Ⅱ 就労による経済的自立が可能な社会に関する 数値目標設定...
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第 章
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仕事と生活の調和実現の状況
Ⅱ
就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
「憲章」では、「就労による経済的自立が可能な社会」、つまり、経済的自立を必要とする者、とりわけ若者が、いきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望
の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤の確保ができる社会を、仕事と生活の調和が実現した社会の3つの具体的な姿の1つ目として掲げています。
<数値目標>
①就業率20~ 64歳の就業率は、2009年にやや低下しました
が、2010年以降おおむね上昇傾向にあり、2018年は81.8%となっています。20~34歳の若年層の就業率は2010年以降おおむ
ね上昇傾向にあり、2018年は80.5%となっています。
25~ 44歳の女性の就業率は、有配偶の女性の就業率の上昇等から長期的には上昇傾向が続き、2018年は76.5%となっています。60~ 64歳の就業率は、高年齢者雇用確保措置の
進展等により2003年から2008年まで上昇した後は横ばいとなっていましたが、2012年以降連続で上昇し、2018年は68.8%となっています(図表3-2-1)。
【図表3-2-1 就業率】
55.557.2
62.263.6
67.0
74.0 73.8 73.1 73.2 73.4 73.974.5 75.3 74.6 74.7
75.276.4
78.179.2 80.0
73.1 72.9 72.3 72.4 72.773.3 73.9
74.4 73.6 73.774.475.4
76.177.0
79.0
67.869.5
70.871.6
72.8
51.0 50.7 50.6 50.751.5 52.0
52.6
57.0 57.157.758.9
60.7
77.5
61.2 62.0 62.062.6 63.4
64.064.9 65.5
65.8 66.0 66.6
50
55
60
65
70
75
80
2000 2001 2002 2003 2004 20062005 2008 20092007 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 20182017 2020
60~64歳 20~64歳 20~34歳 25~44歳(女性)
(%)
(年)
目標値
(備考)1.総務省「労働力調査」(基本集計)(5歳階級)より作成。2.就業率とは、15歳以上人口に占める就業者の割合である。3.2011 年の数値(<>で表示)は、総務省が補完的に推計した値を用いている。
75.3
74.476.1
77.7
66.2
68.8
80.481.8
74.476.5
78.680.5
Ⅱ 就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
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仕事と生活の調和実現の状況
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就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
②時間当たり労働生産性の伸び率これまでの対前年度の時間当たり労働生産性の上昇率を見ると、景気の急激な悪化の影響を受けた2008年度の大きな落ち込み後は5年連続でプラスの伸びと
なり回復がみられました。2014年度は、前年度比マイナス0.5%になったものの、2015年度は前年度比1.3%まで回復しました。2016年度は前年度比0.2%となっています(図表3-2-2)。
【図表3-2-2 時間当たり労働生産性(実質)の対前年度の伸び率】(%)
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
-4.0
-5.0
総実労働時間の対前年度増減率(①)
就業者数の対前年度増減率(②)
実質 GDPの対前年度増減率(③)
時間当たり労働生産性対前年度増減率(④)
2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016(年度)
1.91.4
3.1
2.01.2
2.1
0.4
1.5
-1.8
2.3
1.7 1.11.3
0.3 0.2
3.0
-0.5
(備考)1.内閣府「国民経済計算」(連鎖方式)、総務省「労働力調査(基本集計)」(年度平均)、厚生労働省「毎月勤労統計調査」(5 人以上事業所)より作成。2. 実質GDPは、2017 年 10 ~ 12 月期 1次速報 (2018 年2月 14 日公表 ) の各年度値による。3.「時間当たり労働生産性=実質GDP/ ( 就業者 × 一人当たり平均総実労働時間)から対前年度増減率で表示すると、「時間当たり労働生産性増減 率(④)=実質GDP増減率(③)-(就業人口増減率(②)+一人当たり平均総労働時間増減率(①))」となるため、グラフ上は①及び②は符号を 逆にしている。4. 総実労働時間は、2011 年 3 ~5月分について、岩手県、宮城県及び福島県の被災3県を中心に、一部調査の中止や有効回答率の低下という東日本大震 災による影響が出ている。5. 就業者数は、2011 年 3 ~8月分について、総務省統計局による補完推計値を用いて年度値を算出している。
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就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
③フリーターの数フリーター(15~ 34歳のパート・アルバイト及びその希望者)の数は、2004年以降5年連続で減少しましたが、2009年に増加に転じ、2010年以降は、おおむね横ばいか減少傾向で推移しており、2018年は
143万人となっています。内訳を見ると、15~ 24歳の年齢層は61万人、25~ 34歳の年齢層は82万人となっています。また、15~34歳人口に占めるフリーターの割合は、2018年は5.6%となっています(図表3-2-3)。
【図表3-2-3 フリーターの数の推移】(万人)
(年)
(%)250
200
150
100
50
0
7
6
5
4
3
2
1
0
フリーター数(15~24歳)
フリーター数(25~34歳)
フリーター数目標値
15歳から34歳人口に占めるフリーターの割合(右目盛)
参考値
6.5
214
99
115
5.9
187
92
95
5.7
171
88
83
6.4
182
98
84
6.6
180
103
77
6.8
178
105
73
6.8
182
102
80
6.6
〈184〉
〈98〉
〈86〉
6.1
177
92
85
5.9
181
92
89
6.2
201
97
104
6.5
217
98
119
6.4
166
96
70
6.0
154
91
63
5.9
152
88
64
5.6
143
124
82
61
(5.1)
(備考)1. 総務省「労働力調査(詳細集計)」より作成。2. 数値は、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者のうち、①雇用者のうち「パート・アルバイト」の者、②失業者のうち探している仕事の形態が「パート・
アルバイト」の者、③非労働力人口で、家事も通学もしていない「その他」の者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」の者。なお、2018年から就業状態を未活用労働を含む区分に変更したため、2018年の「若年層のパート・アルバイト及びその希望者」の定義は 2017 年までと異なる。
3. 2011 年の数値 < > は、岩手県、宮城県及び福島県について総務省が補完的に推計した値を用いている。4. 2020 年の数値( )は、15 歳から 34 歳のフリーター数を 124 万人と想定し、当該人口に占めるフリーターの割合を、国立社会保障・人口問題研究所「日 本の将来推計人口(平成 29 年推計)」(出生中位・死亡中位)による 2020 年の将来推計人口より算出している。
6.1
91
117
208
2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020
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就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
役員を除く雇用者に占めるパート・アルバイトや契約社員など非正規の職員・従業員の割合は、男女とも
に長期的に高まっており、2018年平均で5,596万人いる役員を除く雇用者のうち37.9%を占めています。男女別では、2010年以降、男性は約2割、女性は5割を超えておおむね横ばいで推移しています(図表3-2-4)。
【図表3-2-4-① 雇用形態別役員を除く雇用者数の推移】
【図表3-2-4-② 雇用形態別役員を除く雇用者数の推移(男女別)】
5460
411134
1414
3423
78
5596
414136
1490
3476
80
406133
1403
3367
5391815303
406127
1370
3317
845256
412119
1350
3288
875213
390116
1323
3302
825161
35591
1243
3345
128〈5167〉
〈360〉〈96〉
〈1229〉
〈3355〉
〈127〉5138
33396
1196
3374
138
(万人) (%)〔男女計〕70
60
50
40
30
20
10
0
37.4 37.5
3999156499
3343
16.4
4780176
825
3779
20.9
37.5 37.3 37.936.735.2〈35.1〉34.4
5008129279106
1120
3375
32.6
4369171
710
3488
20.2
1985年2月
1990年2月
1995年2月
2000年2月
2005年平均
2010年平均
2011年平均
2012年平均
2013年平均
2014年平均
2015年平均
2016年平均
2017年平均
2018年平均
6,000
5,500
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
4903161
1078
3630
26.0
33
(万人) (%)〔男性〕
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
70
60
50
40
30
20
10
01985年2月
1995年2月
1990年2月
2000年2月
2005年平均
2010年平均
2011年平均
2012年平均
2013年平均
2014年平均
2015年平均
2016年平均
2017年平均
2018年平均
(万人) (%)〔女性〕
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
70
60
50
40
30
20
10
01985年2月
1995年2月
1990年2月
2000年2月
2005年平均
2010年平均
2011年平均
2012年平均
2013年平均
2014年平均
2015年平均
2016年平均
2017年平均
2018年平均
(備考)1.1985 年から2000 年までは総務省「労働力調査特別調査」(2 月分の単月調査)、2005 年以降は総務省「労働力調査(詳細集計)」(年平均)による。2. 雇用形態の区分は勤め先での呼称による。3.「非正規の職員・従業員」について,2008 年以前の数値は「パート・アルバイト」、「労働者派遣事業所の派遣社員」、「契約社員・嘱託」及び「その他」の合計、 2009 年以降は、新たにこの項目を設けて集計した数値を掲載している。4. 非正規の職員・従業員の割合は、「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計に占める割合を示す。5. 2011 年の < > 内の実数・割合は、総務省が補完的に推計した値を用いている。
正規の職員・従業員労働者派遣事業所の派遣社員その他非正規雇用者の割合(右目盛)
パート・アルバイト契約社員・嘱託契約社員・嘱託+その他
2536104
2674109
2876106
〈2887〉〈62〉
287061
289843
290842
83126
150 〈197〉197 235 230
2349 24382620
7.4 8.8
289298232
2553
11.78.9
〈39〉 48 50〈276〉272 305 313
〈2315〉2304 22672272
29384222955
325
2287
286469149247
2357
17.7
286566181260
2324
18.9〈19.9〉19.7
288542219302
2273
21.2 21.8 21.9 22.1
29574023153
324
2310
21.9
30084023151
347
2339
22.2
942 35 4836 2395
56.3
2357
56.7
2327
55.8
2291
54.5
〈2280〉
〈54.4〉
2273
53.8
2144
52.5
2011
46.4
190439.1
169538.1
146332.1
647062
53
25
675584417
77726955〈59〉6364
846 105710451021970〈954〉937872
1045
55.9
78
1078
1080
55.5
81
1090
1114102210291042〈1040〉10511018107711591050994
41424067〈66〉736039 38
2453 2503
176178170158〈163〉152130178 180
56.1
85
1143
1137
402588
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1.非正規雇用の労働者をめぐる状況
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就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
【図表3-2-6 フリーター期間別の正社員比率(フリーター経験者のうち現在、正社員である者のフリーター期間別比率)】
【図表3-2-5 役員を除く雇用者の年齢階級別にみた非正規の職員・従業員の割合】
雇用者に占める非正規の割合を男女・年齢階級別に見ると、女性では、25~34歳を底に年齢階級が上がるほど、上昇しています。男性では45~ 54歳を底に年齢階級が上がるほど上昇するすり鉢型になってい
ます(図表3-2-5)。また、フリーター期間が6か月以内に比べ3年以上では正社員への転換が低下している傾向にあります(図表3-2-6)。
(%)
総数
〔男性〕
15~24歳 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上
在学中を除く
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
総数
〔女性〕
15~24歳 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上
在学中を除く
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
46.9
21.014.4
9.3 8.6
29.2
72.4
53.3
31.137.9
52.558.2
67.9
81.3
(備考)1. 総務省「労働力調査(詳細集計)」(2018 年)より作成。2. 男女、年齢階級別に見た「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計に占める「非正規の職員・従業員」の割合。3.15~ 24歳の「在学中を除く」は在学中を除いた「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計に占める「非正規の職員・従業員」の割合。4.「非正規の職員・従業員」は、勤め先での呼称によって区分された、「パート」、「アルバイト」、「労働者派遣事業所の派遣社員」、「契約社員」、「嘱託」、「その他」 の6区分をまとめたもの。
(備考)独立行政法人労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の展開」―「第3回若者のワークスタイル調査」(2011 年実施)より作成。
72.5
62.1
57.0
42.9
54.1
38.3
64.0
58.3
52.2
58.9
48.9
61.760.0
56.5
55.1
30
35
40
45
50
55
60
65
70
75
6か月以内
男性女性合計
(%)
7か月から1年 1-2年 2-3年 3年以上
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仕事と生活の調和実現の状況
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就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
非正規の職員・従業員について、2018年における現職の雇用形態についた主な理由は、男女とも「自分の
都合のよい時間に働きたいから」の回答割合が高くなっています。(図表3-2-7)。
【図表3-2-7 非正規の職員・従業員が現職の雇用形態についた主な理由(男女別割合)】
〈男性〉 〈女性〉
(備考)1. 総務省「労働力調査(詳細集計)」(2018 年)より作成。
27.7
05101520253035(%)
その他
正規の職員・従業員の仕事がないから
家計の補助・学費等を得たいから
家事・育児・介護等と両立しやすいから
通勤時間が短いから
専門的な技能等をいかせるから
自分の都合のよい時間に働きたいから
13.3
1.1
3.9
11.5
20.6
22.0
30.9
0 5 10 15 20 25 30 35(%)
22.5
17.8
4.8
5.4
9.3
9.2
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仕事と生活の調和実現の状況
Ⅱ
就労による経済的自立が可能な社会に関する数値目標設定指標の動向
次に、転職希望者及び就業希望者がどのような就業形態を希望しているかを見ると、雇用者(15~ 34歳)で、「非正規就業者」のうち、男性の23.9%、女性の20.3%が転職希望者であり、「非正規就業者」の転職希望者のうち正規就業を希望する人の割合は、男性は72.1%、女性は58.2%となっています(図表3-2-8)。
また、無業者(15~ 34歳)について見ると、男性は21.5%、女性は30.6%が就業を希望しており、就業希望者のうち正規就業を希望する人の割合は、男性は52.5%、女性は30.1%となっています(図表3-2-9)。これらのことから、女性の方が男性より、自ら正社員以外の働き方を選択している労働者が多いとみられます。
【図表3-2-8 正規就業への転職希望者数及び割合(非正規、15~34歳)】
【図表3-2-9 正規就業への就業希望者数及び割合(無業者、15~34歳)】
(人)
(備考)1. 総務省「平成 29年就業構造基本調査」より作成。2.「非正規」とは、「パート」、「アルバイト」、「労働者派遣事業所の派遣社員」、「契約社員」、「嘱託」、「その他」の合計。 なお、雇用者の区分は勤め先での呼称による。
4,000,000
3,500,000
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
非正規のうち転職希望者
男性非正規
女性非正規
転職希望者のうち正規就業を希望
488,20023.9%
352,20072.1%
2,042,500
3,210,400
652,80020.3% 380,200
58.2%
(備考)総務省「平成 29年就業構造基本調査」より作成。
(人)6,000,000
5,000,000
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
0
無業者のうち就業希望者
男性無業者
女性無業者
就業希望者のうち正規就業を希望
4,127,400
4,802,700
1,467,70030.6% 441,400
30.1%465,40052.5%
887,10021.5%