【ANSWER REPORT】強い製造業を創るコア技術経営/Core Technology Management

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January 2010 強い製造業を創る コア技術経営 技術者が強くならなければ、製造業は強くなれない Core Technology Management 2010年1月10日作成 著者 江口一海 Author Kazumi Eguchi 初出 2003年 アイデア・マネジメント・レビュー

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コア技術経営とは、『各企業の強みの根源にあるコア技術を、今日的に見直し再強化して、コア技術の見えるビジネスモデルを作り上げて経営条件・商品・プロセスの再開発を通して、強い企業を作る』ことを目的と狙いにしている。各企業の経営環境と競争実態により異なるが、次の観点に照準を合わせた、強い経営を目指す。①コア技術を見直し、コア技術を引出す経営モデルのスキームを構築する -Core Technology Strategy②顧客のニーズ研究に基づき、これからの商品力強化の仕組みを構築する -Market Through Development③顧客の価値へのカスタマイズを通して、売れる商品供給の仕組みを作る ーValue Custermerzation

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January 2010

強い製造業を創る

    コア技術経営技術者が強くならなければ、製造業は強くなれない

Core Technology Management

2010年1月10日作成

著者 江口一海

Author Kazumi Eguchi

初出 2003年 アイデア・マネジメント・レビュー

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コア技術経営の目次

前書き

Ⅰ. コア技術経営の概要

1.コストダウンからクリエイトの時代へ

 の変遷

2.時代に逆らえない日本の棲み分け

3. 量/効率から質/価値の経営

4.技術は資産、技術者がリソース

5.コア技術経営のコンセプト

6.コア技術を基本に事業を再構成

7.コア技術を強くするMOTの取組み

8.製造業を強くする技術垂直統合ポリシー

8-1.コンセプト1:Core Technology Strategy

8-2.コンセプト2:Market Through Development

8-3コンセプト3:Value Custermerzation 

 

Ⅱ.コンセプト編

1.Core Technology Strategy

1.1技術は果たしてスパイラルしているか

1.2自社の強みを生かした新たな商品作り

1.3取り組みとアプローチの全体フロー

2. コンセプト2:Market Through Development 2.1商品開発の置かれた状況と開発時点での 機能とコストの再開発の必要性2-2.機能 適開発とは

2.3機能 適開発の進め方

2.4機能 適開発の期待成果3.コンセプト3:Value Custermerzation3.1 Value Custermerzationとは

3.2 Value Custermerzationの生産システムモデル

3.3 コストを上げないカスタマイズの仕組み

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 Ⅲ.コア技術経営の構築法

1.事業のスキームの再設計

1.1 理想モデルを設計する

1.2 コア技術インのビジネスモデル

1.3 コア技術経営の構築手順

2.課題を構想化する

2.1ありたい水準とのギャップの顕在化

2.2コア技術経営の活動スコープ

2.3 シナリオを作れば方策が見える

3.中長期計画に組み込む

3.1ステージアッププランをつくる

3.2 マスタープランの策定

 Ⅳ.技術者を強くするマネージメント

 1.技術者魂を呼び戻せ

 2.技術者のレベルを上げる要素の概括

 3.技術者のレベルを上げる仕掛けづくり

 3.1 技術者への「気づきと行動」の仕組みづくり

3.2経営課題の垂直展開

 3.3学習し続ける組織の体現

 4.問題のタイプで決まる技術解決のアプローチ

 5.技術者の適材・適所 

 後書き

 

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前書き

長いバブル経済崩壊後の不況過程を経て、確実に時代は変わってしまった。振り返れば、バブル崩壊直後の1991年の湾岸戦争が、大きな変化点でもあった。強いアメリカの出現とグローバル・スタンダードへの拍車その結果としての地球規模での価格競争と拠点の海外化、インターネット社会の出現と顧客と企業の距離の短縮化、経営の情報統合化とオープン化それらを支えたIT技術など想像すら出来ない変化に見舞われた。

バブル経済期をはさんで、世界のマーケットで品質と価格で強い商品を提供し続けていた日本の製造業は一転して自分たちの拠り所を見失ってしまった。この状況からのもがきと活路を抜け出せない結果が、各企業のリストラと社会全体の大量の失業者数として現れている。各企業のリストラによる規模と資源の適正化は、短期的には各企業の利益率を久しぶりに引き上げている。がしかし、これで強い製造業が戻ってきたと考える経営者はいない。依然、不安定な軌道の上に立っている。

しかし、2003年のイラク戦争後の状況は、また大きな変局点に来ている。リーダーシッブを発揮できないアメリカの姿は、今までと違う方向に時代が変わる変化を映し出す。アメリカ中心体制への否定である。グローバルスタンダードの裏側で、各地域、各国の独自性が強くなっている。既に時代は、多様性を共有しあい、相互の立場と価値を認め合う時代に移行しているようである。このことは、グローバル化が進展した中でのこれからを重ねて考え合わせると、「個性と持ち味」の出せる企業とかチーム、個人が活躍できる時代になるのではという予感を抱かせる。

国や宗教、主義を超えて「持てる価値のある所に関心が集まる」時代でもある。

この観点で考えると、コスト・効率一辺倒は、もはや差別化できる競争になりにくいし、裏返すと中国の価格脅威も競争の一つの断面でしかない。むしろ、差別化できる何をプラスできるか、また再構築できるかが重要なことである。

誰も出来ない、自分たちにしか出来ない究極の差別化を可能にする「個性と持ち味」が必要となるのである。

そんな魅力の出せる企業をどうしたら再構築できるのか。について考えて提言することが、この冊子の目的である。コア技術経営

とは、『各企業の強みの根源にあるコア技術を、今日的に見直し再強化して、コア技術の見えるビジネスモデルを作り上げて

経営条件・商品・プロセスの再開発を通して、強い企業を作る』ことを目的と狙いにしている。そして、企業が強くなるためには、

コア技術と商品、プロセスへのコア技術の組み込みを効果的、効率的に行う役割を担う技術者が強くなることが求められる。一番大きな課題は、この技術者をこれからの時代の要請に合わせてどうレベルアップさせるかという問題かもしれない。

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Ⅰ.コア技術経営の概要

1.コストダウンからクリエーションの時代への変遷

21世紀に入り、製造業の競争環境は一変致した。

・アジアを巻き込んだ低価格品の調達体制と経営戦略の展開

・ITの普及がもたらしたスリムな経営体質と企業を超えたネットワークビジネスの進展

・アジアにも出現した日本企業を凌駕する技術先端のメガカンパニーの登場

と言うように、既に10年前の製造業の姿は無い。しかし、このような変化の底流にある

のは、コスト・スピードを軸にした経営の効率化が中心でもあった。

一方で、この10年間に、それなりの競争基盤を確立してきた企業も多いが、これからの

日本の製造業に求められるのは、次の点である。

・アジア経済の中でリーダーシップを発揮するフロントランナーとしての戦略と方針を明確にする。

・企業のコアコンピタンスは、製造業の置いては、コア技術の伸長と確立にある。価値を生み出す源泉と原点にこだわる活動の差別化が不可欠である。

・効率・コストの合理化経営を抜け出し、価値を創る。高める。そして更に創造する。というスパイラル・アップの経営モデルを構築していかねばならない。

という新しい取組みと活動が求められている。即ち、コア技術を中心に、新たな価値をクリエーションする経営である。

2000年代

1990年代価格破壊スピード経営

  収益改善 クリエーション

・リストラ    ・海外拠点組込み

・海外生産展開・コストダウン 

・経営統合管理・ネットワーク組織

顧客価値/新競争力

付加価値

技術力

デフレ経済

再活性経済

前半後半

前半これから

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2.時代に逆らえない日本の棲み分け

・日本が、世界の生産基地と言われていたのは、この10年前である。この辺のくだりは、筆者

の本の「ひ弱な日本的生産技術からの脱皮〔副題〕」にも書いている。所詮、日本の強みは、量産技術と量産効率追求であると。だから管理技術が有効であるとも。

・しかし、アメリカは、この間、ITを国家の経済繁栄の中心におき、地球規模のグローバルエコノミーの体制を作り上げた。この景気がITを中心とするアメリカの製造業を復興させ、一方、日

本は、バブル後のデフレ経済から、海外生産の展開とその結果としての自らの空洞化が、日本の製造業の失墜の引き金となり今日に至っている。

・量産技術は、所詮価格の勝負である。現在の日本の製造業は、もはやこの分野で勝者であり続けることは出来ない。

-大企業は、量産品からカスタマイズ品に。更に進化した高付加価値商品の開発へ。

ー中堅企業は、既存の技術を脱皮させて、差別化できる技術と商品を創り、ニッチな市場を占有するか。

ーベンチャーは、いかにして魅力ある技術を付加価値のある事業に変えられるか。

というそれぞの事業の戦略と技術評価が必要である。

キーワードは、コア技術のマネージメントであろう。コア技術とは、事業にとって不可欠のCompetitive Technologyである。顧客に差別化できる商品の根幹を成し、強い事業をつくるの

が、コア技術である。

技術革新

カスタマイズ

  規格量産品

海外〔中国他〕が強み

集中化領域

日本の      フィールド

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3.量/効率から質/価値の経営効率を追求すると物が溢れ、値崩れが起こる。更に中国からの安価商品が出回り、更に値崩れが起こる。という価格破壊のサイクルを繰り広げて、デフレ経済の一因を作っている。明らかに今までのモデルが否定されている。これからは、

・規格商品→カスタマイズ商品

・在庫商品→マーケットシンクロナイズド商品

・価格安定商品→機能訴求型商品

・売り上げ→利益、キャッショ

と言うように、顧客の一人一人のニーズに応えてかつ利益の出せる商品作りが中心となりつつある。

製造業は、量/効率から質/価値に変換されてきている。

この変換は、同時に

・消費者の多様な価値に応える

・消費者ににその質と価値が見える

・そのことが大いなる差別化である

と言うように、ビジネスのモデルと経営のやり方を根底から変える要素を含んでいる。

今までの延長に無いむしろ今までを否定する新しい事業の変換をどうやっていくかが問われている。

量効率の時代 質価値の時代

“幸せ“の時代

“豊かさ“の時代

“脱貧しさ“の時代

商品に安全、安心、納得が組み込まれた信頼価値

商品に機能、価格、サービスが組み込まれたパフォーマンス価値

“幸せ”は、人の数だけ存在する

価値の多様性に応える商品作りが大切

顧客のマスニーズを充足できる

商品の品揃えと提供が大切

パラダイム変化

規模

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4.技術は資産、技術者がリソース

以前は、技術資産と言えば、製品特許と図面、設備を中心としたハード的なものを指す事が多かったが、 近は、技術の進歩の速さもあり、技術資産と言うと技術者及びその組織を指すことが多く、技術者ごと買い取られる時代になっている。

また技術の将来性が高く、経営にもたらす利益の大きさが予想されると株価に反映されて企業の資産価値は大いに高まる。目先の利益よりも投資家の目の付け所は明らかに技術資産即ち技術者が作り出す開発パワーに移っている。

この点の大きな変化も質/価値に経営が移行した証でもある。

一方で、果たして技術者が資産を生み出すリソースとして、期待に即しているかどうか。期待に応えていないならばどうして行くかが、本冊子での大きなテーマでもある。筆者の見る所、大いに弱体していると認識している。

技術資産を高める為に、技術者のパワーをフル全開にするには、技術者の個人問題として片付けるには、問題が大きくなりすぎている。

生産資源価値 開発資源価値

・工場、設備、土地資産・競争のポイントはー生産性→単価引き下げ・効率は規模で決まる・資本材が売り

・知的及び技術資産・競争のポイントはー利益率→価格の引き上げ・技術は人で決まる・人材が売り

量/効率中心 質/価値中心

技術者が第一のリソース設備が第一のリソース

これからの変化

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5. コア技術経営のコンセプトコア技術経営とは、

『各企業の強みの根源にあるコア技術を、今日的に見直し再強化して、コア技術の見えるビジネスモデルを作り上げて経営条件・商品・プロセスの再開発を通して、強い企業を作る』ことを目的と狙いにしている。

各企業の経営環境と競争実態により異なるが、次の観点に照準を合わせた、強い経営を目指す。

①コア技術を見直し、コア技術を引出す経営モデルのスキームを構築する

 -Core Technology Strategy

②顧客のニーズ研究に基づき、これからの商品力強化の仕組みを構築する

 -Market Through Development

③顧客の価値へのカスタマイズを通して、売れる商品供給の仕組みを作る

 ーValue Custermerzation

コア技術イノベーション

経営条件

商品 プロセス

-Core Technology  Strategy-Market Through

Development

ーValue Custermerzation

顧客

顧客 顧客

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6.コア技術を基本に事業を再構成

コア技術は、事業の幹を作る事業存立の要である。コア技術が強くなければ、事業は強くなる資格を持ち得ない。当然、コア技術は月並みでも、販売で差別化するとか。サービスの提供の仕方で差別化するとか。事業のモデルとしての戦略の違いがある。

しかし、どの戦略をとろうが、コア技術が弱いとしたら、事業としての永続した差別化は難しい。容易に参入される余地を作るからである。

一方で、コア技術とは何かが、今となっては判然としない。ということもある。筆者は、このこだわりの無さが、技術者の弱体化と関係していると見ている。なぜならば、こだわりを持った深い探求から技術は必ず進化していく。このプロセスを見失うと目先に振り回された漂流する小船になってしまう。

更に、コア技術と言っても常に進化し、技術分野も他の分野と重なりを持っていく。金属加工の分野と光学の分野が融合し、導光体に道が開けるとかコア技術は常に進化し、融合し全く新しいコア技術になる。コア技術は、止まるところが無いのである。

それでは、今となってコア技術を評価することは出来ないのだろうか?という疑問もあるかも

しれないが、今日的に顧客のニーズの側からキーとなる訴求点を通して技術をフォーカシングしていけばよいのではないか考えている。

薄くかつ強い成形品が訴求点とすれば、強度に耐える合金の探求と押出し金型のメタルフローの解析技術はコアの要素に入るし、この際にこの条件での成形加工の操業条件までをコアとして組み込んで行くことが大切になる。コア技術とマネージメントの双方が、目的的に一体となり、経営の差別化につながる時に、事業は強くなれる。

このためには、コア技術を、市場から製品機能、生産プロセスまでを通して評価することが大切である。

付加価値向上のためのマネージメントの伸長

Technology Best

Managem

ent Best

GoalManagementAdvantage

TechnologyAdvantage

BusinessRevise

開発、改良などのコア技術の伸長

コア技術の進化

Technology Best

GoalManagementAdvantage

TechnologyAdvantage

BusinessRevise

コア技術の差別化

コア技術をベースにし た経営の差別化

撤退

NextGoalNextGoal

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7.コア技術を強くするMOTの取組み

・MOT (Management of Technology) は、日本の製造業を強くしていくための21世紀シナリ

オである。このためには、各企業の戦略と意思決定に役立つものでなければならない。

・21世紀シナリオは、時代を先取りして、各企業自らが、事業と技術の創生を行う戦略と俊

敏性を掛け合わせて行かなければならない。

・付加価値の源泉と圧倒的な競争の差別化は、事業をどうしたいか。どうして行くかを考え抜いて、そのために必要なコア技術の選択と集中化を図ることにより実現できる。

・コア技術とは、事業のコアとなる技術であるということと、技術そのものが誰にも負けないという二つの側面から見ていかねばならない。新しい事業への進化を果たす為に企業のMOTは、コア技術の差別化と事業力の強化を狙いとしなければならない。

このことを大学が応援し、支援していくスタイルが日本のMOTの発展に望ましい。中心は、企業である。この点がアメリカのMOTとは、大いに異なる点である。

企業の既存事業 コア技術の評価

事業とコア技術の育成

事業と技術のブレイクスルー

新しい事業への脱皮と進化

大学の支援連携

企業

大学

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理念は、

「技術を強くして、経営を強くする」

    8.製造業を強くする技術垂直統合ポリシー

コア技術の市場環境に合わせた見直しと再強化を通して、コア技術を組み込んだマーケットからの一気通貫の商品開発体制とカスタマイズに応える商品の多様化設計と迅速な生産対応の仕組みづくりを通して、コア技術の垂直統合による強い事業の差別化を図る

コア技術を鮮明にした事業企画から技術再構築まで、事業を強くする差別化戦略   

      

マーケットから生産化までを一体として魅力ある商品開発と商品力強化を図るコア技術の組み込みと知の共有化

コア技術経営

商品開発/設計マーケッティング 生産化

BEST拠点の選択

コア技術 コア技術の進化

営業設計 固定/変動設計生産化

・俊敏かつ迅速

BTO,CELL生産Value Customerzation

顧客研究 機能展開 機能設計

メニュー設計編集設計適生産

システム国内拠点の再強化

コア技術建て直し

マネージメント

マーケティング・開発

の機能連結

カスタマイズのビジネスプロセス

Core technology Strategy

Market through Development

Value Custermerzation

Technology Vertical

Integration

国内の製造業の生き残りモデルとして、カスタマイズを中心にしたビジネスモデルを構

・デジタルエンジニアリング

・3D-CAD,CAE,CAM,CAT

・ナレッジ

・ERP/CRM/SCM

トレンド

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8.1.コンセプト1:Core Technology Strategy

自らの技術の強みから新たな事業価値を作り出す取組み  ・進化とスパイラル

1.狙いと背景

多くの製造業でスパイラルアップせずに、人と共に技術が去ってしまう。

製造は営々とやっているが、ただ生産のおもりをしているだけ。このために、コスト競争力をなくして、中国化したり、海外品との負けで、いずれれにせよ生産の場そのものも失われつつある。このことは、日本の製造業にとって極めて憂うべき事態である。製品機能を支える製造プロセスの根本となる技術の変革がされてない。だからコスト、品質、製品性能で遅れを取ってしまう。そして製品の競争力がなくなり、シェアを落として、また競争に勝てず事業としての強みがなくなり、衰退していく。

技術とイノベーションが繰り返しておきていないところに商品力の低迷がある。

このように技術が弱くなる〔正しく言うと進化していかないと〕と技術そのものが衰退し陳腐化していく。

自社の技術を今日的に再構成し、事業を強くするコア技術として再生するための考え方と取り組みである。

2.コア技術を強くするマーケット・技術・商品の再構築

マーケット→商品→技術のサイクルを逆にして、コア技術の再構成→新規商品→新規マーケットの流れから商品を創る

・マーケットニーズをバックグランドに置く

・既存商品をモデルキーにして、コア技術を再構成する

・自社技術に基づく商品機能の開発と再設計を行う

・マーケットとビジネスプロセスの改革を行う

新規又は改良商品

新規マーケット

コア技術技術の強みの発揮

既存商品

既存マーケット

コア技術

自社技術を目的的に再統合して商品の付加価値を拡大

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8-2.コンセプト2:Market Through Development 開発で商品力の全てが決まる・開発でのQCDの同時改善

1.狙いと背景

顧客ニーズの高度化、高水準化更に変化サイクルの短縮化に伴い、商品開発での商品のQCDのパーフェクト化が必要とされている。しかし、現実には    

・試行錯誤が多い      ・上市後のトラブルもある  ・コストが甘い  と言った問題を引きずっている。

本来、コア技術を組み込んだ商品そのものの差別化と技術の完成度が商品力を決めるはずである。このために、マーケティングから開発、量産化までの仕事の完全化とコア技術の深耕化と体系化を図るための新たな取組みが期待される。

2.取組み対象と進め方

顧客

マーケッティング戦略

顧客研究

・ニーズ探索

・商品コンセプト

機能開発

・ES適用

・シリーズ設計

・3D-CAD

/ Simulation

量産試作

上市

顧客

マーケティング・ES機能開発 デジタルエンジニアリング

・固定/変動設計

・諸元ロジック

・専用パッケージ化

・機能モデル

・シュミレーション解析

コア技術

  デジタルエンジニアリングへの展開

固定/変動設計  反復単位のパターン化・

パッケージ化   デジタル化

機能モデル設定   シュミレーション設計                シュミレーション解析

機能の定義

入出力の「場」の構造化

状態変数の考察

駆動伝達過程の考察

仮説の構築

対策指針の設定

  機能 適開発(ES法)

  顧客研究

顧客の使用の場の研究

ーシーン分析

ープロセス分析

ニーズ・機能の構造化

〔注〕

〔注〕ES(Engineering Science)方は、

自然法則に戻してコア技術を深耕する方法です。 Copyright @ IDEA Inc. All rights reserved

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8-3.コンセプト3:Value Custermerzation

顧客一人一人への価値の差別化を図る  ・コストを上げないカスタマーゼーション

1.狙いと背景

顧客のニーズは際限なく多様化しており、それに伴いカスタマイズの必要性が大きくなっている。コア技術を組み込んだ魅力ある商品と言えども多様な顧客ニーズに積極的に向かい合わねばならない。

しかし、いたずらなカスタマイズは、コストを上げて、品質を落とし、かつ納期を長くする。コストをかけないカスタマイズをどう計画的に実現するかが、取組みのポイントである。

このためには、固定/変動をベースに、

・固定部分の徹底した標準化

・変動部分の計画的なレンジ化、系列化

・生産工程の品種替えに柔軟な生産体制

・注文に即時に応えられる確定生産方式の確立

等の総合的な取組みが期待される。

2.取組み対象と進め方

標準化を基軸にした営業・設計・生産のトータルの見なおし

積極的に生産性を高める生産の仕組み 納期を 重視する生産の仕組み

・多能工化  

・Skill向上

・機動的編成           

固定/変動

解析標準化設計

共通機器 /共通部品

・Lot購入   

・計画生産   ・在庫補充生産

・冶具の標準化

・多台持ち        

•流れ化 /Line化  

 

個別機器 /個別部品

・Build to order・無在庫生産方式   

標準機器・納期、価格決め

仕様決め営業担当

(場合により商社等含む)

いわゆる固定部分

•Cell化 /Module化 

 

VR設計〔注〕

〔注〕VR(Variety Reduction)は、JMACの高達秋良らにより開発さ

れた製品構造簡素化技法

お客様本社

Computer

D/B

営業

設計―製造へ一貫展開

設計

いわゆる変動部分

調達・加工

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Ⅱ.コンセプト編

1. コンセプト1:Core Technology Strategy

1.1技術は果たしてスパイラルしているか

多くの製造業でスパイラルアップせずに、人と共に技術が去ってしまう。

製品機能を支える製造プロセスの根本となる技術の変革がされてない。だからコスト、品質、製品性能で遅れを取ってしまう。そして製品の競争力がなくなり、シェアを落として、また競争に勝てず事業としての強みがなくなり、衰退していく。

技術とイノベーションが繰り返しておきていないところに商品力の低迷がある。

このように技術が弱くなる〔正しく言うと進化していかないと〕と技術そのものが衰退し陳腐化していく。

今の技術は30年前、20年前と変わっていないと話を聞かされることがよくある。

しかし、当時は血眼になり、技術の確立に奔走しあったはずである。そのような過去のコア技術は、それ以降全く止まっている訳ではなく、色々な改良もしてきているはずである。そのようなコア技術を今日的に使える形と水準でよみがえらすことが出来るのかどうか。

本論は自社の技術を今日的に再構成し、事業を強くするコア技術として再生することができるのかどうかについての考え方と取り組みである。

cost

製造方式1

時間・効率化

製造方式2

製造方式n

製造方式を進化させてコストを大幅に下げなければ、コストは飽和化して、賃金格差で、海外に負ける

イノベーションが商品とコストを創る

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1.2自社の強みを生かした新たな商品作り

コア技術があり、そのコア技術が育っているならば、既存市場と既存商品の中に閉じ込めておくのではなく、既存市場と既存商品の枠組みを一端白紙にして、自社のコア技術の強みを組み合わせて魅力の出せる商品作りへの挑戦が必要である。

これは単なる用途の探求ではなく、新しい市場と商品の再設計といったものである。コア技術だけでは不足するならば、新しい技術の組み合わせについての開発行為がついてくることが望ましい。市場から見る見方が大切である。

このためには、自社のコア技術の設定をキチンと行うことが第一である。そして自社シーズのコアテクノロジーについてより正しく認識することである。

このコア技術をどのような水準に引き上げたら、何が出来るかのシナリオ作りはこの時点で も重要なものである。

場合によっては、既存市場でもこの点の発想の転換と掘り下げがされることにより、既存市場も新しい顔に見えるかもしれない。どんな場合でも、市場が価値を認めてくれない限り、商品に勢いがつくことはない。

冷静かつ客観的に顧客の研究をすることが必要である。

顧客のニーズの探索ができると、このニーズに応える価値は何か。この価値をどう目的的に定義するかが必要になる。

このプロセスを正しく踏むことが全ての商品価値の枠組みを良くもすれば、悪くもする。

自社コア技術の進化、発展

コア技術の再構成商品機能の開発

市場、顧客の研究マーケットクリエーション

新たな商品

新たな市場、領域の探求

既存商品のコア技術解明

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1.3取り組みとアプローチの全体フロー

既存市場と既存商品の枠組みを一端白紙にして、自社の技術の強みを組み合わせて魅力の出せる商品作りへの挑戦が必要である。既存市場と既存商品が、このような自社の技術の強みを生かした商品開発の取り組みのアプローチである。

 取組み手順  

既存モデル商品の設定

市場・商品・ビジネスモデルの評価と構想

コア技術の展開と構成

 モデル商品の技術分野

と技術関連プラットフォーム

市場とビジネスプロセスの変革点の顕在化

これからの市場・商品・ビジネスプロセスの概念構築

ありたい商品の構想

異なる商品が複数でも良い

コア技術を発展して、既存市場を強くする場合もある

 既存市場でのニーズ・製品機能

・生産プロセスの技術連関

 付加を含めてコア技術の再構成

製品

要求特性

使用の場

製品挙動

製品物性/特

原材料挙動

プロセス条件

原材料物性

/特性

方式

 技術連関  

<状態変換2>

基板上での溶剤の揮発

と膜凝固

<状態変換2>

基板上での溶剤の揮発

と膜凝固

<状態変換1>

樹脂と銅粉体の分散と保存中の銅粉体の反応

<状態変換1>

樹脂と銅粉体の分散と保存中の銅粉体の反応

製品Aの特性

製品Aの特性

銅粉体の性状

銅粉体の性状

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2. コンセプト2:Market Through Development 2.1商品開発の置かれた状況と開発時点での機能とコストの再開発の必要性 

商品開発を取り巻く環境 期待される取組み課題 基本コンセプト

製品機能を貫くプロセスを自然法則に戻して、製品機能を再構成し 適化することによって製品機能と製品コストを適正化できる。このための方法が、ES〔Engineering Science Approach〕である。

製品機能 適化開発

顧客ニーズ 商品機能 商品構造

顧客ニーズに戻した商品機能の再設計

Speed Cycleに同

期できる商品機能のモジュール開発

顧客ニーズの要求水準の高度化

市場ニーズへの変化Speed Cycleの短縮化

市場ニーズの機能/

開発時点での商品機能とコストの再設計

=製品機能 適開発=

徹底したCost Down価格のベネフィットの 大化

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2-2.機能 適開発とは

機能 適開発とは、お客様の声にたって、お客様の真のニーズを顕在化して、製品機能を発現する手段〔方式、機構、構造〕を自然法則に戻して再評価して、再組立する考え方と方法である。

お客様の声

製品機能

○○品質〔騒音、振動〕改善 コスト

○○品質改善

機能の定義 入出力の場の構造化

状態変数の考察

駆動伝達過程の考察

仮説の構築 対策指針の設定

  機能 適開発(ES法)

○○メンテナンス

容易化

機能ユニット

機能ユニット

機能ユニット

  機能 適開発

・機能発揮の正しい手段〔方式、機構、構造〕開発

顧客研究

製品構成/構造

製 品 

ユ ニ ット

・ニーズ分析

・顧客の使用の場の 分析

・顧客の生の声収集

・既存商品の教訓分 析

・ニーズの構造化

・ニーズキーワード  設定

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2.3機能 適開発の進め方

①機能を正しく定義して、機能を貫くプロセスを機能を自然法則に戻して正しい物理条件を決定する。

②物理条件を発現するための施策の具体案を展開する。

③ユニットの機能構造モデルに構築して、関係する条件の検証を行う

③有効な施策案の考えられるオプションを、ありたい構造条件に展開する。

機能ユニットの展開

重点ユニットの

ES構想

方式構造設計

重点ユニット機能

モデリングシュミレーション

解析問題の定義

・ワークフロー

・方式案展開

・構造分割

・ダイナミックシュミレーション

・構造設計

・VR設計

・作りやすい設計

・ユーザー要望

・期待値水準

〔品質、コスト〕

・他社評価

・不具合事項

・機能展開

・問題と機能の

関連図

・機能別

改善ターゲット

・機能の定義

・入出力の場の構造モデル

・状態変換の考察

駆動伝達過程の考察

・仮説の記述

・改善指針の設定

・対策案の展開

オプション案 デザイン

レビュー

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2.4機能 適開発の期待成果

1.機能/方式を抜本的に見直し品質問題を改善する

-基本機能の安定発揮

 -振動、騒音、故障などの負の機能の改善

2.機能/構造を見直し、コストミニマムの改善する

-基本機能の安定発揮により、余分な機構/制御の排除し、簡素化

 -機能のありたい姿に立った構造と部位の適正化

3. 開発方針設定設定から量産確認までの期間を 短化する

-試行錯誤の構想検討の期間の 短化

 -試作での繰り返し回数の 小化

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3.コンセプト3:Value Custermerzation3.1 Value Custermerzationとは

日本の製造業は、何を競争優位性にこれからを戦っていけばよいのか。迷いと混迷の長い沈黙が、起きている。失われた10年とは、この自問自答を反芻する沈黙の10年間だったようである。

一方、この失われた10年の間に、製造業の足踏みとは、お構いなしに一番変化しているのが、消費者である。例えば、

・IT技術の進展が、情報を中心に物とお金の新たなビジネスモデルを多く作り出し、時間と空間を超えて、不特定多数の顧客との一対一の出会いとチャンスを作っている。

・ 消費者は、単に商品という物とサービスを提供されて満足する人ではなく、情報を

通して自分たちの生活と生き方を主張する人に変身してきている。

・ 一方で、ワン トー ワンのインターネットを用いた販売スタイルは、今までの販

売コストに費用がかからない分、顧客のニーズをきめ細かく聞き出し、カストマイズしていくサービスを可能にしている。オンリー ワン プロダクトが顧客満足を実現している。

顧客は、多様な価値観と生活観を持った人達である。それなりに潤沢な商品に囲まれた生活の中で、こだわりと自分の主義主張を持って行動している。しかし、売れない時代のこの10年の中で、製造業は、どれだけ顧客の研究をしたというのだろうか。マスでひとくくりにしたマーケティングをして、これなら売れる、売れないはずはないという多品種量産主義から抜け出せていないのではないだろうか。

一人一人のニーズに応えるという個のマーケティングの時代にきており、その転換が急がれているようである。

バリューカスタマーゼーションは、一人一人の価値に応える新しい生産システムの提案でもある。

一人一人の価値に応える生産システム

一人一人の価値〔ハード、ソフト、サービス、気持ち〕に応える商品のカスタマイズ 顧客

顧客研究 商品開発 生産 販売

顧客

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3.2 Value Custermerzationの生産システムモデル

Value Custermerzation の生産システムモデルは、V軸(Value Chain)とS軸(Supply Chain)の2軸を統合した生産システムが不可欠である。V軸は、顧客ニーズを正しく商品価値に変換する機能訴求型の商品開発が重視され、S軸では、顧客のニーズを元に 適な製品

仕様を組み立てて、顧客が欲しい時に、欲しいだけ生産する販売・生産・物流の体制である。

商品企画・開発 設計 生産 物流 販売

顧客

研究 ・商品コンセプト

・ニーズ探索

機能

開発

・物理条件

Siries 設計

・3D-CAD/    Simulation

上 

Concurrent 体制

確定生産/供給

・Module / Cell 生産方式

Data Highway ( IT )

生産システムのモデル

注文仕様

(Customerzation )

-Needs  

Assembly

工場直接出荷

V軸

固定/変動

設計

S軸

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3.3 コストを上げないカスタマイズの仕組み

多様な顧客Needsに限りなく対応するためには、機種を無限に増やしていかねばならない。しかし、このことは経営資源が有限なことを考えると現実的ではないし、機種を増やせば増やすほど1機種当りの採算は低くなる。

顧客Needsを技術一体になって事前に整理し、Needsを編集した結果、出来上がった製品を顧客に提供する。(顧客に買ってもらったものが顧客だけの「機種」である。)このことにより、顧客の多様なNeedsに対して効率的に製品を組合せて提供できる。また、製品コストが上がる心配もないし、Q、C、Dが事前に保証されているので、安心して顧客に商品を提供できる。この考え方を突き詰めていくと、、販売時点で顧客のNeedsを編集し、その情報を工場に即時に展開することにより、販売から生産までの一貫した仕組み、Systemの構築が図れる。

営業

設計

固定/変動

解析標準化設計

・Type・Size、Color・その他Option・納期、価格決め

お客様

仕様決め営業担当

(場合により商社等含む)

設計、部品D/B

生産管理Master

工程管理

・組合せ

Costomerzation・製品Structure・Module組合せ

・部品情報・作りやすい設計

・変動 小化設計

本社CPU

生産管理CPU

Sub組立材 料 鋳鍛造 加 工 熱処理 加 工 本組立 出 荷

EngineeringCPU

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3.4活動の進め方

活動を進めていく上では、まず既存の商品〔群〕を対象に顧客ニーズに戻して、既存の商品を見直し、カスタマイズへの方針と対応を明確することから入る事が必要である。既存の製品構造は、顧客ニーズに立って、固定/変動を明確にしてカスタマイズと言えども無秩

序に一品化しない為の方策を組み込む。

製品の考え方を受けて、カスタマイズに応える生産方式と体制を再構築する。この考え方の基本は、機動性とフレキシビリティーに耐える人、物、設備、情報の再構築である。

商品開発の必要性があれば、顧客のニーズから商品の魅力ある機能の再構成を行う。

顧客ニーズの研究 既存商品の解析 製品構造の再設計

生産方式の構想 生産体制の再構築

新商品の企画 開発推進

実施

実施

実施

・顧客の使用の場とプロセスの解明

・ニーズ分析

・ニーズ/仕様の再

整理

・仕様・構造分析

・メニュー/ニーズ編

集ツール構想

・固定/変動分析

・変動ロジック解析

・コード体系

・確定生産方式

・短サイクル生産方式

・工程、設備、作業の再構成

・場内物流の整流化

・商品コンセプトの策定

・商品計画

・商品機能の設定

・機能の解決方針設定

・試作

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Ⅲ. コア技術経営の構築法

1.事業のスキームを再設計

1.1理想モデルを追及する

コア技術経営の目指すべきものは、個性とダントツな技術・サービスにより質で差別化できる事業づくりである。その指標は利益率です。

〆現有のコア技術と事業を正しく評価して

〆事業の理想の経営モデルを構想化して

〆理想経営と現有事業の水準ギャップを顕在化して

〆現有事業のコア技術の再強化と優先的に強化すべき点を明確にして

目指すべき事業のスキームを明確にして再設計する。

売上 利益

量、効率 質、価値

横並び 差別化

設備、建物、土地のハード資産 技術、人材の知的資産

規模とスケール 個性と商品・サービスのダントツさ

差別化できる経営へ

社会に貢献する為に、自社に何が出来るかの理想を追い求める

付加価値UP(Value Up)

現有事業

これからの理想事業

理想事業の経営条件設定

理想事業の構想モデルづくり

これからの事業の再戦略化

現有事業の抜本改善

現有事業の評価

利益・利益率

時間→

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1.2コア技術インのビジネスモデル

コア技術があり、そのコア技術が育っているならば、既存市場と既存商品の中に閉じ込めておくのではなく、既存市場と既存商品の枠組みを一端白紙にして、自社のコア技術の強みを組み合わせて魅力の出せる商品作りへの挑戦が必要である。これは単なる用途の探求ではなく、新しい市場と商品の再設計といったものである。コア技術だけでは不足するならば、新しい技術の組み合わせについての開発行為がついてくることが望ましい。市場から見る見方が大切である。   一方、既存のコア技術の展開、いくつかのやり方があるが、例で示すのは、技術領域を明確にして、製品の物理条件〔大項目レベル〕と製造条件を展開し、そのバックグランドとなるコア技術の内容を展開したものである。自然法則のレベルでコア技術を整理している点が特徴である。コア技術の関連と対象が明確になるレベルで十分である。

新たな市場、領域の探求

商品再設計

市場、顧客の研究

既存商品〔群〕 訴求項目の展開コア技術展開・評価

商品・サービスの差別化コア技術の進化

改良

既存事業

これからの事業

コア技術の展開例

電 気化学

微細構造

容量 保 存特性

intercalation溶 媒

ion伝導

Ion半径

Amorphous

Slurry化

組 み 立て条件

電 気化学

材料化学

微細構造黒鉛化

容量 保存特性

intercalation

製 品 機能

溶 媒和

ion伝導

Ion半径

Amorphous

製造条件

Slurry化Coating条件

組 み 立て条件

Active Material

Electrolyte

機 械 工学

製造条件・製品機能を自然法則にBreak-down

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自然法則に基づき製品機能・製造条件 適化の条件を把握する。

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1.3 コア技術経営の構築手順

コア技術経営に向けての改革は、強い経営トップの問題意識と先導力から生まれてくるが、トップからスタッフ及び担当までを一貫させるために

・ (Stage-1)優位な競争条件戦略立案まず、経営トップが中心となり、理想の経営条件モデルの

戦略を立てる

(Stage-2)勝てるビジネスモデルの策定

・理想の経営条件を発揮できる勝てるビジネスモデルの構想と策定を行う。

(Stage-3)固有技術再設計と課題のブレイクスルー

・具体的な製品作り全体のこれから期待水準に応える技術課題のブレイクスルーと再設計を行う。 の順で進めていく。

理想経営条件を創る戦略立案

勝てるビジネスモデルの策定 課題のブレイクスルー

Stage-1 Stage-2 Stage-3

・ありたい目的〔理想条件〕への状態変換のコンセプト

・顧客研究と実態認識

・顧客価値の展開とコア技術の展開

・ビジネスドメインの再設定

・経営目標方針の戦略設定

・ビジネスプロセス構想

【Value軸とSupply軸】

・開発の仕組みとプロセスの改善方針

・販売・生産・物流の仕組みとプロセスの改善方針

・コア技術の見直し構想

・課題の設定と構想づくり

・課題の層別と課題別改革方針と対策シナリオ

・具体技術課題の解決

・実施計画

約4月 約4月 約4月

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2.課題を構想化する

2.1ありたい水準とのギャップの顕在化

ありたい理想の経営水準とは何か、その仕組みはどうあるべかについてのコンセプト作りが大切である。このコンセプトを実現するありたい水準の仕組みに対して現在の仕組みはどうなっているかを明確にして、そのギャップを顕在化することにより、改革の課題を展開していく。この際

・利益率中心の経営に変えるための既存の仕組みの白紙化を図る。

・コア技術を組み込んだありたい仕組みを想定する

・マーケット、商品、プロセスの全ての条件を再評価して課題化する。

ようにして、ありたい経営状態への課題を創る。

現在

将来

・グローバル価格競争

・デフレ経済

・規模縮小

・停滞活動

・グローバルマーケット

・価値革命

・質拡充

・挑戦活動

目的状態〔理想〕の変革

効率中心経営 利益率中心の経営

理想状態

・利益が出ない

・コストが高い

・商品の魅力が無い

・売上が上がらない

・利益を上げる

・低コストの仕組みに変える

・商品の再構築を図る

・売上利益率を上げる

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2.2コア技術経営のスコープ【V軸とS軸の同時改善】

コア技術経営は、各企業の持ち味を 大に伸ばして、理想実現する取組みである。

このためには、事業全体の見なおしをV軸とS軸の2軸を同時に見直す。

①V軸は、商品開発の仕組み、体制を技術知の組織化を通して、再構築する。

 更に、商品開発時点で、商品機能とコストの 適設計を行う。

②S軸では、コストとスピードを向上するために、業務プロセス及び生産プロセスを機能に戻して、

再設計する。業務プロセ

スは、業務の一貫した仕組みづくりからITへの展開を図る。生産プロセスは、既存プロセスの品

質、コストの限界を追求す

る。

③上記の見直しをコア技術に戻して、見直す。

顧 客

顧 客 プロセス SCM

(Supply  Chain)

商 品

コア技術→コア・コンピタンス

コア技術→コア・コンピタンス

技 術

・ビジネスプロセス再設計とIT化

・生産プロセスの機能限界の追及

VC【Value Custom Chain】

・製品開発強化

・技術プラットフォームの構築

・技術ブレイクスルー

 コスト・品質 & スピード

 バリュー・売上 & スピード

超効率化超効率化

Value創出Value創出

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2.3シナリオを作れば方策が見える

今までの延長に無いむしろ21世紀に勝てる事業を目指して過去を否定したこれからの事業を作り出すことほど難しいものは無い。               ・現状分析をしても参考にならない                    ・他社の真似も意味が無い                      

と言う中で、理想経営を目指していくことになる。しかし、拠り所は、現在の顧客であり、現在のコア技術の評価であり、現在のビジネスプロセスの再評価ということになる。全く根こそぎ放り出されたわけではない。人がいて、技術があり、そこに顧客がいれば、これからの事業の理想モデルは必ず作れるし、新たな事業への変身も可能なはずである。

このための取組みは、シナリオづくりを通したありたい願望の構想化づくリガ有効である。

目的、やることの共有化

(メインキーワード)

経営期待目標利益他

目標〔理想〕システム

解決キーワードの抽出

課題の展開

解決のシナリオ

現状の問題展開

実態システム

デザインアプローチ

規範的/探索的な解決の手がかり

キーワードの発展

コンセプト

コンセプトの導出解決すべき方向、方策→

現状アプローチ

実態の改善方向実態の本質的構造理解

実態の悪さ、不具合の顕在化現状水準

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3.中長期計画に組み込む3.1 ステージアッププランをつくる

ありたい理想水準のシステムと実態システムのギャップを構築すべきシステムの水準

として区分したものが、システムレベルの設定である。理想の水準の到達は、永久に

完成されるものではないが、今、目標にしている理想水準をゴールとして、3年前後で

近づくように活動のステージアップすべきプランを作る。

第1段階

基 盤 の 強化

・Q、C、D基盤の確立

第2段階

部分的機能の高度化

・部分的機能の競争条件の実現

第3段階

全体 適の達成

・全体機能のレベルアップと経営競争力の

実現

理想状態

現在状態

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3.2 マスタープランの策定

マスタープランの策定についてのポイントを以下に示す。

・中長期に合わせ、3~4年の期間を対象にする。このゴールを現在考え

られるあるべき事業の目標水準に置く。

・各ステップでの実施内容が経営期待(効果)と対応できるようにして、

各ステップ(または年度毎)毎に経営から見た判断とレビューが可能なようにする。事業環境の変化に合わせて、次の活動見直しもおこり得る。

・各ステップを実現するための技術課題については、別途に解決の仕方、

推進方法について明確にする。

第一ステージ 第二ステージ 第三ステージ 将来〔理想条件〕

活動の基本的考え方

経営成果    利益

○○

投入資源、投資

コア技術

商品開発

カスタマイズ

技術者教育

取組み課題

項目

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Ⅳ.技術者を強くするマネージメント

1.技術者魂を呼び起こせ

技術者の力が低落していることが、強い製造業を取り戻せない理由の一つになりつつある。筆者の関連する企業でもこの傾向は強くなっている。そこには、簡単に自己満足し妥協してしまう技術者の姿がある。

①どうして挑戦しないの?

・課題には、設定型問題と発生型問題との二つがある。今、日本の製造業に問われているのは、明

らかに設定型問題である。しかし、自らを追い込む設定型問題に挑戦することは少ない。

・高い目標に心を揺さぶられない。過去は、日本一、世界一という目標に皆、目を輝かせていた。組織へのロイヤリティーの希薄さとあいまって、高い目標を自分の目標にすることがまれになりつつある。

・金は使うな。失敗はするな。の大号のなかで、こんな程度でいいか。といった妥協型の仕事の仕方が、個人、チームの進歩を妨げる。

②どうしてものの見方を変えないの?

・目の前の課題が、「困難かつ容易ではない」と認識したら、色々な角度と発想から見直してみたらいいが、その試行錯誤の形跡がない。「そもそもものの見方をどう変えていこうか」という解決のための地図作りが不得手である。

・現場は、知るものではなく、五感で調べて知り尽くすものである。ここから真の問題の発掘とシナリオが見えてくるが、この一皮が破れない。だから思考が陳腐になる。

・ものの見方は、原理、原則的の側面から見ることにより、発想も拡大する。しかし、この点の思考訓練は、学校教育でもされていない。

③どうしてもっと勉強しないの?

・「分からないことが、分からない」から知識を獲得する必要性を感じていない。

・課題のバックグランドを整理したり、組織内発表したり、論文にしたりと知識を自分のものにして自分を高める制度もなく、かつ評価もされないので、慢心して人間関係だけを重視した技術者になっていく。

・「組織で学習する」事は先ずない。技術のマネージメントの低さの裏返しで、「組織で学習する」時間も余裕もない。個人がバタバタしているとそれで活性化できているとマネージャーも考えている。だから組織で何も共有されず、個人も組織もレベルの低さに気がつかない。

総じて、何の気づきと熱い気持ちの無いことが、事なかれ的な技術者と技術部門の風土を形成してしまう。技術者魂を呼び起こすことが出来なければ、真に強い事業に生まれ変わらない。

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2.技術者のレベルを上げる要素の概括

技術者のレベルを上げる議論ほど単純でなく難しいものはないが、優れた技術者の側からその

要素を考えると概ね次の観点から説明できる。人に強い気持ちが無ければ何も始まらない。

これをここでは人間力と読んでいるが、人間力は、意欲、やる気のマインド力とチームでの連携できる気配り、状況判断、コミニュケーション力が不可欠であ。一方、技術者の固有の力は、技術力と呼んでいるが、技術力とは、問題を定義し、課題に展開できる力と課題をブレイクスルーする専門力が必要である。

意欲とやる気の

マインド力

組織でのチーム力

専門領域の

技術力

課題を設定する力

プレーニングマネジャー

型の優れた技術者

一匹狼型の優れた技術者

人間力:強い気持

ち、責任感、目的意識等が優れている

技術力:問題解決

に技術見識、経験、知識で優れている

優れた技術者の要件は、

人間力:マインド力とチー

ム力

技術力:課題設定力と

専門技術力

である。

ー人間力の無い人は、組織の中での技術力の発揮は難しい

ー技術力は、課題設定する力と解決する力からなる。課題設定に長けている人は、解決する力も強い。

ー意欲とやる気の側からだけで技術者を意識変革することは難しい。

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3.技術者のレベルを上げる仕掛けづくり

どの企業でも、技術者は、自分で黙々と仕事をして、ひとりでに自分を磨く人たちであるという思い込みが強いが、当然技術者である前に立派なサラリーマンなのである。

・技術者が入社時点で、その会社は既にビッグであり、このため技術者自身が、苦労よりも安住を選択しているということは良くあることである。・個人主義が蔓延し、一人一人の意識とマインドを変えることは、岩に体をぶつけるに等しい

・点数とか評価には過剰に反応するが、見えないところではやる気を出さない

というように、今日的な技術を揺さぶる手がかりは、組織としての強制力と見える化にあります。

背中を押して追い込む仕掛け

①気づかせる②行動を見える化する③評価につなげる

「気づきと行動」の仕組みづくり

経営課題の垂直展開

トップからマネージャーチーム担当の経営課題の垂直展開と進捗の見える化・経営が見える・マネージメント見える・チーム担当のワークが見える

学習し続ける組織の体現

専門分野のテーマと方法の共有化・課題の構築・問題把握・原理、原則の解決法・実験法・評価法

経営課題評価

活動の評価 学習の評価

経営、活動、学習の「見える化」

人事考課

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3.1 技術者への「気づきと行動」の仕組みづくり

気づきの無い所に、人は発見も工夫も感じない。

気づきのきっかけは、その人なりの「これでいいのか?」という自分と周り又は対象との比較〔差異〕が原動力にある。利益が出ないことが分かれば、どうして?と問いかける。歩留まりが理想条件に対して、下回っていたらどうして?と思案する。この気づきのサイクルの追い込みが大切である。

事業の目標願望が、収益にあると

―収益に直結するありたい水準状態をどう明確にするか

―ありたい水準状態の決め手となる達成変数(ドライビング・ファクター)をどう選定するか。

―その達成変数(ドライビング・ファクター)の実態水準をどう把握して、顕在化させるか。

―その差異がわかった時に、どのような問題認識を持ってどう行動するか

が、まず気づきのメカニズムとして理解できる。

経営に沿って、正しくガイドを設定し、強制的に背中を押せる仕掛けが、まず必要である。

気づき

・組織目的、目標

ありたい水準と実態水準〔自己レベル〕の差異の発見

問題意識の醸成

行動化

組織の共鳴と伝播

思考の試行錯誤

現状

差異

組織の進化

時間

経営水準

願望の共有化

現状

差異

人・組織の進化

時間

有りたい水準

気づきのメカニズム

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3.2 経営課題の垂直展開

当然、役割に応じて責任も異なり、役割も違います。

―利益率を拡大し、このための部門別の改善目標を明確にするのは、トップのやる事になる。

―マネージャーは、自分の部門の関連する経営指数を更に展開分解して、上位経営目標の数字を達成する為に、具体的に何をどのくらい改善して達成できるかを、十分に根拠付けして、改善値目標として活動項目ごとに提示する

―担当は、更に各項目ごとに、改善につながるガイド指数を展開して、この指数の実態水準がどうなっているか。有りたい目標とのギャップは、どうなっているのか。について差異の考察と発見をする。更に差異がある場合は、何を改善コントロールすればよいのか。それぞれの改善変数をどう見直せばよいのか。について思案して、具体的な行動への対策化を図る。

いずれにせよ、技術者へのミッションを銘菓にして、やりきらせるためには、マネージメントが結果を技術者だけのせいにせず、正々堂々と受けて立つことが大切です。技術者を裏切らないマネージメントがあれば、技術者は本気に受けて立ちます。

原料↓副原料↓ エネルギー↓原料↓ 直接労務費↓

製造費↓

歩留りアップ↑

品質ロス↓ 切替廃棄ロス↓

ダイス品質↑ 設備品質↑

ダイス構造

圧力時間温度

②下位経営指数

③達成ガイド指数(ドライビング・ファクター)

④改善変数〔インプルーブメント・指数〕

販管費↓ 商品力↑

トップ

  マネージャー

チーム 担当

利益率↑

事業力↑

売上拡大(新規事業含む)

事業戦略事業戦略 ①上位経営指数

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3.3 学習し続ける組織の体現

企業のリストラと合理化が進み、担当の業務は必然的に忙しい密度の高いものになっている。このために も犠牲になっているのが個人と組織の将来に向けての学習である。高度化する技術課題の要請に応えられなくなっている。

組織が計画的かつ継続的に学習する姿勢をもって、積極的な知識の獲得を図る。このためには、

ー学習のゴールを明確にする〔事業目標をコア技術をキーにして挑戦的な課題の設定をする〕

ーゴールにたどりつくためのステップと技術ドメイン/アプローチの設定

ー必要な知識〔現場知見、外部の見識、基礎理論〕の学習細目の決定

を計画化して、この成果を

事業経営と中長期的な活動とリンクしていく。

事業課題 ゴールの設定

年月

通過ゴール

通過ゴール

通過ゴール

学習の領域方法の設定

・顧客に学ぶ、巻き込む

・現場に学ぶ、巻き込む

・外部に学ぶ、巻き込む

実践と見直し

成果評価 人事考課

基本は、自己啓発

・コア技術の伸長

/戦略展開

マイルストーン計画

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4.問題のタイプによって決まる技術解決の   

 アプローチ

本来、問題のタイプと難しさにあわせて、解決の仕方も変えるべきであるが、意外とお決まりのやり方が各自で固定されており、野菜を切るにも魚を切るにも同じ包丁を使い、切れないで四苦八苦している姿に似ている。ことがある。特に問題そのものが、難しくなりどこから手をつけていいか分かるなると、理論的に考えることが大切になる。この方法をES(エンジニアリング・サイエンス)法と呼んでいるが、アプローチを変えなければ、正しい解決は難しい。またどのよ

うな場合も現場から考えることが大切で、現象と挙動を正しく理解することが、問題の根っ子を掴み、思考の選択肢を拡げて、正しい思考への筋道を作る。

対象メカニズム解析

対策案作り・検証

問題の定義 仮説設定 解決指針設定

アプローチ1

現場から考える

・構造、プロセスの関連分析、解析による問題の解明 アプローチ2

設計原理・条件から考える

自然法則に戻して理論的に考える

・機能の原理、方式の関連分析、解析による乖離の解明

・機能を貫く自然法則に戻した仮説づくりと状態変数の展開と指針化

問題のタイプによって、どの方法を選ぶかを決める。

アプローチ1 問題を

構造化して解決

アプローチ2 設計原

理に戻して解決

アプローチ3 自然法

則の上で仮説を構築して解決

アプローチ3

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5.技術者の適材・適所技術者の適材・適所を見抜くことは中々難しいこどてある。適材・適所を見ていくには、基本的なスクリーニングとして次の観点から見ていくことがいいであろう。

ー専門技術力

・理論展開と仮説構築に強い

・論理思考に強い

・構成力がある

・データ解析と考察に強い 

・現場の課題展開に強い

ー人間力

・向上心が高い

・好奇心が高い

・失敗を恐れない

・忍耐強い

・コミニュケーションが良い

・組織プレーが出来る

この観点から一つの私案として適材適所のための必要能力を分けてみた。その観点が正しいとしてどうやって、どのような方法で評価すればよいかはこれからの研究課題としたい。

一つのケースとしての適材・適所

理論

+仮説構築

現場課題力

データ解析

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Page 43: 【ANSWER REPORT】強い製造業を創るコア技術経営/Core Technology Management

あとがき

日本の製造業がこのままではいけない。と誰でもが思っている。しかし、この10年以上の間

に世界の枠組みは、完全に変わってしまった。日本の製造業が強く復活するには、独自の知恵を持って、未来を切り開く勇気を持つて行動するしかない。

しかし、考え方を変えれば、これからの時代は顧客を大事にする顧客との一対一の真剣勝負の時代でもある。顧客を研究する所から価値の発見が出来てくる。価値を追いかけていけば、今ままでの効率主義からの脱皮になっていく。

価値を中心に顧客と一体となる所にこれからの日本の製造業のモデルがある。そしてその価値に応えるベースの技術がコア技術に他ならない。コア技術とは、その価値に応える為の研究開発から製造現場までの技術の総称と理解してもらいたい。

コア技術を基本として理想を追い求めて、自分との戦いを始めていく所に本コア技術経営の意義と意味がある。しかし、幸いなことに各製造業にある技術のファンダメンタルズは変わっていない。各企業のコア技術を今日的に理想経営の側から是非、見直してもらいたい。これが、コア技術戦略である。

また、顧客中心の商品開発は、ややもすると新しい商品コンセプトの元で、今までの機能を否定することも多くなる。ハードから入る開発ではなくニーズから入る開発への取組みが大切となる。この商品機能を支えるものがこれからのコア技術と言ってもよい。

しかし、一人一人の顧客の価値に応えるには、一人一人への商品のカスタマイズが不可欠である。この戦略にこだわる限り、海外製品との棲み分けは可能である。コストを上げないカスタマイズへの研究がこれから大事となる。

しかし、このような取組みを支えていくのは、技術者そのものである。これからの時代を実りあるものにするためにも技術者の発奮と技術者魂の復活がいつの時代も重要なのである。

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