平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) ファインバブ … ·...

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平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) ファインバブル技術 平成29年3月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線:2155)

Transcript of 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) ファインバブ … ·...

平成28年度

特許出願技術動向調査報告書(概要)

ファインバブル技術

平成29年3月

特 許 庁

問い合わせ先

特許庁総務部企画調査課 知財動向班

電話:03-3581-1101(内線:2155)

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目次

要約

第1部

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資料編

第6部

第1章 調査概要

第1節 ファインバブル技術の背景

ファインバブル技術は日本が世界に先行して見いだした革新技術であり、製造、利用、

応用の各分野にわたって技術開発を行ってきている。国際標準化において国際幹事国と

なるなど海外に比べて産業創出に向けて優位な位置を占めている。この技術関連産業は、

供給側では、製造装置メーカー、製造部品メーカー、計測器メーカー及びエンジニアリ

ング会社等多くの企業が関連し、需要側でも、土木関連、医療関連、薬品関連、さらには

農林水産関連まで多くのアプリケーションが関連する分野横断的特徴を有しており、今

後、自動車、家電等と同様に日本を代表する基幹産業となり、さらには世界的にも大き

な市場を有する将来型産業となる可能性を秘めている。しかし、ファインバブルの機能、

効果等についての原理や機構が科学的に十分に解明できておらず技術自体がいまだ発展

途上の段階である。同様に、ファインバブル技術を核とする革命的な商品が創出される

までには至っておらず本格的な市場がいまだ形成されていない状況である。今後、国際

標準化が整備され技術データベースの共通化が進み、また、計測技術等の著しい進歩に

より今まで未解明であった機構などの科学的解明が進み技術開発が大きく前進して産業

化が加速されるものと期待されている。

本調査では、ファインバブル技術について、国内外の特許動向等を分析することで技

術開発動向や技術競争力、産業競争力を明らかにする。我が国の企業等がグローバルな

ビジネス展開を行う際に必要な競争力向上を図るために、ファインバブルの事業に取り

組む際の課題を整理し、今後目指すべき研究開発・知財戦略の方向性を明らかにするこ

とを目的にする。

第2節 本調査で対象とするファインバブル技術の技術俯瞰

ファインバブル技術の技術俯瞰図を図 1-1 に示した。気泡は昔から極めて身近にあり、

自然界では海、河川、温泉、昆虫、植物などで観察することができる。生活の中でも飲

料、水槽、浴槽などで広く使われ、産業界でも浮遊選鉱、水質浄化などで古くから利用

されてきた技術であるが、そのサイズが小さくなると様々な特性が現れる。これを有用

に活用しようとする技術がファインバブル技術である。粒径 100μm 以下のものを「ファ

インバブル」といい、特に粒径 1μm 未満のものを「ウルトラファインバブル」といい特

異な性質が見いだされている。なお、ファインバブルの中で 1μm 以上の粒径を持つバブ

ルを「マイクロバブル」と呼ぶ。

ファインバブル技術は、以下の三つの要素技術、①ファインバブル発生技術、②ファ

インバブル計測技術、③ファインバブル応用技術から構成されている。ファインバブル

は、

ⅰ)比表面積が大きい

ⅱ)寿命が非常に短い(マイクロバブル)あるいは非常に長い(ウルトラファインバブ

ル)

ⅲ)自己加圧効果

ⅳ)圧壊現象(マイクロバブル)

ⅴ)帯電性

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要約

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などの性質が知られており、その性質を利用した様々な応用が検討されている。

図 1-1 ファインバブル技術の技術俯瞰図

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2015(見込) 2020(予測) 2023(予測)

関連サービス

関連システム

その他

応用機械装置

応用民生品

関連計測装置

発生装置

(年)

市場(億円)

第2章 市場環境調査

第 1 節 ファインバブルの市場予測

ファインバブル技術は、アグリ/食品分野、ライフサイエンス/ヘルス分野、環境分

野、工業分野、資源/エネルギー及びエンターテイメント分野等で技術開発や応用開発

が進展し、適用可能性市場が急速に拡大する傾向にある。ファインバブルに関する近年

のカレントトピックスを分析すると、医療・健康 30%、環境分野 26%、農業・水産 17%

で全体の 73%を占め、医療・健康や環境分野への活用期待が大きいという報告がある1。

また、ファインバブルビジネスの裾野は広く、その事業領域はコア製品を中心に、シ

ステムを構築するための調査・計画、建設、エンジニアリング、施設の維持管理・運営、

分析業務ら多岐にわたる。大型システムやプラントにおいては、ファインバブル発生装

置のコア機器ベースに多くの処理装置、制御装置が組み合わされ、発生装置の数倍~数

十倍の付加価値が生み出されるものと予測される。

図 2-1 及び図 2-2 にそれぞれファインバブルの国内市場、世界市場の推移予測を示し

た。ファインバブル関連コア製品に附帯する設備、関連装置を含めたシステム、管理・

運営サービスまで拡大したトータルビジネスは、国内は 2015 年で 1,000 億円程度であ

り、今後 10 年程度で 5,000 億円超に成長する可能性があるとされている。年平均成長率

では、6.9%程度と見ている。機器全体の中での将来の市場構成は、発生器:約 15%、応

用品:約 55%、計測器、エンジニアリング等:約 30%と予想している。なお、2012 年で

のファインバブル発生装置関連の市場規模は約 28 億 5 千万円で、日本のシェアはほぼ

100%であった2。

図 2-1 ファインバブル関連の国内市場推移予測

出典:(一社)ファインバブル産業会((株)総合プランニング調べ)

1 (一社)ファインバブル産業会、ナノマイクロバブル技術に関する国際標準化報告書(H25 年)、第 5 章 2 www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004082.pdf(2016 年 8 月)

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2015(見込) 2020(予測) 2023(予測)

関連サービス

関連システム

その他

応用機械装置

応用民生品

関連計測装置

発生装置

(年)

市場(億円)

同様にファインバブルの世界市場も今後 10 年程度で 65,000 億円程度に拡大するもの

と期待されている。

図 2-2 ファインバブル関連の世界市場推移予測

出典:(一社)ファインバブル産業会((株)総合プランニング調べ)

第2節 ファインバブル技術関連の代表的プレーヤー

ファインバブルに関係する発生装置メーカー、計測機器メーカー及びファインバブル

利用製品開発メーカーの代表的プレーヤーを調査した。

1.ファインバブル発生装置メーカー

ファインバブルの発生方式別に代表的なメーカーを表 2-1 に示した。

表 2-1 代表的なファインバブルの発生装置メーカー 種類 代表的メーカー

旋回流方式 (有)OK エンジニアリング

関西オートメ機器(株)

(株)多自然テクノワークス

(株)ナノプラネット研究所

(株)西日本流体技研

ニッタ(株)

大生工業(株)

(株)富貴製作所

(株)Ligaric

(株)リガルジョイント

(株)ワイビーエム

エゼクター式、ベンチュリ式 IDEC(株)

エンバイロ・ビジョン(株)

(株)オーラテック

関西オートメ機器(株)

(株)シンワ

芝江産業(株)

スタティックミキサー方式 西華産業(株)

(株)ナノクス

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第6部

種類 代表的メーカー

HACK UFB(株)

(株)フジキン

微細孔方式 (株)キヨモトティクイチ

(株)西研デバイズ

(株)ナック

加圧溶解式 (株)アースリング

シグマテクノロジー(有)

(株)戸上電機製作所

(株)増田研究所

(株)丸八ポンプ製作所

ヤマハリビングテック(株)

超音波キャビテーション式 本多電子(株)

出典:東レリサーチセンター「ファインバブル」(2015 年)などを基に三菱化学テクノリサーチが作成

2.ファインバブル計測機器メーカー

ファインバブルの測定方法種類別に代表的な計測機器メーカーを表 2-2 に示した。

表 2-2 代表的なファインバブルの計測機器メーカー 種類 代表的メーカー及び代表的製品名

画像解析法 Sympatec(ドイツ)、「QICPIC/R シリーズ」

Microtrac(米国)、「PartAn シリーズ」

(株)マイクロテック・ニチオン、「ZEECOM ZC-3000」

Micrometrics(米国)、「ParticleInsight」

光散乱カウンタ法 Particle Measuring Systems(米国)、「LiQuilas-S05-HF」(LiQuilas は Particle Measurement の登録商

標)

ベックマン・コールター(米国)、「HIAC シリーズ」

リオン(株)、「KS-41B」

レーザ回折散乱法 (株)島津製作所、「SALD-7500X10」、「IG1000」(SALD は島津製作所の登録商標)

ベックマン・コールター(米国)、「LS13320」

Microtrac(米国)、「MT3000II シリーズ」

位相ドップラ法 Atrium(米国)、「KE40B1/KS-42C」

Dantec Dynamics A/S(デンマーク)、「HiDense PDA」

日本カノマックス(株)、「Particle Master」

動的光散乱法 大塚電子(株)、「FDLS-3000」(FDLS は大塚電子の登録商標)

Sympatec(ドイツ)、「NANOPHOX(PCCS)」

Microtrac(米国)、「Nanotrac Wave」(Nanotrac は Microtracの登録商標)

Malvern Instrument(イギリス)、「Zetasizer Nano S」

電気的検知帯法 ベックマン・コールター(米国)、「Z1D/Z2」

Micrometrics(米国)、「EIZoneII」

共振質量測定法 Malvern Instrument(イギリス)、「Archimedes」(Archimedes は Malvern の登録商標)

超音波利用法 Dynaflow(米国)、「ABSAcoustic Bubble Spectrometer」

粒子軌跡解析法 ParticleMetrix(ドイツ)、「ZetaView」(ZetaView は Dr. Hanno Wacherning の登録商標)

Malvern Instrument(イギリス)、「NanoSightNS500/LM10」(NanoSight は Malvern の登録商標)

出典:東レリサーチセンター「ファインバブル」(2015 年)などを基に三菱化学テクノリサーチが作成

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要約

第1部

第2部

第3部

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第6部

3.ファインバブル利用製品開発メーカー

ファインバブルを利用した製品開発を行っている代表的メーカーを応用分野別に製品

とともに表 2-3 に整理した。

表 2-3 代表的なファインバブル利用の製品開発メーカー 分野 代表的メーカー 主な製品(含開発中)

アグリ/食品分野 キューピー(株) マヨネーズ

中電技術コンサルタント(株) カキ養殖

(株)ナノクス 鮮魚保存

(株)森機械製作所 水産、養殖用途

(株)Ligaric 水耕栽培

(株)REO 研究所 魚介類保存方法、ナノバブル水

(株)ワイビーエム 水産、養殖用途、水浄化

ライフサイエンス/ヘルス分野 第一三共(株) 超音波造影剤

ヤマト科学(株) 滅菌装置

(株)ヤマザキ 美容洗顔器

環境分野 Aquaconsult Anlagebau GmbH(オーストリア) 排水処理装置

エンバイロ・ビジョン(株) 排水処理装置

(株)キンポーグリーン 浄水器

(株)建設技術研究所 水質浄化

(株)国際環境技研 水処理システム

(株)シモダアメニティサービス オゾン気泡殺菌

東洋建設(株) 水質浄化

西日本高速道路(株) 凍結防止剤の洗浄、トイレ洗浄

(株)前川製作所 食品廃棄物処理

(株)丸島アクアシステム 汚泥培養槽

三菱マテリアルトレーディング(株) 水質浄化

(株)UTK アオコ、藻類抑制装置

工業分野 IDEC(株) 太陽電池基板ウェハセパレーション

(株)臼田工業 研磨装置

(株)サイエンス 入浴装置

(株)セイコーエンタープライズ 入浴装置

(有)ターレス ペット洗浄器

三菱電機(株) エコキュート

資源・エネルギー分野 (株)OHR 流体研究所 浮遊分離

(株)ナゴヤ大島機械 浮上分離装置

出典:東レリサーチセンター「ファインバブル」(2015 年)などを基に三菱化学テクノリサーチが作成

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第1部

第2部

第3部

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第6部

第3章 政策動向調査

第1節 ファインバブル技術の政策動向

1.ファインバブル技術に関する科学技術政策と国家プロジェクト

海外では、最近、ファインバブル技術について学会などでシンポジウムが行われてき

ているが、医療診断用ファインバブルなどの応用を除きビジネスの世界でも学会の世界

においても日本ほど注目されてきていなかった。そのため、海外ではファインバブル技

術に関する具体的な政策はいまだほとんどないと思われる。

(1)日本のファインバブル技術の関連政策

日本のファインバブル技術に関する科学技術政策、産業政策等の各種政策について

各分野における最新の政策を表 3-1 に整理した。

表 3-1 ファインバブル技術の関連政策 政策分野 内容等 担当 時期

戦略 農林水産省:食品産業技術ロ

ードマップ集

ファインバブル技術 ・ファインバブルの理化学的特性の分析/計測

技術

・メカニズム解明

・利用技術開発

・装置及びシステムの開発

農林水

産省

2015 年

策定

非加熱殺菌技術 ・オゾン/CO2 ファインバブル(ガス)による殺菌

技術

経済産業省:技術戦略マップ

2010

グリーン・サステイナ

ブルケミ ストリ ー分

グリーン酸化プロセスの開発

・ナノ、マイクロバブルを用いた酸化反応

経済産

業省

2010 年

策定

化学物質総合評価

管理分野

難分解物質の分解

・マイクロバブルによる直接酸化分解

・マイクロバブルオゾンを用いた酸化分解の

促進

富栄養化物質の分解

・生物処理とマイクロバブル法との組合せ

技術開

SIP 次世代農林水産業創造

技術

【農林水産系のファインバブル

技術開発】

【収量や成分を自在にコントロールできる太陽光型植物工場】

文部科学省(統合オミクス解析技術等の基礎技術を担当)、経済産

業省(ファインバブル技術を担当)、農林水産省(太陽光型植物工場

での栽培環境制御等の応用技術と出口を担当)が連携

内閣府 2014~

2018 年

【ファインバブル基盤技術研究

開発事業】

・原理研究、用途開拓、国際標準化の一体的推進を図り、基盤技術を

確立

・農業利用は、農林水産省と連携し、生育促進や殺菌、機能封入等の

技術開発

経済産

業省

2014~

2018 年

利活用

推進

【「医工連携事業化推進事業」

実証事業】

【ファインバブル利用による滅菌装置の開発】(日本医療研究開発機

構)

滅菌液としてオゾンファインバブルを使用し、安全性、コストの両立を

図る

内閣府 2015 年

東日本大震災対応・緊急研究

開発成果実装支援プログラム

マイクロバブルで水産業復興支援(カキ、ホタテの成長増進、岩手県) 文部科

学省

(JST)

2012 年

標準化・

規格

【エネルギー使用合理化国際

標準化推進事業】

【ファインバブル技術の農林水産システム応用への評価に関する国際

標準化】

国際標準開発及び普及基盤構築を行う

経済産

業省

2016~

2018 年

知的財

特許出願技術動向調査報告

書:農業関連技術

ファインバブル技術について、科学的なアプローチによる有効性の確

認及び実用化技術の開発・権利化がなされるべきである(特許庁)

経済産

業省

2014 年

度報告

業界団

体育成

「ファインバブル産業会」の設

立(2012 年微細気泡産業会と

して発足、2014 年現在名に改

称)

設立の趣旨:産学官が連携してファインバブル技術に関する調査、研

究、開発、標準化等を行い、その発生、計測、利用等の関連技術の開

発を促進する。応用産業分野における技術の早期実用化及び産業基

盤構築を行う

経済産

業省

2012 年

設立

出典:インターネット情報等を基に三菱化学テクノリサーチが作成

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

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第6部

(2)ファインバブル技術関連の NEDO プロジェクト

ファインバブル技術に関係する NEDO のプロジェクトのうち終了年 2009 年以降のプ

ロジェクトを表 3-2 にまとめた。

表 3-2 直近のファインバブル技術関連の NEDO プロジェクト

開始年 終了年 タイトル 内容

該当分野

アグリ/食品

ライフサイエンス/

ヘルス

環境

工業

資源・エネルギー

エンターテイメント

2011 2015 斬新なセルロースの非

晶化技術を応用した高

付加価値型バイオマス

原料製造装置の開発

とこれによるグリーン・

イノベーションの実現

研究項目の一つは「高付加価値型バイオマス原料

の応用研究」:これについては、セルロースの結晶

化度が糖化特性に与える影響とオゾンマイクロバ

ブルによるリグニンの分解性、非晶性セルロースを

用いたバイオエコプラスチック材料の開発について

検討した

2011 2012 新エネルギーベンチャ

ー技術革新事業「マイ

クロ波を応用した藻類

燃料の革新的抽出技

術の開発」

前処理、抽出に続き、抽出後の油分の回収も重要

な工程である。この場合、有機溶媒による回収や

水分の直接加熱といった方法はふさわしくない。そ

こで油水分離法として、排水の油水分離に用いら

れているマイクロバブルによる回収を検討した

2009 2012 希少金属代替材料開

発プロジェクト 代替砥

粒及び革新的研磨技

術を活用した精密研磨

向けセリウム低減技術

の開発

新たなガラス基板研磨向けスラリー溶媒の調製に

おいて、添加した物質は、砥粒の分散性を高める

ために、2 種類の酸化セリウム粒用分散剤、数十

nm の酸素ナノバブル、及びオゾンナノバブルを配

合した

2008 2012 摩擦抵抗低減船のた

めの気泡発生動力最

小化技術の開発

船舶の摩擦抵抗低減法に用いるマイクロバブルの

大量発生技術について、その動力を節減する流体

力学的機構の設計と試験、並びに実船での実験

による実用化研究を行う

2008 2009 (健康安心プログラム)

インテリジェント手術機

器研究開発プロジェク

ト 主要部位対象機器

開発 3

【センチネルリンパ節可視化及び転移検出技術】

通常のバブルリポソームは直径 1〜10μm と比較的

大きな粒径を持つため組織深部への移行性が低

く、癌部等の特定の部位に対する標的指向性もな

いため、バブルリポソームの組織浸透性の向上を

目指し、粒径をそろえたナノサイズのバブルリポソ

ームを作製した

2007 2009 (健康安心プログラム)

次世代 DDS 型悪性腫

瘍 治 療 シ ステ ムの研

究 開 発 事 業 深 部 治

療 に対 応 した 次 世 代

DDS 型治療システム

の研究開発

DDS 製剤(高分子ミセル、ナノ液滴、バブルリポソ

ーム)と診断・治療機器(超音波治療機器等)との

一体化開発を行う。数百 nm 径のバブルを、相変

化を利用して作る研究に取り組む

2007 2009 革新的ノンフロン系断

熱技術開発プロジェク

ト ノンフロンウレタン

断熱技術の研究開発

ポリオール成分にナノバブルを導入し、機械発泡

を行った。セル径は 194 から 112μm(58%)に微細

化され、初期は低熱伝導率を達成した。しかし現

状のポリウレタン樹脂では経時変化の抑制は困難

であった

2007 2009 基礎研究から臨床研

究 への橋 渡 し促 進 技

術 開 発 疾 患 動 物 を

用いた新規治療機器

の安全性・有効性評価

手法の開発

ブタの肝臓を対象として、マイクロバブル造影剤を

併用した HIFU 照射実験を行った。そして、本研究

開発では、より制御性の高い治療を行うために、

焦点で発生させたキャビテーションによるマイクロ

バブルを用いる手法を開発した

出典:NEDO 成果報告書データベースを基に三菱化学テクノリサーチが作成

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要約

第1部

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第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

国際組織 国内組織

ISO(国際標準化機構)

TC281ファインバブル技術

幹事国:日本

議長:イギリス(2013~2018年) 一般社団法人ファインバブル産業会

事務局:経済産業省

産業技術環境局

委託

登録 JISC(日本工業標準調査会)

WG1 基本原理及び用語

WG2 特性評価

WG3 応用

第2節 ファインバブル技術の国際標準化

科学技術イノベーション総合戦略(2013 年 6 月閣議決定)において、「イノベーション

の創出のためには研究開発に着手する当初から、将来的な国際標準化や知的財産の取扱

いを見据えた戦略的な取組を推進することが必要」と認識されている。表 3-1 に示した

日本のファインバブル技術の関連政策の中の経済産業省「ファインバブル基盤技術研究

開発事業」では、ファインバブル技術の研究開発では研究開発当初から同技術の国際標

準化を見据えた戦略的な取組をしている。

これまで、ファインバブル技術は、産業利用の前提となる用語・定義、測定方法などの

国際基準が確定しておらず、国際的な製品・技術の普及を図る上で課題となっていた。

経済産業省は 2012 年 11 月末に、日本工業標準調査会(JISC)の審議を経て、トップ

スタンダード制度の第 3 号事案として、ファインバブルに関する国際標準化活動に関す

る支援・推進を実施することを決めた。2013 年 2 月、我が国から ISO(国際標準化機構)

に対して、ファインバブル技術に関する新たな専門委員会(TC)の設置が提案された。3

か月間の国際投票を得て設立要件が達成され、ISO/TMB(技術管理評議会)において、我

が国を国際幹事国とする新規の専門委員会 TC281(ファインバブル技術)設立が承認され

た。ファインバブル技術の ISO と対応する国内組織の関係を図 3-1 に示した。TC281 に

は基本原理及び用語、特性評価、応用の三つの WG が組織され、活発に議論を進めている。

図 3-1 ファインバブル技術の ISO と対応する国内組織の関係

出典:各種情報を基に三菱化学テクノリサーチが作成

我が国主導により認証されたファインバブル技術の三層構造型国際規格体系の内容を

図 3-2 に示した。ファインバブル技術は様々な進展があるものの、そもそもファインバ

ブルとは何かという定義や用語が明確でなかった。気泡サイズ、気泡数密度、又は液体

やガスの種類、液中の滞在時間といった特性や一般原則を国際規格化しない限り、ステ

ークホルダーが共通の言語をもって開発することができない。基本規格はファインバブ

ルの共通基本要素の規格である。また、様々な計測方法が開発されてきているが、市場

の混乱を避けるためにファインバブルを含んだ系の、各種の特性の計測における条件や

準備等も国際規格で明確にする必要がある。そのため、複数の手法によりファインバブ

ル計測を可能とし、広範囲の産業分野で利用可能とする規格として計測方法規格を設け

る。さらに、多岐にわたる応用分野も、それぞれの応用分野の固有の条件や評価方法を

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明示しないと、ユーザーがファインバブル技術を利用することができない。そのため、

特定の産業分野におけるファインバブル応用技術要件を規定する規格としてアプリケー

ション応用規格を設ける。こういった観点から三階層の規格体系構築を考えており、定

義・用語や一般原則、又は規格体系化の考え方を上位規格に位置付け、そして粒子計測

やファインバブル系の様々な計測方法の規格群を中位に位置付け、効果や効用、そして

産業応用に関連する個別応用分野規格群を下位に位置付けて、新たな ISO 規格体系を構

成することで健全な市場を形成でき、全世界の人々がその体系を利用することができる。

図 3-2 ファインバブル技術の三層構造型国際規格体系

出典:経済産業省、ファインバブル基盤技術研究開発事業事前評価報告書、平成 25 年

このように、国際標準化を整備することによりまがい物を排除し、健全な市場を育成

することができる。国際標準化を通じて健全な市場を育成してきた先例に光触媒がある。

ファインバブルと同様に我が国の技術である光触媒は、空気や水の浄化、汚れ防止など

の作用を発揮することから注目されたが、以前は条件が異なれば同じ光触媒でも異なる

評価結果になったり、異なる試験方法で得られた結果同士は比較できないなどの問題が

あり、不十分な性能の製品が出回り始めていた。今日では、標準化が整備されたことに

よりどのような条件でどのような効果が得られるか明確になっているいるため光触媒製

品を安心して選択し、使うことができるようになっている。これによる製品の高度化も

進みつつある。発展途上のファインバブル技術においても国際標準化を整備することで、

ファインバブル技術の優位性を明確にして、この技術を関連市場全体とともに健全に進

歩、発展させていくことが重要である。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

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資料編

第6部

第4章 特許出願動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

1.調査対象とした特許出願

特許の出願先国は、日本、米国、欧州、中国及び韓国(以下、日米欧中韓と略すことが

ある)である。欧州特許庁への出願に関し、欧州特許庁への出願(EPC 出願)だけでなく、

EPC 加盟国のうちで使用した特許検索データベースに収録された出願先国への出願も対

象とした。

2.特許文献の検索方法

データベースに Derwent World Patents Index を用いた検索により収集した。検索式

は、所定の IPC(国際特許分類)及びキーワードにより構成した。ファインバブル技術の

要素技術の一つである計測技術は、ファインバブルの計測を目的に開発している例は少

ない。ファインバブルの粒径や分布を測定する機器の多くは、粉体などの粒子の計測機

器をそのまま転用している例が多い。したがって、ファインバブル技術だけの視点での

検索では、これらの特許を見落としてしまう可能性があるため粒子径測定(=L3)を加え

た検索式を作成した。検索式を表 4-1 に示した。調査期間は、1986 年~2014 年(優先権

主張年)に出願されたものとした。

表 4-1 ファインバブル技術の特許の検索式 集合名 件数 検索式 備考

L1 2,825 S ULTRAFINEBUBBLE# OR FINEBUBBLE# OR MICROBUBBLE#

OR ?NANOBUBBLE OR ?NANOBUBBLES OR MINUTEGASBUBBLE# OR

MICROSCOPICBUBBLE#

キーワード1

L2 7,249 S (ULTRAFINE? OR NANO? OR FINE? OR MICRO? OR

MINUTE?)(W)BUBBLE# OR (ULTRAMICRO? OR ULTRANANO? OR (NANO

OR MICRO#)(W)(SIZE# OR SCALE#))(W)BUBBLE#

キーワード2

L3 2,407 S PARTICLE#(W)SIZE AND G01N0015/IPC 粒子径測定分野

L4 11,976 S L1 OR L2 OR L3

L5 10,189 S L4 AND 1986-2014/PRYF

L6 4,566 S L5 AND JP/PC 国内特許文献詳細解析

対象

L7 2,603 S L5 AND US/PC 米国への出願

L8 1,883 S L5 AND (AL OR AT OR BE OR BG OR CH OR CY OR CZ OR DE OR DK

OR EE OR ES OR FI OR FR OR GB OR GR OR HR OR HU OR IE OR IS OR

IT OR LI OR LT OR LU OR LV OR MC OR MK OR MT OR NL OR NO OR PL

OR PT OR RO OR RS OR SE OR SI OR SK OR SM OR TR OR EP)/PC

欧州への出願

L9 1,692 S L5 AND (CNA? OR CNB? OR CNC?)/PK 中国への出願

L10 1,548 S L5 AND KR/PC 韓国への出願

L11 1,865 S L5 AND WO/PC PCT 出願

L12 9,087 S L6 OR L7 OR L8 OR L9 OR L10 OR L11 日米欧中韓への出願

L13 4,521 S L12 NOT JP/PC 外国特許文献詳細解析

対象

検索日:2016 年 9 月 9 日

IPC G01N15/00 粒子の特徴の調査;多孔性材料の透過率、気孔量または表面積の調査

3.特許文献の解析方法

検索により得られた特許文献は、文献ごとに明細書の読み込み調査により詳細解析を

実施した。文献ごとの読み込み調査により、本調査において調査対象とするファインバ

ブル技術に言及する記載のない文献を外すノイズ落としを行い、技術区分を付与した。

- 12 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

なお、ファインバブルに関する定義の国際規格化が検討されている。ファインバブル技

術を網羅するためにマイクロバブル、ナノバブル、微細気泡、ファインバブルなど微小

な気泡サイズを意識した語句を使用していれば調査対象とした。ノイズ落とし後の特許

文献数は、9,555 件であった。特許文献の技術内容を表 4-2 に示した技術区分表を用いて

技術内容を分類した。

ファインバブル技術の対象技術分野は、①ファインバブル発生技術、②ファインバブ

ル計測技術及び③ファインバブル応用技術から構成されている。ファインバブル応用技

術は、ファインバブル発生技術やファインバブル計測技術と技術内容が異なるので二つ

に分けて技術区分表を作成した。ファインバブル発生技術やファインバブル計測技術に

関係するファインバブル技術に関する技術項目とファインバブル応用技術が関係するフ

ァインバブル利用に関する技術項目に分類した。

各大分類には、中分類(1A:ファインバブル発生装置・方法など)、小分類(1A1:旋回

液流式など)、さらにファインバブル応用技術(大分類 6)では詳細分類(6A1a:魚介類

の養殖・育成など)のように階層化して下位に多くの技術項目を設けた。

対象特許文献及び非特許文献の適用技術区分については、可能な限り下位区分の技術

項目付与を行い、多数の区分が対象となる場合、複数の区分に付与する。

表 4-2 技術区分表(一部抜粋)

<ファインバブル技術に関する技術項目>

大分類 中分類

1:ファインバブル発生技術 1A:ファインバブル発生装置・方法

1B:ファインバブル発生関連装置

1C:ファインバブルの捕獲操作

1D:ファインバブル含有液体作製システム

2:ファインバブル計測技術 2A:ファインバブル粒径等測定法

2B:ファインバブル関連測定技術

3:ファインバブルの種類・材料 3A:内包気体の種類

3B:中空マイクロカプセル

4:ファインバブル技術の課題・目的 4A:ファインバブル性状と調製

4B:ファインバブル発生機器性能

4C:ファインバブルの測定方法

5:ファインバブル技術の解決手段 5A:装置・流路構造、組合せ改善

5B:付属機器改良

5C:付属機器設置、着脱可能

5D:回収・リサイクルシステム

5F:制御システム

5G:データ処理

5H:調製条件・方法の改善

5I:新原理による方法、装置

- 13 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

<ファインバブル利用に関する技術項目>

大分類 中分類 小分類

6:ファインバブル応用技術 6A:アグリ/食品分野 6A1:水産

6A2:農業

6A3:畜産

6A4:食品・飲料水

6B:ライフサイエンス/ヘルス分野 6B1:医療・医薬品

6B2:美容・化粧品

6C:環境分野 6C1:洗浄(含洗浄装置)

6C2:殺菌・分解

6C3:処理・浄化

6C4:貯留

6D:工業分野 6D1:鉄鋼・非鉄金属

6D2:電力

6D3:石油精製

6D4:精密機械

6D5:土木・建築物

6D6:海洋運輸、海水設備

6D7:自動車関連

6D8:電気機械・家電

6D9:電子・半導体

6DA:電池・電池器具

6DB:情報通信

6DC:化学・化学装置

6DD:製紙・繊維(含加工)

6DF:日用品・生活

6DG:写真・印刷関連

6DH:機能材料

6F:資源/エネルギー分野 6F1:エネルギー関連

6F2:鉱工業

6G:エンターテイメント分野 6G1:娯楽

6G2:水族館、プロティンスキマー

7:ファインバブル利用の目的、効果 7A:ファインバブルの特有性質の効果

7B:ファインバブルの間接的性質の効果

- 14 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3 3 4 11 12 10

22 19 17

26

35 32 29

39

30 28

49 48 47

63

54

73 71

81

91

80 83 80

98

0

20

40

60

80

100

120

140

0

20

40

60

80

100

198

6

198

7

198

8

198

9

199

0

199

1

199

2

199

3

199

4

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張1986-2014年

日本国籍

282件

22.8%

米国籍

437件

35.3%

欧州国籍

338件

27.3%

中国籍

23件

1.9%

韓国籍

64件

5.2%

その他

94件

7.6%

合計1,238件

第2節 全体動向調査

1.[PCT 出願]出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

特許協力条約(PCT)に基づく国際出願は、複数の国への出願を念頭に置いた重要な特

許出願であると考えられる。出願人国籍別の PCT 出願件数推移と出願件数比率を図 4-1

に示した。調査期間を通して 1986~2014 年(優先権主張年)の合計出願件数は 1,238 件

であった。全体の出願件数推移は、年により増減はあるものの全体的に 1986 年より増加

傾向で推移している。

出願人国籍別の出願件数比率は、米国が 35.3%、次いで欧州 27.3%、日本 22.8%、そ

の他 7.6%、韓国 5.2%、中国 1.9%の順であった。出願人国籍別の年次推移では、2004

年頃まで米欧の出願件数が顕著であったが、2005 年以降日本からの出願が増加し米欧を

凌ぐ勢いである。

図 4-1 出願人国籍別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率(出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

- 15 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

3,766件

39.4%

米国籍

1,976件

20.7%

欧州国籍

1,668件

17.5%

中国籍

700件

7.3%

韓国籍

1,114件

11.7%

その他

331件

3.5%

合計9,555件

91 119 127 149

203 172

202 231

197

235 258 223

213 228 239

199

354 318 292

471

430

566 562

637 642

578 589 558

472

0

100

200

300

400

500

600

700

0

100

200

300

400

500

198

6

198

7

198

8

198

9

199

0

199

1

199

2

199

3

199

4

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張1986-2014年

2.[出願先:日米欧中韓]出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率

出願人国籍別の出願件数推移と出願件数比率を図 4-2 に示した。出願人国籍別の出願

件数比率は、日本が 39.4%を占め、次いで米国 20.7%、欧州 17.5%、韓国 11.7%、中

国 7.3%、その他 3.5%の順であった。出願人国籍別の年次推移では、日本は 2004 年頃

までは、米欧と同様にほぼ漸増傾向で推移し 2004 年時点で 100 件を僅かに超える出願件

数であった。しかし、2005 年以降急増し、2009 年には 300 件を超える件数となり米欧か

らの出願件数を大きく引き離してトップになっている。しかし、2009 年をピークに漸減

傾向にある。米欧からの出願は 2004 年頃までは漸増し、年により 100 件を僅かに超える

出願件数が見られたが、それ以降 100 件以内でほぼ横ばいで推移している。中国籍出願

人からの出願は、2005 年以降出願件数が増加し、2010 年には米欧とほぼ同数の出願件数

まで増加し、近年は追い越している。韓国籍出願人からの出願件数も 2000 年以降増加傾

向で推移し、2009 年以降は日本に次ぐ出願件数となっている。

図 4-2 出願人国籍別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

- 16 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

124件

10.0%

米国籍

57件

4.6%

欧州国籍

45件

3.6%

中国籍

2件

0.2%

韓国籍

1,005件

80.9%

その他

10件

0.8%

日本国籍

186件

16.4%

米国籍

90件

7.9%

欧州国籍

117件

10.3%

中国籍

673件

59.4%

韓国籍

32件

2.8%

その他

35件

3.1%

日本国籍

223件

12.3%

米国籍

490件

26.9%

欧州国籍

1,001件

55.0%

中国籍

2件

0.1%

韓国籍

13件

0.7%

その他

90件

4.9%

日本国籍

283件

14.3%

米国籍

1,120件

56.6%

欧州国籍

346件

17.5%

中国籍

17件

0.9%

韓国籍

47件

2.4%

その他

166件

8.4%

日本国籍

2,950件

87.3%

米国籍

219件

6.5%

欧州国籍

159件

4.7%

中国籍

6件

0.2%

韓国籍

17件

0.5% その他

30件

0.9%

日本への出願

3,381件

米国への出願

1,979件

中国への出願

1,133件

欧州への出願

1,819件

韓国への出願

1,243件

219件

159件

283件

346件

17件

47件

223件

490件

186件

90件

2件

32件

124件

45件

13件

6件

57件

2件

17件

117件

3.[出願先:日米欧中韓]出願先国別-出願人国籍別出願件数収支

ファインバブル技術について日米欧中韓に対する出願先国別出願人国籍別出願件数収

支を解析し、図 4-3 に示した。日本は、中国、韓国に対して出願件数収支は、支出が収

入より圧倒的に多かった。しかし、米国、欧州に関しても支出が多いが比較的拮抗して

いる。自国出願に対しての他国出願の比率を計算すると、日本は自国への出願に対して

米国へは、10%(=283/2,950)、欧州へは 8%(=223/2,950)、中国へは 6%(=186/2,950)、

韓国へは 4%(=124/2,950)であった。他国出願の比率自体は低いが、米欧中韓にほぼ一

様に出願している。米国からは、日本へは 20%(219/1,120)、欧州へは 43%(=487/1,120)、

中国へは 8%(=89/1,120)および韓国へは 5%(=58/1,120)であった。欧州からは、日

本へは 16%(=159/1,001)、米国へは 35%(=346/1,001)、中国へは 12%(=117/1,001)、

韓国へは 4%(=45/1,001)であった。中国からは、日本へは 1%(=6/673)、米国へは 3%

(=17/673)、欧州へは 0.3%(=2/673)、韓国へは 0.3%(=2/673)であった。韓国から

は、日本へ 2%(=17/1,005)、米国へは 5%(=47/1,005)、欧州へは 1%(=13/1,005)、

中国へは 3%(=31/1,005)であった。日中韓は、自国出願に対して他国出願のそれぞれ

の国への比率は 10%以下のレベルであり、米欧に比べて比率が少ない。

図 4-3 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

- 17 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

85件

8.1%

米国籍

20件

1.9% 欧州国籍

15件

1.4%

中国籍

2件

0.2%

韓国籍

918件

87.8%

その他

5件

0.5%

日本国籍

147件

15.7%

米国籍

45件

4.8%

欧州国籍

52件

5.5%

中国籍

638件

67.9%

韓国籍

28件

3.0%

その他

29件

3.1%

日本国籍

96件

19.9%

米国籍

99件

20.5%欧州国籍

241件

49.9%

中国籍

2件

0.4%

韓国籍

11件

2.3%

その他

34件

7.0%日本国籍

164件

19.3%

米国籍

438件

51.7%

欧州国籍

108件

12.7%

中国籍

15件

1.8%

韓国籍

38件

4.5%

その他

85件

10.0%

日本国籍

2,059件

94.0%

米国籍

56件

2.6%

欧州国籍

43件

2.0%

中国籍

4件

0.2%

韓国籍

15件

0.7%その他

13件

0.6%

日本への出願

2,190件

米国への出願

848件

中国への出願

939件

欧州への出願

483件

韓国への出願

1,045件

56件

43件

164件

108件

15件

38件

96件

99件

147件

45件

2件

28件

85件

15件

11件

4件

20件

2件

15件

52件

直近 10 年(2005~2014 年)における日米欧中韓に対する出願先国別出願人国籍別出願

件数収支を図 4-4 に示した。日本は、調査期間全体に比べて米国、欧州に対しても出願

件数収支は支出が収入より圧倒的に多かった。

図 4-4 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2005-2014 年)

- 18 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

30件

19.5%

米国籍

23件

14.9%

欧州国籍

16件

10.4%中国籍

0件

0.0%

韓国籍

82件

53.2%

その他

3件

1.9%日本国籍

31件

20.1%

米国籍

37件

24.0%

欧州国籍

49件

31.8%

中国籍

31件

20.1%

韓国籍

2件

1.3%

その他

4件

2.6%

日本国籍

63件

8.6%

米国籍

246件

33.7%

欧州国籍

392件

53.7%

中国籍

0件

0.0%

韓国籍

1件

0.1%

その他

28件

3.8%

日本国籍

79件

10.3%

米国籍

473件

61.8%

欧州国籍

136件

17.8%

中国籍

1件

0.1%

韓国籍

6件

0.8%

その他

70件

9.2%

日本国籍

566件

74.9%

米国籍

110件

14.6%

欧州国籍

67件

8.9%

中国籍

2件

0.3%

韓国籍

0件

0.0%

その他

11件

1.5%日本への出願

756件

米国への出願

765件

中国への出願

154件

欧州への出願

730件

韓国への出願

154件

110件

67件

79件

136件

1件

6件

63件

246件

31件

37件

0件

2件

30件

16件

1件

2件

23件

0件

0件

49件

さらに 10 年以前(1995~2004 年)における日米欧中韓に対する出願先国別出願人国籍

別出願件数収支を図 4-5 に示した。日本は、調査期間全体に比べて米国、欧州に対して

出願件数収支は支出が収入より少なく、この期間では逆転していたことが判明した。

図 4-5 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1995-2004 年)

- 19 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

企業

2,804件

74.5%

大学

64件

1.7%

研究機関

34件

0.9%

個人

242件

6.4%

共同出願

622件

16.5%

合計

3,766件

企業

1,329件

67.3%

大学

246件

12.4%

研究機関

71件

3.6%

個人

130件

6.6%

共同出願

200件

10.1%

合計

1,976件

企業

1,277件

76.6%

大学

34件

2.0%

研究機関

72件

4.3%

個人

152件

9.1%

共同出願

133件

8.0%

合計

1,668件

企業

242件

34.6%

大学

203件

29.0%

研究機関

68件

9.7%

個人

90件

12.9%

共同出願

97件

13.9%

合計

700件

企業

495件

44.4%

大学

45件

4.0%

研究機関

96件

8.6%

個人

226件

20.3%

共同出願

252件

22.6%

合計

1,114件

<日本> <米国> <欧州>

<中国> <韓国>

4.[出願先:日米欧中韓、出願人国籍別]出願人属性別出願件数比率

ファインバブル技術に関して出願人国籍別の出願人属性別出願件数比率を図 4-6 に示

した。日本国籍出願人の出願人属性別出願件数比率は、企業が 74.5%と全体のほぼ 3/4

を占めている。次いで共同出願であった。大学や研究機関からの出願比率が低かった。

米国及び欧州も日本と同様に、企業からの出願比率が過半数を占めていた。これに対し

て、中国は企業からの出願比率は 35%程度で大学からの出願比率が非常に高いという特

徴が見られる。韓国も、企業からの出願比率は半数に達せず、その分共同出願や個人か

らの出願比率が高かった。

図 4-6 ファインバブル技術に関する出願人国籍別の出願人属性別出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

- 20 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 技術区分別動向調査

1.[出願先:日米欧中韓]技術区分別出願件数推移

ファインバブル技術の技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別の出願件数

推移を図 4-7 に示した。

ファインバブル発生技術の[1A:ファインバブル発生装置・方法]は、1990~1992 年頃

にかけて一時件数増加の兆候を示したもののその後漸減傾向に転じた。しかし、2000 年

頃から再び増加傾向を示し 2007 年には 151 件の件数まで達した。近年は漸増か横ばい傾

向で推移している。[1B:ファインバブル発生関連装置]も同様の傾向で推移している。

ファインバブル計測技術の[2A:ファインバブル粒径測定法]は 1998~2004 年にかけて

40 件を超える出願件数の年もあったが、それ以降出願件数は少ない。

ファインバブルの種類・材料の[3A:内包気体の種類]は、1996 年頃まで増加した後、

その後漸減傾向を示し、2000 年頃から再び漸増傾向で推移している。[3B:中空マイクロ

カプセル]は 1993 年頃まで増加の兆候を示したが、その後減少してほぼ横ばいで推移し

ていたが、近年増加の兆候がある。

ファインバブル技術の課題・目的の[4A:ファインバブル性状と調製]及び[4B:ファイ

ンバブル発生機器性能]は共に 1992 年頃まで増加傾向を示し、その後漸減傾向になり

2001 年頃から再び全体として漸増傾向で推移している。

[5:ファインバブル技術の解決手段]もおおむね[4A:ファインバブル性状と調製]など

と類似した推移を示した。

ファインバブル応用技術の中で、[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]、[6C:環境分

野]及び[6D:工業分野]の出願件数が多かった。[6A:アグリ/食品分野]は、2000 年以降

増加傾向で推移している。[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]は、1989 年以前及び 2000

~2001 年を除いて 100 件内外の件数が出願されているが全体として横ばいで推移してい

る。[6C:環境分野]及び[6D:工業分野]は、共に 2004 年まで漸増ないしは横ばいで推移

し 2005 年以降件数が急増している。

ファインバブル利用の目的、効果の[7A:ファインバブルの特有性質の効果]及び[7B:

ファインバブルの間接的性質の効果]は共に 1990 年以降出願件数が増加し、しばらく漸

増ないしは横ばい傾向が続いた後 2005 年頃以降から件数が増加している。

- 21 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A:ファインバブル発生装置・方法 25 31 27 20

71 47 77 66 47 42 48 49 28 38 57 35 76 77 79 120 126 151 127 133 109 147 144 217 145

1B:ファインバブル発生関連装置15 7 11 23

26 29 28 34 28 488 17 14 15 21 19

46 50 60 86 56 55 64 60 66 87 95 84 61

1C:ファインバブルの捕獲操作1 4

1D:ファインバブル含有液体

作製システム 1 1 3 1 1 1 7 10 8 9 3 2 10 3

2A:ファインバブル粒径等測定法5 11 13

3516 4 14 17 12 21 19

25 48 42 43 32 40 28 4417 18 20 15 18

25 378

2722

2B:ファインバブル関連測定技術7 2 5 3 4 3

20:ファインバブル計測技術

その他 1

3A:内包気体の種類17 21

26 41 60 82 64 130 118 145 160 87 112 96 105 86 105 110 113 213 192 182 168 188 160 210 240 287 242

3B:中空マイクロカプセル6 17 19 2

52 29 52 74 33 37 319 24 15 24 20

43 41 36 2624

2812 16 23

36 56 4524

30:ファインバブルの種類・材料

その他 1 1

4A:ファインバブル性状と調製18

31 2722

79 49 80 64 40 56 45 56 35 29 53 42 63 45 76 116 129 130 111 143 111 141 169 176 114

4B:ファインバブル発生機器性能18 14 7 23

25 26 41 27 31 2714 23 16

30 2524

40 61 37 100 84 116 80 92 82 96 108 164 126

4C:ファインバブルの測定方法5 11 13

3116 4 14 17 12 21 19

32 48 42 43 31 40 28 4516 17 22 15 20

25 4011

2723

5:ファインバブル技術の解決手段19

27 32 56 72 42 86 65 57 68 59 59 71 74 79 69 111 106 114 157 188 11 102 104 103 148 140 226 161

6A:アグリ/食品分野11 7 7 5 13 12 6 4 7 9 13 4 3 13

2719

42 3019

49 49 58 42 72 79 66 71 77 60

6B:ライフサイエンス/ヘルス分

野 13 1928 72 79 86 129 72 92 140 79 82 73 38 46 157 104 99 95 83 89 92 107 101 89 113 102 76

6C:環境分野17

2522

67 37 37 68 33 42 63 38 3917

66 63 49 58 68 54 135 136 132 154 182 188 186 223 183 157

6D:工業分野 28 40 36 34 52 3022

41 63 42 47 66 58 38 54 49 45 62 59 137 128 177 205 205 224 182 170 114 133

6F:資源/エネルギー分野5 5 11 13 2 1 1 7 2 2 1 8 12 4 9 9 18 7 2 11 11 11 21 18

6G:エンターテイメント分野1 3 1 1 1 1 1 1 2 3 1 2 5 1

60:ファインバブル応用技術

その他 1 1 2 1 4 1 1 1

7A:ファインバブルの特有性質の

効果27 37 44

1896 93 137 164 118 173 159 106 91 131 120 101 204 198 162 292 293 307 270 265 250 282 327 332 246

7B:ファインバブルの間接的性質

の効果44 29 35 25 109 74 125 151 105 120 169 125 116 106 125 84 149 155 112 292 220 316 355 390 451 351 358 279 281

70:ファインバブル利用の目的、効

果 その他 3

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

優先権主張1986-2014年

ファインバブル

発生技術

ファインバブル

利用の目的、効果

ファインバブ

ル計測技術

ファインバブル

の種類・材料

ファインバ

ブル技術の

課題・目的

ファインバブル

応用技術

図 4-7 技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別-出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

- 22 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.[出願先:日米欧中韓]技術区分別-出願人国籍別出願件数

ファインバブル技術の技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別の出願人国

籍別の出願件数を図 4-8 に示した。

ファインバブル発生技術の中で、[1A:ファインバブル発生装置・方法]、[1B:ファイ

ンバブル発生関連装置]は共に日本国籍出願人からの出願件数が最も多く、次いで韓国籍

出願人からの出願件数が続いている。

ファインバブル計測技術の[2A:ファインバブル粒径等測定法]も日本国籍出願人から

の出願件数が最も多く、次いで米国及び欧州がほぼ同数で続いている。

ファインバブルの種類・材料の[3A:内包気体の種類]は、日本国籍出願人からの出願

件数が最も多いが、[3B:中空マイクロカプセル]は、米国籍出願人がトップで、次いで

欧州国籍出願人が続いている。

ファインバブル技術の課題・目的の[4A:ファインバブル性状と調製]、[4B:ファイン

バブル発生機器性能]及び[4C:ファインバブルの測定方法]はいずれも日本国籍出願人か

らの出願件数が最も多かった。

[5:ファインバブル技術の解決手段]も日本が他国を圧倒して出願している。

ファインバブル応用技術は、応用分野により出願人国籍別出願件数の特徴が出ている。

[6A:アグリ/食品分野]は日本からの出願が最も多く、次いで欧州、韓国と続いてい

る。

[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]は、米国からの出願が最も多く次いで欧州であ

った。米欧からの出願件数が他を圧倒している。

[6C:環境分野]及び[6D:工業分野]は、共に日本国籍出願人からの出願件数が最も多

く次いで韓国が続いている。特に、韓国は[6C:環境分野]に集中して出願しており韓国

からの応用分野の全出願件数の約半分となっている。

[6F:資源/エネルギー分野]は、中国籍出願人からの出願件数がトップである。他国

に比べて出願件数が少ない中での結果から、この分野でのファインバブル技術の応用に

注目していることがうかがえる。

- 23 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A:ファインバブル発生装置・

方法1,271 180 304 182 371 51

1B:ファインバブル発生関連

装置710 89 119 113 156

26

1C:ファインバブルの捕獲操

作 1 4

1D:ファインバブル含有液体

作製システム 41 6 6 2 5

2A:ファインバブル粒径等測

定法354 136 138

31 6 11

2B:ファインバブル関連測定

技術 21 2 1

20:ファインバブル計測技術

その他 1

3A:内包気体の種類 1,386 838 625 290 532 89

3B:中空マイクロカプセル 51 430 256 48 36 33

30:ファインバブルの種類・材

料 その他1

1

4A:ファインバブル性状と調製 1,214 208 293 187 302 46

4B:ファインバブル発生機器

性能971 84 122 114 230

36

4C:ファインバブルの測定方

法369 131 140

31 6 11

5:ファインバブル技術の解決

手段1,598 262 414 104 304 64

6A:アグリ/食品分野 412 70 170 69 135 18

6B:ライフサイエンス/ヘルス

分野227 1,098 702 118 65 145

6C:環境分野 1,000 341 323 283 508 84

6D:工業分野 1,464 262 283 168 307 57

6F:資源/エネルギー分野42 48 37

55 3 6

6G:エンターテイメント分野11 3 1 1 5 3

60:ファインバブル応用技術

その他8 3 1

7A:ファインバブルの特有性

質の効果

1,526 1,336 920 398 652 211

7B:ファインバブルの間接的

性質の効果2,014 1,087 814 444 719 173

70:ファインバブル利用の目

的、効果 その他 3

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

技術区分

出願人国籍(地域)

優先権主張1986-2014年

ファインバブル

発生技術

ファインバブル

利用の目的、効果

ファインバブ

ル計測技術

ファインバブル

の種類・材料

ファインバ

ブル技術の

課題・目的

ファインバブル

応用技術

図 4-8 技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別-出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

- 24 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 出願人別動向調査

全調査期間(1986~2014 年)におけるファインバブル技術に関する日米欧中韓への特

許出願について 10 位までの出願人別出願件数上位ランキングを表 4-3 に示した。1 位は

パナソニックで 2 位 GE Healthcare、3 位シャープと続いた。10 位までの上位ランキン

グ中に日本国籍出願人は 6 者、米国籍出願人が 1 者、欧州国籍出願人が 3 者であった。

出願人属性は全て企業であった。

表 4-3 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

順位 出願人 出願件数

1 パナソニック 233

2 GE Healthcare(米国) 217

3 シャープ 191

4 堀場製作所 165

5 Amersham Health(ノルウェー) 135

6 IHI 127

7 Royal Philips(オランダ) 106

8 島津製作所 105

9 トヨタ自動車 86

10 Bracco Suisse(スイス) 78

直近 10 年(2005~2014 年)におけるファインバブル技術に関する日米欧中韓への特許

出願について 10 位までの出願人別出願件数上位ランキングを表 4-4 に示した。表 4-3 の

結果と様相が変わり、1 位はシャープで 2 位パナソニック、3 位トヨタ自動車と続いた。

10位までの上位ランキング中に日本国籍出願人は9者、欧州国籍出願人が1者であった。

すなわち、直近の出願では日本国籍出願人が大きく寄与していることを示している。出

願人属性は研究機関 1 者を除いて全て企業であった。

表 4-4 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2005-2014 年)

順位 出願人 出願件数

1 シャープ 190

2 パナソニック 177

3 トヨタ自動車 86

4 芝浦メカトロニクス 74

5 三菱電機 58

6 Royal Philips(オランダ) 52

7 島津製作所 48

8 日立製作所 38

9 東芝 36

10 産業技術総合研究所 32

- 25 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

シャープ 146 24 4 10 7

パナソニック 215 5 4 6 3

トヨタ自動車 48 11 11 12 4

芝浦メカトロニクス 60 1 7 6

三菱電機 60 1 4

GE Healthcare 35 87 80 7 8

Amersham Health 14 10 90 17 4

Royal Philips 25 34 27 19 1

日本 米国 欧州 中国 韓国

注目出願人

出願先国(地域)

優先権主張1986-2014年

第5節 注目出願人の出願動向調査

注目出願人として、表 4-4 に示した直近 10 年における出願人別出願件数上位ランキン

グの上位 5 位までの出願人、シャープ、パナソニック、トヨタ自動車、芝浦メカトロニ

クス、三菱電機とそれに加えて、表 4-3 に示した調査期間の出願人別出願件数上位ラン

キングの中で上位にランクインしている海外出願人、GE Healthcare、Amersham Health

及び Royal Philips の計 8者を選定してファインバブル技術の特許出願動向を分析した。

注目出願人別の出願先国別出願件数を図 4-9 に示した。日本国籍出願人のうち、トヨ

タ自動車以外、シャープ、パナソニック、芝浦メカトロニクス及び三菱電機は日本への

出願が大半を占めた。シャープ、パナソニック、芝浦メカトロニクス及び三菱電機は全

出願数のうち日本への出願割合は、それぞれ 76%、92%、81%及び 94%であった。トヨ

タ自動車は、他の日本国籍出願人に比べて低く 56%であった。GE Healthcare は、米国

と欧州への出願がほぼ拮抗していた。Amersham Health は、全出願件数の 67%が欧州へ

の出願で、次いで中国、日本と続いている。Royal Philips は、全出願件数の 75%が自

国以外への出願である。

図 4-9 [出願先:日米欧中韓]注目出願人別-出願先国別出願件数(出願年(優先権主張年):1986-2014 年)

- 26 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第6節 注目特許の調査

注目特許の抽出は、ファインバブル技術において現在の発展の切っ掛けとなったファ

インバブル発生技術に関する基本特許と、審査官及び出願人の引用件数の多いライフサ

イエンス/ヘルス分野関係の特許とライフサイエンス/ヘルス分野以外の特許の 3 本立

ての観点で選定した。基本特許を表 4-5 に、被引用件数の多かったライフサイエンス/

ヘルス分野関係の特許上位 5 位までを表 4-6 に、同じく被引用件数の多かったライフサ

イエンス/ヘルス以外の分野における特許上位 5 位までを表 4-7 に整理した。被引用件

数の上位のランキングにある特許は、大部分がヘルスケア関係の診断や治療に利用する

ファインバブルの技術であった。しかも、2000 年以前に出願されたものであった。

表 4-5 ファインバブル技術の基本特許 No 出願番

公開番

公告・登

録番号

優先権

主張年

月日

IPC 分類 発明の名称

(日本語訳)

出願人

出願人

国籍

パテントファミ

リーの出願国

内容及び被引

用特許件数

1 特願昭

59-

165554

特開昭

60-

54725

特公昭

63-

35299

1983/08

/09

B01F3/04;

C02F3/20

マイクロバブ

ル噴射器

アルストム

-アトラン

テイツク

フランス DE、FR、GB、

US

マイクロバブル

の用語を用い

た最初の特許

2

2 特願昭

60-

30257

特開昭

61-

192328

特公平

1-33211

1985/02

/20

B01F3/04;

A21D13/08;

A47J43/12

微細気泡発

生装置

長廣仁蔵 日本 最初のエゼク

ター式微細気

泡発生装置

0

3 特願平

4-

239967

特開平

6-63371

特公平

6-93991

1992/08

/17

B01F5/04;

B01F1/00;

C02F3/20;

F04F5/54

気液溶解混

合装置

IDEC 日本 CN、DE、EP、

KR、TW、

US、WO

エゼクター式に

よる微小気泡

製造装置

65

4 特願

2000-

618002

WO2000

/69550

特許

4420161

1999/05

/15

B01F3/04;

B01F5/04

旋回式微細

気泡発生装

大成博文 日本 AT、AU、DE、

DK、EP、ES、

MY、PT、

TH、TW、

US、WO

20μm 以下の

気泡を工業的

規模で発生す

る装置

13

5 特願

2002-

145325

特開

2003-

334548

特許

4016099

2002/05

/20

C02F1/36;

A61L2/02;

B01J19/10;

C02F1/46

ナノ気泡の生

成方法

産業技術

総合研究

日本 1000nm 未満

の気泡生成確

0

6 特願

2004-

62044

特開

2005-

245817

特許

4144669

2004/03

/05

A61L2/02;

B01F3/04;

B01F11/02;

B01F13/06

ナノバブルの

製造法

産業技術

総合研究

所、REO 研

究所

日本 US、WO 50~500nm 微

小気泡の発生

方法

42

- 27 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-6 ファインバブル技術のライフサイエンス/ヘルス分野関連特許(一部抜粋) No 出願番

公開番

登録番

優先権主

張年月日

IPC 分類 発明の名称(日

本語訳)

出願人 出願人

国籍

パテントファミ

リーの出願国

被引用特

許件数

1 US07/55

0620

US52156

80

US52156

80

1990/07/

10

B01J13/00;

A61K49/00;

A61K9/107;

B01F3/04

マイクロバブル

の医療用脂質コ

ーティング、常磁

性体ラベル化の

方法と治療への

応用

Cavitation

Control

Technology

米国 AT、AU、DE、

EP、US

447

2 US07/22

8475

US49209

54

US49209

54

1988/08/

05

A61B17/32 キャビテーション

力を利用する超

音波デバイス

Misonix 米国 AU、CA、US、

WO

365

3 US08/07

2748

US54253

66

US54253

66

1988/02/

05

A61B8/00 カラードップラー

イメージ用超音

波造影剤

Acusphere 米国 AT、AU、CA、

CN、DK、EP、

ES、FI、GR、

HU、IE、JP、

KR、NO、NZ、

PT、US、WO、

ZA

326

4 US07/13

9576

US48448

82

US48448

82

1987/12/

29

A61K49/00 高濃度に安定化

されたマイクロバ

ブル型超音波造

影剤

GE ヘルス

ケア

米国 AT、CA、CN、

DE、DK、EP、

FI、IE、IL、

JP、KR、NO、

US

325

5 PCT/GB

1991/00

0247

WO1991

/012823

1990/02/

20

A61K9/50;

A61K49/00;

B01J13/20

診断用機器 Delta

Biotechnolo

gy

イギリス DE、EP、ES、

GB、JP、WO

309

表 4-7 ファインバブル技術のライフサイエンス/ヘルス分野以外に関する特許(一部抜粋) No 出願番

公開番

登録番

優先権主

張年月日

IPC 分類 発明の名称(日

本語訳)

出願人 出願人

国籍

パテントファミ

リーの出願国

被引用

特許件

1 US09/54

3065

US64312

82

1999/04/

09

E21B43/10 輪形のシーリン

グ方法

シェル オイ

オランダ AU、BR、CA、

CN、DE、DK、

EP、ID、MX、

NO、NZ、OA、

TR、US、WO、

263

2 US09/37

1589

US61841

11

1998/06/

23

H01L21/42

5

半導体プロセス

における埋め込

みとフイルム分

シリコン ジ

ェネシス

韓国 US 245

3 US08/37

8455

US55590

43

1994/01/

26

H01L21/26

6

半導体板形成

方法

原子力・代

替エネルギ

ー庁

フランス DE、EP、FR、

JP、US

239

4 特願

2002-

288963

特開

2004-

121962

2002/10/

01

B08B3/10;

A01K61/00;

A01K63/04;

A61H23/00,

501;

A61H33/02;

A61L2/02;

B08B3/08;

C02F1/34;

A01G31/00

,601

ナノバブルの利

用方法及び装

産業技術総

合研究所

日本 AU、JP、US、

WO

206

5 US09/63

0531

US64860

08

2000/02/

25

H01L21/00;

H01L21/30

薄膜転移及び

薄膜分離方法

ジョン ウル

フ インター

ナショナル

台湾 JP、KR、TW、

US

192

- 28 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5章 研究開発動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

1.論文の検索方法と調査対象の主要国際誌

論文(非特許文献)を、データベースに Scopus1(Elsevier の登録商標)を用いた検索

により収集した。今回の調査はファインバブル技術を調査対象にしているので、ファイ

ンバブルに関係する所定のキーワードにより構成された検索式により行った。表 5-1 に

非特許文献の検索式を示した。調査期間は、1986~2015 年(発表年)とした。

今回使用した Scopus は国際的な書誌データベースであるため、英語以外の論文、企業

の技術報告書や各国の関連学会会誌など数多くの種類が収録されている。

今回の調査対象の論文誌として、国際的な主要誌に掲載された英文の論文に限定して

調査した。

検索式に従いキーワード検索を実施した。これらのキーワード検索で得られた総検索

数は 7,584 件(=L1)であった。このうち、抄録がないものが 126 件含まれていたので、

それを除いた 7,458 件を読み込み対象文献とした。キーワード検索で得られた非特許文

献を用いて全体動向調査や技術区分別動向調査、研究者所属機関・研究者別動向調査及

び注目論文の変遷の調査など特許文献と同様に詳細解析を実施した。

表 5-1 非特許文献の検索式(DB:Scopus) 集合名 件数 検索式 備考

L1 7,584 TITLE-ABS-KEY(ULTRAFINEBUBBLE* OR FINEBUBBLE* OR

*NANOBUBBLE* OR MICROBUBBLE* OR MINUTEGASBUBBLE* OR

MICROSCOPICBUBBLE* OR "FINE* BUBBLE*" OR "NANO*

BUBBLE*" OR "MICRO* BUBBLE*" OR "ULTRAFINE BUBBLE*" OR

"ULTRAMICRO* BUBBLE*" OR "ULTRANANO* BUBBLE*" OR

"MINUTE* BUBBLE*" OR "NANO* SIZE* BUBBLE*" OR "MICRO*

SIZE* BUBBLE*" OR "NANO* SCALE* BUBBLE*" OR "MICRO*

SCALE* BUBBLE*")

キーワード、書誌事項解析対

検索日:2016 年 9 月 14 日、発行年:1986~2015 年

<対象限定>文献タイプ:Article、出版物タイプ:Journals、言語:English

2.論文の解析方法

非特許文献を用いて全体動向調査や技術区分別動向調査など特許文献と同様に詳細解

析を実施した。

詳細解析は、非特許文献を読み込み今回の調査対象でない非特許文献はノイズとして

除外した。ノイズ落とし後の非特許文献数は、6,332 件であった。技術区分別動向調査は

要約に記載されている技術内容を判別し、特許の場合と同様に表 4-2 に示した技術区分

表による技術区分付与を行った。論文の国籍は、筆頭研究者の所属機関国籍とした。な

お、研究者所属機関別論文発表件数や研究者別論文発表件数を算出する際には、論文に

記載されている全ての発表者をばらばらにして整理し直し、改めてカウントした。

1 Elsevier 社が提供する世界最大規模の書誌データベース

- 29 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

25 26 24 21 27 32 39 46 52 60 73

108

85 92

141 130 164 160

179

251 269 294

316

373

428

515 552

604 572

674

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0

100

200

300

400

500

198

6

198

7

198

8

198

9

199

0

199

1

199

2

199

3

199

4

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

201

5

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年1986-2015年

日本国籍

736件

11.6%

米国籍

1,807件

28.5%欧州国籍

1,845件

29.1%

中国籍

840件

13.3%

韓国籍

145件

2.3%

その他

959件

15.1%

合計6,332件

第2節 全体動向調査

研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数比率

ファインバブル技術に関する論文について、研究者所属機関国籍別論文発表件数推移

及び論文発表件数比率を図 5-1 に示した。論文の発表件数推移は、年により増減は見ら

れるものの全体として右肩上がりで増加している。調査期間当初から米国及び欧州から

の発表が多く、近年は中国からの発表件数の伸びが著しい。1986~2015 年の全期間での

論文発表件数比率は、欧州が 29.1%で、次いでほぼ同率で米国が 28.5%で続いている。

日本は、欧州、米国、中国に次いで 4 位であった。

図 5-1 研究者所属機関国籍別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(論文発表年:1986-2015年)

- 30 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 技術区分別動向調査

1.技術区分別論文発表件数推移

ファインバブル技術の技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別の論文の発

表件数推移を図 5-2 に示した。

ファインバブル発生技術の[1A:ファインバブル発生装置・方法]は、2005 年以降発表件

数が増加している。

ファインバブル計測技術は、近年漸増兆候が見られるが発表件数が少ない。

ファインバブルの種類・材料の[3A:内包気体の種類]及び[3B:中空マイクロカプセル]

は、共に 2005 年に件数が急増し、それ以降漸増傾向で推移している。

ファインバブル技術の課題・目的の[4A:ファインバブル性状と調製]も 2005 年以降年

により増減があるものの漸増傾向にある。

[5:ファインバブル技術の解決手段]は件数自体が少ないが、近年、漸増の兆候を示し

つつ推移している。

ファインバブル応用技術の中で、[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]が他の分野に

比べて圧倒的に発表件数が多く、しかも増加傾向であった。図 4-5 に示した特許の出願

件数推移では、[6C:環境分野]や[6D:工業分野]の件数が 2005 年以降では、[6B:ライ

フサイエンス/ヘルス分野]を上回る結果であった。

ファインバブル利用の目的、効果の[7A:ファインバブルの特有性質の効果]及び[7B:

ファインバブルの間接的性質の効果]は共に[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]とほぼ

同様の件数推移の挙動であった。

- 31 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A:ファインバブル発生

装置・方法 1 1 2 4 2 1 1 1 3 1 1 2 2 2 5 16 33 33 42 45

26 46 57 37

31 44

1B:ファインバブル発生

関連装置 2 1 1 2 1 4 8 6 4 8 6 5 8 4 2 3

1C:ファインバブルの

捕獲操作 1 1 2 4 1 2

1D:ファインバブル含有

液体作製システム 2 1

10:ファインバブル発生

技術 その他 1 1 1 3 2 1

2A:ファインバブル

粒径等測定法 1 1 2 1 1 1 1 2 1 2 1 2 5 2 7 7 9 5 6 5 13 11 18 14 4

2B:ファインバブル関連

測定技術 2 1 1 1 1 2 1 1 4 2 10 9 14 13 8 9 17 15 11 8 24

20:ファインバブル計測

技術 その他 1 1 1 1

3A:内包気体の種類2 3 1 6 5 5 11 13 10 10 15 14 9 16 15 15 8 11

67 76 93 96 99 84 114 118 122 157 88

3B:中空マイクロカプセル1 3 1 2 5 1 7 6 10 17 7 6 10 18 8 5 10

76 88 106 95 112 92 119 103 139 123 112

30:ファインバブルの

種類・材料 その他 1 1 1 2 10 5 9 34 28 2

4A:ファインバブル

性状と調製 6 2 1 4 5 4 8 5 10 7 10 14 12 13 13 12 12 13 21 3452 53 62 62 82 140 121 92 88 104

4B:ファインバブル

発生機器性能 1 1 5 4 4 8 9 3 6 7 10 3 5

4C:ファインバブルの

測定方法 3 1 1 2 1 2 2 1 1 3 1 3 4 3 1 9 4 18 17 12 16 16 13 25 26 27 22 27

5:ファインバブル技術の解決手段1 1 1 1 3 1 1 1 2 2 1 2 4 1 7 11 16 17 13 11 16 15 20 29 18

6A:アグリ/食品分野1 1 1 1 1 3 2 1 3 4 3 3 1 1 7 4 6 6 6 12 10 17 10 11

6B:ライフサイエンス/

ヘルス分野 11 15 14 15 18 23 26 2936 46 60 98 66 66 109 99 140 121 141 185 195 207 201 246 327 366 390 441 409 446

6C:環境分野4 5 9 3 2 4 2 4 5 5 2 9 10 4 6 6 2 4 5 8 7 13 11 20 25 27

4929 30

48

6D:工業分野2 6 3 2 6 4 8 10 11 4 7 4 7 13 18 14 12 20 18 25 23 26

36 42 53 62 72 64 83 88

6F:資源/

エネルギー分野 5 1 1 2 1 1 2 1 1 1 2 1 2 4 8 7 4 7 8 12 16 14

6G:エンターテイメント

分野 1

60:ファインバブル応用

技術 その他 1 1 2 1 3 3 3

7A:ファインバブルの

特有性質の効果 14 15 19 13 16 17 26 30 3342 48 88 61 62 102 80 121 98 121 195 204 217 221 259 326 377 409 413 384 479

7B:ファインバブルの

間接的性質の効果 12 17 18 14 13 21 27 32 34 3447 71 46 46 84 66 75 68 80 85 96 106 116 163 302 324 339 289 321 445

70:ファインバブル利用の

目的、効果 その他 1 1 1 1 1 1 1 2 5 1 4 3

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

技術区分

論文発表年

論文発表年1986-2015年

ファインバブル

発生技術

ファインバ

ブル利用の

目的、効果

ファインバブル

計測技術

ファインバ

ブルの種

類・材料

ファインバブ

ル技術の課

題・目的

ファインバブル応用技術

図 5-2 技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別-論文発表件数推移(論文発表年:1986-2015 年)

- 32 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.技術区分別-研究者所属機関国籍別論文発表件数

ファインバブル技術の技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別の研究者所

属機関国籍別の論文発表件数を図 5-3 に示した。

ファインバブル発生技術の[1A:ファインバブル発生装置・方法]は、欧州からの発表件

数が最も多く、次いで僅差で米国、日本、中国と続いている。

ファインバブル計測技術も欧州からの発表件数が最も多く、次いで米国、日本、中国

の順であった。

ファインバブルの種類・材料の[3A:内包気体の種類]は、欧州からの件数が最も多く、

次いで米国、日本であった。しかし、[3B:中空マイクロカプセル]は欧州とは僅差で米

国がトップであった。

ファインバブル技術の課題・目的の[4A:ファインバブル性状と調製]は、欧州からの

発表件数が最も多く、僅差で米国が続いた。

[5:ファインバブル技術の解決手段]は、件数自体が少ないが欧州、米国の順であった。

ファインバブル応用技術の中で、[6A:アグリ/食品分野]は日本からの発表がトップ

であった。

[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]は、米国からの発表が多く、僅差で欧州が続い

た。一方、[6C:環境分野]及び[6D:工業分野]は、欧州がトップを占め、次いで米国であ

った。

[6F:資源/エネルギー分野]は、米国と中国の発表が多く図 4-6 に示した特許の出願

人国籍別の出願件数の結果と類似している。

- 33 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A:ファインバブル発生装置・

方法76 85 116 70

10 82

1B:ファインバブル発生関連

装置

9 11 22 8 15

1C:ファインバブルの捕獲操

作1 5 2 3

1D:ファインバブル含有液体

作製システム2 1

10:ファインバブル発生技術

その他1 2 4 1 1

2A:ファインバブル粒径等測

定法

16 34 32 15 2 21

2B:ファインバブル関連測定

技術

28 28 39 22 4 33

20:ファインバブル計測技術

その他1 2 1

3A:内包気体の種類 231 296 330 183 35

198

3B:中空マイクロカプセル 114 401 384 212 19

151

30:ファインバブルの種類・材

料 その他

5 24 23 22 2 17

4A:ファインバブル性状と調製 150 264 276 147 27

196

4B:ファインバブル発生機器

性能

11 15 15 11 1 13

4C:ファインバブルの測定方

45 65 66

36 5 49

5:ファインバブル技術の解決

手段

31 43 47 27 3 43

6A:アグリ/食品分野40 17 28 5 9 16

6B:ライフサイエンス/ヘルス

分野445 1,446 1,394 590 83 572

6C:環境分野 58 59 73

42 21 91

6D:工業分野 103 145 166 120 29

165

6F:資源/エネルギー分野8 22 14 20 3 33

6G:エンターテイメント分野1

60:ファインバブル応用技術

その他

4 1 5 3 1

7A:ファインバブルの特有性

質の効果490 1,332 1,309 620 98 615

7B:ファインバブルの間接的

性質の効果390 954 954 443 76 535

70:ファインバブル利用の目

的、効果 その他2

10 4 2 4

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

技術区分

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年1986-2015年

ファインバブル

発生技術

ファインバブ

ル利用の目

的、効果

ファイン

バブル計

測技術

ファインバ

ブルの種

類・材料

ファインバ

ブル技術の

課題・目的

ファインバブル応

用技術

図 5-3 技術区分(大分類 5 以外の中分類及び大分類 5)別-研究者所属機関国籍別論文発表件数(論文発表年:1986-2015 年)

- 34 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 研究者所属機関・研究者別動向調査

ファインバブル技術に関する発表件数 10 位までの研究者所属機関別ランキングを表 5-2

に示した。1 位と 2 位は、米国の大学であった。10 位までのランキング中、米国が 4 者、

欧州が 3 者、中国が 2 者、その他は 1 者であった。日本は 10 位までにランクインしなかっ

た。表 4-3 に示した特許の出願人別出願件数ランキングの属性と異なり、企業は上位にラ

ンクインしておらず大学と研究機関が占めていた。

表 5-2 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:1986-2015 年) 順位 研究者所属機関 論文件数

1 カリフォルニア大学(米国) 205

2 バージニア大学(米国) 170

3 トロント大学(カナダ) 160

4 トゥウェンテ大学(オランダ) 112

5 ミシガン大学(米国) 105

6 Imperial College London(イギリス) 102

7 エラスムス・ロッテルダム大学(オランダ) 99

8 中国科学院(中国) 85

9 ネブラスカ大学(米国) 77

10 重慶医科大学(中国) 76

表 5-3 には、ファインバブル技術に関する研究者別論文発表件数上位ランキングを示し

た。1 位はオランダの研究者であった。2 位から 4 位まで米国の研究者がランクインした。

研究者の発表した論文の技術区分の分析から、上位にランクインしているほとんどが[6B:

ライフサイエンス/ヘルス分野]に従事している研究者である。

表 5-3 研究者別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:1986-2015 年) 順位 研究者 所属機関 論文件数

1 De Jong, N エラスムス・ロッテルダム大学(オランダ) 86

2 Dayton, P.A ノースカロライナ大学(米国) 84

3 Kaul, S バージニア大学(米国) 79

4 Klibanov, A.L バージニア大学(米国) 69

4 Lindner, J.R バージニア大学(米国) 69

6 Porter, T.R ネブラスカ大学(米国) 65

6 Wang, Z 重慶医科大学(中国) 65

6 Zhang, Y 中国科学院(中国) 65

9 Stride, E University College London(イギリス) 61

10 Lohse, D トゥウェンテ大学(オランダ) 54

- 35 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5節 注目論文の変遷の調査

被引用件数ランキングにおける上位の論文を注目論文としてファインバブル技術の変

遷を時系列的に整理した。その結果を図 5-4 に示した。

図 5-4 注目論文の変遷

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第6章 総合分析と提言

第1節 調査分析結果のまとめ

ファインバブル技術は、我が国が世界に先行して研究開発を行っている技術であり、幅

広い産業分野で利用される可能性を秘めている。日本の企業、研究機関及び大学が精力的

に研究開発、技術開発を行っているが、ファインバブル技術を核とする革新的な商品が創

出されるまでには至っておらず本格的な市場が形成されていないのが現状である。

特許出願動向調査の結果から、ファインバブル発生技術、ファインバブル計測技術及び

ファインバブル応用技術の各分野の技術開発は、日本は 2005 年~2010 年頃の勢いに比べ

て若干の陰りが見られるものの米欧中韓に比べて依然優位な位置にある。ただし、中国及

び韓国が近年猛追してきている。ファインバブル技術は、産業利用の前提となる用語・定

義、測定方法などの国際基準が確定しておらず、国際的な製品・技術の普及を図る上で課

題となっていたが、我が国を幹事国とする新たな専門委員会(TC)設立が 2013 年に正式に

承認された。今後、技術開発と並行して国際標準化が整備されていき、ファインバブル技

術の開発・普及が急速に進むと考えられる。今後、我が国が技術開発における優位性を維

持してリーダーシップを取ってファインバブル技術の産業を創出するためには一層の効率

的な開発が必要である。市場情報を的確に把握しながら、ファインバブル技術を核とする

新たな機能を具備した商品を他国に先駆けて市場に投入する商品開発力も重要である。

第2節 日本企業等が取り組むべき課題、目指すべき技術開発・知的財産の方向性

1.取り組むべき課題

ファインバブル技術は日本が世界に先行して見いだした革新技術であり、しかも製造、

利用、応用の各分野にわたって技術開発を行ってきており新しい産業創出に向けて積極

的な取組を実施している。また、我が国は国際標準化において国際幹事国となるなど海

外に比べて産業創出に向けて優位な位置を占めている。しかし、ファインバブルの機能、

効果等についての原理や機構が科学的に十分に解明できておらず技術自体がいまだ発展

途上の段階である。同様に、ファインバブル技術を核とする革新的な商品が創出される

までには至っておらず本格的な市場がいまだ形成されていない状況である。

今までファインバブルの技術開発は企業、大学、研究機関等でそれぞれの技術的蓄積

や技術情報を基に実施してきたため、技術開発の発展の前提となる共通の技術データベ

ースの構築や標準作成等の産業基盤構築が進んでおらず産業としての技術開発の効率化

に問題を残していた。すなわち、関係各社がバラバラに事業を展開してきたため、市場

からの信頼を十分に得られず、しかも技術成果の広がりがないためイノベーションも生

まれにくい状況にあった。したがって、今後は発生機メーカー、計測器メーカー及び応

用分野に携わっている企業などが協業して、しかもそれらの関連の研究機関、大学など

と協力して綿密な連携の下でそれぞれの分野で蓄積された技術経験や知恵を結集して研

究開発、技術開発を実施することが取り組むべき課題であると考えられる。

今後、国際標準化が整備され技術データベースの共通化が進み、また、計測技術等の

著しい進歩により今まで未解明であった機構などの科学的解明が進み技術開発が大きく

前進して産業化が加速するものと期待される。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.目指すべき技術開発や知的戦略の方向性

(1)産業競争力強化の取組について

<連携の強化>

日本はファインバブルの技術開発で先行しているが、今後もその地位を確保し世界市

場でリーダーシップを取るためには、発生機メーカー、計測器メーカー及び応用分野に

携わっている企業間における業種を超えた協業あるいはそれらに関連する研究機関、大

学などが協力してオールジャパンの体制で効率的に開発に取り組んでいく必要がある。

また、我が国におけるファインバブル技術の利用は地方主導で進展しつつあることか

ら、更なる展開の加速化に向け、ファインバブル技術の研究・開発を進めてきている地

方の大学や高専が、地方企業や地方産業の関係団体と連携し、地場産業のニーズを掘り

起こし共同で開発を進めるなど中心的な役割を果たすことが一層求められる。

ファインバブル技術は、我が国が世界に先行して技術開発を行っている技術であり、

当該技術は、幅広い産業分野で利用される可能性を秘めている。日本は、技術開発に

おいて先頭を行っており(図 4-2 及び図 4-8)、しかも国際標準化において国際幹事国

(図 3-1)となるなど海外に比べて産業創出に向けて有利な位置を占めている。今後、

その優位性を維持して我が国がリーダーシップを取って世界市場を醸成するためには

発生機メーカーと計測器メーカー及び応用分野に携わっている企業との連携など企業

間の協業を通して効率的に開発に取り組んでいくことが重要である。ファインバブル

発生装置の構造や求められる機能などはそれぞれの応用産業の用途目的によって全く

異なるものと予想され、発生機メーカーにとってもきめ細かな対応が必要となる。フ

ァインバブル発生装置をシステムの一部として捉え、発生機メーカーや計測器メーカ

ー及び応用分野側の企業が設計段階から意思疎通を図って最適のシステムを提供する

ために連携することが開発を効率的に進めるために重要であると思われる。特許出願

動向調査における日本国籍出願人の出願人属性別の調査結果によれば、共同出願の出

願件数比率は韓国に次いで 16.5%と高い比率を示している。また、共同出願の出願件

数推移も上昇基調にある(図 4-6)。

企業間の協業に加えて、研究機関や大学からのサポートも効率的に開発を進める上

で極めて重要である。ファインバブルの機能や効果等について物理的、化学的メカニ

ズムが十分に解明できているとはいえず今後も基礎的な研究開発の継続した進展が必

要である。しかしながら、特許出願動向調査における日本国籍出願人の出願人属性別

の調査結果では、大学からの出願は 1.7%と他国に比べて少なかった(図 4-6)。研究

開発動向調査の結果からも研究開発は海外に比べて必ずしも優位であるとはいえず、

日本は発表件数では欧州、米国、中国に次いで 4 位であった(図 5-1 及び図 5-3)。

研究開発の分野でも国際的なイニシアチブを取るためには、ファインバブル技術に

関する研究とその成果の発信を活性化する方策を考える必要がある。ファインバブル

に関連する応用産業、それを支えるサイエンスは様々な産業分野と広範な学術分野に

またがっている。学術分野を例にとれば、ファインバブルの現象を科学的に説明する

ためには、物理、数学、農学、医学、薬学、化学など従来の垣根を超えた分野からのア

プローチや知見が必要になっている。例えば、[6B:ライフサイエンス/ヘルス分野]

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要約

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第4部

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資料編

第6部

は、特許出願件数(図 4-8)でも論文発表件数(図 5-3)でも日本は欧米に比べて件数

は少なく、従来の研究対象であった超音波造影剤を用いた診断技術では後れをとった

が、超音波造影剤の次のターゲットである、気泡を薬液や遺伝子のキャリアとして利

用する将来のファインバブル技術を用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)や遺伝

子デリバリーシステムの研究に関して日本は健闘している(図 5-4)。この分野は、医

学、薬学に加えて物理や化学、工学など他の分野との連携が極めて重要であることか

ら、そのような連携の強化により現在まで診断の分野で後れをとってきたライフサイ

エンス分野におけるファインバブル応用についても将来的な競争力確保の可能性が見

込まれる。このような観点から今までの産業分野や学術分野を超えてファインバブル

関連の技術で横断した新しい情報交換の場の必要性が唱えられ、2015 年に学術的取組

のための「ファインバブル学会連合」が創設された。信頼できる情報交換と定量的な

科学議論のプラットフォームが整備されつつあり、ファインバブル技術の発展に貢献

するものと期待されている。

また、本調査において、ファインバブル技術は、例えば、[6A:アグリ/食品分野]に

広く利用されており、我が国は[6A:アグリ/食品分野]に関して特許出願件数、論文

発表件数とも他の国に比べ最も高いことが確認されている(図 4-8、図 5-3)。

今後ファインバブル技術を農産物の洗浄や生育促進、水産物の鮮度保全などにさら

に利用することにより、地場産業の活性化、ひいては我が国が推進する「地方創生」に

繋がることが期待される。そのためには、ファインバブル技術の研究・開発を進めて

きている地方の大学や高専が、その技術の有効性を情宣すると共に地方企業や地方産

業の関係団体と連携し地場産業のニーズを掘り起こし共同で開発を進めるなど今後も

中心的な役割を果たすことが一層求められる。また、我が国におけるファインバブル

技術の利用は地方主導で進展しつつあり、その関連産業は中小、中堅企業が多数を占

めることから、国や地方自治体といった行政からの支援が展開の加速化を可能にする。

<国際標準化>

我が国主導で国際標準化の整備が進められているが、これにより市場におけるファ

インバブル技術(商品・サービス)について、優劣が明確化し、利用者(消費者)に信

頼される市場の形成が促進される。そして、この国際標準化の整備と技術開発とを連

動させることにより、我が国に有益かつ健全な産業発展を目指す。

ファインバブル技術は様々な進展があるものの、そもそもファインバブルとは何か

という定義や用語が明確でなかった。気泡サイズ、気泡数密度、又は液体やガスの種

類、液中の滞在時間といった特性や一般原則を国際規格化しない限り、ステークホル

ダーが共通の言語をもって議論、開発することができない。また、様々な計測方法が

開発されてきているが、市場の混乱を避けるためにファインバブルを含んだ系の各種

特性の計測における条件や準備等も国際規格で明確にする必要があった(図 3-2)。さ

らに、多岐にわたる応用分野も、それぞれの応用分野の固有の条件や評価方法を明示

しないと、ユーザーが安心してファインバブル技術を利用することができないという

問題もあった。我が国の技術である光触媒に先例があるように国際標準化を通じてま

がい物を排除し、怪しい技術という疑念を払拭して、ファインバブル技術をその関連

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要約

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第4部

第5部

資料編

第6部

市場全体とともに健全に進歩、発展させていくことが重要である。このような状況を

背景に経済産業省は「トップスタンダード制度」を新設し、日本が得意とする分野に

おいて新たな国際規格を迅速に作り、新産業を創出し日本産業復活のきっかけを作ろ

うとしている。その最初のケースの一つとして選択されたのが、ファインバブル技術

であり、ファインバブル技術の研究開発と研究開発当初から同技術の国際標準化を見

据えた戦略的な取組の推進を図ってきている。技術的な強みを有するファインバブル

技術に関して専門委員会の設置を提案し、2013 年 6 月に ISO(国際標準化機構)で、

新たな専門委員会(Technical Committee/以下、TC)を設置することが承認され日本

が本 TC の国際幹事国となった。これにより我が国がファインバブル技術の国際標準化

を先導していく体制が確立した。標準化規格が急速に整備され、それに基づき同じベ

ースで技術の比較評価ができることから今後技術開発が一層加速するものと思われる。

標準化規格は市場に登場してくる技術の優劣を明確にする方法論を提供することにあ

り、技術開発と国際標準化の両輪をうまく稼働させることで健全な産業発展が可能に

なると思われる。同時に、国際標準化をグローバル市場の展開の重要な戦略の一つと

して位置付け、我が国の産業発展に有効な国際規格を作りグローバル市場の制覇を

着々と進めていく視点が必要である。

(2)知的財産戦略について

ファインバブル技術の韓国及び中国からの特許出願件数は、近年、急速に増加してお

り、技術開発の方向などが日本のそれと重複していることから、将来、強力な競合相手

となる可能性が高い。また、ファインバブル技術がグローバルな市場での展開の可能性

が高い技術であることからも、今後も我が国が市場での優位性を発揮するためには、知

的財産権の保護や強化が極めて重要であり、我が国からの技術流出を防止する対策を講

ずる必要がある。さらに、韓国や中国などの海外企業による市場への将来的な新規参入

を想定すると、我が国に有益な国際規格制定に向けた取組みは非常に重要であり戦略的

に行う必要がある。そのためには、技術内容や技術分野に応じた柔軟なオープンクロー

ズ戦略をとるとともに、我が国に有益な国際規格制定に向けた取組みと連動した知財活

動を取り進める必要がある。

出願人国籍別出願件数推移において、日本国籍出願人の出願件数は 2005 年以降急増し

たが 2009 年をピークに漸減傾向を示している。これに対して韓国及び中国からの出願は

日本よりも立ち上がりが遅かったものの順調に増加しており、近年は日本を凌ぐ勢いに

ある(図 4-2)。また、技術区分別の出願件数を比較しても日本とほぼ同様の技術分野に

特許を出願しており(図 4-8)、将来、強力な競合相手となる可能性がある。また、研究

開発においても中国は日本を上回る数の論文を発表しており、近年増加傾向にある(図

5-1)。政策動向調査では、韓国で 2015 年 10 月に韓国環境工学会によるファインバブル

技術のシンポジウムが開催された以外、韓国や中国におけるファインバブル技術に関す

る具体的な科学技術政策や国家プロジェクトの情報は把握できなかった。しかし、2016

年 3 月には韓国でファインバブル産業会が設立されたとの情報もあり、今後はファイン

バブル技術に関する業界団体や学会の動向や科学技術政策、産業政策を注視する必要が

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第5部

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第6部

あると思われる。

また、ファインバブル技術は、医療画像用や水処理ビジネスの応用産業のようにグロ

ーバルな市場での展開の可能性が高い技術である。このことからも、今後も我が国が市

場での優位性を発揮するためには知的財産権の保護や強化が極めて重要であり、我が国

からの技術流出を防止する対策を講ずる必要がある。そのためには、オープンクローズ

戦略に基づき自社の持つコア技術領域を選別して、クローズ化すべき技術についてはさ

らにノウハウとして秘匿するのか知的財産として占有化を図るのか判断して対応する必

要がある。例えば、製品などノウハウ化するのが困難なものは特許出願し、製造技術な

どは必ずしも特許出願しないで秘匿化することもあり得る。秘匿化する場合は漏洩防止

のための情報管理が重要となる。一方、計測機器などは特許取得をすることで逆に普及

を阻害する要因になる場合もありオープン化が一般的である。さらに、特許戦略と同時

に前項で述べた国際標準化との関連性を認識する必要がある。韓国や中国などの海外企

業による市場への将来的な新規参入を想定すると、我が国に有益な国際規格制定に向け

た取組みは非常に重要であり戦略的に行う必要がある。国際標準化はオープンクローズ

戦略のオープンに関係するもので誰もが使わざるを得ない技術規格とするものである。

標準化活動は自分に有利な規格を採用してもらう活動であるから知財活動と連動させた

戦略が肝要である。

このように技術内容や技術分野に応じた柔軟なオープンクローズ戦略をとるとともに、

我が国に有益な国際規格制定に向けた取組みと連動した知財活動を取り進める必要があ

る。また、その際には技術開発における協業先などの関係者間において知的財産戦略の

考えを共有しておくことも重要である。