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平成 27 年度中小企業等産業公害防止対策調査 「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」 報 告 書 平成 28 年 3 月 九 州 経 済 産 業 局 平成 27 年度中小企業等産業公害防止対策調査

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平成 27年度中小企業等産業公害防止対策調査

「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」

報 告 書

平成 28 年 3 月

九 州 経 済 産 業 局

平成 27年度中小企業等産業公害防止対策調査

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≪目 次≫

第 1 章 調査の背景と目的及び実施概要

1-1 調査の背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-2 調査の実施概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第 2 章 九州管内の公害防止技術を含む環境関連分野の中小企業の概況

2-1 九州の概況及び九州管内の産業の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2-1-1 九州の地理的な特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2-1-2 九州の人口・面積・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2 1-3 九州の産業の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2-1-4 九州の主な産業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

2-1-5 九州の環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

2-2 全国及び九州管内の環境関連産業の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・12

2-2-1 全国の環境関連産業の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

2-2-2 九州における環境産業の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

2-3 九州管内の大学が実施する環境関連分野の委託研究・共同研究実績・・・・・35

2-4 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

第 3 章 九州管内の公害防止等技術を持つ環境関連分野の中小企業の

現状と課題

3-1 アンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

3-1-1 調査概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

3-1-2 調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

3-2 ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

3-2-1 調査概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

3-2-2 調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

3-3 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82

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第 4 章 九州管内の自治体・支援機関による環境関連企業支援等の取組の

現状と課題

4-1 アンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

4-1-1 調査概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

4-1-2 調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85

4-2 ヒアリング調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90

4-3 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92

第 5 章 九州の環境関連分野における特徴・強み及び課題

5-1 環境関連分野における九州の特徴・強み・・・・・・・・・・・・・・・・・94

5-2 環境関連分野における九州の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94

5-3 課題の要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95

第 6 章 環境関連分野の競争力強化のための方策

6-1 環境関連分野の競争力強化の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

6-1-1 九州の特徴を生かした展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

6-1-2 既存の産業基盤の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99

6-2 環境関連分野の競争力強化のための取組のあり方・・・・・・・・・・・・・100

≪資料編≫

資料 1 アンケート調査票

資料 2 委員会開催概要

資料 3 セミナー開催概要

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第 1 章 調査の背景と目的及び実施概要

1-1 調査の背景と目的

九州は、炭鉱をはじめとする鉱山開発が活発に行われた地域であり、また重工業が古く

から発達したことで知られる地域である。かつて、これらの産業の成長にともなう深刻な

環境汚染と公害問題を経験したが、これらの問題を克服していく過程から、公害防止等技

術・ノウハウを蓄積し環境関連産業が成長した。環境関連分野は、現在でも九州における

重要な戦略分野の 1つである。

本調査では、九州管内の公害防止等技術を含めた環境分野の中小企業の取組、自治体の

支援策や取組について調査し必要な施策を検討・実施するとともに、中小企業や自治体の

優れた取組等について広く情報提供し、他の企業や自治体における新しい取組につなげて

いくことで、公害防止分野等の九州における競争力を強化し、九州の産業公害防止を図る

ことを目的に実施した。

1-2 調査の実施概要

本調査では、九州の産業、環境関連産業の特徴の整理や分析などを目的とした「文献調

査」と環境関連企業の実態把握及び自治体・支援機関の支援取組の実態把握や、事例集作

成に向けた先行事例調査を目的に「アンケート調査」「ヒアリング調査」を行い、これらの

結果をもとに「委員会」を開催し課題の分析や方策の検討を行った。

図 1-1 本調査の実施フロー

報告書 事例集

文献調査

・九州の産業、環境関連産業の現状の整理と分析

アンケート調査 ヒアリング調査

・環境関連企業の実態の把握・自治体・支援機関による支援の取組の把握・先行事例調査

委員会

・課題分析 ・方策検討

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第 2 章 九州管内の公害防止技術を含む環境関連分野の中小企業の概況

2-1 九州の概況及び九州管内の産業の概況

2-1-1 九州の地理的な特徴

(1)地理的な特徴

九州は、日本列島の西側に位置し、主要 4 島で最も西に位置し大陸に近い九州本島と、

無人島を含む多数の島により構成されており、総面積は 42.193km2である。また、多数の離

島に加えて、大村湾(長崎県)、鹿児島湾(鹿児島県)などの内湾域がある長崎県や鹿児島

県は海岸線の総延長が長い県であり、都道府県別順位では上位 3 位以内に入っている(出

典:環境省「環境統計集」、平成 25年 3月 31 日現在)。

九州は、九州本島の 11 の活火山と、離島部を含めると 17 の活火山が活動しており(出

典:気象庁「九州の活火山」)、これにより大分県や鹿児島県は温泉の湧出量が全国的にも

多い県である(出典:環境省「環境統計集」、平成 26年 3月末現在)。

九州はその西側が東シナ海、南側が太平洋に面し、対馬海流、日本海流(黒潮)という 2

つの暖流に挟まれた全般に温暖な気候である(出典:福岡管区気象台「九州・山口県の気

候変動監視レポート 2014」)。

(2)交通網

1)航空網

九州は、沖縄地域を除くと日本列島の西端に位置し、首都圏とは約 800km(大分県)~

1,000km(鹿児島県)、近畿圏とは 400km(大分県)~600km(鹿児島県)離れている(出典:

国土地理院、都道府県庁間の最低距離。首都圏は東京都庁、近畿圏は大阪府庁を起点とし

た場合)。このため、これらの都市圏への輸送手段として航空機が有力な交通手段であり、

九州各県の主要空港の航空路線網は、東京行き、大阪行きの路線が中心となっている。

2)高速道路網

九州各県(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の 7 県)を結ぶ高速道路網が、

福岡~熊本~鹿児島を南北に結ぶ九州自動車道、長崎~鳥栖~大分を東西に結ぶ長崎、大

分両自動車道、そして今年度一部地域を除いた区間で開通した東九州自動車道を中心とし

たネットワークが構築されており、物流の中心的なインフラとなっている。九州の中央部

が九州山地をはじめとした山地で遮る形となっており、これらを避ける形で主要な交通網

が構築されている。

2-1-2 九州の人口・面積

九州経済産業局「九州経済の現状 2015 年 秋」(2015)によると九州の面積は 42.233 km2

(対全国比 11.2%)、人口は 1,322 万人(対全国比 11.3%)である。面積、人口共に概ね全

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国比で 10%程度の水準である。九州各県の県庁所在地間の直線距離を表 2-1 に示す。九州北

部~九州中部は比較的近いが、九州の南部との距離が離れているという特徴がある。

表 2-1 九州各県の県庁所在地間の直線距離の一覧(単位:km)

福 岡 福 岡

佐 賀 41.1 佐 賀

長 崎 108.2 68.7 長 崎

熊 本 95.5 65.7 81.5 熊 本

大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分

宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎

鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4 210.8 90.8 鹿児島

(出典:国土地理院資料より作成)

2 1-3 九州の産業の概況

(1)域内総生産額

九州の域内総生産額(平成 24 年度、名目)は 43 兆 6,765 億円であり、全国における域

内総生産額の 8.7%である。主な内訳は、工業(製造品出荷額等)が 22.0 兆円(全国比 7.3%)、

商業(商業販売額)が 35.0 兆円(全国比 7.1%)、農業(農業産出額)が 1.7 兆円(全国比

19.5%)である。全国に対する九州のシェアに関する各種指標を図 2-1 に示す。

九州では、鋼船竣工実績総トン数(31.7%)、IC 生産額(27.9%)、農業産出額(19.5%)、

漁獲総量(14.2%)、粗鋼生産量(14.4%)、自動車生産(13.3%)の全国比が、総人口(10.3%)

の全国比を上回るなど、これらの産業の地域経済への影響力が全国の他地域より高いとい

う特徴がある。

図 2-1 全国に対する九州のシェア

(出典:九州経済産業局「九州経済の現状 2015 年 秋」(2015))

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(2)事業所数・従業者数

産業別事業所数を表 2-2 に示す。全産業の事業所数の対全国比は 10%であり、事業所数は

「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の順に多

い。対全国比では「農林漁業」が 19.0%と最も高く、一方、「情報通信業」「不動産業、物品

賃貸業」「製造業」の対全国比は全産業平均を下回っている。

表 2-2 産業別事業所数

産業 事業所数

(全国)

事業所数

(九州)

対全国比

(%)

農林漁業 30,717 5,824 19.0

複合サービス事業 33,357 4,906 15.0

電気・ガス・熱供給・水道業 3,934 507 13.0

鉱業,採石業,砂利採取業 2,286 265 12.0

卸売業,小売業 1,405,021 162,652 12.0

医療,福祉 358,997 42,602 12.0

建設業 525,457 55,494 11.0

運輸業,郵便業 135,468 14,227 11.0

金融業,保険業 88,831 9,956 11.0

生活関連サービス業,娯楽業 480,609 54,479 11.0

サービス業(他に分類されないもの) 356,155 40,009 11.0

学術研究,専門・技術サービス業 219,471 21,027 10.0

宿泊業,飲食サービス業 711,734 74,363 10.0

教育,学習支援業 161,295 15,581 10.0

情報通信業 67,205 5,183 8.0

不動産業,物品賃貸業 379,718 31,508 8.0

製造業 493,380 35,414 7.0

全産業 5,768,489 600,157 10.0

(出典:総務省、経済産業省「平成 24年経済センサス‐活動調査(確報)」)

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産業別従業員数を表 2-3 に示す。産業別従業員数の対全国比も 10.0%である。従業員数は

「卸売業、小売業」「医療、福祉」「製造業」の順に多い。対全国比では農林漁業が 18.0%

と最も高く「製造業」「学術研究、専門・技術サービス業」「情報通信業」などは、全産業

における対全国比よりも低い。

表 2-3 産業別従業員数

産業 全国

(人)

九州

(人)

対全国比

(%)

農林漁業 356,215 63,934 18.0

複合サービス事業 342,426 48,291 14.0

鉱業,採石業,砂利採取業 21,427 2,727 13.0

医療,福祉 6,178,938 819,240 13.0

建設業 3,876,621 414,111 11.0

電気・ガス・熱供給・水道業 201,270 19,961 10.0

卸売業,小売業 11,746,468 1,175,038 10.0

宿泊業,飲食サービス業 5,420,864 528,439 10.0

生活関連サービス業,娯楽業 2,545,631 253,457 10.0

運輸業,郵便業 3,301,682 304,309 9.0

金融業,保険業 1,589,449 146,090 9.0

教育,学習支援業 1,721,698 161,506 9.0

サービス業(他に分類されないもの) 4,521,749 398,265 9.0

製造業 9,247,717 717,761 8.0

不動産業,物品賃貸業 1,473,835 115,414 8.0

学術研究,専門・技術サービス業 1,663,946 123,309 7.0

情報通信業 1,627,316 95,991 6.0

全産業 55,838,266 5,387,843 10.0

(出典:総務省、経済産業省「平成 24年経済センサス‐活動調査(確報)」)

(3)景況

中小企業の業況判断 DIの推移(九州・沖縄地域)を図 2-2 に示す。消費税及び地方消費税

が増税された 2014 年第二四半期を除くと、2009 年第一四半期以降業況判断は回復傾向にあ

る。ただし、景況判断は 2007 年以降マイナスが続いている。

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図 2-2 中小企業の業況判断 DI の推移(九州・沖縄地域)

(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「第 142 回中小企業景況調査(九州・沖縄地域版)」)

2-1-4 九州の主な産業

(1)自動車産業

自動車産業は、九州における主要産業の1つである。九州全体で年間 150 万台規模(出

典:九州経済産業局「九州地域における次世代自動車関連部素材の市場動向及び参入可能

性調査」)の生産能力を有するが、平成 26 年度実績(速報ベース)で九州における生産台

数は 129 万台であり、全国における生産台数に対して約 13.5%の水準となっている(図 2-3)。

ただし、消費税上昇にともなう需要低下や海外への生産拠点移転などの要因により最近 2

年は減少している(出典:九州経済産業局 平成 26 年度九州地域の鉱工業動向(速報)

(2015))。

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図 2-3 四輪自動車生産台数

(出典:九州経済産業局 平成26年度九州地域の鉱工業動向(速報)(2015))

平成 27 年 1 月末現在、九州自動車・二輪車産業振興会議「九州自動車関連企業データベ

ース」に登録される自動車関連企業は 854 事業所である。九州における自動車関連企業の

県別内訳を図 2-4 に示す。自動車産業に関する事業所は九州北部に集中している。

図 2-4 九州における自動車関連企業(平成 27 年 1 月末現在)

(出典:九州経済産業局「九州地域における次世代自動車関連部素材の市場動向及び参入可能性調査」)

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九州地域の完成車メーカー別にみた部品取引企業を表 2-4 に示す。九州域内の取引会社

が、シャシー及び車体部品など特定の部品の納入に集中している。

表 2-4 九州地域の完成車メーカー別にみた部品取引企業数

(出典:九州経済産業局「九州地域における次世代自動車関連部素材の市場動向及び参入可能性調査」)

(2)半導体産業

九州地域の半導体産業は、製造品出荷額が 1 兆 4373 億円(対全国比 24.6%)に達する九

州の主要産業の 1 つである。このうち集積回路製造業は 1 兆 825 億円(対全国比 30.7%)、

半導体製造装置製造業(対全国比 13.7%)、半導体装置製造業(光電変換素子を除く)(対全

国比 19.5%)で、全体としては開発拠点というより生産拠点としての特徴が強い(出典:九

州経済産業局「九州経済の現状 2015 年 秋」(2015))。

(3)造船業

九州(山口県の一部を含む)における鋼製船舶造船実績は隻数 151 隻、総トン数 4,261,653

トンである(出典:国土交通省九州運輸局 ニュースリリース「前年度より建造量は減、

船価は増 ~ 平成 26 年度九州・山口(西部)の鋼製船舶造船実績 ~」(2015)1))。鋼製船

舶造船実績については総トン数ベースで、平成 26 年度の実績で対全国比 31.7%である(図

2-1 全国に対する九州のシェア 参照)。

(4)農林水産業

九州は農業の盛んな地域であり、平成 26年 農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)

(農林水産省 大臣官房統計部 平成 27 年 12 月 22 日公表)によると、平成 26 年度農業産

1 九州運輸局管内。九州各県と山口県のうち下関市、宇部市、山陽小野田市及び長門市の造船所分が含まれる。

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出額について、鹿児島県 4,263 億円(3位)、宮崎県 3,326 億円(5 位)、熊本県 3,283 億円

(6 位)が全国上位 10 位まで入っている。また、同資料より九州で農業産出額の高い主な

品目は以下のとおりである。

・野菜 :熊本県 4位(対全国比 5.3%、以下同じ)

・肉用牛 :鹿児島県 1 位(同 15.9%)、宮崎県 3位(同 9.5%)、熊本県 4位(同 5.6%)

・乳業牛 :熊本県 3位(同 3.5%)

・豚 :鹿児島県 1 位(同 11.9%)、宮崎県 2 位(同 7.8%)

・鶏 :鹿児島県 1 位(同 9.9%)、宮崎県 2 位(同 9.2%)

(5)商業・サービス業

九州経済産業局「九州・全国の県別年間販売額」によると、九州 7 県の商業の年間販売

額は 34,953,745 百万円(平成 26 年)で対全国比 7.1%であり、そのうち卸売業が 22,556,186

百万円(平成 26年)で対全国比 6.2%、うち小売業が 12,397,560 百万円(平成 26年)で対

全国比 9.7%となっている(出典:九州経済産業局「九州経済概況・関連データ一覧」)。

経済産業省「特定サービス産業実態調査」平成 26 年(確報)による、ソフトウェア業、

情報処理・提供サービス業、物品賃貸業、産業用機械器具賃貸業の年間(平成 26 年)売上

高及び対全国比は以下のとおりである。商業、サービス業に関しては、人口比(対全国比

10%)と比較して低い水準である。

・ソフトウェア業 442,972 百万円(対全国比 3.6%、以下同じ)

・情報処理・提供サービス業 167,043 百万円(同 3.5%)

・物品賃貸業 258,131 百万円(同 6.6%)

・産業用機械器具賃貸業 294,553 百万円(同 8.3%)

2-1-5 九州の環境

(1)大気

九州は全国と比べ PM2.5 の環境基準達成率が低く、宮崎県を除くと環境基準の達成率が 0

となっており(平成 25年度。福岡県のみ平成 26年度)、大陸からの越境汚染の影響がある

と考えられている。二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質についてはほぼすべての県

で環境基準達成率が 100%となっているが、桜島の影響を受ける鹿児島県などでは環境基準

を超過する測定地点がみられる。

(出典:福岡県「平成 27年版 環境白書」佐賀県「平成 26 年版 佐賀県環境白書」 長崎県 「環

境白書[平成 26 年版]」、熊本県「平成 26年度版 熊本の環境」、大分県「平成 26年版 大分県環

境白書」、宮崎県「環境白書 平成 26(2014 年版)」、鹿児島県「平成 26年版 環境白書」)

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(2)水質

河川の生物化学的酸素要求量(BOD)や海域の水質の化学的酸素要求量(COD)の環境基

準達成率を表 2-5 に示す。概ね全国水準を満たしているものの、内湾や瀬戸内海沿岸域を

中心に環境基準に到達しない測定地点が確認されている。

表 2-5 河川の生物化学的酸素要求量及び海域の水質の

化学的酸素要求量の環境基準達成率(平成 25 年度)

県 名 河川(%) 海域(%)

福 岡 81.7 84.8

佐 賀 100 100

長 崎 100 89.5

熊 本 100 73.7

大 分 83.7 66.7

宮 崎 100 100

鹿児島 92.9 79.2

全 国 92.0 77.3

(出典:福岡県「平成 27 年版 環境白書」 佐賀県「平成 26 年版 佐賀県環境白書」 長崎県 「環境

白書[平成 26年版]」、熊本県「平成 26年度版 熊本の環境」、大分県「平成 26年版 大分県環境白書」、宮

崎県「環境白書 平成 26(2014 年版)」、鹿児島県「平成 26年版 環境白書」)

Page 15: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

11

(3)廃棄物

九州各県の一般廃棄物排出量を表 2-6 に、九州各県の産業廃棄物排出量を表 2-7 に示す。

産業廃棄物について、鹿児島県、宮崎県の南九州の 2 県では、産業廃棄物に占める農業

系廃棄物の割合が高い点に特徴があり、鹿児島県では平成22年度の産業廃棄物排出量8,504

千トンのうち、農業系廃棄物が 6,024 千トン(70.8%)、宮崎県では平成 24年度の産業廃棄

物排出量 6,010 千トンのうち農林業由来の産業廃棄物が 3,908 千トン(65.0%)に達してい

る。

表 2-6 一般廃棄物排出量

県 名 排出量

(千トン)年 度

福 岡 1,858 平成 26 年度

佐 賀 273 平成 24 年度

長 崎 498 平成 25 年度

(速報値)

熊 本 565 平成 24 年度

大 分 1,142 平成 24 年度

宮 崎 413 平成 24 年度

鹿児島 586 平成 24 年度

(出典:福岡県「平成 27 年版 環境白書」 佐賀県「平成 26 年版 佐賀県環境白書」 長崎県 「環境

白書[平成 26年版]」、熊本県「平成 26年度版 熊本の環境」、大分県「平成 26年版 大分県環境白書」、宮

崎県「環境白書 平成 26(2014 年版)」、鹿児島県「平成 26年版 環境白書」)

表 2-7 産業廃棄物排出量

県 名 排出量

(千トン)年 度

福 岡 15,258 平成 25 年度

佐 賀 3,186 平成 24 年度

長 崎 4,501 平成 20 年度

熊 本 7,140 平成 20 年度

大 分 7,875 平成 21 年度

宮 崎 6,010 平成 24 年度

鹿児島 8,504 平成 22 年度

(出典:福岡県「平成 27 年版 環境白書」 佐賀県「平成 26 年版 佐賀県環境白書」 長崎県 「環境

白書[平成 26年版]」、熊本県「平成 26年度版 熊本の環境」、大分県「平成 26年版 大分県環境白書」、宮

崎県「環境白書 平成 26(2014 年版)」、鹿児島県「平成 26年版 環境白書」)

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2-2 全国及び九州管内の環境関連産業の概況

2-2-1 全国の環境関連産業の概況

本調査の調査対象分野 10 分野(大気、水質、土壌、騒音・振動、環境測定・分析、環境

調和型製品、廃棄物処理、リサイクル、新エネ・省エネ、環境関連サービス)に対して、

統計資料等から、それぞれの分野の市場規模の需要の増加・減少傾向を分析した。

(1)大気

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では環境産業の分野を「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「廃棄物処理・資源

有効利用」「資源環境保護」の 4 つに分けている。「大気汚染防止」分野は「環境汚染防止

分野」に含まれ、「大気汚染防止」分野として大気汚染防止用の装置・施設についての市場

規模が推計されている。「大気汚染防止」分野全体の市場規模の推計は 7,588 億円(2000 年)

から 7,532 億円(2013 年)と近年は大きな変化はない。ただし「自動車排気ガス浄化触媒」

「光触媒」は増加し、「集じん装置」や「排煙脱硫装置」などは市場が縮小したと分析され

ている。

●市場規模が拡大したとみられる品目:

-「自動車排気ガス浄化触媒」(1,161 億円(2000 年)→1,814 億円(2013 年))

-「光触媒」(250 億円(2000 年)→900 億円(2013 年))

●市場規模が縮小したとみられる品目:

-「集じん装置」(694 億円(2000 年)→422 億円(2013 年))

- 排煙脱硫装置(554 億円(2000 年)→152 億円(2013 年))

- その他の排ガス処理装置(912 億円(2000 年)→77 億円(2013 年))

2)環境省 環境経済観測調査(平成 27年 6月環境経済観測調査(環境短観))

環境省では、同調査を企業の環境ビジネスに対する認識や企業の供給する環境配慮型製

品・サービスの業況等に関する調査と位置づけており、平成 22 年 12 月からは半年単位で

実施している。最新の平成 27 年 6 月の調査では、民間企業 11,631 社を対象として実施さ

れ有効回答数は 4,927 社である。同調査によると、我が国で発展していると考える環境ビ

ジネスについて「大気汚染防止装置・施設」は「現在」「半年先」「10 年先」のいずれの時

期においても上位の 5 つのビジネスに入っており、環境汚染防止分野では唯一である。

3)環境装置受注状況(一般社団法人日本産業機械工業会)

日本産業機械工業会では、環境装置受注状況の実績を公開しているが、大気汚染防止装

置について「集じん装置、重・軽油脱硫装置、排煙脱硫装置、排ガス処理装置、関連機器」

の受注状況(受注額)の統計を公表している。

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2008 年までは 800 億円を超える年もみられるが、2009 年以降は 2011 年を除き 500 億円

あるいは 400 億円台の水準で、2014 年は 417 億円で 2002 年以降最低である。

4)分析機器生産高一覧(一般社団法人日本分析機器工業会)

日本分析機器工業会では大気汚染分析装置(除自動車排ガス分析計)、自動車排ガス分析

計の生産高をまとめている。大気汚染分析装置(除自動車排ガス分析計)は過去 10年で生

産高に大きな変化はなく、自動車排ガス分析計は大きな伸びを示している(図 2-5)。

図 2-5 大気汚染分析装置(除自動車排ガス分析計)、自動車排ガス分析計の生産高

(出典:日本分析機器工業会「分析機器生産高一覧」)

5)まとめ

大気分野では、自動車関連の市場規模の拡大が予想される一方、集じん装置・排煙脱硫

装置などでは市場規模が縮小すると予想されている。工場等の排気対策についてのニーズ

は長期的に低下傾向が継続していると分析されている。

(2)水質

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では水質に関する予想として「環境汚染防止分野」の中で、「下水、排水処理用

装置・施設」「下水、排水処理サービス」「土壌、水質浄化サービス(河川・湖沼浄化)」に

ついての市場規模が推計されている。推計の内容は次の通りである。

・下水、排水処理装置・施設の市場規模が 42,171 億円(2000 年)から 18,369 億円(2013

年)と大幅に縮小。同分野の市場規模の 8 割を占める下水道整備事業も、2002 年より

0

5,000,000

10,000,000

15,000,000

20,000,000

25,000,000

大気汚染分析装

置(除自動車排

ガス分析計)

自動車排ガス分

析計

(千円)

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2013 年にかけて半減

・下水、排水処理サービスは変化なし

・河川、湖沼浄化は 175 億円から 200 億円に拡大もピークの 381 億円(2006 年)からは

半減、2009 年以降は縮小

2)環境経済観測調査(平成 27年 6月環境経済観測調査(環境短観))

同調査において、現在実施している環境ビジネスに関する質問への回答では、「下水、排

水処理用装置・施設」は業種別(製造業、非製造業、全産業)に関しては製造業で 4 位、

企業規模別では大企業(資本金 10 億円以上)と中小企業(同 2,000 万円以上 1 億円未満)

で 5 位となっている。

3)環境装置受注状況(一般社団法人日本産業機械工業会)

同資料によると、水質汚濁防止装置の受注額は 2014 年実績で 1,915 億円であり、大気汚

染防止装置(同 417 億円)、ごみ処理装置(349 億円)、騒音防止装置(21 億円)よりも高

いが、2002 年実績の 4,560 億円と比べて半分程度の水準に縮小している。

4)分析機器生産高一覧(一般社団法人日本分析機器工業会)

同資料によると、水質汚濁分析装置の受注額は 2014 年度実績で 43 億円である。2009 年

以降は 52億円を記録した 2013 年度を除き 40 億円台で推移している。

5)まとめ

現在の水質分野の市場規模は、大気汚染防止装置分野の 4 倍以上の水準ではあるが、水

質汚濁防止装置の受注額や分析機器の生産高の推移からは、水質分野の規模は縮小傾向に

あるとみられる。

(3)土壌

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では「土壌、水質浄化」分野における「土壌、水質浄化用装置・施設」「土壌、

水質浄化サービス」の市場規模の推計をまとめている。それによると、土壌浄化(プラン

ト)が 0 億円(2000 年)より 90 億円(2013 年)に、土壌浄化(事業)が 164 億円(2000

年)から 1,098 億円(2013 年)に増加している。

2)土壌汚染状況調査・対策に関する実態調査結果(一般社団法人 土壌環境センター)

土壌環境センターでは、同協会の会員企業を対象に、土壌汚染状況調査・対策に関する

実態調査として受注件数及び受注高などの調査を毎年実施している。

同調査に基づく土壌汚染調査・対策事業の受注実績を図 2-6 に示す。最新年度の実績で

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は、受注件数 8,569 件(前年比 1,096 件増)、受注高 1,098 億円(同 214 億円増)で前年度

より増加している。長期的な傾向としては、土壌汚染対策法施行(平成 15 年 2 月 15 日)

以後、平成 17 年度から平成 19 年度にかけての受注額 1,600 億円を超えたが、その後は低

下し、平成 20年度以降では平成 23年度の 1,479 億円が最高である。

図 2-6 土壌汚染調査・対策事業の受注実績

(出典:土壌環境センター「平成 25年度の土壌汚染調査・対策事業受注実績」)

受注件数の内訳では、「調査」における自主調査が 5,697 件で全体の約 70%に達しており、

このうち土地売買を契機とするものが 3,670 件と全体の 60%以上に達している。

受注高では「法契機」(土壌汚染対策法のうち第 3条、第 4条、第 5条が契機の調査)に

よる「形質変更時要届出区域の対策」が受注額 487 億円(248 件)、法契機以外の案件にお

ける「自主対策」が 414 億円(1,297 件)で、この 2 つの案件による受注高で全受注高の

80%以上に達している。自主対策の契機は「ISO、事故、自主的環境調査」732 件、土地売買

200 件、土地改変 178 件などである(複数回答)。

3)平成 27年度版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(環境省)

同白書によると、年度別の土壌汚染判明件数は土壌汚染対策法施行の前年度にあたる平

成 14年度に初めて 600 件を超えている(656 件)。

さらに、平成 21 年度の 1,253 件(環境基準非超過 678 件、環境基準超過 575 件)より、平

成 22 年には 1,778 件(非超過 980 件、超過 943 件)と急激に増加している。平成 23 年度

から平成 25 年度は 3 年連続で 1,900 件以上を記録している。この理由について、廃用とな

った工業用地の再開発により土壌汚染の判明事例が増加したためであるとする見方が示さ

れている。

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4)都道府県地価調査

同調査は、国土利用計画施行令第 9 条に基づき、都道府県知事が毎年 7 月 1 日における

標準価格を判定する調査である。全国における工業地の地価変動率の平均は平成 27 年(7

月 1 日基準)でマイナス 0.9%であるがマイナス 3.3%(平成 24 年)、マイナス 2.3%(平成

25 年)、マイナス 1.5%(平成 26 年)と下げ止まる傾向がみられる。

5)まとめ

土壌汚染調査・対策事業の受注件数は平成 17 年度~平成 19 年度にかけて最大であり、

その後はこの時期の水準に戻っていない。一方、土壌汚染判明件数は土壌汚染対策事業の

受注件数が多かった時期よりも後の平成 22年度以降で上回っている。また、工業地の地価

の変動率も平成 24 年(7 月 1 日基準)以降、下落傾向に歯止めがかかっていることから、

土壌分野の市場規模は、土地の再開発のニーズが高い地域を中心に伸びている可能性があ

る。

(4)騒音・振動

1)平成 24年度振動規制法施行状況調査(環境省)

同調査によると、平成 24 年度現在の振動規制法における特定工場等の届出総数は、

126,865 工場等(平成 23 年度末とほぼ同数)であり、このうち圧縮機を設置する工場等が

42,047 工場等(全体の 33.1%)、金属加工機械を設置する工場等が 39,887 工場等(全体の

31.4%)となっている。

同法における特定施設の届出総数は、全国で 854,820 施設(前年度比 0.7%減)であり、

このうち金属加工機械が 271,774 施設(全体の 31.8%)であり、織機、圧縮機を加えた 3 施

設で全体の 80%以上を占めている。

2)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同調査では「騒音・振動防止用装置・施設」として防音材(騒音対策装置)、防音工事、

防振材(防振対策装置)、防振工事の市場規模の予測をまとめている。2013 年の市場規模の

推定は 897 億円であり、2000 年との比較では 1,260 億円(2000 年)から 897 億円(2013 年)

と縮小しており分野単位でも市場規模が拡大したと推定される分野はみられない。この分

野における市場規模の推定は、防音工事が最大であり 616 億円である。

3)環境装置受注状況(日本産業機械工業会)

騒音振動防止装置(騒音防止装置、振動防止装置、関連機器)の受注額は平成 26年実績

で約 21 億円であり、平成 23 年の約 18 億円から 4 年連続の増加である。平成 14 年以降の

受注実績について、平成 14 年と平成 19年には 30億円を超えているが、この 2 年を除くと

25 億円に届いた年はない。

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4)環境経済観測調査(平成 27年 6月環境経済観測調査(環境短観))

同調査では、騒音・振動の分野に関する産業は、現在実施している環境ビジネスの上位 5

ビジネスに業種別、企業別ともにランクインせず、我が国で発展していると考える環境ビ

ジネスの上位 5ビジネスに「現在」「半年先」「10年先 」ともに含まれていない。

5)まとめ

「騒音・振動防止用装置・施設」の市場規模は縮小傾向にあるが、騒音振動防止装置の

受注額は、平成 23年より増加傾向にある。前者は工事によるもの、後者は工場向けの設備

投資等によるものと考えられる。後者の増加については、絶対的な規模が小さくこの分野

の市場規模を押し上げる効果は限られているとみられる。

(5)環境測定・分析

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書には「環境測定、分析、監視用装置」「環境測定、分析、監視サービス」におけ

る市場規模の予想がまとめられている。「環境測定、分析、監視用装置」については分析装

置の市場規模の予想が示されているが 163 億円(2000 年)から 255 億円(2013 年)に増加

している。「環境測定、分析、監視サービス」については「環境アセスメント」が 1,929 億

円(2000 年)から 797 億円に減少、「環境管理システム開発」が 33 億円(2000 年)から 258

億円(2013 年)に増加、「有害物質の分析」が 348 億円(2000 年)から 365 億円(2013 年)

と予想されている。

2)環境経済観測調査(平成 27年 6月環境経済観測調査(環境短観))

同調査では、環境測定・分析の分野に関する産業は、現在実施している環境ビジネスの

上位の 5 位ビジネスに業種別、企業別ともに入っていない。我が国で発展していると考え

る環境ビジネスの上位 5 位のビジネスに「現在」「半年先」「10 年先」ともに含まれていな

い。

3)分析機器生産高一覧(日本分析機器工業会)

日本分析機器工業会が公開する、環境(公害)用分析機器(大気汚染分析装置(除自動

車排ガス分析計)、自動車排ガス分析計、水質汚濁分析装置、その他(部品・付属品を含む))

の生産高の推移を図 2-7 に示す。2009 年度に一度減少し、その後は増加を示している。増

加の理由は、自動車排ガス分析計の生産額増加によるものとされている。

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図 2-7 公害防止装置の生産高一覧

(出典:日本分析機器工業会をもとに作成)

4)まとめ

環境アセスメントの市場規模が大幅に縮小し、一方で分析装置と環境管理システムの市

場規模が拡大している。有害物質の分析に関する市場規模に拡大傾向はみられない。また、

環境経済観測調査ではこの分野の業種で上位に位置する業種はなかった。環境アセスメン

トの市場規模が縮小した原因は、環境影響評価法の施行後、長期間経過し需要が低下した

ことによると考えられる。

分析装置の市場規模の増加について、自動車排ガス分析計に関する実績が上昇傾向にあ

ることに対して、有害物質の分析については増加傾向がみられない。自動車の排気ガス対

策の需要増が反映しているものとみられる。環境管理システムの市場規模の増加について

は、環境管理用の情報システムのソフトウェアなどが増加分に反映されたものと考えられ

る。この分野における市場拡大については、その大半は自動車需要の高まりによるものと

みられ、環境測定・分析業自体については成長の兆候はみられない。

(6)環境調和型製品

環境調和型製品(他に環境配慮型製品など)については、省エネルギー、長寿命化、リ

サイクル設計、耐久性、使用部材の低減、化学物質による環境負荷低減など様々な要素が

含まれ、最終製品や部材のいずれの場合も含まれる。リサイクル設計は多くの分野ですで

に一般的であり分析範囲が膨大となるため、本調査では、本分野の成長の可能性を検討す

るために環境負荷低減につながる製品に絞って分析した。

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告では、「化学物質汚染防止」の区分で、「汚染物質不使用製品」として「環境対応

0

5,000,000

10,000,000

15,000,000

20,000,000

25,000,000

30,000,000

35,000,000

(千円)

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型塗料・接着材」「非スズ系船底塗料」「バイオプラスチック」「環境対応型建材」の市場予

測が行われている。これらの 4 品目のうち市場規模のほとんどは「環境対応型塗料・接着

剤」「環境対応型建材」が占めるが、環境対応型塗料・接着剤が 3,380 億円(2000 年)から

2,546 億円(2013 年)に、環境対応型建材が 5,665 億円(2000 年)から 2,591 億円(2013

年)にそれぞれ市場規模が縮小していると分析されている。

2)平成 26年度 需要実績見込み(一般社団法人日本塗料協会)

同需要実績見込みによると、平成 26年度の需要見込みは 1,383 千トン(前年度比 97.6%)

と分析している。その内訳について船舶需要や欧米を中心とした海外向けの建機需要が堅

調である一方で、建物 387 千トン(前年度比 93.6%)や建築資材 69千トン(前年度比 92.2%)、

道路車両(新車)211 千トン(前年度比 97.6%)などが、消費税増税による駆け込み需要の

反動により減少しているという見方を示している。

3)ものづくり白書(2014 年版)(炭素繊維)

同白書では、民間資料や企業推定情報等に基づく推測による炭素繊維の需要及び市場規

模の予測を示している。これによると 2010 年の 1,000 億円規模から 2020 年には 4,500 億

円まで拡大するという予測となっており、自動車産業、風力発電、圧力容器、土木建築、

航空宇宙産業などでの需要拡大のポテンシャルがあるという見方を示している。

4)炭素繊維出荷実績(炭素繊維協会)

同出荷実績によると、2014 年の炭素繊維の出荷量は 19,270 トン(前年比 7.3%増)で統

計開始(1991 年)以降過去最高を記録している。内訳としては航空宇宙産業で大幅に増加

するなど産業用途で増加している。炭素繊維の輸出比率は 2013 年から 2.9 ポイント増加し

79.1%となっている。

5)鉄鋼受注動態統計調査(平成 26年年報)(経済産業省)

同調査によると、自動車の軽量化・剛性化を目的として使用される高抗張力鋼の出荷量

は平成 24 年 91,149 トン、平成 25 年 109,018 トン、平成 26 年 120,507 トンと増加傾向が

続いている。この点から、自動車向けの環境対策に係る部材や装置の需要も高まる傾向で

あるとみられる。

6)アルミニウム圧延品の生産出荷動向(一般社団法人日本アルミニウム協会)

日本アルミニウム協会の 2015 年 7月の公開資料によると、2015 年 7 月実績の「板類」の

生産量は 113,685 トンで 17 か月連続プラス、「押出類」は 67,749 トンで 10 か月連続マイ

ナス、「はく」は 9,813 トンで初めてマイナスに転じている。内訳は、自動車需要に関して

は生産台数の減少によるマイナスがある一方、高級乗用車やトラック架台の需要が増加し

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20

ている。このほか、「板類」については缶材の需要増でプラス、「はく」に関してはコンデ

ンサ向けが太陽光発電向け需要の低下によりマイナス、「その他の電気機器(リチウムイオ

ン電池向けが大半を占める)」の出荷量は過去最高を記録している。

7)国内マグネシウム 2014 年需要実績/2015 年需要予測

日本マグネシウム協会では、毎年、マグネシウムに関する構造材、添加材などの分類別

の需要実績をまとめている。2014 年実績は構造材(主にダイカスト)7,070 トン(前年比

88.8%)、添加剤(主にアルミ合金添加、鉄鋼脱硫)31,445 トン(同 116.7%)、防食その他

1,200 トン(同 193.5%)、輸出 575 トン(同 174.2%)で合計 40,290 トン(同 112.4%)とな

っている。

需要変動の原因について、構造材については、展伸材が前年(2013 年)比 7.9%減の 700

トンであるなどマグネシウムの実用例が不足し、構造材全般の需要が横ばいになるなど順

調でないが、添加材については、アルミ合金添加、鉄鋼脱硫向け、ノジュラー鋳鉄向けな

どの需要回復により需要が増大したと分析されている。

8)まとめ

環境調和型製品として環境配慮につながる材料について市場動向を整理したが、市場規

模は「塗料」で縮小、「高抗張力鋼」「炭素繊維」で拡大、「アルミニウム」「マグネシウム」

で横ばい、という結果となっている。「塗料」「高抗張力鋼」に関しては「建築」「自動車」

などの需要に左右され、消費税増税前の駆け込み需要による影響が明確にあらわれている

ことから、今後の成長は不透明である。「炭素繊維」については出荷量が伸びているが需要

の 8 割が海外であることから、国内の需要の大幅な増加にはつながらない可能性がある。

マグネシウムについては現状では添加材としての需要が中心であり、構造材としての需要

が伸びる傾向はみられない。

(7)廃棄物処理

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では、「廃棄物処理・リサイクル設備」と、「廃棄物処理・リサイクルサービス」

の一部が該当し、それぞれについて市場予測が行われている。

廃棄物処理・リサイクル設備に関しては 1 兆 945 億円(2000 年)から 4,558 億円(2013

年)と半減している。廃棄物処理・リサイクルサービスに関しては、一般廃棄物の処理に

係る処理費に関する市場規模は 1 兆 189 億円(2000 年)から 1 兆 1,192 億円に、産業廃棄

物処理業に関しては 1兆 3,849 億円(2000 年)から 1兆 8,049 億円(2013 年)に市場規模

が拡大したと分析している。

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21

2)平成 27年度版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(環境省)

同白書によると、全国における、ごみ排出量は平成 20年に 5,000 万トンを切り、平成 25

年度では 4,487 万トンと、昭和 62 年以来の最低値を記録している。産業廃棄物の排出量は、

平成 19 年度の 4 億 1900 万トンより平成 24 年度まで 5 年連続で漸減しており、平成 24 年

度の産業廃棄物の全国の総排出量は 3億 7900 万トンである。

3)まとめ

環境関連の装置産業については、長期的な推移で半減しており、廃棄物の排出量も減少

していることから、今後も大きく伸びる可能性は低いと予想される。一般廃棄物及び産業

廃棄物の排出量が長期的に減少傾向にある一方で、市場規模は拡大すると予測されている。

規制等により廃棄物の処理方法の変化し処理費用が高くなるなどの要因により、市場規

模が拡大している可能性があるためと考えられる。

(8)リサイクル

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では、リサイクルに関する分野として「廃棄物処理・リサイクルサービス」の

一部と、「リサイクル素材」「資源有効利用製品」に関する市場規模の予測が行われている。

「廃棄物処理・リサイクルサービス」に関しては、廃家電リサイクル(冷蔵庫、洗濯機、

テレビ、エアコン)が 504 億円(2013 年)、廃自動車リサイクルが 314 億円(2013 年)で

ある。この分野の事業は特定家庭用機器再商品化法(以下、家電リサイクル法)や使用済

自動車の再資源化に関する法律(以下、自動車リサイクル法)などの個別リサイクル法の

施行とともに立ち上がった市場である。

「リサイクル素材」に関しては、5兆 9145 億円(2000 年)から 8兆 3,172 億円(2013 年)

まで増加している。この分野の市場規模の約 90%は「再資源の商品化(鉄スクラップ加工処

理業)」「再資源の商品化(非鉄金属第二次製錬・精錬業)」「動脈産業での廃棄物受入(鉄

鋼業)」「動脈産業での廃棄物受入(紙製造業)」によるものである。この 4分野のうち紙製

造業を除く 3 分野では、2000 年よりも市場規模が拡大している。ただし、2007 年~2008 年

頃のピークからは 20%~30%程度減少している。

「資源有効利用製品」に関しては、市場規模 5兆 8,612 億円のうち、80%が資源回収及び

中古自動車小売業によるものであり、「リサイクル素材」と同じく 2009 年に大幅に縮小し

ている(82,041 億円(2008 年)→59,971 億円(2009 年))。「資源有効利用製品」に含まれ

る全 9項目中、最も新しい項目は電子書籍である。2003 年に初めて品目として登場し 2013

年の市場規模は 873 億円となっている。

2)平成 26年度における家電リサイクル実績について(お知らせ)(環境省)

同実績によると、家電リサイクル法における全国の指定取引所で引き取られた台数は、

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平成 26 年度で 1,086 万台である。平成 21年度から平成 23 年度を除くと引取量は全品目の

合計で 1,000 万台から 1,200 万台程度の水準で推移している(図 2-8)。

図 2-8 平成 26 年度における家電リサイクル実績

(出典:平成 26年度における家電リサイクル実績より作成)

3)銑鉄及び鉄スクラップ需給実績(暦年)

一般社団法人日本銑鉄協会では、銑鉄及び鉄スクラップ需給実績として、鉄屑需給につ

いての統計をまとめている。同統計によると、鉄屑の需要は、2006 年から 2008 年にかけて

5,000 万トンを超えていたが、2009 年に 3,494 万トンまで減少し、その後 4,000 万トン台

に回復している。

4)一般社団法人日本自動車販売協会連合会(中古車登録車合計)

日本自動車販売協会連合会によると、平成 26 年度の中古車登録台数は 367 万 2,206 台で

あり、平成 22年度以降で最少となっている。(平成 22年度~平成 26年度では平成 25 年度

の 397 万 9,117 台が最多)。

5)太陽光発電設備(スマート・エコパークに関する検討会より)

同検討会の説明資料によると、太陽光発電設備の排出見込量は、2015 年で約 7万トン~9

万トン、2030 年で約 25~70 万トンであり、現在のところ太陽光発電設備のリサイクルルー

トは確立していないと説明されている。

6)まとめ

家電リサイクル法に基づく引取り台数の平成 22年度の高い実績は、地上デジタル放送の

1,0151,0461,1211,1621,1611,211

1,290

1,879

2,770

1,680

1,1201,273

1,086

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

合計

エアコン

テレビ(ブラウン管

式)

テレビ(液晶・プラ

ズマ)

電気冷蔵庫・電気冷

凍庫

電気洗濯機・衣類乾

燥機

(万台)

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23

開始による液晶テレビ需要が反映したと考えられ、中古車登録台数が減少している点に関

しては、消費税の増税により新車販売が不振となり、下取り台数が減少した影響などが反

映したものとみられる。

今後の見通しについては、リサイクルに関して平成 27年に制度に関する基本方針の見直

しが行われているが、(環境省「家電リサイクル制度の施行に関する基本方針の一部を改正

しました。」)国内の家電リサイクル法対象機器の需要が長期的に低下するとみられること

から長期的には国内のリサイクル関連市場は縮小傾向にあるとみられる。製錬や製鋼など

のスクラップの需要はそれぞれの業界における生産方針や中国をはじめとするアジアの資

源需要などにより左右されると考えられる。太陽光発電設備などはまだリサイクル市場が

立ち上がっていないが、現在よりも排出見込量が大幅に増えると予想されている。

(9)新エネ・省エネ

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では、「地球温暖化対策」として「クリーンエネルギー利用」「省エネルギー化」

「自動車の低炭素化」「排出権取引」の 4 分野の予測が示されている。同報告によると自動

車の低燃費化、省エネルギー化、クリーンエネルギー利用において大きく市場規模が拡大

すると予想されており「地球温暖化対策分野」の市場規模の拡大は、環境配慮型製品の市

場拡大による影響が大きいと分析されている。

具体的には、図 2-9 に示すように「自動車の低燃費化」に関しては「低燃費・低排出認

定車」、「ハイブリッド自動車」などのエコカーが、「省エネルギー化」に関しては次世代省

エネルギー住宅、「クリーンエネルギー利用」に関しては「太陽光発電システム」及び同設

置工事による市場規模の拡大が反映したものと分析されている。(出典:一般社団法人太

陽光発電協会「太陽光発電の現状と課題および将来に向けて」(2015))

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24

図 2-9 地球温暖化対策分野の市場規模推移

(出典:環境産業市場規模検討会「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」(2015))

2)太陽光発電協会「太陽光発電の現状と課題及び将来に向けて」

同資料によると、日本の太陽電池国内出荷量は、2014 年度で 9,216MW(前年度比 108%)

であった。うち住宅用は 1,973MW(前年度比 83%)であり普及速度が鈍化している。

今後の利用についても、固定価格買取制度施行からの累計導入量は 8,300 万 KW に達した

一方で、10kW 以上の施設については認定量の 40%程度が導入されないと想定されているほ

か、2019 年 11 月以降、買取制度の対象期間が終了する発電所が発生することから、太陽光

発電による電力を長期的に販売できる市場の構築が課題であると分析されている。

(出典:第 13回新エネルギー小委員会資料 太陽光発電協会

「太陽光発電の現状と課題および将来に向けて」(2015))

3)住宅着工統計(国土交通省)

同統計によると、平成 26 年度の全国における着工件数は 880,470 戸、九州における着工

件数は 81,354 戸である(図 2-10)。平成 25 年度までは増加傾向にあったが、平成 26 年度

に減少している。全国と九州における着工件数の増減に関する推移には、大きな違いはみ

られない。

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25

図 2-10 住宅着工戸数の推移

(出典:国土交通省「住宅着工統計」より作成)

4)株式会社富士経済グループプレスリリース(断熱材、遮熱材、蓄熱材)

富士経済による独自推計(富士経済プレスリリース(2015 年 6 月 4 日付))によると、断

熱材、遮熱材、蓄熱材の国内需要は 2014 年の 6,231 億円から 2020 年には 6,736 億円(2014

年比 108.1%)になると分析されている。改正省エネ基準(2013 年)への適合義務化やネッ

ト・ゼロ・エネルギー・ハウス(住宅でつくり出したエネルギーと消費したエネルギーの

差引がゼロになる住宅)への目標達成などを背景として増加すると分析されている。2014

年の需要は住宅分野、非住宅分野の建築物向け分野で市場規模の 75%程度を占め、この傾向

自体には 2020 年も大きな変化がないが、非住宅分野(2014 年比 115.4%)などで市場規模

が伸びるという見方を示している。

5)経済産業省「蓄電池戦略」

経済産業省蓄電池戦略プロジェクトチームの「蓄電池戦略」では、2020 年までに蓄電池

産業の市場規模が 20 兆円規模に拡大し、このうちの 5 割を日本の関連市場が獲得するとい

う目標を示しており、内訳として、大型蓄電池 35%、定置用蓄電池 25%、車載用蓄電池 40%

を想定している。また、民間のシンクタンク(出典:(株)富士経済 2015 年 3月 27 日プレ

スリリース)による市場予測では、大型二次電池の世界市場は 2025 年予測で 8兆 5,269 億

円となり、2013 年比で 6.2 倍、大型リチウムイオン電池部材については同 16倍に拡大する

と推定している。

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

九州

全国

(戸数(九州)) (戸数(全国))

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26

・大型二次電池の世界市場 :2014 年見込 1 兆 6,774 億円(2013 年比 122.2%)

:2025 年予測 8 兆 5,269 億円(2013 年比 6.2 倍)

・大型二次電池のニーズ :次世代環境自動車分野、電力貯蔵分野、動力分野

・大型リチウムイオン電池部材 :2014 年見込 1,762 億円(同 158.5%)

:2025 年予測 1 兆 7,818 億円(同 16 倍)

(出典:経済産業省「目標達成に向けて進捗していない KPI(B評価)の分析と今後の対応」平成 26年 11

月 14 日)

6)まとめ

環境省「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」においては、本調査の新エ

ネ・省エネと同様の領域で拡大する分野とされる「省エネルギー化」「自動車の低燃費化」

「クリーンエネルギー利用」については、最新の指標で鈍化傾向があると分析されている。

今後の成長については、現在主流の製品が牽引するかについては、今後の製品開発など

の動きにより左右するとみられるが、蓄電池や次世代自動車などの今後の大きな市場拡大

が予想されている製品がみられる。見通しはまだはっきりしないが、予測される産業の規

模が大きく、その点において今後の動きに注意する必要があると考えられる。

(10)環境関連サービス

1)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(環境産業市場規模検討会)

同報告書では環境関連サービスとして「廃棄物処理・資源有効利用分野」の「リフォー

ム・リペア」や「リース・レンタル」などについて市場規模の予測が行われている。

「リフォーム・リペア」に関しては、2013 年の市場規模は 13 兆 4,576 億円で、このうち

「建設リフォーム・リペア」が同分野の 70%弱を占めている。「リペア」にはこのほか「自

動車整備(長期使用に資するもの)」「建設リフォーム・リペア」「インフラメンテナンス」

の 4 項目がある。「リペア」「自動車整備(長期使用に資するもの)」は 2000 年との比較で

は市場規模が減少傾向にある。

「リース・レンタル」に関しては、2013 年の市場規模は 9兆 7,742 億円とされ、2000 年

の 10兆 1,469 億円からやや減少している。産業機械、電子計算機・同関連機器のリース・

レンタルの市場規模が大幅に縮小し、一方、自動車のリース・レンタルに関する市場規模

が拡大している。

2)建設関連業等動態調査(平成 27年 8月 31 日付)(国土交通省)

同報告によると、建設機械器具リース業の平成 26 年度の売上高は約 5,464 億円、重仮設

リース業の売上高は約 765 億円、軽仮設リース業の売上高は約 2,260 億円と平成 22年度以

降で最高を記録している。

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3)リース統計(2014 年度)(公営社団法人リース事業協会)

同統計によると、2014 年度のリース取扱高は 4 兆 8,252 億円(前年度比 7.9%減)、リー

ス設備投資額 4兆 4,132 億円(前年度比 8.8%減)と、2010 年度以来 4 年ぶりに減少に転じ

ている。

4)リフォームビジネス拡大に向けた勉強会

「リフォームビジネス拡大に向けた勉強会」の配布資料である「住宅・リフォーム業界

を巡る現状と社会環境の変化」によると、新築着工戸数の将来対推計として、2013 年の 98.0

万戸から、2020 年 82.5 万戸、2030 年 80.5 万戸とされており、その要因として、供給する

住宅の飽和、住宅の一次取得者の主流である 30歳代の平均年収及び金融資産の減少などが

あげられている。

5)電波関連産業

電波関連産業は、現在は移動体通信市場が中心であるが、長期的には自動車関連産業な

どの製造業やサービス産業など、応用利用に関する産業が成長すると考えられている。電

波政策ビジョン懇談会(第 12回)において示された参考資料によると、社会インフラの開

始、IoT(モノのインターネット)による製造業の効率化や技術革新、スマートグリッドな

どの環境関連産業と関連の深い応用領域で成長する可能性が示されており、電波関連産業

の市場規模について、2013 年の 34.3 兆円から 2030 年に 84.0 兆円まで拡大するという試算

が示されている。

6)まとめ

建設機械のリース売上高は増加が続いているが、公益社団法人リース事業協会の統計で

はリース取扱高が昨年度初めて減少に転じた。今後の成長については不透明な点がある。

リフォーム事業についても、人口の減少という要因により長期的には減少する可能性が見

込まれている。今後については、現在はまだ大きな規模に成長していないが環境産業に関

わってくる可能性のある産業の経過を引き続き追跡していく必要がある。

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2-2-2 九州における環境産業の概況

(1)統計による分析

1)大気

① 大気汚染防止法施行状況調査

大気汚染防止法の平成 26 年度の同調査によると、全国の同法に基づく施設数 171,764 件

に対して 14,841 件(対全国比 8.6%)、全国の届出工場・事業所数 69,289 件に対して 6,190

件(対全国比 8.9%)であり、いずれも対全国比 8%台となっている。

② 環境経済観測調査

環境省九州地方環境事務所では、環境省が行う環境ビジネスに関する経済動向調査の調

査結果を活用し、九州地域(沖縄を含む)に本社を構える企業の環境ビジネスに特化した

調査結果を公表している。

平成 27年 6月版の調査結果は、資本金 2,000 万円以上の民間企業のうち、資本金、業種

別の層化無作為抽出法による 880 社を対象とし、有効回答 414 社、有効回答率 47.0%であっ

た。同調査に基づく我が国で発展していると考える環境ビジネス 上位 5 ビジネス(九州)

を表 2-8 に示す。我が国で発展していると考える環境ビジネスについて、先行き(半年先、

10 年先)に関しては、「再生可能エネルギー」「省エネルギー自動車」が上位 2 位を占めて

いる。大気や水質などの環境汚染防止に関連する分野では「大気汚染防止装置・施設」が 3

位となっている。

表 2-8 我が国で発展していると考える環境ビジネス 上位 5 ビジネス(九州)

(出典:環境省 九州地方環境事務所「平成 27年 6月 環境経済観測調査(九州版)」)

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2)水質

① 国土交通省九州地方整備局発表 九州の下水道人口普及率

国土交通省九州地方整備局発表(平成 27 年 9 月 10 日)によると、九州の下水処理人口

普及率は全国に比べて 12.9%低い 64.7%であり、特に九州の人口 30 万人未満の都市の下水

処理人口普及率は全国に比べて特に低いと分析されている。また、九州の汚水処理人口普

及率についても全国の 89.5%に対して 5.9%低い 83.6%と分析されている。

② 平成 26年 経済センサス 基礎調査(水道業)

同調査により、九州 7県の水道業の事業所数は 757 事業所(全国 5,730 事業所)、従業員

数は 11,508 人(全国 102,248 人)であった。事業所数は全国に対して 13.1%、従業員数は

全国に対して 11.3%である。

3)土壌

① 平成 25年度土壌汚染対策法の施行及び土壌汚染調査・対策事例に関する調査結果

同調査結果より、都道府県・政令指定都市別の施行状況について、法第 4 条の形質変更

届出件数は九州 7 県では 1,290 件(全国 10,848 件に対して 11.9%)であり、近畿地区とほ

ぼ同等の水準となっている。

② 都道府県地価調査

同調査は、国土利用計画施行令第 9 条に基づき、都道府県知事が毎年 7 月 1 日における

標準価格を判定する調査である。工業地の地価の変動率を表 2-9 に示す。全国水準よりも

やや下回る県がほとんどであるが、全国水準同様に地価の下落傾向が緩やかになっている。

表 2-9 工業地の地価の変動率

県 名 平成 24 年 平成 25年 平成 26 年 平成 27年

福 岡 △ 3.3 △ 2.3 △ 1.6 △ 1.2

佐 賀 △ 3.8 △ 3.6 △ 2.3 △ 1.3

長 崎 △ 3.8 △ 2.9 △ 2.5 △ 2.0

熊 本 △ 3.1 △ 2.5 △ 1.9 △ 1.2

大 分 △ 4.1 △ 3.1 △ 2.6 △ 2.4

宮 崎 △ 2.3 △ 2.1 △ 1.7 △ 1.5

鹿児島 △ 4.2 △ 4.0 △ 3.4 △ 1.8

全 国 △ 3.3 △ 2.3 △ 1.5 △ 0.9

(出典:国土交通省「都道府県地価調査」より作成)

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4)騒音・振動

① 平成 24年度騒音規制法施行状況

環境省では騒音規制法の施行状況を毎年取りまとめ公表している。同施行状況によると、

平成 24 年度の全国における苦情件数 16,518 件に対して、九州における苦情件数は 1,117

件であり、全国に対する比率は 6.8%である。

② 平成 24年度振動規制法施行状況調査

環境省では振動規制法に関する施行状況を取りまとめ毎年公表している。現在公表され

ている最新年度である平成 24 年度の調査結果によると、平成 24 年度現在の振動規制法に

おける九州の特定工場等の届出総数は、全国の 126,865 工場等に対して 6,920 工場等であ

り、全国に対して 5.5%である。また、同法における九州における特定施設の届出件数は、

全国 854,820 施設に対して、34,255 施設であり、全国に対して 4.0%である。

5) 環境測定・分析

経済産業省「平成 26 年特定サービス産業実態調査(確報)」によると、全国の計量証明

業の事業所数は 843 事業所(うち本社 115 事業所)、年間売上高は 221,519 百万円であるが、

九州の計量証明業の事業所数は、85事業所(うち本社 15 事業所)、年間売上高は 19,216 百

万円である。事業所数は、対全国比 10.1%、年間売上高は対全国比 8.7%である。

6)環境調和型製品

① PRTR 制度に基づく塗料に関する排出量

経済産業省「PRTR 制度に基づく塗料に関する排出量(平成 25 年度排出分)」の推計にお

ける都道府県への配分指標の値を、塗料に関する需要に対応するものとみなして、需要の

規模を比較した。

同配分指標による建築塗装の完成工事額のみなし額は、全国の 390,755 百万円に対して、

九州 7県のみなし額は 27,444 百万円であり、対全国比は 7.0%である。

(出典:平成 25 年度 届出外排出量の推計方法等に係わる資料 推計方法の詳細 5.塗料

に係る排出量)

② 日本塑性加工学会正会員数

一般社団法人日本塑性加工学会は、軽量、高硬度の加工強度に関する学会であることか

ら、同学会の地域別の会員数が同分野における専門家の数に対応するものとみなして比較

した。

全国(海外除く)の正会員数 3,167 名(平成 26 年 7 月末)のうち、九州支部(沖縄含む)

の正会員数は 146 名であり、全会員数(海外除く)に対して 4.6%である。

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7)廃棄物処理

① 平成 26年 経済センサス 基礎調査(廃棄物処理業)

同調査によると、九州 7 県の廃棄物処理業の事業者数は 2,698 事業所(全国 22,681 事業

所に対して 11.9%)、従業員数 35,336 人(全国 325,688 人に対して 10.8%)である。事業所

数、従業員数とも対全国比は 10%を超えている。

② 平成 23年度産業廃棄物処理業実態調査業務

産業廃棄物処理業の実態把握を目的とした大規模調査が、平成 22 年度の実績を対象とし

て環境省により実施されている。同調査の実施概要を表 2-10 に示す。

表 2-10 平成 23 年度産業廃棄物処理業実態調査業務の実施概要

項 目 内 容

調査対象年度 平成 22 年度

有効調査票発送数 13,378 件

有効調査票回答数 7,598 件(回収率 57.2%)

事業区分回答数 収集運搬業 6,436 件(回答の 84.7%)

中間処理業 3,646 件(回答の 48.0%)

最終処分業 593 件(回答の 7.8%)

(出典:環境省「平成 23 年度産業廃棄物処理業実態調査業務 報告書」)

同調査では、産業廃棄物処理業界の市場規模の試算が行われている。その試算結果を表

2-11 に示す。九州・沖縄(同調査では九州・沖縄を含めて集計されている)における市場

規模は約 5,800 億円弱であり、全国規模に対して約 10.9%の規模となっている。また、推計

される売上高の割合が中間処理よりも収集運搬業で高い点に特徴がある。

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表 2-11 平成 23 年度産業廃棄物処理業実態調査業務における

産業廃棄物処理業会全体の売上規模(単位:万円)

(出典:環境省「平成 23 年度産業廃棄物処理業実態調査業務 報告書」)

8)リサイクル

① 家電リサイクル法の施行状況(引取実績)

経済産業省及び環境省が公表する家電リサイクル法に基づく平成 26 年度の引取台数より、

九州における引取り台数は、全国の 108,617 台に対して 8,229 台(対全国比 7.6%)である。

② 自動車保有台数

自動車検査登録情報協会が公表する平成 27年 6月現在の自動車保有台数によると、全国

の保有台数約 8,090 万台のうち、九州 7 県における保有台数は 952 万台であり、全国に対

して約 11.8%である。

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9)新エネ・省エネ

① 平成 27年 6月環境経済観測調査(九州版)(環境省 九州地方環境事務所)

同調査によると現在実施している環境ビジネスに関して、実施しているとした企業は

20.6%と前回調査より 1.5%減少したが全国調査(19.9%)を上回り、現在実施している環境

ビジネスについては再生可能エネルギーが 38.8%と全国(22.4%)と比べて突出して高い傾

向を示している。

② 自動車産業戦略 2014

経済産業省「自動車産業戦略 2014」より、九州における自動車生産台数は 137.6 万台、

対全国比は 13.9 万台である。九州経済圏における自動車の部分品の輸出入の実績は図 2-11

のとおりであり、2010 年以降では輸入額が増加し輸出額が減少している。

図 2-11 九州経済圏における自動車の部分品の輸出入

(出典:経済産業省 製造産業局 自動車課「自動車産業戦略 2014」)

九州自動車メーカーの主要部品調達状況(社数ベース)を表 2-12 に示す。九州では生産

台数は多いが、九州自動車メーカーの主要部品別調達状況より、パワートレイン部品(エ

ンジンなどの動力源から駆動系の部品)の九州における調達比率が他の部品と比べて著し

く低い。九州で調達される部品の大半は外装品及び内装品に限られている。

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表 2-12 九州自動車メーカーの主要部品調達状況(社数ベース)

(出典:経済産業省 製造産業局自動車課「自動車産業戦略 2014」)

10)環境関連サービス

総合リース業及び物品賃貸業の事業所数・従業者数・年間売上高の規模を表 2-13 及び表

2-14 に示す(出典:経済センサス 活動調査)。事業所数の対全国比に対する年間売上高の

対全国比が半分以下の水準にとどまっている。

表 2-13 総合リース業の事業所数・従業者数・年間売上高

区 分 事業所数従業者数

(人)

物品賃貸業の

年間売上高

(百万円)

(物品賃貸業の年間

売上高)レンタル

(百万円)

(物品賃貸業の年間売

上高)リース(百万円)

全 国 485 12,203 3,229,098 9,050 3,220,048

九 州 69 687 117,563 64 117,499

対全国比(%) 14.2 5.6 3.6 0.8 3.6

(出典:総務省、経済産業省「平成 24年経済センサス 活動調査」)

表 2-14 物品賃貸業の事業所数・従業者数・年間売上高

区 分 事業所数従業者数

(人)

物品賃貸業の

年間売上高

(百万円)

(物品賃貸業の年間

売上高)レンタル

(百万円)

(物品賃貸業の年間売

上高)リース(百万円)

全 国 17,595 180,040 7,881,485 2,268,918 5,612,567

九 州 2,308 19,106 519,034 215,598 303,433

対全国比(%) 13.1 10.6 6.6 9.5 5.4

(出典:総務省、経済産業省「平成 24年経済センサス 活動調査」)

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35

2-3 九州管内の大学が実施する環境関連分野の委託研究・共同研究実績

(1)大学等における産学連携等実施状況調査

九州管内の大学が実施する委託研究・共同研究のうち、環境分野に関する研究の実施状

況を、文部科学省が毎年調査・公開する「大学等における産学連携等実施状況」により調

査した。同調査は、文部科学省が大学等(国公私立大学(短期大学含む)、国公私立高等専

門学校、大学共同利用機関が回答)を対象に、民間企業等との共同研究、受託研究、治験

の実績、知的財産の創造・管理・活用、寄付金等を毎年調査するものであり、平成 25 年度

は表 2-15 に示すように大学等全 1,073 機関を対象に実施されている。

表 2-15 文部科学省調査 対象機関数及び回答機関数

(出典:文部科学省 「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況について」)

同調査では、共同研究、受託研究、知的財産の創造・管理・活用に関する機関別の実績

がまとめられており、本調査ではこの結果を分析に活用している。

1)民間企業との共同研究実施件数

全国の大学等における平成 25 年度の民間企業との共同研究実施件数は表 2-16 より

17,881 件、研究費受入額は約 390 億円であり、このうち研究費受入額は過去最高を記録し

ている。

民間企業との共同研究の実施件数と受入額について、全国と九州の実績を比較した結果

を表 2-16 に示す。九州における共同研究の実施件数及び受入額は、国立大学等(国立大学、

国立高等専門学校、大学共同利用機関)では 1,367 件(対全国比 10.1%、以下同じ)、受入

額 2,837,357 千円(同 9.3%)、公立大学等(公立大学(短期大学含む)、公立高等専門学校)

では 56 件(同 4.7%)、受入額 63,991 千円(同 3.6%)、私立大学等(私立大学(短期大学含

む)、私立高等専門学校)では 121 件(同 3.9%)、受入額 213,586 千円(同 3.2%)である。

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表 2-16 大学等の民間企業との共同研究実施件数と受入額

区分

国立大学等 公立大学等 私立大学等

件数

(件)

受入額

(千円)

件数

(件)

受入額

(千円)

件数

(件)

受入額

(千円)

全国 13,596 30,557,326 1,192 1,783,343 3,093 6,682,397

九州 1,367 2,837,357 56 63,991 121 213,586

対全国比(%) 10.1 9.3 4.7 3.6 3.9 3.2

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

民間企業との共同研究の実績について、実施件数で上位 30位に入る九州の大学は九州大

学(5 位)、熊本大学(22位)、九州工業大学(30 位)の 3 大学、研究費受入額の上位 30 件

に入る九州の大学は、九州大学(5位)、熊本大学(23位)である。

中小企業との共同研究にともなう研究費受入額で上位 30位に入る九州の大学は、九州大

学(2位)、熊本大学(18位)、九州工業大学(28位)である。

共同研究全体(民間企業以外との共同研究を含む)の分野別実施件数の推移を表 2-17 に、

実施件数の内訳を図 2-12 に示す。環境分野の実施件数は 21,336 件中 1,330 件であり、全

体の 6.2%に相当する。平成 20 年度から平成 25 年度までの間では、平成 20 年度の 1,395

件が最多である。ライフサイエンス、情報通信、ナノテクノロジー・材料の各分野におけ

る実施件数は増加傾向にあるが、環境分野の実施件数は過去 5 年間で減少している。

表 2-17 共同研究の分野別実施件数の推移

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

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図 2-12 共同研究全体の分野別実施件数の内訳

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

2)民間企業からの受託研究実施件数

大学等における民間企業からの受託研究の実施件数及び受入額を表 2-18 に示す。平成 25

年度の民間企業からの受託研究実施件数は 6,677 件、民間企業からの受託研究の実施にと

もなう研究費受入額は約 105 億円であり、民間企業との共同研究による研究費受入額約 390

億円と比べておよそ 1/4 の水準である。九州における大学等の民間企業からの実施件数及

び受入額は、国立大学等で 371 件(対全国比 16.8%、以下同じ)、520,034 千円(同 12.1%)、

公立大学等で 22 件(同 3.8%)、19,021 千円(同 2.8%)、私立大学等で 175 件(同 4.5%)、

413,251 千円(同 7.4%)である。

表 2-18 大学等の民間企業からの受託研究実施件数と受入額

区分

国立大学等 公立大学等 私立大学等

件数

(件)

受入額

(千円)

件数

(件)

受入額

(千円)

件数

(件)

受入額

(千円)

全国 2,206 4,295,566 582 683,501 3,889 5,564,062

九州 371 520,034 22 19,021 175 413,251

対全国比(%) 16.8 12.1 3.8 2.8 4.5 7.4

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

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受託研究全体(民間企業以外からの受託研究を含む)の分野別実施件数の推移を表 2-19

に、受託件数の内訳を図 2-13 に示す。環境分野の実施件数は 22,212 件中 2,000 件であり、

全体の 9.0%に相当する。

表 2-19 受託研究全体の分野別実施件数の推移

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

図 2-13 受託研究全体の分野別実施件数の内訳

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

3)特許

大学等による平成 25 年度の産学連携等実施状況のうち特許関係の実績(国立大学等、公

立大学等、私立大学等)を表 2-20 から表 2-22 に示す。

国立大学等では特許出願件数が 835 件(対全国比 12.0%、以下同じ)、特許権実施等件数

が 646 件(同 8.2%)、特許権実施等収入が 183,259 千円(同 10.1%)である。公立大学等で

は特許出願件数が 6 件(同 0.9%)、特許権実施等件数が 15 件(同 6.5%)、特許権実施等収

入が 645 千円(同 0.9%)である。私立大学等では、特許出願件数が 83 件(同 4.9%)、特許

権実施等件数が 38件(同 2.2%)、特許権実施等収入が 17,220 千円(同 5.4%)である。

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表 2-20 大学等における産学連携等実施状況 特許関係実績(国立大学等)

地 域 特許出願件数

(件)

特許権実施等件数

(件)

特許権実施等収入

(千円)

全 国 6,986 7,893 1,822,683

九 州 835 646 183,259

対全国比(%) 12.0 8.2 10.1

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

表 2-21 大学等における産学連携等実施状況 特許関係実績(公立大学等)

地 域 特許出願件数

(件)

特許権実施等件数

(件)

特許権実施等収入

(千円)

全 国 637 230 73,121

九 州 6 15 645

対全国比(%) 0.9 6.5 0.9

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

表 2-22 大学等における産学連携等実施状況 特許関係実績(私立大学等)

地 域 特許出願件数

(件)

特許権実施等件数

(件)

特許権実施等収入

(千円)

全 国 1,680 1,733 316,077

九 州 83 38 17,220

対全国比(%) 4.9 2.2 5.4

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

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40

大学等による分野別特許出願件数を表 2-23 に、全国の分野別特許出願件数の推移を図

2-14 に示す。環境分野の特許出願件数は 9,303 件中 525 件であり、出願件数の総数に対し

て 5.6%である。

表 2-23 分野別特許出願件数

(出典:文部科学省「平成 25年度 大学等における産学連携等実施状況」)

図 2-14 全国の分野別特許出願件数の推移

(出典:文部科学省「平成 25 年度 大学等における産学連携等実施状況」)

4)まとめ

共同研究による受入額(全分野)は受託研究による受入額(全分野)の約 4 倍である。

実施件数(特許については出願件数)のうち環境分野の実績は、全受託研究の 9.0%、全

共同研究の 6.2%、全特許出願件数の 5.6%である。共同研究の実施件数は、他の分野では増

加傾向にあるが環境分野では増えていない。

共同研究及び受託研究の実施件数及び受入額の対全国比(いずれも全分野)は、国立大

学等、公立大学等、私立大学等のうち、共同研究、受託研究ともに最も高いのは国立大学

等であり、共同研究については件数の対全国比が 10.1%、受入額が同 9.3%、受託研究につ

いては件数の対全国比が 16.8%、受入額が同 12.1%である。

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特許出願件数、特許権実施等件数、特許権実施等収入の対全国比についても、国立大学

等で対全国比がそれぞれ 12.0%、8.2%、10.1%であり、公立大学等、私立大学等の実績を上

回っている。

(2)九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)

九州経済産業局では、文部科学省の全国調査での手法に沿って、独自に九州管内の大学

等における産学連携等実施状況の調査を実施し、九州管内の大学等における共同研究、受

託研究、特許等の分野別実績をまとめている。

九州管内の大学等による平成 24 年度の共同研究の研究分野別実績を図 2-15 に、九州管

内の共同研究の平成 19年度から平成 24年度の研究分野別割合を図 2-16 に示す。非民間(国

や独立行政法人等)との共同研究を含めた 1,925 件の共同研究のうち環境分野は約 8%であ

る。環境分野の共同研究の実施数は、平成 21 年度には約 200 件に達したが、平成 22 年度

に減少しその後は大きく増えていない。

図 2-15 九州管内の共同研究の研究分野別割合(平成 24 年度)

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

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図 2-16 九州管内の共同研究の研究分野別割合(平成 19 年度~平成 24 年度)

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

九州管内の大学等による平成 24 年度の受託研究の実績を図 2-17 に、九州管内の受託研

究の研究分野別件数の平成 19年度から平成 24 年度の推移を図 2-18 に示す。非民間(国や

独立行政法人等)からの受託研究を含む 2,064 件のうち環境分野は約 12%である。環境分野

の受託研究の件数は、平成 20年度以降緩やかに増加しており、平成 21年度以降、200 件台

を維持している。

図 2-17 九州管内の受託研究の研究分野別割合(平成 24 年度)

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

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図 2-18 九州管内の受託研究の研究分野別件数の推移(平成 19年度~平成 24年度)

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

九州管内における大学等による平成 24 年度の特許出願件数及び特許保有件数の分野別割

合を図 2-19 に示す。特許出願件数 66 件中環境分野は約 7%、特許保有件数 1,311 件中環境

分野は約 7%である。

図 2-19 九州管内における大学等による平成 24年度の

特許保有件数及び特許出願件数

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

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九州管内における大学等による平成 24 年度の特許実施許諾等権利数及び収入額の分野別

割合を図 2-20 に示す。特許実施許諾等権利数 423 件中環境分野は約 8%、特許実施許諾等収

入額 104,996 千円中、環境分野は約 5%である。

図 2-20 九州管内における大学等による平成 24年度の

特許実施許諾等権利数及び収入額の分野別割合

(出典:九州経済産業局「九州管内の大学等における産学連携等実施状況調査結果(平成 24 年度実績)」)

九州における環境分野の共同研究の実施件数は平成 22 年度以降停滞しているが、一方、

受託研究に関しては緩やかな伸びを示している。環境分野の割合は、特許出願件数で全体

の約 7%、特許保有件数で全体の約 7%、特許実施許諾等権利数で約 8%、特許実施等収入額で

約 5%である。

2-4 まとめ

(1)九州の概況及び九州管内の産業の概況

九州の概況及び九州管内の産業の概況をまとめると以下のとおりである。

① 九州本島をはじめとする多くの島から構成されており、多くの活火山や温暖な気候な

どの地理的な特徴がある。

② 主要な交通インフラとして、九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道、東九州自

動車道などの高速道路網が整備されている。一方、人口や産業が集積する首都圏との

交通に関しては距離が遠いことから航空機が主要な交通手段となっている。

③ 九州の面積及び人口は概ね対全国比で 10%程度である。九州域内の総生産額も対全国

比 8.7%とほぼ人口と同等の比率である。

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45

④ 九州の主な産業は、製造業では、鋼船竣工実績で 30%を超えるシェアの造船業や、IC

生産金額で 30%近くのシェアの半導体産業、九州の北部にメーカーの主要な生産拠点

がある自動車産業などである。また、養豚業や養鶏業で全国トップクラスのシェアを

持つ九州南部をはじめとして、農林水産業が盛んな地域である。

⑤ 大気に関する環境関連指標のうち PM2.5 の環境基準達成率が全国平均と比べて低く、

海外からの汚染物質の影響を受けやすい。水質に関する環境関連指標のうち、内湾や

瀬戸内海沿岸域を中心に環境基準に達しない測定地点がみられる。廃棄物の種類につ

いては、鹿児島県や宮崎県など農業を主力産業とする県では、産業廃棄物の排出量に

占める農業系廃棄物の割合が高い特徴がある。

(2)全国の環境産業の概況

全国の環境産業の本調査の対象分野 10分野(大気、水質、土壌、騒音・振動、環境測

定・分析、環境調和型製品、廃棄物処理、リサイクル、新エネ・省エネ、環境関連サー

ビス)の概況は以下のとおりである。

1)全体的な概況

① 長期的に市場拡大傾向にある分野

大気分野の自動車関連、環境測定・分析分野の排気ガス分析系、分析装置、環境管理

システム、廃棄物処理分野の一般廃棄物及び産業廃棄物の処理、新エネ・省エネ分野の

蓄電池や次世代自動車などに関連する製品、環境関連サービス分野の自動車関連のリー

ス・レンタルなどである。

② 長期的に市場縮小傾向にある分野

大気分野の集じん装置・排煙脱硫装置(工場等の排気対策向け需要)、水質分野の水質

汚濁防止装置、騒音・振動分野の騒音・振動防止用装置・施設、環境測定・分析分野で

は環境アセスメント、環境関連サービス分野のリフォーム事業などである。

2)分野別の概況

① 大気

自動車関連の市場規模の拡大が予想される一方で、工場等の排気対策ニーズの集じん装

置・排煙脱硫装置などでは市場規模が縮小すると予想されている。

② 水質

大気汚染防止装置分野の 4 倍以上の市場規模であると予測されるが、水質汚濁防止装

置の受注額や分析機器の生産高の傾向から、水質分野の市場規模は縮小傾向にあるとみ

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られる。

③ 土壌

土壌汚染調査・対策事業の受注件数は、平成 17 年度~平成 19 年度にかけて最多であ

り、その後はこの時期の水準に回復していない。一方、土壌汚染判明件数が、受注件数

のピークとは異なる平成 22 年度以降で増えており、また、工業地における地価の変動率

も平成 24年(7月 1日基準)以降、下落傾向に歯止めがかかっていることから、土壌関

連分野のニーズが、土地の再開発を中心に伸びている可能性がある。

④ 騒音・振動

騒音・振動防止用装置・施設の市場規模は縮小傾向にある。騒音振動防止装置など一

部の製品の受注額が増加傾向にあるものの、その規模は小さく市場規模を押し上げるほ

どには影響しないとみられる。

⑤ 環境測定・分析

環境アセスメントの市場規模が大幅に縮小し、一方で分析装置と環境管理システムの

市場規模が拡大している。有害物質の分析に関する市場規模に拡大傾向はみられない。

この分野における市場拡大については、その大半は自動車需要の高まりによるものとみ

られ、環境測定・分析業そのものに成長の傾向はみられない。

⑥ 環境調和型製品

環境調和型製品のうち「塗料」の市場規模は縮小、「高抗張力鋼」「炭素繊維」の市場

規模が拡大、「アルミニウム」「マグネシウム」の市場規模は横ばいである。「塗料」「高

抗張力鋼」に関しては「建築」「自動車」などの需要による影響が、消費税増税前の駆け

込み需要による影響が大きいとされることから、完成品の需要との関連があると考えら

れる。

⑦ 廃棄物処理

廃棄物処理装置の市場規模が長期的推移で半減しており、廃棄物排出量も減少してお

り、廃棄物の処理量に関しては今後も減少傾向にあるとみられる。ただし、一般廃棄物

及び産業廃棄物の処理に関する市場規模は拡大傾向にあるとされており、廃棄物の処理

費用の増加や、規制等による廃棄物の処理方法の変化などにより、市場が拡大する可能

性がある。

⑧ リサイクル

鉄スクラップや非鉄金属などの素材の市場規模は、海外の需要による影響が大きく今

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47

後もこの傾向は変わらないと考えられる。国内に関しては、家電リサイクル法対象機器

の需要や、自動車の需要が長期的に減少するとみられることから、国内のリサイクル関

連市場は縮小傾向にあるとみらえる。

⑨ 新エネ・省エネ

新エネ・省エネに関する分野のうち、「自動車の低燃費化」「省エネルギー化」「クリー

ンエネルギー利用」について、成長のペースがやや鈍化していることから、現在の主力

製品について普及が一段落しつつあると考えられる。一方、再生可能エネルギーとの関

係が深い蓄電池や次世代自動車などについては、今後の大きな市場拡大が予想されてお

り、今後も有力な分野であるとみられる。

⑩ 環境関連サービス

建設機械器具のリースなど市場規模が拡大傾向にあるものから、住宅リフォームなど市

場規模が縮小傾向にあるものなど様々である。環境関連サービスと考えられる事業は非

常に幅広い分野にわたり、将来の市場規模の見通しは難しいが、同時に IoT(モノのイン

ターネット)などの新しい技術が導入される可能性も十分に高いと見込まれる。

(3)九州管内の環境産業の概況

九州管内の環境産業の本調査の対象分野 10分野(大気、水質、土壌、騒音・振動、環

境測定・分析、環境調和型製品、廃棄物処理、リサイクル、新エネ・省エネ、環境関連

サービス)の概況は以下のとおりである。

① 大気

大気汚染防止法に基づく全国の施設数 171,764 件に対して九州 7県の施設数は 14,841

件(対全国比 8.6%、以下同じ)、全国の届出工場・事業所数 69,289 件に対して九州 7 県

の届出工場・事業所数は 6,190 件(同 8.9%)である。いずれも対全国比 8%台であり、域

内総生産額の対全国比とほぼ同等の水準である。

② 水質

九州の下水処理人口普及率は 64.7%であり、全国における普及率 77.6%に対して 12.9%

低く、特に人口 30 万人未満の都市の下水処理人口普及率は全国に比べて低い。また、九

州の汚水処理人口普及率は 83.6%であり、全国の普及率 89.5%に対して 5.9%低く、この分

野における九州での対策は全体的に進んでいない。

③ 土壌

土壌汚染対策法第 4 条で定められている 3,000m2の土地に対して 50cm 以上の掘削や形

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48

質変更の届出件数は九州7県では1,290件(全国における届出件数10,848件に対し11.9%)

である。近畿地区とほぼ同等の水準であり、かつ人口の対全国比とほぼ同等の水準である。

④ 騒音・振動

平成 24 年度の振動規制法における九州の特定工場等の届出総数は、全国の 126,865 工

場等に対して 6,920 工場等であり、対全国比 5.5%である。また、同法における九州にお

ける特定施設の届出件数は、全国854,820施設に対して34,255施設であり、対全国比4.0%

である。いずれも、人口や域内総生産額の対全国比と比べて低い水準である。

⑤ 環境測定・分析

環境測定・分析を行う事業者にとって必須となる事業許可である計量証明業について、

全国における計量証明業の事業所数は 843 事業所(うち本社 115 事業所)、年間売上高は

221,519 百万円であるが、これに対し九州における計量証明業の事業所数は、85 事業所(う

ち本社 15 事業所)、年間売上高は 19,216 百万円である。事業所数の対全国比は 10.1%、

年間売上高の対全国比は 8.7%であり、人口や域内総生産額の対全国比とほぼ同等である。

⑥ 環境調和型製品

「PRTR 制度に基づく塗料に関する排出量(平成 25 年度排出分)」の推計における都道

府県への配分指標の値を塗料とみなして、需要の規模を比較した建築塗装の完成工事額

は全国で 390,755 百万円であるが、九州 7県では 27,444 百万円であり、対全国比は 7.0%

である。

⑦ 廃棄物処理

環境省の平成 22 年度の産業廃棄物処理業の市場規模推計は、九州・沖縄における市場

規模は約 5,800 億円弱であり、全国規模に対して約 10.9%の規模となっている。また、推

計される売上高の割合が中間処理よりも収集運搬業で高い点に特徴がある。

⑧ リサイクル

家電リサイクル法に基づく平成 26 年度の九州における引取台数は、全国の 108,617 台

に対して 8,229 台(対全国比 7.6%)であり、人口や域内総生産額の対全国比と比べて低

い水準である。

⑨ 新エネ・省エネ

平成 27 年 6月環境経済観測調査では環境ビジネスに関して、実施しているとした企業

は 20.6%と前回調査より 1.5%減少したが全国調査(19.9%)を上回り、現在実施している

環境ビジネスについては再生可能エネルギーが 38.8%と全国(22.4%)と比べて突出して

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49

高い。

⑩ 環境関連サービス

総合リース業及び物品賃貸業において事業所数の対全国比に対する年間売上高の対全

国比が半分以下の水準になっている。

(4)九州管内の大学が実施する環境関連分野の委託研究・共同研究実績

1)環境分野に関する大学等における産学連携等実施状況

① 民間企業との共同研究の実施件数と受入額

九州における共同研究の実施件数及び受入額は、国立大学等では1,367件(対全国比10.1%、

以下同じ)、受入額 2,837,357 千円(同 9.3%)、公立大学等では 56 件(同 4.7%)、受入額 63,991

千円(同 3.6%)、私立大学等では 121 件(同 3.9%)、受入額 213,586 千円(同 3.2%)である。

② 民間企業からの受託研究実施件数

九州における大学等の民間企業からの実施件数及び受入額は、国立大学等で 371 件(対

全国比 16.8%、以下同じ)、520,034 千円(同 12.1%)、公立大学等で 22 件(同 3.8%)、19,021

千円(同 2.8%)、私立大学等で 175 件(同 4.5%)、413,251 千円(同 7.4%)である。

③ 特許

環境分野の実施件数は、受託研究が全体の 9.0%、次に共同研究の 6.2%、特許出願件数の

5.6%である。全分野での受入額が最大の共同研究に関しては、他の分野での件数が増加傾

向を示しているが、環境分野に関する件数は伸びていない。

2)九州管内の大学等における産学連携実施状況

平成 24 年度における九州経済産業局の調査結果によると、非民間との共同研究を含めた

1,925 件の共同研究のうち環境分野は約 8%である。環境分野の共同研究の実施数は、平成

21年度には約200件に達したが、平成22年度に減少しその後は大きく増えていない。

九州管内における大学等による平成 24 年度の特許出願件数及び特許保有件数の分野別割

合について、特許出願件数 66件中環境分野は約 7%、特許保有件数 1,311 件中環境分野は約

7%である。

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50

第 3 章 九州管内の公害防止等技術を持つ環境関連分野の中小企業の現状と課題

3-1 アンケート調査

3-1-1 調査概要

(1)アンケート項目

各事業所の環境関連分野の現状及び経営課題を把握するために、アンケート項目は以下

の通りとした。

① 主要事業とその強み

② 環境事業との関連

③ 外部機関との連携や活用

④ 知的財産の活用

⑤ 海外展開

⑥ 経営課題

⑦ 支援への要望

(2)対象事業者の抽出方法

文献調査に基づいた九州管内の産業の実態に加え、本調査の第 1 回委員会における委員

からの意見(例:九州の特徴と関連のある事業者を含める)も反映し、九州の特徴的な産

業である農業などの第一次産業や、離島などの地理的特徴を生かす視点も加え対象事業者

を選定した。アンケート調査の期間、方法、発送件数、回答数、回答率を表 3-1 に示す。

表 3-1 アンケート調査 期間・方法・発送件数・回答数・回答率

項 目 内 容

期 間 平成 27 年 11 月~平成 27年 12 月

方 法 アンケート調査票の郵送

返信用封筒及び FAX による回収

発送件数(件) 835

回答数(件) 251

回答率(%) 30.1

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51

(3)アンケート発送件数、回答数及び回答率

アンケート調査票 県別発送件数、回答数、回答率を表 3-2 に示す。

表 3-2 アンケート調査 県別発送件数、回答数、回答率

県 名 発送件数

(件)

回答数

(件)

回答率

(%)

福 岡 321 88 27.4

佐 賀 65 12 18.5

長 崎 111 44 39.6

熊 本 91 27 29.7

大 分 109 45 41.3

宮 崎 71 19 26.8

鹿児島 67 16 23.9

合 計 835 251 30.1

(4)業種別回答数及び回答率

アンケート調査の業種別発送件数、回答数及び回答率を表 3-3 に示す。

表 3-3 業種別回答数及び回答率

項 目 発送件数

(件)

回答数

(件)

回答率

(%)

製造業 458 118 25.8

非製造業 377 133 35.3

(うち情報サービス業) 61 19 31.1

(うち卸売業・小売業) 59 30 50.8

(その他の産業、その他のサー

ビス業、物品賃貸業) 257 84 32.7

合計(製造業+非製造業) 835 251 30.1

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52

(5)資本金区分別回答数

アンケート回答事業者の資本金区分別回答数を表 3-4 に示す。

表 3-4 アンケート回答事業者 資本金区分別回答数

区 分 回答数

(件)

100 万円未満 4

100 万円以上~1000 万円未満 56

1000 万円以上~1 億円未満 183

1 億円以上 6

未記入 2

合計 251

(6)環境関連事業の実施状況

業種別の環境関連事業の有無に関する回答結果を図 3-1 に示す。

図 3-1 アンケート回答事業者 環境関連事業の有無[業種別]

5

2

22

24

64

38

2

14

0

7

8

55

15

0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.情報サービス業

b.物品賃貸業

c.その他のサービス業

d.卸売業・小売業

e.製造業

f.その他の産業

未記入

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53

3-1-2 調査結果

(1)主要事業

環境関連事業がある事業者における主要事業を図 3-2 に、環境関連事業がない事業者に

おける主要事業を図 3-3 に示す。環境関連事業がある事業者では環境関連事業のない事業

者に対して企画・提案の回答数が多くなる傾向がある。

図 3-2 主要事業[環境関連事業有り](複数回答)

図 3-3 主要事業[環境関連事業無し](複数回答)

52

27

32

37

28

29

33

7

4

10

4

44

0 10 20 30 40 50 60

販売

企画・提案

設計

組立・加工(自社設計)

組立・設計(自社設計以外)

生産(組立・加工以外)

研究開発(自社)

研究開発(自社以外)

賃貸・リース

労務提供

人材派遣

その他(件)

23

7

17

19

27

16

9

6

3

6

4

10

0 5 10 15 20 25 30

販売

企画・提案

設計

組立・加工(自社設計)

組立・設計(自社設計以外)

生産(組立・加工以外)

研究開発(自社)

研究開発(自社以外)

賃貸・リース

労務提供

人材派遣

その他 (件)

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54

(2)主要事業の展開地域

環境関連事業がある事業者における主要事業の展開地域を図 3-4 に、環境関連事業がな

い事業者における主要事業の展開地域を図 3-5 に示す。「九州」に対して「国内(九州外の

地域)」の回答数が回答数比で約半数程度に達している。環境関連事業の有無による違いは

みられない。

図 3-4 主要事業の展開地域[環境関連事業有り](複数回答)

図 3-5 主要事業の展開地域[環境関連事業無し](複数回答)

130

76

17

8

0 50 100 150

a.九州

b.国内(九州外の地域)

c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり)(件)

75

49

8

4

0 20 40 60 80

a.九州

b.国内(九州外の地域)

c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり) (件)

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55

(3)主要事業の強み(選択回答)

環境関連事業がある事業者における主要事業の強みを図 3-6 に、環境関連事業がない事

業者における主要事業の強みを図 3-7 に示す。「技術力」、「独自性」、「設備装備」、「経験・

実績」、「アイデア・創意工夫」などの回答数が多く、環境関連事業の有無による明確な違

いはみられない。

図 3-6 主要事業の強み[環境関連事業有り](複数回答)

図 3-7 主要事業の強み[環境関連事業無し](複数回答)

105

50

26

12

46

86

41

3

27

22

7

0 20 40 60 80 100 120

a.技術力

b.独自性

c.迅速(または24時間)サポート

d.外部とのネットワーク

e.設備・装置

f.経験・実績

g.アイデア・創意工夫

h.外国語対応能力

i.人材

j.価格

k.その他(件)

67

26

15

3

18

49

17

1

16

10

2

0 10 20 30 40 50 60 70 80

a.技術力

b.独自性

c.迅速(または24時間)サポート

d.外部とのネットワーク

e.設備・装置

f.経験・実績

g.アイデア・創意工夫

h.外国語対応能力

i.人材

j.価格

k.その他 (件)

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56

(4)主要事業の売上額

主要事業の売上額の最近 3 年間の傾向を図 3-8 及び図 3-9 に示す。[環境関連事業有り]

で「増えている」と回答した事業者が多くなっている。

図 3-8 主要事業の売上額[環境関連事業有り]

図 3-9 主要事業の売上額[環境関連事業無し]

65

69

14

0 10 20 30 40 50 60 70 80

a.増えている

b.ほぼ横ばい

c.減っている

(件)

29

47

14

0 10 20 30 40 50

a.増えている

b.ほぼ横ばい

c.減っている

(件)

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57

(5)環境関連事業の内容・実施体制

1)代表的な環境関連事業の内容

環境関連事業の分野を図 3-10 及び図 3-11 に示す。[製造業]では、「エネルギー」、「水質」、

「廃棄物」、「リサイクル資源」が多く、「製品自体の環境負荷」や「サービスによる環境負

荷低減」は少数である。[非製造業]では「廃棄物」「リサイクル資源」「エネルギー」が多

い。「廃棄物」「リサイクル資源」が多い理由は、廃棄物処理業の事業者の多くが[非製造業]

として回答していることによる。

図 3-10 環境関連事業の分野[製造業]

図 3-11 環境関連事業の分野[非製造業]

11

18

9

5

3

6

13

17

28

3

0 5 10 15 20 25 30

a.大気

b.水質

c.土壌

d.騒音・振動

e.環境測定・分析

f.製品自体の環境負荷

g.廃棄物

h.リサイクル資源

i.エネルギー

j.サービスによる環境負荷低減 (件)

30

37

22

13

12

12

57

46

61

23

0 10 20 30 40 50 60 70

a.大気

b.水質

c.土壌

d.騒音・振動

e.環境測定・分析

f.製品自体の環境負荷

g.廃棄物

h.リサイクル資源

i.エネルギー

j.サービスによる環境負荷低減 (件)

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58

2)関連性の強い環境関連分野

主要事業と環境関連事業との関連に関する[製造業]の回答結果を図 3-12 に示す。「a.主

要事業が環境関連事業である」と回答した事業者の事業内容は、主に主要事業と環境関連

事業が同じ場合や、主要事業の生産品が環境関連分野である場合があることが多かった。

「b.主要事業を応用した(発展させた)事業である」と回答した事業者の事業内容も、主

力事業の生産品が環境関連分野であることが多かった。

「c.主要事業とは異なる系統の新規事業である」についても、実際には、その多くは「主

要事業を応用した(発展させた)事業である」と同様であり、主力事業における生産品が

環境関連事業であるものが多かった。

図 3-12 主要事業と環境関連事業との関連[製造業]

25

19

15

0 5 10 15 20 25 30

a.主要事業が環境関連事業である

b.主要事業を応用した(発展させた)

事業である

c.主要事業とは異なる系統の新規事

業である(件)

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59

環境関連事業との関連についての[非製造業]における回答を図 3-13 に示す。[製造業]と

それぞれの回答数の比率についての傾向には大きな差はみられない。

図 3-13 主要事業と環境関連事業との関連[非製造業]

76

48

20

0 10 20 30 40 50 60 70 80

a.主要事業が環境関連事業である

b.主要事業を応用した(発展させた)

事業である

c.主要事業とは異なる系統の新規事

業である(件)

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60

[非製造業]には情報サービス業、物品賃貸業、その他のサービス業、卸売業・小売業、

製造業、その他の産業が含まれる。主要事業と環境関連事業との関連についての[非製造業]

における業種別回答を表 3-5 に示す。ただし、物品賃貸業の回答数が傾向を把握できるほ

どの回答数ではなかったため、ほかの区分について整理している。[製造業]では、バイオ

マスボイラーや LED など環境負荷低減につながるものとして普及政策をとられている製品、

非製造業では廃棄物処理業などが多かった。加工による省エネ性向上、耐久性向上、環境

負荷低減につながるビジネスモデルなどの回答も想定したが、これらの回答はほとんどな

かった。

表 3-5 主要事業と環境関連事業との関連[業種別回答傾向]

業種 内容

情報サービス業 ・省エネや環境対策、修理点検など、環境関連分野とのつながりの

あるソフトウェアの開発など

その他のサービス業 ・廃棄物処理業(この区分で回答)、その他の企業が、半数程度に

分かれるが、ほぼ「主要事業が環境関連事業である」と回答

卸売業・小売業 ・「主要事業が環境関連事業である」はスクラップあるいは環境関

連機器、薬剤等などの販売が中心

・「主要事業を応用した(発展させた)事業である」はスクラップ

販売を除き、「主要事業が環境関連事業」と同様の傾向

・「主要事業とは異なる系統の新規事業である」は太陽光発電事業

であることが多い

その他の産業 ・主に建設業か廃棄物処理業がこの区分で回答

・廃棄物の処理業では主要産業の区分に関係なく廃棄物の処理に関

する事業について回答し、建設業ではリフォームなどを回答

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61

3)事業展開地域

環境関連事業に関する事業展開地域を図 3-14 及び図 3-15 に示す。

製造業では「九州」の回答数 50 件に対して「国内(九州外の地域)」の回答数が 35 件、

非製造業では「九州」の回答数 130 件に対して「国内(九州外の地域)」が 66 件含まれて

いた。製造業、非製造業のいずれでも、事業展開地域を「国内(九州外の地域)」とする回

答が、「九州」のみとする事業者に対して半数を超えており、九州外に事業展開する環境関

連企業が多い。

図 3-14 事業展開地域[環境事業・製造業]

図 3-15 事業展開地域[環境事業・非製造業]

50

35

8

3

0 10 20 30 40 50 60

a.九州

b.国内(九州外の地域)

c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり)(件)

130

66

11

6

0 20 40 60 80 100 120 140

a.九州

b.国内(九州外の地域)

c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり)(件)

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62

4)他社との連携

環境関連事業に関する他社との連携状況についての回答結果を図 3-16 に示す。他社との

連携に関する回答結果について従業員数別に整理した結果を示す。企業規模に関わらず何

らかの方法により連携をとっている場合が多い。

図 3-16 環境関連事業における他社との連携

16

45

22

12

8

26

6

9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

a.あり

b.なし

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63

5)実施体制

環境関連事業に従事する人数[従業員数別]を図 3-17 に示す。環境関連事業に従事する人

数が 10 人以上であるのは「10 名~49 名以上」の区分で 4 割、それ以上の区分では回答し

た事業者の半数以上に達している。

図 3-17 環境関連事業に従事する人数[従業員数別]

図 3-17 の結果について、廃棄物処理業で収集運搬や処理などに多くの従業員が従事して

いる例がみられたため、他の業種における傾向を確認するため廃棄物処理業を除外して集

計した結果を図 3-18 に示す。図 3-17 と図 3-18 の結果には大きな差はみられず、50名未満

の事業者である場合、環境関連事業に従事する人数は半数程度の事業者で 5 名未満の小規

模な体制であるとみられる。

図 3-18 環境関連事業に従事する人数[従業員数別・廃棄物処理業除く]

11

19

5

2

12

18

3

3

5

7

5

2

0

31

17

14

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

a.1~2人

b.3~5人

c.6~10人

d.10人以上

11

18

5

2

11

17

3

3

4

7

5

2

0

18

9

10

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

a.1~2人

b.3~5人

c.6~10人

d.10人以上

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64

環境関連産業の増員状況と売上高の推移を、環境関連事業に従事する人数ごとに集計し

た結果を図 3-19 及び図 3-20 に示す。環境関連事業に従事する人数が 1~2人の場合、ほと

んどの事業者では増員していない。調査対象とした 3 年の期間を事業が軌道に乗るまでに

必要とした可能性がある。

図 3-19 環境関連事業における増員状況[従事人数別]

図 3-20 環境関連事業の過去 3年の売上高推移[従事員数別]

7

7

8

26

26

19

9

28

3

6

1

6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.1~2人

b.3~5人

c.6~10人

d.10人以上

a.増員した

b.変わりない

c.減員した

11

13

8

26

22

17

6

30

3

4

5

6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

a.1~2人

b.3~5人

c.6~10人

d.10人以上

a.増えている

b.ほぼ横ばい

c.減っている

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65

(6)環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用

環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用の有無についての[従業員数

別]回答結果を図 3-21 に示す。従業員数が 50 名未満の事業者で活用例が多い。

図 3-21 環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用[従業員数別]

環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用状況に関する[業種別]の結果

を図 3-22 に示す。母数の少ない「物品賃貸業」を除くと、「製造業」などで活用例が多い。

図 3-22 環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用[業種別]

16

59

10

7

14

31

27

18

0% 20% 40% 60% 80% 100%

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

a.連携・活用

したことがある

b.連携・活用

したことがない

1

2

10

6

29

16

0

63

8

0

16

19

49

28

2

118

0% 50% 100%

a.情報サービス業

b.物品賃貸業

c.その他のサービス業

d.卸売業・小売業

e.製造業

f.その他の産業

未記入

全体

a.連携・活用したことがある

b.連携・活用したことがない

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66

環境関連事業において活用した外部機関を図 3-23 に示す。「大学・高等専門学校等」が

最も多く、次いで「中小企業等支援機関」、「自治体」などである。

図 3-23 環境関連事業において活用した外部機関(複数回答)

27

13

10

31

22

14

0 5 10 15 20 25 30 35

①中小企業等支援機関

②公設試

③商工会議所・商工会

④大学・高等専門学校等

⑤自治体

⑥研究会・異業種・同業種団体 (件)

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67

活用状況を支援機関別に整理した結果を表 3-6 に示す。「販路開拓・顧客発掘」「ネット

ワークづくり」については、「公設試験研究機関」以外の支援機関が幅広く活用されている。

一方、「技術的課題の解決」では「大学・高等専門学校」あるいは「公設試験研究機関」、「研

究者との提携」では「大学・高等専門学校」、「資金調達」では「中小企業支援機関」や「自

治体」などある程度活用先が決まっているものもみられる。

表 3-6 外部機関毎の活用目的

①中小企

業等支援

機関

②公設

試験研

究機関

③商工会

議所・商

工会

④大学・

高等専門

学校

⑤自治体

⑥研究

会・異業

種・同業

種団体

総数 27 13 10 31 22 14

目的 a.販路開拓・顧客発掘 8 0 5 2 6 7

b.ネットワークづくり 3 0 2 6 2 7

c.事業パートナーの確保 0 1 0 0 1 5

d.技術的課題の解決 4 5 0 13 1 1

e.技術移転 0 2 0 1 1 0

f.研究者との提携 3 1 0 15 1 1

g.企業との提携 2 0 1 0 1 1

h.コスト的課題の解決 0 1 0 0 0 0

i.商標・特許対策 1 0 0 2 2 0

j.資金調達 7 0 2 0 10 0

k.補助・助成活用 11 3 3 3 2 0

l.広告・宣伝への活用 1 0 1 0 3 0

m. その他 2 2 0 3 0 1

(単位:件)

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68

それぞれの支援機関について、複数の支援機関の活用傾向は以下のとおりであった。

① 中小企業等支援機関

27 件中 21 件で複数の支援機関を利用していた。利用先は 11件が「自治体」、9 件が「大

学・高等専門学校」、8件が「商工会議所・商工会」や「自治体」、5件が「公設試験研究機

関」であり、3種類以上の支援機関を活用しているのは 12 件であった。「補助・助成活用」、

「販路開拓・顧客発掘」、「資金調達」の目的で利用する場合が多かった。

② 公設試験研究機関

13 件中、複数の種類の支援機関を活用しているのは 9 件、3 箇所以上の支援機関を活用

するのは 5件であった。主なものは「中小企業等支援機関」が 6件、「大学・高等専門学校」

が 5 件などであった。「技術的課題の解決」を目的とした利用が多かった。

③ 商工会議所・商工会

10 件中、複数の種類の支援機関を活用しているのは 9 件あり、その 9 件中、8 件で「中

小企業支援機関」を利用していた。「販路開拓・顧客発掘」を目的として活用する場合が多

かった。

④ 大学・高等専門学校

31 件中、複数の種類の支援機関を活用しているのは 19 件であり、12 件は「大学・高等

専門学校」のみを利用している。「中小企業支援機関」あるいは「商工会議所・商工会」を

活用する企業と、「自治体」あるいは「研究会・異業種・同業種団体」を活用する企業にほ

ぼ 2 分されている。「技術的課題の解決」や、「研究者との提携」の目的で利用する場合が

多かった。

⑤ 自治体

22 件中、複数の種類の支援機関を活用しているのは 18件、3 種類の支援機関を活用する

のは 12 件あった。18件中、「中小企業支援機関」を活用しているのは 11 件、このうち 5件

は「研究会・異業種・同業種団体」を活用している。「資金調達」を目的として活用する場

合が多いが、「販路開拓・顧客発掘」の目的で利用する例もみられた。

⑥ 研究会・異業種・同業種団体

14 件中、複数の種類の支援機関を活用しているのは 11 件で、「中小企業支援機関」が 8

件、「自治体」が 7件、「大学・高等専門学校」が 6件などであった。「販路開拓・顧客発掘」

や、「ネットワークづくり」、「事業パートナーの確保」を目的として利用する場合が多かっ

た。

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69

(7)知的財産の活用

取得している権利の種類、海外での取得状況について確認した結果を表 3-7 に示す。知

的財産の活用状況について回答した事業者は 169 件であり、このうち知的財産を取得して

いないと回答した事業者は 129 件である。一方、取得している知的財産は以下のとおりで

あり、「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」のうち、主に取得しているものは「特

許権」「商標権」である。

表 3-7 環境関連事業で取得している知的財産の種類及び取得地域

特許権 実用新案権 意匠権 商標権

国内(件) 海外(件) 国内(件) 海外(件) 国内(件) 海外(件) 国内(件) 海外(件)

23 2 5 1 5 0 17 0

(8)海外展開

環境関連事業における海外展開の実施状況を図 3-24 に示す。「現在、海外事業を展開中」

が 22件、「現在は取り組んでいないが、海外での事業展開を行う考えはある」が 43件であ

る。

図 3-24 環境事業の海外展開の実態

22

43

94

0 20 40 60 80 100

a.現在、海外事業を展開中

b.現在は取り組んでいないが、海外

での事業展開を行う考えはある

c.海外について取り組む考えはない

(件)

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70

現在海外事業を展開する企業における事業内容を表 3-8 に示す。「輸出入」が 11 件と最

も多く、海外に現地拠点を持つ企業は 3社である。

表 3-8 海外事業を展開する企業の事業内容(複数回答)

項目 件数(件)

輸出入 11

現地販売(現地拠点あり) 3

現地販売(現地拠点なし) 6

製造・販売以外のサービス 2

その他 1

現在展開中の国と今後の事業展開についての考えについて、今後事業を拡大すると回答

した地域を表 3-9 に示す。回答の多い順に中国、東南アジア、韓国、欧州の順である。

表 3-9 現在展開中の国と今後の事業展開についての考え(複数回答)

地域

a. 今後、事

業を拡大

b. 今後、事

業の縮小

c.事業撤退ま

たは移転

d.現地進出を

検討中

e.取引(現地拠

点を持たない)

を検討中

全体 22 43 94 1 0

中国 11 0 0 0 0

韓国 3 0 0 0 0

東南アジア 6 4 0 0 0

欧州 2 0 0 0 0

北米 1 0 0 0 0

その他 0 0 0 0 0

(単位:件)

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71

(9)環境関連事業の展開に関する経営課題

環境関連事業の展開に関する経営課題について、従業員数別に整理した結果及びその背

景となる点について、従業員数別に整理した結果を図 3-25 及び図 3-26 に示す。「市場の縮

小」から「単価の下落」の 4 つに回答が集まる傾向がみられる。また「普及制度の見直し・

変更」の回答数は従業員数の少ない企業で多く、特に小規模な企業では普及制度による支

援を特に必要としている可能性がある。

図 3-25 環境関連事業に関する経営課題

図 3-26 経営課題に関する背景

12

19

18

13

4

0

21

32

27

40

11

2

14

14

12

17

5

2

8

12

10

13

2

1

0 20 40 60

a. 新しい事業の創出

b. 顧客・販路拡大

c. 収益性の向上・事業の安定化

d.人材の確保・育成

e.後継者育成

f.その他

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

(件)

4

8

6

5

1

9

8

21

29

18

23

6

5

10

7

12

9

10

7

3

2

6

7

7

1

1

3

0

0 20 40

a. 市場の縮小

b. 競争相手の増加

c. 景気の低迷

d.単価の下落

e.円安によるコスト上昇

f.普及制度の見直し・変更

g. その他

10名未満

10~49名

50名~99名

100名以上

(件)

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72

(10)まとめ

アンケート調査の結果は以下のとおりであった。

① 環境関連事業を行う企業の事業活動の範囲は、九州地域外を活動範囲とする企業が多

く、特に製造業でその傾向が強い。九州域外での事業展開も考慮した支援が求められ

る。

② コスト面の課題の解決や広告・宣伝への活用を目的として、支援機関を活用した例が

ほとんど確認されなかった。これらのニーズに対する支援機関の活用の仕方について

の周知が必要である。

③ 環境関連企業における知的財産の保有状況について、今回の調査で確認した例では特

許権あるいは商標権を中心に保有し、保有する地域は国内が中心であった。環境関連

企業の支援に関しては国内を中心とした知的財産対策の支援を行うことが必要である

と考えられる。

④ 現状では数は少ないものの、海外展開を行う企業がみられ、その多くは現地に拠点を

持たずに行っている。現地進出をともなわない海外進出支援を進めることが重要であ

ると考えられる。

⑤ 公的試験研究機関や大学は、技術的なニーズを解決するための機関として認識されて

おり、支援機関としての役割が明確になっている。一方、販路開拓・顧客発掘、ネッ

トワークづくりには、様々な支援機関が活用されていることから、環境関連事業を展

開する企業におけるニーズが高いと考えられ、また支援のための情報が各支援機関に

分散している可能性もある。企業の支援に関する情報を共有するなど、より効果的な

対策が必要になると考えられる。

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73

3-2 ヒアリング調査

3-2-1 調査概要

アンケート調査を行った企業を中心にヒアリングを行った。ヒアリングでは活用した支

援策の内容、環境関連事業についての詳細、今後の見通し等について確認した。ヒアリン

グ調査の実施期間・分野・調査数を表 3-10 に示す。

表 3-10 ヒアリング調査の実施期間・分野・調査数

項 目 内 容

実施期間 平成 27 年 12 月~平成 28年 1 月

分 野 環境調和型製品、環境配慮型サービス、新エネ・省エネ

廃棄物処理・リサイクル、農業・林業・漁業、離島(の企業)、その他

調査数(件) 51

3-2-2 調査結果

製品についての調査結果は、取組の特徴、支援の内容、課題をそれぞれまとめ、取組の

きっかけ、九州に立地することの特徴に関しては分野横断的に一括して整理した。

(1)環境調和型製品

1)取組の特徴

環境調和型製品を製造する企業における取組の特徴は次のようなものである。基本的には、

自社で扱う素材・原料を加工する技術や製品の安全性などを強みとする傾向がみられる。

・シラスバルーンから均一なサイズの中空体を取り出す技術を活かした水垢落とし

・船舶、プラント向け部材加工の経験に基づく表面加工処理

・無添加石けんの技術を活かした石けん系消火剤

・特殊金属(チタン)加工技術による熱交換器などの応用製品

・高耐久性を実現できる表面処理(めっき)技術

・自社開発(自社特許保有)の技術により塗膜耐久性を高めた光触媒コート

2)活用した支援やメリット

活用した支援内容に関する回答を表 3-11 に示す。開発に係る補助金を活用する例が多く

確認されている。

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74

表 3-11 活用した支援やメリット[環境調和型製品]

環境関連事業 活用先 内 容 メリット

水垢除去剤・施工 支援機関(公設

試験研究機関)

サンプル提供、分析 性能評価の客観性

の向上

石けん系消火剤 大学、国(政令

指定都市)等

評価試験 性能評価の客観性

の向上

光触媒チタンコート 自治体(県) トライアル発注(認定

及び有用性評価)

製品の認知度向上

管渠検査ロボット 支援機関・大学 技術交流、開発助成

金、展示会出展

製品の認知度向上

漆喰セラミック 国(経済産業省) 補助金(開発) 開発資金の獲得

殺菌システム 大学 技術連携 技術面の強化

排水検査キット 国等 補助金(開発) 開発資金の獲得

大学等 共同研究

チタン応用製品 国 補助金(開発) 開発資金の獲得

3)今後に向けた課題

今後に向けた課題に関する回答を表 3-12 に示す。後継者育成を課題と考える意見もある

が、人材やパートナー、商品などの項目にみられるように販売面の強化が課題であると考

える企業が多い。

表 3-12 今後に向けた課題[環境調和型製品]

項目 内容

人材 ・後継者育成。会長、社長が施工・販売まで担当して人材が少ない

パートナー ・海外マーケット展開のための信頼あるパートナーの獲得

商品 ・自社技術の応用製品によるサービス展開

・中間マージンが自社の採算ベースに乗る海外向け販売網の構築

知名度 ・自社製品の認知のための会社の知名度の向上

・応用開発ができる企業としての知名度・認知度の向上

その他 ・自社の知名度を向上及び信頼の獲得

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(2)環境関連サービス

1)取組の特徴

環境関連サービスの事業者の取組についての特徴的な内容は以下のとおりである。

この分野では、機器そのものの開発も含まれるが、自社で提供するサービスの内容で差

別化する、あるいはこれまでにない仕組みをつくっていくような取組がみられる。

・半導体のテスト設計の経験を活かした太陽光アレイ検査サービス

・洗浄水の環境負荷の少ない防滑塗装

・住宅リフォーム及び合併浄化槽の設計~施工

・住宅リフォーム(住宅リフォームの効果を最大限にあげるための住宅リフォーム)

・飼料用トウモロコシの地域循環型サービス

・行政向けシステムの企業による、大気の監視システムの開発と施工

・エネルギーの地産地消モデルの構築

・超小型モビリティを利用したエコツーリズムによる地域づくり

・自然体験型環境教育による地域づくり

2)活用した支援やメリット

活用した支援やメリットを表 3-13 に示す。インキュベーションの活用や、開発のための

補助金の活用、事業化に係る補助金を活用した例が確認されている。

表 3-13 活用した支援やメリット[環境関連サービス]

環境関連事業 活用先 内 容 メリット

バイオ菌による洗浄サ

ービス

支援機関(中小企業基

盤整備機構)

インキュベーシ

ョン

開発環境の向上

行政支援(各種)

太陽光パネル検査装置 支援機関(国立研究開

発 法 人 新エ ネ ルギ

ー・産業技術総合開発

機構(NEDO))

補助金(開発) 開発資金の獲得

食品廃棄物地域循環サ

ービス

国(環境省) 補助金(事業化) サービスの確立

超小型モビリティによ

る地域活性化事業

大学、支援機関(公設

試験研究機関)

共同研究 実証試験の場の獲得

道路の防滑サービス 自治体(県)、支援機

関(商工会議所)等

出展、プレゼン

テーション

サービスの認知度の

向上、情報収集

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3)今後に向けた課題

今後に向けた課題に関する回答を表 3-14 に示す。主な意見は、国の施策に関することで

あり、具体的には地域の実態ニーズにあった支援内容となるような支援策の実施を求める

意見が多い。

表 3-14 今後に向けた課題[環境関連サービス]

項 目 内 容

人 材 ・住宅リフォーム業界全体で若年層人材が不足し施工の質の低下が懸念

される

・大企業と比べて中小企業では、人事処遇制度づくりが遅れており、事

業を拡大する上での支障になっている可能性がある

・数年の実務経験のある即戦力人材が必要にもかかわらず、全て東京や

大阪に行ってしまい全然人員が集まらない

パートナー ・自社の技術を用いて製品を作るパートナーとの協定

・行政、企業、NPO の役割分担のうち、NPO の役割に対する価値が低く

事業ベースに乗せることが難しい

知名度 ・自社の認知度の向上が課題である(複数事業者より)

その他 ・国による普及策は全国で内容が共通で、地元のニーズとは異なるため

に補助金等を活用できない(例:耐震工事)

・環境対策製品の認定は製品単位なので、性能的に優れた部材があって

も認定された製品でなければ使用することができない

・エネルギー関連分野の政策が重視される一方で、地元にはニーズがあ

るのにも関わらず環境関連分野の課題に対する補助額が減少されつ

つある

・国でしか集めることができない情報には、企業にとって重要なものが

あり新事業を展開する上の分析に役立っているので、今以上に企業等

に役立つ情報の公開を促進してほしい

・補助制度に係る事務書類上の手続が複雑かつ膨大であり、補助金の事

務手続きのための人件費を捻出できない

・ものづくりにはソフトウェア開発が伴い、その費用の大半は労務費で

あるが、現在の研究開発関連の補助制度は、ハードウェアに使うこと

ができても労務費に使えるものが少ないので、活用できる補助金の種

類が限られてしまう

・地熱発電・水力発電を進める上では権利者との調整が大変で、一企業

で対応できるものではないと感じる

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(3)新エネ・省エネ

1)取組の特徴

確認された取組の例は、主に次のようなものである。自社の事業領域で培われた技術が

生かされていることが多い。

・造船の分野で培われた流体に関する知見を活かした潮流発電(実証)

・高濃度溶存酸素水生成システムによる養殖への応用(実証)

・自社開発の大型 LED 照明製品によるディスプレイ、医療分野への応用展開

・半導体分野からスマート電源の商品展開

・大学で開発された風力発電の商品化のために設立された産学連携

2)活用した支援やメリット

活用した支援や得られたメリットについて表 3-15 に示す点を挙げている。ナノ蛍光体や

電力自動制御システムなどのように、技術開発に係る支援を活用した事例があった。また、

省エネルギー照明などでは知的財産対策などのメリットが得られたとの意見があった。

表 3-15 活用した支援やメリット[新エネ・省エネ]

環境関連事業 支援を活用した機関 内 容 メリット

風力発電メンテナ

ンス

国(国土交通省、厚生

労働省)

補助金(異分野進出)、

補助金(雇用)

異分野進出

雇用確保

太陽光発電

システム

自治体(県) 補助金(出展) 認知度の向上

情報収集

風力発電装置 自治体(県) 補助金(開発) 技術開発

ナノ蛍光体 支援機関(産業技術総

合研究所)

技術移転 技術移転

国(経済産業省) 補助金(開発) 技術開発の促進

電力自動制御シス

テム

支援機関(中小企業団

体中央会)

補助金(開発) 技術開発の促進

支援機関

(県工業連合会)

知財支援 知的財産対策

自治体(県) リーディング

企業認定

技術開発~事業化

計画までのサポー

トチームの支援

省エネルギー照明 国(経済産業省) 知財支援(経営支援) 知的財産対策

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3)今後に向けた課題

今後に向けた課題について次のような意見があった。

・実証による実例を増やすことで、システムの採用につなげていくこと

・自社製品の一般家庭向けの価格を下げていくこと、固定価格買取制度(FIT)対応の認

証を取得すること

・バイオマスを持続的に供給するための林業の持続性、林業における就労人口の減少や

高齢化への対応

・風力発電のメンテナンス事業に対する顧客からのより高度な要望に対応できるようメ

ンテナンス技術の高度化を図ること

また次のような要望や意見もあった。

・九州は消費地である首都圏から遠いことから、輸送費の影響が大きい生産分野を主体

とする産業戦略は不利なので開発等の分野への転換を図ったほうがよい

・拡販の支援、特に顧客のいる首都圏向け販路開拓が欠かせない

・出展可能な展示情報の提供やものづくり助成金の手続の簡素化

(中小企業の人員体制では対応できない)

・補助金の下限額及び上限額(下限が高すぎて自社製品の単価では対象外となる、上限

が高すぎるため大手企業との競争になり負けてしまう)

(4)廃棄物処理・リサイクル

1)取組の特徴

今回ヒアリングしたリサイクル関連の取組は、主に汚泥など有機ゴミのリサイクル技術

と関連のある事業が多かった。事業の例を以下に示す。

・下水汚泥コンポスト肥料の海外展開

・食品堆肥化装置の製造、リサイクル肥料の販売及び農業事業

・フルボ酸鉄を含有する肥料の製造技術を応用した河川、湖沼、養殖池、海の水質浄化

・食品生ゴミのみを原料とする堆肥製造と販売

2)活用した支援やメリット

活用した支援やメリットを表 3-16 に示す。リサイクル分野の事業者で活用した支援は、

出展補助などの内容であり、認知度の向上が主なメリットである。

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表 3-16 活用した支援やメリット[廃棄物処理・リサイクル]

環境関連事業 支援を活用した機関 内容 メリット

海底堆積物除去

装置

支援機関 展示会出展 認知度の向上

情報収集

食品リサイクル

事業等

国(中小企業庁) 補助金(開発) 技術開発の促進

自治体(県) 補助金(開発) 技術開発の促進

食品生ごみリサ

イクル

支援機関(九州地域環境・リサ

イクル産業交流プラザ、日本貿

易振興機構)、自治体(政令指定

都市)

出展支援(海外) 認知度の向上

情報収集

太陽光モジュー

ルリサイクル

支援機関(国立研究開発法人新

エネルギー・産業技術総合開発

機構(NEDO))、支援機関(北九

州産業学術推進機構)、自治体

(政令指定都市)

技術実証 リサイクル技術

の確立における

サポート

下水汚泥堆肥化 大学 研究、海外におけ

る啓発(講演)

製品への理解

水質浄化技術 自治体(県) 補助金(開発) 開発資金の獲得

環境総合コンサ

ルタント

国(九州地方整備局)、支援機関

(九州地域環境・リサイクル産

業交流プラザ)

企業マッチング 認知度の向上

3)今後に向けた課題

課題についての意見は以下のとおりであり、自社の事業への関心を高めること、自社の

事業内容の評価を高めること、急成長している事業者における人員の確保に関する意見な

どがあった。

・下水汚泥の用途が多様化する中で、下水汚泥のコンポスト化への関心を高めること

・廃棄物処理から有価物処理の加工会社へ転換すること

・事業が急拡大しており人材の育成が追い付かないこと

・廃棄物処理業から有価物の加工サービス業へのステップアップを図ること

・環境製品をつくるハード事業から技術コンサルタント事業に転換すること

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(6)取組のきっかけ

環境関連企業へ取り組んだきっかけについての回答は以下のとおりである。事業環境の

変化(具体的には事業環境の悪化)や、大学との共同開発や顧客先からの加工依頼、そし

てもともと事業に関する何らかのアイデアを持っていたことなどが主な取組のきっかけと

なっている。

① 事業環境の変化

・半導体市場が縮小し自社の事業(半導体検査機器)の仕事がなくなるおそれがあった

・転職先で省エネに関する事業部門が廃止、自身が行っていた事業分野がなくなった

・塗装専業の会社として、自社の事業を他社に対して差別化する必要があった

・自社の事業(農業)そのものを改革していく必要性を感じていた

・折からのダイオキシン対策のため自社の主力製品である焼却炉の需要低下が見込まれ

・公共工事の量が地元で減少傾向にあったことと、自然エネルギー発電に関する社会需

要が高まってきていた

・別の製品に市場がとってかわられたことにより、自社が担当する製品の修理需要が大

きく減ってきた

② 大学との共同開発

・環境負荷の少ない消火剤の開発を大学と共同で取り組んだ

・大学との共同研究(環境関連分野)で汚染物質の除去工事を担当したことをきっかけ

に汚泥除去装置の開発に取り組んだ

・オーダーメイドの受託開発であるが、大学との共同研究開発で、自社では従来取り組

んだことのない分野の製品の開発に取り組んだ

③ 顧客先からの引き合い

・真空乾燥による加工装置に対して、これまでに取引のなかった業種の顧客からの引き

合いがあった

・従来加工したことのない素材(チタン)の加工依頼があった

④ 事業を展開する上でのヒントが見つかった

・自社製品を開発したいと模索していた時に知人の発言をきっかけに製品の試作に着手

した

・道路の防滑工事の事業を長年行っているが、床が滑らない加工に関する展示を見て将

来性があると考えて着手した

・中小企業支援機関の知人からの情報があった

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81

・農業向けの金具等を納める会社であったが、促成効果を高めるためには農業用ハウス

の制御を適切に行うことが必要であることに気づいた

・自社製品で解決が難しい現象に悩まされていたが、その現象を意図的に発生させるこ

とで別の目的に役立つ可能性があることに気づいた

⑤ 長年構想していたアイデアを実行に移した

・住宅メーカーに勤務していたが、元々ログハウスなどに関心があったことから、環境

負荷の少ない住宅を作る会社を設立した

・製造業であるが、農家出身で農業には元々関心があったが、その折、堆肥製造装置の

試作依頼を受けて試作結果が良好であったため事業化に着手した

・食品リサイクルの研究を従来から行っていたが、自治体(市)の廃棄物処理費が値上

がりし、赤字になると見込まれたことから、開発中の技術が役に立つと見込んだ

・地元の伝統技術(泥染め)を武器に、新しい分野にも取り組みたいと考えた

・地元の海域の汚染が深刻でこれを改善したいと考えていた

・離島の人口減少を新産業で解消したいと考えていた

⑥ 主力事業の延長として

・表面処理という主力事業の中での一連の流れとして取り組んだ

・汚泥処理に関するルールが変わった数十年前から肥料製造を始めたが、近年、海外で

安全な農産物の生産への関心が高まり日本の堆肥製造会社への引き合いが増えてきた

・元々の親会社でイオン交換膜の事業を行っていた

(7)九州に立地することの特徴やメリット

首都圏との距離が遠いことに関する意見が多く、このほか、温暖な気候や降灰などを特

徴として挙げる意見もあった。九州に立地することをメリットとする意見は少なく、首都

圏との距離が遠いことが市場との距離が遠い、情報が入りにくいなどをデメリットとして

考えている企業が多かった。

一方で、地元に需要がないことが製造業から開発型企業へ転換するきっかけになったと

回答した企業や、九州の特徴を多角的に分析することで他社が取り組んでいない新事業の

事業化に成功したと回答した企業もあった。

九州に立地することの特徴やメリットについての回答の例を以下に示す。

・地元が河川域の汚染の深刻な地域である

・火山の噴火による降灰により操業率が低下する

・自社が行う仕事が首都圏にしかなかったことが、事業のターゲットを首都圏や海外市

場へ向けるきっかけとなった

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82

・首都圏から遠く情報が入りにくい、提携関係にある商社にも首都圏の企業が多い

・システム設計のための人材の応募を行っても東京や大阪に即戦力人材が流れ地元では

全く応募がない

・九州の強みについて強いて挙げれば賃金水準であるが、ただしこれも絶対ではない

・全国展開のチャンネルを持つ販売会社と連携し、インターネットで情報交換すれば地

元でよい

3-3 まとめ

(1)取組の特徴

環境関連分野の中小企業の取組の特徴についての調査結果は以下の通りである。

① 九州外で事業展開している環境関連企業が多く、中には九州外での事業の比重が九州

よりも大きい企業もみられる。

② アンケート調査によると、小規模な企業では環境関連事業の実施体制は 5 名以下であ

る場合が多く、さらに 1~2 人などの体制の企業では長期間少人数のまま取り組んでい

るとみられる。この点に関して、ヒアリング調査では、代表があらゆる業務を実施して

おり採用まで手が回らない、待遇の問題があり採用が難しいなどの意見があった。

③ 環境関連事業に取り組んだきっかけについて、主力事業における景気の悪化やあるい

は経営者等があたためていたアイデアを事業化する例が多くみられる。

④ 従来からの主力事業の強みと環境関連事業とのつながりが強い企業が多く、特に環境

調和型製品や新エネ・省エネの分野では多くみられる。

⑤ 販売網の強化や技術開発のために、九州外の大学や企業と連携する環境関連企業が多

く、連携先として地元を優先する考えは強くないとみられる。

⑥ 全体として取組例は少ないが輸出などの形で海外展開に取り組む環境関連企業がみら

れる。また、将来的に海外展開に取り組もうと考えている潜在的なニーズも少なくな

い。また、特許権あるいは商標権などの知的財産を保有する環境関連企業もみられ、

知的財産の取得に際して支援機関を活用した例もみられる。

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83

(2)課題

環境関連分野の中小企業に関する主な課題は次のような点にあると考えられる。

① 多くの環境関連企業では、技術開発や商用化自体は既に終え、販路拡大を最も大きな

課題と考えている。また、支援機関の活用状況からは、首都圏をはじめとする九州外

への事業展開をいかに進めていくかが大きな課題となっている。

② 自社技術を用い施工を行う代理店、販路開拓のための商社との連携、新たに進出する

分野におけるエキスパートの企業との連携など、多くの環境関連企業では連携先を獲

得するためのネットワークを作り上げていくことが課題になっている。

③ 製品やサービスの開発後、製品のテストの交渉や、あるいは実証試験の場所を得るた

めの交渉に長年苦労している例がみられる。実証試験を成功させた企業には商用化を

順調に進めている例がみられることから、特に開発型企業において製品あるいはサー

ビスの実証の場の確保が大きな課題になっているとみられる。

④ 小規模な企業で代表者が採用活動のための労力を割くことができないこと、賃金の関

係から採用した人が定着しない、情報系企業で即戦力人材が関東などの都市圏で採用

されてしまい必要な人材が集まらないなど、人材を安定的に確保することが課題とな

っている。また、自社の人材が少ないことから、補助金の活用に支障をきたした例も

みられる。

⑤ 環境関連事業を行う企業の中には、加工・処理・製造だけを行う企業から、製造から

メンテナンスまでのワンストップ型サービスの構築や、コンサルティング型企業への

転換などを模索している例がみられた。収益力を高めるための、現在の環境関連事業

モデルのステップアップが課題になっていると考えられる。

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第 4 章 九州管内の自治体・支援機関による環境関連企業支援等の取組の現状と

課題

4-1 アンケート調査

4-1-1 調査概要

(1)アンケート内容

各自治体及び支援機関の環境関連企業の支援等の取組の現状と課題を把握するために以

下の項目を設問とした。

① 環境関連産業振興や企業支援の基本的な考え方

② 環境関連分野の産業振興や企業育成を進める部門・部署

③ 環境関連分野の企業支援に関する実績

④ 成果をあげるために重要な点及び支援を行う上での課題

⑤ 環境関連企業の育成・支援を目的とした他の自治体や外部機関との連携

⑥ 環境関連企業の海外展開への支援

⑦ 今後重点的に支援していく環境関連事業

(2)対象自治体・支援機関の抽出方法

九州管内の県、政令指定都市及び中核市については全て対象とした。その他の自治体に

ついては各自治体における組織体制や環境関連産業に関する地域ニュース等をもとに対象

を選び、支援機関については公設試験研究機関、外郭団体等を中心に選定した。

(3)アンケート発送件数、回答数及び回答率

アンケート発送件数、回答数及び回答率は表 4-1 のとおりである。

表 4-1 アンケート発送件数、回答数及び回答率

項 目 内 容

期間 平成 27 年 11 月~平成 27年 12 月

発送分野及び件数 県 7

(件) 政令指定都市 3

中核市、その他の自治体 20

公設試験研究機関、外郭団体等 31

合計 61

回答数(件) 35

回答率(%) 57.3(35/61)

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4-1-2 調査結果

(1)環境関連事業を展開する企業の支援に関する基本的な考え方

1)重視する分野

環境関連事業で重視する分野を図 4-1 に示す。支援を行う側では、「新エネ・省エネ」、

次いで「リサイクル」と回答した自治体・支援機関が多い。

図 4-1 環境関連事業で重視する分野(複数回答)

2)企業の育成・誘致に関して重視する点

企業の育成・誘致に関して重視する点を図 4-2 に示す。「地元企業の参入」が 24 件と最

多である。次いで「創業・ベンチャーの育成」17件であり、外部からの企業誘致や、企業

ネットワークの充実よりも、地元の産業を地元の企業や人材により育てていく考えが強い

と考えられる。

7

7

15

22

5

0

7

1

1

1

4

3

0 5 10 15 20 25

a.環境調和型製品

b.廃棄物処理

c.リサイクル

d.新エネ・省エネ

e.環境関連サービス

f.大気汚染防止

g.水処理

h.土壌改良

i.騒音・振動防止

j.環境測定・分析等

k.特にない

l.その他(件)

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86

図 4-2 企業の育成・誘致に関して重視する点(複数回答)

(2)支援の内容

支援の内容を図 4-3 に示す。回答した自治体、支援機関のうちその役割について回答し

たのは 24件であった。「研究開発支援」「特許活用支援」「研究者・研究機関とのマッチン

グ」、「公的資金の獲得支援」とする回答が多い。

図 4-3 支援部署における支援の内容(複数回答)

24

10

17

9

3

4

0 10 20 30

a.地元企業の参入

b.外部からの企業誘致

c.創業・ベンチャーの育成

d.企業ネットワークの充実

e.地元企業の海外進出

f.その他 (件)

15

12

3

10

6

2

11

5

0 5 10 15 20

a.研究開発支援

b.特許活用支援

c.販売支援・ビジネスマッチング

d.研究者・研究機関とのマッチング

e.専門家の派遣

f.環境調和型製品・サービスの認定

g.公的資金の獲得支援

h.その他(件)

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(3)環境関連事業を展開する企業に対する支援実績

環境関連事業を行う企業に対する支援実績を図 4-4 に示す。環境関連事業を行う企業に

対した支援実績について、回答した 34 件中 24 件で支援をしたことがあると回答している。

図 4-4 環境関連事業を行う企業に対する支援実績

支援した企業で取り組んでいる環境関連事業の分野を図 4-5 に示す。「リサイクル」、「廃

棄物処理」、「環境測定・分析等」、「水処理」が上位となっている。

図 4-5 支援した企業で取り組んでいる環境関連事業の分野(複数回答)

24

10

a.ある

b.ない

2

7

1

1

7

5

10

12

3

2

0

0 5 10 15

a.大気汚染防止

b.水処理

c.土壌改良

d.騒音・振動防止

e.環境測定・分析等

f.環境調和型製品

g.廃棄物処理

h.リサイクル

i.新エネ・省エネ

j.環境関連サービス

k.その他(件)

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88

(4)成果をあげるために重要な点及び課題

支援活動の経験をもとに、支援が成果をあげるために重要な点についての回答を図 4-6

に示す。「補助金・助成金の活用」「市中のニーズとの合致」「支援の時期・タイミング」「地

元大学や支援機関との連携」が上位となっている。

金融機関の融資方針、専門家の技量などの回答は少数となっている。これらは直接自治

体や支援機関が扱うものではないためであると考えられる。

図 4-6 支援が成果をあげるために重要な点

(複数回答、重要と考えるもの 3 つまで)

支援を行う上での課題を図 4-7 に示す。「支援対象となる企業の発掘」「事業化の企画・

支援のできる人材」が上位となっている。支援を行うターゲットを発掘し、支援の方針を

決めていくための人材や能力を必要としていることがわかる。

13

10

22

17

0

4

10

12

1

0 5 10 15 20 25

a.支援の時期・タイミング

b.企業団体との連携

c.補助金・助成の活用

d.市中のニーズとの合致

e.金融機関の融資方針

f.専門家の技量

g.自治体(支援機関)の担当者の経験・ノウハウ

h.地元大学や支援機関の連携

i.その他(件)

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図 4-7 支援を行う上での課題(複数回答、考えに近いものを 3つまで)

(5)外部との連携について

県や政令指定都市では所管の外郭団体を活用した企業支援を行っており、このほか、県

や政令指定都市レベルでは連絡会議などの会議体を通した活動や、公設試験研究機関でも

環境関連分野に関する研究会や分科会を設けている例もみられた。ただし、特に外部との

連携を行っていないと回答する自治体・支援機関も多くみられた。

8

23

7

7

0

5

6

12

21

3

0 10 20 30

a.自治体(支援機関)の担当者の経験

b.支援対象となる企業の発掘

c.組織・部署の予算

d.補助金・助成の適用条件

e.部署・組織の権限の強化

f.事業化までの期間の短縮

g.開発及び支援の速度

h.資金源の確保

i.事業化の企画・支援のできる人材

j.その他 (件)

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4-2 ヒアリング調査

地域の特性、環境関連分野の支援における位置づけなどについてヒアリング調査を行っ

た。ヒアリング調査の調査先区分及び件数を表 4-2 に示す。

表 4-2 ヒアリング調査の調査先区分及び件数

調査先区分 件数(件)

自治体 県 4

政令指定都市 2

その他の市 1

支援機関 2

合計 9

(1)地域の特性

自治体や支援機関の多くでは地域の特性を、造船業や農業など地域の産業の特性として

考える傾向がみられた。

・農業所得が全国上位に位置する農業県(県)

・第一次産業が産業の基幹(県)

・製造業を基盤とする技術力や公害克服の過程で培った人材・ノウハウのある都市

(政令指定都市)

・農業に強く工業では食品製造業が盛ん(政令指定都市)

・造船業が盛んでかつ窯業や農業も重要な産業(支援機関)

(2)環境関連分野の支援における位置づけ

環境関連分野を重点分野として取り組む自治体の例を表 4-3 に示す。このほか、文献等

で確認した県や政令指定都市についてもエネルギー産業を重視する政策がみられたことか

ら、九州各地の自治体において最優先分野ではないが環境関連分野を重視する姿勢がみら

れる。重視する内容は、大気・水質などの環境汚染対策よりもエネルギーを重視する傾向

が強い。一方、環境関連分野の企業を支援する例もみられ、アンケート結果の内容とあわ

せるとこの考え方が主流であると考えられる。

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表 4-3 環境関連分野を重点分野として取り組む自治体の例

自治体 内容

A 県 水素・燃料電池産業を重点分野に位置づけている

B 県 重点 5分野の 1つとしてクリーン関連分野(環境、新エネ、省エネ、水資

源)を位置づけている

C 県 再生可能エネルギーのトップランナーを目指す方針を打ち出し、導入促進、

産業育成の 2 本の柱を目標として取り組んでいる

D 市 環境保全政策と産業振興政策を融合し、環境産業政策に取り組む

(3)支援内容

製品の販売支援(展示会への出展、交流会開催)と技術開発が支援の中心となっている。

県(または政令指定都市)では外郭団体(中小企業支援機関等)と役割を分担し、例えば

予算を県(または政令指定都市)が確保し、支援業務を外郭団体が行うなど、互いの強みを

生かした支援を行っている。この他、今後の成長が見込まれる事業者を認定し、県等により

選択的に支援する制度などの例もみられる。

(4)支援における課題

自治体・支援機関では、技術開発後の販売支援や、支援先となる企業の発掘などが主な

課題となっている。主な意見を以下に示す。

・ものづくり企業のリサイクル技術の開発を支援するが、支援先の企業が固定化し、支

援の対象が限定され、予算枠の規模に届かない(県)

・市の助成事業により支援した研究テーマの 40%弱が事業化されているが、研究開発に成

功しても事業化につながらないケースが多い(政令指定都市)

・大学・企業とのネットワークの強化と、市内の企業の支援に係るニーズをより迅速に

把握し、適切な補助施策につなげること(政令指定都市)

・技術開発以降の事業化・商品化の実現に向けた企業支援の強化が課題であり、行政と

いう立場から特定企業の支援が難しいこと(支援機関)

・重工業が盛んな地域性があり、プラント等のオーダーメイドに強い企業が多いが短納

期・大量生産に強い企業が少ない(支援機関)

このほか支援部門の担当者からは、人事異動の制度により熟練した人材が育たない、担

当者の知識不足を補うため大学や企業との人脈作りを進める必要があるなどの意見があっ

た。

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4-3 まとめ

(1)まとめ

自治体・支援機関における環境関連企業の支援に関する実態は以下の通りである。

① 環境関連産業育成に係る重点分野は主にエネルギー関連分野であり、大気汚染・水質

汚濁などの環境汚染対策に対して産業育成の観点で取り組む考え方はあまりみられ

ない。

② 環境関連企業の育成においては、地域の産業の強みを生かす考えが中心である。気候

等の特性を生かす取組は少なく、自治体(県)におけるエネルギー産業の成長戦略で

温泉資源を活用する例などに限られる。

③ 自治体・支援機関では、地域の企業あるいは地域に進出する企業を直接支援すること

により、環境関連産業を育成するという考え方が強く、地元の企業の弱点を他地域の

企業の強みにより補うという考え方があまりみられない。

④ アンケート調査における支援分野を「新エネ・省エネ」と回答する自治体・支援機関

は少なかったが、ヒアリング調査では多くの自治体で新エネ・省エネを重視すると回

答している。自治体・支援機関においては、エネルギー分野を環境関連分野とは別の

分野と考えている。

⑤ 自治体・支援機関の多くにおいて、環境関連企業の開発補助による支援で、技術開発

や試作に成功したが販売展開がうまくいかない例がみられる。

(2)課題

自治体・支援機関における環境関連企業支援のための課題は次のような点にあると考え

られる。

① 水質汚濁対策や廃棄物処理・リサイクルなどに強みを持つ環境関連企業が多いが、自

治体の側ではこれらの分野については環境対策の観点で取り組んでおり、産業を育成

するという考え方が弱いため、これらの環境関連企業を育成するための制度が不十分

である。

② 行政機関の人事制度など支援機関の人材に係る制度の問題から、支援のために必要な

高いスキルを持ち、かつ経験豊富な人材が育たない。そのため、支援先となる環境関

連企業の発掘や、企業のニーズへの適切な対処などに支障が生じている。

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③ 自治体・支援機関では、地元の企業の強みや弱みについて認識しているが、他地域の

企業の力をうまく活用して地域の企業を育てるための制度が少ない。このため、地域

の企業が販路開拓やパートナーとの連携などに個々で取り組まざるを得ない状況に

なっている。

④ 技術開発について経験の豊富な支援人材が多いが、販路開拓について熟達した人材が

不足しているため、多くの案件で技術開発後の販路開拓に関する支援に支障が生じて

いる。

⑤ 自治体・支援機関による九州域外での支援事業が、展示会出展などの活動に限定され

ることから、首都圏と九州地域の各自治体とのネットワークが十分に構築されていな

い。

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第 5 章 九州の環境関連分野における特徴・強み及び課題

5-1 環境関連分野における九州の特徴・強み

(1)従来からの産業のノウハウの活用

環境関連企業へのアンケート調査によれば、多くの環境関連企業では自社の主要事業の

強みを活かして環境関連事業を行っている。また、ヒアリング調査からは、造船業(及び

エンジニアリング)、半導体産業、農業などの九州の強みとされる産業との関わりが強い事

業がみられ、地域で育った主要産業の強みが、九州の環境関連産業の強みと結びついてい

ると考えられる。

(2)地理的な特徴と結びついた環境関連事業の展開

九州地域の環境関連企業では地理的な特徴と結びついた環境関連事業がみられ、九州地

域における環境関連事業の特徴の 1 つとなっている。例えば、火山灰土壌を原料とした水

垢落とし、肥料製造技術を応用した内湾の浄化用資材、離島における小型モビリティを利

用した交通システムや、自然エネルギー発電所で使用する蓄電システムの実証試験などが

行われている。

5-2 環境関連分野における九州の課題

(1)環境関連事業における販売支援

環境関連事業を展開する企業の多くで販売面強化や首都圏など需要の高い地域とのネッ

トワークづくりを課題であると考えており、九州外の地域での拡販活動や、あるいは商社

等との連携を進める例が多くみられる。また、自治体・支援機関でも技術開発の支援後に

どのように販売へつなげていくかが課題であると考えており、多くの県では首都圏を中心

とした地域への展示会の出展支援を行っている。

このように、企業、自治体・支援機関ともに販売面強化への関心が高く、企業では首都

圏をはじめとする他地域への事業展開をどう進めるかが、自治体・支援機関では企業の他

地域への展示会出展や、企業による他地域の企業との連携をどう支援していくかが課題と

なっている。

(2)九州内の環境関連分野の市場規模

環境関連事業を行う企業の多くが九州外で事業を展開しているが、ヒアリング調査によ

り、その理由の多くは、九州の市場が小さく、九州外の地域に進出する必要があるためと

いうことがわかった。

(3)九州外の地域との連携(有効な活用)

九州の環境関連企業では、研究機能や販売機能の強化のために、九州外の企業や研究機

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関・大学(研究者)とのネットワークを作ることが多く、それが企業の強みとなっている

例も少なくない。一方、自治体や支援機関における環境関連企業の支援メニューは、行政

区内の企業への技術開発補助などの直接支援がほとんどである。

しかし、地元での企業育成を考えた場合に、九州地域の自治体の産業施策における重点

分野であっても、成長のカギとなる分野で優れた技術を持つ企業が少ない場合もあるため、

環境関連産業の強化のためには他地域との連携が欠かせないと考えられる。例えば、今回

の調査先の企業では首都圏の公設試験研究機関を活用する例がみられた。所管する行政区

外の企業も積極的に支援することで、他地域の企業の強みを自治体内の企業に還元するな

どの柔軟な取組が必要になると考えられる。

(4)支援のための専門家育成・採用

自治体・支援機関では、支援の成果をあげるための大きな課題として支援事業を行う担

当者の力量、つまり企業発掘や支援のポイントを見定める力量を持つ人材が不足している

ことがわかった。この点は、自治体・支援機関と企業の双方とも課題として認識している。

人事異動等により長期間専門家として従事できないなど自治体・支援機関における制度上

の仕組みが支援の効果を十分に発揮できない一因となっている。

(5)環境関連企業の成長につながる支援のあり方

環境関連企業では、環境関連サービスを展開し、雇用支援を受けることで事業が短期間

に成長した企業がある一方で、開発型の企業では研究開発期間が長期にわたり成長が遅い

企業もあることがわかった。事業の内容により企業の成長の速度が異なり、必要な支援の

内容も異なるため、短期的な支援と中長期的な支援を柔軟に使い分ける必要があると考え

られる。

5-3 課題の要因

(1)主要都市圏との距離

九州内の環境関連企業に対する調査結果からは、九州外の地域に事業展開を行う企業が

多く、販売支援などで首都圏の企業を活用する例も多くみられた。また、事業が順調に成

長している企業においては、リサイクル事業の受託、自社製品の海外展開などで、主要な

都市圏とのつながりをもつ例がみられた。このことから、多くの産業に関して、物流・販

売の中核的機能を持つ主要都市圏とのつながりをもつことが、環境関連産業の成長の上で

重要な要素の 1 つとなりうることを示している。首都圏から離れた九州では情報や運送費

などの面で他地域と比べて不利であり、このことが他の地方圏と比べてビジネス展開上の

障壁となっており、展開できるビジネスの種類の限定にもつながっている。

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(2)生産拠点化した九州の主要産業

環境関連事業には、地元の産業で培われた技術がベースとなるものが多く、地元の産業

の強みと環境関連産業との強みとの結びつきは強いと考えられる。このことから、地元の

産業の強みを生かした環境関連産業を育てる取組が有効だと考えられるが、九州の主要産

業には、生産の機能に特化した産業が多い。例えば九州の主要産業においては、自動車産

業では外装品関連企業に、半導体産業では部品の大量生産技術に特化した部品関連の企業

が多く、省エネや省資源の製品やサービスに展開していく企業は少ない。主要産業拠点で

あっても、強みとなる部分は限られており、この点が、省エネや省資源などの中核技術を

保有する企業の多い地域に対する弱点となっている。

(3)行政の機能

地元の環境関連企業のネットワークには自治体の枠を越えた広域的なものがあるが、支

援する側の仕組みは自治体などの範囲に限られたものが多い。この点は九州に限られた現

象ではないと考えられるが、結果的に、支援の活用範囲の限定や支援効果の限定にもつな

がっている。

また、環境関連産業は非常に広範囲にわたっており、今回調査した企業の中には、林業

や農業などの産業も含まれる。そのために、支援する側でも、異なる部署で対応している

ものが多かったが、それぞれの部署が横串の連携で取り組むことができる支援策を実施す

ることが必要となっている。

(4)九州に合わせた支援策づくり

企業へのヒアリング調査により、例えば住宅のリフォームにおける耐震への需要など、

首都圏ではニーズが高いが九州ではニーズが低いものがあり、環境関連企業やその顧客が

十分に支援制度を活用できない場合があることがわかった。このような普及支援策の中に、

九州の環境関連分野のニーズが取り入れられていくことが重要となっている。

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第 6 章 環境関連分野の競争力強化のための方策

6-1 環境関連分野の競争力強化方策の考え方

6-1-1 九州の特徴を生かした展開

(1)九州地域の特徴的な産業に関係する環境関連事業の展開

九州地域は、農業、林業、水産業の第一次産業が盛んな地域であるが、環境関連事業と

地域の産業、例えば第一次産業に関係する取組が行われている。このような取組を支援し

ていくことで、双方の産業の発展につながる可能性が期待される。第一次産業と関連のあ

る環境関連事業の例を表 6-1 に示す。

表 6-1 第一次産業と関連のある環境関連事業の例

環境関連事業 第一次産業

LED 照明 集魚、電照菊への応用

微細バブル 内湾の浄化、養殖向け利用

リサイクル肥料 地域の特産品の生産

住宅リフォーム シラス、木材など地元資源の利用

食品リサイクルによる資源循

環ビジネス

リサイクル肥料の農業利用

ビニールハウス内の環境制御 農業生産における環境制御

飼料の地域循環型モデル 畜産業

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(2)地理・気候等の特徴を考慮した展開

九州の環境関連企業では、火山灰土壌を用いた洗浄剤(水垢落とし)、石灰を用いたタイ

ルなど地元の資源を使った環境配慮製品や、内湾における水質浄化事業、離島における超

小型モビリティ(実証試験)や独立電源型の風力発電システム(実証試験)など地域の特

性を生かした事業が展開されている。

九州の地理・気候等の特徴と関連のある環境関連事業の例を表 6-2 に示す。

表 6-2 九州の地理・気候等の特徴と関連のある環境関連事業の例

環境関連事業 関連のある地理・気候等の特徴

漆喰セラミックス(化学物質を含まない

建築材)

石灰地形(筑豊地区石灰の山地)

土壌・水質改良剤リモナイト(天然資源

の喝鉄鉱「リモナイト」を有効活用)

阿蘇山特有の黄土

風力発電メンテナンス 離島、半島

電源システム 離島

自然エネルギーを利用した超小型モビ

リティシステム

離島

リサイクル肥料 内湾浄化

海底清掃装置 海洋環境の浄化

大気汚染常時管理システム PM2.5 の越境汚染

水垢落とし(シラスを主原料としたクリ

ーナー)

火山灰土壌

環境教育事業(豊かな自然を活用) 九州に多い火山地形、海洋

上記以外にも、地元の気候にあった菌類を用いることにより、環境関連事業の強みとす

る例もみられる。このような地理・気候的特徴を最大限に取り入れることで、環境関連産

業の発展につながることが期待される。

(3)企業のステップアップへの取組の支援

環境関連企業においては、例えばリサイクル業では、堆肥化技術を応用した内湾域の水

質浄化、汚泥リサイクル肥料の海外展開、マイナンバー制度を見据えた機密書類の処理な

ど廃棄物処理の事業をより高度なものに進化させようとする取組や、廃棄物処理からコン

サルティング機能を備えた企業への転換を図るなど、事業のステップアップに向けた取組

がみられる。自社の事業を高度化する取組を支援することにより、今後の環境関連産業の

発展につながるものと期待される。環境関連事業とステップアップの方向性が示された例

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を表 6-3 に示す。

表 6-3 環境関連事業とステップアップの方向性が示された例

環境関連事業 ステップアップの方向性

金属加工品 加工受注企業→コンサルティング機能のある金属加工品企業へ

微細バブル 装置製造企業→コンサルティング機能のある微細バブル製造企業へ

道路表面処理 官需→民需にも拡大

環境資材販売等 資材販売企業→総合環境コンサルティング企業へ

リサイクル リサイクル企業→コンサルティング企業へ

6-1-2 既存の産業基盤の活用

環境関連産業で事業展開する企業のうち、特に実績のある企業では、九州地域で盛ん、

あるいは盛んであった産業における技術や経験を応用して環境関連事業に取り組んでいる

ものも多い。例えば今回調査を行った企業では表 6-4 のような産業のつながりが確認され

ている。

このほか、半導体産業に代表的されるように、かつて主要産業であった産業の衰退が事

業参入のきっかけとなった例も多く、そのような産業に関連する企業を支援することや、

産業を再構築する観点で取り組むことにより、環境関連産業の育成につながることが期待

される。

既存の産業基盤と関連のある環境関連事業の例を表 6-4 に示す。

表 6-4 既存の産業基盤と関連のある環境関連事業の例

産 業 環境関連事業

半導体 LED 照明等の照明、自然エネルギー発電、工場用洗浄機、太陽光パネ

ル検査装置、電源システム、無線式電力制御システム、防食加工

造 船 自然エネルギー産業、蓄電池、流体技術をベースとした開発支援、表

面処理による耐久化処理

鉄 鋼 高耐久性の表面処理、検査装置

自動車 工業用洗浄機(自動車部品の省エネルギー設計)、真空乾燥技術

電 力 工業排水検査キット

エンジニアリング 太陽光発電システム

6-2 環境関連分野の競争力強化のための取組のあり方

(1)環境関連事業の販路開拓・研究開発の支援体系づくり

環境関連企業が必要とする支援は、事業の内容により異なっている。サービスや商品が

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既に確立している環境関連企業では、販売網が強い企業(首都圏等)との連携や、東京で

開催される産業見本市への出展など、販路開拓を重視する企業が多かった。一方、研究開

発型の企業やインキュベーションに入居する企業など知的財産そのものを強みとする企業

では、研究開発の資金や公設試験研究機関等などの開発支援機能を継続的に必要とする企

業が多かった。

販路開拓は、雇用の増加という短期・中期的なメリットがあり、研究開発には地元にな

い技術の蓄積という長期的なメリットがある。環境関連企業が持つ課題を正確にとらえ、

販路開拓・研究開発のいずれがより必要なのかを正確に判断するとともに、販売支援の機

能を強化していくことが重要である。

(2)県間・地域間連携の仕組みづくり

現在、自治体では一部の広域的な取組を除き、行政区単位で独自に企業の支援を行って

いるが、その内容を見た場合、出展する見本市が同じであるなど、目的が共通するものも

多く、九州の環境関連企業のニーズには自治体の枠組みにもかかわらず共通する部分が多

いと考えられる。

例えば、分野別の戦略に基づき、重要な見本市に対しては「九州」という単位で共同出

展を行うなど、自治体の個性を保ちつつも自治体間で連携をとっていくことが必要になる

と考えられる。

(3)人材採用・雇用

環境関連産業における人材の確保が課題となっており、研究開発を主体とする企業で雇

用拡大に踏み切れない期間が長期間に及ぶ例や、システム開発を行う企業などで即戦力と

なる人材が首都圏や近畿圏に吸収され九州で人材が採用できない例などがみられる。その

背景には、技術開発や営業活動を経営者が行うため人材確保に労力を割けない、九州から

の情報発信が届かない実態などがあるとみられ、その改善を図ることが必要である。

U ターンにおける企業説明会を九州外の地域と連携して開催し、九州内の環境関連企業の

認知度を高めるなど、九州地域の企業の人材採用のニーズに関する情報が他地域にも届く

よう改善を図ることが必要であると考えられる。

(4)環境関連企業育成の観点による知的財産の活用

本調査では、国や産業技術総合研究所などの活用により開発した技術、大学との共同研

究により開発した技術で特許を取得した例、県保有特許や大学保有特許の移転あるいは使

用権を取得した例などがみられる。このような例を参考に、起業または独立した企業への

技術移転を進めるなどの取組を進めることが重要である。

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(5)地理的・気候的な特徴を生かした環境関連企業の育成

環境関連企業の取組には地理的・気候的特徴を生かした事業の例がみられるが、支援の

枠組みにはこのような特徴を生かしたものが少ない。そこで、地理的・気候的特徴を生か

した事業への支援を進めることが、環境関連企業の育成や九州の環境問題の改善を図るこ

とにつながると期待される。

例えば、離島や内湾、火山などの九州地域の自然環境に由来する環境問題のニーズに、

全国の補助・助成制度を適用できるようにするなどの取組を進めることが重要である。ま

た、補助金等についても環境関連企業では使い勝手の面で改善すべき点があると考えてお

り、補助の対象、融資のタイミング、手続等の改善を進めることも重要である。

(6)環境関連企業の全国展開

環境関連企業の取組には、九州外で主に事業を行う例や、九州外の企業や大学と連携す

る例などがみられ、活動範囲が九州地域に限定されない場合が多い。また、自治体で重点

分野と位置付ける環境関連分野の中には、地元の産業基盤が弱く、九州外の企業の力を必

要とするものもみられる。これらのことから、環境関連企業を育てるために、九州という

枠組みを超えた取組を進めることが重要であると考えられる。自治体や支援機関の支援を

連携先である九州外の企業にも広げるなど、九州外の企業の技術やノウハウ、ネットワー

クを活用することや、あるいは取り込むことにより、九州内の企業を育成する取組が求め

られる。

(7)環境関連企業の海外展開

環境関連企業の海外展開について、今回の調査では海外の企業への装置等の生産委託や

技術移転、商品の輸出などを行う例、首都圏のメーカーあるいは商社のネットワークを活

用し事業展開を行う例などがみられた。また、アンケート調査では、事業者自身が海外進

出を行うケースよりも、輸出などの形で関与するケースが多い。このような例から、現在、

現地への企業進出が主体となっている環境関連企業の海外展開への支援策を、製品の輸出

に対しても支援を強化するなど改善を図ることが重要である。

(8)環境関連企業の取組の支援による公害防止の取組

九州には PM2.5 などの大気汚染、内湾域を中心とした水質汚濁などの環境問題が存在す

るが、九州内の環境関連企業の保有する環境関連技術を有効に活用することが問題の解決

につながる有力な手段の 1 つである。環境関連企業の実証試験の場の確保や販路開拓・拡

大に係る取組を、自治体・支援機関による実証試験の場の提供、産業廃棄物税による設備

導入補助制度の対象や規模等の見直しなどにより支援することで、九州の環境問題の解決

を図ることが重要である。さらに九州内の環境関連企業のコンサルティング能力の向上等

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により、企業の環境対策の改善を進めることで、新たな産業公害防止技術の創出につなが

ることが期待される。

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資 料 編

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資料 1 アンケート調査票

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平成 27 年 11 月 5 日

企業の環境関連事業に関するアンケート

ご協力のお願い

経 済 産 業 省 九 州 経 済 産 業 局

資源エネルギー環境部 環境対策課

九州地域は公害克服の歴史を経て環境関連技術やノウハウが蓄積する地域となっております。

その内容は、大気、水質の浄化技術など直接的に寄与するものから、省エネや省資源につながる

環境関連技術・サービスなど間接的に寄与するものまで多岐にわたっております。

九州経済産業局では、環境関連産業を発展させることが九州地域の産業の発展と産業公害防止

に寄与するとの考えから九州地域において環境関連技術等を有する企業の現状や課題を調査し、

支援策の検討を行うとともに他社の参考となる取組を事例集としてとりまとめ、広く情報提供を

行う予定です。

つきましては、本主旨へご高配賜り、調査にご協力くださいますようお願い申し上げます。

なお、このアンケート調査は、九州経済産業局により日鉄住金テクノロジー株式会社を調

査請負企業として実施しております。

■ご回答にあたって

1. 平成 27 年 11 月 20 日(金)までに、返信用封筒または FAX(093-872-5368)にてご回答

ください。

2. ご回答いただいた内容は全て統計的に処理し、回答企業が特定される形で情報を公開する

ことはありません。

3. 調査票は調査請負企業において厳重に管理いたします。また、本調査で得た個人情報は、

ご回答の内容の確認や、聞取り時の訪問に係る連絡など、本調査実施に係る目的に限って

使用し、他の目的には使用いたしません。

4. 本アンケート調査の内容を確認するために、追加的に聞取り調査を実施する場合がござい

ます。

【調査内容に関するお問合せ先】

日鉄住金テクノロジー株式会社

八幡事業所 環境ソリューションセンター 環境ソリューション室

担当:佐藤(明)、池隅

TEL 093-872-5416 FAX 093-872-5368

(調査実施主体)

経済産業省 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 環境対策課

TEL 092-482-5499

資料1-1

Page 112: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

≪アンケート調査票(企業向け)≫

貴社における環境関連事業に関するアンケート

本調査では、貴社における環境関連事業についてお伺いします(例については下記をご確認ください)。

下記の例以外に環境関連事業とお考えの事業がございましたら、含めてご回答ください。

<環境関連事業の例>

a.大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音・振動防止などの公害対策に関連する事業

b.環境測定・分析等の試験・分析に関する事業

c.長寿命性・耐久性、軽量性などの特徴を持つ環境調和型製品の設計・開発・製造に関する事業

(最終製品以外のもの(素材、加工技術、プログラムなど)も含む)

d.廃棄物処理・リサイクルに関する事業

e.新エネ・省エネに関する事業

f.環境関連サービス事業(例:リース・レンタル、メンテナンスなどサービスとして提供する事業等)

■ 貴社(事業所)概要について

貴社(事業所)について以下の欄にご記入ください。

貴社名称

(または貴事業所名称)

所在地 (本社) 県 市・町・村

(事業所) 県 市・町・村

設立年

業種 a.情報サービス業 b.物品賃貸業 c. その他のサービス業

d.卸売業・小売業 e.製造業 f. a~e 以外の産業

主要な事業

従業員数 (事業所) 人 (全社) 人

資本金 a. 100 万円未満 b. 100 万円以上~1000 万円未満

c. 1000 万円以上~1 億円未満 d. 1 億円以上

ご回答者について ご氏名

ご所属・役職

ご連絡先 TEL FAX

e-mail

資料1-2

Page 113: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■ 問 1 貴社の主要な事業とその強みについて

(1)貴社の主要事業(事業のうち、年間売上額が最も多い事業など、貴社における主要事業)について、主要

事業の内容をご記入ください。(複数回答可)

① 貴社の主要事

業の内容

a.販売 b.企画・提案

c.設計 d.組立・加工(自社設計)

e.組立・加工(自社設計以外) f.生産(組立・加工以外)

g.研究開発(自社) h.研究開発(自社以外)

i.賃貸・リース j.労務提供

k.人材派遣

l.その他( )

② ①の事業内容 (①の事業内容の概略をご記入ください)

③ 事業展開地域

(複数回答可)

a.九州 b.国内(九州外の地域) c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり)(進出先: )

(2)(1)で回答された事業の強みはどのような点にありますか。(複数回答可)

① 貴社の強み a.技術力 b.独自性

c.迅速(または 24 時間)サポート e.外部とのネットワーク

e.設備・装置 f.経験・実績

g.アイデア・創意工夫 h.外国語対応能力

i.人材 j.価格

k.その他( )

② 貴社の主要事

業 の 特 長 ( 強

み)

(①の強みの部分の概略をご記入ください。)

(3) (1)で回答された事業の売上額や、売上全体に対する主要事業の比率は、最近 3 年の間で増えています

か。減っていますか。

①売上額 a.増えている b.ほぼ横ばい c.減っている

②売上全体に対する比率 a.増えている b.ほぼ横ばい c.減っている

資料1-3

Page 114: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■ 問 2 貴社の環境関連事業について

(1) 貴社で事業展開している代表的な環境関連事業(環境関連事業の中で、年間売上額が最も多い事業な

ど貴社として代表的なものと考えている事業)について事業の概要をご記入ください。(複数回答可)

① 環境関連事業の内容 (内容をご記入ください)

② 関連性の強い環境関連

分野(複数回答可)

a.大気 b.水質 c.土壌

d.騒音・振動 e.環境測定・分析 f.製品自体の環境負荷

g.廃棄物 h.リサイクル資源 i.エネルギー

j.サービスによる環境負荷低減

③ 主要事業との関連 a.主要事業が環境関連事業である(問 1 と問 2 が同一の事業)

b.主要事業を応用した(発展させた)事業である

c.主要事業とは異なる系統の新規事業である

④ 事業展開地域(複数回

答可)

a.九州 b.国内(九州外の地域)

c.海外(現地拠点なし)

d.海外(現地拠点あり)(進出先: )

⑤ 他社との連携 a.あり b.なし

(2) (1)で回答された環境関連事業にはどのくらいの従業員の方が従事していますか。また、従事する方は 3

年前と比較して増員されましたか、減員されましたか。増員された場合は、増員の方法についてもあわせ

てご回答ください。

① 従事する従業員数 a.1~2 人 b.3~5 人

c.6~10 人 d.10 人以上

② 3 年前における従業員

数との差

a.増員した( 人) b.変わりない c. 減員した

③ ②における増員の確

保方法(複数回答可)

a.兼務 b.部門転換 c.外部からの採用 d.外部との提携

e.その他( )

(3) (1)で回答された環境関連事業の売上額や、売上全体に対する環境関連事業の売上額の比率は、最近

3 年の間で増えていますか。減っていますか。

①売上額 a.増えている b.ほぼ横ばい c.減っている

②売上全体に対する比率 a.増えている b.ほぼ横ばい c.減っている

資料1-4

Page 115: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■問 3 環境関連事業における外部機関との連携、研究機関の活用について

(1) 問 2 の環境関連事業の立ち上げ、あるいは事業化や商用化の段階において、支援機関や公設試験研究

機関(以下「公設試」という)などの公的機関の活用、大学や高等専門学校などへの委託や共同研究など、

外部の機関の活用や連携を行ったことがありますか。

【連携・活用の有無】

a.連携・活用したことがある b.連携・活用したことがない

(2)a.連携・活用したことがあると回答した方にお尋ねします。

どのような目的で、連携・活用されましたか。またどのようなメリットが得られましたか。(複数回答可)

【連携・活用の内容】

[目的] [得られたメリット]

①中小企業等支援機関

②公設試

③商工会議所・商工会

④大学・高等専門学校等

⑤自治体

⑥研究会・異業種・同業種団体

⑦その他( )

( )

( )

≪選択肢≫[目的](複数回答可)

a.販路開拓・顧客発掘 b.ネットワークづくり c.事業パートナーの確保

d.技術的課題の解決 e.技術移転 f.研究者との提携

g.企業との提携 h.コスト的課題の解決 i.商標・特許対策

j.資金調達 k.補助・助成活用 l.広告・宣伝への活用

k.その他(上記欄内にご記入ください)

≪選択肢≫[得られたメリット](複数回答可)

a. 開発の速度を速めることができた b.技術的な問題点を改善・解消できた

c. ビジネスモデルの問題点を改善・解消できた d. 特許を取得できた

e. 新規顧客を開拓できた f. 仕事上のパートナーが得られた

g. 商用ベースに乗せるまでの資金の目途が付いた

h. その他(上記欄内にご記入ください)

(欄内へ記号をご記入ください)

資料1-5

Page 116: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■問 4 貴社の環境関連事業に関する知的財産の活用について

貴社の環境関連事業に関する知的財産(以下、「知財」という)の取得状況についてお尋ねします。問 2 で回

答された事業ではどのような知財を取得していますか。該当する知財について、国内、海外それぞれ該当する

ものに○をご記入ください。海外で取得されている方は取得地域に関する選択肢より該当する記号を選び「取

得地域(海外)」の枠内にご記入ください。

権利の種類 国内 海外

a.特許権 あり なし あり (取得地域: ) なし

b.実用新案権 あり なし あり (取得地域: ) なし

c.意匠権 あり なし あり (取得地域: ) なし

d.商標権 あり なし あり (取得地域: ) なし

[取得地域に関する選択肢] (複数回答可)

ア. 中国 イ.韓国 ウ.東南アジア エ.欧州 オ.北米

カ. その他 (主な国・地域: )

■問 5 貴社の環境関連事業の海外展開について

(1) 貴社の環境関連事業の海外展開についてお尋ねします。貴社での実態に近いものに○をご記入ください。

(複数回答可)

a.現在、海外事業を展開中

ア.輸出入 イ.現地販売(現地拠点あり)(拠点の機能: )

ウ.現地販売(現地拠点なし) エ.製造・販売以外のサービス

オ.その他( )

b.現在は取り組んでいないが、海外での事業展開を行う考えはある

c.海外に向けて取り組む考えはない

(2)(1)の質問で a.または b.と回答した方にお尋ねします。現在展開中の国と今後の海外展開の見通しについ

てお考えに近いものを選択してください。(複数回答可)

a.今後、事業を拡大 国・地域名:( )

b.今後、事業の縮小 国・地域名:( )

c.事業撤退または移転 国・地域名:( )

d.現地進出を検討中 国・地域名:( )

e.取引(現地拠点を持たない)を検討中 国・地域名:( )

資料1-6

Page 117: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■ 問 6 環境関連事業に関する経営課題について

(1) 現在、貴社では環境関連事業の展開にあたりどのような課題がありますか。(複数回答可、3 つまで)

a.新しい事業の創出 b.顧客・販路拡大

c.収益性の向上・事業の安定化 d.人材の確保・育成

e.後継者育成 f.その他( )

(2) (1)で回答した課題に関係のある外部環境はどのようなことですか。(複数回答可、3 つまで)

a.市場の縮小 b.競争相手の増加 c.景気の低迷

d.単価の下落 e.円安によるコスト上昇 f.普及制度の見直し・変更

g.その他( )

■ 問 7 環境関連産業に対する国の支援策として期待することをご自由に記入して下さい。

(自由回答)

■ 問 8 本調査では、他社の参考となる環境関連分野のビジネスを紹介する事例集を作成し、

セミナー・会合等で配布するなどの広報を予定しております。貴社における取組について事

例集への掲載にご関心はありますか。(ご関心がある場合はこちらから連絡さていただく場合

がありますので、よろしくお願いいたします。)

a.非常に関心がある b.すこし関心はある

c.あまり関心はない d.関心はない

以上でアンケートは終了です。ありがとうございました。11 月 20 日(金)までに所定の返送方法(FAX

093-872-5368 または 郵送(返信用封筒使用))にてお送りください。

資料1-7

Page 118: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

平成 27 年 11 月 6 日

環境関連企業に対する

支援に関するアンケート

ご協力のお願い

経 済 産 業 省 九 州 経 済 産 業 局

資源エネルギー環境部 環境対策課

九州地域は公害克服の歴史を経て環境関連技術やノウハウが蓄積する地域となっております。

その内容は、大気、水質の浄化技術など直接的に寄与するものから、省エネや省資源につながる

環境関連技術・サービスなど間接的に寄与するものまで多岐にわたっております。

九州経済産業局では、環境関連産業を発展させることが九州地域の産業の発展と産業公害防止

に寄与するとの考えから九州地域において環境関連技術等を有する企業の現状や課題を調査し、

支援策の検討を行うことと致しました。

また、九州管内で環境関連産業の振興に積極的に取り組んでいる自治体や支援機関を中心に、

環境関連企業に対する支援策や取組等についても情報収集を行うことで、他の自治体や支援機関

の取組の参考としたり、国や自治体・支援機関等の連携を促進させ、効果的な施策の執行につな

げたいと考えております。

つきましては、本主旨へご高配賜り、調査にご協力くださいますようお願い申し上げます。

なお、このアンケート調査は、九州経済産業局により日鉄住金テクノロジー株式会社を調

査請負企業として実施しております。

■ご回答にあたって

1. 平成 27 年 11 月 20 日(金)までに、返信用封筒または FAX(093-872-5368)にてご回答

ください。

2. ご回答いただいた内容は全て統計的に処理し、回答企業が特定される形で情報を公開する

ことはありません。

3. 調査票は調査請負企業において厳重に管理いたします。また、本調査で得た個人情報は、

ご回答の内容の確認や、聞取り時の訪問に係る連絡など、本調査実施に係る目的に限って

使用し、他の目的には使用いたしません。

4. 本アンケート調査の内容を確認するために、追加的に聞取り調査を実施する場合がござい

ます。

【調査内容に関するお問合せ先】

日鉄住金テクノロジー株式会社

八幡事業所 環境ソリューションセンター 環境ソリューション室

担当:佐藤(明)、池隅

TEL 093-872-5416 FAX 093-872-5368

(調査実施主体)

経済産業省 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 環境対策課

TEL 092-482-5499

資料1-8

Page 119: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

≪アンケート調査票(自治体・支援機関向け)≫

環境関連企業に対する支援に関するアンケート

【環境関連事業について】

本調査では、貴自治体・支援機関における、環境関連分野の産業振興や企業支援に関する取組につい

てお伺いします(環境関連事業の例を下記に示しておりますが、下記の例以外に環境関連事業とお考え

の事業がございましたら、含めてご回答ください)。

<環境関連事業の例>

a.大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音・振動防止などの公害対策に関連する事業

b.環境測定・分析等の試験・分析に関する事業

c.長寿命性・耐久性、軽量性などの特徴を持つ環境調和型製品の設計・開発・製造に関する事業

(最終製品以外のもの(素材、加工技術、プログラムなど)も含む)

d.廃棄物処理・リサイクルに関する事業

e.新エネ・省エネに関する事業

f.環境関連サービスに関する事業(例:リース・レンタル、メンテナンスなどサービスとして提供する事業等)

■ 貴自治体・支援機関について

はじめに、貴自治体・支援機関の名称、所在地及びご回答者についてご記入ください。

貴自治体・支援機関の名称

所在地 県 市・町・村

ご回答者について ご氏名

ご所属・役職

ご連絡先 TEL FAX

e-mail

【回答方法について】

当てはまる記号(または番号)を選択して○をつけてください。完全に合致するものがない場合でも、内容

として近いものがあれば○をつけてください。

資料1-9

Page 120: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■問 1 環境関連産業振興や企業支援の基本的な考え方について

(1)貴自治体・支援機関では、環境関連分野の産業振興や企業支援を進めるにあたり、どのような分野を重視

していますか。(複数回答可、3 つまで)

a. 環境調和型製品 b.廃棄物処理 c.リサイクル d. 新エネ・省エネ e.環境関連サービス

f. 大気汚染防止 g. 水処理 h. 土壌改良 i. 騒音・振動防止 j. 環境測定・分析等

k. 特にない l.その他( )

(2)貴自治体・支援機関における、環境関連分野の企業の育成・誘致に関する考えとしてどのような点を重視

していますか。(複数回答可、3 つまで)

a. 地元企業の参入 b. 外部からの企業誘致 c. 創業・ベンチャーの育成

d. 企業ネットワークの充実 e. 地元企業の海外進出

f. その他( )

■問 2 環境関連分野の産業振興や企業育成を進める部門・部署について

(1)貴自治体・支援機関において、環境関連分野の産業振興や企業育成を進めるための部門、部署はありま

すか。部門名をご記入いただき、支援の内容については下記の選択肢からご回答ください。(複数回答可)

【部門・部署及び支援の内容】

[部門・部署名]

[支援の内容](下記選択肢より回答、複数回答可)

≪支援の内容に関する選択肢≫

a.研究開発支援 b.特許活用支援

b.販売支援・ビジネスマッチング d.研究者・研究機関とのマッチング

e.専門家の派遣 f.環境調和型製品・サービスの認定

g.公的資金の獲得支援 h.その他( )

(2)ご回答者の所属する部門以外の支援部門など、部門・部署が複数ありましたら、名称や支援の内容につい

てわかる範囲でご回答ください。支援の内容について上記選択肢よりご回答ください。

[部門・部署名] [支援の内容]

[部門・部署名] [支援の内容]

[部門・部署名] [支援の内容]

資料1-10

Page 121: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■問 3 環境関連分野の企業支援に関する実績について

(1)貴自治体・支援機関では環境関連事業を行う企業に対して支援を行った実績がありますか。

a. ある b.ない

(2)支援実績について「a.ある」と回答された自治体・支援機関の方へお尋ねいたします。前年度(平成 26 年

度)の支援実績について支援件数及びそのうち専門家支援件数は、何件でしたか(同一企業かつ同一案

件についての支援は 1 件としてください)。

支援件数(平成 26 年度):( )件 うち専門家支援あり( )件

(3)支援実績について「a.ある」と回答された自治体・支援機関の方へお尋ねいたします。支援した企業で取り

組んでいる環境関連事業の分野はどのような分野でしたか。(下記選択肢に○、複数回答可)

≪環境関連事業の分野≫

a. 大気汚染防止 b. 水処理 c.土壌改良 d. 騒音・振動防止

e. 環境測定・分析等 f. 環境調和型製品 g.廃棄物処理 h.リサイクル

i. 新エネ・省エネ j. 環境関連サービス k.その他( )

■問 4 企業への支援により成果をあげるために重要な点及び支援を行う上での課題について

貴自治体・支援機関における支援活動の経験から、支援が成果につながるためには、どのような点が重要

であると考えていますか。(複数回答可、重要であると考えるものを 3 つまで)

a. 支援の時期・タイミング b. 企業団体との連携 c.補助金・助成の活用

d. 市中のニーズとの合致 e. 金融機関の融資方針 f.専門家の技量

g. 自治体(支援機関の)担当者の経験・ノウハウ h.地元大学や支援機関の連携

i. その他( )

支援を行う上での課題はどのようなこととお考えですか。(複数回答可、考えに近いものを 3 つまで)

a.自治体(支援機関の)担当者の経験 b.支援対象となる企業の発掘

c.組織・部署の予算 d.補助金・助成の適用条件

e.部署・組織の権限の強化 f.事業化までの期間の短縮

g.開発及び支援の速度 h.資金源の確保

i.事業化の企画・支援のできる人材 j.その他( )

資料1-11

Page 122: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

■問 5 環境関連企業の育成・支援を目的とした他の自治体や外部機関と連携している事業につ

いて

環境関連企業の育成・支援を目的として、現在、他の自治体・商工会議所・商工会などと連携して取組中の

プロジェクトや会議体がありましたら、その名称をご記入ください。

≪プロジェクトや会議体名の記入欄≫

■問 6 環境関連企業の海外展開に対する支援について

貴自治体・支援機関では、環境関連企業の海外展開に対する支援を行っていますか。「a. 行っている」とご

回答いただいた方は、あわせて支援している企業がどの国や地域で海外展開を行っているのか記載して下さ

い。

a. 行っている(国・地域名: )

b. 行っていない

■問 7 今後重点的に支援していく環境関連事業について

今後、貴自治体・支援機関ではどのような環境関連事業を重点的に支援していく考えですか。優先する順番

に 5 つまで下記の選択肢(a.~l.)から記号をお選びください。

1 番目 2 番目 3 番目

4 番目 5 番目

≪選択肢≫

a. 環境調和型製品 b.廃棄物処理 c.リサイクル d. 新エネ・省エネ e.環境関連サービス

f. 大気汚染防止 g. 水処理 h. 土壌改良 i. 騒音・振動防止 j. 環境測定・分析等

k. その他( ) l. 特にない

■問 8 本調査では、環境関連分野のビジネスを紹介する事例集を作成し、セミナー・会合等で

配布するなどの広報を予定しております。貴自治体・支援機関の取組について、後日ヒ

アリングさせていただく場合もございますが、支障ありませんか。

a.支障はない b.支障はある

以上でアンケートは終了です。ご記入ありがとうございました。11 月 20 日(金)までに所定の返送方法(FAX

093-872-5368 または 郵送(返信用封筒使用))にてお送りください。

資料1-12

Page 123: 平成27年度中小企業等産業公害防止対策調査 · 大 分 118.4 122.4 171.5 95.4 大 分 宮 崎 210.3 182.2 172.8 116.7 148.2 宮 崎 鹿児島 227.3 188.9 146.4 137.4

資料 2 委員会開催概要

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「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」

委員会 名簿

■検討委員会

氏名 所属等 分野

松本 亨 北九州市立大学 国際環境工学部 教授 学識経験者

梅田 佳暉 特定非営利活動法人 エコ・テクル 理事長

アイユーテクル有限会社 代表取締役社長 産業廃棄物処理業者

徳田 一憲 公益財団法人九州経済調査協会 主任研究員 専門家

野澤 義直 オリックス株式会社

九州・沖縄ブロック 地域推進戦略チーム チーム長 環境関連事業者

酒見 和幸 株式会社九電工

エコ事業創生本部 エネルギーソリューション部 部長 環境関連事業者

■事務局

氏名 所属等

竹内 一雄 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 環境対策課長

武田 裕子 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 環境対策課 課長補佐

櫻木 葉子 九州経済産業局 資源エネルギー環境部 環境対策課

氏名 所属等

満尾 良弘 日鉄住金テクノロジー株式会社 八幡事業所 環境ソリューションセンター長

佐藤 明史 日鉄住金テクノロジー株式会社 八幡事業所 環境ソリューション室長

池隅 達也 日鉄住金テクノロジー株式会社 八幡事業所 環境ソリューション室

資料2-1

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平成 27年 10 月 2 日

委員会 事務局

平成 27 年度中小企業等産業公害防止対策調査

「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」

第 1 回委員会 議事次第

1.日時:平成 27 年 10 月 2 日(金)14:00~16:30

2.場所:ホテルクリオコート博多 バロック

3.議事:

議題 時間

(1)司会挨拶 14:00~14:05

(2)資料確認

(3)環境対策課長挨拶

(4)委員紹介 14:05~14:10

(5)委員長選任~挨拶

(6)調査の趣旨と内容について 14:10~14:15

(7)報告書構成案~文献調査結果 14:15~14:55

(8)アンケート調査先選定の考え方について 14:55~15:40

(9)ヒアリング調査先選定の考え方について 15:40~16:25

(10)今後の進め方 16:25~16:30

≪配布資料一覧≫

議事次第(本資料)

(配席表)配席表

(資料 1)第 1回委員会名簿

(資料 2)調査の趣旨と内容について

(資料 3)報告書構成案~文献調査結果

(資料 4)アンケート調査先選定の考え方、アンケート調査票

(資料 5)ヒアリング調査先選定の考え方、ヒアリング調査票

(資料 6)今後の進め方(スケジュール)

以上

資料2-2

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平成 28年 1 月 28 日

委員会 事務局

平成 27 年度中小企業等産業公害防止対策調査

「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」

第 2 回委員会 議事次第

1.日時:平成 28 年 1月 28 日(木)14:00~16:30

2.場所:ホテルクリオコート博多 クリスティーナ

3.議事:

議題 時間

(1)資料確認 14:00~14:05

(2)環境関連分野の中小企業の概況

(第 1 回委員会の議論の反映を含めて)

14:06~14:26

(3)中小企業の現状と課題 14:26~14:46

(4)支援等の取組の現状と課題 14:46~15:06

(5)九州分野の特徴、強み、課題、競争力強化のための方策 15:06~15:36

(6)取組事例集について 15:26~15:46

(7)セミナーについて(エコ塾合同開催) 15:46~15:56

(8)全体まとめ 15:56~16:00

(9)環境対策課長挨拶 16:00~16:05

≪配布資料一覧≫

議事次第(本資料)

(配席表)配席表

(資料 1)第 2回委員会名簿

(資料 2)第 1回委員会議事録

(資料 3)議論のポイントについて

(資料 4)報告書(案)

(資料 5)取組事例集(案)

(資料 6)セミナー実施(案)

(資料 7)今後の進め方

以上

資料2-3

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資料 3 セミナー開催概要

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<セミナー開催概要>

■日時 平成 28 年 2 月 10 日(木)講演会 17:00-18:00 交流会 18:30-19:30

■会場 福岡合同庁舎本館1階 九経交流プラザ

福岡市博多区博多駅東 2-11-1

■セミナータイトル 「新しい環境ビジネス」

■講演

講演及び講演者 内容

「石けんをベースにした消

火剤の開発」

シャボン玉石けん株式会社

専務取締役高橋道夫氏

無添加石けんの製造会社と北九州市消防局・北九州市立大学が連

携し、海外で頻繁に発生している森林火災や泥炭火災に役立てよ

うと開発した「石けん系消火剤」がインドネシアで販売されまし

た。

現在、海外の森林火災現場で使われている製品は石油から作られ

ている合成界面活性剤を主成分とした消火剤ですが、環境負荷が

問題視されています。シャボン玉石けんが開発した消火剤は植物

油脂が原料のため生分解性が高く「環境にやさしい」製品です。

現在、地球環境保護の観点からも、九州発の石けん系消火剤を必

要とする国も多くなることでしょう。

「風力発電のメンテナンス

事業のご案内」

有限会社イー・ウィンド

専務取締役田上秀人氏

当社は長崎県五島に本社をおく、風力発電設備保守メンテナンス

専業の企業です。平成 20年に五島の風力発電設備の増加、業界の

将来性を見据え、建設業から業種転換しました。

主に、メーカー様からの依頼を受け、点検、エラー対応をする業

務と、設備近辺に常駐し運営保守管理する業務を行っています。

現在は、風力発電設備の安定した運用に必要となる業務をいち早

くとらえ、24時間遠隔監視業務、ロープアクセスによる外部点検

等を計画・検証を重ねた上で事業化し、さらに非破壊検査等の技

術習得に取り組んでいます。

「高濃度オゾン溶解システ

ム『Nano Cubic』」

株式会社ピーエムティー

環境事業責任者那須一男氏

高濃度オゾン溶解システム「Nano Cubic」は、少ない消費電力か

つ低酸素濃度でも高濃度の溶存酸素水やオゾン溶解水を生成する

ことが可能な小規模需要にも対応可能なシステムです。

今回は、陸上養殖・排水処理浄化向けシステム、殺菌・除菌・脱

臭向けなど、「Nano Cubic」シリーズの各製品や、更なる用途開発

に向けた最新の取組をご紹介します。

資料3-1

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平成 27 年度中小企業等産業公害防止対策調査

「九州管内における産業公害防止技術等実態調査」報告書

平成 28 年 3 月

発行 経済産業省 九州経済産業局

資源エネルギー環境部 環境対策課

調査請負企業 日鉄住金テクノロジー株式会社

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