a国市場におけるシェア獲得のためのD社の戦略

将来有望な新興α国市場に日本企業が５社

日本製の優良な製品を輸出しようとしています。各社はA社、B社、C社、D社、E社という商社で、いず

れの企業も合理的かつ利己的で自社の利益しか考慮しません。各社ともこの新興市場に対して積極的に輸出して初期の市場シェアを獲得したいと考えています。しかし、α国政府は自国産業保護のため、日本

企業に対しての輸入割当を発表しました。各社とも初期の輸出量により今後のα国での展開が楽になると

考え、少しでも自社の輸出量を増やすため、自社の戦略担当者同士で輸出割り当て量をゲームで決定す

ることにしました。

問題

A

STEP1：日本国内での売り上げの大きいA社、B社、 C社、D社、E社の順に、１％単位（０．５％などは考慮しない）で全社の割り当て量を提案する。

ゲームの

ルール

STEP2：A社が行った提案に対して、A社も含めた５社で

賛成か反対を投票します。賛成が多数もしくは賛成と反対が同数の場合この提案は受けいれられ、ゲームは終了し、各社がA社の提案に従い市場へ参入する。

反対が多数の場合、提案を行ったA社はα国市場から撤退し、STEP1に戻り、B社が同じ提案を行う。

解答問題

A

A社 B社 C社 D社 E社

結果

D社 C社 B社 A社 E社

９８％１％１％０％０％


A社

提案社

割り当て案

１００％０％０％０％０％

問題

A

賛成反対

１４

A社が自己利益を最大化するための提案をしたとする。

考察①：ゲームを考察し、考え方を導く


A社

提案社

割り当て案

０％０％０％０％

問題

A

賛成反対

１４

投票により、提案社Aの割り当て案は否決され、A社は撤退となる。

１００％


この様に、A社が自己利益を最大化するための提案をした場合は、この割り当て案は否決される。


割り当て案

０％０％０％０％１００％

B社 C社 D社 E社

B社

提案社

割り当て案

０％０％０％１００％

問題

A

賛成反対

1 3

A社が撤退し、B社の割り当て案に投票を求めたところ、賛成１票、反対３票であったとする。


B社 C社 D社 E社

B社

提案社

割り当て案

０％０％０％

問題

A

賛成反対

１３

投票により、提案社Aの割り当て案は否決され、B社は撤退となる。

１００％


この様に、B社が自己利益を最大化するための提案をした場合も、この割り当て案は否決される。


割り当て案

０％０％０％０％１００％

これを繰り返すと・・・

D社 E社

D社

提案社

割り当て案

０％１００％

問題

A

賛成反対

１１

仮にA社、B社、C社の割り当て案が否決され、D社が提案者になったとする。


D社 E社

D社

提案社

割り当て案

０％１００％

問題

A

賛成反対

１１

仮にD社がD社100％、E社0％を提案し、E社が反対しても、D社の賛成でこの案は可決された。


この様に、D社が自己利益を最大化するための提案をした場合は、この割り当て案は可決される。

このゲームの最後の提案社はD社となり、E社は検討しなくてよい。

D社 E社

割り当て案

０％１００％

問題

A 考察②：ゲームを解く上での条件

利益の最大化の定義

・自社の輸出割り当て比率が最大である事

(同率の場合は、競合数が最も少ない状態)

※割り当て量0％と、撤退は区別する。

ゲームを考察し、分かった条件

・このゲームの最後の提案社はD社となる事

問題文の前提より・各社とも、自社の輸出割り当て量を最大する事しか興味が無い事・提案の順は日本国内の売り上げ規模順である事・提案が否決された場合は、その提案社の撤退が決まる事・提案の割り当て量は１％単位で提案する事・賛成の投票数が同数以上の場合、その提案は可決される事

考察③：仮定から想定してみる。問題

A

PHASE 提案社/各社割り当て A社 B社 C社 D社 E社

4 D社割り当て案撤退撤退撤退 100％ 0％

賛否(D社割り当て案) - - - ○ ×

3 C社割り当て案撤退撤退 99％ 0％ 1％

賛否(C社割り当て案) - - ○ × ○

2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％

賛否(B社割り当て案) - ○ × ○ ×

1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％

賛否(A社割り当て案) ○ × ○ × ○

ここまでの想定を表にまとめてみようと思う。仮に、第3PHASE(C社が提案社)になった場合、3社で投票するので、最低2票とれば、可決される。第4PHASE(D社が提案社)では、E社は0％になるので、第3PHASE(C社が提案社)で1％以上を割り当てられたら、E社は確実に賛成するはずである。この過程をPHASE1まで、続けたものが、以下の表である。

問題Aで求めた各企業のα国での市場シェアを用いて、D社が自社の売り上げを増加するにはどのような戦略をとるべきか企画してください。（扱う製品はご自由に仮定してください）

問題

B

解答問題

B





賛否(C社割り当て案) - - ○ ○ ×

2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 0％ 1％

賛否(B社割り当て案) - ○ × × ○

1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 1％ 0％

賛否(A社割り当て案) ○ × ○ ○ ×

「D社の割り当て案(D社が49％、E社が51％)を第１PHASEの提案終了前に公開し、全社に認知させること」がD社が自社の売り上げを増加させるための戦略である。これによって、元々０％であった、D社のシェアを１％まで拡大することができる。（この方法であれば、製品は問わない）

問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％


①ここの数値を上げたい

考察①：①～④の順で考える

問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％


①ここの数値を上げたい ②この行のD社の数値が、B社、C社、D社、E社の中で、３位以下になれば良い。(PHASE１では下位２つの会社に、PHASE2以上の数値を振り分けられるため)


問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％


①ここの数値を上げたい ②この行のD社の数値が、B社、C社、D社、E社の中で、３位以下になれば良い。(PHASE１では下位２つの会社にPHASE2以上の数値を振り分けられるため)


③この行のD社の数値が、C社、D社、E社の中で、２位以上になれば良い。 (PHASE２では上位２社が０％を振り分けられるため)

問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％




④D社よりE社の値が大きくなれば良い

②この行のD社の数値が、B社、C社、D社、E社の中で、３位以下になれば良い。(PHASE１では下位２つの会社にPHASE2以上の数値を振り分けられるため)


①～④で考えたものを、④～①の順で、当てはめる

問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％



考察③：④～①の順で当てはめる

※変化した数値を赤字に変更した。




問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 1％ 0％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％








問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 0％ 1％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 0％ 1％








問題

B






2 B社割り当て案撤退 99％ 0％ 0％ 1％


1 A社割り当て案 98％ 0％ 1％ 1％ 0％

賛否(A社割り当て案) ○ × ○ ○ ×







a国市場におけるシェア獲得のためのD社の戦略

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