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可変速風力発電機の運動エネルギーを利用した系統周波数変動抑制 金輪虎次朗*、梅村敦史、高橋理音、田村淳二(北見工業大学) Frequency Control of Power System Using Kinetic Energy of Variable Speed Wind Generators Kojiro Kanawa, Atsushi Umemura, Rion Takahashi, Junji Tamura (Kitami Institute of Technology) キーワード:再生可能エネルギー、風力発電、運動エネルギー .まえがき 近年、地球温暖化をはじめとする様々な地球環境 問題は年々深刻さを増している. そのような中、風 力発電は再生可能エネルギーを用いた電源の中でも 比較的安価、高効率であり、年々導入が進められて いる. しかし、風力発電は風況により出力が変化し、 導入量を増加させると連系する電力系統の周波数が 変動し、電力品質の低下などの悪影響を与えること が懸念されている. このような影響を抑える対策と して、出力変動対策が欠くことのできない重要な課 題となる. 従来のウィンドファームの出力変動抑制法として、 大型蓄電池などの電力貯蔵装置が用いられるが、こ のようなシステムは非常に高コストである. そこで本論文では、可変速風力発電システムから なるウィンドファームに着目して、各風車の可変速 運転による運動エネルギーの制御によりウィンドフ ァーム内での新しい出力変動抑制法を提案する. 体的には、他の風車より高い出力で運転している風 車は MPPT (Maximum Power Point Tracking)制御で運 転し、逆に低い出力の風車は MPPT 制御より低い発 電機出力で運転し、回転速度を上昇させ運動エネル ギーを溜め込むことで、ウィンドファームの出力平 滑化を実現する. 2. 電力系統モデル [1] 本検討で用いる電力系統モデルを図 1 に示す.2 の火力発電機 SG1(50MVA)SG3(100MVA)、水力 発電機 SG2 (100MVA)負荷(3 か所)から成り. 更に PCC 5MVA の可変速風力発電機 5 台からな るウィンドファーム(図 2 参照)が接続されている. 2.ウィンドファームモデル 1.系統モデル 3.風車モデル [2] [3][4] 3.1 可変速風力発電システム 本論文で用いた可変速機の風車モデルの出力特性 式を(1)~(4)式に示す () = 1 ( 2 3 4 ) exp (− 5 )+ 6 (1) λ = 1 = 8 7 9 3 +1 (2) _ = 0.087 (3) = 1 2 () 2 3 (4) ここで、 はパワー係数、λは周速比、βはピッ チ角[deg] は風車角速度[rad/s] R は風車半径 [m/s] v は風速[m/s] _ はパワー係数を最大に する風速に対する風車角速度、 は風から得られる パワー[W]、ρは空気密度[kg/m3]を表している.また、 1 ~ 10 は定数であり、 1 =0.5176 2 =116 3 =0.4 4 =5 5 =21 6 =0.0068 7 =0.08 8 =1 9 =0.035 となっている. 可変速機は風車の回転速度を制御することで高い エネルギー変換効率を達成できる.(1)(2)式より、 ピッチ角制御が働いていないとき、最大のパワー係 数を得る最適な風車角速度 _ (3) 式で表され 2015 年電気設備学会全国大会 Copyright © 2015 IEIEJ -65- B-3

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可変速風力発電機の運動エネルギーを利用した系統周波数変動抑制

金輪虎次朗*、梅村敦史、高橋理音、田村淳二(北見工業大学)

Frequency Control of Power System Using Kinetic Energy of Variable Speed Wind Generators

Kojiro Kanawa, Atsushi Umemura, Rion Takahashi, Junji Tamura (Kitami Institute of Technology)

キーワード:再生可能エネルギー、風力発電、運動エネルギー

1.まえがき

近年、地球温暖化をはじめとする様々な地球環境問題は年々深刻さを増している.そのような中、風力発電は再生可能エネルギーを用いた電源の中でも比較的安価、高効率であり、年々導入が進められている.しかし、風力発電は風況により出力が変化し、導入量を増加させると連系する電力系統の周波数が変動し、電力品質の低下などの悪影響を与えることが懸念されている.このような影響を抑える対策として、出力変動対策が欠くことのできない重要な課題となる.

従来のウィンドファームの出力変動抑制法として、大型蓄電池などの電力貯蔵装置が用いられるが、このようなシステムは非常に高コストである.

そこで本論文では、可変速風力発電システムからなるウィンドファームに着目して、各風車の可変速運転による運動エネルギーの制御によりウィンドファーム内での新しい出力変動抑制法を提案する.具体的には、他の風車より高い出力で運転している風車は MPPT (Maximum Power Point Tracking)制御で運転し、逆に低い出力の風車は MPPT制御より低い発電機出力で運転し、回転速度を上昇させ運動エネルギーを溜め込むことで、ウィンドファームの出力平滑化を実現する.

2. 電力系統モデル[1]

本検討で用いる電力系統モデルを図 1 に示す.2 台の火力発電機 SG1(50MVA)、 SG3(100MVA)、水力発電機 SG2 (100MVA)、 負荷(3 か所)から成り.更に PCC に 5MVA の可変速風力発電機 5 台からなるウィンドファーム(図 2 参照)が接続されている.

図 2.ウィンドファームモデル

図 1.系統モデル

3.風車モデル[2] [3][4]

3.1 可変速風力発電システム

本論文で用いた可変速機の風車モデルの出力特性式を(1)~(4)式に示す

𝐶𝑝(𝜆、𝛽) = 𝐶1 (𝐶2

𝜆𝑖− 𝐶3𝛽 − 𝐶4) exp (−

𝐶5

𝜆𝑖) + 𝐶6𝜆 (1)

λ =𝜔𝑟𝑅

𝑣 、

1

𝜆𝑖=

𝐶8

𝜆−𝐶7𝛽−

𝐶9

𝛽3+1 (2)

𝜔𝑟_𝑜𝑝 = 0.087𝑣 (3)

𝑃𝑟 =1

2𝐶𝑝(𝜆、𝛽)𝜌𝜋𝑅

2𝑣3 (4)

ここで、𝐶𝑝はパワー係数、λは周速比、βはピッ

チ角[deg]、𝜔𝑟は風車角速度[rad/s]、R は風車半径[m/s]、v は風速[m/s]、𝜔𝑟_𝑜𝑝はパワー係数を最大に

する風速に対する風車角速度、𝑃𝑟は風から得られるパワー[W]、ρは空気密度[kg/m3]を表している.また、𝐶1 ~ 𝐶10は定数であり、 𝐶1 =0.5176、 𝐶2 =116、

𝐶3=0.4、𝐶4 =5、𝐶5 =21、𝐶6=0.0068、𝐶7 =0.08、𝐶8=1、 𝐶9=0.035となっている.

可変速機は風車の回転速度を制御することで高いエネルギー変換効率を達成できる.(1)、(2)式より、ピッチ角制御が働いていないとき、最大のパワー係数を得る最適な風車角速度𝜔𝑟_𝑜𝑝は(3)式で表され

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る.(4)式から、風速と回転速度に対する風車パワーの特性を得る. 通常は,定格出力を超える出力が出ないように最大値を 1[pu]とし、MPPT 制御に基づいて風車パワーに追従するように制御される.可変速風力発電機は、電力変換機を用いて風車の回転速度を制御することで高いエネルギー効率を達成できる.また、系統に流れ込む電力を一定に保ったまま風車回転数を変化させることで、その回転体のもつ運動エネルギーを増減させることができる.したがって、風車の運動エネルギーを増減させることで、系統に流れ込む電力の変動を平滑化することが可能である.

なお、発電機の可変速範囲は 0.4~1.0[pu]とし、1.0[pu]を上回る場合は、ピッチ角を制御することでエネルギーの変換効率を低下させ回転速度が1.0[pu]を上回らないように制御している.風車のパラメータを表 1に示す.

表 1 風車・PMSGのパラメータ

Component Parameter Value

Wind turbine

R 60m

Vw(rated) 11.5m/sec

ωr(rated) 1.57rad/sec

Cpopt 0.48

λopt 8.2

ρ 1.225kg/m3

Jt 49.5×106kgm2

PMSG

Ps 5MW

Vs 1.0kV

Rs 0.004Ω

Lsd 1.528mH

Lsq 1.21mH

Ψm 11.255Wb

Cdc 50000μF

Vdc 1.75kV

3.2 最大電力点追従制御

風車の空気力学特性によると、風車が風から得るエネルギーは、風速が同じであっても風車回転数に依存して変化することが知られている.そのため、可変速風力発電システムの風車回転数を風速に応じて適切に制御すれば、固定速機に比べて発電量を増大させることが可能となる.この風車回転数の制御は、電力変換器を用いた発電出力調整により実現され、最大電力点追従制御 MPPTと呼ばれている.

MPPT では、風速𝑉𝑤と風車回転数ωを計測し、発電機出力指令値𝑃𝑟𝑒𝑓を求めて、電力変換器を制御す

る.まず測定した風速𝑉𝑤において、風車が風から得ることの可能な最大パワー及びその最大パワーを得ることができる風車回転数を算出する.次に、算出した最大パワー値を基準として、最適回転数と実際の回転数ωとの差により発電機出力指令値の補正を

行う.以上により得られた値を𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡とし、電力変換

機を制御している.この制御により風車回転数を最適回転数へ収束させ、発電量を最大化させることが可能となる.

4. 可変速風力発電機の制御法[2]

本章では、可変速風力発電システムを用いたウィ

ンドファームの出力変動を平滑化する制御法を説明

する.

まず、ウィンドファーム出力目標値𝑃𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓を風速

から求めた MPPT 制御時の出力𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡𝑉𝑤から単純移

動平均(Simple Moving Average、以下 SMA)を取るこ

とにより求める.本検討では、前述したように風車

回転数を変化させ、運動エネルギーを増減させるこ

とで、電力変動を平滑化しているため、平滑化制御

中には本来の MPPT制御から外れることになるが、

このウィンドファーム出力目標値は風速を用いて求

めている.

ウィンドファーム全体を合計した𝑃𝑊𝐹𝑚𝑝𝑝𝑡と

𝑃𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓の差分電力𝑃𝑘𝑖𝑛𝑒𝑡𝑖𝑐をウィンドファーム内で運

動エネルギーとして貯蔵・放出する. 𝑃𝑘𝑖𝑛𝑒𝑡𝑖𝑐正は運

動エネルギーの貯蔵、負が運動エネルギー放出であ

る.

運動エネルギーを貯蔵する分配は、𝑃𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓と各風

車𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛)を比較して、𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛)の値が高い風車は

そのまま MPPT 運転し、𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛)の値が低い風車に

分配する.よって𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛)よりも低い発電機出力で運

転することになり、風車からの機械入力と発電機出

力の差分が運動エネルギー増加分として貯蔵される

ことになり、可変速風力機の回転速度を上昇させる.

また、風車の運動エネルギーは回転数の 2 乗に比

例する.よって、運動エネルギーの貯蔵は運動エネ

ルギーの低い風車に多く分配したいので、回転数の

2乗の逆数で比例分配(𝑃𝑎𝑑𝑑(𝑛))する.

一方、運動エネルギーの放出は各風車全体で行う.

ここで、運動エネルギーの高い風車からより多く放

出したいため、回転数の 2 乗で比例配分(𝑃𝑑𝑒𝑐(𝑛))す

る.前記の運動エネルギーの貯蔵とは反対に、可変

速風力機が運動エネルギーを放出して回転速度を低

下させ、発電機出力を増加させる.

また、可変速風力発電機の出力が 0<P𝑟𝑒𝑓(n)<1 の

範囲を超えないように定格出力と出力 0 で電力変換

機への指令値をリミットしている.上限でリミット

されたものは、定格に達していない風車に回転数の

2乗で比例配分(𝑃𝑝𝑖𝑡(𝑛))し、また下限でリミットさ

れたものは、出力 0 に達していない風車に回転数の

2乗の逆数で比例配分(𝑃𝑙𝑜𝑤(𝑛))している.

また、運動エネルギーを貯蔵できる場合に全ての

P𝑚𝑝𝑝𝑡(n)がP𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓を上回る場合があり得るので、そ

のときは風力発電機全体で貯蔵可能な値を回転数の

2乗の逆数で比例配分(𝑃𝑠𝑡𝑜(𝑛))する.

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0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

K

w [pu]

SMA の平均時間を長くとると、運動エネルギー

を放出する時間が長くなり、風車回転数が 0[pu]と

なって風車が停止する場合がある.そこで、風車の

停止を避けるために、運動エネルギーを放出する際

に図 4 のように風車回転数に応じて変化する係数 K

を指令値に乗じる. 図 4は今回試行錯誤的に決定し

た.

図 4.可変係数 K

可変係数Kにより、指令値より低い風車出力で運転

することにより風車の停止を防いでいる.よって、

ある風車に可変係数 Kが作用すると、他の風車への

指令値が大きくなり、負担が大きくなることが事前

のシミュレーションで判明した.この負担が大きく

なるのを避けるために、𝑃𝑘𝑖𝑛𝑒𝑡𝑖𝑐を求める際に用いた

ウィンドファーム合計出力𝑃𝑊𝐹𝑚𝑝𝑝𝑡に、可変係数 K

により低くなった値(𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠)を加えることで、他の風

車への負担を回避することができる.

各風車の出力指令値の条件分岐を図 5 に示

す. 𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛)は各風車の出力指令値を示していて、

式中の(n)は風車番号を示していて、本シミュレー

ションでは 1~5である.

𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛) =

{

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝑃𝑠𝑡𝑜 + 𝑃𝑙𝑜𝑤 (5)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝑃𝑠𝑡𝑜 (6)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝑃𝑎𝑑𝑑 + 𝑃𝑠𝑡𝑜 + 𝑃𝑙𝑜𝑤 (7)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝑃𝑎𝑑𝑑 + 𝑃𝑠𝑡𝑜 (8)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝐾[𝑃𝑑𝑒𝑐 + 𝑃𝑝𝑖𝑡] (9)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝐾𝑃𝑑𝑒𝑐 (10)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝐾[𝑃𝑑𝑒𝑐 + 𝑃𝑝𝑖𝑡] (11)

𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡(𝑛) + 𝐾𝑃𝑑𝑒𝑐 (12)

5.シミュレーション

シミュレーションにおいて図 6 に示す 5 つの風速データを使用し、各風力発電機に入力した.

図 7に風速から求めたMPPT制御時の出力𝑃𝑚𝑝𝑝𝑡𝑉𝑤を示す.

通常の MPPT 運転と提案した制御方法を用いた場合のシミュレーションをそれぞれ行い、比較検討した.提案した制御方法においては、可変係数 K と𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いた場合も比較対象としている.図 8は提案法において貯蔵・放出すべき運動エネルギーに相当する電力を示していて、正の場合運動エネルギーを貯蔵することができ、逆に負の場合運動エネルギーを放出する必要があることを示している.また、図 9

はウィンドファーム出力、図 10 は系統周波数を示している.

図 9 の結果から、ウィンドファーム出力は平滑化されていることがわかる.また、350s 地点で係数 K

の制御が働き、SMA 出力も変動が大きくなっていることがわかる.また、係数 K の制御を行わない場合は、風車の回転数が 0[pu]となり、風車が停止してしまうこともわかる.また、他の風車の負担を減らすために用いた𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いなかった場合は、風車は停止することは無かったが、ウィンドファーム目標値𝑃𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓に復帰するのに時間がかかっていることがわかる。ウィンドファーム出力が平滑化されているため、図 10 の系統周波数の変動も抑えられていることがわかる.

MPPT 制御と提案した制御の場合の最大周波数偏差、MPPT の場合の出力電力量を 100%としたときの出力効率を表 2に示す.

表 2 シミュレーション結果

MPPT 提案手法

(𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠無し)

提案手法

最大周波数偏差

+Δf [Hz]

0.0566 0.0185 0.166

最大周波数偏差

-Δf [Hz]

0.0461 0.0223 0.240

効率[%] 100 97.333 97.656

Yes No

Pkinetic > 0

Yes Pmppt(𝑛) > PWFref No Yes Pmppt(𝑛) > PWFref No

0 < 𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛) < 1 0 < 𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛) < 1 0 < 𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛) < 1 0 < 𝑃𝑟𝑒𝑓(𝑛) < 1

Yes No Yes No Yes No Yes No

図 5 提案法のフローチャート

(5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)

開始

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0 100 200 300 400 5006789

10111213141516

Win

d Sp

eed

[m/s]

Time [s]

Vw1 Vw2 Vw3 Vw4 Vw5

0 100 200 300 400 50049.94

49.96

49.98

50.00

50.02

50.04

50.06

Freq

uenc

y [H

z]

Time [s]

MPPT

SMA-120s(with K control)

SMA-120s(withoutKloss)

0 100 200 300 400 500-4-3-2-1012345

Powe

r [M

W]

Time [s]

0 100 200 300 400 50015

16

17

18

19

20

21

22

Powe

r [M

W]

Time [s]

MPPT

SMA-120s (with K control)

SMA-120s (without K control)

SMA-120s (without Kloss control)

0 100 200 300 400 5000.65

0.70

0.75

0.80

0.85

Pow

er [p

u]

Time [s]

表 2の結果から MPPT 運転の場合と比較して周波数変動を抑制できていることがわかる。また𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いた場合と用いなかった場合を比較すると、最大周波数偏差のプラス方向は𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いた場合のほうが抑制できている。これは𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いることで可変係数 Kが作用していない風車の負担を軽くすることでウィンドファーム出力目標値𝑃𝑊𝐹𝑟𝑒𝑓に早く復帰し、出力変動が抑えられているからだと考える。さらに、最大周波数偏差のマイナス方向は𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠なしの方が抑制できている.これは可変係数 K が作用した風車が現れたときに、他の風車がこれを補うために電力を多く発電しているため,出力電力の変動が抑制出来ているためだと考える。

図 6.風速データ

図 7. MPPT出力

図 8. 運動エネルギーに相当する電力

図 9.ウィンドファーム出力

図 10.系統周波数

6.まとめ

本論文では、可変速風力発電システムからなるウィンドファームに着目し、各風車の運動エネルギーの制御によりウィンドファームの出力変動を抑制する方法を提案し、通常の MPPT運転した場合との比較検討を行った.

結果として、出力電力量の低下を僅かに抑えながら最大周波数偏差を抑えることができることを示した.

今後の課題として、SMA の平均時間を長く取るためには、可変係数 Kを用いる必要があることが分かる.また、𝐾𝑙𝑜𝑠𝑠を用いなかった場合でも、今回のシミュレーション条件では風車が停止することは無かったが、運動エネルギーを放出する時間が長くなるため、他のシミュレーション条件でも風車が停止することが無いのかを確認する必要があると考える.

また、移動平均のパラメータの決定法やさまざまな風速、移動平均時間をとった場合において風車の停止を避ける万能な回避制御システムを考える必要がある.

最後に、本研究は文部科学省科学研究費(基盤研究(B))の補助を受けたものであることを付記する.

参考文献

[1] P. M. ANDERSON & A.A.FOUAD : “Power System

Control and Stability”、 IEEE Press.

[2] 佐藤大騎、 斉藤浩海: 可変速風力発電の運動エネルギーを利用したウィンンドファーム出力変動の平滑化制御、 電気学会論文誌 B、 129、5、 pp.580~590 (2009)

[3] 和田 尚之* 小岩 健太 マルワン ロシャディ

梅村 敦史 高橋 理音 田村 淳二:風力発電用

永久磁石式同期発電機のモデル化に関する基

礎的検討、平成 25 年度電気・情報関係学会

北海道支部連合大会,2013/10

[4] M. Rosyadi, S.M. Muyeen, R. Takahashi, J.

Tamura “New Controller Design for PMSG

Based Wind Generator with LCL-Filter

Considered”, Proc. of the 2012 15th

International Conference on Electrical

Machines (ICEM2012), pp. 2110-

2116,2012/09

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