林田 清 - hayasida/Class... · 宇宙背景放射 図は宇宙科学入門(東大出...
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宇宙地球科学A
林田 清
ハッブルの法則
銀河の距離(d)と後退速度(v)の間の比例関係v=Hd
Hハッブル定数H~50-100km/s/MpcHSTによる観測69+-8km/s
赤方偏移zz=(λ-λ0)/λ0
v=cz山形大学斎藤和男氏ホームページより
膨張宇宙のモデル
ハッブルの法則
我々の銀河系が宇宙の中心か?
宇宙全体が一様に膨張していればよい。
図は宇宙科学入門(東大出版会、尾崎著)
一般相対論の膨張宇宙の解
アインシュタインの一般相対性理論:重力を空間の曲率として記述する理論
アインシュタインによる静的宇宙の解(1917)宇宙定数(斥力項)の導入
アインシュタイン自身によると生涯最大の失敗
*)しかし最近、宇宙項の復活を迫る観測結果が提出され議論を呼んでいる。
フリードマンによる膨張宇宙の解の発見(1922)
フリードマンによる膨張宇宙の解(模式的な理解)
2
3
2 2
0
2 2 2
22
2
1/ 2
4 / 31 42 3( ) ( ( ) )
83
/8
3
vM
M r
v G r const
R t r R t r
R G R kc
H R RG kcH
R
ρ
πρπ ρ
π ρ
π ρ
=
− =
=
− = −
=
− = −
&
&
単位質量あたりの運動エネルギー
球殻内の質量 は球殻内の平均密度(宇宙の密度) を
使って
エネルギー保存則は
宇宙のスケール因子 を使うと
あるいはハッブル定数 を使って
宇宙の曲率と宇宙の密度
kの符号によって宇宙の曲率
(膨張率の時間変化)が決まる
膨張宇宙の式の左辺=0のときk=0対応する宇宙の密度が臨界密度ρcrit~1.3x10-29 g/cc
宇宙の密度パラメータΩ(ρ/ρcrit)が1より大きいか否かがkの符号を決める。
時間
R k<0 k=0
k>0
22
2
83G kcH
Rπ ρ− = −
ビッグバン宇宙論と定常宇宙論
膨張宇宙において時間をさかのぼると、宇宙の物質の全てが一点に集中し、密度無限大の時刻(約150億年前)が存在したことになる。=ビッグバン
ビッグバン宇宙論に対抗する考え=定常宇宙論
宇宙にははじまりも終わりもない定常状態。
膨張とともに薄まる密度は物質の生成で補われる
宇宙背景放射図は宇宙科学入門(東大出版会、尾崎著)
1965年ペンジアスとウィルソン マイクロ波背景放射の発見
絶対温度3Kの黒体放射に相当する電波強度で全天から一様な放射
3000Kの時代に放射された光が宇宙膨張によって波長が1000倍に引き伸ばされたものビッグバン宇宙の証拠
背景放射観測の意味
GSFC/NASA
MAPホームページ
ビッグバン宇宙での元素合成
宇宙初期、高温高密度の状態で陽子、中性子が重水素(D)、He、Li,Beなどの軽元素が合成される。(1948年、ガモフ等)質量数8のベリリウムが不安定核であるためそれより重い元素は合成されない(恒星内部、および超新星爆発時に合成される)
ビッグバン後3分間で、水素75%、He25%、微量のD,Li,Beが合成されると予想。重水素、Li,Beなどの存在量はビッグバン宇宙モデルの予想値に近い。
背景放射、ハッブルの法則につぐビッグバン宇宙論の観測的根拠。
元素合成モデル
GSFC/NASA
MAPホームページ
宇宙のインフレーション
宇宙の地平線問題地平線を越えた領域間の一様性(背景放射の強度揺らぎとして測定される)が何故実現できるのか
宇宙の平坦性問題宇宙の曲率はなぜ0に近いのか
インフレーション宇宙論が一つの解を与える
1981年、佐藤勝彦、グース
図は宇宙科学入門(東大出版会、尾崎著)
宇宙の進化と構造形成
t~10-6秒後 クォークから陽子、中性子などの核子ができる
t~3分後 T~109K 核反応によりD, He, Li, Be等の軽元素がつくられる。
t~105年後 T~3000K (z~1000)T>3000Kでは原子核と電子がばらばらにあるプラズマ状態。 光子は電子との衝突を頻繁に繰り返し直進できない(霧の中のよう)T<3000Kでは陽子と電子が結合し水素原子つくる。 以後、光子は直進できる。 宇宙の晴れ上がり
t~ 109年後 (z~5) 銀河の形成
背景放射の揺らぎと構造形成
COBE衛星の観測(NASA/GSFCより)10-5程度のわずかな強度の違い。 銀河な
どの構造の種(?)