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世界で学ぶ、世界を学ぶ —グローバル・イシューとは何だろうか— 2018年8月30日 小澤 弘明

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世界で学ぶ、世界を学ぶ—グローバル・イシューとは何だろうか—

2018年8月30日小澤 弘明

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グローバル化とは何だろうか

• すべてのことが地球規模 (globe⇒global)になっている⇒地球化・全球化(globali-zation)の進行

• もともと人間は、自分の住む近隣の地域のことを考えていた(region⇒regional, local)

• 人間は、200数十年前から国民国家単位でもの を 考 え る よ う に な っ た (nation-state⇒national)

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モノのグローバル化

• あなたの着ている服はどこで作られているのか

• 生産拠点は国外に移転

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2018年3月時点

日本 2中国 110バングラデシュ 10タイ 2ベトナム 39カンボジア 5インドネシア 16

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ユニクロ、アフリカ生産アジアより労働コスト低く

2017/12/27付日本経済新聞 朝刊

ファーストリテイリング傘下のユニクロは、アフリカで初となる生産拠点をエチオピアに設ける。同国はアジアの途上国よりも安い労働コストを背景に縫製産業が育っている。2018年中にもシャツなどの試験生産を始め、低価格・高品質の製品を安定的に生産できるようになれば欧米向け輸出拠点にする方針。価格競争力を高め、世界の衣料品大手に対抗する。

柳井正会長兼社長が方針を明らかにした。ユニクロの量産拠点である中国やベトナムの労働コストは上がっている。一方、エチオピアの労働コストはアフリカの国のなかでも低水準という。

エチオピアはユニクロが今後の重要市場と位置づける欧米市場に近く、米国向けの衣料品については税金がかからない。カジュアル衣料大手の「H&M」が現地生産を始め、中国企業などの縫製工場も増えている。

18年にもシャツ類を対象に現地の工場で試験生産を始める。品質や生産可能な枚数などユニクロが求める基準に対応できれば、生産量を順次増やすもようだ。

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カネのグローバル化

• 企業買収による資本のグローバル化

• 山東如意グループ(中国)によるレナウン買収(2013年)

• 鴻海精密工業(台湾)によるシャープ買収(2016年)

• JTI(日本たばこインターナショナル)による英ギャラハー社買収(2006年)

• ソフトバンクによる英ARM買収(2016年)

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ヒトのグローバル化

• 外国人労働者

• 移民

• 難民

• 人身売買

• たとえば、ロンドンのメイド(家内労働者)はバングラデシュやフィリピンから

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ヒトのグローバル化の事例(1)

• ジャマイカの経済特区(Free Zone)における女性繊維労働者 (映画 Life and Debt 『ジャマイカ楽園の真実』)

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ヒトのグローバル化の事例(2)

• 西ドイツのトルコ人、旧ユーゴ人

⇒ベルリンはトルコ人第三の都市

• 東ドイツのベトナム人、アンゴラ人、モザンビーク人

• ドイツのアフリカ人⇒Black Germans

• ドイツのシリア難民

• ベルリンのインド人IT労働者

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ヒトのグローバル化の事例(3)

• 埼玉県蕨市のクルド人(国なき民)

• クルディスタン+ワラビ=ワラビスタン

• クルドの祭り⇒ネウロズ

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グローバル・イシュー

• 地球規模で解決しなければいけない課題

• 一例として水を取り上げる⇒国際河川の汚染、海洋汚染は、国家で解決可能か

• 水資源の分配=バーチャル・ウォーター(仮想水)の問題は、国家で解決可能か

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5つのグローバル・イシュー

• テロリズム

• 国際労働法が存在しないこと

• 気候変動

• 抗生物質耐性

• 貧困

⇒こうした問題解決に向かう学問とは ?

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大学のグローバル化

• 研究のグローバル化 (グローバル・イシューを解決するための学問)

• 教育のグローバル化 (グローバル・イシューを解決するための人材育成)

• 運営のグローバル化

• 日本の大学全体がグローバル化を志向

• 千葉大学を具体例に、いくつかの特徴を

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千葉大学のグローバル化 (1)

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○ グローバル人材育成推進事業(H.24)の全学推進型に採択(国立大学で4校)○ スーパーグローバル大学創成支援事業(H.26)のタイプB(グローバル化牽引型)に採択(日本全体で37校)○ skipwiseプログラムの展開○ 国際日本学の副専攻

冊子『国際日本学2018』

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千葉大学のグローバル化 (2)

• English House の設置 (2013年)

• グローバル茶室「千庵」(2015年)

• 日本人学生と外国人学生の混住寮

⇒ 薫風寮 (2016年4月部分完成)

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千葉大学のグローバル化 (3)

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千葉大学の国際教育の目標値 (2014年に設定)

○ 10年後までに留学生受入れ数3.000人(政府の「留学生30万人計画」の1%)

○ 10年後までに派遣留学生1.200人(千葉大学1学年の50%)

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日本人学生派遣数の多い大学

• 関西外国語大学 1,812人• 立命館大学 1,585人• 早大ほか私立大学10校• 千葉大学 793人• 北海道大学 684人• 広島大学 661人• 名古屋大 643人

(平成28年度 JASSO調べ)

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千葉大学のグローバル化 (4)

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グローバルボランティア、インターンシップ

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千葉大学のグローバル化 (5)

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グローバル・スタディ・プログラム

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教育の基本理念 (1)

• 現代社会が抱える複雑な課題に対処するには、既存の学問分野単独では困難⇒分野横断・文理混合の教育・研究が不可欠

• 学問分野 (ディシプリン) から出発するのではなく、課題 (イシュー) を認識することから出発し、その解決を実現する能力を培う

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文系・理系という考えをあらためる

• 文系・理系は英語では何と言いますか

• 環境問題は文系の問題ですか、理系の問題ですか

• 移民・難民問題は文系の問題ですか、理系の問題ですか⇒難民キャンプの設計=工学、被災地医療・看護=生命科学、難民の教育=教育学、移民・難民の要因=国際政治学⇒「難民学」という学問が必要

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教育の基本理念 (2)

• グローバルな視野を持つ人材育成のため留学を重視

• 学生の自主的・主体的学びを促進するため、PBL (Project/Problem Based Learning) 型アクティブラーニングを実践

• キャンパスにとどまらない学修、社会に貢献する学修⇒社会的学び (ソーシャルラーニング)

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千葉大学と留学

• 多くの学生交流協定締結校 (2018.7.4現在で304協定)

• 協定に基づく海外派遣数は2012年度523名、2013年度539名、2014年度596名、2015年度637名、2016年度793名

• 海外キャンパスの設置⇒カリフォルニア大学サンディエゴ校、シャリテ医科大学(ベルリン)、マヒドン大学(バンコク、MUIC)

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グローバル化に対応した学事暦

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6ターム制という千葉大独自の学事暦○ 第1ターム (4〜5月)○ 第2ターム (6〜7月)○ 第3ターム (8〜9月) 集中講義、サマースクール

○ 第4ターム (10〜11月)○ 第5ターム (12〜1月)○ 第6ターム (2〜3月) 集中講義、スプリングスクール

柔軟な学事暦により、海外体験を促進 (ギャップタームを作る)国際教養学部2年次の第2タームに必修授業を置かない⇒6〜9月の連続した海外体験が可能に

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国際教養学部の留学の状況(2018年3月まで)

• 2年生:およそ80%がすでに留学したか計画中(4回目を計画する学生も)

• 1年生:66%以上がすでに留学を経験・計画

• 短期のグローバル・ボランティア、インターンシップ、グローバル・スタディ・プログラム、海外語学研修、海外派遣プログラム

• 米国、メキシコ、タイ、カナダ、オーストラリア、インド、イギリス、フィンランド、スウェーデン、ギリシア等長期留学が決定している者20名以上

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留学中の学習支援

• 学生は留学中も千葉大の授業を履修したり、演習に参加することができる。

• スマートラーニング Smart Learning の試行⇒テレビ会議システムによる履修、CALL英語の タ ブ レ ッ ト ・ ス マ ー ト フ ォ ン 対 応 、Grammarly(英文作成支援ツール)の導入、学修マネジメントシステムと学修ポートフォリオを導入

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大学の世界展開力強化事業

• ASEAN諸国でツイン型授業実践

• メキシコ・パナマとPost Urban Living InnovationProgram

• ロシア沿海地方、サハリンと未来農業の人材育成

• 米国4大学とCOIL (Collaborative Online International Learning)

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まとめ

• あなたはグローバル化した社会で生きていく

• グローバル・イシューの解決に向けた課題解決型の学修を

• 「現場で学ぶ、現場を学ぶ」「世界で学ぶ、世界を学ぶ」という気持ちで

• 自分のキャリアパスを描きながら大学生活を

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