自治体オープンデータの活用と展望

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1 「自治体オープンデータの 活用と展望」 青木 和人 あおき地理情報システム研究所 日本サスティナブル・コミュニティ・センター『第16回京都研究会2014-2015「京都から世界に誇れる街づくり~ICT の未来に何が必要か~」 2015. 1.30

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「自治体オープンデータの 活用と展望」

青木 和人 あおき地理情報システム研究所

日本サスティナブル・コミュニティ・センター『第16回京都研究会2014-2015』 「京都から世界に誇れる街づくり~ICT の未来に何が必要か~」

2015. 1.30

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自己紹介 地理情報システム、オープンデータ

青木 和人(Kazuto AOKI)

あおき地理情報システム研究所 代表

京都オープンデータ実践会 代表、Code for Kyoro メンバー

自治体オープンデータ推進協議会(関西会議)事務局長

立命館大学大学院 公務研究科 講師

立命館大学 歴史都市防災研究所 研究員

地理情報システム学会 代議員,

教育委員会 副委員長, 自治体分科会 事務局長

HP http://aokigislab.web.fc2.com/

Brog http://ujigis.blog.fc2.com/(うじじす)

Twitter ujigis(うじじす) この顔に

ピンときたら!

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1.行政公開型オープンデータ 2.市民参加型オープンデータ 3.展望 ・シビックテック ・イノベーション

今日お話すること

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1.行政公開型 オープンデータ

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オープンデータとは

出典:オープンデータとは何か? — Open Data Handbook http://opendatahandbook.org/ja/what-is-open-data/index.html

・誰もがアクセスでき、利用できる

・二次利用、複製、改変、再配布ができる

・オープンソースのデータ版

相互運用性

さまざまなシステムや組織が共同で作業を進められる

さまざまなデータセットを組み合わせて混ぜて使える

さまざまなコンポーネントを組み合わせて使えるようになる

オープンデータで様々な

イノベーションの創出

期待されている

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6 引用:首相官邸 「電子行政オープンデータ戦略」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/denshigyousei.html 平成24年7月4日決定

「電子行政オープンデータ戦略」

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オープンガバメント

出典:Data.gov http://www.data.gov/

透明でオープンな政府を実現するための政策とその背景となる概念 オバマ大統領が就任直後の2009年1月21日に公表した大統領メモ『Memorandum on Transparency and Open Government』の中で、 より一層開かれた政府を目指すために、

①「政府・政策・情報の透明性(transparency)」

②「市民参加(participation)」

③「政府内および官民の連携(collaboration)」の3原則を示した。

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Open by Default 透明性を高める

出典:Data.gov http://www.data.gov/

行政管理予算局(OMB)が提供するサイトで、

連邦政府機関が保有する国勢、環境、経済状況などの

各種データセットを提供。

従来の情報公開との違いは、単に統計情報として集計結果を公表するだけではなく、生データやツール、地理情報を提供することで、利用者は加工や分析が容易に行える

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「新しい公共」

出典:国土交通省 国土政策局 地方振興課 http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/aratana-kou/index.html

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行政公開型オープンデータ 「鯖江市モデル」

出典:鯖江市 市内公園等のトイレ情報(XMLRDF) http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11592

2012年1月30日

公開

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鯖江市 オープンデータの中身

緯度経度情報がついている

トイレ施設情報

機械判読できる

RDF、XML形式

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行政公開型オープンデータ 「鯖江市モデル」

出典:トイレこんしぇる

http://fukuno.jig.jp/2012/wcconcierge

出典:トイレ情報 http://fukuno.jig.jp/2012/wcsabaeosm

地元のIT企業が

便利なアプリケーション

ソフトウェアを作ってくれて、市民が便利になる!

地域経済も活性化する!

2次利用できる

機械判読可能な

緯度経度の行政情報を

利用できる

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13 出典:津波ハザードマップ - 福井県坂井市 http://fukuno.jig.jp/2013/tsunamirefuge

流山市では今後1年かけて、自治体が公開するオープンデータと住民が集めた情報を共有し、住民との協力による地域防災計画を作り、成果の検討を行っていく予定

福井県坂井市 津波ハザードマップ

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地方自治体のオープンデータの取組状況

出典:福野泰介の一日一創 http://fukuno.jig.jp/805

日本のオープンデータ都市数89:2015/1/23現在

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2次利用可能 クリエイティブコモンズライセンス

インターネット時代のための新しい著作権ルール

著作物の二次利用ルールをひと目で分かるように

4つのアイコンの組み合わせで

6種類の

権利表示

出典:クリエイティブコモンズライセンス http://creativecommons.jp/licenses/

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生データを公開してくれたら。(マッシュアップ)

出典 文部科学省放射線量等分布マップ拡大サイト(http://ramap.jaea.go.jp/map/map.html)

出典 東北関東大震災・非公式・放射性物質モニタリングポストMAP

(https://maps.google.co.jp/maps/ms)

行政が提供する見栄えはよいが

使い勝手のよくない地図(GIS)より、

生データを公開してくれたら、

こっちで勝手に地図化(地理情報サービス)しますよ!

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行政公開型オープンデータ の議論だけ!

行政情報を二次利用可能なオープンデータとして公開すると

・民間企業でイノベーションが起こる地域・経済活性化が進む

・NPO、市民がオープンデータを使ったアプリケーションソフトを作ってくれる

行政情報

オープンデータ

民間 企業

市民 NPO データを

作る人

データを

使う人

行政

行政出してくれ!型 オープンデータは

行政から、もらうもの?

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2014年9月17日(水)NHKクローズアップ現代

出典:公共データは宝の山 - NHK クローズアップ現代http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3552_all.html#

ゴールデンタイムに

オープンデータが

取り上げられたことの意義は大きいけど。。

ビッグデータとの

区別がついていない。。

個人情報が公開されてしまう。

よくわからないので、お決まりのパターンで不安を煽っておく

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行政(地方自治体)の情報公開、オープンデータ

・個人情報保護条例

個人情報が含まれるものは

一切公開されません。

・情報公開条例

個人情報が含まれないものは

原則、すべて公開。

この2次利用可能なデジタルデータを

Open by Defaultで公開できるか?

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2013年6月14日,政府の

「世界最先端IT国家創造宣言」 オープンデータ活用推進が筆頭に

あげられている

2013年6月18日,G8首脳宣言,

「オープンデータ憲章」合意

先進国の責務としての

国、連邦、地方自治体、

国際政府機関または

より広い公的セクター

の保有データを

オープンデータとして推進

政府は、前のめり 行政のオープンデータで

新産業が創造されて、

日本経済が活性化する!

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・利用したい公共データの保有機関では、

地方自治体が最も多い (「公共データの産業利用に関する調査結果」

日本経済団体連合会)

・国に先んじて、先進的な地方自治体

モデルケースでは,

オープンデータの公開,活用が進められ

つつある(福井県鯖江市、千葉県流山市等)

位置座標付与、RDFなど高次なデータ形式への変換作業が, 新たに地方自治体内部で発生

やり始めたらやめられない地方自治体への負担重い

図1 「トイレこんしぇる」アプリ画面

地方自治体は、および腰 当たり前

やりだしたら

やめられない

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2.市民参加型 オープンデータ

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オープンデータ活用例、地図がいつもでてくる! この地図はオープンデータ?

福井県坂井市避難施設

地域防災マップ

として印刷配布できるか

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答えは

Open

Street

Map

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Google マップは無料か?

出典:Google 使用許諾 – マップ/Google Earth に関するガイドライン: http://t.co/gWI96Q9

個人利用は無料だが、

利用履歴はGoogleに

売っているかも。。

権利帰属表示を

付ける必要あり

APIによるGoogle マップコンテンツの埋め込み

利用はOK

API利用上限

1日25,000回以上は

有料

営業での利用は

有料

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市民参加型オープンデータ OpenStreetMap

出典:OpenStreetMap Japan http://openstreetmap.jp/

OpenStreetMap(OSM)は、

道路地図などの地理情報データを

誰でも利用できるよう、

フリーでオープンな地理空間情報を

作成することを目的としたプロジェクト

誰でも自由に参加して、

誰でも自由に編集でき、

誰でも自由に利用する事が出来ます。

みんな(市民)で作る 地理空間情報における オープンデータ

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市民参加型オープンデータ

行政情報

オープンデータ

民間 企業 市民 NPO

みんなデータを作る人

+使う人

行政

行政情報

みんなで作ろう型 みんなで地域のこと歴史・観光資源・防災を考えながら

作っていく

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福島県会津若松市 車椅子専用マップ

出典:会津若松観光ナビ:マイルートガイド http://www.aizukanko.com/news/index.cfm#wn191

2012年11月14日「オープンデータを活用して車椅子マップを作ろう! 」 オープンデータ活用&マッピングイベントを開催

市民参加型の地図づくりを行う「OpenStreetMap」と会津若松市が公開する公共施設の

所在データや基盤地図情報、車椅子利用者が自分で行けるお店や施設を探すためのマップ「Wheelmap」を組み合わせ、車椅子専用のマップを作成

福島県会津若松市

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伊豆大島クライシスマッピング

出典:古橋大地(2013)「伊豆大島クライシスマッヒンク報告」http://www.slideshare.net/mapconcierge/20131119-

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2013 年10 月に発生した台風26 号

伊豆大島で大規模な大雨土砂災害

災害対応のためのOSM地図の作成

災害発生から約1 ヶ月間で248 件の情報がサイト上に掲載

大判の紙地図として現地で利用された

平常時のマッピング

マッピングコミュニティと現地との協力関係

地図が書かれていない地域も

まだまだ、多い。

でも、地図(データ)がなければ、

みんなで作ってしまおう!

という理念

即時性

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ウィキペディア

OSMの意義も、相互運用性

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Wikipediaタウン

出典:高橋 陽一,Wikipediaタウンのご紹介: http://t.co/0bTJGFJ

街の情報をまるごとウィキペディア化する

地域の文化や

観光情報を

ウィキペディアに掲載し,

そのアクセスを容易にした町

町中に無料のWi-Fi

ウィキペディア検索へのQRコード

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「ウィキペディア」や オープンデータ地図

「OpenStreetMap(OSM)」 もオープンデータです。

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総務省 地域情報化の推進施策など

多様な担い手による地域情報化の必要性

地域活性化のための地域情報化

出典:総務省|地域情報化の推進: http://t.co/l0qblpg

地域産業・第3セクター

市民 NPO

行政(国・地方自治体)

大学・研究機関

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地域の情報拠点としての新たな役割の必要性

(塩見 2000,糸賀 2004)

(文部科学省 図書館をハブとしているネットワークの在り方に関する研究会 2005)

地域社会における情報蓄積・情報発信の拠点

地域経済活性化等の地域課題解決支援

目指すべき公共図書館が優先して取り組むことが望ましい地域情報提供・地域文化発信の課題の1つとして、

地域文化のデジタルアーカイブ等による発信,ウェブアーカイブの公開が挙げられている。

地域情報拠点として公共図書館

出典:文部科学省 図書館をハブとしているネットワークの在り方に関する研究会「地域の情報ハブとしての図書館」.http://www.mext.go.jp/a_men

u/shougai/tosho/houkoku/05091401/al

l.pdf /

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オープンデータを行政に期待するだけでなく、 多様な担い手(市民)でつくるオープンデータを 「wikipediaタウン」+「OSMマッピングパーティー」 地域情報をまちあるきして、オープンデータ化する 市民参加型イベントを 公共図書館(京都府立図書館)と連携し、行っています。

京都オープンデータ実践会の活動

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・インターナショナルオープンデータデイ 2014 in 京都

第1回 2月16日(日) プレイベント 島原周辺

第2回 2月22日(土) 本イベント 堀川周辺

・京都まちあるきオープンデータソン2014 第3回 Vol.1 7月12日(土)

第4回 Vol.2 8月30日(土)

第5回 Vol.3 10月5日(日)

第6回 Vol.4 12月7日(日)会場 京都府立図書館

2ヶ月に1回開催

各回、30名前後の参加者

全参加者181名

郷土史家さんのご協力

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京都まちあるきオープンデータソン

郷土史家さんから

現地の案内と説明

GPSによる地図作成

スマホで

古地図を

確認しながら

現地調査

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京都まちあるきオープンデータソン

図書館司書による

レファレンス講習

グループで

オープンデータ作成

OpenStreetMap の作成講習

Wikipedia

の作成講習

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京都まちあるきオープンデータソン

地図(オープンストリートマップ)を作成

成果発表 Wikipediaにページを作成

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市民参加型オープンデータイベントの意義

OpenStreetMap

行政

地域の活動団体

デジタル活動 多様な担い手によるデジタル化、オープンデータ化知られているオープンデータプラットフォームへデータ蓄積

地域をよく知る住民

アナログ活動 連綿と整理・蓄積されてきた地域の歴史・文化情報

京都府立図書館から、京都の歴史・文化情報をデジタルなオープンデータとして

世界へ発信!

つなぐ

図書館・資料館・美術館

知られている情報基盤 オープンデータ

Wikipedia

インターネット

郷土史家

多様な担い手

つなぐ

つなぐ

情報発信

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3.展望 シビックテック イノベーション

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地域課題解決の新しい形、Civic Tech

出典:hal_sk(2014)「地域課題解決の新しい形、Civic Tech と Code for Japan」http://qiita.com/hal_sk/items/3f78031e7fcd9f9d02ec%20

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Civic Tech コミュニティ Code for Japan 、Code for X

フェローシップ ブリゲード

出典: Code for Japan (2014)Brigade 」

http://code4japan.org/brigade

出典: Code for Japan (2014)Brigade 」

http://code4japan.org/brigade

地域の市民や自治体と連携し、テクノロジーを活用することで地域課題を解決

自治体にITエンジニアを派遣

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関西でのCivic Techの動き 行政施策として実施

出典:大阪市市民局区政支援室地域力担当地域資源グループ(2014)『大阪から考えるCivicTech(シビックテック)』

http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000284912.html

出典: CODE for IKOMA(2014)「CODE for IKOMA」

http://code4ikoma.org/

子育てアプリ開発

今年はCode for Kyoto活動かんばります!

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関西でのCivic Techの動き

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関西でのオープンデータ活動の動き International Open Data Day 2015 関西プレイベント

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現在のオープンデータでイノベーション?

出典:鯖江市 市内公園等のトイレ情報(XMLRDF) http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11592

2次利用はできるけど、

こんな情報、今までも

HPに載っていた。。

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イノベーションが起こるオープンデータ

出典JETRO/IPA(2013)「米国オープンデータの動向調査」www.ipa.go.jp/files/000033718.pdf

出典:静岡県統合基盤地理情報システム:

http://t.co/tuoT7tw

WebGISで見るだけ!

データは公開されていない

用途地域

登記情報

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イノベーションが起こるオープンデータ

出典JETRO/IPA(2013)「米国オープンデータの動向調査」www.ipa.go.jp/files/000033718.pdf

出典:東京メトロ「オープンデータ活用コンテスト」: http://tokyometro10th.jp/future/opendata/

APIをコンテスト応募者に試験公開

鉄道運行情報

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1.行政公開型オープンデータ 公開自治体の数は増加→2次利用可能にはなった

2.市民参加型オープンデータ

市民参加型の動きも活発化

3.展望 ・シビックテック 各地のcode for Xに注目

・イノベーション これまで公開されていなかった情報のオープンデータ公開に注目

まとめ