第9章 GPS測量の種類 1. スタティック測位

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第9章 GPS測量の種類 GPSの利用形態 1)単独測位 2) 3)時刻同期 1)DGPS 2) 低精度測量 1) 2)高速スタティック測位 3) (別名:ストップアンドゴー) 4)擬似キネマティック測位 5)その他 後処理キネマティック測位 1. スタティック測位 スタティック測位では,基線の両端に測量機(アンテナと受信機)を設置し,最低30 分から数時間 ,全点同時にGPS衛星からの電波を受信記録する. ・測量機がたくさんあるなら,多数点で同時観測が可能.3点以上で同時観測を行え ば,多角形の各辺と全対角線のベクトルが求めることができる. ・衛星は最低4つ,可能な限り多数の衛星を受信することが望ましい ・通常は,L1搬送波のみを使用する. ・精度は,スタティック測位が最も優 れている.1cm+基線長×ppm 2. キネマティック測位 2.1 概要 キネマティック測位では,原則として1台のGPS測量機(アンテナと受信機)を参照地点 に設置(固定)し,もう1台の器械を順次移動しながら複数の測点でデータを受信する (移動する器械をローバー という). 1点の測量時間は1秒から1分くらい.このやり方から の別名がある. キネマティック測位には,後処理キネマティック測位と (略称として と呼ばれる.現在の主流)の二つの方式がある. 後処理方式では,観測記録したデータは,会社に持ち帰って基線解析するが,RTKでは 現場で基線解析ができる. ・基線が求まるのは,固定点と一つの移動点の間だけ.スタティック測位のように多辺, 多対角線は同時に求められない. ・衛星は最低4つ,可能な限り多数の衛星を受信することが望ましい. ・キネマティック測位には, が必要.これは,測了開始前に整数 値バイアスを決定する作業である. 一般に が用いられる. ・OTFでは,10秒から数分で初期設定ができる. ・移動の途中も含め,観測が終わるまで,固定点,移動点の器械とも電源をいれたま まで記録し続けることが必要(初期設定が壊れるため).サイクルスリップがあると以 後のデータは使えない! ・精度は,数cm. 受信遮断が起こると,通常は受信機がブザーなどで知らせてくれるが, 短時間の遮断だと鳴らないこともある.遮断に気づかないまま,測量を 続けても,以後のデータは使えない! 2.2 キネマティック測位の特徴 遮断に気づいたら,OTFにより再度初期設定し直すことが必要

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第9章�GPS測量の種類�

GPSの利用形態 ��1)単独測位��2) ��3)時刻同期�

1)DGPS �2) �

低精度測量�

1) �2)高速スタティック測位�3) �(別名:ストップアンドゴー)�4)擬似キネマティック測位�5)その他�

後処理キネマティック測位�

1.�スタティック測位�スタティック測位では,基線の両端に測量機(アンテナと受信機)を設置し,最低30分から数時間,全点同時にGPS衛星からの電波を受信記録する.�・測量機がたくさんあるなら,多数点で同時観測が可能.3点以上で同時観測を行えば,多角形の各辺と全対角線のベクトルが求めることができる.�・衛星は最低4つ,可能な限り多数の衛星を受信することが望ましい�・通常は,L1搬送波のみを使用する.�・精度は,スタティック測位が最も優� れている.1cm+基線長×ppm��

2.�キネマティック測位�2.1�概要�

キネマティック測位では,原則として1台のGPS測量機(アンテナと受信機)を参照地点に設置(固定)し,もう1台の器械を順次移動しながら複数の測点でデータを受信する(移動する器械をローバーという).��1点の測量時間は1秒から1分くらい.このやり方から����������������������の別名がある.��キネマティック測位には,後処理キネマティック測位と �(略称として�����������������������と呼ばれる.現在の主流)の二つの方式がある.��後処理方式では,観測記録したデータは,会社に持ち帰って基線解析するが,RTKでは現場で基線解析ができる.�

・基線が求まるのは,固定点と一つの移動点の間だけ.スタティック測位のように多辺,多対角線は同時に求められない. ・衛星は最低4つ,可能な限り多数の衛星を受信することが望ましい. ・キネマティック測位には,             が必要.これは,測了開始前に整数値バイアスを決定する作業である.  一般に                   が用いられる. ・OTFでは,10秒から数分で初期設定ができる. ・移動の途中も含め,観測が終わるまで,固定点,移動点の器械とも電源をいれたままで記録し続けることが必要(初期設定が壊れるため).サイクルスリップがあると以後のデータは使えない! ・精度は,数cm.

受信遮断が起こると,通常は受信機がブザーなどで知らせてくれるが,短時間の遮断だと鳴らないこともある.遮断に気づかないまま,測量を続けても,以後のデータは使えない!�

2.2�キネマティック測位の特徴�

遮断に気づいたら,OTFにより再度初期設定し直すことが必要�

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2.3�RTK �(Real time Kinematic) �                  は,固定測量機の観測データを移動側に無線で送って,移動側の計算機でその場で基線解析を行う方式である. RTKでは受信遮断による異常もすぐに発見でき,OTFと組み合わせると,初期設定の回復もスムーズにできる.現在,                           として キネマティック測位の主流をなしている.

固定点�無線機 (送信機)�

受信機�

アンテナ�

移動点�

3.� � (��������������:Virtual ReferenceStations) �3.1�概要�RTKの問題点 �・機材の問題 ��参照点用の受信機とデータ送信装置を用意しなければならない.�・バイアス決定の問題 ��参照点が遠いと,OTFに時間がかかる,もしくは収束しないこともある.�

は,これらの問題を改善するために考案されたものである.��VRSは,参照点として実在する観測点(我が国の場合では,国土地理院の )を用い,この基準点群の観測データを用いて,仮想の基準点を測量区域内に作り,これを参照点としてRTKを行うものである.�

仮想基準点方式のデータの流れ ��①ローバー(移動測位点)で単独測位を行う.携帯電話等でデータセンターにアクセスし,その結果を送信する.�②センターは,ローバーを囲む3点以上の電子基準点の位置と位相データから,ローバーで観測されるであろう位相データを生成する.�③センターからローバーに仮想基準点の位置,生成された位相データを携帯電話等で伝送する.�④ローバーは,センターから伝送された仮想基準点の位置,位相データ及びGPS衛星から受信した位相データを測量機にインプットし,これを参照点データとしてこれまで同様にRTKを行う. �

3.2�VRSのデータの流れ �