【土曜会#4】5人の批評家から考える 戦後日本美術史

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5人の批評家から考える 戦後日本美術史 2016.07.30 土曜会#4 じょいとも

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5人の批評家から考える戦後日本美術史2016.07.30土曜会#4じょいとも

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問い

• 美術の歴史は主に作家論によって語られる。

• 語るのは批評家であり、作家と批評家、制作と批評は両輪である。

• インターネットの登場により「ネットうるさ方」的論壇が出現。玉石混交の美術評論に対して冷静な判断が必要となった。

• よって過去の偉大な批評家や批評史を知ることにより、作家として強度を保つことができるのではないか?

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戦前までの批評

• 技術・技法論が中心

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戦後日本を代表する5人の批評家

• 瀧口修造

• 針生一郎

• 中原佑介

• 東野芳明

• 宮川淳

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瀧口修造1903-1979

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功績

• 日本にシュルレアリスムを輸入し、その権威として日本のシュルレアリスム運動の理論的支柱となった。メディアアートの先駆である「実験工房」を主催。

• タケミヤ画廊で数々の展示を企画。既存の画壇展や単なる貸画廊とは異なる、批評家主導の企画展スタイルを確立。

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1903 1979

ブルトン「超現実主義と絵画」を邦訳し、日本のシュルレアリスム運動の指導者となる。

治安維持法容疑で逮捕。日本のシュルレアリスム運動も終息に。

’30

実験工房の結成。メディアアートの先駆であり、

万博まで続く前衛の礎を築く。

タケミヤ画廊での企画展を開始。日本におけるキュレーション展の先駆。

’51’41

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針生一郎1925-2010

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功績

• 反権威的な美術批評で知られる。政治や労働など社会的な視点で芸術を多く論じた。

• 日本芸術院や大阪万博に反対。

• 多くの国際展でコミッショナー/キュレーターとして活躍。

• 中原佑介、東野芳明とともに“美術評論の御三家”と呼ばれた。

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1925 2010

岡本太郎、安部公房らの「夜の会」に参加。

「美術批評」誌が登場。針生、東野、中原らがデビュー。

ヴィネチアビエンナーレのコミッショナーを務める。

「戦後日本美術盛衰史」を出版。戦後から70年代までの日本美術を総括した傑作。

’67’48 ’79’52

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東野芳明1930-2005

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功績

• 欧米の最新事情を紹介し、日本美術に近代化をもたらす。抽象表現主義やネオ・ダダなど。

• 1960年代に既成の表現を離れた当時の美術動向を「反芸術」と命名。

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1930 2005

「パウル・クレー論」でデビュー。

読売アンデパンダン展にて、工藤哲巳の作品を「反芸術」と評する。

美術手帖誌上にて宮川淳と反芸術論争を展開。

「現代美術-ポロック以後」を出版。

’60’64’65’54

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中原佑介1931-2011

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功績

• 戦後の前衛芸術を論じ振興

• 批評に科学的な論理を持ち込む。

• ロシア・アヴァンギャルドを日本に紹介

• ハイ・レッド・センターの顧問を務める

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1931 2011

「現代彫刻」を出版。80年代まで同分野で影響力を持った名著。

ヴィネチア・ビエンナーレのコミッショナーを務める。

「不在の部屋」展高松次郎、赤瀬川原平、清水晃ら10名が参加。ポスト反芸術の先駆的成果。

「人間と物質」展40名参加の国際展。もの派を西洋の「貧しい芸術」運動などと連結した。

’63 ’70 ’76&’78’65

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宮川淳1933-1977

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功績

• 現代思想に繋がる先鋭的な批評を展開。

• 1963年に評論「アンフォルメル以後」を発表。表現行為そのものの自立と、表現概念の価値転換を指摘。

• 反芸術論にて東野芳明と議論を巻き起こす。

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1933 1977

評論「アンフォルメル以後」を発表。

評論「日常性への下降」を発表。反芸術が芸術に反するものではなく、紛れもない現代の表現であることを評価。東野との論争に発展した。

「引用の織物」を出版。美術における引用論を提議した。シミレーショニズムの先駆として名高い傑作。

’63 ’64 ’75

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まとめ

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戦後日本を代表する5人の批評家

• 瀧口修造

• 針生一郎

• 中原佑介

• 東野芳明

• 宮川淳

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1933 1977

1903 1979

瀧口

宮川

1925 2010針生

1931 2011中原

1930 2005東野

反芸術

超現実主義

もの派

表現そのものの自立

海外の最新動向を輸入

メディアアート

キュレーション展

社会的な視点からの批評

シミレーショニズム

科学的な論理批評

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戦後日本美術批評の流れ

• 戦前の技術・技法論と一線を画す批評を展開。

• 瀧口という先駆者を得つつ、針生・中原・東野を中心に現代的な美術批評が確立される。

• 宮川淳らユニークな逸材も登場。

• その後、藤枝晃雄、椹木野衣らを経て現代に繋がっていく。

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問い

• 美術の歴史は主に作家論によって語られる。

• 語るのは批評家であり、作家と批評家、制作と批評は両輪である。

• インターネットの登場により「ネットうるさ方」的論壇が出現。玉石混交の美術評論に対して冷静な判断が必要となった。

• よって過去の偉大な批評家や批評史を知ることにより、作家として強度を保つことができるのではないか?

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結論

• よって過去の偉大な批評家や批評史を知ることにより、作家として強度を保つことができるのではないか?→わからん

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じょいとも1988年生まれ。散発的に作品制作する傍ら、音楽イベントでのVJ/メディアアート演出、展示企画、インタビュー誌「CreatorsatWork」の制作、漫画、および自撮りグッズの制作を行う。クリエイティブグループU-moa所属。新芸術校2期標準に在学。

<主な展示歴>2015「個展大蟹伝説」中野ZERO/東京2015「しゃがみ弱パンチ美術館 52Hz」コザクロ/沖縄<主なキュレーション歴>2016「CreativeAdventure」ARTnSHELTER/東京2014「いつも以上にHappyLife」中野ZERO/東京2011「つかさラウンジ」DFG原宿/東京