3.配筋間違い例2019/06/05  · 3.配筋間違い例 1.柱主筋本数の不足...

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3.配筋間違い例 1. 柱主筋本数の不足 2. 柱の 2 段筋間隔の未調整 3. 柱主筋 X,Y の間違い 4. 仕口部範囲の間違い 5. 梁主筋本数の不足 6. スタラップの形状間違い 7. 梁中子筋の忘れ 8. 機械式継手グラウト注入不足 9. 設備配管設置方法の間違い 10. 基礎梁ふかし筋形状の間違い 11. フープフック余長の間違い 12. 圧接位置の違い 13. 外壁縦筋定着長の不足 14. 大梁主筋投影定着長の不足 15. 床段差筋本数の不足 16. 床段差筋定着長の不足 スラブ筋の定着不足 17. 耐震スリット 1

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3.配筋間違い例

1.柱主筋本数の不足2.柱の2段筋間隔の未調整3.柱主筋X,Yの間違い4.仕口部範囲の間違い5.梁主筋本数の不足6. スタラップの形状間違い7.梁中子筋の忘れ

8.機械式継手グラウト注入不足9.設備配管設置方法の間違い

10.基礎梁ふかし筋形状の間違い

11.フープフック余長の間違い

12.圧接位置の違い

13.外壁縦筋定着長の不足14.大梁主筋投影定着長の不足15.床段差筋本数の不足

16.床段差筋定着長の不足

スラブ筋の定着不足

17.耐震スリット

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・特に最上階で主筋が多くなる場合に注意

①柱主筋本数の不足間違い例-1

2

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②柱の2段筋(寄筋)間隔の未調整間違い例-2

3

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「X方向の主筋」 構造設計者 一般

・柱筋は、必ず図を用いて情報を伝達する。

・方向X,Yを必ず示す。

・伏図のX,Yと部材リストのX、Yを合わせる。

③柱主筋X、Yの間違い間違い例-3

X

Y

4

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・X、Yで梁せいが異なる場合は注意

④仕口部範囲の間違い間違い例-4

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・梁リストの数字と図の不整合で生じやすい

⑤梁主筋本数の不足間違い例-5

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・部分的にスラブがつかないときは注意

⑥スタラップの形状間違い

90度フックは×

間違い例-6

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・3本の時に忘れやすい

⑦梁中子筋の忘れ間違い例-7

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⑧機械式継手グラウト注入不足間違い例-8

・未注入

・注入不足(あふれて

いない)

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・柱内への鉛直方向配管は不可 ・ふかし筋の20d定着無し

⑨設備配管設置方法の間違い他間違い例-9

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・かんざし筋は、梁主筋の内側

⑩基礎梁ふかし筋形状の間違い間違い例-10

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・135°フックの余長は、6d以上必要

⑪フープフック余長の不足間違い例-11

12

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⑫圧接外観不良間違い例-12

・こぶの径が1.4d以上

無い

13

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・外壁縦筋の定着長は、梁せいの半分以上必要

⑬外壁縦筋定着長の不足間違い例-13

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・投影定着長は、3/4D以上必要

⑭大梁主筋投影定着長の不足間違い例-14

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L2定着長の不足。(跳ね出しスラブの定着は、L2より長い場合があるので設計図を確認すること。)

⑮床配筋の定着不足間違い例-15

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・スラブ筋は全てL2定着 ・標準図の主筋は、3-D13 (2本は×)

⑯床段差筋本数の不足

2本×

間違い例-16

下端筋L2不足

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⑰耐震スリット間違い例-17

・振れ止め筋は

D13とする

・防錆塗装する

・水平スリットを

優先する

・緩衝材は発泡

樹脂材とする

・段差型/水平型

の使い分け 18

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4.付録1.かぶりの役割2.柱の主筋フック3.幅止め筋の役割4.べた基礎・耐圧スラブの配筋5.段差部の通し配筋6.柱のしぼり位置での補強

7.スラブのスペーサー

8.出隅スラブの補強筋9.スラブの開口補強筋10.壁の開口補強筋

11.鉄筋継手の位置12.腹筋の必要性

13.定着と継手の違い

14.スターラップのフック15.異強度鉄筋の禁止16.鉄筋間隔

17.大梁の端部・中央の区分

18.梁貫通孔の可能範囲

19.部材による鉄筋の呼び20.強度以外での鉄筋の種類

21.異形鉄筋のロールマーク

22.ロールマークとねじ鉄筋の

色別塗色

23.ねじ鉄筋の色別塗色

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1.かぶりの役割

中性化の初期 中性化の進行  ↓鉄筋に錆が発生

亀裂に水・空気が侵入   ↓錆に更なる膨張

遂にコンクリート剥落

錆の進行による鉄筋の膨張   ↓コンクリート表面に亀裂発生

[注]  部分:コンクリートの中性化を示す

かぶり厚さ不足によるコンクリートの損傷

かぶりは、鉄筋コンクリートとしての耐力を発揮させるためだけではなく、鉄筋への錆び防止や熱(発火)から鉄筋を保護する役割など、重要な役割を担っています。

付録-1

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2.柱の主筋フック(重ね継手の場合)付録-2

a)隅柱のコ-ナ-筋 b)壁がよっている反対側のコ-ナ-筋

c)壁の付いていない柱のコ-ナ-筋

・丸鋼の末端部には、全てフックが必要です。・異形鉄筋では付着力が大きいので、一般的にはフックを必要としませんが、柱・梁の出隅部や煙突の鉄筋はかぶりコンクリ-トが割れやすいこと、熱を受け付着力が低下するおそれがあるため、フックを必要とします。

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配筋中の作業時

←腹筋

コンクリート打設時

幅止筋 ↓

3.幅止め筋の役割付録-3

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4.べた基礎・耐圧スラブの配筋

一般のスラブ

端部の上が引っ張り

中央の下が引っ張り

中央の上が引っ張り

端部の下が引っ張り地面が支えている

L2

L3

L2

L2

べた基礎・耐圧スラブ

付録-4

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5.段差部の通し配筋

スラブ筋が伸びてコンクリートを割裂

左右のスラブ筋の縁を切る

段差の大きい場合の処置

段差が小さい場合は上図のような納まりも可能

付録-5

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a

b

サブフープ筋(幅止め筋)D10@600

・絞り筋に引張力が作用

引張力引張力

引張力 引張力

L2*:L2+5d

L2*

L2*

・折り曲げ部のかぶり部分を割裂

主筋折り曲げ部フープ補強

b: 同サイズ2本(束ね鉄筋)a: 1サイズアップ又は}

A

A

P

フープの配筋要領は特記による注) P 部・柱梁接合部( A 部)の

あき25

あき25

6.柱のしぼり位置での補強付録-6

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7.スラブのスペーサー

注) P 部・柱梁接合部( A 部)の 1次筋・2次筋の交点にかける

(   が正規の鉄筋位置)

スペーサー↑

付録-7

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8.出隅スラブの補強筋

① ②

Lx,Ly:片持ちスラブの出の長さa,b:上端配筋は、C部上端主筋

Lx

a

L1

Px Px/2

cL1

cb

Ly

LyPy/2

Py

Lx ピッチの1/2とする

・出隅部のXY方向に流し(①)、出隅受部の補強として片持ちスラブ筋で本体に伝達(②)

力の流れ

付録-8

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9.スラブの開口補強筋

・切り欠いた鉄筋の断面分を開口周辺に入れる

・上図は開口が700mm以下の場合

付録-9

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10.壁の開口補強筋

収縮

収縮収縮

収縮

←縦補強筋

開口

誤正

乾燥収縮はコーナー部に集中する

斜め補強筋(縦・横補強筋よりも  内側に配筋する)↓

横補強筋↓

斜め補強筋と縦・横筋とのあきに注意

斜め補強筋がかぶり不足にならないように注意

かぶりが足りない       →

       →かぶりが足りない

付録-10

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重ね継手の場合、図のように鉄筋の小口面がそろってしまいます。小口面はひび割れが起こりやすく、さらに小口面の位置がそろっていると、ますます起こりやすくなって、全体に影響してしまいます。

 ↑鉄筋の小口面

小口面からのひび割れ

   ↑鉄筋の小口面

L L 0.5L

鉄筋の小口面が並ばないように0.5Lずらす

Lだけずらすと再び小口面が並ぶので不可

     ↑鉄筋の小口面がそろっている

 ↑鉄筋の小口面がそろっている

11.鉄筋継手の位置付録-11

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腹筋

幅止め筋

・土圧壁を受ける梁 ・ねじり梁

コンクリート打設

・コンクリートの流れ方向にスターラップが傾く

12.腹筋の必要性付録-12

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定着長さは、鉄筋がスポッと抜けないように、その鉄筋の全強度がコンクリートに伝わるように、決めています。

鉄筋同士をつなぐ部分を「継手」と呼びます。例えば、重ね継手はコンクリート強度と鉄筋強度の組合せによって、鉄筋径の何倍以上を重ねるかが決まっています。

また、継手と定着では、その長さに差があります。それは、継手は梁のコーナー部などかぶりの薄い所にも設けられますから、多少余裕をみて定着よりも長い寸法を採用しているのです。

定着:コンクリートに応力を伝える 継手:コンクリートを介して相手の鉄筋と一体になる

13.定着と継手の違い付録-13

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まず、「フック部分に欠陥が生ずる」おそれがあると考えます。

スラブ無し:梁の左右に交互に「フック」を分散させます

片側スラブ:スラブがあると「欠陥」をカバーしてくれます。だから、スラブ側に「フック」を集中配置します

両側スラブ:両側がいずれも安心です。ですから、左右バランス良く「フック」を左右交互に配置します

(a)スラブ無し (b)片側スラブ (c)両側スラブ

交 互 スラブ側 交 互 両側スラブ付梁では上図のようなスターラップも使用します

14.スターラップのフック付録-14

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強さの異なる鉄筋は、SD295やSD345など数種類存在します。“SD”は異形鉄筋であることを示し、“295”や“345”はその強さを示しています。強度が同じであれば、メ-カーが異なる鉄筋を混用してもやむを得ませんが、同じメーカーであっても強度が異なる場合は、原則として使用禁止です。「指定された強度よりも強い鉄筋だから…」と勝手に判断してはいけません。

15.異強度鉄筋の禁止

○ ×

荷重(P)

たわみ(δ)

弱い鉄筋が先に降伏し、たわみ量が早期に増大する

SD345SD295A社

B社

同一強度

異強度

付録-15

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鉄筋のあき寸法は、鉄筋径(d)の1.5倍、粗骨材径の1.25倍かつ25mm以上とします。実際、鉄筋のあきを細かい寸法まで気にすることはないですが、あきが狭すぎてコンクリートがまわらなかったり、鉄筋同士が接していて付着力が減少することのないように気をつけることが大事です。

16.鉄筋間隔

主筋間隔なし

あき d

間隔

付録-16

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大梁の端部・中央の区分は内法スパンの柱側1/4の位置

(lo/4)ですが、中央下端のスパン中央で止める鉄筋は、その位置から端部へ向かって

20dの余長をとります。端部上端の15dよりも5d長くする理由は、梁下端のひび割れ防止のためです。

17.大梁の端部・中央の区分

中央端部

4

3

3

4

15d 15d

lo/2

20d

20d 20d

端部端部 中央

20d

lo

lo/4lo/4

付録-17

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やむを得ず梁に貫通孔を設ける場合は、その位置と補強に注意が必要です。梁に貫通孔があると、断面欠損によりせん断強度・剛性の低下をまねきます。また、孔周辺には応力集中が生じます。 孔を設ける位置は、せん断力の小さなスパン中央付近とし、孔の上下のせん断耐力と補強配筋スペースを確保するためにも、貫通孔は梁せいの中央に設けます。

18.梁貫通孔の可能範囲

可能範囲

h≦D/4 h≦D/4h≦D/3

≧200

D/2以下

lo

lo/4lo/2lo/4D

≧200

孔の間隔

h

孔径の平均の3倍以上あける

D D

※在来工法の場合であり、認定品は認定条件による

付録-18

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下図は、「大梁リスト」と「柱リスト」の抜粋です。 役割が違うと、呼び名や鉄筋の太さも異なります。引張力が大きい部位には鉄筋を多く、小さいところには少しの鉄筋を配置します。一般に、引張力用の鉄筋は太く、せん断力用の補強筋は細い鉄筋を用います。下図では、引張力用の鉄筋は共通して「主筋」と呼びますが、せん断補強筋は大梁では「肋筋(スターラップ)」と呼び、柱では「帯筋(フープ)」と呼びます。

19.部材による鉄筋の呼び

「大梁リスト」 「柱リスト」

主筋

あばら

(スターラップ)

あき

肋筋腹筋

間隔

幅止め筋

かぶり厚さ

←2段筋←1段筋 あき

主筋

間隔 かぶり厚さ

帯筋おび

(フープ)

←寄筋

中子筋

主筋

隅筋(コーナー筋)

付録-19

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表面に突起がある鉄筋を「異形棒鋼」(または「異形鉄筋」)、突起のない鉄筋を「丸鋼」といいます。 表面の突起は付着強度を強くする目的で設けられました。また、表面の突起は鉄筋を製造するメーカーによって異なりますが、それぞれ付着強度を最も効果的に発揮できる形状と間隔になっています。

20.強度以外での鉄筋の種類付録-20

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異形鉄筋にはロールマークが刻印されており、その情報は・製造会社名 ・鉄筋径 ・強度(材質) を示しています。

21.異形鉄筋のロールマーク付録-21

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鉄筋材質と径の識別ルール色別塗色は、JIS3112で規定され、主にねじ鉄筋で使用されている

22.ロールマークとねじ鉄筋の色別塗色付録-22

鉄筋径

一般の異形鉄筋の例

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23.ねじ鉄筋の色別塗色付録-23

ねじ鉄筋のロールマーク

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