数理論理学

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文系ゼミ数理社会学 最終発表 2014年7月15日 情報工学科二年 長沼 大樹 (13B10346) 1

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文系ゼミ((数理社会学))� � 最終発表

2014年7月15日 情報工学科二年 長沼 大樹 (13B10346)

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Page 2: 数理論理学

伝染モデル シミュレーション

[考察したモデル] 今回は伝染病をエージェント・ベース・モデルとして扱う。人(地域と読み替えてもよい)を一つの自立的なエージェントとして、その行為及び相互作用が人の集合全体に与える影響、また集合全体としての振る舞いを調べる。

[個々のモデルの振る舞い] 伝染病に感染したエージェント(人または地域)は指定された確率で(今回は20%に指定)隣接している、他のエージェントへ伝染病を感染させる。細かな設定は次のページに記す。

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免疫を持っていないエージェント(小さな青丸で表示)は隣接するエージェントからの感染確率20%。一度感染すると免疫がつき(大きな青丸で表示)、二回目に感染可能性は5%にまで下がるように、ワクチンを接種しているエージェント(緑の丸で表示)は感染しないと設定。 また、0.05パーセントの確率で死亡(紫の丸で表示)するように設定。

エージェントモデル

[免疫無し]iは伝染速度:各エージェントから20%(最大83%) rは除外速度:各エージェントから0.05%(最大0.4%) [免疫有り]iは伝染速度:各エージェントから5% rは除外速度:各エージェントから0%

I  :病気に感染しているエージェント数  S  :感染する可能性のあるエージェント数  R  :死亡した人

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実験--説明11伝染病を散布する前にワクチンを散布する。 ユーザーが任意の位置のエージェントにワクチンを散布するInject vaccine mode を使うか、指定数分のワクチンをランダムなエージェントに散布するSpray vaccine commandを使う。 なお、Spray vaccine commandは完全なランダムではなく、シミュレーションを繰り返す際に感染源を指定するが、その感染源となるエージェントとはかぶらないように散布される。

ワクチンを散布されたエージェントは、 伝染病に対する抵抗を持ち感染する事もなく、 また、他のエージェントに 感染させる事もないものとする。 ワクチンをもつエージェントは緑で 示すものとする。

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実験--説明22

ユーザが任意に 初の感染者を指定(左図)。そのエージェントを感染源として伝染病が広がるようにシミュレーション。感染したエージェントは10ターンで回復。0.05%の確率で死亡する。死亡した場合、周囲のエージェントに感染させたり、また自身が感染する事、回復する事は以後ないものとしている。 また周囲が全て感染したエージェントな場合(右図) 1-((1-0.2)^8)=0.83より83%の確率で感染する。

infect(20%)

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ワクチンを打ってある エージェント

回復して免疫のついた エージェント

死亡した エージェント

伝染病に感染している エージェント

エージェントモデル((図))

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Page 7: 数理論理学

<Infected person> I  :病気に感染しているエージェント数

<Non virus carier person> S  :感染する可能性のあるエージェント数

<Died person> R  :死亡した人

<Have infected person> 感染した事がある人(回復した人も含む)

<Infected possibility> 最大感染可能性(周囲の8エージェントが全て感染している場合の確率)

左側のデータ説明

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<Now Simulation times> 100回シミュレーションを行う。現在のシュミレーションが何回目なのかを示す。

<Minimum harm> 前ページのHave infected personの、今回の場合100回中のシュミレーションを行ったときの最小値。感染者が少ない事を被害が小さかったと評価する。

<Average harm> 前ページのHave infected personの、今回の場合100回中のシュミレーションを行ったときの平均値。

右側のデータ説明

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実験--説明33

シミュレーションが100回終了したら、その100回のうち も感染者数の少なかった際のワクチンの配置と、感染源を表示する。 その際中央に、Now Reproduce Most suitable position of vaccine と表示される仕様になっている。

右側の棒グラフは、100回分のシュミレーションでの、それぞれの感染者数を表している。また青で点滅しているのは感染者数の 小値である。

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実験--結果11ワクチン接種人数と感染者数の関係-1

小感

染者

0

22.5

45

67.5

90

ワクチン接種人数(試行回数はそれぞれ50回×5回)

0 2 20 50 1001 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5

24715

81

257

16

62

347

19

86

325

16

74

437

16

73

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ワクチンの散布数を変えてそれぞれ50回シュミレーションを実行したものの 小感染者数を上のグラフに示してある。エージェントの集合の総数は192に設定してある。 適な配置であれば数は少なくとも、0個と比べかなりの効果が期待できる事が分かる。

-(8,6)が感染源-

x

y

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ワクチン接種人数と感染者数の関係-2

平均

感染

者数

0

30

60

90

120

ワクチン接種人数(試行回数はそれぞれ50回×5回)

0 2 20 50 1001 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5

18.7019.93

30.94

81.61

114.67

16.3220.21

28.23

84.61

112.37

17.3518.12

30.01

88.20

117.71

15.6819.64

34.72

88.82

112.02

16.1718.78

29.89

89.61

112.45

実験--結果22

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ワクチンの散布数を変えてそれぞれ50回シュミレーションを実行したものの平均感染者数を上のグラフに示してある。エージェントの集合の総数は192に設定してある。先ほどの 小感染者数はワクチンが0個と2個の場合では大きく違ったが平均感染者数は、それほどの変化が見られない事が読み取れる。

-(8,6)が感染源-

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実験--考察11ワクチン接種人数と感染者数の関係-3小

感染

者数

/平均

感染

者数

0

30

60

90

120

ワクチン接種人数

0 2 20 50 100

113.845

86.571

30.75819.338 16.845

75.2

16.46.6 3.6 2.8

Minimum Average

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-(8,6)が感染源-

上図は、実験-結果1,2の各ワクチンの散布数での平均感染者数、 小感染者数の試行回数5回の平均を示したグラフである。ワクチンの接種人数が感染者数に大きく関係する事が分かる。特にワクチン接種人数が2人のときの 小感染者数とワクチン接種人数が100人のときの平均感染者数を比較してみると、前者は16.4人、後者は16.845人と、前者の方が少なく、ワクチンをどう 適に配置するかも重要な問題である。

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実験--考察22

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-(8,6)が感染源-

ワクチン接種人数が2人のときの 小感染者数とワクチン接種人数が100人のときの平均感染者数を比較してみると、前者は16.4人、後者は16.845人と、前者の方が少なく、ワクチンをどう 適に配置するかも重要な問題であると考えた。上図はワクチンの数が20のときの 小感染者数のときのワクチンの配置パターンである。この四つのワクチンの配置パターンから、完全に初期段階ではなく、ある程度感染区域が広がったところで押さえることが有効であると仮説を立て、検証する。

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実験--検証11

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-(8,6)が感染源-

ワクチンの数を10個、(1)配置場所を感染源のすぐ近く(2マス以内)、(2)感染源からある程度はなれた場所(5マス以内)、(3)感染源から遠くはなれた場所(5マス以上)、と設定しそれぞれの感染者数を比較する。試行回数をそれぞれ5回とする。結果より仮説は正しいと推測される。

ワクチン接種エージェントの配置と感染者数の関係

感染

者数

0

22.5

45

67.5

90

ワクチン接種エージェントの配置パターン

2マス以内 5マス以内 5マス以上1 2 3 4 5 平均 1 2 3 4 5 平均 1 2 3 4 5 平均

69.2

48.4

67.6 58.00

43.00

63.00

76.00

32.00

72.00

56.00

67.0067.00 66.00

58.00

49.00

90.00

42.00

87.00

※ここで、マスとは1ターンで感染できる距離の事を示す。

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実験--考察33

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-(8,6)が感染源-

各ワクチン配置の場合について考察する。この結果は今回のエージェントベースモデルの設定に結果が依存していると考えた。

(1)2マス以内の場合、 初に伝染病を押さえ込もうとするも、どこか一つからでも伝染病が漏れてしまった場合、外側のワクチンがない場所で広がりやすい。例えば左下のみ感染してしまったとしても、そこから外部に広がった伝染病が、複数で一つのエージェントに影響を与える事により、感染源の右上、右下、左上のエージェントにも感染させやすくなる。

infect(20%)

⁂infect(20%)

infect(20%)

infect(20%)infect(20%)

infect(20%)

⁂infect(20%)

(2)5マス以内の場合、 初に伝染病がある程度広がる事は許容し、左図のように感染したエージェントが広がり、それをワクチンをもつエージェント、感染していないエージェントが囲むような配置を取る事で、感染確率を低下させ、伝染病の広がりを収束させていくことで、感染者を減らす事ができたのではないかと考える。また、(1)では漏れてしまうと外の

⁂infect(20%)

infect(20%)infect(20%)infect(20%)

infect(20%)infect(20%)

infect(20%)

infect(20%)

エージェント集合が多く、感染したエージェント複数で一つのエージェントに影響を与える構図が作られやすかったが、今回の場合、漏れたとしても、そのエージェント単独で、他のエージェントに感染させようとすることが多いので確率的に収束に向かいやすい。

(3)については、ワクチンに到達するまでに感染者が増大するのでほとんどワクチンを配置する意味がないと 考えられる。

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伝染病感染のエージェントベースモデルシミュレーションを行い、ワクチンの散布と感染者数の関係について調べた。ワクチンの散布数を変化させ、また感染者数が 小のときのワクチン散布のパターンを見る事で、ワクチン散布のパターンによっては、ワクチンの数が限られていても効果を 大限に発揮できるという仮説をたて検証した。(実験の結果はここまでのスライドで示した。) 限られたワクチンの数で、その効果を 大限に発揮するためには、2マス以上5マス以下の配置パターン範囲でワクチンを散布すればよい。

結論

--参考文献等--・微分方程式で数学モデルを作ろう(日本評論社/2011年発行/デヴィッド・バージェス、モラグ・ボリー) ・統計学入門(東京大学出版会/1991年発行/東京大学教養学部統計学教室) ・Beyond Interaction-メディアアートのためのopenFrameworksプログラミング入門(ビー・エヌ・エヌ新社/2010年発行/田所淳、比嘉了)