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21世紀のオリンピックとパラリンピック フェリス教養講座|2017418文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ 吉本光宏|ニッセイ基礎研究所 今日お話ししたいこと 1. オリンピック・パラリンピックと文化 オリンピック憲章と文化 文化プログラムの歴史、低調に終わったリオ2016大会の文化プログラム 2. ロンドン2012大会|文化オリンピアードの実績 2012年ロンドン五輪の文化プログラムの概要 London 2012 Festival の特徴と主なプログラム 3. 東京2020大会|文化オリンピアードの実現に向けた動き 組織委員会 文化庁・内閣官房 東京都 4. 東京2020大会|文化オリンピアードのいくつかの私案 アートサイト日本2020 without Tokyo クリエイティブ・フロント日本 日本人は皆アーティストだ! オリンピック・パラリンピックと文化 Olympic, Paralympic and Culture オリンピック・パラリンピックと文化 オリンピック憲章(根本原則第1オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランスよ く結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、 教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方 は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責 任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。 オリンピック憲章(第5章オリンピック競技大会の39条) – OCOG(オリンピック競技大会組織委員会)は、少なくともオリンピック 村の開村から閉村までの期間、文化イベントのプログラムを催すも のとする。このプログラムは、IOC 理事会に提出し、事前に承認を得 なければならない。 (公財)日本オリンピック委員会「オリンピック憲章」2014128日~ 文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日 © YOSHIMOTO Mitsuhiro|NLI Research Institute 1

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21世紀のオリンピックとパラリンピック

フェリス教養講座|2017年4月18日

文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ吉本光宏|ニッセイ基礎研究所

今日お話ししたいこと

1. オリンピック・パラリンピックと文化– オリンピック憲章と文化

– 文化プログラムの歴史、低調に終わったリオ2016大会の文化プログラム

2. ロンドン2012大会|文化オリンピアードの実績– 2012年ロンドン五輪の文化プログラムの概要

– London 2012 Festival の特徴と主なプログラム

3. 東京2020大会|文化オリンピアードの実現に向けた動き– 組織委員会

– 文化庁・内閣官房

– 東京都

4. 東京2020大会|文化オリンピアードのいくつかの私案– アートサイト日本2020 without Tokyo– クリエイティブ・フロント日本

– 日本人は皆アーティストだ!

オリンピック・パラリンピックと文化Olympic, Paralympic and Culture

オリンピック・パラリンピックと文化

• オリンピック憲章(根本原則第1)

– オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。

• オリンピック憲章(第5章オリンピック競技大会の39条)

– OCOG(オリンピック競技大会組織委員会)は、少なくともオリンピック

村の開村から閉村までの期間、文化イベントのプログラムを催すものとする。このプログラムは、IOC 理事会に提出し、事前に承認を得なければならない。

(公財)日本オリンピック委員会「オリンピック憲章」2014年12月8日~

文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日

© YOSHIMOTO Mitsuhiro|NLI Research Institute 1

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“The Olympics is the wedding of sport and art”Pierre de Coubertin (1863-1937)

オリンピック・パラリンピックにおける文化プログラムの変遷

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2016

2020

No Culture

芸術競技

Arts Competition

芸術展示

Arts Exhibition

文化

プログラム

Cultural Program

Cultural OlympiadLondon

2012 Festival

RioCulture Passport

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日本最高の芸術品を展示する

美術部門4種目(古美術、近代美術、写真、切手)日本古美術展(東博):40万人

芸能部門6種目(歌舞伎、文楽、雅楽、能楽、古典舞踊邦楽、民俗芸能)

Rio2016報告―文化プログラムを中心にニッセイ基礎研レポート

2012年ロンドン五輪|文化プログラムの実績Cultural Olympiad and London 2012 Festival

Source: London 2012 Festival Official Guide

文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日

© YOSHIMOTO Mitsuhiro|NLI Research Institute 2

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Cultural Olympiad / London 2012 Festival の概要

• 会期

– Cultural Olympiad:2008年9月-(4年間)

– London 2012 Festival:6月21日-9月9日(12週間)

– London 2012 FestivalはCultural Olympiadのフィナーレ

– Olympics:7月27日-8月12日、Paralympics:8月29日-9月9日

• テーマ・ビジョン

– 英国の誰もがロンドン2012 に参加するチャンスを提供し、あらゆる文化に共通する創造性を、とりわけ若者たちに、喚起させること

– Once in a Lifetime(一生に一度きり)

• 参加アーティスト

– アスリートと同じ204の国と地域から4万464名が参加

– London 2012 Festivalには、2万5,000名

– 新進アーティスト6,160名、障がいのあるアーティスト806名

– 音楽、演劇、ダンス、美術、文学、映画、ファッション等

Cultural Olympiad / London 2012 Festival の概要

• イベント(activity)総数

– 11万7,717件

– London 2012 Festival 33,631件

• 新作委嘱

– 5,370作品

– London 2012 Festival 2,127作品

• 会場

– 英国全土1,000箇所以上で開催(地方小都市、町村含む)

– 文化施設+歴史的建造物、公園、通り、広場、自然環境、浜辺など

– 会期中は郵便番号、芸術分野でイベントを検索可能

• 参加者数

– 4,340万人(うち無料イベント:3,980万人、ロンドン以外:2,580万人)

Cultural Olympiad / London 2012 Festival の概要

• 総予算

– 1億2,662万ポンド(約220億円)• 組織委員会(58億円)

• アーツカウンシル・イングランド(62億円)

• レガシートラストUK(宝くじ基金から)(61億円)

• ロンドン市(8億円)

• 共同資金提供者(Co-funding)(28億円)

– メインスポンサー:英国石油(BP)、英国テレコム(BT)、

– サポーター・スポンサー:BMW、ユーロスター、フレッシュフィールズ、パナソニック、サムスン

• 組織体制

– 組織委員会、ロンドン市、アーツカウンシル・イングランド

– オリンピック文化プログラム理事会(Cultural Olympiad Board)

– 理事長:Tony Hall(英国ロイヤルオペラ理事長、元BBC)

– Director(Ruth Mackenzie)、Curator(5名)、Festival team(60名)、Creative Programmer(全英12地域)

– 事業パートナー(600団体・機関)

Worldwide Olympic Partners

London 2012 Olympic Partners

London 2012 Olympic Providers and Suppliers

London 2012 Olympic Partners

London 2012 Festival © London Organizing Committee of the Olympic Games and Paralympic Games

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London 2012 Festival © London Organizing Committee of the Olympic Games and Paralympic Games

Institute of Cultural Capital, Lonson 2012 Cultural Olympiad Evaluation Final Report, Apr.2013

London 2012 Festival の特徴と主なプログラム

ロンドン2012フェスティバルの6つの特徴

1. ART IN UNUSUAL PLACESあり得ない場所でのアートプロジェクト

2. FREE無料イベント

3. OLMPIC & PARALYMPIC THEMESオリンピック・パラリンピックのテーマに基づいた作品

4. ARTISTS WHO CHANGED THE WORLD世界を変えたアーティストたち

5. COMMISSIONS AND PREMIERES新作委嘱と世界初演

6. POP UP前触れなく出現する文化イベント

• One Extraordinary Day:ロンドン市庁舎の外壁、観覧車ロンドン・アイのスポークを使ったダンスパフォーマンス

• Speed of Light:新規開発したLEDスーツのパフォーマーの屋外パフォーマンス

• The World in London:ショッピングセンターのショーウィンド等を活用した204の国と地域からロンドンへの移民の写真展

• Ring Bells:開会式に合わせ、4つの国会議事堂、個人所有のベル、専用アプリ「リングトーン」でベルを鳴らす、290万人が参加

• Peace Camp:全英8つの海岸に2,000のテントを設営。夕暮れから夜明けに、さざ波の音・サウンドスケープ、世界各国の言葉で愛の詩の朗読

• Unlimited:障がいのあるアーティストや芸術団体に29の作品を委嘱。サウスバンクセンターなどでフェスティバル。

• Little Sun:地球上で電力供給を受けていない16億人の人々に、太陽電池製の小さな太陽を普及させるプロジェクト

• オノ・ヨーコ展:Play it by trust

• Piccadilly Circus Circus:1945年以来ロンドン随一の繁華街を通行止めにし、終日サーカスを実施。17ヶ国から240名以上のサーカス・アーティストが参加。

• BMW ART DRIVE!:BMWのアートカー16台を、ショーディッチ地区のパーキングタワーに展示

• HATWALK:ロンドン市内の21体の歴的人物の彫像に帽子をかぶせる。老舗メーカーから新進気鋭のデザイナーまでを起用

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The World in London @ Park House

The Paralympic Games is also about transforming our perception of the world. We are all

different, there is no such thing as a standard or run-of-the-mill human being, but we share

the same human spirit. What is important is that we have the ability to create. This

creativity can take many forms, forms, from physical achievement to theoretical physics.

However difficult life may seem there is always something you can do, and succeed at.

The Games provide an opportunity for athletes to excel, to stretch themselves and become

outstanding in their field. So let us together celebrate excellence, friendship and respect.

Good luck to you all.Stephen Hawking

…パラリンピック競技も、私たちの世界の見方を変容させてくれるものです。私たちには一人として同じ人間は

いません。標準的な人間、つまらない人間などというものもありません。でも、私たちは同じ人間精神を分かち

合っています。重要なことは、私たちには創造する能力がある、ということです。その創造力は様々な形で表現

することが可能です。身体的な業績(スポーツの記録)から理論物理学まで、あらゆる形になって現れます。人

生がいかに困難なものに見えても、あなた方には何かを行い、成功できることがいつも存在しています。(パラ

リンピック)競技は、アスリートの皆さんに、自己の限界を超え、自身の可能性を伸ばし、それぞれの分野で傑

出した存在になるチャンスを提供します。さあ、皆さんとともに、卓越性(長所)、友情、そして尊敬を讃えましょ

う。皆さんに幸運を。

スティーブン・ホーキング

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Yoko Ono - To the Light @ Serpentine GalleryPlay it by trust

Piccadilly Circus Circus

©Justine Simons

こういったクレイジーなプロジェクトを実現するためには多くの人を説得する必要がありました。

警察等の関係者は、オリンピック期間中に交通が順調に流れ、渋滞が避けられるようにしたいと考えていました。でも、私達は逆を提案しようとしたわけですから、ミーティングで決裂することは間違いありませんでした。

しかし、ここで鍵だったのは、段階に分けて進めたことです。絶対に合意をもらえないというのはわかっていましたから、第1段階ではまず実現可能性の調査を行ったのです。ミーティングの

席についた人全員にとって、全てがうまくいき、最後にきちんと清掃までできるということが非常に重要でした。そのために、輸送、清掃、警備などについて実現可能性を調査したことで、全員がこれは可能だという自信を持ちました。この作業を最初の段階でやらなければ、ゴーサインはもらえなかったでしょう。

それから、実現までたくさんのミーティングを重ねていったわけですが、関与していた多くの関係者は最終的に、「じゃあ、次は何をしたらいいの」と意欲的に考え方を変えてくれたのです。これは、すばらしいレガシーでもあり、まだそのような姿勢は残っています。どうすれば実現できるか、今までにないようなことをするにはどうしたらいいのか、という視点を持つようになったことが成果でもあったと思っています。

Justine Simons

West MidlandsBirmingham

地域別活動(Activities)数

出典:University of Liverpool, London 2012 Cultural Olympiad Evaluation Final Report, 2013

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• 海外からの作品招聘、作品制作

– シュトックハウゼン オペラ「水曜からの光」(Birmingham Opera Company)

– ワールド・シェイクスピア・フェスティバル(Royal Shakespeare Company)(120団体から1万人が参加、6ヶ月間で150万人を動員、52%が地域外から)

• 参加型の文化イベント

– コミュニティ・ゲームズ(文化とスポーツの両方を行う地域のイベント、600件、44万人が参加。全英に拡大、五輪終了後も継続)

– ボーイズ・ダンシング(Warwick Art Centre)(学校、青少年センター、不登校生支援センター、少年院から3年間で2,500名が参加。自信の向上93%、身体的な健康の改善85%、協調性、チームワーク、コミュニケーション能力の向上等に大きな成果)

• 文化セクターの強化

– マンダラ(SampadによるLondon 2012 Festivalのフィナーレ・イベント)

– スピル(DanceXchangeによる、校庭やブランコ、滑り台、メリーゴーランドを使った屋外ダンス)

• スペクタクル・イベント

– ゴダイヴァの目覚め(身長6mのゴダイヴァ夫人の動く彫刻を制作、ダンサーやパフォーマーと共にコベントリーの町をパレード、16万人が参加。ロンドンにも遠征)

– ヴォヤージュ(バーミンガム・ヴィクトリア広場に巨大な船を設営して行われた大規模なダンス公演)

出典:Cultural Research Analyst, West Midlands Cultural Observatory, Cultural Olympiad in the West Midlands: An evaluation of the impact of the programme (2008-2012)

• イベント・活動数:11,450件(事業数:986件、世界初演:77件、英国初演:10件)

• 参加者数:290万人

– 16.5万人はカルチュラル・オリンピアードを目的に域外から来訪

– 75%が同地域を文化芸術の立地地域としてより相応しくなった、68%が再訪したいと回答

– 楽しかった(95%)、自信がついた(74%)、友人ができた(70%)、シビック・プライドが向上した(76%)

– 35.1万人が芸術文化により頻繁に参加するようになった

– 22%が一度も、もしくはほとんど芸術文化イベントに参加したことがない

– 68%が25歳以下の若者

– 2012年には文化プログラムが五輪の一環だと認識した人は82%(それ以前は43%)

• 1万7,800人のボランティアが延べ3万9,300日のボランティア活動を実施

• 986のプロジェクトによって新たに2,000のパートナーシップが誕生

• 多くの参加団体が以前より野心的な作品に前向き

• 地域への経済効果:3,280万ポンド(58.7億円)、関連する経済活動の規模:1億1,200万ポンド(200億円)、雇用効果:130名

• パブリシティ効果:1,100万ポンド(19.6億円)

• 社会的なリターン(健康、自信、社会生活の改善)の価値:約3,430万ポンド(61.4億円)

出典:Cultural Research Analyst, West Midlands Cultural Observatory, Cultural Olympiad in the West Midlands: An evaluation of the impact of the programme (2008-2012)

ウエストミッドランズにおける文化プログラムの実施概要

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出典:Cultural Research Analyst, West Midlands Cultural Observatory, Cultural Olympiad in the West Midlands: An evaluation of the impact of the programme (2008-2012)

文化施設や芸術機関、市町村に加え、小中学校、高校、大学、図書館、子どもセンター、教会、ホスピス、テニスクラブ、ランニングクラブ、温泉ガイドなど多種多様な団体

カルチュラル・オリンピアードが、専門的な芸術機関から草の根の市民団体まで極めて幅広い組織や団体によって支えられた。

Scotland Glasgow / Edinburgh

地域別活動(Activities)数

出典:University of Liverpool, London 2012 Cultural Olympiad Evaluation Final Report, 2013

• 目標

– アーティストの想像力に富んだ活動や大胆な発想を両大会の文化プログラムの中心に位置づけ、両大会がスポーツにとどまらない催しであること、スコットランドの創造性が世界クラスであることを国内外に示す

– スコットランド各地の市町村、森林や山、河川、海岸で展開される質の高いイベントや作品を、まざまな方法で体験できる機会をあらゆる人々に提供する

– スコットランドを、創造的で現代的な国、そして芸術家や文化団体、ならびに彼らが国や地域で果たす役割を重視できる国に位置づける

• レガシー

– 作品や芸術活動の質的向上が図られた

– 芸術と地域の結びつきが深まり、多くの人々が参加して地域にインパクトを与えた

– 多様なパートナーシップを構築できた

• グラスゴー2014(コモンウェルス・ゲームへの継続・発展)

– カルチャー2014(2013年7月~)、フェスティバル2014(7/19-8/3)

– 3,000以上の公演、3,600日以上の展覧会、5,600の教育プログラム、210万人が参加

スコットランドにおける文化プログラムの実施概要

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• スコットランド・スターリング市ラプロッホ地区

(3,000人)

• システマ・スコットランド:2007年創設、生後6ヶ月から16歳まで約400人を対象に、週4日11時間、無料の音楽教室(2012)

• Big Noise Orchestra(子どもたちのオーケスト

ラ)

• 「もっと大きな舞台、国際的なチャンスを!」

• 「地域の希望のシンボルとなり、小さなコミュニ

ティでもチャンスを掴み、自分たちを変えられ

る」

• グスターヴォ・デュダメルとシモン・ボリバル・シ

ンフォニー・オーケストラとの共演

• 2012年6月21日:ロンドン2012フェスティバル・

オープニングイベント

Big Concertプレ事業

ビッグ・ビルド・アップ(コンサート6ヶ月前から)

• ベネズエラ出身のスタッフによるベネズエラや

ドゥダメルに関するトーク

• ベネズエラの音楽と食を楽しむ一夜など

ビッグ・ビジット(コンサート開催前から5日間)

• 小学生全員がオーケストラのリハーサル見学

• 選抜された80名の子どもたちが、各々オーケス

トラ・メンバーの横に座りドゥダメルの指揮で練習

• オーケストラ・メンバーによる7回の室内楽の演

奏会(学校やコミュニティセンターなど7回、36

7名が鑑賞)など

写真提供:Sistema Scotland ©Marc Marnie

• 116名の子どもオーケストラの演奏、38名の選抜メンバーがトップ・オーケストラと共演

• 雨の中、7,000人が来場

• BBCが全英に放映(30万人)、200ヶ国に配信

• 「演奏会を見て涙がでてきた。あの子たちを心から

誇りに思うわ」

• 「ここ何年かで見た最高のTV番組だった。子ども

たちは本当に輝いていた」

• 「人生でもっとも誇らしい瞬間だったわ。だって私の

娘があのステージの上にいたのよ」

• 楽器をマスターして人前で演奏できた自信

• 演奏会を成し遂げた達成感

• 困難を超えて立ち直る力

• 「地域の人たちを元気づけたことが、子どもたち

にとっては特に大きかった」

写真提供:Sistema Scotland ©Marc Marnie

Have We Inspired A Generation?ロンドン大会が若者に与えた影響

英国全域の16~25歳の1,000人以上を対象にした調査結果

• 2012年ロンドン大会は、英国文化のショーケースとなり、文化はオリンピック・パ

ラリンピック競技大会の不可欠な部分だと見なされた。若者たちの才能や技能の向上を支援することを目的にした様々なチャンスが提供された。

• 84%:英国に前向きな(ポジティブな)変化をもたらした。• 61%:若者たちの人生を変容させた。• 70%:パラリンピアンに元気づけられた(触発された。刺激を受けた)。• 73%:他のプロジェクトにも参加するようになった。• 65%:(今後)地域の芸術文化団体に参加する。

• 「オリンピック・パラリンピック競技大会によって、英国人であることを誇りに思うようになった。今まで何年もそんな気持ちを抱いたことはなかった」(23歳、男性、英国南東部在住)

出典:Legacy Trust UK, London 2012: Have We Inspired A Generation? Research Highlights, April 2013

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2020年東京五輪|文化プログラムの実現に向けてToward Cultural Olympiad and Festival Tokyo 2020

2. プログラムの枠組み

東京2020参画プログラム東京2020参画プログラム

東京2020公認プログラム東京2020

公認プログラム東京2020

応援プログラム東京2020

応援プログラム

各省庁、開催都市、スポンサー、JOC、JPC、会場関連⾃治体、⼤会放送権者、が実施

公認事業としての位置づけ

⾮営利団体等が実施 アクションの裾野を広げ、多くの⼈々が参画できることを⽬指す

スポーツ・健康スポーツ・健康 街づくり街づくり 持続可能性持続可能性 ⽂化⽂化

教育教育 経済・テクノロジー経済・

テクノロジー 復興復興 オールジャパン・世界への発信

オールジャパン・世界への発信

<2つのプログラム>

<分野>文化

オリンピアード

東京2020大会組織委員会

東京2020⽂化オリンピアード 東京2020フェスティバル(仮称)

2016年10⽉ 2020年5⽉(予定)

1. 東京2020⽂化オリンピアードについて

リオデジャネイロ⼤会後に開始 東京⼤会開会前からは、集⼤成として、「東京2020フェスティバル(仮称) 」を開催

<名称>

「東京2020⽂化オリンピアード」

① ⽂化の祭典として、あらゆる⼈々が参加できるプログラムを全都道府県において実施し、地域を活性化する

② ⽂化オリンピアードを通じて、多くの若者に⽂化芸術への参加を促進し、創造性を育成する

<⽬標>

大会ビジョン及び4つのレガシーの実現に向けて、2020年までの4年間、様々な主体における多様な取組により、文化オリンピアードを展開

文化の祭典としてあらゆる人々が文化オリンピアードに参加し、オールジャパンで盛り上げることで、国内はもとより、世界中の国・地域から訪れる多くの人々に対し、日本の文化の力を発信

レガシー実現に向けたアクション

コンセプト①:日本文化の再認識と継承・発展 コンセプト②:次世代育成と新たな文化芸術の創造

コンセプト③:日本文化の世界への発信と国際交流コンセプト④:全国展開によるあらゆる人の参加・交

流と地域の活性化

残すべき4つのレガシーコンセプトの実現

大会ビジョンの実現

全員が自己ベスト 多様性と調和 未来への継承

2. 東京2020⽂化オリンピアードのコンセプト

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文化プログラム

1.東京2020公認文化オリンピアード(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会

組織委員会

「オリンピック憲章」に基づいて行われる公式文化プログラム。組織委員会、国、開催都市、会場所在地方公共団体、公式スポンサー企業、JOC、JPCが実施する大会ビジョンの実現に相応しい事業が対象。

ロゴマーク:組織委員会が作成(公認マーク)開始時期:2016年10月

※組織委員会による「アクション&レガシープラン2016」・「東京2020アクション&レガシープラン2016」における残すべきレガシー(文化関連)

「日本文化の再認識と継承・発展」、「次世代育成と新たな文化芸術の創造」、「日本文化の世界への発信と国際交流」、「全国でのあらゆる人々の参加・交流と地域の活性化」

・東京2020文化オリンピアードの集大成として「東京2020フェステイバル(仮称)」を開催(大会直前の3か月間)

(参考)ロンドン大会の「London2012 Cultural Olympiad」に相当

2.東京2020応援文化オリンピアード(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会

組織委員会

東京2020大会の関連事業として、非営利団体が実施する文化プログラム。地方公共団体や独立行政法人を含む非営利団体が実施する、東京2020大会の機運を醸成し、オリンピック・パラリンピックムーブメントを裾野まで広げる事業が対象。

ロゴマーク:組織委員会が作成(応援マーク)開始時期:2017年度予定(2016年10月 一部先行実施)(参考)ロンドン大会の「inspire program」マークに相当

≪参考≫London 2012 Cultural Olympiad ロゴマーク

≪参考≫Inspire programマーク

公認文化オリンピアードロゴマーク

応援文化オリンピアード

ロゴマーク

文化庁・内閣官房

3.beyond2020プログラム 内閣官房オリパラ事務局、内閣府知的財産戦略推進事務局、文化庁、東京都

国、地方公共団体、公益法人、企業(公式スポンサー以外の企業を含む。)等が実施する、地域性豊かで多様性に富み、成熟社会にふさわしい次世代に誇れるレガシーの創出に資する文化プログラム• 日本文化の魅力を発信する取組であり、障害者にとってのバリアや訪日外国人にとっての言語の壁を取り除

くなど、すべての人が参画できる社会に向けて、企業等の行動に変革を促す仕掛けとなるイベント等が対象。

• ロゴマーク:内閣官房オリパラ事務局が作成(1月末発表予定)

【作品1】 【作品2】 【作品3】

開始時期:2016年12月

※2016年3月2日に開催された「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化を通じた機運醸成に関する関係府省庁連絡・連携会議」(議長:内閣官房オリパラ事務局長)で本プログラムを推進していくことを了承。

資料提供:内閣官房オリパラ事務局

文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日

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資料提供:内閣官房オリパラ事務局

1 伝統と現代の共存をはじめとした独⾃性・多様性を持つ東京の⽂化を世界に発信

2 国際的な芸術⽂化交流を積極的に展開3 障がい者、⾼齢者、⼦供、外国⼈等、国内外のあらゆる

⼈々が参加・交流できる機会の創出4 新たな発想を取り⼊れた芸術⽂化活動の推進5 次世代を担う⼈材の育成6 都市全体で⽂化的な祝祭感を創出7 国、他の⾃治体、芸術⽂化団体等との連携・協⼒による

オールジャパンでの気運醸成

(参考)都が主導する⽂化プログラムの考え⽅東京都

2020年までの東京⽂化プログラム 展開プラン(案)

平成28年度 平成29年度 〜 平成31年度 平成32年度

※平成27年度からリーディングプロジェクトを展開

★リオ⼤会 ★2020年⼤会

アマチュアからプロまで幅広い層の助成事業を展開

・都⺠の芸術⽂化に触れる機会の増⼤

・地域経済や観光の活性化

・世界から﹁芸術⽂化都市東京﹂として評価

・⼈材や芸術⽂化団体等の成⻑

・芸術⽂化の⼒が社会課題の解決に貢献

レガシーの創出

★ラグビーWC

中核となる事業を集中的に展開

都⽴⽂化施設における展⽰や公演、都響公演、東京芸術祭、上野「⽂化の杜」六本⽊アートナイト、伝統⽂化芸能体験、恵⽐寿映像祭、アール・ブリュット展他

⼤規模イベントの⽀援

★海外アーティストの新作発表、先端技術と芸術⽂化の融合、都⺠主体による⼤規模な⽂化活動の⽀援など

東京⽂化プログラム助成開始

様々な発想を取り⼊れたプログラムを集中的に展開

リオにおける事業

東京⽂化プログラム助成メニュー拡充

東京キャラバン、TURN

⺠間等に対する助成事業

東京⽂化プログラムの⼟台となるプログラム⼤規模オペラ

・「東京2020⽂化オリンピアード」などの、マーク活⽤による祭典気運醸成

フェスティバルとの⼀体感醸成

東京2020フェスティバル(仮称)

新たに展開する象徴的なプログラム

⽂化プログラムの集⼤成として、⼤会3か⽉前から閉会までの期間に開催

東京芸術⽂化評議会及び専⾨部会の有識者等による審査(企画公募事業)や意⾒聴取を踏まえ、事業を構築

★ 「東京2020フェスティバル(仮称)」に向けた取組(企画公募事業)

★都⺠による芸術⽂化活動の場を⽣み出す取組(場の開放)

★世界的に発信できる新たな取組(パリ市との交流事業等)

⽂化プログラム全体を盛り上げる取組

※平成24年度からアーツカウンシル東京による助成事業開始

2020年東京五輪|文化プログラムのいくつかの私案Some Ideas for Cultural Olympiad and Festival Tokyo 2020

文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日

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ビジョン:文化から世界の未来を切り拓くDiscover Tomorrow for the Globe through Culture

芸術文化には世界と未来を変える力がある。文化の国「日本」を再発見し、国際的なアピールと協働を推進する。

TOKYO 2020

• 多様な価値観の共存する(渾然一体となった)文化のあり様を世界各国と共有(伝統の国+未来の国、アーティストの創造力+市民の創造力、ハイカルチャー+サブカルチャー、日本的なるもの+海外起源のもの…)

• 文化による地域活力の創出を全国展開。

• 世界の芸術文化の振興への寄与・貢献。

• スポーツと文化に支えられた超高齢社会、成熟社会の新たなモデルを世界に提示。

アートサイト日本2020without Tokyo

全国各地の文化的リソース2,020件(各都道府県約40件)を選出し、日本

文化の多様性とポテンシャルを世界にアピール

2020年東京五輪を東京だけのイベントに終わらせない。

文化観光、地域の活力創出につなげる。

TOKYO 2020 時間軸(伝統から現代)

×

分野軸(芸術文化から食文化)

に基づいて幅広く選出

お祭り、伝統芸能、生活文化(茶道、華道、書

道…)、現代芸術(美術、ダンス、演劇、音楽

…)、サブカルチャー、ストリートダンス、アニメ、

映画、メディア芸術、トリエンナーレ/ビエンナー

レ、芸術フェスティバル、(街中展開型)アート

プロジェクト、ゆるキャラ、オタク文化、アマチュ

ア文化活動(参加・体験)、伝統的町並み、農

山村、棚田、漁村、和食、寿司、日本酒、ヌー

ベルキュイジン、最高級食材(例:松阪牛、

○○さんのつくったイチゴetc.)、B級グルメ

……等々

1

参考:Rough Guide社(英国トラベルガイド)による日本の必見スポット

1. 京都 11. 会席料理2. スキー(北海道ニセコ、野沢温泉) 12. 屋久島3. 築地 13. 富士登山4. 札幌雪祭り 14. 旅館宿泊5. 奈良 15. 阿波踊り6. 直島 16. 相撲7. 広島 17.日光8. 高野山 18.熊野古道9. 歌舞伎 19.温泉

10. 木曾谷 20. 酒蔵(小布施、高山)

出典:Rough Guide社HPより

4年間のカルチュラル・オリンピアードを活用して専用サイトを構築

日本文化ミシュラン、観光庁と連携聖火リレーとの連携

2020年五輪参加国・地域全てに対応した多言語サイト(おもてなし)

2020年五輪終了後のレガシーとして継続・更新

アートプロジェクト国際芸術祭の広がり

アートを地域活力創出の起爆剤に

社会的課題と向き合うアートプロジェクト

創設の続くトリエンナーレ・ビエンナーレ

アート・プロジェクト

• 現代美術を中心に、主に1990年代

以降日本各地で展開されている共創的芸術活動。

• …美術家たちが廃校・廃屋などで行

う展覧会や拠点づくり、野外/まちなかでの作品展示や公演を行う芸術祭、コミュニティの課題を解決するための社会実験的な活動など

熊倉純子, 芸術と共創する社会, 2014

国際芸術祭

• 2000年以降、トリエンナーレ、ビエンナーレの創設ラッシュ

• 都市型(横浜、愛知、札幌等)

• 里山型(越後妻有、瀬戸内、中之条等)

TOKYO 2020

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文化オリンピアード――ロンドン、リオ、そして東京2020へ フェリス教養講座|2017年4月18日

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祭り、芸能の再評価と活性化

東日本大震災と文化からの復興

祭り、芸能こそがコミュニティ

地域・歴史に根ざした文化と国際交流

TOKYO 2020

1クリエイティブ・フロント東京 / 日本

芸術の未来を創る。

国内外のアーティストにプロポーザルと新作委嘱を大々的に実施。

アーティストの夢の実現できる都市「東京」、世界の芸術を牽引する国「日本」の実現。

TOKYO 2020

世界の都市総合力ランキング[森記念財団、2013年10月]

• 1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位パリ、4位東京、5位シンガポール、6位ソウル…• 文化・交流(1位ロンドン:348.0、8位東京:150.3)>世界トップレベルの公演、展覧会開催• 2012年ロンドン五輪:204ヶ国から4万人以上のアーティストが参加、新作委嘱5,370作品

芸術の消費地から生産地への転換芸術文化の振興に対する国際貢献

• 日本人アーティストと外国人アーティストもしくは外国人アーティスト同士のコラボレーションを奨励し、東京2020から新しい芸術創造の国際的な潮流を生み出していく。

• 日本とアジア諸国との共同制作を推進し、アジアにおける文化的ハブの形成につなげ、日本がアジアから世界に向けた芸術創造・発信の牽引車的な役割を担う。

2

アーティスト・イン・レジデンスの活用

21世紀の文化創造に対する国際貢献

国際共同制作

AIRネットワーク形成に向けた動き

アーティスト・イン・レジデンスの可能性

• 日本には約50件のAIRが活動中

• 日本の理解促進・国際交流の基盤

• 芸術を生み出すCreative Artistsへの支援(←Interpretive Artists)

© Japan Foundation

TOKYO 2020

2日本人は皆アーティストだ!

老いても文化(とスポーツ)で豊かで元気な国日本をアピール

成熟社会の新たなモデルを世界に提示

西欧型文化政策(アーティスト起点)+日本型文化政策(市民起点)への転換

TOKYO 2020

World City Cultural Summitで明らかになった東京(日本)の文化的特性・強み[2012年ロンドン五輪の文化プログラムの一環として開催、世界主要12都市の文化的特性を比較]

• 古くから市民が多様な芸術・文化活動に深く関与してきたこと• 市民自身が芸術の消費者(鑑賞者)であると同時に芸術の創造者(芸術家)であること• ハイカルチャーと大衆文化の境界が曖昧であること

• 一般家庭の保有するピアノの台数:83万台

• お茶やお花を日常的に楽しんでいる市民の数:46万人

• アマチュアのダンススクールの数:748件

• 新聞の発行部数:540万部で主要紙には俳句コーナー

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日本人は皆アーティストだ!

1. 鳴り響け1,000万台のピアノ

2. 250万人の歓喜の歌

3. 日本縦断 BON Dance !………

TOKYO 2020

1. オリンピック開会に合わせ、日本全国の一般家庭、学校、劇場・ホール、福祉施設、病院等々のピアノを一斉に演奏(開会式セレモニーの一環)

2. パラリンピックの閉会に合わせ、全国で第九を演奏。2020年はベートーベン生誕250年

3. オリンピックとパラリンピックのインターバルに全国各地で既存の盆踊り+新作(復活)盆踊りを展開

高齢者、障がい者、老若男女の参加により「老いても文化で豊かに元気な日本」をアピール

日本版UNLIMITED(ロンドン五輪の障がい者アートフェスティバル)

3TOKYO 2020

1. 文化プログラムを通じて、全国どこでも、誰もが2020年東京大会に参加可能

2. オリンピック精神に沿ったテーマ:人間の尊厳に重きを置く平和な社会を奨励IOC:卓越(Excellence)、友情(Friendship)、敬意/尊重(Respect)IPC:勇気(Courage)、決断力(Determination)、平等(Equality)、鼓舞(Inspiration)

3. 教育プログラム、スポーツ大会との連携

4. (会期中の)インバウンドへの過度の期待は禁物

5. 文化による地域活力の創出を担う人材育成こそが最大のレガシー

2020年以降のスポーツ・文化・教育を通じた新たな成熟社会の実現

全国展開に向けたいくつかのポイント

文化プログラム

Tokyo 2020

エンブレムから文化プログラムの全国展開を考える

文化オリンピアード

Tokyo 2020 in XXX City

エンブレムから文化プログラムの全国展開を考える

XXX City2020

+Plus

アーツカウンシルXXX City

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