平成27年度 経済産業関係...

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1 平成27年度 経済産業関係 税制改正について 平成26年12月 経済産業省

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平成27年度

経済産業関係 税制改正について

平成26年12月

経済産業省

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Ⅰ.主要項目 (1)法人税改革 (1-1)法人実効税率の引下げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (1-2)中小企業者等に係る軽減税率の維持、中小法人への外形拡大の阻止・・・・・・・・・・・・10 (1-3)課税ベース拡大・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 (外形標準課税の拡充、欠損金繰越控除制度の縮減、受取配当益金不算入制度の縮減) (2)研究開発税制の強化・重点化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 (3)地方拠点強化税制の創設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 (4)車体課税の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

Ⅱ.重要項目 (1)中小企業・地域

(1-1)事業承継税制の拡充・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置等の検討・・・・・・・・・27

(1-2)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 (1-3)地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税店の拡大・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 (1-4)中心市街地活性化のための税制措置の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 (1-5)償却資産課税の抜本的見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

目 次

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(2)資源・エネルギー (2-1)軽油引取税の課税免除の特例措置の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

(2-2)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の即時償却の適用期限の延長 -グリーン投資減税- ・・・・・・・・・・・・35 (2-3)森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策のための財源について(検討)・・・・・・・・36 (3)国際課税 (3-1)外国子会社合算税制における適用除外基準等の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・38 (3-2)国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 (4)その他 地域経済・中小企業関連・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 エネルギー・資源・技術革新関連・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

目 次

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Ⅰ.主要項目

(1)法人税改革

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(1-1)法人実効税率の引下げ

○法人税については、平成29年度にかけて段階的に財源が確保されることとなるが、経済の好循環の実現を 力強く後押しするため、平成27年度から税率引下げを先行させる。

○大法人向けの法人事業税所得割については、外形標準課税の拡大にあわせて、標準税率を引き下げる。 ○これらにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行:34.62%(標準税率ベース))は、平成27年度に 32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となる。

○なお、第2段階として、平成28年度税制改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、 平成28年度における税率引下げ幅の更なる上乗せを図る。さらに、その後の年度の税制改正においても、引き続き、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。

拡充

※東京都ベースであれば、現行の法人実効税率は35.64%。

現行 平成27年度 平成28年度

国の法人税率 25.5% 23.9% 23.9%

(参考)大法人向け法人事業税所得割 * 地方法人特別税を含む * 年800万円超所得分の標準税率

7.2% 6.0% 4.8%

(参考)国・地方の法人実効税率 <標準税率ベース※> 34.62%

32.11%

(▲2.51%) 31.33%

(▲3.29%)

改正概要

(法人税・法人住民税・法人事業税)

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33.33%

21.00% 25.00%

17.00%

26.08% 23.71% 22.48% 22.75%

31.91%

15.83%

22.00%

11.93% 11.93%

10.58% 9.51%

8.84%

13.76% 2.20%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%法人実効税率の国際比較

※(出所)KPMG「Corporate tax rates table」等。赤枠囲いの数字は、2014年3月の税率。ただし、日本とイギリスは、2014年4月の税率。

日本(東京都ベース)※カッコ内は標準税率

アメリカ (カリフォルニア州)

ドイツ イギリス 中国 韓国 シンガポール

国税

地方税

現行 (2014年度)

2015年度

40.69%(-2011)

35.64% (34.62%)

40.75%

フランス

33.33%

29.59%

21 %

25 % 24.2 %

17 %

38.36% (-2008)

30.00% (-2008)

33.00% (-2007)

20.00% (-2007) 20%

(2015-)

33.06% (32.11%)

○今回の税制改正で、日本(東京都ベース)の実効税率は、現行の35.64%から、2015年度に33.06%へと2.58%低下。2016年度には、少なくとも32.26%へと低下し、第2次安倍政権が発足した2012年度(38.01%)を起点として、実効税率が5%超、引き下がる。

以下の図は、海外各国との立地競争力を比較する観点から、企業が集積し、経済機能が活発な東京都ベースの実効税率での国際比較。※全都道府県の県庁所在地で、標準税率ベースの法人実効税率となる自治体は存在しない。

32.26%

33.06%

2016年度

32.26% (31.33%)

38.01% (37.00%)

2013年度

<改革案>

34.36% (製造業:31.63%)

※連邦法人税率 引下げ提案

35%→28% (製造業:25%に)

(参考)法人実効税率の引下げ(国際比較) 拡充

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(参考)法人実効税率の引下げと立地競争力の強化

○ 日本企業が高付加価値分野を国内に残すことは、質の高い雇用機会の提供や税収の確保等の観点から、必

要不可欠。経済産業省のアンケートにおいては、多くの国内市場向け生産拠点や研究開発・本社機能といった重要な拠点が、既に海外に流出しているが、法人実効税率が引き下げられることで、法人実効税率が引き

下がらない場合に起きうる更なる海外移転を押しとどめられることが示されている。

経済産業省委託アンケート調査((株)野村総合研究所実施) 調 査 対 象:上場企業のうち売上高上位1,000社 集計対象企業:調査回答企業351社(売上高ベースで日本全体の16.5%に相当)のうち、 海外で事業を行っていると回答した企業275社

調 査 時 期:平成26年2~3月 調 査 対 象 業 種: 製造業 194社(化学・薬品32社、鉄・非鉄金属・窯業33社、輸送機器・関連部品27社、電機・精密機械34社 等)

非製造業 157社(建設・土木29社 商社・卸売・小売58社、運輸・倉庫16社 等) 集 計 方 法:複数回答。生産拠点については、海外市場向け及び国内市場向けの合計。

本社機能

(企画・統括) 研究開発 生産拠点

(マザー工場機能) 生産拠点 (量産機能)

販売など

現地市場

向け機能

海外投資

【投資判断要因】 ・市場の成長性 ・労働コスト ・法人税 ・規制 ・エネルギーコスト 等

現状

国内回帰

海外移転

14

22

17

57

95

217

91

289

13

7

15

30

54

83

61

171

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

法人実効税率と各種拠点・機能の海外移転

<生産拠点> <生産拠点のうち国内市場向け>

<販売拠点>

<研究開発・本社機能>

<資産運用拠点>

<バックオフィス機能>

<その他>

企業の拠点・機能別投資判断(イメージ)

海外移転済み拠点・機能

法人実効税率が引き下がらない場合、海外移転又は国外事業比率を増やす可能性のある拠点・機能

<物流拠点>

(延べ拠点数) 国内投資

高付加価値機能

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法人実効税率の引下げによる真の経済の好循環の実現

○法人実効税率の引下げによる企業収益の拡大を、賃上げ、設備投資や下請・中小企業の取引条件の改善に結びつけていく必要がある。

○賃上げや設備投資などの前向きな投資を加速するとともに、下請・中小企業の取引条件の改善により、もう一段の「真の経済の好循環」の実現を図る。

法人実効税率の引下げ

①設備投資水準の回復 2013年度:68兆円(前年度比+4.9%) ※2015年度目標 70兆円 2014年7-9月期:前年同期比+2.7%

②賃金の引上げ 2014年:賃金の引上げ率は 、15年ぶりに2%超え。

<参考> 政労使会議 「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」(平成26年12月16日)(抜粋)

企業収益の拡大から賃金の上昇、消費の拡大という好循環を継続的なものとし、デフレ脱却を確実なものとするためには、企業収益の拡大を来年春の賃上げや設備投資に結びつけていく必要がある。このため政府の環境整備の取組の下、経済界は、賃金の引上げに向けた最大限の努力を図るとともに、取引企業の仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁や支援・協力について総合的に取り組むものとする。

③下請・中小企業の取引条件の改善

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○平成29年4月の消費税率の再引上げに向けて、経済の好循環を定着させていくため、平成25年度改正で創設された

「所得拡大促進税制」の給与総額増加要件を緩和し、継続して着実に賃上げに取り組む企業をサポートする。

(参考)所得拡大促進税制の拡充 (法人税・所得税・法人住民税)

給与等 支給額 の総額

平成24年度 平成26年度 平成27年度 (適用年度)

24年度から の増加額

10%の税額控除 (法人税額の10%(中小は20%)が上限)

【要件①】給与等支給額※の総額:平成24年度から一定割合(下図)以上増加

【要件③】給与等支給額の平均:前の事業年度を上回る

<制度内容>

【要件②】給与等支給額の総額:前の事業年度以上

拡充

改正概要 【適用期間:3年間(平成29年度末まで)】

24年度から の増加額 【要件①】

【要件②】

(【要件③】も満たせば)

※国内の雇用者への支払給与。役員給与は含まず、パート・アルバイトへの給与を含む。 通常の賃金のほか、残業手当・賞与を含む。退職手当は含まない。

H24 (基準年度)

H25 (創設年度)

H26 H27 H28 H29

2%増 2%増

(要件① 給与総額増加要件の一定割合)

《現行》 《改正後》

3%増

5%増 5%増

3%増 4%増

5%増

・・・

大法人

中小法人

3%増 3%増 ・・・

H27 H28 H29

3%増

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(1-2)中小企業者等に係る軽減税率の維持、中小法人への外形拡大の阻止 (法人税・法人住民税・事業税)

改正概要

○今後のローカルアベノミクスの主役である、地域経済を支える中小法人については、法人税率を 15%に軽減する措置の適用期限を2年延長。 ○平成27年度税制改正において、中小法人への外形標準課税の導入は阻止。

延長

【適用期間:2年間(平成28年度末まで)】

○中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得金額について19%に軽減されている。 ○当該税率は、平成26年度末まで15%に軽減されており(租税特別措置)、 平成28年度末まで、適用期限を2年延長する。

対象 法人税法における税率(本則) 租税特別措置法 における軽減税率

中小企業 (資本金1億円以下の法人)

年800万円以下の所得金額 19% 15%

年800万円超の所得金額 23.9% -

大企業 (資本金1億円超の法人)

所得区分なし 23.9% -

<中小法人に係る法人税率>

<中小法人に係る外形標準課税>

○平成27年度税制改正において、中小法人への外形標準課税の導入は阻止。

【平成27年度】

○外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。

平成27年度税制改正大綱

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○大法人について、法人事業税における外形標準課税を2倍に拡充する一方、所得割の税率を引き下げる。 ○増税となる企業への影響を緩和するため、平成27・28年度の2段階で拡充。さらに、以下の特例措置を確保。 ①賃上げへの取組を阻害しないよう、一定以上の賃上げ分を控除。 ②地域の経済・雇用を支える中堅企業について、外形拡充により税負担が増加する場合はこれを軽減。

改正概要

【適用期間:3年間(平成29年度末まで)】

(1-3)課税ベース拡大:外形標準課税の拡充(大法人)

50%の 税額を軽減

所得割

付加価値割

資本割

外形標準課税

所得割

付加価値割 資本割

賃上げ分 を控除

○大法人(資本金1億円超)の法人事業税について、外形標準課税を2倍に拡充する。 ( 付加価値割:現行0.48%⇒0.72%⇒0.96% 資本割:現行0.2%⇒0.3%⇒0.4% )

○所得割の税率を2/3に引き下げる(現行:7.2%⇒6.0%⇒4.8%)。 ※外形標準課税の拡充と並行して2段階で見直し ○以下2つの特例措置を講ずる(いずれも赤字法人にも適用可能)。

①賃上げした企業への特例 ②中堅企業への特例

【適用期間:2年間(平成28年度末まで)】

・適用年度に従業員に支払った給与総額が、基準年度(平成24年度)に比べて一定割合以上増加している場合、当該増加額を「報酬給与額※」から控除する(賃上げ分に係る付加価値割額を実質的に税額控除)。

・「所得拡大促進税制」の要件を満たす必要あり。 (今年度改正にて増加要件を緩和)

※付加価値割の課税標準たる「付加価値額」の一部。

付加価値額=報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益

・適用年度の課税標準に、前年度の税率と適用年度の税率をそれぞれ乗じ、適用年度の方が負担が重くなる場合、適用 年度の付加価値額が30億円以下の法人について、当該負担増加額の50%を控除。適用年度の付加価値額が30億円超 40億円未満である法人については、控除率(50%)をなだらかに縮減。

前年度の税率で 計算した税額

適用年度の税率で 計算した税額

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欠損

○大企業の控除限度額(現行:課税所得の80%)について、平成27年度に65%、平成29年度に50%に段階的に引き下げ(中小企業は対象外)。一方で、中小企業含め、繰越期間を現行の9年から10年に延長(平成29年度以降)。

○また、赤字が先行しやすいベンチャー企業や、経営再建を行う企業については、雇用やイノベーションを生み出す創業や円滑な事業再生を促進する観点から、7年間・100%控除できる仕組みを新たに導入。

改正概要

所得

<例:平成29年度以降の大法人の場合>

控除限度 100%

繰越期間 7年間

<ベンチャー企業、経営再建を行う企業の場合>

1年目 2年目 10年目

控除限度の制限により課税所得が増加

繰越期間の延長により10年目も控除可能 (課税所得が減少)

欠損金発生

(1-3)課税ベース拡大:欠損金繰越控除制度の縮減(大法人)

・ ・ ・

・ ・ ・

100 50 % 控除

7年間 100% 控除

控除前所得

この仕組みにより、ベンチャー企業や経営再建を行う企業の税負担が7年間軽減されるため、そのキャッシュフローが前向きな投資に回り、ベンチャー企業の成長・発展や迅速な事業再生が期待できる。

50

現行 平成27年度 平成28年度 平成29年度

大企業 控除限度 80% 65% - 50%

繰越期間 9年 9年 - 10年(※)

中小 企業

控除限度 100% - - -

繰越期間 9年 - - 10年(※)

※ 平成29年度以降生じる欠損金について10年間、繰越可能

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(1-3)課税ベース拡大:受取配当益金不算入制度の縮減

○受取配当益金不算入制度(※)について、現行の持ち株比率の基準を見直し、5%以下の場合は20%、1/3以下の場合は50%、それぞれ益金不算入となる。

○ 一方、1/3以下の株式からの配当についての負債利子控除を廃止することで、企業の負担を軽減。 (※)法人が内国法人から配当を受けた場合、その全部又は一部の金額を、税法上益金に算入せず、その法人の税負担を緩和する制度。

改正概要 ○受取配当益金不算入制度については、下記のように見直しされる。

<負債利子控除制度について>

<現行>

持ち株比率 益金不算入割合

25%未満 50%

25%以上 100%

持ち株比率 益金不算入割合

5%以下 20%

5%超1/3以下 50%

1/3超 100%

<平成27年度以降>

負債利子 控除の廃止

親会社 銀行等

融資

利払い (損金算入)

投資先 (子会社含む)

出資 配当 (益金不算入)

銀行等からの借入金(負債)で株式を購入する場合、その負債利子

を親会社の損金に算入(非課税)できる一方、その配当金について

益金不算入(非課税)にできると、二重に恩恵を受けてしまう。そう

した状況を防ぐために、負債利子相当分については益金不算入と

しない(益金とみなす)仕組みが「負債利子控除制度」。

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(2)研究開発税制の強化・重点化

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控除率大幅引上げ (現行12%)

拡充・延長

○企業のオープンイノベーション(外部の技術・知識を活用した研究開発)を促進し、企業(大・中堅・中小・ベンチャー企業)・橋渡し研究機関・大学等が各々の機能を発揮しつつ有機的に連携するイノベーション・ナショナルシステムの強化を図るため、控除率を大幅に引き上げるとともに中小企業の知的財産権の使用料等を対象費用に追加するなど、オープンイノベーション型の抜本的拡充が実現。

試験研究費の増加額 ×増加割合(5~30%)

【増加型】 【高水準型】 選択

<控除上限>

法人税額の10%

法人税額の25%

【総額型】 試験研究費の総額×8~10%

中小企業は、一律12%

売上高比10%超の試験研究費 ×控除率(※1)

※1 (試験研究費割合-10%)×0.2

※ 1年間の繰越控除制度を廃止

【オープンイノベーション型】 法人税額の5% 特別試験研究費×20%又は30%(※2)

※2 大学・特別試験研究機関等との共同・委託研究 :30% 企業間等(中小企業からの知財権使用料等の追加):20%

総額型とオープンイノベーション型を別枠化

○ オープンイノベーション型の抜本的拡充(控除率大幅引上げ・控除上限別枠化・対象費用拡大)(恒久措置) ○ 総額型とオープンイノベーション型をあわせ、控除上限30%の確保(総額型25%+オープンイノベーション型5%)(恒久措置)

○ 繰越控除制度は廃止。

<控除上限>

新制度

控除上限は、 あわせて30%

対象費用追加

改正概要

研究開発税制の強化・重点化 (法人税・所得税・法人住民税)

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事例① 医療機器製造業から国の研究機関への委託研究

【人工心臓】

【セキュリティロボット】 不審者を発見すると、自動で追尾、撮影する小型無人航空機を開発。研究開発にあたって、ベンチャー企業が持つ知的財産権を使用料500万円で利用。

現行措置

流体力学に関する知見を有する国の研究機関に委託研究を依頼し、5,000万円を支出。

○12%の税額控除

(最大600万円分、納税額を免除)。

税額控除割合が30%に増加

※最大1,500万円の法人税の免除(現行に比べて、900万

円分、納税額が減少)

今後の措置

事例② サービス業がベンチャー企業の特許を使用

現行措置

○8~10%の税額控除(最大50万円分、納税額を免除)。

税額控除割合が20%に増加

※最大100万円の法人税の免除(現行に比べて、50万円分、

納税額が減少) ※大企業等とベンチャー企業との連携も促進。

今後の措置

参考:各対象範囲の控除率と拡充の効果

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(3)地方拠点強化税制の創設

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新設

○地方創生のためには地方で生まれ、地方で育ち、地方で働きたい若者のための働き場が不可欠。

○現在、起こりつつある本社機能を移す企業の動きを後押しするため、地方における企業拠点の強化・拡充を行う取組に対する支援スキームを構築し、オフィス設備に関する設備投資減税や雇用促進税制等の措置を創設する。(地域再生法改正により対応予定。 事業税(移転型のみ)、不動産取得税、固定資産税について地方交付税による減収補填措置を併せて創設。)

大都市等 東京23区

東京一極集中の是正 地方移転の促進

移転型

東京23区からの移転の場合、拡充型よりも支援措置を深堀り

拡充型(含対内直投)

地方にある企業の本社 機能(※)等の強化を支援

地域

※ 本社機能とは、経営意思決定、経営 資源管理(総務、経理、人事)、各種業務 統括(研究開発、国際事業等)などの事業所をいう。工場及び当該地域を管轄 する営業所等は含まない。

以下の要件を満たす計画を自治体が策定し国が認定 1. 地域要件:東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く全地

域 2. 本社機能の受入促進策を講じていること

以下の要件を満たす計画を自治体が策定し国が認定 1. 地域要件:東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く地域

であって、単独自治体、又は地域連携により概ね人口10万人以上の経済圏を構成し、一定の事業集積が認められる地域

2. 本社機能の受入促進策を講じていること

オフィスに係る建物等の取得価額に対し、 特別償却15%、税額控除4%(※) 《新設》 ※計画承認が平成29年度の場合は2%

①増加雇用者1人当たり50万円を税額控除 《従来の40万円に、地方拠点分は10万円上乗せ》 ②法人全体の雇用増加率10%未満の場合でも、 1人当たり20万円を税額控除 《新設》

オフィスに係る建物等の取得価額に対し 特別償却25%、税額控除7%(※) 《新設》 ※計画承認が平成29年度の場合は4%

①増加雇用者1人当たり最大80万円を税額控除 《拡充型50万円に、地方拠点分は更に30万円上乗せ》 ②①のうち30万円分は、雇用を維持していれば、 最大3年間継続 《新設》 ③②は法人全体の雇用増がなくても、東京から地方へ の移転者にも適用 《新設》

企業の地方拠点強化実施計画(知事承認)

企業の地方拠点強化実施計画(知事承認)

地方の企業の拠点拡充

地方における企業の拠点強化を促進する特例措置の創設(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

改正概要 【適用期間:3年間(平成29年度末までに「地方拠点強化実施計画」が承認された事業者が対象)】

オフィス 減税

オフィス 減税

雇用促進税制

雇用促進税制

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【企業による地方拠点の拡充の動き】

○近年、企業による地方拠点拡充の自発的な動きとして、①創業地などの「縁」のある地域への移転、②生産拠点との一体化による効率化、③災害リスクの分散化を図る動きが見られる。

○この地方拠点の強化の動きを支援することにより、地方拠点の高度化や地域での雇用増大に加えて、周辺地域への経済波及効果が期待される。また、社員の子育てと仕事の両立が容易になることも期待される。

(参考1)地方における企業の拠点強化を促進する特例措置(オフィス減税))

オフィス減税の適用対象の建物等のイメージ

○本社等の複数事業所に分散されていた教育機能を一元化するために、地方に総合 研修施設を建設。

○効率的に研究開発成果を量産に結びつけるため、東京本社から研究開発機能を 地方の主力生産工場がある地域に集約化し、研究所を工場敷地内に新たに建設。

事例①(本社)

事例②(研究所)

事例③(研修所)

○東京に本社を置く企業が、創業の地である地方都市に新社屋を建設し、本社を移転。

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初年度1人最大80万円 3年間1人最大140万円

①地方拠点の当期増加雇用者数一人当たり

50万円/20万円 を税額控除 (ただし、法人全体の雇用者数の純増数を上限) ② ①に加え、当該地方拠点における当期増加雇用者数一人当 たり

30万円 の税額控除を追加 (②は最大3年間継続(計90万円)。ただし、当該地方拠点の雇用 者数又は法人全体の雇用者数が減少した後は不適用)

地方拠点の当期増加雇用者数一人当たり (法人全体の雇用者増加率が10%以上)

50万円 (法人全体の雇用者増加率が10%未満)

20万円

を税額控除

(ただし、法人全体の雇用者の純増数を上限)

拡充型

地域の事業所

移転型

30万 30万

1年目 2年目 3年目

30万

50万

税額控除の イメージ

(参考2)地方における企業の拠点強化を促進する特例措置(雇用促進税制)

新規雇用

雇用促進税制の適用のイメージ

地域の事業所 地域の事業所

新規雇用

地域の事業所

雇用者 雇用者

東京からの移転

東京本社

雇用者

(自治体連携により概ね10万人以上の 圏域を構成)

雇用者 雇用者

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(4)車体課税の見直し

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改正内容 減税規模

自動車取得税

○ エコカー減税について基準切替え、拡充(対象区分の追加)・延長。

230億円

自動車重量税

○エコカー減税について基準切替え、拡充(対象区分の追加)・延長。2015年度燃費基準達成の新車について「当分の間税率」ではなく、本則税率を適用。

420億円

軽自動車税

○ 環境性能に優れた軽自動車に対する軽課措置の導入。 ○ 二輪車の税率引上げ時期について、平成28年度へ1年間延期。

軽課措置 60億円

二輪車 130億円

減税率

1回目 車検

2回目 車検

電気自動車等 免税 免税

2015年度燃費基準+20%達成

2015年度燃費基準+10%達成 ▲75%

2015年度燃費基準達成 ▲50%

減税率

1回目 車検

2回目 車検

電気自動車等 免税 免税

2020年度燃費基準+20%達成

2020年度燃費基準+10%達成 ▲75%

2020年度燃費基準達成 ▲50%

2015年度燃費基準+5%達成 ▲25%

減税率

2年目

電気自動車等 ▲75%

2020年度燃費基準+20%達成 ▲50%

2020年度燃費基準達成 ▲25%

減税率

取得時

電気自動車等 免税

2015年度燃費基準+20%達成

2015年度燃費基準+10%達成 ▲80%

2015年度燃費基準達成 ▲60%

減税率

取得時

電気自動車等 免税

2020年度燃費基準+20%達成

2020年度燃費基準+10%達成 ▲80%

2020年度燃費基準達成 ▲60%

2015年度燃費基準達成+10%達成 ▲40%

2015年度燃費基準達成+5%達成 ▲20%

1. 車体課税の見直しについて

(経産省試算)合計:840億円

新設・拡充・延長

新設

(注1)計数調整中。自動車取得税と自動車重量税の減税規模は、2020年度燃費基準への単純切替えを行った場合と比べた減税額。

(注2)改正内容は乗用車の場合のケースを記載(減税規模はバス・トラック等に係る措置を含む)。

(注3)電気自動車等には、電気自動車、燃料電池自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、クリーンディーゼル自動車が含まれる。

経済情勢等を総合的に勘案し消費税引上げ時期の延期がなされた現下の状況を踏まえ、景気回復を最優先し、自動車の需要を喚起する観点から、エコカー減税の拡充(新たな対象区分の追加)を行うとともに、環境性能に優れた軽自動車への軽課措置の導入等を図る。

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2.バス・トラック、軽貨物車

排ガス要件 燃費要件

取得税 減税率

重量税 減税率

取得時 1回目車検時

電気自動車等 免税

免税 (2回目車検:免税)

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準 +10%達成

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準 +5%

▲80% ▲75% ポスト新長期規制適合

2015年度燃費基準 +10%

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準達成 ▲60% ▲50%

ポスト新長期規制適合 2015年度燃費基準 +5%

【重量車】

排ガス要件 燃費要件

取得税 減税率

重量税 減税率

取得時 1回目車検時

電気自動車等 免税

免税 (2回目車検:

免税) ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準 +15%達成

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準 +10%

▲80% ▲75% ポスト新長期規制適合

2015年度燃費基準 +15%

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準 +5%

▲60% ▲50% ポスト新長期規制適合

2015年度燃費基準 +10%

ポスト新長期規制 NOx・PM+10%低減

2015年度燃費基準達成 ▲40% ▲25%

ポスト新長期規制適合 2015年度燃費基準 +5%

【中量車】【軽量車】 重量車の場合と同様の考え方に基づき、排出ガス・燃費(2015年度燃費基準)の各要件を満たすものについて、要件の達成割合に応じて軽減。

バス・トラック

軽貨物車

エコカー減税(自動車取得税・自動車重量税)

グリーン化特例(軽自動車税)

軽自動車税 減税率

2年目

電気自動車等 ▲75%

2015年度燃費基準+35%達成 ▲50%

2015年度燃費基準+15%達成 ▲25%

新設

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3. 平成27年度税制改正大綱(抜粋)

(2)車体課税の見直し

平成26年度与党税制改正大綱等における消費税率10%段階の車体課税の見直しについては、平成28

年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。

自動車取得税及び自動車重量税に係るエコカー減税については、燃費基準の移行を円滑に進めるととも

に、足下の自動車の消費を喚起することにも配慮し、経過的な措置として、平成32年度燃費基準への単純

な置き換えを行うとともに、現行の平成27年度燃費基準によるエコカー減税対象車の一部を、引き続き減税

対象とする等の措置を講ずる。

自動車重量税については、消費税率10%引上げ時の環境性能割の導入にあわせ、エコカー減税の対象

範囲を、平成32年度燃費基準の下で、政策インセンティブ機能を回復する観点から見直すとともに、基本構

造を恒久化する。また、平成25年度及び平成26年度与党税制改正大綱に則り、原因者負担・受益者負担

の性格等を踏まえる。

軽自動車税については、一定の環境性能を有する四輪車等について、その燃費性能に応じたグリーン化

特例(軽課)を導入する。この特例については、自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自

動車税のグリーン化特例(軽課)と合わせて見直す。また、二輪車等の税率引上げについて、適用開始を1

年間延期し、平成28年度分からとする。

なお、消費税率10%段階の車体課税の見直しにおいては、税制抜本改革法第7条に沿いつつ、自動車を

めぐるグローバルな環境や課税のバランス、自動車に係る行政サービス等を踏まえた議論を行う。

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Ⅱ.重要項目

(1)中小企業・地域

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(1-1)事業承継税制の拡充 (贈与税、相続税)

○経営者の高齢化が進む中、中小企業の事業承継のより一層の円滑化を図るため、2代目から3代目に承継する場合に、贈与税の納税義務が生じないようにするなど、事業承継税制を拡充する。

2代目

経営者

3代目

経営者

雇用確保を含む5年間の事業継続を行い、

その後も株式の継続保有等を行う

生前贈与

贈与税の納税猶予の適用

大臣認定

雇用確保を含む5年間の事業継続を行い、その後も株式の継続保有等を行う

生前贈与

大臣認定

納税部分

猶予対象 部分

2/3

1/3

猶予対象 部分

贈与税の納税猶予の適用

拡充

○1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合には、猶予されていた贈与税の納税義務が2代目に生じる。

このため、3代目への承継が困難。

【現行】

○1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(※)には、猶予されていた贈与税の納税義務を免除する。

【改正後】

1代目

経営者

事業承継税制の対象は、

発行済議決権株式総数の2/3まで

(※)3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること

改正概要 ○贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者(2代目)が、3代目に対する再贈与を行う場合に、贈与税の納税義務が生じないようにするなど、本税制を拡充する。

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○個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人と異なり、対象とすべき事業用資産とそれ以外の資産の区分が明確でなく、それを客観的に区分することも困難であること、株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められている法人の事業承継とは異なること等の問題があることに留意し、既存の特例措置のあり方を含め総合的に検討する。

○小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

(1-1)個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置等の検討 検討事項

○個人事業者の事業承継等に係る税制上の措置については、既存の特例措置のあり方を含め総合的に検討する。

(出典)総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工

(備考)非一次産業の企業ベースで集計。中小企業については、中小企業基本法の定義に照らして、「小規模企業」(製造業その他の業種は従業員20人以下、商業・サービス業は従業員5人以下)と 、小規模企業以外を「中規模企業」と区分して集計。

我が国における規模・形態別の事業者数

三大都市圏 三大都市圏以外

常時雇用 5.8% 11.1%

従業員全体 9.9% 19.0%

(出典)平成24年度経済センサス活動調査 (備考)三大都市圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県

個人事業者が雇用している割合

純資産4,800万円(※)超の個人事業者が所有する事業用資産の構成

事業者数 割合

個人事業者 2,175,262 56.3%

小規模企業 1,277,893 33.1%

中規模企業 400,056 10.4%

大企業 10,319 0.3%

A事業者(製麺所):

7人の従業員を抱え、茨城県で事業を展開。製麺機、ボイル機、工場等の設備を保有。

B事業者(畳業):

3人の従業員を抱え、長崎県で事業を展開。畳張り替え用機械、工場等の設備を保有。

個人事業者の例

平成27年度税制改正大綱

土地36.2%

建物18.1%

土地・建物以外の固定資産

9.9%

金融資産22.6%

その他13.1% (※)4,800万円:

相続人が3人(妻と子供2人)と仮定 した場合の相続税の基礎控除額 (H27年1月~)

(出典)中小企業庁委託調査「個人事業主が所有する事業用資産及び事業承継に関するアンケート調査」(2014年7

月) 株式会社帝国データバンク 再編加工

27

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(1-2)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長 (所得税、法人税、法人住民税、事業税)

○ 平成29年4月に予定されている消費税率の再引上げに備えるべく、商業・サービス業を営む中小企業等が経営改善設備を導入した際の軽減措置を、所要の見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。

延長

改正概要 【適用期間:2年間(平成28年度末まで】

○本税制は商業・サービス業を営む中小企業等が経営改善設備(※1)を取得した場合に、取得価額の30%特別償却又は7%税額控除(※2)ができるものであり、その適用期限を2年延長する。

(※1) 経営革新等支援機関等(商工会議所等)による、経営改善に関する指導に伴って取得する下記の設備をいう。

1台30万円以上の器具・備品(ショーケース、看板、レジスター等) 1台60万円以上の建物附属設備(空調施設、店舗内装等)

(※2) 税額控除の対象法人は、資本金が3,000万円以下の中小企業者等に限る。

経営改善指導等

経営改善指導等に基づく

設備投資

中小商業・サービス業

税制措置

(特別償却30%又は税額控除7%)

都道府県中小企業団体中央会 商工会議所 商工会

商店街振興組合連合会 認定経営革新等支援機関 等

相談 経営改善指導等を行う機関

え1

【活性化に資する設備の例】

照明設備(ダウンライト) シャンプー台設備

理容椅子

冷蔵オープンショーケース

・店舗内のイメージアップ、集客力の拡大

*本税制の対象者から認定経営革新等支援機関等を除外し、また、一部の対象設備については、消費税率引上げ対策と関係がないものを除外するなど、 所要の見直しを行う。

【本税制のイメージ図】

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(1-3)地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税店の拡大(商店街・ショッピングセンター等)

○訪日外国人による日本での買物の消費額は増加傾向にあり、平成26年に消費税免税対象物品を消耗品(化粧品類等)も含めた全品目に拡大するといった環境整備が進む中で、その需要を取り込むため、商店街等において、各免税店が第三者に免税手続を委託(ワンストップ化)することを可能とすることにより、各店舗での手続負担を大幅に軽減。

○これにより、外国人対応について、語学力等の不安がある地方の中小企業等も含め、免税店の拡大が見込まれる。

拡充

○商店街やショッピングセンター等において、各店舗の事業者が行う免税販売に係る手続を第三者に委託(ワンストップ化)することを可能とする制度を創設する。

○免税手続を委託している複数店舗での購入額を合算して、免税販売の対象とすることを可能とする。

店舗における負担を軽減するとともに、外国人観光客等が個々の店舗毎に免税手続を行う煩雑さが解消され、免税制度の利用が促進される。

改正概要

【外国人観光客で賑わう商店街や観光地等】

免税カウンターで一括手続が可能に!

各店舗で買物

現行制度

<商品購入> <購入店舗ごとに免税手続>

免税販売を行う場合、個別店舗ごとに免税手続を行う必要がある。

(消費税・地方消費税)

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(参考)主な活用事例

※一括カウンターでは、免税販売の対象となる下限額を、各店舗における一般物品・消耗品の別にそれぞれ合算した額で判断することが可能。

※「一の建物」とは、大規模小売店舗立地法に規定する「一の建物」をいう。 ※一括カウンターを設置することが可能な商店街は、「商店街振興組合法に基づく商店街振興組合」又は「中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合」の法人組織とする。

=免税手続委託カウンター(一括カウンター)

【事例2-1】 商店街内に一括カウンターを設置

【事例1】 一の建物(ショッピングセン ター等)内に一括カウンターを設置

【事例2-2】 商店街内に一括カウンターを設置

(商店街及び商店街に含まれる大型店舗が共同で利用)

商店街 商店街

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(1-4)中心市街地活性化のための税制措置の延長 (所得税、法人税) 延長

改正概要

○ 「認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画」に基づいて行われる、建物及び建物附属設備、構築物の取得に対し、5年間30%の割増償却制度の適用期間を2年延長する。

【適用期間:2年間(平成28年度末まで)】

中心市街地活性化基本計画

※市町村作成 → 総理大臣認定

特定民間中心市街地 経済活力向上事業計画

※民間事業者作成 → 経産大臣認定

中心市街地活性化法認定スキーム (第186回通常国会で改正し、民間投資を喚起する施策を強化)

税制、融資、予算等による重点支援により民間投資

の喚起を促し、中心市街地の活性化を促進

集客力が高く、近隣地域への波及効果が見込まれる民間商業施設等を整備する際に、割増償却の特例措置による税制優遇支援。

商業施設

街なか居住の推進等との連携により、相乗効果を発揮

○中心市街地は商業機能等が集積した地域経済の中心であり、また公共的・文化的施設等が集積し多くの住民が集う地域コミュニティの中核として重要な存在であり、今後の人口減少社会においても、地域の経済活力を維持し、賑わい溢れる街を維持・発展させていく必要がある。

○そこで、商業施設等を整備する民間投資の喚起を促し、中心市街地を活性化するため、改正中心市街地活性化法に基づく当該施設等を整備する際の建物等の割増償却の特例措置について、適用期限を2年延長する。

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○昨年度に引き続き、大綱の検討事項に位置づけ。

○国際的に稀で、設備投資コストの上乗せとなる償却資産課税の見直しに向け、引き続き検討。

(1-5)償却資産課税の抜本的見直し (固定資産税)

出典:「平成24年度固定資産の価格等の概要調書」における課税標準の資産別内訳を基に、平成26年度税収見込額ベースで推計。

国名 土地 家屋 償却資産(機械・装置)※注

イギリス ○ ×

機械設備に固定資産税が課されるのは土地、建物と一体をなす事業用不動産とみなされた場合のみ

フランス ○ × 職業税を2010年に廃止

ドイツ ○ × 財産税を1997年廃止

イタリア ○ ×

アメリカ ○ △ 課税あり:38州、課税なし:12州

※オハイオ州など近年廃止の動きあり

カナダ ○ △ 課税あり:3州、課税なし:7州

韓国 ○ × 貯蔵施設、船舶、航空機等には課されるが、機械・装置は対象外

中国 ○ ×

日本 ○ ○

機械・装置等に対する固定資産税の国際比較 償却資産に対する固定資産税の内訳(推計値:億円)

2,697

5,444

32 4 63

1,939

5,304

25 法第743条関係 (大規模償却資産)

構築物 (橋、街路灯、塀等)

機械及び装置

船舶

工具・器具及び備品

法第389条関係 (鉄道、電力等)

車両及び運搬具

航空機

※全体で約1.6兆円

【平成27年度税制改正大綱】 検討事項 18

設備投資促進を目的とした固定資産税の償却資産課税に関する税制措置については、固定資産税が基礎的自治体である市町村を支える安定した基幹税であることを踏まえ、政策目的とその効果、補助金等他の政策手段との関係、新たな投資による地域経済の活性化の効果、市町村財政への配慮、実務上の問題点など幅広い観点から、引き続き検討する。

※注:船舶・航空機、昇降機等の特殊な付属設備を除く。(出典)各種資料より経済省作成。

検討事項

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(2)資源・エネルギー

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(2-1)軽油引取税の課税免除の特例措置の延長 (軽油引取税)

○中小企業の経営の安定や国民生活に不可欠な製品・エネルギーの安定供給、地域における雇用の確保を図る観点から、軽油引取税の課税免除措置について、適用期限を3年延長する。

【適用期間:3年間(平成29年度末まで)】 改正概要

○ 以下の用途に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について適用期限を3年延長する。

延長

対象業種 用 途 適用期限

セメント製品製造業 セメント製品又はその原材料の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源 平成29年度末

生コンクリート製造業 骨材の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源 〃

電気供給業 汽力発電装置の助燃及びガスタービン発電装置の動力源 〃

地熱資源開発事業 動力付試すい機(ボーリング機械)の動力源 〃

鉱物掘採事業(岩石及び砂利) 鉱物の掘採や運搬等のために使用する機械の動力源 〃

鉱物掘採事業(石灰石等) 鉱物の掘採や運搬等のために使用する機械の動力源 〃

鉱物掘採事業(石炭) 鉱物の掘採や運搬等のために使用する機械の動力源 〃

鉱さいバラス製造業 鉱さいの破砕又は鉱さいバラスの集積若しくは積込みのための機械の動力源 〃

地熱発電施設で使用するボーリング機械の動力源 油圧ショベル 場内積卸し用フォークリフト 鉱物掘採現場

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(2-2)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の即時償却の適用期限の延長 -グリーン投資減税- (法人税・所得税)

○グリーン投資減税は、我が国のエネルギー需要・供給の両面において、エネルギー起源CO2排出削減や再生可能エネルギー導入拡大に資する設備投資を加速化させるため、税制上のインセンティブを与える制度。

○エネルギー基本計画においても省エネルギーの強化・再生可能エネルギーの最大限の導入を推進していくこととしており、この政策目標の実現及び地球温暖化対策に大きく寄与する。

○特に大規模開発すれば火力並みの発電コスト(10円/kWh)が可能な風力発電設備のより一層の導入促進を図るため、平成26年度末とされていた風力発電設備を取得した場合の即時償却の適用期限を1年延長。

延長

(1)青色申告を行う法人又は個人事業者が、エネルギー環境負荷低減推進設備(再エネ設備等)を取得した場合に、設備の取得価額に対して、7%の税額控除(中小企業者のみ)又は30%の特別償却の適用を認めるもの。

(2)風力発電設備のうち、固定価格買取制度の認定を受けており、かつ一定の発電容量以上の設備については、初年度即時償却の適用を認めるもの。

改正概要 【適用期間:1年間(平成27年度末まで)】

【風力発電設備】

○風力発電設備を取得した場合の即時償却の適用期限を1年延長する(平成27年度末まで)。

制度概要

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(2-3)森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策のための財源について(検討) 検討事項

検討事項

森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用 を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた2020年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに具体的な姿について結論を得る。

平成27年度与党税制改正大綱(平成26年12月30日)(抜粋)

森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、石油石炭税の税率の特例の活用等の要望が出されていたが、森林吸収源対策等に関する財源確保についての新たな仕組みの専門検討PTの中間とりまとめ(平成26年12月24日)を基に、下記の通り、平成27年度税制改正大綱が策定された。

原油 ・石油製品

LNG ・LPG

石炭

~平成24.9.30 2040円/kl 1080円/t 700円/t

平成24.10.1からの 特例分

+250円/kl (2290円)

+260円/t (1340円)

+220円/t (920円)

現行特例分 +500円/kl (2540円)

+520円/t (1600円)

+440円/t (1140円)

平成28.4.1からの 特例分

+760円/kl (2800円)

+780円/t (1860円)

+670円/t (1370円)

〔石油石炭税課税対象と税率〕

※()は石油石炭税全体の税率

日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、石油連盟、全国石油商業組合連合会、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本機械工業連合会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟、日本鋳造協会、断熱建材協議会、日本アルミニウム協会、石油化学工業協会、日本化学工業協会、全日本トラック協会、日本LPガス協会、全国LPガス協会、日本化学繊維協会、石鉱連、日本鉱業協会、日本産業機械工業会、全国商店街振興組合連合会、日本紡績協会、日本羊毛紡績会、日本チェーンストア協会 等 (計121団体)

121もの主要産業団体・中小企業団体が、 地球温暖化対策税の森林吸収源対策等への

使途拡大に反対

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(3)国際課税

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(3-1)外国子会社合算税制における適用除外基準等の見直し (法人税・法人住民税・事業税)

拡充・検討事項

改正概要

○日本企業の海外での健全な事業活動における税制面でのリスクやコストを低減し、海外展開を後押しするため、現状のビジネス実態を踏まえ、外国子会社合算税制を見直す。

○トリガー税率の見直し(現行:20%以下 ⇒ 20%未満)

○適用除外基準等の見直し(①航空機リース事業の取扱い(※) ②被統括会社の範囲 ③税務申告時の別表添付要件) (※は検討事項)

○「外国子会社合算税制」は、我が国企業が軽課税国に実体のない子会社を設置して租税回避を行うことを防止する制度。 ○具体的には、以下の要件を満たさない場合に限り、海外子会社の所得を親会社に合算して課税する。

<「外国関係会社」の判定> 外国法人の株式等の日本法人による保有割合が50%超

<「特定外国子会社等」の判定> 所在する国での租税負担割合が20%以下※ 等

<「適用除外基準」の判定>(税務申告時に別表を添付)

該当

該当

対象となる

子会社の

所得を親会社に

合算

満たさない場合 (1)事業基準 ○下記の事業が主たる事業でないこと

・株式等・債券の保有 ・工業所有権等の提供 ・船舶又は航空機の貸付

※海外関係企業を統括する会社に関しては例外規定あり

(2)実体基準 (3)管理支配基準 (4)非関連者基準or 所在地国基準

※この水準を 「トリガー税率」 と呼ぶ

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(3-2)国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し (消費税、地方消費税) 見直し

改正概要

○現在、海外からのインターネット等を通じた電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービス等の役務の提供には、消費税が課されていない。

○同一の役務の提供であっても、国内からの役務の提供には消費税が課されていることに鑑みて、内外の競争環境の公平性・中立性を確保する観点から、海外からのインターネット等を通じた役務の提供に消費税を課する。

○国外事業者から国内の者へのインターネット等を通じた役務の提供について、国内取引と位置付けて消費税を課税する。 ○提供される役務が消費者向けであるか事業者向けであるかに応じた課税方式を設ける。

国 内 国 内

役務提供

(課税)

国 外

税務署

役務提供

(不課税)

申告納税 仕入税額控除

《納税義務者》

消費者向け取引に係る課税方式(国外事業者申告納税方式) 事業者向け取引に係る課税方式(リバースチャージ方式)

○国外事業者は、課税で役務 提供を行い、国内の税務署 に申告納税を行う。

○国外事業者は、不課税で役務提供を行い、国内事業者が申告納税を行う。

※課税売上割合が95%以上の国内

事業者については、納税額と仕入控除税額を同額とみなして申告対象から除外。

例: 電子書籍・音楽の配信

例: 広告の配信

国内事業者

国外事業者

税務署

国 外

国外事業者

《納税義務者》

申告納税

国内消費者

国境 108円

100円

現行消費税制度の課題 単位:億円 出典:インプレスR&D「電子書籍ビジネス調査報告書2014」

電子書籍市場 の急成長

※本体価格100円 消費税率8%の場合

国内 国外

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(4)その他

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地域経済・中小企業関連

○ 中小企業等の貸倒引当金の特例の延長(法人税、法人住民税、事業税)

相互扶助の精神に基づき協同して事業に取り組む事業協同組合等が取引先の倒産により更に弱体化することや組合員や債権者へ連鎖的に影響を及ぼすことを防止することにより、組合の健全な発展と組合員の利益保護を図るため、中小企業等の貸倒引当金の特例について、適用期限を2年延長する。

○ 信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減の延長(登録免許税)

有担保保証に係る中小企業者等の利用負担を軽減するため、信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置について、適用期限を2年延長する。

○ 小規模企業共済制度の見直し(共済事由の引上げ等)(所得税、相続税、個人住民税)

小規模事業者の事業承継の円滑化等を通じた活性化を図るため、配偶者・子への事業譲渡時の共済事由を見直す等の所要の措置を講ずる。

<見直し>

<延長>

○ 地方分権に伴う税制措置の事務手続体制の見直し(所得税、相続税、贈与税、個人住民税)

国が行っているエンジェル税制及び事業承継税制に係る確認・認定事務を都道府県に移譲し、制度の利便性を向上させるため、法令上の所要の規定の整備を行う。

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○ ガス事業法の改正に伴う所要の税制措置 (所得税、法人税、登録免許税、消費税、石油石炭税、印紙税、事業税、固定資産税、事業所税 等)

低廉かつ安定的な供給を実現するガスシステムの構築に向けた改革のために行う、ガス事業法の改正に伴う所要の税制措置を講ずる。

エネルギー・資源・技術革新関連

○ 電気事業法の改正に伴う所要の税制措置(法人税、登録免許税、法人住民税、事業税 等)

電気事業法の改正に伴い実施される送配電部門の中立性の一層の確保に向けて、組織再編に係る税制上の所要の環境整備を行う。

○ 熱供給事業法の改正に伴う所要の税制措置 (所得税、法人税、登録免許税、消費税、固定資産税、事業所税 等)

事業者の創意工夫を促し、需要家が多様な料金メニューを選択し得る環境を整備する等の観点から行う、熱供給事業法上の事業規制の見直しに伴う所要の税制措置を講ずる。

<新設>

○ 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入、国庫補助金等の総収入金額不算入の拡充(所得税、法人税、個人住民税)

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成27年度新規補助事業を適用対象に追加する。

<拡充>

○ 低公害車の燃料等供給設備に係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)

低公害車の燃料供給インフラの整備を促進するため、水素充てん設備及び天然ガス充てん設備に係る固定資産税の軽減措置について、要件を見直した上で、適用期限を2年延長する。

<延長>

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○ コージェネレーションに係る課税標準の特例措置の延長(固定資産税)

エネルギーの安定供給の確保等を図るため、分散型エネルギーである熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション)に係る固定資産税の軽減措置について、要件を見直した上で、適用期限を2年延長する。

エネルギー・資源・技術革新関連

○ 技術研究組合の所得計算の特例の延長(法人税)

技術研究組合が賦課金をもって取得した試験研究用資産の圧縮記帳をした場合の減額分を損金算入する特例措置について、対象資産から「土地の上に存する権利」を除外した上で、適用期限を3年延長する。

○ 引取りに係る沖縄発電用特定石炭等の免税の延長(石油石炭税)

沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保のため、一般電気事業者又は卸電気事業者が沖縄県の区域内にある事業場において発電の用に供する天然ガス又は石炭に係る石油石炭税の免除について、適用期限の5年延長等を講ずる。

○ 沖縄電力株式会社が電気供給業の用に供する償却資産に係る課税標準の特例措置の延長 (固定資産税)

沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保のため、沖縄電力株式会社が電気供給業の用に供する償却資産に係る特例措置について、適用期限を5年延長する。

<延長>

○ 原料用石油製品等の非課税化(原料用途免税の本則化)(揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税)

ナフサなどの原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

○ 電気・ガス供給業に係る法人事業税の課税方式の変更(事業税)

地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。

<検討事項>

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その他

○ 「福島再開投資等準備金」制度の創設(所得税、法人税、個人住民税、法人住民税、事業税)

福島の復興・再生を図り、近い将来の避難解除区域等内での事業再開を支援するため、①準備金を積み立てた際に、その積立額を損金算入することができるとともに、②準備金を取り崩して再開投資を行う際に特別償却できるよう、税制上の措置を講ずる。

<新設>

○ 国立研究開発法人日本医療研究開発機構に係る税制上の所要の措置 (所得税、法人税、消費税、印紙税、法人住民税、事業税、固定資産税、事業所税 等)

医療分野の研究開発を戦略的に推進するため、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の設立(平成27年4月1日予定)に伴う所要の税制措置を講ずる。

<延長>

○ 特定の資産の買換えの場合の課税の特例の延長(所得税、法人税)

長期保有(10年超)の土地等を譲渡し、新たに事業用資産(買換資産)を取得した場合の課税の特例について、買換資産から機械装置を除外する等、要件を見直した上で、適用期限を2年3か月間延長する。

○ 独立行政法人日本貿易保険の特殊会社化に伴う所要の税制措置 (所得税、法人税、登録免許税、印紙税、法人住民税、事業税)

独立行政法人日本貿易保険の特殊会社化に伴い、貿易保険に係る責任準備金(異常危険準備金)の損金算入、資産運用による利子所得に対する源泉徴収の不適用、新会社の設立登記及び増資の登記に係る登録免許税の非課税化、法人事業税の特例等の所要の税制措置を講ずる。

<検討事項>

○ 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大) (所得税、個人住民税、住民税(利子割))

デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、意図的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討する。

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○ 生産等設備投資促進税制、中小企業者等の生産等設備投資促進税制 (所得税、法人税、法人住民税)

○ アジア拠点化のための法人税に係る税制措置(法人税、法人住民税、事業税)

○ 会社分割に係る登録免許税の軽減措置(登録免許税)

○ 軽油引取税の課税免除の特例措置(陶磁器製造業)(軽油引取税)

<廃止項目>

その他