韓国から学ぶ雇用開発と社会的企業 第3回

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2011/9/13 1 連続セミナー 韓国から学ぶ 雇用開発と社会的企業 第3回 地方都市の活性化と社会的企業 -個性ある地域づくりから学ぶ 主催 NPO法人 日本希望製作所

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連続セミナー

韓国から学ぶ 雇用開発と社会的企業

第3回 地方都市の活性化と社会的企業

-個性ある地域づくりから学ぶ

主催 NPO法人 日本希望製作所

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勉強会のこれまで

【第1回】

復興支援における雇用開発のあり方を 韓国の社会的企業から学ぶ -持続可能な事業推進のための国と自治体の役割

【第2回】 復興における女性の支援 -社会的企業の可能性を考える

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(3)社会的企業育成法のねらい

<政府の状況> ・雇用開発・維持に必要な人件費を政府では継続的にカヴァーできない

・中産階級の生活の質向上のサービスを拡充する財源がない

<民間の状況> ・財閥、大企業は、国際競争力向上のために雇用拡大の枠拡大に限界

・社会サービス、非営利団体に雇用の枠を拡大できる可能性がある

政府の生活の質向上、就労開発の資金を、社会的投資として、 政府の投入金額以上の経済・雇用の成果を生み出せる 自律的な民間の社会サービス事業体が必要

その実現のために・・・・

政府の「認証」に基づく、社会的企業に対する公的支援を実施

○人件費支援(初期3年間) ○税制支援 (減免、社会保険料の支援)

○購買支援 (公共機関が優先的に購入) ○専門コンサルティング

○資金融資

→ 社会的企業を持続可能な経営体とするための基盤づくり

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イントロ

地方都市と社会的企業の概要

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地方別社会的企業数

• 首都圏(ソウル、仁川、京畿)に約45%と集中。 ただし初期の6割から低下 地方都市にも広がり

• ソウル、江原など収益力の高い地域と低い地域の差がある

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2010年1月 総数 319

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地方自治体での取り組み

○2008年ごろから地方自治体で社会的企業を育成する動き

→ 自治体での社会的企業育成条例の制定

→ 地方選挙でもマニュフェストにあがるなど、地域雇用政策の中心に

○予備社会的企業の育成に力を入れる

(例)ソウル市 「ソウル型社会的企業発展育成」 – 実績:2次にわたり、ソウル型社会的企業195を指定

– 計画:2010~12年に累積1000の企業育成を計画

(社会的企業330、それ以外670)

○支援策

人件費支援、専門人材支援、インフラ整備費、 コンサルティング、広報支援、中間支援機関設立

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トピックス

• 地方自治体が発注する工事や物品入札に参加する女性企業と社会的企業に加算点を付与すべく

「自治体入札時落札者決定基準」を改正

※社会的企業育成法において「優先調達条項」があるが 自治体での具体的な規定はなかったが、今後、広がる 可能性が高い

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報告

「個性ある地域づくりから学ぶ

- 移住したい地方都市NO.1 ホンソン郡、人権のまちづくり光州市」

桔川純子 (NPO法人日本希望製作所)

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(1) 個性ある地域づくり・地域での取り組み

ソーシャルキャピタル相乗効果型

清州市 (忠清北道)

介護、移住女性支援などの社会的企業やさまざまな市民活動がネットワークをつくり相互扶助的な活動を推進

洪城郡 (忠清南道)

有機農業を基盤とした地域づくり。プルム学校(農業学校)、生協、自然エネルギー造成で、地域循環型の地域づくりを推進。

行政主導型 完州郡 (全羅北道)

コミュニティ・ビジネスセンターを自治体が主導して設立。持続可能な農山村地域づくりのために、CBセンター軸としたまちの企業を推進。

地域の特性活用型

光州市 (全羅南道)

国家人権委員会光州地域事務所が中心となり「人権」をめぐる官・民・学のネットワークをつくり、「人権の都市」づくりを推進。

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◇人口 665,660名(2011年6月)

◇忠清北道の面積約13%の清州に50%の人口が集中 ◇経実連、YWCAなど、市民団体の活発な活動が地域に存在 ◇社会的企業のネットワークが形成 され、相互扶助的な事業が推進されている *清州女性人権センター:多国籍料理カフェ *ALL利:ハンバーガーショップ *ヒューマンケア:高齢者介護 など ⇒「社会的企業」によって、地域の団体が出合う

事例① 清州市

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事例① 清州市

(株)命の暮らし オールリ

◇清州YWCA が母体

⇒1965年から女性の

雇用創出事業を開始

◇社会的企業に認証

(株)ヒューマンケア

◇2001年在宅介護の自活共同体事業

として出発

◇高齢者介護、ヘルパー事業

◇社会的企業に認証

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◇人口 88,865名(2009年)

◇生協の生産地として有名 ◇有機農業を基盤とした地域づくり ⇒さまざまな取り組みによるまちづくり *プルム農業高等学校 *プルム学校生活協同組合 *洪城プルム生協 *ホンドン農協 *プルム信用協同組合 *ホンソン女性農業人センター *ハヌルマウル(帰農・帰村:移住) *ムンダンリ:自然エネルギー

事例② 洪城郡(ホンソングン)

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事例② 洪城郡(ホンソングン)

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事例③ 完州郡

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◇人口 約8万5千名

◇コミュニティビジネスセンター設立までの流れ

2007年11月 自治体長 日本CB視察

2008年8月 コミュニティビジネス研究所設立

2008年9月 完州郡CB学校運営

2010年 5月~6月 CB財団法人設立、

CBセンター開館

2011年5月 コミュニティビジネスアイデア自慢

大会開催

◇コミュニティビジネスセンターを中心として

・地域資源の発掘

・人材育成

・創業支援

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事例③完州郡

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◇結婚移住女性によるブックカフェ

1)事業名:移住女性とともに行う古本分かちあいスペース 宝島カフェ’ 2)期 間:2010.9.~ 2011.5 3)主要事業:完州郡移住女性達と共に運営する古本分かちあいのコミュニティ空間 4)対象地域:完州郡(ワンジュグン)、ポンドン 5)主たる事業体:開かれた教会 ハングル歌教室 6)予算:41,000千ウォン(知識経済部モデル事業補助金40,000千ウォン、自治体負担1,000) 7)期待効果:移住女性たちの社会参加の拡大、 職業訓練と自活支援で社会的働き口創出活用

◇地産地消、ローカルフードなどをブランド化し、高齢者、女性、障害者の雇用を創出 ○まちの売店(販売場)運営 ○塩漬けハクサイ作業場設置 ○農家の女性と場会社の雇用創出のためのクッキー製造販売 ○家具、衣類などのリフォーム、リメイク講座などを開き、土曜市をアップグレード

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事例④光州広域市

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◇人口 256,958人(2011年6月)

◇地域の特性

1980年の光州民衆抗争を契機として、

「民主化の聖地」「平和・人権の都市」の

シンボルとしてのイメージが定着

国家人権委員会光州地域事務所が中心となり

「人権条例研究会」を

地下鉄金大中コンベンションセンター駅を活用した「人権駅舎」事業

⇒視察、人権教育などにより来訪者が増加

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韓国における取り組みから学べる点

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◇清州 既存の地域活動がボランティア・ネットワーク的な形でいろいろとあった

→ 社会的企業をとることで事業体になった

→ さらに地域の連携深まった

◇洪城 有機農業を軸に地域づくりをする

→たんに農業分野だけでなく、教育、消費、女性、環境など

分野横断で連動させて活動をつくっていった

(一般では、農業は農業としてしまいがち)

◇完州 首長の強いリーダーシップ (日本だと我孫子市のCB)

→ 自治体+専門機関の連携で支援期間をつくり、

地域の人たちがCBを進めるように積極的に働きかけていった

◇光州 地域のテーマを、象徴的な空間に落とし込み

そこに教育、観光なども絡ませていった

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コメント

文京洙(ムン・ギョンス)

(立命館大学教授)

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提言①

今、地域にあるコミュニティをベースに事業を立ち上げる

事業をゼロから作るのではなく、勉強会、主婦グループなど今ある コミュニティをベースに事業を立ち上げるコーディネートを

首長が地域ビジネスの目標を具体的な数値で提示し、 その実現のために分野、部署を超えた連携で取り組む

「社会的企業100社育成 勤め口1万件創出」など具体的な数字を 掲げ、その実現のために横断的な取り組みを推進する

事業力強化の支援は、優先調達など顧客となることで

「仕事をつくる=顧客をつくる」の視点から、自治体、地域大手企業 が顧客となることが最大の地域事業の事業力強化支援となる

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提言②

地域の個性を明確に打ち出すと共に、個性を軸にクラスターをつくり、分野を超えた相乗効果のある仕事づくりを

一次産業、製造業、流通、商業、研究開発、学校教育、社会教育、

環境、健康・保健、福祉、観光、IT、メディア、住環境、NPOなどが 一体となった取り組みによって、相乗効果から新しい雇用を生む

相乗効果を生み出せるコーディネーターの育成を

中間支援機関の専門性を高める人材育成と評価システムを

・地方自治体と全国組織の連携、自治体と大学・地域組織の連携 ・結果の客観的な評価分析

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