遺伝子組換え実験のための説明会
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遺伝子組換え実験のための説明会
平成 17年 3月 28日白髭克彦
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保
に関する法律(平成 15年 6月 18日成立・公
布 )
法律の概要法の目的
国際的に協力して、生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより議定書の的確かつ円滑な実施を確保しもって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとを目的とする。
指針から法律へその 1
組換え DNA実験指針昭和 54年 8月 27日内閣総理大臣決定
~平成 8年 3月 22日改訂
科学技術庁 文部省
文部科学省
平成 14年 3月 1日組換え DNA実験指針 (平成 14年 1月 31日文部科学省告示第 5号 )施行
平成 16年 2月 19日 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による
生物の多様性の確保に関する法律施行
大学等における組換え DNA実験指針昭和 57年文部省告示 131号
~平成 10年文部省告示第 84号
平成 14年 2月 28日廃止
指針から法律へその 2法律施行による指針からの変更点
国際性
対象分野
対象物の範囲
罰則
国内のみ
各分野毎に各省庁が指針を作成
Recombinant DNA(遺伝子組換え体 )
(組換え DNA分子を用いて作成した )生細胞及び個体
なし
議定書締結国共通
全体を網羅
Living Modified Organism(LMO)(遺伝子組換え生物等 )
個体、ウイルス及びウイロイド下記は対象外・ヒトの細胞等・培養細胞
あり
組換え DNA実験指針 遺伝子組換え生物規制法
指針から法律へその 3用語の変化
組換え DNA実験指針
物理的封じ込め
組換え DNA分子組換え DNA実験組換え体
DNA供与体供与 DNA安全度分類
遺伝子組換え生物規制法
生物第一種使用、第二種使用拡散防止措置
遺伝子組換え実験遺伝子組換え生物等
核酸供与体供与核酸実験分類
法の規制対象 ( 遺伝子組換え生物等の使用等とは )
LMO(Living Modified Organism) の定義
○次の技術の利用により得られた核酸又は その複製物を有する生物 ( 1)※
ⅰ)細胞外において核酸を加工する技術 ( 2)※
ⅱ)異なる科に属する生物の細胞を融合する 技術 ( 3)※
※ 1
核酸を移転し又は複製する能力のある細胞等 (注 )ウイルス及びウイロイド
(注 )次の細胞等は除外①ヒトの細胞等②分化能を有する又は分化した細胞等 (個体及び配偶子を除く。 )であって、自然条件において個体に成育しないもの
例 )
1)生物でない・ヒトの個体・配偶子・胚・培養細胞【①】・動植物培養細胞 (ES細胞を含む )【②】・動物の組織・臓器【②】・切りキャベツ・種なし果実【②】
2)生物・動植物の個体・動植物の配偶子 (卵子、精子等 )
・動物の胚・種イモ・挿し木
※ 2
セルフクローニング・ナチュラルオカレンスは除外 (更に注釈 )
※ 3
交配等従来から用いられているものは除外
注釈 ( 2※ について )
セルフクローニングについて、厚労省では「宿主、ベクター、挿入 DNAの供与体が同一の種に属する場合」と定義しています。組み込む遺伝子も、その遺伝子を運ぶベクターも、遺伝子を組み込まれる生物種がもともと持っているものを使い、同一種内での遺伝子のやり取りを行う場合です。ナチュラルオカレンスとは「組換え体と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在する場合」と定義され、異種間でも、自然条件下で遺伝子を交換することが知られている場合にあてはまります。これらは、従来の厚労省の評価基準では審査の対象とはなっていませんでした。人間が手を加えなくても、自然界においても同じものができうるという考えによるものです。
使用等とは?
1. 食用、資料用、実験材料用等に
供する為の使用
2. 栽培、飼育、培養等の育成
3.加工
4.保管、運搬、廃棄
5.これら ( 上記 )に付随する行為
第 1種使用等○環境中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止しないで行う使用等
例 ) ・圃場での栽培・飼料としての利用・容器を用いない運搬・野積み 等
第 2種使用等○環境中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止しつつ行う使用等。これまで組換え DNA実験として P1、 P2実験室等でおこなわれてきた実験ほぼ全て。 (次の措置を執って行うもの ) ⅰ ) 拡散防止機能を有する実験室等を用いること ⅱ ) 当該施設等を用いる使用等のための運搬に供す る密閉容器等を用いること 例 ) ・実験室を用いる使用等 ・培養・発酵設備を用いる使用等
・網室、飼育区画 (第二種使用等をしている ことの標識を掲げているもの )を用いる使 用等
・密閉容器を用いる運搬等
実験区分の変化
組換え DNA実験指針
大量培養実験
動物及び植物を用いる実験
微生物及び培養細胞を用いる実験1. 微生物を宿主に用いる系2. きのこの系3.培養細胞を宿主とする系3-1.組換えウイルスを作成する系3-2.その他
遺伝子組換え生物規制法
大量培養実験
動物使用実験 ( 寄生虫を含む )
植物等使用実験 ( きのこを含む )
微生物使用実験 ( きのこを除く )(ウイルス及びウイロイドを含む )
細胞融合実験
法規制対象外
安全度分類から実験分類へ
組換え DNA実験指針
安全度分類
動物 P2
植物 P1
微生物等 P1~ 4( 別表 2~ 6)
遺伝子組換え生物規制法
実験分類
動物 クラス 1寄生虫 クラス 1,2
植物 クラス 1きのこ クラス 1~ 3
微生物 クラス 1~ 4
(実験分野 )実験分類の名称は次の表の左欄に、各実験分類に属する宿主又は核酸供与体は同表の右欄に、それぞれ定めるとおりとす
る。
クラス 1 微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、哺乳綱及び鳥綱に属する動物 (ヒトを含む。以下「哺乳動物等」という。 )に対する病原性がないものであって、文部科学大臣が定めるものならびに動物 (ヒトを含み、寄生虫を除く。 )及び植物。
クラス 2 微生物、きのこ類及び寄生虫のうち、哺乳動物等に対する病原性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの。
クラス 3 微生物及びきのこ類のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ伝播性が低いものであって、文部科学大臣が定めるもの。
クラス 4 微生物及びきのこ類のうち、哺乳動物等に対する病原性が高く、かつ伝播性が高いものであって、文部科学大臣が定めるもの。
認定宿主ベクター系 組換え DNA実験指針
B1 系(1)EK1(2)SC1(3)BS1(4)動植物培養細胞 ① (宿主 ) 昆虫培養細胞 (ベクター ) バキュロウイルス ② (宿主 )動物及び植物培養細胞(5)Thermus属細菌
B2 系 EK2
遺伝子組換え生物規制法
B1(1)EK1(2)SC1(3)BS1(4)Thermus属細菌(5)Rhizobium属細菌(6)Pseudmonas putida(7)Streptmyces属細菌(8)Neurospora crassa(9)Pichia pastoris(10)Shizosaccharomyces pombe(11)E.coliB株B2系(1)EK2(2)SC2(3)BS2
実験区分の例 1
宿主 :動物培養細胞ベクター :pUC系ベクター
実験規模実験分類等 /区分
認定宿主-ベクター系P1
20L 以下物理的封じ込めレベルP2
微生物及び培養細胞を宿主に用いる実験未同定 DNA
(培養細胞は、生物ではない )
20L 以下法規制対象外
組換え DNA実験指針 遺伝子組換え生物規制法
実験区分の例 2
宿主 :Shizosaccharomycespombeベクター :宿主由来プラスミド
供与核酸 :異種酵母の酵素遺伝子
実験規模実験分類等 /区分
非認定宿主ベクター系P1
P2
20L 以下物理的封じ込めレベルP2
微生物及び培養細胞を宿主に用いる実験未同定 DNA
認定宿主ベクター系クラス 1,B1
クラス 2
20L 以下拡散防止措置P2
微生物使用実験
組換え DNA実験指針 遺伝子組換え生物規制法
実験区分の例 3
宿主 :Phizobium (Agrobacterium)ベクター :宿主由来プラスミド
供与核酸 :植物ウイルス遺伝子の外被 蛋白質遺伝子
実験規模実験分類等 /区分
非認定宿主ベクター系P1
P1
20L 以下物理的封じ込めレベルP1
微生物及び培養細胞を宿主に用いる実験同定済 DNA
認定宿主ベクター系クラス 1,B1
クラス 1
20L 以下拡散防止措置P1
微生物使用実験
組換え DNA実験指針 遺伝子組換え生物規制法
実験区分の例 4
ノックアウトマウスの作成
実験規模実験分類等 / 区分
宿主 : マウス
ベクター : 直接法
20L 以下物理的封じ込めレベルP2及びその他動物作成実験
宿主 :マウス胚及びマウス個体(胚をマウスの仮腹に入れて作成 )ベクター:使用しない
20L 以下
拡散防止措置P1A動物作成実験
組換え DNA実験指針 遺伝子組換え生物規制法
実験実施時において執る拡散防止措置の内容
①P1レベルの要点 ・施設等 ○通常の生物の実験室等 ・運搬 ○遺伝子組換え生物等が漏出しない構造の容器に入れる ・その他 ○遺伝子組換え生物等の不活化。 ○実験室の扉を閉じておく。 ○実験室の窓等の閉鎖等。 ○エアロゾルの発生を最小限にとどめる。 ○遺伝子組換え生物等の付着・感染防止のための手洗い等。 ○関係者以外の者の入室制限。 ・通常の生物の実験室等 ・窓の閉鎖
P1レベルの実験室のイメージ図• 通常の生物の実験室等• 窓の閉鎖
開 放 厳 禁
入 室 制 限
手洗器
実験台
窓
実験実施時において執る拡散防止措置の内容
②P2レベルの要点 P1レベルの措置に加え、以下の措置を講ずること
・施設等○エアロゾルが生じやすい操作をする場合には、研究用安全キャビネ
ットを設置し、キャビネット内で操作。○実験室のある建物内に高圧滅菌器を設置。
その他○「 P2レベル実験中」の表示。○P1(A,P)レベルである実験を同時に行う場合、これらの実験の区域を明確に設定するか、 P2(A,P)レベルの拡散防止措置を執る
P2レベルの実験室のイメージ図• P1レベルの仕様に加え• 研究用安全キャビネットの設置• 高圧滅菌器の設置• 「 P2レベル実験中」の表示
開 放 厳 禁
入 室 制 限
HEPAフィルター
オートクレープP 2
実 験 室
排気
搬入・搬出・委託使用時の情報提供
譲渡等をする者による使用等の区分 情 報 の 内 容
・遺伝子組換え生物等の第二種 使用等をしている旨・宿主等の名称及び組換え核酸 の名称 ( 名称がない or 不明で あるときはその旨 )・氏名及び住所 (法人にあっては、 その名称並びに担当責任者の 氏名及び連絡先 )
第二種使用等
第一種使用等 省 略
情報提供の方法
○以下のいずれかの方法による ⅰ ) 文書の交付 ⅱ ) 遺伝子組換え生物等の容器等への
表示 ⅲ ) FAX
ⅳ ) 電子メール
1.遺伝子組換え実験等を行う前に
○遺伝子組換え実験等に該当するか確認する
• 所属部局の安全主任者に相談• 国立大学法人東京工業大学遺伝子組換え実験等安全管理規則,関係省令等を確認
2.実験計画書の作成
国立大学法人東京工業大学遺伝子組換え実験等安全管理規則にある様式 「遺伝子組換え実験等(実施・変更)計
画申請書」を作成する• 所属部局の安全主任者に相談
東京工業大学ホームページ 学生 / 教職員向け→電子掲示板→各種お知らせ→3/10 付「遺伝子組換え実験計画について」
文部科学省ホームページ遺伝子組換え関連記載
実験期間は、最長 5年間とする。
実験に関わる施設の全体図、フロア図実験区画などの詳細図を添付
提出先;研究業務課 総務・研究安全グループ
学内書式
3.実験計画書の提出
○「遺伝子組換え実験等(実施・変更)計画申請書」を 研究情報部研究業務課 総務・研究安全グループ (内3808 /7223, E-mail: ken.so
[email protected])へ提出する
4.実験計画書の審査
「遺伝子組換え実験等(実施・変更)計画申請書」を遺伝子組換え実験等安全委員会専門委員会へ諮る。
①意見,修正等がある場合 申請者へ返却し,加筆修正等を行ってもらう。②大臣確認実験と判断された場合 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年文部科学省・環境省令第1号)にある様式
「第二種使用等拡散防止措置確認申請書」を作成し,提出してもらう。
5.実験計画書の承認
「遺伝子組換え実験等(実施・変更)計画申請書」を遺伝子組換え実験等安全委員会へ諮り,承認 (大臣確認実験の場合,文部科学省へ提出することの承認)を得る。
6 .承認の通知
研究情報部研究業務課総務・研究安全グループ から,申請者へ承認の通知をする。 →実験開始
※大臣確認実験の場合,文部科学省へ提出し,文部科学大臣の承認後,承認の通知をする。
7.実験を終了・中止する場合
○「遺伝子組換え実験等(終了・中止)報告書」を 研究情報部研究業務課総務・研究安全グループ (内3808, E-mail: [email protected]
h.ac.jp)へ提出する• 所属部局の安全主任者に相談
遺伝子組換え実験等中止・終了の手続き
遺伝子組換え実験等(終了・中止)報告書の提出
学内書式