上田市内の観光消費総額は69.7億円

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-1- 平成28年度NHK大河ドラマ「真田丸」による経済波及効果推計業務 上田市内の観光消費総額は67.9億円 -長野県内への経済波及効果は200.9億円- 報告書概要版 平成 29 2 一般財団法人長野経済研究所 図表1.経済波及効果の推計結果 【経済波及効果 推計結果】 金額(億円) 185.4 42.0 63.3 37.5 35.4 7.2 118.3 53.9 28.7 200.9 1.7 その他 ①直接効果額 ②一次生産誘発額 ③二次生産誘発額 経済波及効果額 (①+②+③) 生産誘発倍率 土産代 観光消費総額 交通費 宿泊費 飲食費 ~調査結果のポイント~ 平成 28 1 10 日より放映が始まった NHK 大河ドラマ「真田丸」は、作品の舞 台となった上田市に多くの観光客を集めた。 平成 28 1 17 日に開館した「信州上田真田丸大河ドラマ館」(以下、大河ドラマ 館)には、最終日の平成 29 1 15 日までに 103 5,208 人の来場者が訪れた。 大河ドラマ館への来場者に対して実施したアンケート調査(サンプル数=809)を基 に観光消費額を推計したところ、上田市内における消費総額(交通費除く)は 67.9 億円となった。これは、交通費を除いた長野県内における観光消費総額(143.3 億円) 47.4%(67.9 億円/143.3 億円)を占める。 長野県産業連関表(2011 年)を用いて長野県内への経済波及効果を算出したところ、 効果額は 200.9 億円という結果となった。 平成29年2月20日 市長記者会見資料 政策企画部(シティプロモーション推進室)

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平成 28 年度 NHK 大河ドラマ「真田丸」による経済波及効果推計業務

上田市内の観光消費総額は 67.9 億円

-長野県内への経済波及効果は 200.9 億円-

報告書概要版

平成 29年 2月一般財団法人長野経済研究所

図表 1.経済波及効果の推計結果

【経済波及効果 推計結果】金額(億円)

185.442.063.337.535.47.2

118.353.928.7

200.91.7

その他①直接効果額②一次生産誘発額③二次生産誘発額

 経済波及効果額 (①+②+③)生産誘発倍率

土産代

項  目観光消費総額

交通費宿泊費飲食費

■~調査結果のポイント~・ 平成 28年 1月 10日より放映が始まった NHK大河ドラマ「真田丸」は、作品の舞台となった上田市に多くの観光客を集めた。

・ 平成 28年 1月 17日に開館した「信州上田真田丸大河ドラマ館」(以下、大河ドラマ館)には、最終日の平成 29年 1月 15日までに 103万 5,208人の来場者が訪れた。

・ 大河ドラマ館への来場者に対して実施したアンケート調査(サンプル数=809)を基に観光消費額を推計したところ、上田市内における消費総額(交通費除く)は 67.9億円となった。これは、交通費を除いた長野県内における観光消費総額(143.3億円)の 47.4%(67.9億円/143.3億円)を占める。

・ 長野県産業連関表(2011年)を用いて長野県内への経済波及効果を算出したところ、効果額は 200.9億円という結果となった。

平成 29年 2 月 20日

市長記者会見資料

政策企画部(シティプロモーション推進室)

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1.観光消費額及び経済波及効果の推計方法(前提条件)

(1)長野県における観光消費額の推計

① 真田丸効果による観光客数を、大河ドラマ館の総来場者数の 103.5万人とした。② 大河ドラマ館への来場者にアンケート調査を実施し、交通費・宿泊費・飲食費・土産代・その

他の予算を記入してもらった。

③ 来場者を日帰り客と宿泊客に分け、それぞれについて一人あたりの消費額を算出した。長野県

外での宿泊客は、日帰り客としてカウントした。

④ 上記の一人あたり消費額に、アンケート結果と観光客数から推計した日帰り客数と宿泊客数を

乗じて観光消費額を算出した。結果として、長野県における観光消費総額は 185.4 億円となった(図表 2)。

(2)上田市における観光消費額の推計

① (1)のアンケートにおいて、飲食費・土産代・その他について「全体の予算の内、上田市内

で予定している金額」を記入してもらった。

② 来場者を日帰り客と宿泊客に分け、それぞれについて一人あたりの消費額を算出した。上田市

外での宿泊客は、日帰り客としてカウントした。

③ 上田市内に宿泊した宿泊客の金額のみを宿泊費として、一人あたり消費額を算出した。

④ 上記の一人あたり消費金額に、アンケート結果と観光客数から推計した日帰り客数と宿泊客数

を乗じて上田市における観光消費額を算出した。結果として、上田市における観光消費総額は

67.9億円となった(図表 3)。

(注)長野県内(図表 2)は交通費を含み、上田市内(図表3)は交通費を含まない

図表 2.長野県内における観光消費総額

推計のフローチャート

図表 3.上田市内における観光消費総額

推計のフローチャート

観光客増加人数103.5万人

日帰り客52.2万人(50.4%)

宿泊客51.3万人(49.6%)

市内宿泊あり19.6万人(18.9%)

市内宿泊なし31.7万人(30.7%)

日帰り客(計)83.9万人(81.1%)

消費額(日帰り客)83.9万人×3,398円=28.5億円

消費額(宿泊客)19.6万人×20,106円=39.4億円

観光消費総額 合計67.9億円

観光客増加人数103.5万人

日帰り客52.2万人(50.4%)

宿泊客51.3万人(49.6%)

県内宿泊あり45.0万人(43.5%)

県内宿泊なし6.3万人(6.1%)

日帰り客(計)58.5万人(56.5%)

消費額(日帰り客)58.5万人×8,450円=49.5億円

消費額(宿泊客)45.0万人×30,193円=135.9億円

観光消費総額 合計185.4億円

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(3)県内消費額に占める上田市の比率(交通費除く)

図表 2で算出した県内の観光消費額について、交通費を除く総額は 143.3億円となった。この総額に占める上田市内の観光消費総額をみると、47.4%という結果となった(67.9億円/143.3億円)。アンケートで調査した消費項目の内、上田市が占める比率が高いものからみていくと、大河ドラマ

館の入館料が含まれる「その他(日帰り 95.8%・宿泊 85.9%)」、「土産代(日帰り 61.3%・宿泊 73.2%)」、「飲食費(日帰り 49.1%・宿泊 55.1%)」となった。

図表 4.来場者の消費額及び上田市内における消費額が占める比率

項目 日帰り客 宿泊客 項目 日帰り客 宿泊客 項目 日帰り客 宿泊客

飲食費 2,408 5,209 飲食費 1,182 2,868 飲食費 49.1% 55.1%

土産代 2,598 4,489 土産代 1,592 3,287 土産代 61.3% 73.2%

その他 651 739 その他 624 635 その他 95.8% 85.9%

合計 5,657 10,437 合計 3,398 6,790 合計 60.1% 65.1%

一人あたり平均消費金額(円) 上田市内における消費額(円) 全体に占める上田市内の消費額

(4)経済波及効果の算出

「平成 23年長野県産業連関表」(長野県情報政策課)を用い、「直接効果額」と「生産誘発額」を推計した。直接効果額は、観光消費額のうち、長野県内での生産による金額をいう。生産誘発額は、

直接効果により需要が増加した産業部門が、ほかの産業部門から原材料を購入することで生産を誘

発する「一次生産誘発額」と、一次生産誘発額までの過程で生まれた雇用者所得の一部が、家計消

費等に回ることで生じる需要生産へ波及する「二次生産誘発額」を推計した。

図表 5.経済波及効果の推計フローチャート

観光消費総額 185.4

直接効果額 118.3 除外

直接効果額 118.3一次生産誘発額

53.9

経済波及効果合計 200.9(億円)

≪一次波及効果≫

≪直接効果≫

その他

67.1

(生産波及)

(自給率)

一次波及効果 172.2

≪二次波及効果≫

(所得増加に伴う消費増加)

二次生産

誘発額

28.7

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2.参考データ

(1)来場者の年代は 40 代が最多、家族連れが約4割

大河ドラマは、比較的高齢者の関心が高いといわれているが、来場者の年齢構成をみると男女と

もに「40 代」が最も多かった(図表 6)。来場者の 42.1%は「家族・親戚」で訪れており、大河ドラマ館が家族旅行の目的地として高い需要があったことが伺える(図表 7)。

図表 6.性別でみた年齢構成 図表 7.同行者の内訳

1.4

6.5

13.7

27.1

17.0

19.9

12.5

1.9

3.1

9.0

14.1

24.7

17.7

17.5

12.9

1.0

0.0 10.0 20.0 30.0

10代

20代

30代

40代

50代

60代

70代

80代以上

男性

女性

(無回答除く、n=808)

(%)42.1

23.1

13.1

12.1

8.4

1.1

0.0 20.0 40.0 60.0

家族・親戚

夫婦・カップル

団体

友人・知人

1人

その他(無回答除く、n=795)

(%)(%)

(2)来場者の約8割は県外から、東京をはじめとする関東が大半

来場者の居住地をみると、全体の約8割が「長野県外」で占めた(図表 8)。都道府県別にみると、「東京都(14.9%)」「埼玉県(14.8%)」「神奈川県(10.0%)」など、関東地方が大半となった(図表 9)。上田市は、関東地方からの交通アクセスが良いという面もあるが、旅行会社をはじめ首都圏でのプロモーション活動等の効果が出たものと考えられる。

図表 8.来場者の居住地 図表 9.県外からの来場者(都道府県別)

上田市内6.6%

上田市以外

の長野県内15.1%

長野県外78.3%

(無回答除く、n=808)

14.914.8

10.0

7.57.16.0

5.25.14.3

3.52.92.72.72.21.7

9.4

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

東京都

埼玉県

神奈川県

愛知県

群馬県

新潟県

静岡県

千葉県

栃木県

山梨県

岐阜県

大阪府

富山県

茨城県

兵庫県

その他

(%)

(n=630)

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(3)大河ドラマ館の情報入手経路はテレビが最多、世代別に特徴も

大河ドラマ館の情報入手経路として最も多かったのは「テレビ」となった。その次に高かったも

のは世代によって異なっており、10 代~30 代の若年層は「口コミ」、40 代~50 代の中間層は「インターネット(SNSを除く)」、60代以上の高齢層は「旅行会社の広告」となっている(図表 10)。

図表 10.大河ドラマ館の情報入手経路

22.9

18.2

20.8

16.7

9.9

6.3

4.7

2.1

7.8

27.8

24.4

11.5

17.2

10.6

5.2

8.9

0.9

10.3

29.8

6.0

17.0

11.7

10.6

20.4

4.9

0.0

14.7

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

テレビ

インターネット(SNS以外)

口コミ(友人や家族から聞いて)

ここへ来て初めて知った

新聞・雑誌

旅行会社の広告

駅や街頭のポスター・パンフレット

SNS(フェイスブックやツイッターなど)

その他

若年層

中間層

高齢層

(複数回答、n=806)

(%)

(注1)世代については、若年層は10代~30代、中間層は40代~50代、高齢層は60代以上を集計。

(注2)「年代」について無回答を除く806名の回答。

(4)大河ドラマ館の満足度、上田市への再訪意向度いずれも高く

大河ドラマ館に対する満足度を調査したところ、「とても満足した」が 49.1%、「おおむね満足した」が 38.2%となっており、合計した「満足」の回答は 87.3%という高い比率となった(図表 11)。また、上田市への再訪意向度を調査したところ、「また来たいと思う」が 83.8%と高い比率になった(図表 12)。「真田丸」の影響で上田市を訪れた観光客に対し、上田市の魅力を伝えるきっかけになったといえる。

図表 11.大河ドラマ館の満足度 図表 12.上田市への再訪意向度

とても満足した49.1%おおむね

満足した38.2%

どちらともいえない8.3%

やや不満だった3.1%

とても不満だった1.1%無回答

0.4%

(n=809)

また来たい

と思う83.8%

もう来たく

ない1.2%

わからない10.5%

無回答4.4%

(n=809)

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(5)アンケートに寄せられた好評意見(一部)

大河ドラマ館について

堀があったり、とても良いつくりになっていて良かった。

ドラマ館を満喫しました。シアターがよかった。

街並みについて

街並み、景観意識されていて良い。

上田城から見た街並がとてもよかった。

昔の雰囲気が残っていて、なおかつ整備もされていて良い。

対応について

駐車場の人が親切だった。

ボランティアの方が丁寧だった。

トイレがきれいだったり、対応してくださる方が丁寧だった。

街の人がやさしかった。

観光全般

HP見て、情報も得られたので良かった。

オールシーズン楽しめる、良いところだと思う。

おもてなし隊が活躍しているのがよい。町中にもここのような賑わいを持って行ってほしい。

柳町が良かった。造り酒屋とパン屋がいい感じだった。

案内看板が六文銭になっていて面白い。

拠点にして、色々観光しやすくて良い。交通の便がとても良い。

昨年来た時より、駐車場が増えて良かった。停められないと思っていたので。

歩いて移動できるのが良い。

以上