹底を

食事は病気と闘うパワーの源

普段から食中毒などに気をつけて衛生管理を行って

いると思いますが、HIV陽性者は病原菌に対する

抵抗力が特に弱くなっています。

食品を扱うときは必ず手をよく洗い、つるしのタオ

ルは雑菌が付着しやすいので、できれば使い捨ての

ペーパータオルの使用をお勧めします。

野菜や果物などの食材は流水でよく洗ってから調理

し、調理後のまな板や布きんなどの殺菌も忘れずに

行いましょう。

また、飲み水は一度沸騰させたものが望ましいです。

HIVのウイルスに感染すると骨粗鬆症になり

やすくなります。骨を丈夫にするメニューや栄養

バランスのよい食事を工夫して免疫を保つお手

伝いをしたいものです。

誰かをケアするときに、すべての人が何らかの病原体を持ってい

ると仮定して皆に同じように対応するのがスタンダードプリコー

ションの基本です。HIVを特別扱いする必要はありません。

備えあれば憂いなし

病原菌をあげない

もらわない

しびんや便器の排泄物、生理ナプ

キンの処理・オムツ交換・ケガや

床ずれの手当てなど体液や血液

に触れそうな作業のときはゴム

手袋をしましょう。

健康な皮膚であれば、不注意で血

液や体液に触ってしまっても感

染しません。普段から手荒れや手

をケガしないよう注意して手の

健康を保ってください。

血液がつきやすいものは

個人専用にします。

歯ブラシ・かみそり

ひげそり・つめきり

くし・ピアスなど

あなたの体調は大丈夫ですか

軽い風邪でもケア対象者にうつ

してしまうかもしれません。

より良いケアのためにも自分自

身の健康管理に留意しましょう。

血液のついた洗濯物は

流水で部分洗いするか、

もしくは塩素系漂白剤

に30分ほど漬け置きし

てから洗濯します。

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いました。あと、私たち自身もそうです

けれども、偏見のある病気なので、もし

他の入居者にその方の病気のことが知

られたらどうしようですとか、何か本

当に様々な不安とかも一杯あって、すぐ

に、じゃあ受け入れましょうということ

にはならなかったんです。

▼では最終的に受け入れることを決め

られたのはどういう点からですか

うちの法人の理念として、障害があろ

うがなかろうが、その方が望む生活を実

現したいというのがありました。誰もが

かなければ福祉ホームでは全部の介助をうけ

ることはできませんので福祉サービスの手続

きですとか、ベッドなどもご自分で用意してい

ただくのに福祉用具等手続きも行っていきま

した。

それからご本人と病院での面会を行ったり、

ご本人のケアを学ぶために病院でケアを見学

して引き継ぎをうけたりもしました。そして本

当に職員がHIVについての知識がなかった

ので、職員への研修や情報提供、病院の方、関

わってもらう訪問看護ステーションの方など

関係者とのケアカンファレンスを行いました。

▼では実際に受け入れてみて、職員の反応な

どいかがでしたか

入居にあたっての壁なんですけれども、やは

り病院から病院へ転院するのと地域生活へ移

HIV陽性者を地域で支えて

10 11

福祉ホーム 相談員Aさん

▼陽性者受け入れの相談があった時の

経過を教えて下さい

病院からうちのグループ法人の相談

支援事業所に「HIV患者の方がケアを

受けながら単身生活ができる場所はな

いか」という相談がありました。当法人

の福祉ホームにちょうど空きがありま

して、入居するかどうかというやり取り

をしていきました。入居に至るまではや

はり私たちはなんて言いますか、HIV

というのはうつる病気だったり死につ

ながる病気といったイメージ、正しい知

識もなかったので知識不足によって、そ

ういう病気なのではないかとか思って

当たり前に市民生活を送ることができるよう

な社会の実現を目指しています。当事者主体、

一人ひとりのニーズから考えるという理念も

あります。一人ひとりの権利を守る、権利擁護、

人権尊重、差別のない社会を目指しています。

これらがあって、受け入れることになりまし

た。

▼受け入れにあたって、どのような準備をさ

れましたか

準備としてはいろいろあったのですが、まず

ご家族が福祉ホームを見学したり、相談支援事

業所の者がHIVについての講習会を受けた

りもしました。入居にあたっては費用の問題な

どもありましたので、生活保護を受けることに

なり、他に障害福祉サービスも利用していただ

知識不足による偏見と不安が…

まずは環境を整えることからスタート

障害があるなしに関わらず望む

生活を実現したいとの理念で

職員への研修や情報提供、関係者との

ケアカンファレンスを

北海道の実例インタビュー

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けが何か特別な存在というか異質な存在にな

ってしまわないように、それまでももちろん感

染症になった人は気を付けてはいましたが、さ

らに気を付けなければいけなくなったので、他

の入居者にも排泄物や嘔吐物を触る可能性が

ある時には手袋やマスク等を着用して介助す

ることにしました。他の入居者の方に対しては

HIVとかいうことではなく、ノロウィルス等

感染の危険性があるので、ご理解いただけるよ

うにということで説明しました。

マスク、グローブを用意するのにもお金がか

かりますので、その費用は誰が負担するのかと

いった問題がありましたが、感染の危険性はい

つでもあるので、ご理解頂きたいということで

各入居者の方に負担して頂くことになりまし

た。

12 13

行するのとではちょっと違いがあって、まず環

境を整えることからスタートしなければなり

ませんでした。鼻からの経鼻栄養を最終的には

胃ろうに変更しました。他に服薬の管理、抗H

IV薬は飲み忘れができないということだっ

たので、飲み忘れがないような工夫を考えなけ

ればいけませんでした。いろんな職員が毎日ほ

とんど代わるというような状況なので、お薬カ

レンダーというのを用意して、そこから薬をと

って服薬したら服薬済というカードをいれる

とか、チェックファイルというのを用意してい

て、そのチェックファイルに服薬した薬をチェ

ックするというような形で飲み忘れがないよ

うにしています。

それからスタンダードプリコーションとい

って、感染云々に関わらず同じ行動をするとい

うのを病院から教えて頂いたので実施しまし

た。他の入居者もいらっしゃるので、その方だ

▼今回の体験を通じての感想、伝えておきた

いことなどありましたらお願いします

今回のケースを通してですが、やはり医療と

福祉の連携が必要だなというのをすごく感じ

ています。私たち福祉の職員は医療の知識や技

術などは不足していますし、医療的なことはで

きることも限られていますので、そういった時

に今回のケースでは病院や訪問介護事業所と

いう訪問診療の方々のバックアップがあって、

とてもそれが安心といいますか、もし万が一そ

の方に発熱とか何かあっても、すぐに相談でき

るっていう安心感が今回のこの方の生活がど

んどん良い方向にむかっているという大きな

要因の一つだと思います。

また全体の関係者が統一した支援方針で関

わっていくというのがとっても重要だなと思

いました。そして、その時々に何をしたいとい

う利用者の方の希望に沿っていろいろな社会

資源を活用していく必要があるなとも思いま

した。

それから私たち職員の研修の充実というの

もとっても大事だと思いました。入居されてか

ら一年、二年、三年目と経っていて、関わる職

員もどんどん新しい人とかも入ってきていて、

その都度、病院のバックアップもありながら研

修会など開いて知識も得てはいるんですけれ

ども、そういった機会を定期的に設けて知識や

情報を得ることで、誤った解釈でその方に関わ

ることがなくなるかなというのはあります。あ

と、新しい職員ではなくても、入居当時からい

る職員も最初の情報からずっと時間が経って

いく中で自分自身のちょっと誤った解釈にな

ってしまいがちなので、そういったものを防止

するためにも定期的に知識や情報を得るとい

うのはとても大事かなというふうに思ってい

ます。

医療と福祉の連携が必要

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で、病院の方では退院時に訪問リハ

ビリを提案しました。そういう中で

私の法人の訪問看護ステーションに

依頼がありました。この時点で訪問

看護にしたのは、病状の管理も含め

てリハビリと病気の両方をみようと

いうことが目的だったようです。

▼在宅生活を支えるサービス利用

に向けて調整を始めてみて、どうで

したか

まずご本人と面談しまして、これ

までの経過も伺った上での目標は、

転ばないで家の中が移動できるよう

にしなくちゃいけない、特にトイレ

ですよね。それから会話がしやすく

▼Bさんのところへ相談が寄せられ

るまでの経過を教えてください

ご自宅で過ごしていた方が肺炎で

入院されました。肺炎が悪化して、

人工呼吸器をつけるまでの治療に至

ってしまい、その治療中に脳梗塞を

発症して、結果として半身の上下肢

麻痺と失語症を後遺症としてもちま

した。この入院中に症状が落ち着い

て回復期リハビリ病院への転院が計

画されましたが、HIVが陽性とい

うだけで依頼した病院全部に断られ

たそうです。そうであれば退院して

リハビリするしかない、しかし介護

力としては奥さんしかいない状況

HIV陽性者の介護保険サービス

利用に至るまでを支えて ケアプランセンター所長(看護師・ケアマネージャー) Bさん

14 15

ならないと奥さんと意思の疎通ができない。奥

さんは心身ともに疲れていたということもあ

り、さらに介護者の休息が取れるということも

検討しました。

この辺りを解決しようと思うと訪問リハビ

リと訪問看護ではだめで、ご本人と奥さんとお

話ししたら、もし受け入れてくれるところがあ

れば通所リハビリ、ディケアでリハビリと介護

負担のフォローをお願いしたいということで

した。※

ST訓練とPT、OT訓練が揃ってい

ないと十分なリハビリにならないだろう、なお

かつHIVについて理解して受け入れてくれ

ること。そしてもう1点、何かあった時、奥様

には車がなかったのでお迎えはすべてタクシ

ー移動等になりますから、できれば近い方がい

いということで依頼施設を検討しました。

その選定の結果、2箇所候補があがり、まず

自宅に近い施設からあたってみました。先方で

はまず会って状態をみてリハビリのメニュー

なども考えなきゃいけないという通常の流れ

で事前訪問、面接をさせて欲しいということで

した。この時点でHIV陽性であることは説明

済みで、ソーシャルワーカーサイドはそこに対

してどうこうということはなく、「通常の感染

予防で間に合いますよね」という返答でした。

ソーシャルワーカーなりに調べて、通常ディケ

アで接する上で感染の心配はないと理解され

ていました。ただ実態調査の場にはどうしても

医療的な責任を負う看護師がいなければいけ

ないということで、ソーシャルワーカーと看護

師と面接へいきました。車の中で私の方からも

分かる範囲のことを説明しましたが、ご自宅に

訪問したら、予想外に看護師から配慮のない質

問がいくつかされて、さすがに私も冷や汗をか

いてしまいました。質問は「もし家で出血した

ら奥さんどうしてるんですか」「奥さんお風呂

依頼したリハビリ病院すべてに

転院を断られ…

配慮のない質問をされ、利用を

見送ることに

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できるかということにも話が及びました。それ

で北大病院HIV相談室へ講義の依頼をしま

した。

今回の支援を通しての感想や今後への提言

などありましたら聴かせて下さい

専門家から正しい知識を得ることは必要で、

それをやったことでものすごく良い効果があ

りました。安心したというか余裕が出たという

のはあります。ミニ講義だけの段階では、やは

り余裕のない接し方になったんじゃないかな

と思いますし、非常に余裕のある接し方になっ

たことで、それがまたケアに活きてきて、事故

を防ぐことを考えながらケアできるというこ

とに転換していくなと思いました。

それと、実際の利用に向けての課題として、

医師以外の医療・介護スタッフの正しい知識不

せていただきました。

▼ここまでの経過は、ご本人、ご家族、そして

調整に入ったBさんにとっても大変な道のり

でしたね。

ご家族とのやり取りは問題なく話をしてた

んですけど、外部とのやり取りになって、私も

世間を甘く見ていたところがあったなと思い

ました。この時代ですから何もHIV陽性がど

うのこうのというのは、病院としてはいろいろ

制約があっても在宅サービスとしてはあまり

ないだろうと思っていたのですが、そうではな

かったというのが現実でした。

その後、利用に向けて次の調整をしました。

2カ所目の調整は、実は私の所属する法人だっ

たんです。家から遠くてアクセスが悪く、申し

訳ない気持ちはあったのですが、ご家族に説明

して納得のうえ、話を進めました。

施設の医師にまず話しました。二人おります

が、二人とも「そんなHIVごときで騒いでな

いで、困ってるならおいで」と言ってくれまし

た。しかし、医師が即決しても今度はスタッフ

が、「えっ、それってどうなの、何なの、どう

すればいいの」というような、知識がないから

どう対応していいか分からないという混乱が

起きました。それに対して、まず施設の医師が

ミニ講義をして現場の理解を得ました。ミニ講

義は簡単なものでしたが、皆は納得をして、そ

れなら肝炎の人と同じ対応じゃない?という

ような理解になりました。でもなるべく多くの

スタッフが正しい知識を持った方がいい、その

ためには、もっと専門的な話を聞かなければな

らない、今後同様の事例が出てくるということ

も考えて、それをどのように私たちが地域貢献

一緒につかってます?」とか、次から次へとい

ろいろ。「洗濯と食器はどうしてますか」など

感染症に関して理解のない初歩的な話じゃな

い?と思うような質問でした。「そういうのは

全て問題ないです」と横から入っても、全く効

果がなく、だんだん奥さんとご本人の顔が曇っ

ていって、「あ、もう駄目だ」と思って、1回

ちょっと検討していただくことにしましょう

と無理矢理面談を終わらせて頂きました。帰り

の道中で、どうしてあんな質問したかと聞くと

「みんなを守るため」と言われました。気持ち

は分かるけれども、もう少し聞き方とか事前に

分かったことはそこで確認しない方法もあっ

たろうと、その時は思ったんです。そして私の

判断をご本人、ご家族に話して、もし万が一、

利用可能といってくれても、何となく気まずい

思いをするなら、今回の施設は見送りませんか

という話をして、了解を得た上で利用を見送ら

16 17

知識がないから対応が分からず起きた

混乱に、ミニ講義で現場の理解と納得を

知識を持ったチーム作りが今後のカギに

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▼現在の体調はどうですか?

血友病が今は一番辛い。膝が悪くて

痛い。すぐ内出血して、関節がボロボ

ロになってきてる。今、血友病の(製

剤)注射のため、週二回病院へ通って

いる。前は自己注射していたけど、血

管がダメになって自分で打てる場所が

なくなったから。つぶれちゃったんだ。

夕方に、ただ注射を打ってもらうだけ

のために通院してるけど、これがけっ

こう面倒で大変。少しの距離を歩くの

は我慢できるけど長い距離を歩くのは

辛い。移動はいつも車。これが無いと

どこにも行けないと思う。肝臓がだん

だん悪くなってきてるから、いっつも

感染を知らされたのは中学の時

一緒にC型肝炎にも

体のだるいのはあるけど、もう、慣れ

たみたい。前は動くと辛いな―って思

って、でもそれでだんだん動かなくな

ってきたのかもしれないね。

HIVのほうは安定しているよ。薬

は一日一回、朝七時に飲んでる。最初

のころは飲み忘れもあったけれど、今

は百パーセント飲み忘れはないね。感

染は中学生の時に先生から知らされ

た。一緒にC型肝炎にも感染したんだ。

加熱してないもん、何でもありだよね。

▼日常生活の様子を教えて下さい

賃貸のマンションで一人暮らし。食

事は七割ぐらいが外食かな、コンビニ

HIV陽性者の声

18 19

足というのは大きかったです。特に、自分も看

護師なのですが、看護師の方は介護スタッフよ

りダメでした。看護師は何らかの感染症に対す

る知識があるので、なお怖がるというか・・・。

ケアスタッフの方がスーッと吸収して、「自

分はどうすればいいのか」っていうのを瞬時に

考えて選んだというのはありました。看護師の

方がちょっと気にしすぎという場面があって

医師から励まされたという場面もありました。

あと、実際にケアに全く必要がない情報とし

て感染経路があるんですが、「どうしてこの人

感染したの?」という質問を何度もされました

が、「感染経路を聞いて、ケアの何に役立つ

の?」といったら、それについて具体的な返答

は誰もできない。それはいわば興味の域に入っ

てしまいますから必要な情報とはいえず、現状

がどうなのかというところをおさえて、その方

と付き合っていくことで一番良いケアが見つ

かるんじゃないかと思います。

最後に、一度対応の経験をすると全然特別な

病気ではないので、陽性者の方が住みやすくな

るように、地域住民に対しても病気の知識を持

ってもらいたいという思いをすごく強く持つ

ようになりました。この辺の研修の機会も計画

しております。

また、接し方についても、スタンダ―ドプリ

コーションの大切さを研修によって再認識で

きました。

薬害患者Cさん

今の仕事を辞めたら、また別の

仕事に就けるか分かんないし…

※ST(Speech Therapy)

言語療法

PT(Physical Therapy )

理学療法

OT(Occupational Therapy)

作業療法

最終的には誰かが受け

入れる一歩を作っていか

なくてはいけなくて、そ

のためには知識を持った

チーム作りをするという

のが今後のカギになるな

と思いました。

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は便利だね。マンションは地下鉄駅のすぐそ

ば。建ててる時から目を付けて申し込んだんだ

よね。駐車場から段差がなくてエレベーターに

すぐ乗れて、部屋に行けるから、気に入ってる。

(室内の段差は?)殆どないよ。ただ脱衣所と

浴室のところにあって、病院の理学療法士の人

に教えてもらって踏み台を置いている。

今の仕事は週二回の通院の時間がとれるか

らいい。もっと給料のいいところがあれば…と

思う事もあるけど、もし、今の仕事を辞めたら、

別の仕事にまた就けるか分かんないし。そんな

に仕事もないでしょ。

▼これからの生活を想像して頂いて、心配な

ことやこうしようと思っているなど、何でも想

20 21

うことがあればお願いします

マンションを見て歩くのが好きなんだ。マン

ションについては詳しくなったよ。いい年だ

し、自分の家を持ちたいと思ってね…でも夢で

終わるかもしれないけどね。

(今後、もしも車が運転できなくなったら?)

松葉杖を使ってどうにかしてでも這ってでも

歩くし、運転して病院へ行くかな。歩けないと

か、運転できないとき?そんなこと考えたこと

もないし、想像がつかない。昔から誰かに頼る

って気持ちは無いから。だから実家をでて一人

暮らしもはじめたし。一緒にいると甘えちゃう

から。でもそれじゃあ生きて行けないし。両親

とは連絡も普段とってない。会いにも行かな

い。だってちょっとでもそうしちゃったら、そ

れに慣れて、また甘えちゃいそうだし。他人な

ら「ここまで」っていうのがあるけど、親はね、

そうはならないから、何でもしてくれちゃうで

しょ。

(あったら助かる制度や希望することなどあ

れば)まだ先のことは考えたことが無いなあ。

ああ、職場に注射を打ちに看護師さんが来て

くれたらいいなあ。それは助かるよ

よく昔は「妥協も大切」とか言われてたな。

でも自分でやるとか、これって決めたらそれ

を通すところがあったかも。妥協できれば楽

になれるとは思うよ。

でも最近は少し変わってきたかな。前に考

えていた自分の将来の予定が、途中で大きく

変わったから。それからだいぶ、考え方とか

が変わったかもしれない。二〇代のときは先

のことなんて何にも考えてなかった。今はこ

れでもしょうがないなって思うこともある。

薬害によるHIV感染

1980年代にHIVウイルスの入った

非加熱濃縮血液製剤が血友病の治療に使わ

れ、全国で約二千名もの血友病患者がHIV

に感染させられ、今までに六百人以上もの尊

い命が失われてしまいました。

当時、幼なかった方も多く、現在は三十代

後半から四十代前半の患者さんが全体の薬

害患者の七割を占めています。

また、薬害患者の多くがC型肝炎にも感染

していて肝臓の状態の悪化や、持病の血友病

からくる関節障害など多くの辛い症状と付

き合いながら生活しています。

誰にでも訪れる加齢によって、Cさんのよ

うに今後の仕事や日常生活に漠然とした不

安を感じている人は多いと思います。地域で

暮らしていくために、より多くの支援や制度

が必要になると思われます。

甘えたくなくて一人暮らしをはじめた

親は何でもしてくれちゃうから

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おさえておきたい

役立つ制度や情報

【身体障害者手帳】

身体機能に障害があり障害者福祉法に

定められた障害認定基準にあてはまる

人に交付される手帳です。

HIV感染症の場合は、規定の障害(

覚障害、肢体障害、他)

のうち、内臓の

機能障害となります

身体障害者手帳の利用により受けられ

るサービスの範囲は、自治体によって

異なります。一般的には、医療費の助

成、装具の交付、税金の控除、交通費

の割引などがあります。

まず病院を受診するとき;

病院に保険証を出していただければ

(70歳未満の方の場合)医療費の3

割負担で治療を受けることができま

す。

HIV治療の開始に伴い、医療費

が高くなるときは・・・

『身体障害者手帳』を取得することで、

医療費の助成や各種福祉サービスなど

を受けて負担を少なくすることができ

ます。医療費の助成には『重度心身障

害者医療費助成』『障害者自立支援医

療』などがあります。

HIV感染症ということで受けられ

る福祉制度、経済的援助について紹

介します

【重度心身障害者医療費助成】

身体障害者手帳を持っている方の福祉

向上を図るために、医療費の一部を助

成する制度です。

ただし、所得制限があり、手帳の等級

の範囲・受けられるサービスの内容は各自治体

で異なります。

【障害者自立支援医療】

身体障害者手帳を持っている十八歳以上の方、

もしくは十八歳未満で身体に障害のある方が

障害を軽くしたり、取り除いたり、進行を防い

だりするために受ける特定の治療に関する医

療費の助成制度です。

HIV感染症において対象となる治療は、抗H

IV療法、免疫調節療法、その他合併症の予防

や治療などHIV感染に対する医療に限りま

す。

利用者の負担額は、一般には医療費の定率一割

ですが、免疫機能障害の方は「重度かつ継続」

の対象で、所得が一定以上であっても負担の上

限額が設けられています(表参照)。

仕事をして所得がある方の自己負担額は、一ヶ

月最低二千五百円から最高でも二万円ですみ

ます。 所得区分 自己負担額

生活保護世帯 0 円

市町村民税非課税 本人収入 80 万円以下 2,500 円/月

市町村民税非課税 本人収入 80 万円を超える世帯 5,000 円/月

市町村民税(所得割) 33,000 円未満 5,000 円/月

市町村民税(所得割) 33,000円以上 235,000円未満 10,000 円/月

市町村民税(所得割) 235,000 円以上 20,000 円/月

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★身体障害者手帳の申請は、CD4が低下する

などで抗HIV薬による治療が必要となった

時にできます。手帳の申請手続き、高額療養費

制度を利用したい場合などは、受診先の病院で

ソーシャルワーカーもしくは担当看護師など

にご相談ください。

身体障害者手帳がなく、健康保険に加入してい

る人は『高額療養費制度』が受けられます。

【高額療養費制度】

健康保険に加入している人が医療費を支払う

と、一定額を超えた金額が後日返金される制度

です。

対象となるのは、月の一日から末日までの保険

診療となっている医療費で、入院時の食事代、

個室料金などは対象外です。

支給額は、一ヶ月に支払った医療費の自己負担

額のうち、次の表の計算式で算出される限度額

を超えた金額が返金されます。

計算は病院別に行われ、同一病院内でも診療科

ごとに、入院と外来も分けて行われます。

低所得者であれば一カ月3万5400円のみ

の負担で済みますが、一般所得者は一カ月8万

円プラスアルファの負担になります。

70歳未満の方の自己負担 限度額

区 分 1ヶ月あたりの自己負担限度額

市区町村民税非

課税世帯など 35,400円

一般所得者 80,100円+(医療費-267,000円)×1%

高所得者 150,000円+(医療費-500,000円)×1%

例えば一般所得者で一カ月に 60万円かかったとして、

80,100+(600,000-267,000)×1%=83,430

600,000-83,430=516,570

516,570円が返金されます。

介護を受けるためには、二つの方法がありま

す。一つは介護保険、もう一つは障害者自立支

援法です。

【介護保険】

対象となるのは、六十五歳以上、もしくは四十

歳以上で※

特定の疾病を持つ人が対象です。

※特定の疾病の範囲

筋委縮性側索硬化症・後

縦靭帯骨化症・骨折を伴う骨粗しょう症・脳血

管疾患・脊髄小脳変性症

【障害者自立支援法】

対象となるのは、身体障害者手帳が交付されて

いて、介護保険の適用とならない人です。

どちらも、利用するには、市区町村に申請し、

介護の必要度を認定してもらう必要がありま

す。サービスを利用する場合は、かかった費用

の一割を自己負担します。

受けられるサービスの内容は、表を参照くださ

い。

これらサービス以外に、どちらにも様々なサー

ビスがあります。詳しい内容、利用可否、利用

上限額などについては市区町村へ相談して下

さい。

介護保険 障害者自立支援法

ホームヘルパー ○ ○

ショートステイ ○ ○

訪問入浴 ○ △ 実施は市区町

村による

福祉用具の貸与 △ 介護度により

制限あり ×

福祉用具の購入 ○ △ 障害種別や等級

によって制限あり

住宅改修費の支給 ○ △実施は市区町村に

よる

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北海道の現状Q&A 回答:北海道大学病院ソーシャルワーカー

最初は障害サービス事業所名簿リストのよ

うなものを上から順に電話で問い合わせしま

した。すると、入居を希望されてて待機してい

る方というのは他の疾患を持った方でも沢山

いらっしゃるんですよ。これならベッドの空き

状況や介護力がある事業所とかを知っている

機関に具体的に紹介してもらったほうが早い

なと思いました。そこで、地域の福祉サービス

に詳しい介護予防センターとか障害者相談支

援事業所に聞きました。これらのセンター事業

所は札幌市のホームページに載っています。

Q3

受け入れ施設を探すのは難しいのでし

ょうか

難しくはないですよ。ただ、施設の種類別、

役割によって混んでいる所、入居が難しいとろ

こがあります。注意する点は、申込者が沢山い

る場合、待っていても入居できるとは限らない

ということです。実は入居が先着順じゃない施

設もあるんですね。緊急度が高い人を優先的に

入居案内する施設だと申し込んでも永遠に入

居できない場合があります。

じゃあ肝心の入居できる施設を探す方法で

すが、今、病院に通院中でしたらソーシャルワ

ーカーに、介護保険サービスをお使いでしたら

担当のケアマネージャーに聞くといいでしょ

う。市役所・役場でも教えてもらえますが、市

役所・役場は中立の立場なのであまり施設ごと

の特色、お勧め、混み具合などは教えてもらえ

ません。

Q4

北海道において在宅サービスを受けた

り施設への入所がスムーズに受けられるよ

うになるためには、今後どのような課題が

ありますか

に入居して生活をされている方がいま

す。 自

宅へ退院できる方でも、生活する上

で支援が必要な場合は、訪問看護や訪問

リハビリ、家事全般の支援サービスを利

用しながら家で生活していらっしゃいま

す。これらのサービスを利用するために

は、介護保険や医療保険を利用するので

利用の為の手続きが必要になります。申

請についての相談は受診先の病院でソー

シャルワーカーもしくは担当看護師など

にお尋ねください。

Q2

すでに陽性の方でも在宅サービ

スを受けて暮らす人、施設で支援を受

けて暮らしている人がいるのですね。

そうした受け入れ施設はどのようにし

て探しましたか

Q1

これまで病院を退院した患者さ

んは、自宅、病院の他に、どのような施

設へ入所されましたか

リハビリが必要な方の場合は、リハビ

リ専門病院への転院を検討します。

治療の必要がなく、リハビリの対象で

もない、でも自宅への退院が難しい場合

(例えば一人暮らしや介護者が家族にい

ないなど)は、長期に過ごせる場所とし

て、自立支援ホーム、高齢者下宿などが

あります。どちらも部屋を借りる形で賃

貸入居して生活をする場所で、施設には

介護支援者がいるので、必要に応じた支

援を受けて生活できます。

北海道の場合は札幌市にそのような施

設が多くあって、HIV陽性者でも受け

入れてくれるところがあって、これまで

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治療のために 診療拠点病院一覧

病院名 HIV診療科 電話番号・病院 HP

札幌医科大学 付属病院

第一内科 (代表)011-611-2111

http://web.sapmed.ac.jp/byoin/

北海道大学病院

血液内科 (代表)011-716-1161

http://www.huhp.hokudai.ac.jp

HIV相談室 (直通)011-706-7025

http://www.hok-hiv.com/

独立行政法人 国立病院機構

北海道がんセンター 内科(血液)

(代表)011-811-9111

http://www.sap-cc.org/

市立札幌病院 ①感染症内科 ②血液内科

(代表)011-726-2211

http://www.city.sapporo.jp/hospital/

独立行政法人 国立病院機構

北海道医療センター

呼吸器内科(結核)

(代表)011-611-8111

http://www.hosp.go.jp/~hokkaidomc/

市立小樽病院 内科 (代表)0134-25-1211

http://www.med-otaru.jp/

28 29

実は北海道の福祉事業所は、特定の病気を理

由にサービス提供を断らないところが多いん

です。内地の福祉事業所と大きく異なる点で

す。ということで今現在スムーズにサービス提

供して頂ける福祉事業所は沢山あると思いま

す。ただ、そういったヤル気のある福祉事業所

とHIV拠点病院が必ずしも結びついていな

いように感じます。

今後の課題はHIV拠点病院と地域の福祉

事業所さんたちの交流・ネットワーク化が必要

だと考えます。特にHIV拠点病院は福祉事業

所向けにHIVに関する研修を開催していま

すが、一方でHIV拠点病院側は研修先の福祉

事業所がどのような役割を担っていてどのよ

うな困難があるのかを知らないことが多いで

す。病院、福祉事業所、お互いがお互いを知る

べきだと考えます。

HIV/AIDS Navigation in 北海道

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病院名 HIV診療科 電話番号・病院 HP

市立函館病院 ①内科・血液科 ②小児科(15歳未満の場合)

(代表)0138-43-2000

http://www.hospital.hakodate. hokkaido.jp

北海道立江差病院 一般内科

01395-2-0036

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ hf/esb/

旭川医科大学病院

①第三内科(血液・腫瘍内科)

②小児科(感染・免疫グループ)

(代表)0166-65-2111

http://www.asahikawa-med.ac. jp/index_h.php

旭川赤十字病院 患者の主たる 合併症を担当 する科

0166-22-8111

http://www.asahikawa.jrc.or.jp

市立旭川病院 内科

0166-24-3181

http://www.city.asahikawa. hokkaido.jp/files/hospital/

独立行政法人 国立病院機構 旭川医療センター

呼吸器内科

(代表)0166-51-3161

http://www.hosp.go.jp/~ asahikawamc/

JA北海道厚生連 旭川厚生病院

内科

(代表)0166-33-7171

http://www.jp-hokkaidoukouseiren. or.jp/byouin/asahikawa/

病院名 HIV診療科 電話番号・病院 HP

広域紋別病院 外科 (代表)0158-24-3111

http://www.mombetsu-hospital.jp/

北見赤十字病院 (代表)0157-24-3115

http://www.kitami.jrc.or.jp/

釧路労災病院 内科 (代表)0154-22-7191

http://www.kushiro.rofuku.go.jp/

釧路赤十字病院 一般内科 (代表)0154-22-7171

http://www.kushiro.jrc.or.jp/

市立釧路総合病院 内科

(代表)0154-41-6121

http://www.city.kushiro.hokkaido.jp/Hospital/

JA北海道厚生連 帯広厚生病院

第4内科

(代表)0155-24-4161

http://www.ja-hokkaidoukouseiren. or.jp/byouin/obihiro/

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インターネットによる情報収集

HIV/エイズに関する総合的な情報サイトで、特に北海道内について詳

しく紹介しています

■ 北海道HIV/AIDS情報 http://www.hok-hiv.com/

~ 北海道大学病院 HIV感染症対策委員会

■ 北海道のHIV/エイズ情報 HAND

HIV&AIDS Navigation for Doumin

http://hiv-hand35.jp/ ~ 社会福祉法人はばたき福祉事業団 北海道支部

日本におけるHIV/エイズに関する総合的な情報サイトです

■ エイズ予防情報ネット

http://api-net.jfap.or.jp/ http://api-net.jfap.or.jp/i (携帯電話から)

■ 国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター

http://www.acc.go.jp/accmenu.htm

電話相談・情報提供

■ レッドリボンさっぽろ

フリーダイヤル 0120-812-606(火曜日19~22時)

http://redribbon.or.jp/

■ 社会福祉法人 はばたき福祉事業団 北海道支部

TEL 011-551-4439

HIV相談専用フリーダイヤル 0800-800-3662

HIV陽性者生活支援虎の巻 平成 24年 3月発行

発 行 社会福祉法人はばたき福祉事業団北海道支部

協 力 北海道大学病院HIV相談室

参考資料 制度の手引き(新潟大学詩学総合病院 感染管理部)

社会福祉施設とHIV陽性者 (関西学院大学 小西加保留研究室)

HIV/エイズとともに生きる人をケアするために (財団法人エイズ予防財団)

拠点病院診療案内 2010-2011 (国立病院機構九州医療センター)

この冊子は北海道の「エイズ患者/HIV感染者・家族支援調査研究事業」の

一環として制作したものです。