★★★★★★★★☆☆...保護の観点から見ても有利である。 ......
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ROAD TEST No.5007
テスト車輌概要 MODEL TESTED●モデル名:MERCEDES-BENZ CLS350 BlueEFFICIENCY●車輌本体価格:930.0万円●日本発売時期:2011年2月●最高出力:306ps/6500rpm●最大トルク:37.7kgm/3500-5250rpm●0-97km/h加速:6.5秒●113-0km/h制動距離:44.8m●最大求心加速度:0.95●テスト平均燃費:10.3km/ℓ●CO₂排出量:161g/km
MERCEDES-BENZ CLS350メルセデス・ベンツCLS350
オートカーの結論
★★★★★★★★☆☆
1 4
32
“ドロッピングライン”と呼ばれるアーチ形状は、モノコックボディ以前のメルセデスを彷彿させる。
LEDヘッドライトには交通状況に合わせて照射範囲を最適化するインテリジェントライトシステムを採用。
先代よりも突き出たノーズはSLSのそれを踏襲したものだが、歩行者保護の観点から見ても有利である。
スポーティさを強調するため、“照準タイプ”ではなく“埋め込みタイプ”となる。
FRONT WHEEL ARCHESフロントホイールアーチ
LED HEADLIGHTSLEDヘッドライト
NOSE DESIGNノーズ形状1 2 3 EMBLEM
エンブレム4
082 AUTOCAR 8/2011
MERCEDES-BENZ CLS350 ROAD TEST
WE LIKERefinement, Interior accommodation, Impressive economy and CO₂ figures洗練度、室内の居住性、優れた経済性とCO₂排出量
4ドアクーペというカテゴリーを世に広めた立役者であるメルセデスのCLSがシャシーを共有するEクラスのモデルチェンジを受けて、こちらも刷新された。かつてはその独特のコンセプトで市場を欲しいままにしていたCLSだが、いまはアウディA7やBMW 5シリーズGTなど強力なライバルがそこに参入している。メルセデスがダイナミックなイメージを前面に押し出そうとしたのとは裏腹に、高い洗練性が強調される結果となった新型は、いまだマーケットリーダーたり得るのか。
WE DON'T LIKEObsinate gearbox in Manual mode, Expensive to buy, Dynamic limitationsM/Tモード時にぎこちないギアボックス、高額なプライス、ダイナミクス性能
CLS以前からメルセデスには大型の2ドアクーペは存在して
いたが、4ドアクーペは新しい発想のモデルラインだった。CLS
は2003年にコンセプトカーとして発表されたヴィジョンCLS
が量産化されたものだ。当時、メルセデスは829mmのリアレッ
グルームと470ℓのトランクに代表される広々とした空間を強
調していた。このコンセプトカーは人気を博し、量産モデルが
2004年に発売された。
ヴィジョンCLSは2003年のフランクフルト・ショーでお披露目された。
早い者勝ちHISTORY
7
6
5 8
LEDを採用したテールライトにはボディ側面とリアエンドを繋ぐデザイン上の役割も与えられている。
このラインは過去のモデルへのオマージュではなく、飛びかからんとするネコ科動物の大腿部をイメージした。
先代同様、ドアガラスはサッシュレスだ。ドアハンドルを引くと自動的にガラスが少し下がる。
先代よりワイドになり前面投影面積は拡大したが、Cd値の改善により空気抵抗は10%減少している。
TAILLIGHTSテールライト
REAR WHEEL ARCHESリアホイールアーチ
FRAMELESS DOOR GLASSサッシュレスドアガラス
DRAG空気抵抗5 6 7 8
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2
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4
1
欧州仕様では5mph刻みの目盛りが10mph刻みと同じくらい太く、即座に速度を読み取りにくい。
ダッシュに並んだライトで障害物までの距離を表す。警告音はぶつかる直前まで鳴らないので要注意。
メタル調のボタンはほかとの質感の違いがアクセントとなり高級感を醸す。
色調や輝度は申し分ないが、BMWのようなワイドスクリーンであればなおよい。
ステアリング周辺にギアセレクターとシフトパドルが標準で備わる。
BUTTONSボタン
DISPLAYディスプレイ
GEAR SELECTORギアセレクター
SPEEDOスピードメーター
PARKING SENSORパーキングセンサー 21
3 4 5
084 AUTOCAR 8/2011
これ以前に流麗なフォルムをまとった4ドアサルーンが存在しなかったわけではないが、少なくとも
2004年にメルセデス・ベンツが初代CLSを発表するまで、4ドアサルーンを大胆にもクーペと呼ぶメーカーはなかった。 メルセデスは当時、CLSで新しいマーケットセグメントを創出したとアピールした。いまの時代、この手の主張はあちこちのメーカーが滅多やたらと喧伝しており、本当にそうなのか怪しい場合も多いが、CLSの場合、メルセデスは確かにそれを成し遂げたようだ。 当初CLSは単独でマーケットを構成しており、いわば独占状態であったため、初代はトータルでおよそ17万台も販売された。アウディがA7、BMWが5シリーズGTで参入してきたのはごく最近の話だ。プレステージ性と価格的なクラスは異なるがVWのパサートCCも、テーマ的にはCLSに近いクルマだといえる。 プラットフォームを借用しているEクラスが最新世代に入れ替わったことを受けて、この度、CLSも一新されることとなった。新型も先代同様、価格はEクラスよりも若干高めに設定されている。欧州でのエンジンバリエーションはEクラスとさほど変わらないが、AMGブランドのCLS63 AMGを除けば、日本に導入されているのは今回のテスト車である3.5ℓガソリンエンジンを積むCLS350 BlueEFFICIENCY(ブルーエフィシエンシー)のみである。 果たして、このCLSは依然としてマーケットを支配する絶対王者なのか、それともライバルに強みも弱みも見抜かれてしまっている力なき老兵なのだろうか。
DESIGN & ENGINEERING●意匠と技術★★★★★★★★☆☆ デザインテイストについての批評は通常、われわれのテストの範疇ではないが、「初代CLSの外観は人々から受け入れられたとはいえ、これまでのところ、このニューモデルが同じくらいの賛同を獲得したかどうかは疑わしい」とだけは言っておきたい。 よりアグレッシブな印象を受けるが、旧型に比べるとフォルムの純粋さは薄らいでいる。だが初代と同様、Eクラスのプラットフォームを用いて、パッケージング上のさまざまな要求をこれほどまでに流麗なボディに詰め込んだことは賞賛に値する。 もちろん、プラットフォームにはCLSのためのモディファイが多少加えられている。このクーペは、魅力的だが禁欲的に仕立てられたエグゼクティブサルーンよりも、もっとダイナミックで運動能力に優れたモデルを意図して開発されているのだ。 CLSではボディの軽量化を図って、ドアパネルとトランクリッド、フロントフェンダー、パーセルシェルフがアルミ製となっている。フロントエンドにはアルミとプラスティックが複合的に使われており、サスペンションコンポーネンツにもアルミが多用されている。 Eクラスと同様、CLSのサスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンク形式である。標準ではコイルスプリングと2段階式パッシブダンパーを装着するが(今回のテスト車も標準仕様)、オプションとしてエアサスペンションが用意されている。ステアリングは、このサイズのメルセデスとしては初めて油圧式ではなく電動式のアシストを備える。レシオはEクラスよりもクイックである。 3.5ℓのV6エンジンは最高出力306psと最大トルク37.7kgmを発生し、7段A/Tを介して後輪を駆動する。純粋にパフォーマンスを追求したモデル以外で、われわれがディーゼル仕様ではなく大排気量ガソリンエンジン
搭載グレードをテストするのは珍しいことだ。メルセデスによれば、ストップ&スタートシステムを含むブルーエフィシエンシー・プログラムを搭載したこの新型は、燃費が先代に比べて25%向上しているという。
INTERIOR●室内★★★★★★★★☆☆ 室内の妥協点はとても少なく、クーペであることが使いやすさを制限していると感じる機会はほとんどない。後席スペースはたっぷりと確保され、彫りの深いシート
は快適で落ち着けるだけでなく、足元と頭上と肘まわりに十分な余裕を与えてくれる。身長180cmの人間でも問題ない。ただし、低く傾斜の付いたルーフのために、後席への乗り降りには多少の気遣いが求められる。 前席は現代のメルセデスに共通する地味な――言い換えれば、落ち着いたトーンに包まれている。主なスイッチ類やコントロール系統など、目にするものの多くはEクラスと同じものが使われている。だが本革張りのダッシュボードはCLS専用のもので、高級な見た目と雰囲気を演出している。
MERCEDES-BENZ CLS350 ROAD TEST
「CLSはエグゼクティブカーとして評価するとその真価が分かる。 特に静粛性は突出しており、ロールス・ロイスよりも優れている」
低いルーフが乗降性を損なうが、後席の空間自体は広々としている。
専用ダッシュボードの採用でキャビンはEクラスより高級な仕上がり。
HOW BIG IS IT?Cd=0.26
VISIBILITY TEST 視認性テスト高い位置に取り付けられた大型のドアミラーが前方視界を妨げている。
奥行き:1130mm
高さ:380mm
トランクは使いにくい形状で、折り畳み式収納ボックスが重宝する。
この3.5ℓガソリンユニットでキーポイントとなる数字は以下のとおりだ。燃費は欧州混合サイクルで14.5km/ℓ、CO₂排出量は161g/km。それに対してディーゼル(近年われわれが推奨してきた選択肢だ)の350CDIは16.4km/ℓだが、CO₂排出量はほとんど変わらない160g/kmである。しかもディーゼルの方がガソリンよりもパワーが劣り、騒音も大きい。 メルセデスの新しい350ガソリンユニット――BlueDirect(ブルーダイレクト)――は3.5ℓV6で、3世代目の直噴テクノロジーを採用する。新型のピエゾインジェクターを備え、エンジンの運転サイクルのなかで希薄燃焼を行う領域を拡大している。またエンジン内部のフリクションを先代のエンジンに比べて28%軽減した。 補機類には、オンデマンド型オイルポンプとパートタイム動作型オルタネーターが使われ、パワーステアリングはエンジンで駆動する油圧式ではなくなった。またストップ&スタートシステムを標準装備する。ディーゼルが基本チョイスでないのは久しぶりのことだ。
PPETROL MAKES A RETURNガソリンエンジンの復権
6気筒ディーゼルに匹敵するCO₂排出量を誇る、きわめて高効率の新型V6ガソリンユニット。
幅:1140mm
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例によってメルセデスのCOMANDシステムは扱いに慣れが必要で、タッチスクリーン方式のような直感的な操作ができない。だがそれ以外は全般的にスイッチ類の配置はよく考えられており、人間工学的に優れたクルマになっている。 トランクは実用性の点から見てCLSでもっとも妥協を強いられる部分で、520ℓの容積は立派だが、長くて狭いスペースは使いにくい。オプション設定のトランクボックスは、パーセルシェルフの下に畳んで収納されており、それを引き出すとさまざまな深さに展開できる。これはわれわれがいままで見た収納デバイスのなかでもっとも便利で、よく考えられた収納方法であり、ひとによってはトランクの奥の隅に手が届かない可能性を考えると非常に理に適ったデバイスだ。オプションの分割可倒式シートがこのCLSで新たに加わったが、今回のテスト車には装着されていなかった。 CLS350を現行市販車のなかで指折りのエグゼクティブカーにしている要素がもうひとつある。それは静粛性である。アイドリング時の室内騒音はわずか37dBであったが、ロールス・ロイス・ゴーストが44dBであるから、これがいかに素晴らしい数値か分かるだろう。3速で80km/hおよび113km/hで走行しているときの騒音テストでも、CLSはロールスよりも若干静かだった。われわれがこれまでテストしたクルマのなかでも、もっとも洗練
度に優れたクルマの部類に入る。そしてそのおかげで、このメルセデスのキャビンは長距離を移動する際にきわめて心地よい空間となる。
PERFORMANCE●動力性能★★★★★★★★☆☆ 306ps/37.7kgmのパワーを持つクルマがそれなりに速いのは、その車輪が回るのと同じくらい当たり前のことだ。このV6ガソリンエンジンの真の強みはそうした純粋なパフォーマンスではない。それはクリーンで融通のきく出力特性と、必要に応じて静かで穏やかにも、騒々しく強烈にもなれる能力である。このユニットはCLSの二面性を持つキャラクターに完璧にマッチしている。これらに加え、0-97km/h加速6.5秒というダッシュ力を擁することは単なるボーナスにすぎない。 そしてそれが7段A/Tと組み合わされて、フレキシブルでスムーズなドライブトレインとなっている。このギアボックスは真剣なスポーツドライビングに対応できるほど素早いレスポンスを備えているとはいえないし、M/Tモードでもドライバーの意図を忠実には反映してくれないので、正直なところパドルシフトは必要ない。けれど
“スポーツ”あるいは“コンフォート”モードにして、ギアボックスが何をしているのかさえ考えていれば、刺激的なドライビングも、あるいはゆったりとしたクルージング
も大過なくこなしてくれる。 このガソリンエンジン搭載の350がもたらすパワーは、ディーゼル仕様の350 CDIよりも高いランニングコストに見合うものなのだろうか? もしあなたがメルセデスのクーペに、毎日の通勤のアシよりもスポーツカーに近いものを求めているなら、答えはイエスである。より高回転型で、軽量で、より刺激的で強烈な出力特性を持ち、より強力なパワーと、優れたレスポンスとフレキシビリティのおかげで、ドライバーズカーとしてはディーゼルモデルよりも魅力的なクルマになっているからだ。 そもそも経済性でディーゼルにやや遅れをとるのは事実だが、3.5ℓのガソリンユニットとしては非常に高効率である。ストップ&スタートシステム(ガソリンエンジンの350と500、および250 CDIに標準装備)はこのパワートレインとの組み合わせでスムーズに機能し、止まるべき瞬間に止まり、再始動すべき瞬間に直ちに再始動する。振動もきわめて少なく、交差点の一時停止でエンジンが一瞬止まっても、運転の妨げになることはない。ブレーキは欲を言えばもう少しフィールが欲しいが、サーキットテストでの耐久力にも優れ、制動能力も素晴らしい。
RIDE & HANDLING●乗り心地と操縦安定性★★★★★★★☆☆☆ カントリーロードでCLSを走らせると、繊細でよく躾け
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69km/h 6800rpm
105km/h 6800rpm
156km/h 6800rpm
219km/h 6800rpm
249km/h 5646rpm
249km/h 4630rpm
249km/h* 4121rpm
各ギア最高速度
Start/finishT1
T2
T3
T4
T5T6
T7
48km/h-0
48km/h-0
80km/h-0
80km/h-0 113km/h-0
113km/h-0
48km/h 113km/h 129km/h64 80 161km/h97 145km/h 193km/h177km/h
48km/h 64 80 97 161km/h113km/h 129km/h 145km/h 193km/h177km/h
計測テストデータ
■ドライサーキット ラップタイム:1分19秒6
(BMW 530d GT 参考タイム:1分20秒9)CLSはギアボックス以外はサーキット走行にしっかり対応している。コーナーを攻めるにはスプリングがソフトすぎるが、ダンパーが挙動を素早く落ち着かせてくれるし、シャシーは急な切り返しにもよく反応する。
TRACK NOTES 「乗り心地に優れ、Eクラスよりも機敏に感じられるが、ドライバーズカーではない」
V6ユニットはこのサーキットで実力を発揮し、T1手前では145km/hに達した。
T7では0.95Gという高い旋回加速度を記録し、ハードに走らせたときのシャシーの能力の高さを証明した。
■発進加速テストトラック条件:天候晴、乾燥路面、気温摂氏15.0度0-402m発進加速:15.0秒(到達速度:157km/h)0-1000m発進加速:26.9秒(到達速度:203km/h)
乾燥路面
湿潤路面
■ウェットサーキット ラップタイム:1分17秒7
(BMW 530d GT 参考タイム:1分13秒6)ここでのタイム差は主としてサーキット路面の劣化によるものだ。CLSはウェットサーキットでは、ESPの介入と望まないポイントでのシフト動作のせいで、コンスタントな駆動力を得るのが難しかった。
■制動距離
MERCEDES-BENZ CLS350 BlueEFFICIENCY
BMW 530d GT
ESPは大きなスリップアングルを許容してくれ、かつ介入時は効果的にクルマを立て直してくれる。
優れた手応えのステアリングのおかげで、オーバーステアに素早く対応できた。逆にオーバーステアを起こすのも、小さなきっかけを与えるだけで自由自在だ。
37.7kgm at3500-5250rpm
306ps at6500rpm
エンジン形式:V型6気筒, 3498cc最高出力:306ps/6500rpm最大トルク:37.7kgm/3500-5250rpm許容回転数:6800rpm比出力:87ps/ℓ馬力荷重比:176ps/t駆動方式:フロント縦置き後輪駆動ブロック:アルミニウム/ヘッド:アルミニウムボア×ストローク:92.9×86.0mmバルブ配置:4バルブDOHC圧縮比:12.0:1
シャシー/ボディ車輌重量:1735kg抗力係数:0.26ホイール:(前)8.5J╳18、(後)8.5J╳18タイヤ:(前)255/40R18、(後)255/40R18
変速機7段A/Tギア比/1000rpm時車速<km/h>①4.38/10.1②2.86/15.4③1.92/23.0④1.37/32.2⑤1.00/44.3⑥0.82/53.9⑦0.73/60.5
最終減速比:2.820
燃料消費率メーカー公表値:市街地/郊外/混合モード10.9/18.2/14.5km/ℓ
オートカー実測値総平均/動力性能計測時/ツーリング10.3/2.7/13.3km/ℓ
燃料タンク容量:80ℓ現実的な航続距離:824km
CO₂排出量:161g/km
サスペンションマクファーソン・ストラット式/コイル後:マルチリンク/コイル
ステアリング形式:電動アシストラック&ピニオンロック・トゥ・ロック:2.6最小回転半径:11.3m
ブレーキ前:φ325mm通気冷却式ディスク後:φ320mm通気冷却式ディスク
静粛性アイドリング:37dB3速最高回転時:74dB3速48km/h走行時:56dB3速80km/h走行時:62dB3速113km/h走行時:65dB
安全装備ABS/BA/ESP/ASREuro NCAP/na
エンジン性能曲線
発進加速
実測車速mph(km/h) 秒0-30(48) 2.70-40(64) 3.70-50(80) 5.10-60(97) 6.50-70(113) 8.40-80(129) 10.60-90(145) 12.90-100(161) 16.00-110(177) 19.80-120(193) 24.10-130(209) 29.40-140(225) ー0-150(241) ー0-160(257) ー
中間加速〈秒〉
mph(km/h) 秒 20-40(32-64) 2.1 30-50(40-80) 2.4 40-60(64-97) 2.7 50-70(80-113) 3.3 60-80(97-129) 4.1 70-90(113-145) 4.5 80-100(129-161) 5.4 90-110(145-177) 6.9 100-120(161-193) 8.0 110-130(177-209) 9.6 120-140(193-225) ー 130-150(209-241) ー 140-160(193-257) ー
MERCEDES-BENZ CLS350 DATA
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られた身のこなしとレスポンスで応えてくれる。スポーツカーのような感覚はないが、Eクラス・セダンに比べると、引き締まっており緊張感が感じられる。これは主として、より硬いサスペンションと重いステアリングによるものだ。その結果、“ただルーフが低いEクラス”以上のクルマに仕上がっている。 CLSが標準では2段階式パッシブダンパーを装着しているのは先述のとおりだが、これはシャシーへの小さな入力(市街地を低速で走行中の段差)よりも、大きな入力
(大きなコーナリングフォース)に合わせて、より引き締まったレスポンスを示す。そんな標準サスと比較的控えめな18インチホイールを装着したテスト車は、乗り心地の快適さとボディコントロールが見事に調和した走りを見せた。 イージードライビングでは、CLSは実際よりもソフトなダンパーセッティンングであるかのように落ち着いた走りを披露する。不均一な路面では少しパタパタするが、乗り心地はアウディA7あたりに比べるとより快適で、1000万円近い高級車らしいリラックスした乗車感覚である。高速度域では、正確なステアリングを少し動かすだけでレーンチェンジができ、良好なスタビリティと高い洗練度のおかげで素晴らしく出来のいいクルーザーとなっている。 CLSは本気で走らせると、ターンインが正確なのが分かる。長いノーズがひとたび内側を向くと、ラインをしっかりとホールドするのである。ドライコンディションでは、
MERCEDES-BENZ CLS350 ROAD TEST
われわれはこう考える
結論
車輌価格最高出力最大トルク
0-97km/h加速最高速度
燃料消費率(欧州/混合)車輌重量(公称値)
CO₂排出量
930.0万円 879.0万円 895.0万円 邦貨換算約850万円 878.0万円306ps/6500rpm 300ps/5250-6500rpm 385ps/6500rpm 320ps/7000rpm 306ps/5800rpm37.7kgm/3500-5250rpm 44.9kgm/2900-4500rpm 52.5kgm/3500rpm 36.6kgm/5200rpm 40.8kgm/1200-5000rpm6.5秒 5.6秒(0-100km/h加速) 5.7秒(0-100km/h加速) 6.2秒(0-100km/h加速) 6.3秒(0-100km/h加速)249km/h 249km/h 249km/h 249km/h 249km/h14.5km/ℓ 12.2km/ℓ 9.0km/ℓ 9.8km/ℓ 11.2km/ℓ1735kg 1900kg 1840kg 1715kg 2000kg161g/km 190g/km 264g/km 235g/km 209g/km
MERCEDES-BENZ CLS350 BlueEFFICIENCYメルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシエンシー
AUDI A7 3.0 TFSI quattroアウディA7 TFSIクワトロ
JAGUAR XF 5.0 PREMIUM LUXURYジャガーXF5.0プレミアム・ラグジュアリー
INFINITI M37 S PREMIUM インフィニティM37 Sプレミアム
BMW 535i GTBMW 535i GT
不得意分野がない優等生。洗練度が高いうえに運転が愉しく、快適。
★★★★★★★★☆☆
魅力的な室内、なかなかの乗り心地。だがCLSには敵わない。
★★★★★★★★☆☆
乗り心地とハンドリングはクラスベスト。高い維持費がネック。
★★★★★★★★☆☆
個性的で魅力があるが、パフォーマンスとコストで後れをとる。
★★★★★★☆☆☆☆
贅沢なキャビンを持つが、パッケージングと、ごつごつした乗り心地がマイナス要素。
★★★★★★☆☆☆☆
MERCEDES-BENZ CLS350AUTOCAR VERDICT ★★★★★★★★☆☆
く、トランクスペースが小さめだが、静粛性にが高く、ダイナミクス性能がちょっぴり優れたエグゼクティブサルーンとして見るべきではないだろうか。スポーツドライビングを愉しむよりも、長距離を快適に走るときにもっとも威力を発揮するクルマである。 そうした能力に、優秀な燃費と、広々としたキャビンが組み合わされている。これらすべての資質を享受し、シャシーにあまり多くを望みすぎなければ、CLSを選んで後悔するシーンはまずないはずだ。
不思議なことに、ベースとなったコンベンショナルなエグゼクティブサルーンよりもダイナミックなクルマを目指しながら、CLSを全体的に特徴づけているのは洗練度である。スムーズなV6ガソリンエンジンを得て、CLSは素晴らしく静かなクルーザーとなった。そしてそれは、本来意図したダイナミックなイメージにはそぐわないかもしれないが、流麗なボディシェイプにも似つかわしいキャラクターだ。 だとしたら、このCLSをスポーティな4ドアクーペとしてではな
TESTERS' NOTES テスターのひと言コメント●スペースセイバータイヤを標準装備としている。このメルセデスの選択は正しい。 マット・プライアー
●ポプラウッドのインテリアトリムが無償オプションだが、われわれは古風には見えない内装のほうが好きだ。 ヴィッキー・パロット
●ESPのオン/オフ切り替えは車載コンピューターの深い階層にあり、ステアリングホイールのボタン操作でしか解除できない(し かも完全にではない)。 マット・ソーンダース
JOBS FOR THE FACELIFT マイナーチェンジ時に望むこと●ギアボックスのM/Tモード時のレスポンスを向上させ、ドイラバーの意志に無関係に変速しない本当のM/Tモードにしてほしい。●スピードメーターを一目で視認できるようにしてほしい。●可倒式リアシートを標準装備にしてほしい。
ROAD TEST No.5007
TOP FIVES エグゼクティブは洗練性重視
「洗練度の高いエンジンで、今後もCLSがこのクラスを牽引する」
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ハードに攻めすぎると穏やかなアンダーステアが出る。だが正しいアプローチでやれば、リアアクスルを少しスリップさせてラインを調整することができる。だがコーナーの途中でバンプに遭遇すると、ダンパーから不快な動きが起きやすい。 そのほかの不満としては、市街地走行時にステアリングの重みがときどき一定ではなくなることがある。ジャガーXFよりもドライビングの満足度は低いが、このクラスのクルマに要求される幅広いダイナミクス能力を不足なく提供してくれる。
BUYING & OWING●購入と維持★★★★★★★★☆☆ CLSもほかのライバルも、決して安いクルマではない。CLSはEクラスと比べて実用性で劣るにもかかわらず、それ以上のプライスタグを掲げている。メカニズム的には同等のEクラスが850万円であるのに対し、CLSは930万円もするのである。 しかし、CLSは装備が充実しており、大部分の顧客はオプションを一切追加せずとも十分に満足できるはずだ。そうして見ると、アウディA7やBMW 5シリーズGTと比較しても競争力のある価格設定がなされている。 ランニングコストは概ねこのクラスとしては平均的なものだが、このガソリン仕様のCLSの経済性は、これほどのパフォーマンスを発揮する3.5ℓV6としては優れている。われわれが計測した平均燃費は10.3km/ℓで、ツーリングルートでは10.6km/ℓを難なく超えた。 われわれは従来、大型車ではディーゼル車を推奨することが多いが、このエンジンの洗練性と魅力的なパワー特性を考えると、今回ばかりは例外だと言わざるを得ないだろう。
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