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平成 24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル リサイクル推進事業)報告書 使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策の 検討 2013 3 29 環境・エネルギー研究本部

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平成 24 年度経済産業省委託調査

平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

リサイクル推進事業)報告書

使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策の

検討

2013 年 3 月 29 日

環境・エネルギー研究本部

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はじめに

レアメタルは、自動車、IT製品といった我が国の主要製造業において、製品の環境性能

の向上や省電力化、小型・軽量化、耐久性向上等の機能を実現するために不可欠な素材であ

り、我が国の産業競争力の要となっている。しかし、レアメタルは一般的に希少性や偏在性

が高く、産出国の輸出政策や政情、生産施設の状況等に加えて、投資家の思惑などにその供

給が影響を受けるため、供給リスクや価格が乱高下するリスクを常に抱えている。加えて、

近年、新興国の経済成長を背景として多くのレアメタルの価格が高騰しており、レアメタル

等の資源確保の重要性が急速に高まっている。 他方、レアメタルのリサイクルの現状を見ると、経済的なリサイクル技術が開発途上であ

ること、使用済製品の回収が十分に進んでいないこと等の課題が存在し、現時点では取組は

進んでいない。 このため、政府では、昨年11月より、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委

員会と、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用

済製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会使用済製品中の有用金属の再生利用に関

するワーキンググループとの合同会合を開催し、レアメタルを含む主要製品全般(自動車、

大型家電、超硬工具、パソコン、二次電池等)を対象として、レアメタルのリサイクルに係

る課題と対応策の検討を行い、中間取りまとめを行っている。 本事業では、こうした経緯を踏まえつつ、現在、回収率が10%と低迷している、レアメ

タルを含有する使用済パソコンを対象として、その回収量を拡大し、今後の技術開発・実証

の進展を踏まえながら、レアメタルの回収につなげていくための具体的方策について調査・

分析を行うことを目的とした。

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目 次

0. 調査概要 ............................................................................................................................. 1

1. 消費者のパソコンの排出・退蔵等に関する実態調査 ........................................................ 3

1.1 消費者に対するグループインタビュー調査の実施 .................................................... 3

1.2 グループインタビュー調査結果のとりまとめ .......................................................... 10

2. 使用済パソコンの排出フローに関する実態調査 ............................................................. 26

2.1 関連事業者等に対するヒアリング調査の実施 .......................................................... 26

2.2 公表資料等調査の実施 .............................................................................................. 42

2.3 調査結果のとりまとめ .............................................................................................. 53

3. 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルに関する実態調査 ... 58

3.1 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末に関する基礎情報の整理 .................. 59

3.2 タブレット型端末の定義に関する基礎情報の整理 .................................................. 83

3.3 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルの必要性・可能性等

に関する検討 ............................................................................................................. 85

4. 使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策の検討

.......................................................................................................................................... 90

4.1 消費者の適正排出の促進に向けた方策 ..................................................................... 91

4.2 使用済パソコンのフローを適正化するための方策 .................................................. 95

4.3 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収促進に向けた方策 ................ 102

4.4 使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率性向上のための方策 ..... 105

参考資料:消費者に対するグループインタビュー調査結果の詳細

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0. 調査概要

(1) 目的

産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会中間取りまとめ(9 月 25 日)において、レ

アメタルを含有する使用済パソコンの回収量は、現時点では低迷しており、これを拡大する

ための具体的な対応策について検討し、また、今後の技術開発・実証の進展を踏まえながら、

ネオジム磁石やタンタル等のレアメタルの回収につなげていくことの必要性が示されたと

ころ。これを実現するための方向性として、本中間とりまとめでは、以下の点などについて

今年度中に一定の結論を得るべきとされている。 ・ 退蔵される家庭系使用済パソコンの排出を促進すること、 ・ 小売、リース・レンタル事業者等が引き取り、排出するパソコンにも一定水準の再資

源化を求めていくこと、 ・ 資源有効利用促進法による回収ルートを普及啓発すること ・ 1kg 以下のパソコンを資源有効利用促進法の指定再資源化製品とすること、 そのため、有識者や関係事業者等で構成される検討会を開催し、(2)に示す調査内容等に

ついて情報収集・整理を行う。

(2) 調査内容

本調査では、使用済パソコンの回収量拡大に向けた検討会を開催し、以下の情報を収集及

び検討を実施する。調査内容と報告書での位置付けは以下の通り。

①消費者のパソコンの排出・退蔵等に関する実態調査 ②使用済パソコンの排出フローに関する実態調査 ③1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルに関する実態調査 ④使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策の検討

図 0-1 調査内容と報告書での位置付け

家庭系

事業系

ユーザー (資源有効利用促進法スキーム)

製造事業者等

(その他)・レンタルリース会社

・販社ディーラー・廃棄物処理業者・中古買取業者

・小売店・不用品回収業者

・市町村 等

国内リサイクル

国内リユース

海外流出

最終処分

? ?

退蔵

タブレット型端末

④使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策の検討→【4章】

②使用済パソコンの排出フローに関する実態調査→【2章】

①消費者のパソコンの排出・退蔵等に関する実態調査→【1章】

③1kg以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルに関する実態調査→【3章】

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(3) 検討会のスケジュール

検討会のスケジュールは以下の通り。

検討会日時 議題 第1回 平成 25 年 1 月 17 日(木) 10:00~12:00

1.検討会の設置趣旨等について 2.資源有効利用促進法に基づく家庭系使用済パソコンの回

収スキームに係る検討について 3.使用済家庭系・事業系パソコンに係る検討について 4.タブレット型端末を含む 1kg 以下のパソコンの取扱いに

ついて 5.その他(今後のスケジュール等)

第2回 平成 25 年 3 月 6 日(水) 10:00~12:00

1.第1回検討会での主なご意見と対応案について 2.資源有効利用促進法に基づく家庭系使用済パソコンの回

収スキームに係る検討経過について 3.使用済家庭系・事業系パソコンに係る検討経過について 4.タブレット型端末を含む 1kg 以下のパソコンの取扱いに

係る検討経過について 5.検討会とりまとめ(骨子案)について 6.その他(今後のスケジュール等)

第3回 平成 25 年 3 月 27 日(水) 10:00~12:00

1.第2回検討会での主なご意見と対応案について 2.第2回検討会以降の調査結果について 3.使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率

化に向けた方策(案)について 4.報告書(案)について 5.その他(今後のスケジュール等)

(4) 検討会委員

(委員長) 永田 勝也 早稲田大学環境・エネルギー研究科教授

(委員) 海野 隆 一般社団法人パソコン3R推進協会 専務理事 小澤 昇 一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会 専務理事 辰巳 菊子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任顧問 中島 賢一 株式会社リーテム取締役会長 村上 進亮 東京大学大学院工学系研究科准教授 森田 信 一般社団法人電子情報技術産業協会 (日本電気(株) パーソナルソリューション企画本部マネージャ)

(敬称略、委員 五十音順)

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1. 消費者のパソコンの排出・退蔵等に関する実態調査

退蔵される家庭系使用済パソコンは年間 229 万台(家庭系使用済パソコンの約 3 割)にも

なると言われ、その主な退蔵理由は、「手続きや準備が面倒」や資源有効利用促進法の回収

ルートの認知度が低いことにあることが報告書において示されている。このことを踏まえ、

消費者の利便性という観点から、現行回収ルートを検証するとともに、回収ルートの活用経

験者、活用を取りやめた(回収ルートの存在を認知していたが、活用しなかった)消費者等

を対象に、回収ルートの利便性、改善要望等についてインタビュー調査を行う。また、認知

度向上のための普及啓発方法についても検討を行う。

1.1 消費者に対するグループインタビュー調査の実施

(1) グループインタビュー調査の設計

消費者の利便性という観点から現行回収ルートの検証を実施し、グループインタビュー調

査の設計を実施した。検証の観点を以下に示す。

<検討の観点> ・現行回収ルートの利便性 現行の回収スキームは適切なのか 消費者が不便と感じている事項は具体的には何か 個人情報保護対策を実施していることを消費者に広報できているか

・現行回収ルートの改善要望等 消費者が改善して欲しいと感じている事項は具体的に何か 現行回収ルートの改善可能性はないか その他の回収ルートとの連携可能性はないか

・認知度向上のための普及啓発方法 普及啓発に必要と考えられる手法は何か 他者と連携した普及啓発はできないか

表 1-1 に既存文献等に基づき整理した現行回収ルートの課題と改善可能性を示す。 現行回収ルートによる回収量が確保できない理由としては、「退蔵品が排出されないため」、

「資源有効利用促進法ルート以外のルートに排出しているため」の大きく 2 つに分けること

ができると考えられる。

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表 1-1 現行回収ルートの課題と改善可能性 現行回収ルートによる回収量が確保できない理由

改善可能性 大分類 中分類 小分類

退蔵品が排出されな

いため 手続きや準備が面倒

だから 具体的に何が面倒で

あるかまでは不明

(回収申込み、書類

記入、梱包、持ち込

み、回収立ち会い等)

手続きの改善

個人情報漏洩が心配

だから 具体的に何を心配し

ているのかまでは不

明(どの情報、どの

段階等)

個人情報対策を徹底 個人情報保護措置の

制度的担保化(省令

改正) きっかけがないから 具体的に何がきっか

けとなるかまでは不

明(引越等)

広報・普及啓発

いつか使うかもしれないから - 費用がかかるから どの程度の費用であ

れば支払って良いか

までは不明

リサイクル料金の低

捨て方が分からないから 広報・普及啓発 保管したいから -

資源有効利用促進法

ルート以外のルート

に排出しているため

手続きや準備が面倒

な方法では排出した

くないから

具体的に何が面倒で

あるかまでは不明

(回収申込み、書類

記入、梱包、持ち込

み、回収立ち会い等)

手続きの改善

引渡が容易であるか

ら 具体的にどうすれば

引渡が容易となるか

までは不明(回収申

込みが簡単、書類記

入不要、梱包不要、

持ち込み不要、回収

立ち会い不要等)

手続き・回収・リサ

イクル方法の改善

支払う費用が安い・

費用がかからないか

どの程度の費用であ

れば安いと考えられ

るかまでは不明

費用の低減・無料

化・インセンティブ

の付与 買い取ってくれるから - 個人情報が保護され

るから 具体的に保護対策と

して何を求めている

かまでは不明(どの

情報、どの方法等)

個人情報対策を徹底

買い換えの際に引き取ってくれるから 販売店の協力 適切にリサイクルされるから 広報・普及啓発

※網かけ部分:今後課題の深堀と具体的な改善策の検討が必要と考えられる事項

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(2) グループインタビュー調査方法

(1)にて示した現行回収ルートの検証結果の更なる深堀を行い、具体的な改善方策等を

検討するために、回収ルートの利便性・改善要望及び普及啓発方法等に関するインタビュー

調査を実施した。

1)インタビュー調査手法について

単なるアンケート調査では、家庭系使用済パソコンの回収ルートの利便性や改善要望等に

ついて深耕することは難しいため、消費者の意識変化やその要因等を適格に把握することを

目的に、一般消費者を対象としたインタビュー調査を実施する。 インタビュー調査の手法としては、個別インタビュー調査やグループインタビュー調査等

が考えられるが、効果的・効率的な調査を行うために、「MROC」を開設したインタビュー

調査を行うこととする。 MROC とは、Market(or Marketing) Research Online Communities の略で、特定テーマに

基づいて、関心度の高い参加者を数十名~数百名集めてコミュニティを形成し、インターネ

ットの掲示板などで一定期間議論・意見交換をさせ、消費者のインサイト(心の奥底にある

(人に言えない)感情、ニーズ、規範等)を抽出する調査手法である(図 1-1 を参照)。 開設した MROC のコミュニティ内では、議論や意見交換の状況に応じて、以下に示すよ

うな、掲示板、投票、アンケート、ブログ、チャット、写真のアップロード機能を活用し、

様々な協力依頼が可能であり、定量的・定性的な情報を得ることができる。MROC では掲

示板やブログなどのコミュニティ活動が長期に行われるため、参加者の仲間意識が高まり、

議論が活発になりやすい。また、コミュニティを運営・統括する役割を担うコミュニティ・

マネージャーと特定の参加者に限定した詳細面接も実施できるので、内容を突き詰めて質問

していくことも可能である。

図 1-1 MROC の実施イメージ

〇〇コミュニティ

〇〇コミュニティ

コミュニティ・マネー

ジャー

消費者パネル

分析

PFサービス

スクリーニング調査

コンテンツ

コミュニティ運営

参加

サポート

MROCプラットフォーム

発言内容

MROCは参加者間の結びつきを活用しインサ

イトを抽出する。

MROCは参加者間の結びつきを活用しインサ

イトを抽出する。

調査主体

回答者

回答者

回答者

回答者

アンケート調査

調査主体

回答者

回答者

回答者

回答者

MROC

回答者

ブログ

掲示板

投票

チャット

アンケート

写真のupload

メンバーの行動や日記を記録するために利用される。日々投稿されるよう管理することが可能。

MROCの基本的ツール。特定のテーマについて、参加者が意見交換を行う。

単一の設問に関し、投票を行うと全体の結果が見られる。調査へのモチベーションを高める。

調査に関する関与度の向上やトピックに対するインサイトを迅速を得るために利用される。

メンバーに関する定量情報の収集に用いる。詳細な結果は公開しない。簡潔な概要を共有することが多い。

写真や動画をアップロードさせることで生活実態をより明確に把握できる。コミュニティの活性化にもつながる。

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表 1-2 MROC と既存調査方法との比較

出典:2012.2 日経消費ウオッチャー

2)インタビュー調査方法について

インタビュー調査対象とする消費者パネル(MROC メンバー)は 60 人程度とし、選定に

あたっては、(株)三菱総合研究所が開発した 30,000 人、2,000 設問という生活者情報を提

供するクラウド型データ分析サービス「生活者市場予測システム:MIF(Market Intelligence & Forecast)」の消費者パネルを活用した。

この消費者パネルを対象に、パソコンの保有・排出状況に関するアンケート調査(5,000人を対象)を行い、その調査結果を踏まえてインタビュー調査に参加する消費者パネルを選

定した。消費者パネルの選定のためのアンケート調査項目や選定した消費者パネルの属性を

以下に示す。

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<消費者パネルの選定のためのアンケート調査項目> 基本属性(性別、年齢、居住地域、家族構成) パソコンの保有状況 パソコンの排出経験(排出経験の有無、排出先、排出理由) パソコンの退蔵状況(1 年以上使用していないものの有無) メーカーのパソコンリサイクルスキームの認知度 ソーシャルメディアの利用状況 MROC への参加意向

※消費者パネルの選定のための調査であり、調査結果の集計は行っていない。 消費者パネルの選定のためのアンケート調査を踏まえ、以下に示す 60 人の消費者パネル

を選定し、グループ A 及びグループ B の 2 グループに分けて MROC 調査を実施した。

<選定した消費者パネルの属性> グループ 選定した消費者パネルの属性

グループ A(30 人) <パソコンの排出経験> メーカーの回収・リサイクル制度に基づきパソコンを排出した

ことがある <パソコンの退蔵状況> パソコンを退蔵している

グループ B(30 人) <パソコンの排出経験> メーカーの回収・リサイクル制度以外のルートでパソコンを排

出したことがある <パソコンの退蔵状況> パソコンを退蔵している

※パソコンの排出経験、パソコンの退蔵状況に加えて、性別や居住地域がばらつくように、

また、ソーシャルメディアの利用頻度の高さ、自由記述への対応力を踏まえ、抽出。

3)インタビュー調査の内容・スケジュールについて

選定した 60 人を対象に、MROC 調査を約 1 ヶ月間実施し、各人のパソコン回収ルートに

関する意識の背景や排出方法を選んだ理由等について、相互に意見交換や情報交換を行った。

MROC 実施スケジュールを以下に示す。

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表 1-3 MROC 実施スケジュール 日付 調査項目 調査項目詳細

2月 1日(金)

2月 3日(日)

自己紹介 対象者登録

・自己紹介

2月 4日(月)

2月 6日(水)

家電製品の廃棄

意識・実態 ・最近の家電製品の処分経験を教えてください

2月 7日(木)

2月 9日(土)

パソコン処分方

法のリマインド

A:メーカー回収・リサイク

ル制度への排出あり

B:メーカー回収・リサイ

クル制度への排出なし

・今までパソコンの処理はど

うしていましたか?

・今までパソコンの処理は

どうしていましたか?

2月 10日(日)

2月 12日(火)

パソコンの処分

方法の選択理由

・その処分方法、どうやって

選んだのでしょうか?

・その処分方法、どうやっ

て選んだのでしょうか?

2月 13日(水)

2月 15日(金)

パソコン処分方

法の長所・短所

・“メーカーによる回収・リサ

イクル制度”に基づくパソコ

ン処分のよかった点、不満点

を大募集します!

・パソコン処分のよかった

点、不満点を大募集しま

す!

2月 16日(土)

2月 20日(水)

メーカーによる

回収・リサイク

ル制度の利点・

改善点抽出

・「パソコンの“メーカーによる回収・リサイクル制度”に

ついて、みなさんで自由に意見交換しましょう」

2月 21日(木)

2月 24日(日)

退蔵パソコンの

存在理由

・「ここで質問です。使わずに持っているパソコンがあるの

はなぜでしょう?」

2月 25日(月)

2月 27日(水)

今後のパソコン

処理イメージ ・「我が家のパソコン、次はこんな風に処分したい!」

2月 28日(木)

3月 2日(土)

広報の在り方 ・「パソコンリサイクルの広報アイデアを募集します」

3月 3日(日)

~ 予備情報確認

・タブレット端末はどう処分しますか?

・コミュニティの感想をお聞かせください

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また、MROC 調査の実施イメージを以下に示す。1 週間に 2~3 回の頻度にて、コミュニ

ティ・マネージャーが消費者パネルに対してお題を提示し、そのお題に対して消費者パネル

が自らの考え方や実際の対応等を書き込んでいく形式である。コミュニティ・マネージャー

やその他の消費者パネルと意見交換をしながら議論を活性化させていく。

<MROC 実施のイメージ>

コミュニティマネージャがお題を提示

消費者パネルが回答

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1.2 グループインタビュー調査結果のとりまとめ

グループインタビュー調査結果のとりまとめを以下に整理した。なお、消費者パネルの具

体的な発言内容等のインタビュー調査結果の詳細については参考資料を参照頂きたい。

(1) パソコンの処分方法

1)全体的な傾向

全体を通じて、処分に先立ち「HDD の処理をどうするか」という話題が多く出てい

た。個人のデータの保護を目的として、自分で「HDD を取り出す・物理的に破損さ

せる」ことを実施している方がいる一方で、自分で出来ない方や処分の必要性を感じ

ていなかった方も見られた。HDD の処理方法や個人情報への考え方については、2)にて更に分析を行う。

2)排出ルート毎の傾向

メーカーによる回収・リサ

イクル制度を利用 (17 名)

インターネットで自ら調べ、指示に従って利用を進めて

いた。 廃棄に迷って検索して知ったという「初心者」と、PC リ

サイクル法や PC3R 推進協会の取組を理解した「上級者」

がみられた。 購入時に販売店に引渡 (8 名)

購入と廃棄がセットになっているのがポイントで、購入

のついでに処分の手配も行っている。購入の交渉材料に

なるケースや付帯サービスとして HDD 処理を依頼する

ケースがみられた。多くが無償だが、一部下取りをして

もらった方もいた。 中古品売買店に引渡 (5 名)

できるだけお金になるような処分を行いたいと考えられ

た場合に多く利用されていた。中には売却はできなかっ

たが、無料で引き取ってもらった方もいた。 不用品回収業者に引渡 (5 名)

購入と関係なく処分したい場合に多く利用されていた。

インターネット検索して探した業者、チラシ業者、街で

見かけた店舗など、処分先は様々であった。 友人・知人に譲渡 (5 名)

「使えるのであれば誰かに利用してもらいたい」と再利

用を考える方と「処分方法が分からないから」、「知り合

いに使ってもらうことができれば処分が楽であるから」

と処分の手間の軽減を考える方がいた。 分解処分 (7 名)

分解後は、「不燃物として自治体回収へ排出」「一部部品

としてリサイクルショップに売却」といった経緯をたど

る。PC に通じた改造ユーザー・自作ユーザーでこうした

処分がみられた。

※括弧内の人数は該当する消費者パネルのうち本件について意見のあった方の人数を示している。

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(2) パソコンの処分方法の選択理由

1)全体的な傾向

全体的な傾向として、パソコンの排出にあたって最初に意識されることは、【リユース

の可能性・売却の可能性(そのまま使えるものか、壊れているのか、部品利用が可能か)】

であった。そのまま使えるもの、さほど古くないものであれば、「売る」、「人に譲る」

がまず検討される。 リユース可能性・売却可能性がない場合に、処分を検討することとなる。検討のポイン

トとしては【コスト】【手間】【安心感】の 3 つが挙げられていた。 【コスト】が最も重視するポイントとなっており、「お金を支払わずに処分するこ

と」への関心は高かった。お金を支払わないのであれば、手間がかかっても良いと

の意見もあった。 【手間】と【安心感】は個人によって重要度が異なっていた。【手間】の中には、

複数の要素が入っており、具体的には「個人のデータの消去等、下準備の手間」、

「梱包・運搬の手間」が多くみられた。【安心感】は大きく「個人のデータの処理

の確かさ」、「回収後に適正にリサイクルされるという信頼性」という 2 つの視点

であり、「個人のデータの処理の確かさ」を処分先に求めているのは、自分で処理

できない方(したことがない方)であった。

図 1-2 パソコンの処分方法の選択の流れ

メーカールート(無料)

不用品回収

安心感を求める

手間をかけない

販売店(中古品売買)

知人譲渡中古品売買店

オークション 等

退蔵

買い換え その他<排出のきっかけ>

手間 安心感

コスト<排出方法を選ぶポイント>

YESNO

YESNO

排出意向

無料

パソコン処分にあたっての思考の流れ

①排出のきっかけにより排出方法は異なる。例)買い換えに伴う場合、販売店への排出が検討。

②まずは、リユース可能性・売却可能性が検討される。例)売却(製品リユース、部品リユース)、知人譲渡が検討。

④多くがコストを第一優先し、処分にお金がかかるかどうかで排出先を判断。

③コスト、手間、安心感の3つがポイント。個人個人により重要度は様々。例)・コスト:無料かどうか・手間:HDD処理、梱包・安心感:個人のデータの確かな処理、適切なリサイクル

分解して処分

YES NO

メーカールート(有料)or

リユース可能性売却可能性

自作PCPC関連知識が豊富

手間/安心感

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表 1-4 パソコンの処分方法の長所・短所 長所(良い点) 短所(不満な点)

メーカーによ

る回収・リサ

イクル制度を

利用

コスト○/△

手間△

安心◎

・リサイクル法に合致している。適切に処

理できる。悩まず選べる。

・リサイクルマークがついていると無料で

処理できる。郵送も無料。

・製品価格にリサイクル料が含まれている。

・工場で HD を物理的に処理してくれるとあ

り安心。

・プロがいるので情報漏えいがなさそう。

・郵便局で取りに来てくれる。自分があま

り動かなくてよい。

・リサイクルマークのない古いものは料金が

かかる。

・手続きが面倒(申し込みをしてから伝票を

もらう等)。

・思いついてから完了まで数日かかる。

・大きなゴミ袋等、梱包材が必要。

・梱包が面倒。

・エコゆうぱっくは普通の宅配業者より集荷

時間の融通が利きにくい。

購入時に販売

店に引渡

コスト○

手間◎

安心○

・お金になった。

・無料引き取りだった。

・新しいものを買う時に一緒にできて手間

が省ける。

・購入品の配達時に持って行ってくれる。

・データ処理を依頼できた(メモリを目の

前で粉砕してもらえた/責任を持ってク

リーンにすると言っていた)

・大きなチェーンだと公正な査定をしてく

れそう。

・大きなチェーンは店舗の場所がわかりや

すい。

・下取り料金がもう少し高いとよかった。

中古売買店・

不用品回収業

コスト○

手間△

安心△

・お金になった。

・無料引き取りだった。

・近所で処分できた。

・使えるものを再利用してもらえる。

・壊れた物、古い物も引きとってもらえた。

・持ち込みなら梱包がいらない。

・巡回なら持ち運びの面倒がない。

・依頼すれば目の前で HDD を物理的に破壊

してくれる。

・個人情報の処理がきちんとされるか少し不

安。

・信用できるか、相手を自分で見極めること

が必要。

・必要な部品を取り出した後もきちんと処理

しているのかわからない。

オークション

で売る

コスト◎

手間△

安心△

・意外とよいお金になる。

・すべてがネットで済みラク(入金確認や

配送手配等)。外に出ずに完了。

・必要とする人に使ってもらえる。

・データ消去に気を使った。フリーソフトで

処理した。

・購入者から不具合を報告されないか不安。

分解処分

コスト○

手間△

安心○

・費用のかからない(特に PC リサイクルマ

ークのない PCや自作 PCにとって)。

・部品により使い分けできる(自分で使う・

売却、廃棄等)。

・道具があるので意外と簡単。

・情報処理が自分でできて安心。

・人に頼む面倒がない。

(分解したり、ゴミを分別する必要がある。)

友人・知人に

譲渡

コスト○

手間○

安心○

・もったいなくない。

・廃棄に際して、いろいろ調べ物をしなく

てよい。

・お金がかからない。

・情報漏えいはあまり気にならない。

(なにか見返りをもらいたかった。)

Page 17: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

13

2)排出ルート毎の傾向

メーカーによる回収・リサ

イクル制度を利用 (16 名)

「無料」、「安全・安心」、「法やリサイクルに則っている

ため適正」等が挙げられた。 法に則っている安心感もあってか、あまり悩まず選択し

ているケースが多い。特に、パソコンの処分方法に関す

る知識に自信がないユーザーがインターネット検索で知

り、選択しているケースが見られた。 「有料」の場合は、法に則ったルートであるからとの理

由が挙げられていた。 購入時に販売店に引渡 (5 名)

「購入時に廃棄の段取りが可能な利便性」、「無料引き取

り。場合によっては下取りも可能」、「個人のデータの処

理やリサイクルスキームへの信頼感」、「知名度の高い量

販店への安心イメージ」等が出ていた。 中古品売買店に引渡 (4 名)

パソコンが不要になる頃には型も古くなり処分費用が掛

かる事もあるので、可能な限り買い取ってもらえる店も

しくは無料で引き取ってくれる所に持っていくとの理由

が出ていた。 不用品回収業者に引渡 (4 名)

「無料引き取り」が絶対条件になっている。様々な業者

が混在しており、自分なりの経験を頼りに信頼できそう

な業者を選択している状況であった。 友人・知人に譲渡 (5 名)

表向きには「もったいない」が理由だが、「処分方法を色々

調べるのが面倒」という意識も働いており、あれこれ調

べて方法を選ぶよりも、人に譲る方が簡単にすむと考え

選択されている様子であった。 オークション (2 名)

お金になるという点がポイント。パソコンの状態によっ

ては高額になるといった話もでていた。 分解処分 (6 名)

PC リサイクルマークのない PC や自作 PC の処理方法と

捉えられていた。「情報漏洩の不安がない」と「コストが

かからない」がポイント

※括弧内の人数は該当する消費者パネルのうち本件について意見のあった方の人数を示している。

3)個人情報に関する考え方

パソコンの排出ルート毎の個人のデータの消去や個人情報に関する考え方について

分析を行った。具体的には、「パソコンの処理を行う際に気にしている内容」、「個人

のデータの消去方法」に分けて分析を行った。

<パソコンの処理を行う際に気にしている内容>

処理を行う際に気にしている内容については、排出ルート毎に傾向の差を見出すこと

はできず、全排出ルートにおいて同様の意見が見られた。

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14

パソコンの処理を行う際に気にしている内容として、ほぼ全ての方が「データ」

と回答しており、具体的な何かに関する情報ではなく、パソコンの中に保存され

たデータ自体を漠然と気にしていることが窺える。 一部の消費者パネルについては、具体的に、「仕事で作成した資料」、「写真」等

を挙げる方もいたが、その数は少なかった。

<HDD の処理方法・データの消去方法> 個人のデータの消去方法等の対応については、排出ルート毎に傾向の差が見られた。

メーカーによる回収・リサイクル制度利用者は、「メーカーに任せておけば安心」

と考えており、データ消去後排出との回答は得られなかった。 一方、メーカールート以外への排出については、排出ルート毎に傾向の差が見ら

れ、データ消去後に排出する場合と排出しない場合に分かれた。

メーカーによる回収・リサ

イクル制度を利用 (15 名)

半数程度の方が個人のデータの消去や情報管理・情報漏

洩に関する考え方を意見していた。その多くが、メーカ

ーによる回収・リサイクル制度であるため安心と考え、

メーカールートを選択した方であった。 また、自らデータの消去を行った(ソフトで消去、HDD

を物理的破壊等)との回答は得られなかったため、メー

カーを信頼して、特段何も行わずにパソコンを排出した

ことが想定される。 購入時に販売店に引渡 (7 名)

ほぼ全ての方が個人のデータの消去や情報管理・情報漏

洩に関する考え方を意見していた。「①自ら HDD を取り

だした後に引渡」「②販売店に個人のデータの消去を依

頼」「③特段何も行わずに引渡」の 3 つの方法が見られた

が、多くは①、②のいずれかであった。 ①については、データ消去はソフトで行っても完全

ではないと考える方であり、物理的破壊をして市町

村に排出したケースと家で保管しているケースがあ

った。 ②については、個人情報の流出を危惧し、目の前で

物理的に破壊してもらい、動作しないことを確認し

た方もいた。 ③については、販売店を信頼しているとの声があっ

たが情報管理よりも他の事項(下取りであること)

が排出先を選ぶ理由となっている方であった。

中古品売買店に引渡 (5 名)

ほぼ全ての方が個人のデータの消去や情報管理・情報漏

洩に関する考え方を意見していた。「①自ら HDD をとり

だした後に引渡」「②データ消去ソフトを使用してデータ

消去した後に引渡」「③特段何も行わずに引渡」の 3 つの

方法が見られたが、多くは①、②のいずれかであった。

Page 19: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

15

①については、データ消去はソフトで行っても完全

ではないと考える方であり、物理的破壊をして市町

村に排出したケースと家で保管しているケースがあ

った。 ②と回答した中には、データ復旧等の可能性がある

等の危険性は承知した上でこの方法を選択してい

た。 ③と回答した方は、今になってから個人のデータが

流出していないか不安に感じており、今後は情報漏

洩の可能性が低いルートへの排出を選ぶつもりであ

るとの回答が見られた。 不用品回収業者に引渡 (3 名)

半数程度の方が個人のデータの消去や情報管理・情報漏

洩に関する考え方を意見していた。「①自ら HDD をとり

だした後に引渡」「②データ消去ソフトを使用してデータ

消去した後に引渡」の 2 つの方法が見られた。 ①については、データ消去はソフトで行っても完全

ではないと考える方であり、物理的破壊をして市町

村に排出していた。 ②と回答した中には、データ復旧等のある程度の危

険は承知した上でこの方法を選択した方もいた。 友人・知人に譲渡 (3 名)

データの消去や情報管理・情報漏洩に関する考え方を意

見していた人は少なかった。 意見としても友人・知人に譲渡の場合ではなく、廃棄す

る場合についての回答であり、今回の調査結果からは友

人・知人に譲渡する場合のデータの消去や情報管理・情

報漏洩に関する考え方を把握することはできなかった。 オークション (2 名)

オークション利用自体の回答者が少なかったが、データ

の消去や情報管理・情報漏洩については、「データ消去ソ

フトを使用してデータ消去した後にオークションに出品

した」との意見が見られた。 分解処分 (7 名)

ほぼ全ての方がデータの消去や情報管理・情報漏洩に関

する考え方を意見しており、分解処分しているため当然

HDD も取り外していた。 取り外した後は、「①保管」、「②物理的破壊をして市町村

に排出」の 2 つの方法が挙げられていた。 パソコンの知識が豊富な方が多く、データ消去について

も自らが行う意向が強く窺えた。

※括弧内の人数は該当する消費者パネルのうち本件について意見のあった方の人数を示している。

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16

(3) メーカーによる回収・リサイクル制度の長所・短所の深堀

1)全体的な傾向

メーカーによる回収・リサイクル制度を説明した上で、同制度の長所と短所の深堀を実

施。 長所としては、「安心して任せられる」「信頼できる」等がまず挙げられた。

特に、自分で HDD 処理ができない初心者が「データ漏洩が起きなさそう」と捉え

ていたケースが目立った。自分にとって実利のある“安心感”を抱いている。 加えて、“リサイクルシステムとしての確かさ”も“安心感”につながっている。

“コスト”は長所・短所の両方に振れる要素となっており、それだけ重要な要素と考え

られる。「PC リサイクルマークがついた製品の回収・リサイクルは無料」については、

制度を知らなかった方にとっては、インパクトのある情報となっていた。 パソコンがまだ使用可能である場合は「使えるものを部品などにリサイクルしてし

まうのがもったいない」という感覚が強い。メーカー回収においても、再資源化の

前にリユースを求める声があった。 「ユーザーへの還元やインセンティブがない」「下取りと比較してインセンティブ

がない」等の意見もあり、メーカーによる回収・リサイクル制度に排出することに

対するインセンティブを求める声もあった。 短所としては、「手間がかかる」「面倒」という発言も多く出ていた。具体的な内容とし

ては、以下が挙げられており、特に、「HDD の処理」、「梱包が必要であること」が数

多く挙げられていた。 HDD の処理が必要であること(個人のデータを消去する必要があること) 梱包が必要であること(梱包材(袋・箱)の用意、詰め込み作業) 処分方法の情報収集・検討を行うこと メーカー毎に窓口が異なること 郵送すること(郵便局へ持って行く、郵便局に取りにきてもらう) 手続き(申込み、伝票取得、引渡) 一連の手続きにかかる時間(排出しようと思った時にすぐに排出することができな

い)等

2)排出ルート毎の傾向

排出ルート毎の傾向を分析すると、長所としては、傾向に差が見られず、メーカーによ

る回収・リサイクルの「安心感」を挙げる方が多かった。次に多かった意見としては、

パソコン初心者にとっての活用しやすさであった。 短所については傾向に差が見られ、メーカールートの利用者では、「手間がかかる」「面

倒」との意見が多かった。一方、メーカールート以外の利用者では、「インセンティブ

がない」ことへの意見が最も多く、次いで、「手間がかかる」「面倒」との意見であった。

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この差の要因としては、実際にメーカールートを利用しているかどうかが影響している

と考えられる。つまり、メーカールートの利用者は、実際に手続きを経験しており、手

続きを面倒であったと評価している方が多いこととなる。一方、利用していない人にと

っては、実際にどのような手間がかかるのかを具体的にはイメージすることができない

ため、そのようなデメリットよりもメーカールートに排出することに関するメリットを

訴求する方が、効果が高い可能性があることが窺える。

メーカーによる回収・リサ

イクル制度を利用 (17 名)

<長所> メーカーによる回収・リサイクル制度のメリットとして

は、「安心感」がまず挙げられた。安心感としては、情報

管理に関する安心感ときちんとリサイクルされることの

2 点が挙げられていた。 加えて、パソコンに詳しくない方からは、指示通りに行

うことで確実に処理を行うことができる点が長所として

挙げられていた。パソコン自体もしくはパソコンの処分

方法に詳しくない方にとっては、頼りやすい処分方法と

なっていることが窺える。 申込みについても、ウェブサイトからの申込みは簡単で

あったとの意見も見られた。 <短所> 短所としては、「梱包の手間」、「申し込んでから回収まで

に行うべきことが多く、時間も必要であること」、「郵送

すること」、「メーカールートに排出するインセンティブ

がないこと」、「リサイクルマークのないものはお金がか

かること」が挙げられていた。 「HDD の処理が必要」という意見はなく、ここからもメ

ーカールートに排出した方が HDD の処理をしていなか

ったことが窺える。 メーカーによる回収・リサ

イクル制度以外を利用 (22 名)

<長所> メーカーによる回収・リサイクル制度のメリットは、「安

心して任せられる・信頼できる」がまず挙がる。 特に、自分で HDD 処理ができない初心者が「データ漏

洩が起きなさそう」と捉えていたケースが目立った。 加えて、“リサイクルシステムとしての確かさ”も“安心

感”につながっている。 「リサイクルマークがついていれば無料であること」は

制度を知らなかった方にとっては、インパクトのある情

報となっている。ただし、実態としては他の処分方法で

も多くが「無料」を経験しており、排出にあたっての前

提条件とも言える。

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18

メーカーによる回収・リサ

イクル制度以外を利用 (22 名)

なお、梱包については「簡易包装でもよい」「郵便局が集

荷に来てくれること」を評価する方もいた。

<短所> 「ユーザーへの還元やインセンティブがないこと」は処

理方法としての優先度を下げる要因になっている。「下取

りと比較してインセンティブがない」も不満まではいか

ないが、“最後の手段”と捉えるひとつの要素となってい

る。 パソコンがまだ使用可能である場合は「使えるものを部

品などにリサイクルしてしまうのがもったいない」とい

う感覚が強い。メーカー回収においても、再資源化の前

にリユースを求める声があった。 「手間がかかる」「面倒」という発言も多く出ていた。全

体的に、今までのパソコン処分とは異なる作業や工程に、

心理的な距離を感じて「面倒」と表現する傾向があった。 例えば「郵送が面倒」と言う方は、実際に持ち出す

手間は変わらないはずであるが、ついでにひきとっ

てもらえる販売店への持ち込みと比較して、「面倒」

と捉えていた。個別の梱包ややり取りまで想定して

回答していたわけではない。 他に「面倒」とされたのは「メーカーへの連絡」「梱

包」「処分全体に時間がかかる」であった。中には「サ

イトの説明(データ消去の仕方等)を読むのも面倒」

という声まであった。

※括弧内の人数は該当する消費者パネルのうち本件について意見のあった方の人数を示している。

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(4) パソコンの退蔵理由

パソコンの退蔵理由については、排出ルート毎に分析を行ったが、傾向に違いが見ら

れなかったため、全体的な傾向について分析を行った。 パソコンの退蔵理由として上げられた内容を整理すると以下の通りとなる(円グラフ

中の数値は人数、割合を示す)。

図 1-3 パソコンの退蔵理由の回答結果(N=31)

(その他の回答例) データの漏洩が心配だから 高価な物であり、捨てづらいから 壊れていない限りは処分しないから 処分の方法を調べることが面倒だから 家族の誰かが使うかもしれないから 交換用部品として

これらを類型化すると、「邪魔にならないから」1、「処分が面倒・お金がかかるから」2、

「使用可能性があるから」3の 3 つに大別することができる。 「邪魔にならないから」については、特にノートパソコンの場合、意見が多かっ

た。また、デスクトップパソコンについても本体については同様に保管場所に困

らないという意見が多かった。一方、モニタについては退蔵せずに排出してしま

うとの意見が見られた。

1 「保管場所があり、困らないから」「愛着があるから・思い出があるから」 2 「処分が面倒だから」「きっかけがないから」「処分するにもお金がかかるから」 3 「もしもの時に使えるものが欲しいから」「バックアップ用」「家族の誰かが使うかもしれないから」

保管場所があり、

困らないから

9人(26%)

処分が面倒だから

6人(17%)

きっかけがない

4人(12%)

処分するにもお金

がかかるから

3人(9%)

愛着があるから・

思い出があるから

2人(6%)

もしもの時に使え

るものが欲しいか

ら, 2人(6%)

バックアップ用

2人(6%)

その他

6人(18%)

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「処分が面倒」については、パソコンの種類や排出方法による特徴は見られなか

ったが、「処分にお金がかかるから」という意見の場合は、古いパソコンである

ために排出時にお金がかかることに躊躇しているケースが散見された。 「使用可能性があるから」については、必ずしも使っていない方、または、古い

タイプのパソコンであるから廃棄するということにはならず、将来的に使う可能

性を考慮し、退蔵してしまうケースであった。このことは、パソコンは退蔵して

も邪魔にならないものである場合が多いことが影響していると考えられる。

以上を踏まえれば、退蔵している理由に応じて、適切な方策を講じることが求められ

るものの、一度退蔵してしまったパソコンを排出してもらうためには、何らかのきっ

かけや排出に対するインセンティブを与えることが必要であると考えられる。

図 1-4 パソコンの退蔵理由と対応策のイメージ

処分が面倒・お金がかかるから

邪魔にならないから

使用可能性があるから

処分方法の改善 容易な処分方法の検討

回収ルートの無料化・インセンティブの付与

広報普及啓発 処分方法の周知 資源制約・環境制約等の啓発

<対応策の例>

処分方法の改善・周知により退蔵品の排出可能性あり

退蔵品の排出のためには何らかのインセンティブが不可欠

インセンティブがない場合はいつ排出されるかは外部要因次第

退蔵品排出に対するインセンティブの付与

退蔵品排出キャンペーン(ポイント付与)

排出のタイミングでの効果的な普及啓発 資源制約・環境制約等の啓発

<対応策の例>

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(5) 今後のパソコンの処理イメージ

MROC 調査をした後に、今後どのようにパソコンを排出する意向があるかを尋ねた。

以下、過去のパソコンの排出ルート毎に意見の分析を行った。 基本的に、以前に排出したルートに排出するとの回答が多く見られた。中には、「今

後メーカールートへ排出しようと思う」と回答した方も見られ、少数ではあったが、

メーカーによる回収・リサイクル制度について理解を深めることで、排出を促す効果

が見られた。

メーカーによる回収・リサ

イクル制度を利用 (17 名)

今後の処理意向について回答したほぼ全ての方が、次回

もメーカールートへ排出しようと思うとの回答であっ

た。具体的な意見は以下の通り。 個人情報保護などを担保できるのであればメーカー

への排出が一番。 販売店回収も含めてメーカー以外への排出は怖い。 データ管理が不安であるため、またメーカーに処分

をお願いすると思う。 なお、一部、PC リサイクルマークがついていないため、

無料で処分できる別の方法を探したいとの回答があっ

た。 購入時に販売店に引渡 (8 名)

今後の処理意向について回答したほぼ全ての方が、次回

も販売店への引渡を考えており、その理由としては、新

品を購入したところで引き取ってもらいたいからとの理

由が多かった。具体的な意見は以下の通り。 新しいものは購入した業者に引き取ってもらうとい

いと思う。特に買取がベスト。 購入した店舗でメモリ破壊してもらってその他は下

取りしてもらうというのが一番良と思う。 買い取り価格の見積もりをもらった上で、家電量販

店で下取りしてもらいたい。 新品を購入したところで引き取ってもらうのが一番

良い。面倒でないため。 なお、一部の方は、メーカー回収が確実にリサイクルで

きることから、次回はメーカールートへ排出しようと思

うと回答された。 中古品売買店に引渡 (3 名)

今後の処理意向について回答したほぼ全ての方が、次回

も可能な限りお金になりそうなところに排出するという

意向であった。 不用品回収業者に引渡 (2 名)

今後の処理意向についての回答は少なく、以下のような

意見があった。 不法投棄の心配はあるが、無料で排出できれば引渡

先の信頼性はあまり気にしない。

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友人・知人に譲渡 (2 名)

今後の処理意向についての回答は少なく、以下のような

意見があった。 家族・申請などの貰い手を探し、いなければ中古買

取業者に売却する。買値がつかない場合は、メーカ

ーへ排出する。 分解処分 (3 名)

今後の処理意向についての回答は少なく、以下のような

意見があった。 情報を他人に見られないためにもできる限りのこと

は自分で行ってから処分する。 処分を依頼することが面倒であるため、自分で分解

して処分する。

※括弧内の人数は該当する消費者パネルのうち本件について意見のあった方の人数を示している。

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(6) メーカーによる使用済パソコンの回収・リサイクルスキームに関する普及啓発方法

メーカーによる使用済パソコンの回収・リサイクルスキームに関する普及啓発方法に関

するアイデアを求めた。45 件の意見が得られ、意見を類型化し、具体的な意見の内容

を整理した結果を以下に示す。 最も意見が多かったものが「新製品の購入時に販売店にて情報提供」であり、全体の意

見の 3 割を占めた。 様々な媒体が挙げられたものの「広告の活用」も 3 割程度から意見があった。

広報の媒体としては、回収の窓口となる郵便局での広報やメーカーのホームページ

やパンフレットの活用が挙げられた。 また、テレビ CM や新聞広告などの大々的な広報が効果的との意見も見られた。

次いで、「インセンティブの付与」との意見があり、商品・粗品等の提供や回収キャン

ペーンの実施等が挙げられた。

新製品の購入時に販売店に

て情報提供 (16 件)

新品のパソコンの購入時に販売店で広報(パンフレット

の配布・ポスターの貼付等)を行う。 新品のパソコンの購入時に販売員が購入者に対してメー

カーによる回収・リサイクルスキームの存在を周知する。 新製品の購入の際にパンフレットを渡し、更に希望者に

は梱包用セットを渡す 広告の活用 (15 件)

郵便局での広報(ポスター) パソコンメーカーのホームページで大々的に紹介する パソコンメーカーのパンフレットに「メーカーによる回

収制度」があることを記載 テレビ CM 企業紹介テレビ番組内で分かりやすく説明 新聞広告 交通広告(電車内の告知広告) パソコンを使用している際に目にするような広告手法 箱の中に分かりやすいチラシを同封する。

インセンティブの付与 (9 件)

商品・粗品等を提供する。 ユーザーにメリットを与える パソコンの種類や年式により特典を与える 回収キャンペーンの実施

メーカールートのメリッ

ト・デメリットをしっかり

と伝える(4 件)

メーカールートに排出することによるメリットの他に、

デメリットもしっかりと伝え、理解を促す。

パソコンリサイクルマーク

の改善(2 件) 目に付きやすい場所にパソコンリサイクルマークを貼る パソコンリサイクルマークのデザインを変える

※括弧内の件数は該当する消費者パネルのうち本件についての延べ意見の件数を示している。

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(7) タブレット型端末の処分方法に関する意向

タブレット型端末の処分方法については、現状では実際に処分を行う段階ではないた

め、想定される意向を確認した。 パソコンと同様に、個人のデータについての懸念が多く示された他、想定している排

出先は様々なルートの回答が見られたが、販売店への持込との回答が最も多かった。 メーカーや家電量販店に処分の仕方を聞いて指事を仰ぐかな。叩き割る勇気もあ

まりないですが、自分で捨てなくてはならないとなるとやはりデータが怖いので

壊してからでないと、でしょうか。 パソコンと異なりタブレット端末はかさばらないので、記録媒体として処分せず

にそのまま自分で持っておく気がします。データのセキュリティも考えると安全

かと。 もし処分するとしたら販売店持込が楽なのでそうなるか、パソコンみたいにデー

タ流出が怖くて退蔵してしまうかのどちらかになるかと。 タブレットは持ってましたが、電源が入らなくなり、そのままにしてます。捨て

るのもなんだし、修理すると高いしで。 タブレットは持っていませんが、おそらくは一番高く下取りしてくれそうなとこ

ろを探して、下取りに出すと思います。 手持ちのタブレットはヤフオクなどで売却しますね。 PC と同じで、個人の連絡先や種々の情報も入っていますので。販売店に持ち込

むことになるのかなと思っています。 昨年購入したタブレット PC(国内家電メーカ、Android)は、PC リサクルマー

クが付いておらず、念のためメーカーの WEB サイトを調べましたが対象外のよ

うでした。当分の間は、処分を致しませんが、「有償引き取りになるの!」と驚

いています。

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(8) インタビュー調査結果から得られた課題の整理

インタビュー調査結果より家庭系使用済パソコン回収スキームの課題は以下の通り整理

できる。 消費者調査からは、メーカーによる回収・リサイクルルートの認知度が低いことに加

え、認知度を高めるための方法として、定常的な広報普及啓発の工夫に加えて、買い

替え時の情報提供が有効であることが示唆された。 定常的な広報普及啓発の工夫に加えて、買い替え時の情報提供が有効ではないか。

消費者調査では、メーカーによる回収・リサイクルルートに関する長所として「安心

して任せられる」「信頼できる」という意見が多く挙げられていた。一方で、短所と

して「手間がかかる」「面倒」といった意見が多く見られた。 使い勝手を向上させ、排出者の手間を軽減させるような改善策が有効ではないか。

また、消費者調査では、パソコンの処分方法の選択において最も重視される点はコス

ト面であり、排出時に何らかのインセンティブを付与することが有効との意見が多く

見られた。同様に退蔵されているパソコンの排出を促すという意味でもインセンティ

ブの付与が有効であることが示唆された。 排出へのインセンティブ付与が有効ではないか。

図 1-5 家庭系使用済パソコンの排出に関する現状と課題

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

逆有償で取引されるもののフロー

*1 CtoCリユース:事業者等を介さずに行われるリユース

市町村

メーカー

不用品回収業者

C to Cリユース*1

小売店・中古品

販売業者

約1~2割

約2~3割

約2割

約2~3割

①メーカーによる回収・リサイクルルートの認知度が低い。

→定常的な広報普及啓発の工夫に加えて、買い替え時の情報提供が有効ではないか

家庭

②メーカーによる回収・リサイクルルートの「安心感」「信頼性」が評価される一方で、「手間」「面倒」を不満点に挙げる意見が多い。

→使い勝手を向上させ、排出者の手間を軽減させるような改善策が有効ではないか

③退蔵品を含むパソコンの排出に対してインセンティブがない。

→排出へのインセンティブ付与が有効ではないか

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2. 使用済パソコンの排出フローに関する実態調査

第 2 章では、 ・メーカーの回収・リサイクルルートによる使用済パソコンの回収台数が少ない要因 ・メーカーの回収・リサイクルルート以外における使用済パソコンの取扱における問題点

の把握を目的に、家庭系使用済パソコン及び事業系使用済みパソコンに関する排出フロ

ー及び各主体が現在の取扱方法を実施している理由等(当該事業者に引き渡している理由、

今後その引渡先が変更される可能性のある場合の要因等)について関係事業者等へのヒア

リング調査・文献調査を実施した。

2.1 関連事業者等に対するヒアリング調査の実施

2.1.1 調査方法

販社・ディーラ、リース会社、中古品買取・販売事業者等を対象としたヒアリング調査

を実施し、情報収集を行った。図 2-1 にヒアリングを行った事業者の使用済パソコンのフ

ローの中での位置づけを示す。

図 2-1 ヒアリングを行った事業者と使用済パソコンのフロー

市町村

不用品回収業者

C to Cリユース

最終処分

国内製錬所

海外スクラップ

海外リユース

小売店・中古品買取・

販売業者

再資源化業者・廃棄物処理業者

メーカー

リース・レンタル会社

事業所

家庭

販社ディーラ

輸出業者

4件ヒアリング実施

4件ヒアリング実施

7件ヒアリング実施

1件ヒアリング実施

1件ヒアリング実施

3件ヒアリング実施

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2.1.2 調査結果

(1) パソコンメーカーにおける状況

a. 家庭系使用済パソコンの回収状況

家庭系使用済パソコンの回収形態 家庭系パソコンは平均 8~9 年で排出されるという調査結果があり、実態も調査

結果に即しているようである。 メーカールートでは排出時の梱包は極力簡易な方法としてもらえるよう消費者

にお願いをしている。段ボール等で梱包されて排出されると、輸送後に梱包材

がごみとなってしまう。実際に排出される家庭系使用済パソコンの多くは、ビ

ニールによって簡易に梱包されている。 回収についてのユーザーからの問合せ内容

問合せの多くは、自治体から案内された消費者からの問合せで、廃棄方法を回

答している。その際、メーカーへの電話は繋がらない場合もあると考えられる

ため、インターネットを利用した手続きを推奨するようにしている。 メーカーに寄せられる問合せの多くは、使用済パソコンを廃棄するための具体

的ステップに関する内容のようである。 回収状況

ゆうパック伝票を送付したユーザーからパソコンが返送されないというケース

については、正確に実態を把握しているわけではないが、PC リサイクルマーク

の有無に関わらず相当数存在するようである。例としては、PC リサイクルルー

トで排出しようと考えて手続きをしたが、ゆうパック伝票取得後にユーザー側

で気が変わって友人に引渡したということがある。 申込内容と実物が異なる製品であるというケースも実際にある。そのような場

合にはメーカー間で調整が行われる。また、費用面において問題がない場合に

は、メーカー各社が、自社製品とはカテゴリを分けて処理を行うこともあるよ

うである。パソコン返送には手間がかかるため、届いた使用済パソコンを返送

することはない。

b. 事業系使用済パソコン回収状況

事業系使用済パソコンの回収形態 排出される事業系パソコンは、比較的年次が新しい製品が多い。また、パソコ

ン以外の機器(サーバ等)とともに排出されるケースが多い。 1 回あたりの引取台数は、排出事業者によって大きく異なる。1 回の引取におい

て、1 箇所の事業所から引取るケースもあるが、全国展開している事業者から

引取る場合、1 回の引取で複数の事業所から引取ることとなる。 使用済パソコン回収時の帰り便の利用有無は、各社の物流事情や、広域認定へ

の業者記載状況等によって異なる。動脈物流を有する事業者は帰り便で回収す

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る可能性もあるだろう。しかし、帰り便が空いている場合でも、必ずしも回収

に使えるとは限らない。リサイクル目的の回収は物流事業者に依頼することと

しているメーカーもあるだろう。 メーカーに回収を要請する事業者の特徴

官公庁や学校等からの依頼もある。 メーカー毎に回収を要請する事業者は異なっている。 リース・レンタル会社は、売却先があるため、PC リサイクルの回収ルートには

排出しない。排出者にとって、メーカールートへの排出と産業廃棄物処理業者

への排出で異なる点はコストであり、その違いは両者の処理方法やその後の引

渡し形態(売却有無)によるものである。 回収についてのユーザーからの問合せ内容

事業者から寄せられる問合せのほとんどは、費用に関する内容である。 PC リサイクルルートのメリットに対するユーザーの反応

小口廃棄による回収の料金は、家庭系パソコンと同料金に設定されている。宅

配便を利用した回収であるため、不便な地域でもトラックで回収に行く必要が

なく、合理的である。小口廃棄の回収スキームにおける回収量は現時点では不

明であるが、2013 年 6 月に実績の一部が出てくる予定である。

c. 引渡状況

PC リサイクルルートによって排出された使用済パソコンとそれ以外の使用済

パソコンについて、引渡後に取扱いの差はなく、それぞれの数量及び重量の数

値管理を行っている。

d. メーカー回収・リサイクル制度等について

使用済パソコンを回収するにあたってパソコンメーカーは、産業廃棄物広域認

定制度において「情報処理機」のカテゴリで認定を受けることとなる。この認

定を受けた事業者は、フロッピー等の周辺機器を引取ることができないが、使

用済パソコンを排出する事業者にとっては、パソコンのみを本回収ルートに排

出するよりも、産業廃棄物処理業者に他の廃棄物と合わせて一括で引き取って

もらう方が便利であるようだ。

(2) 販社・ディーラの状況

a. 販社の基本スタンスや動向

販社の役割は商品を卸すところまでである。商品を購入するか、ファイナンス

上、リースを活用するか等については、ユーザー側が決めることであり、販社

としての基本的な姿勢は、売った先がどうなのかに関しては一切関与しないこ

とである。従って、「下取り」という行為は、基本的な商流ではない。

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b. データ消去サービス

販社としての基本的スタンスは、販売後は一切関与しないことではあるが、一

方で、ユーザー側で不要になったパソコンを廃棄、または、再利用する上で、

データ消去のニーズがあった。 1994 年頃から、データ消去サービス(磁気で消去、ハードディスクの物理的な

破壊等)を行っている販社がある。

c. 無償引取サービス

2007 年から使用済パソコンの無償引取サービスを行っている販社がある。産業

廃棄物処理の業許可はないので、処理費用は受け取っていない。 無償引取の背景として、自社が関与した商品からデータ漏洩等があってはなら

ないとの認識によるリスク対応が挙げられる。 引き取ったパソコンは、ハードディスクを抜き取り、物理的に破壊している。

比較的新しい製品(リユースできる可能性ある製品)に関しては、中古パソコ

ンの買取業者に売却している。他方、古い製品などは再資源化業者等に、安値

で売却している。再資源化業者等では、部品取り等を行い、素材リサイクルを

行っている。なお、引渡量としては、再資源化業者等への売却が大半を占める。

(3) リース・レンタル会社の状況

1)リース会社の状況

a. パソコンのリース形態の傾向

リースアップまでの期間は平均 4、5 年程度で、製品やシステムの更新需要がメ

インである。 最近は、パソコン単独の契約は少なく、ネットワーク関連やソフト関連の整備

を含めた複合的なシステムとしての契約を結ぶケースがほとんどである。 リース物件をリース会社の指定の場所まで運搬するのは、通常、ユーザー側の

負担である。また、データの消去もユーザー側の責任である。しかし、データ

が消去されていないのが実情である。 多くのリース物件については、リース会社が提携している中古品事業者の指定

場所にユーザーが返却し(実際には中古品事業者が輸送)、中古品事業者がリー

ス会社からリースアップ品を買取るという流れとなる。 ユーザーが自身でリース会社の指定場所まで輸送することは難しいため、中古

品事業者が輸送から引き受けてくれることは都合が良いようである。 パソコンをリースした場合、リースアップ時には周辺機器等を含め一括でリー

スアップする。ただし、リース業者は廃棄物処理業者ではないので、リース品

以外の製品をは引取らない。

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b. 使用済みパソコンの引取

ユーザーはリース満了時、再リースをするか、リースを終えるかを決定する。

約 7 割が再リースされている。 再リースは、製品をリースアップせずにリース期間を延長することであり、リ

ース期間中よりも安い価格で 1 年単位の契約を結ぶ。近年はほぼ全ての顧客が

少なくとも 1 回は再リースしている。ただし、製品そのものだけでなくシステ

ムにも寿命もあることから、長くても7年程度(5 年契約+2 回の再リース)で

更新の需要が出てくる。 リースを終える場合、リース会社が指定する場所にリース品を返却する、ある

いは、顧客が買取る。ただし、パソコンに関しては顧客が買取ることケースは

比較的少なく(1 割もない)、中古品事業者が製品毎に査定して買い取っている

(どんぶり勘定で買われることはない)。

c. データ消去

データ消去については、JEITA から出されている指針には、「使用者の責任であ

る」と記載されている。 (http://home.jeita.or.jp/page_file/20110511155520_8vAEy2Fi5d.pdf)

しかし、実際には、返却されるパソコンの 7~8 割程度はデータが消去されてお

らず、リース会社としては、リスク回避のため、改めてデータ消去を行ってい

る。

d. リースアップ品の取扱

リース物件はリース会社の所有物のため、リースアップ品の回収は自社で行う

か、或いは、他者に依頼して行う必要がある。 大多数の大手リース会社は、専属の系列会社にてリースアップ品の処理(再販、

リサイクル)を行っている。 中小のリース会社では、独立系のパソコン買取業者(RITEA 認定事業者等)と

取引している。 • リース会社としては、リースアップパソコンが OS を消去しないまま売却さ

れることや違法に輸出されることを避けたいため、リース会社は所有者とし

ての責任を持ち、適切にリユース又は処理されるようにとの考えから、提携

先となる中古品事業者を厳選している。 • 売却先の中古品事業者は、引渡先、データ消去の実施状況、マイクロソフト

の認定取得状況等を考慮して選定している。

e. 系列会社の状況

リースアップ品取扱の状況 産業廃棄物処理業の許可はなく、全量買取をしている。

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先ずはリユース(中古品としての再販)を前提とし、リユースできないものは、

リサイクルまたは廃棄をしている。 パソコンの再販率は、事業者によって異なっているが、プリンター等よりは高

い模様である。 ソフトウエア・データの消去、外観のクリーニング等を実施している。

中古パソコンの引渡状況 中古パソコンを取り扱う企業等(中古パソコンの卸業のイメージ)に再販して

いる例や、輸出業者に売却している例がある。 再販の状況は、以下のとおりである。

• 再販先(買取業者)は登録制であり、登録に当たっては資格審査がある。企

業内容を確認し(古物商の有無、コンプライアンスの状況等)、基本契約を

締結する。全て国内の事業者である。 • 登録業者は国内事業者であるが、彼らが海外に輸出している可能性は十分に

ある(東南アジアが多い模様)。 • 再販先への販売価格は、新品の製品の価格の半値以下である。購入先では、

買い取ったパソコンに付加価値をつけて最終ユーザーに販売するが、その場

合の価格も新製品の半値以下である。 • 再販先への引渡しは、再販先が現地まで取りに来て、現場でのキャッシュオ

ンデリバリーが基本的な形態である。現地で現金を支払って商品が渡される。

なお、持ち返った製品の性能は、基本は買取側の目利き力に依存するのが、

中古の世界の商習慣となっている。 輸出の状況は、以下のとおりである。

• デスクトップパソコンの場合、パソコン本体のみを輸出する。キーボードや

マウス、電源等は国内で廃棄している。 • ノートパソコンの場合、日本語のキーボードのまま輸出する(キーボードに

はアルファベットが記載されているため問題ない)。 • 中古パソコンが、海外の地方銀行等で実際に使われているようである。

売却できないものの取扱例は、以下のとおり。 • 再販できない残りのものは、全て、基板、ケーブル等に解体し、素材として

販売している。 • 検査において適切に作動しなかったパソコンは、廃棄している。 • 企業によっては作動しなかったパソコンをジャンク品として販売している

可能性もある。

2)レンタルの状況

レンタルは、2~3 年程度の短期間で貸出す業態であり、選挙や展示会等のイベ

ントで利用される。 パソコンは、ユーザーによるレンタル終了後、データ消去、クリーニング、お

客様の要求に基づく OS の変更等を行い、再度、別のユーザーにレンタルを行

う。 中古パソコン用の MAR プログラムと同様に、マイクロソフトからレンタル商

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品用に「SPLA」というライセンスが出されている。Windous7 が搭載されてい

てもユーザーによっては Windous XP が要求されるため、SPLA のライセンスを

利用して OS を入れ替えてレンタルを行うこともある。 パソコンの場合、概ね 3 年程度で、リサイクルショップに売却し、中古パソコ

ンとして販売している。 レンタル過程において壊れてしまった場合、中古パソコン業者に売却し、適切

にリサイクル(基板、ケーブル等、適切に解体し、素材としてリサイクル)し

ている。

(4) 中古品買取・販売業者

情報機器のリユース・リサイクルに関する事業者団体である RITEA(一般社団法人 情報

機器リユース・リサイクル協会)及び、中古パソコン向けの OS 提供のための「MAR プログ

ラムの目的」についてその概要を以下に示す。

■一般社団法人 情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)■

・ 情報機器のリユース・リサイクルに関する事業者団体。

・ 2006年設立。当初は、情報機器の「リユース」を対象。

・ 2009年より情報機器の「リサイクル(再資源化)」も対象。

<RITEA 認定情報機器リユース取扱事業者資格>

• 良質な情報機器リユースの認知及び流通促進の為に、情報機器リユース取扱いに適切

な対応をしている情報機器リユース取扱事業者に、「情報機器リユース・リサイクル協

会認定事業者資格取扱要領」により、RITEA認定資格である「RITEA認定情報機器リユ

ース取扱事業者」資格を付与する。

• 現在認定している事業者資格は、「買取(引取)」、「再商品化(データ消去等)」、「販売」

の三分野からなる。データ消去については、「RITEA 認定パーソナルコンピュータ内蔵

HDD データ消去ソフトウェア資格取得ソフトウェア」にて実施している。

• 認定に際しては、データ消去や売却先のマネジメントついての実地審査に合格する必

要がある。売却先については、事前に売却先での使用目的を確認することが求められ、

事業者名・売却量を RITEA事務局へ報告することとなっている。

• 一部自治体が保有物件売却時に「RITEA認定情報機器リユース取扱事業者」資格を有す

ることを入札条件に入れているという事例がある(例:山口県庁、奈良県庁、熊本県

庁、下関市役所等)。

• 現在の取得状況は、以下のとおり

正会員 :12 準会員 :17

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<RITEA 認定情報機器リサイクル(再資源化)取扱事業者資格>

• 情報機器のリサイクルの為に適切な対応をしている事業者に対して「情報機器リユー

ス・リサイクル協会認定情報機器リサイクル(再資源化)取扱事業者資格取扱要領」

により、当協会認定資格である「RITEA認定情報機器リサイクル(再資源化)取扱事業

者」資格を付与する。

• 素材の国内事業者への引き渡し・資源有効利用促進法で定められた再資源化率の達

成・製品別の再資源化材料(成分)別実績、回収・売却先ルート別等の集計データの

RITEA事務局への報告等が条件となっている。

• 事業者資格は、「買取・引取」、「リサイクル(再資源化)工事」、「資源売却および実績

報告」の三分野からなる。

• 現在の取得状況は、以下のとおり

正会員: 7

準会員: 5

出所)RITEA ウェブサイト ヒアリング調査

■ MAR:Microsoft(R) Authorized Refurbisher プログラム■

<MARプログラムの目的>

• 再生 PC 向け正規 Windows OSのインストールの提供による再生 PC事業者の販売拡大お

よび中古 PC 市場の活性化を目指す。

• マイクロソフトが、従来より啓発活動、技術的な取り組み、および法的活動を通して

展開している不正ソフトウェア防止対策の一環であり、違法コピーを防止し偽造ソフ

トウェアの脅威からお客様を保護する。正規の Windows OSにより、セキュリティ更新

プログラム、各種ダウンロード、アップデート、機能拡張など Windows 本来の機能や

サービスを活用できる。

• 再生 PC の流通が活性化されることにより、廃棄物発生抑制や CO2排出削減といった環

境・循環型社会への貢献を目指す。

<MAR プログラムの概要>

• 一定条件を満たした再生 PC事業者から出荷される、いわゆる中古 PCに対し、Windows

OSのセカンダリライセンス※を提供するプログラム

RITEA 認定情報機器リユース 取扱事業者ロゴマーク

RITEA認定情報機器リサイクル(再資源化) 取扱事業者ロゴマーク

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※:当初出荷時に、正規の Windows OSがインストールされていた PCに対して、マイクロソフトが再

度、Windows OSのライセンスを提供するもの

• プログラム参加条件

再生 PC の大規模な販売実績を保有

適切な PCの再生プロセス、流通、販売に関する専門的な知識の保有

安全や環境基準に関する法規制の順守

• 日本でのプログラム参加企業は、9事業者。

• 対象となる中古 PC

再生企業による適切なデータの完全消去、動作検証、故障修理

(PC の初期出荷時点に添付された)正規 Certificate of Authority (COA) ラベ

ルが添付されていること

• 提供オペレーティング システム

上記条件を満たすプログラム対象中古 PC に対し、マイクロソフトが OS のリカバリー

メディアと COAシールを再提供

• 再生 PC へのライセンス証明

初期出荷時にメーカー各社によって添付された COAラベルと並んで、MARプログラ

ムを通じて出荷された PC である旨を示す MAR プログラムの COA を別途再生 PC に

添付

MARプログラムの COA ラベルには、再生 PC事業者名が明記

• サポート

マイクロソフトのウェブサイト(ライセンス情報)、ならびに有償サポートにて提

再生 PC 事業者による充実したサポートサービス

出所)マイクロソフトウェブサイト ヒアリング調査

1)中古品買取・販売業者(RITEA 会員)の状況

リユースされているパソコンの台数を 230~250 万台/年とすると、RITEA 会員分で 200

万台/年程度であり、リユース市場の 80~87%を RITEA 会員分が占めている。RITEA 会員

はリユース業者としては大手の企業が多い。

a. 使用済パソコンの調達状況

大半が企業からの調達(約 9 割)。企業のうちの 35~40%はリース・レンタル

会社からの買取、残りは一般企業等からの買取。個人からの買取は 1 割強(WEBでの買取、店頭での買取)。

買取価格は様々であるが、買い取らないことはない模様である。 ユーザー(排出事業者)としては、適切にデータ消去をしてほしいというニー

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ズがあり、RITEA 会員の中古品買取・販売事業者では、適切なデータ消去体制

を整備している。 排出されるパソコン(RITEA 会員が調達するパソコン)の使用年数は、リース

アップが 3~5 年のため、5 年以内のものが全体の 7 割強を占め、うち 3 年以内

のものが 3 割強ある。6 年以上のものが残り 3 割弱を占めている。

b. 使用済みパソコンの再生状況

以下のような方法で再生を行っている。また、各段階にて検査を実施している。 • データ消去(①ソフトウェアによる上書き消去(RITEA 認定データソフト

を使用してハードディスクなどの記憶装置のデータを上書き消去)、②強力

な磁気による消去・破壊、③ドリルによる物理破壊。 • 検査(外観、通電して正常に動作するか、動いてもニーズがあるかを確認し、

リユース品・リサイクル品を判断) • クリーニング • OS 再インストール

c. 再生パソコンの引渡(出荷)状況

表 2-1 平成 23 年度のリユース情報機器販売台数

販売台数(千台)

ノートブック型パソコ

996

卓上型パソコン 764

液晶ディスプレイ 681

CRTディスプレイ 12

合 計 2,453

出典)RITEA ウェブサイトを元に作成

販売の内訳は、5 割:リサイクルショップ等への卸(販売)(RITEA 会員は卸業

者としての位置づけ)、3 割:直接販売(販売対象の大部分は個人、その他には

中小企業や SOHO ユーザがある)、2 割:海外向け(商社を経由する場合、自社

で直接輸出する場合がある)。通信系のキャリア(インターネットの契約をする

上でパソコンをサービスする時などに使用しているとのこと)への販売を多く

行っている事業者もある。 海外向けは、中古パソコンとしての輸出(販売価格からも、マテリアルリサイ

クル目的ではなく、製品リユースと判断できるのではないかとのこと。)。 海外で製品リユースされる製品と日本国内で製品リユースされる製品が特に異

なっているということはない。 RITEA会員が販売する中古パソコンの 44%がOSの再インストール済で販売さ

れている。サポート(付加価値)をつけてリサイクルショップ等に卸している。

2 割はOS なしでの販売(日本語OS をインストールする必要のない海外向け)、

3~4 割は、相手先(リサイクルショップ等)で OS のインストールを行ってい

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る。 オークションでの販売を行っている事業者もある。 オークションでの購入者は個人名だが、約半数は事業者と推察される。

• 個人名で応札するが 1 回に 20~30 台を、それも、毎月まとまった量を買っ

ている購入者がいる。おそらく、海外に輸出しているのであろう。 製品リユースできない製品については、リサイクルに回っている。

2)その他中古品買取・販売業者の状況

a. 使用済みパソコンの調達状況

パソコンの買取は、B to B での仕入れが 99%以上を占めている。店頭での個人

からの買取もあるが 1%にも満たない状況である。 B to B の内、6 割がリースアップ品、4 割が一般事業者からの買取である。 不用品回収業者とは付き合いはない。動産処分会社や引越業者からの引取もほ

とんどない。 リーマンショック以降、パソコンを長く使う傾向があり、現在、調達できるの

は、6~7年前のウィンドウズ XP が搭載されたパソコンがメインである。た

だし、新製品の価格低下に伴い中古製品の買取価格も 1/3~1/4 程度に低下して

いる。

b. 使用済みパソコンの再生(処理)状況

分類(バーコード貼付、単品管理)、データ消去・破壊、動作チェック、クリー

ニング、検品等の作業を行う。 • データ消去(or 破壊)は全製品について実施する。 • 動作チェック等の検査は、約 40 項目に亘る。キーボードのチェック、モニ

タの画面の明るさチェック等を行う。 検査終了後、A~E の 5 ランクに分類する。

• A、B、C が、中古パソコンとして販売するパソコン。主に年式(性能)に

より、A~C に分類される。 • D、E は、古いもの、壊れているもの等で、輸出業者や再資源化業者に安値

で売却する。 • 数量ベースでは、A~C が 3 割程度を占める。

c. 再生パソコンの引渡(出荷)状況

再生パソコン多くが、店頭、EC サイトで販売されている。同業者が店に買取

に来ることもある(卸の役割)。 販売先の法人には 2 種類ある。

• ①中古パソコンビジネスを展開している業者、②エンドユーザーに近い会社 • ①は、単価が安くグレードの低い商品を購入していく • ②としては、養護学校(予算が限られた中、パソコンを導入)、工場の端末

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としての利用、WindowsXP の搭載されたパソコンがほしい場合等がある。

必ずしも中小零細とは限らない。大手の法人も利用目的によっては中古パソ

コンを購入していく。

3)中古品販売店の状況

中古パソコンは、一般向けの商品とマニア向けの商品に区分することができる。 一般向け商品は、基本的に Windows7等の OS が搭載されており、「リカバリー

品」とのラベルが貼られてる。また、「メーカー再生品」といったラベルが貼ら

れたパソコンもある。これは、何らかの不良でメーカーが引き取ったものをメ

ーカー内で再生して中古パソコンとして出荷したものである。 マニア向けの商品は、主に OS が搭載されていないジャンク品等である。 2005~2006 年位のパソコンも買い取ってもらえるが、ほどんと値はつかないと

のこと。

(5) 国内リユースパソコンの状況

中古品買取・販売事業者等によるヒアリング調査から得られた、国内リユースパソコン

の状況を以下に示す。 国内中古パソコンの最終ユーザーは法人、個人向けの両方が存在する。 法人における利用では、オフィスのデスクワーク向け、工場の端末等の用途が

ある。また、中小企業は、中古パソコンでもいいという業者も多いが、大手の

企業も利用目的によっては中古パソコンを購入していく。 使用するアプリケーションの問題で、Windows XP の中古パソコンを購入する

中小事業者もいる。 個人には、SOHO などの個人事業者が含まれている可能性が高い。

(6) 海外輸出の状況

中古品買取・販売事業者によるヒアリング調査から得られた、中古パソコンの海外輸出

の状況を以下に示す。 海外リユースを除いたものは、スクラップとしての輸出、部品としての輸出の

両方がある。 輸出の大半は、中国へ輸出(圧倒的に多い)、そのほか台湾、韓国、ベトナム・

タイへの輸出もあり、大半はアジア向けの輸出である。中東やアフリカへの輸

出も見られる。 海外輸出に関しては、国内のパソコンに新品価格が下がっている関係で増えて

いると模様である。 OS が搭載されていないパソコンも、Windows98 などの古いパソコンは、基本

的に海外に輸出されている。 実際には、リユース向けで輸出しても輸出先で解体されることもある模様であ

る。

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(7) 再資源化業者・廃棄物処理業者の状況

1)再資源化業者・廃棄物処理業者の状況(RITEA 会員)

リサイクル全体の規模が確定していないことから、リサイクル全体に占める

RITEA の占める割合は不明であるが、回収・売却先ルート別実績、材料(成分)

別実績まで調査しているデータは、現状では、RITEA 以外は存在しない。

表 2-2 平成 23 年度の使用済み情報機器の回収と資源再利用量及び資源再利用率

回収台数

(台)

回収重量

(t)

再資源化

処理量(t)

資源再利

用量(t)

資源再

利用率

(%)

ノートブック型パソコン 113,960 336.15 335.71 235.02 70.0

卓上型パソコン 151,750 1,245.47 1,240.52 1,050.54 84.7

液晶ディスプレイ 73,080 486.21 485.99 395.17 81.3

CRT ディスプレイ 20,660 399.88 399.88 330.98 82.8

合 計 359,450 2,468 2,462 2,012 81.7

出典)RITEA ウェブサイトを元に作成

「RITEA 認定情報機器再資源化事業者」は、以下の条件を満たすことが条件(一

部省略)。 ア)使用済パソコン等の情報機器から部材及びマテリアル用部材を収集し、素材

については国内製錬事業者(資源回収事業者メーカー)へ売却を行っている

事業者であること。 イ)使用済情報機器保有者から使用済情報機器の購入や廃棄物処理依頼を受ける

ために、事業を行う地域の「古物商許可証」「産業廃棄物処分業許可証」のど

ちらか、またはいずれも有していること。 ウ)取引台数や素材毎に分けた資源の再利用重量等からなる「資源再利用率、製

品別の材料(成分)別実績、回収・売却先ルート別等の集計データ」を半年

ごとに作成し、RITEA 事務局へ報告すること エ)ウ)に示す各資源を合計した資源再利用率は、資源有効利用促進法の目標を

達成できること。 オ)資源売却先は、原則国内の資源回収(製錬)事業者(メーカー)であること カ)「適正処理作業の実施」の他、「不適正なルートへの横流し防止」「情報機器引

取後のハードディスクドライブのデータ消去、またはハードディスクドライ

ブの取り出し・裁断までの作業の待ち時間の間は、当該情報機器については

外部から隔離した場所で保管」を行うこと。

a. 使用済パソコンの調達状況

調達は、産業廃棄物としての引取、中古品としての買取、自社でリユースでき

なかった機器の活用で内訳は下表のとおり。その多くは一般事業者から回収さ

れている。

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• 例えば、補助金や助成金で購入したパソコンの場合、使用後に売却して利益

を得るわけにはいかない。健康保険組合等で多い。 • 銀行などでは、セキュリティ上の問題からリユースではなく、解体・リサイ

クルを求める。

表 2-3 パソコンの回収ルート 卓上型パソコン ノート型パソコン

出所)平成 23 年度我が国情報経済社会における基盤整備「平成 22 年度におけるわが国の使用済情報機器

の回収・再資源化の調査研究」報告書 平成 24 年1月6日 RITEA

b. 使用済パソコンの処理状況

上記の条件を満たす処理を各社が実施している。以下に例を示す。 • 荷卸しの段階で、モニタ(CRT)、モニタ(液晶)、パソコン本体、周辺機器

などに分別する。 • その後、粗解体を行う(大きなパーツの取り外し)。筐体、電源 Box、ハー

ドディスク、ケーブル、基板等の部材ごとに手解体する。 • 基板やハードディスクに関しては、さらに細かく解体を進め、アルミのファ

ンなどの部材に分別する。(基本的に細かく分けた方が高く売れるが、その

ためには解体コストがかかる。市場価格(相場)を見ながら、どこまで解体

をするか決めていく。)

c. 使用済パソコンの引渡状況

上記の条件を満たす引渡を各社が実施している。以下に例を示す。 • 解体した部品や素材は、顧客(排出事業者等)との契約の関係で、すべて国

内製錬事業者に引き渡している(有価での売却、産業廃棄物としての処理と

もあり)。 • 例えば、一部のプラスチックに関しては、費用を支払って産業廃棄物処理(燃

料化)している。

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• 輸出バイヤーに引渡すことはしていない。

2)メーカールートのパソコンを取り扱っている再資源化業者の状況

a. 使用済パソコンの調達状況

調達ルートとしては PC メーカー(家庭系)、PC メーカー(事業系)、リース会

社、その他事業者(通常の産業廃棄物)に大別される。 リース会社とは OA 機器全般ということで引取る中にパソコンが入っていると

いうケースもある。パソコン単体では逆有償であるが、他の OA 機器と一緒に

なることで、有価で買取るケースもある。 その他事業者(産業廃棄物)については、コンプライアンスへの意識が高い排

出事業者が多い。処理費が高くてもよいので、環境・労働安全の観点から一定

の水準を満たした処理を求められる。

b. 使用済パソコンの処理状況

一般的な処理フローとしては、事前に液晶パネルのバックライト、電池、ブラ

ウン管、筐体等を手解体で取り外し、破砕選別ラインに投入する。電池につい

ては JBRC に引き渡している。ブラウン管ガラスについては、カレット化して

製錬業者に引き渡している。液晶パネルについては、バックライトを外した残

りは非鉄製錬事業者において溶融処理される(再資源化率にカウント)。 ハードディスクもその他の機器と一緒に破砕選別ラインに投入している。 パソコンだけでラインに投入するわけではなく、他の廃製品等と一緒に処理し

ている。

c. 使用済パソコンの引渡状況

銅・貴金属については製錬事業者に引き渡している。 ステンレスは特殊鋼メーカーに引き渡している。 アルミはアルミ二次精錬事業者に引き渡している。 鉄は電炉メーカーに引き渡している。 プラスチックはマテリアルリサイクル向けでは再生樹脂メーカーに、その他は

非鉄金属等との混合物として製錬事業者に引き渡している。

3)その他の産業廃棄物処理業者の状況

a. 廃棄物処理の流れ

通常の廃棄物は破砕後、比重が軽いものと重いものに分別する。比重が重いも

のは、磁選機によって鉄と鉄以外に分別する。鉄は高炉メーカーに引き渡し、

軽いものはシュレッダーダストで、プラスチックや木は委託して焼却処理して

いる。銅・アルミは非鉄精錬業者に引き渡している。パソコンが含まれていた

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場合にも、他の産業廃棄物と同様に扱っている。 廃棄物は、マニフェストに則って処理を行っている。排出事業者が 100kg を収

集運搬業者に引き渡した場合、100kg が自社に搬入される。ただし、収集運搬

業者が有価物を売却してもいいという契約であれば、排出者が排出した全量が

自社に来るわけではない。

b. 使用済みパソコンの流れ

受け取る産業廃棄物の中では、パソコンはあまり目に付かないが、若干入って

いる可能性はある。パソコンが入っていてもケースのみであったり、部品が抜

き取られているといったこともある。 リース会社との契約もあり、重機や備品等の廃棄物を引き取っているが、リー

ス会社からパソコンを引取ることはない。 パソコンのみの処理を請け負うことはないが、廃プラスチックは 38 円/kg、金

属くずは 0 円/kg で、パソコンは両者の混合物となるため、処理を受ける場合

は、10 円/kg となる。 2,3 年前は、パソコンの持ち込みもあったが、処理費をもらっているため、有価

で取引されているパソコンは処理費を支払う必要のある廃棄物業者には来ない。

パソコンはリユース品としての市場がある。

(8) 自治体

パソコンを回収していない自治体に対するヒアリング調査を実施した。当該自治体にお

けるパソコンの状況を以下に示す。 メーカーによる回収・リサイクル制度が構築されていることから、パソコンの

回収を行っていない。 使用済パソコンの取扱について、住民から問合せはあるが、メーカー・パソコ

ン 3R 推進協会を紹介することで、特に問題はない。 不燃ごみにパソコンが入っていた場合、特別な処理をすることはなく、パソコ

ン混入については把握していない。 パソコンの不法投棄はほとんどなく、問題はない。 不燃ごみからの小型家電のピックアップを行っているある自治体においては、

パソコンの混入は確認していないとのこと。

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2.2 公表資料等調査の実施

2.2.1 調査方法

関連文献・資料及びインターネット等を用いて、以下の点について、情報収集を行った。 ・不用品回収業者におけるパソコンの取扱状況 ・輸出業者・海外バイヤーの概況及びパソコンの取扱状況 ・ネットオークション状況 ・パソコンを回収する仕組みを有している自治体の状況

2.2.2 調査結果

(1) 不用品回収業者

不用品回収業者の状況について、パソコンの取扱に着目し、既存文献を整理した。また、

不用品回収業者による取締りを強化する動きについて、新聞記事を元に整理した。

不用品回収業者及び総合リユースショップの引取・引渡の状況の事例

出所

「平成22年度使用済電気電子機器からの有用金属のリサイクル及び適正処理に

関する調査業務」平成 24年 3月, 三菱総合研究所

不用品回収業者及び総合リユースショップ計 21 社を対象に、入荷商品の海外輸出状

況を調査したところ、調査結果は以下のとおりであった。 海外への輸出可能性あり:5 社 海外への輸出可能性なし:13 社 不明:3 社

海外への輸出も行っている場合、国内で売れ残った製品を低価格または無料で海外に

輸出しているようであった。 電話帳や広告に掲載されている、家電製品を対象とした不用品回収業者については、

パソコンも引取対象となっているケースが多く見られる。無料の回収業者が 2 年前頃

までは増えていたが、市況の下落により処理費をもらう傾向にあるだろうという見解

がある。 北九州エリアの不用品回収業者の入荷ルートは以下の 3 通りであった。

ヤードに直接持ち込んでもらう 街中を軽トラで巡回し回収していく 自治体の入札により小型家電等を落札する

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回収業者・中間取扱業者に関する不用品回収業者における家庭系使用済パソコン等の引

取・引渡実態

出所

「平成 20~22年度循環型社会形成推進科学研究費補助金総合研究報告書」(平

成 23年 3月、国立環境研究所 寺園淳ほか)

□アンケート調査の概要

回収業者・中間取扱業者の流通実態を調査するため、不用品の回収・取扱業者及び小規

模不用品回収業者にアンケート調査が実施された。調査対象数は以下のとおりであった。 調査対象:回収業者・中間取扱業者 計 233 社

不用品の回収・取扱業者 182 社 (アンケート配布数:1,092 社) 小規模不用品回収業者 51 社 (アンケート配布数:105 社)

□アンケート調査の結果

不用品の入荷元及び引渡形態

不用品の入荷元に関する回収業者の回答結果は下図のとおりである。使用済パソコンを

含む「電気製品」については、回答した 50 の回収業者のうち、55%が「一般家庭」から

入荷していると回答した。

図 2-2 不用品の入荷元(最多ケース)(回収業)

また、不用品の引取形態に関する回収業者の回答結果は下図のとおりである。使用済パ

ソコンを含む「電気製品」については「無料で引き取っている」という回答が多かった。

図 2-3 不用品の引取形態(回収業)

不用品の入荷元について、中間取扱業者の回答結果は下図のとおりである。「パソコン

及び OA 機器」については、回答した 69 の中間取扱業者のうち約 32%が「回収業者」か

ら入荷していると回答した。

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図 2-4 不用品の入荷元(最多ケース)(中間取扱業)

また、不用品の引取形態に関する、中間取扱業者の回答結果は下図のとおりである。「PC及びその他 OA 機器」の引取については「処理費をもらっている」という回答が最も多く、

回答の半数を占めた。次いで「買い取っている」という回答が約 39%であった。

図 2-5 不用品の引取形態(中間取扱業)

中古利用の出荷先・輸出先

中古利用の出荷先について、中間取扱業者の回答結果は下表のとおりである。回答した

11 の中間取扱業者のうち、5 事業所が「国内リユースショップ」に出荷、4 事業所が「輸

出業者」に出荷、3 事業所が「自ら輸出」「他の回収・卸売業者」に出荷と回答している。

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表 2-4 中古利用の出荷先(中間取扱業)

中古利用の輸出先について、中間取扱業者の回答は下表のとおりであり、中国、フィリ

ピン、ベトナム、タイ等の回答があった。

表 2-5 中古利用の輸出先(中間取扱業)

材料リサイクルの状況

事業所での前処理について、中間取扱業者の回答は下図のとおりであった。回答した

62 の中間取扱業者のうち、66%が「処理をしている」という回答であった。

図 2-6 事業所での前処理(中間取扱業)

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また、材料の出荷先について、中間取扱業者の回答は下表のとおりであった。回答した

63 の中間取扱業者においては、「国内中間処理業者」「他のスクラップ取扱業者」の回答

が各 46%と最も多く、次いで「輸出業者」の回答が 24%であった。

表 2-6 材料の出荷先(中間取扱業)

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不用品回収業者に対する取り締まり強化の事例

出所

中日新聞ウェブサイト

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013030402000143.html

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013031102000188.html

□廃棄物処理法違反強制捜査

業者「ファイブエス」はチラシやのぼり旗などで住民に「無料回収」をPR。岐阜市

や周辺にある五つの回収所に持ち込ませていた。テレビをはじめとした使用済み家電

製品や自転車などが乱雑に積まれ、解体作業をした形跡もあった。 岐阜県警は 2013 年 2 月 18 日、廃棄物処理法違反(一般廃棄物の無許可収集・運搬)

の疑いで、この回収所などを現場検証した。無料で使用済家電などを回収している業

者への強制捜査は全国初である。 □取締の経緯

許可権者である自治体は、無許可業者の実態をつかみやすく、岐阜市環境事業課は、

業者らに説明を求めるなどして警告を続けた。

ほとんどの業者は手を引く

ファイブエスは業務を続行

岐阜市は文書指導を繰り返し、環境省とも緊密に調整

業者の是正は見られず、県警が強制捜査

□法の整備

違法営業が日常化しているのは、業者らが自治体の担当者などに「扱っているのは廃

棄物でない」と主張してきたためである。不用品の一部は再利用ルートに回るので、

廃棄物との区別をつけることが難しかった。 2012 年、環境省はテレビ、エアコンなど家電リサイクル法の対象四品目は、「年式が

古いなど中古品の価値がない物や、破壊されている物などは廃棄物に該当する」とい

った通知文を自治体に出し、他の使用済家電製品も、積極的に廃棄物であることを判

断するよう求めた。 自治体・警察において廃棄物事案として判断しやすくなり、違法業者の摘発が容易に

なった。 □普及啓発

環境省は、全国の自治体に住民への普及啓発を強化するよう要請している。 消費者からの情報提供も不法業者の取締に役立つため、自治体の廃棄物収集担当部署

への通報を促す取組みも始まっており、住民からの情報を自治体が見事に生かした事

例もある。 2012年2月、神奈川県三浦市で住民に不用品無料回収のチラシが配られた。住民

から問合せを受けた三浦市の廃棄物行政担当者が、どう対応すべきか神奈川県の

担当部署に相談。問題の業者は、三浦市、横須賀市、葉山町の三カ所の拠点に不

用品を集めていた。

神奈川県と二市一町は、その三カ所を外部からチェックして違法営業のおそれが

あることを確認し、2012年 3月末には合同で立ち入り検査。所轄の警察も外で待

機した。警察が刑事事件として立件する可能性があることを伝えたこともあっ

て、業者は撤退した。

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(2) 輸出業者・海外バイヤー

複数の文献において、輸出されるメタルスクラップにノートパソコンやデスクトップパ

ソコンが含まれている事例が確認された。当該文献の概要及び貿易統計におけるスクラッ

プの輸出状況を以下に示す。

金属スクラップの輸出に関する調査

出所

「平成 20~22 年度循環型社会形成推進科学研究費補助金総合研究報告書」(平成 23 年 3 月、国

立環境研究所 寺園淳ほか)、「平成23年度使用済み電気・電子機器輸出時判断基準及

び金属スクラップ有害特性分析手法等検討会」平成 24 年 3 月, 環境省、「リサイクルに

よる資源の国内循環の拡大に係る基礎調査事業」平成 24 年 3 月, 三菱総合研究所 既存の金属スクラップの品目調査では、日本から中国への輸出が予定された金属スク

ラップにパソコン・OA 機器が実際に含まれていたことが確認された(ただし、金属

スクラップ全体におけるその重量比は多くなかった)。調査概要は以下のとおり。 調査方法:日本から中国への輸出が予定されていた金属スクラップ約 10 トンの

サンプルを計 3 回調達し、①産業系スクラップ、②家庭系スクラップ、③パソコ

ン・OA 機器、④その他の大分類や、各種機械類、ガス器具などの中分類に分類

して整理した。 調査結果:パソコン・OA 機器に関しては、金属スクラップ全体における重量比

は多くなかったが、デスクトップパソコン(第 1 回 3 台、第 2 回 20 台)、ノート

パソコン(第 2 回 12 台)のほかに、プリンタ・複合機などが見受けられ、運搬

または選別の際に破砕されてトナー粉が周囲に散らばることもあった。

貿易統計におけるメタルスクラップの輸出状況

出所 貿易統計 貿易統計の区分においてメタルスクラップに該当するのは、鉄スクラップや銅スクラ

ップにあたる下表の 8 項目(鋳鉄のくず」「合金鋼のくず(ステンレス鋼)」「合金鋼

のくず(その他)」、「すずをめっきした鉄鋼のくず」、「切削くず及び打抜きくず」、「ヘ

ビーくず」、「その他のくず」、「銅のくず」)である。

鉄スクラップに該当する品目の合計輸出量は、2005 年度から 2009 年度において 600~900 万トン程度で推移している。鉄スクラップの主な輸出先は、韓国と中国である。

銅スクラップの輸出量は、2005 年度から 2009 年度において 30~40 万トンで推移して

いる。銅スクラップの主な輸出先は中国である。

パソコン等 OA 機器は、鉄スクラップの中の「その他のもの」(種類が特定されていな

いために雑多な鉄スクラップが含まれる)に含まれる可能性が高いという指摘がされ

ている。

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表 2-7 メタルスクラップの輸出量推移

表 2-8 メタルスクラップの輸出量上位 10 カ国(2010 年度)推移

事前相談システムに基づくメタルスクラップの輸出状況

出所

「有害物質管理と資源回収の観点からの金属スクラップ(雑品)発生量・輸出の実

態解明」2011年, 寺園淳 事前相談システム*1 では、鉄くず、銅くず、ミックスメタル、プリント基板、インジウ

ム・スズ酸化物、PCボード基板、被覆電線、アルミ端材、亜鉛粉、トランス、金属

棚等は、「メタルスクラップ」に分類される。 2006 年度から 2010 年度の事前相談データにおいて、「メタルスクラップ」の貨物分類

に分類される案件に関して、貨物詳細欄に「中古パソコン」を含む案件が複数確認さ

れた。 *1事前相談システム:経済産業省及び環境省が輸出入事業者又は通関業者などの皆様からの相談に応じ、

提出された書類に基づいてその貨物がバーゼル法の規制対象に該当するか否かを判断して、相談者に口

頭で助言・回答しているもの。環境省は廃棄物処理法についての判断も行う。

(3) ネットオークション

ネットオークションの状況について確認するため、オークションサイトにおけるパソコ

ンネットオークションの状況確認及び既存文献の調査を実施した。

1) 出品状況

パソコンネットオークションにおける出品状況を下表に示す。出品者の約半数は事業者

であった。ただし、事業者以外については一般という括りであり、必ずしも個人というわ

けではなく、事業者も含まれているようである。

品名 HSコード 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度鉄スクラップ 鋳鉄のくず 7204.10-000 11,068 8,801 10,814 2,797 9,398 5,146

合金鋼のくず(ステンレス鋼) 7204.21-000 222,905 298,430 227,575 273,864 186,396 145,168合金鋼のくず(その他) 7204.29-000 51,623 29,471 34,703 43,217 71,131 49,946すずをめつきした鉄鋼のくず 7204.30-000 82 3,136 0 34 70 197切削くず及び打抜きくず 7204.41-000 386,655 653,324 649,195 539,363 854,186 548,749ヘビーくず 7204.49-100 1,747,832 1,828,150 1,393,313 1,390,129 2,295,135 1,267,236その他のもの 7204.49-900 5,069,342 4,688,846 4,102,987 4,002,861 5,538,508 3,926,194計 7,489,508 7,510,157 6,418,587 6,252,265 8,954,823 5,942,635

銅スクラップ 7404.00-000 442,151 392,525 446,679 372,467 349,917 291,747合計 7,931,658 7,902,682 6,865,267 6,624,732 9,304,740 6,234,382

順位 国名 輸出量 (トン)1 大韓民国 2,984,3932 中華人民共和国 2,596,7033 台湾 242,0144 ベトナム 62,0045 インドネシア 20,2406 香港 18,3377 シンガポール 5,4978 マレーシア 5,2539 スイス 2,166

10 インド 2,084

順位 国名 輸出量 (トン)1 中華人民共和国 2,270,6262 大韓民国 1,467,8203 台湾 125,8694 インドネシア 18,0485 ベトナム 15,3486 香港 12,2797 シンガポール 5,2778 マレーシア 5,2509 スイス 1,805

10 パキスタン 1,176

順位 国名 輸出量 (トン)1 中華人民共和国 269,8192 香港 13,7153 大韓民国 4,8654 台湾 9035 ベトナム 8826 スペイン 3907 フィリピン 3548 マレーシア 2599 ドイツ 181

10 アメリカ合衆国 36

鉄スクラップ(上記 7 品目の合計) 鉄スクラップ「その他のもの」 銅スクラップ

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表 2-9 ネットオークションにおける出品状況 製品区分 デスクトップ 23%

ノートブック、ノートパソコン 75%

ミニノート 2%

出品者 事業者 46%

一般 54%

新品/中古の別 新品 25%

中古 75%

注)2013 年 3 月某日における状況

2)ネットオークションの価格帯

ネットオークションサイトにて、確認された中古パソコンの落札価格を下表に示す。 落札価格は、1 円~10 万円程度まであるが、1~3,000 円(約 3 割)、3,000~1 万円(約 3 割)、

1 万円以上 (約 4 割)であった。

表 2-10 ネットオークションにおける中古パソコンの落札価格

中古パソコンの落札価格帯 割合

5 万円以上 4%

3 万円以上~5万円未満 5%

1 万円以上~3万円未満 35%

5 千円以上~1万円未満 20%

3 千円以上~5千円未満 11%

1 千円以上~3千円未満 22%

1千円未満 5%

注)2013 年 3 月某日における過去 30 日以内の結果 除外:キーボード ケース ロック コード ソフトケーブル リモコン HDD マウス CD ア

ダプター

また、既存文献によると、「ネットオークション等で売却」される場合の販売価格(8,047円/台)は、「リユースショップ等に売却」(4,986 円/台)や「廃品回収業者に引渡」(1,000円/台)に比べて高い価格であり、また、リユースが主目的と考えられる「友人等への譲渡・

売却」(8,129 円/台)と同程度の価格であった。

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表 2-11 パソコン・周辺機器の排出・引渡先別の割合・費用

出所)「平成 21 年度電気電子機器等の流通・処理実態調査及びリユース促進事業報告書」

平成 22 年 3 月, 環境省

(4) 市町村におけるパソコンの回収

一部の市町村では、メーカーによる自主回収システムとは別途、市民にとっての利便性

向上等の観点から、パソコンを回収する仕組みを有している。これらの市町村の取組につ

いて、7 つの自治体を対象に、概要及び実施理由についてインターネット上の公開情報調

査(一部ヒアリング調査)を実施した。調査結果は以下のとおりである。 北海道札幌市

3R推進事業参加メーカー以外のパソコン(自作パソコン、海外メーカーで既に

日本で事業をしていない場合など)を対象に、(一財)札幌市環境事業公社によ

る有料の回収ルートを設定。 戸別回収時に下記料金を徴収。

表 2-12 パソコンの種類と収集・リサイクル料金

種類 収集・リサイクル料金

デスクトップパソコン本体

ノートブックパソコン

液晶ディスプレイ

液晶ディスプレイ一体型パソコン

2,835 円/台 (割引制)

2 台目から

▲1,050円 ブラウン管ディスプレイ

ブラウン管ディスプレイ一体型パソコン 3,570 円/台

北海道石狩市

市民にとっての利便性向上等の観点から、小型電子・電気機器リサイクルを独

自に実施。 市内7箇所の公共施設に回収ボックスを設置し、パソコンを含む指定品目のう

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ち、回収ボックスの投入口(30㎝×30㎝)からボックス内に入る物を対象に回収。

宮城県仙台市 PC リサイクルマークがついていないパソコンについて、独自の回収ルートを設

定。排出の方法は、以下の 2 とおり。 • 仙台市の許可業者への収集申し込み(収集運搬料金 約 2,000 円/台、リサ

イクル処理料金 840~1,680 円/台) • 仙台市内のリサイクル施設(への直接持ち込み(リサイクル処理料金 840~1,680 円/台)

東京都足立区

独自の家庭系パソコンリサイクル事業を実施。 区が指定した受入施設への直接持ち込み。 PC リサイクルの対象外施設であるため、PC リサイクルマークのあるパソコン

を施設に持込む場合でも、下記リサイクル料金を消費者が負担。

表 2-13 パソコンの種類とリサイクル料金

品目 金額

デスクトップパソコン本体 700円

ノートパソコン 1,300 円

ディスプレイ一体型パソコン 1,900 円

CRT(ブラウン管式ディスプレイ)・液晶ディスプレイ 1,300 円

和歌山県田辺市 PC リサイクルマークの付いていない家庭用パソコンについては、田辺市ごみ処

理場及び民間のリサイクル施設でも取扱い可能(ただし、メーカーによる自主

回収を利用したリサイクルを推奨)。

岡山県岡山市 PC リサイクルマークの付いていないパソコンについては、粗大ごみとして回収

及び持込みを受付。

鹿児島県鹿児島市 PC リサイクルマークが付いていないパソコンについて、デスクトップ型パソコ

ンは粗大ごみとして、ノートブック型パソコンは燃やせないごみとして市が収

集・処分を実施。 粗大ごみ処理手数料は、品物の材質や大きさ、平均的な重さなどにより、350

円、700 円の 2 種類。ただし、粗大ごみ処理棟に自身で持ち込む場合には、100kg以下は無料。

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2.3 調査結果のとりまとめ

調査結果のとりまとめとして、使用済みパソコンの排出フローを作成した。

(1) 家庭系使用済みパソコンの排出フロー

①家庭からの排出 ・ 家庭系ユーザーが排出するパソコンのうち比較的新しい製品が、小売店・中古品販売

業者、C to C リユースに回っているようである。 ・ 古い製品は、不用品回収業者やメーカーに回るほか、一部自治体が回収している(自

治体回収は 1 割にも満たない)。 ②不用品回収業者 ・ 不用品回収業者は家庭からのパソコンを入手している。 ・ 不用品回収業者に引渡しているユーザーの 1~2 割は、処理費用を支払っているとの

調査結果あり。 ・ 不用品回収業者は、主に輸出業者・海外バイヤーへ引き渡している。 ③C to C リユース ・ パソコンネットオークションの約半数は事業者が出品(それ以外は一般という括りで

あるが、必ずしも個人ではなく事業者も含まれている) ・ 落札価格は、1 円~10 万円程度まであるが、1~3,000 円(約 3 割)、3,000~1 万円(約

3 割)、1 万円以上(約 4 割)。 ④小売店・中古品販売業者 ・ 7 年~8 年前のパソコンではほとんど値が着かない。ただし、店頭に持ち込めば最低

価格(例:100 円)で買取る事業者がいる。 ・ 引き取ったパソコンは、事業系パソコンと同様の流れで、リユース向け、リユースで

きないものは資源として利用。 ⑤市町村 ・ パソコンを回収している自治体はごく一部。 ・ パソコンを回収していない自治体において、不法投棄は確認されていない。

(2) 事業系使用済みパソコンの排出フロー

⑥事業所からの排出 ・ 売却できる製品は中古品買取業者へ、売却できない製品は廃棄物処理業者へ処理委託

されることが多い。 ・ 一部セキュリティの問題から売却可能な製品であっても廃棄物処理業者への処理委

託される場合もある。 ・ 廃棄物処理業者の選定理由は、コスト・データ消去の安全性。中小事業者を中心にコ

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ストを優先する場合もある。 ⑦メーカールート ・ 事業所(ユーザー)は、信頼性・安全性の面から、メーカーを選択している模様であ

る。 ⑧再資源化処理業者・廃棄物処理業者

<RITEA 認定再資源化事業者の状況> ・ 事業者(ユーザー)からの引取が大半。 ・ 手分解後、原則国内製錬事業者に売却。 ・ 資源有効利用促進法で定められたメーカーの義務となっている再資源化率並み以上

の取り組み、また、製品別の材料(成分)別実績、回収・売却先別ルート別等の実績

集計の取り組みを実施。 <メーカー系再資源化業者> ・ メーカー系以外に事業者(ユーザー)からの廃棄物処理依頼もあり。 ・ メーカー回収パソコンと同等の再資源化を実施。

<産業廃棄物処理業者> ・ 他の産業廃棄物と一括して破砕処理。 ⑨販社・ディーラ ・ 販社としての基本的なスタンスは、販売後は一切関与しないこと。そのため、使用済

みパソコンにはあまり関与していない(下取りは基本的な商流ではない)。 ・ ただし、ユーザーからのデータ消去のニーズから、無償引取を行っている販社がある

(販社での年間取扱台数数%程度)。 ⑩リース・レンタル会社 ・ リースアップ品の平均使用年数は 4~5 年。 ・ リース品が事業者(ユーザー)に売却されることはほとんどなく、大部分をリース会

社が引きあげ。 ・ 大手リース会社の大部分は、系列会社に引渡し、中小リース会社の大部分は、RITEA

認定事業者に引渡している。 ⑪中古品買取・販売事業者 ・ 中古品買取・販売業者におけるパソコン取扱台数の約 8 割を RITEA 認定リユース事

業者が占める。 <RITEA 認定リユース事業者> ・ 事業系パソコンからの調達が約 9 割(1 割は個人からの買取)。事業系パソコンの 4

割弱はリース・レンタル会社、そのほかは一般企業等の事業者等。リース会社が占め

る割合は低下傾向、一般企業等の事業者の割合は増加傾向。。 ・ 使用年数 5 年以内:約 7 割、6 年以上:約 3 割。 ・ 確実なデータ消去を実施し、顧客ニーズに対応(データ消去のみを有料で実施する場

合あり)。

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・ 引渡状況は、OS 再インストール済み(国内リユース)4 割強、OS インストールなし

(海外リユース)3 割弱、OS インストールなし(卸として国内中古品販売店に売却)

約 3 割強。 ・ 製品リユースできないパソコンは、主に自社にて解体後、素材として国内製錬事業者

またはその代理店に売却。 <RITEA 認定リユース事業者以外の事業者の状況> ・ 買取ったパソコンの中で、古い製品・壊れている製品は、輸出業者等に安値で売却さ

れている。 ・ 買取ったパソコンをネットオークションで販売している事業者もおり、買い手として

は事業者もいる。 ⑫輸出業者・バイヤー

<海外スクラップ> ・ 単一素材に選別できないものが海外スクラップ(高品位)として輸出されることが多

いと考えられる。 ・ メタルスクラップの約 53%が中国に、約 41%が韓国に輸出されている(韓国への輸出

は主として鉄スクラップ)。 ・ パソコンの配線等は銅スクラップに含まれて輸出される。その他、デスクトップパソ

コンやノートパソコンが輸出スクラップに含まれているケースあり(ただし重量比は

低い)。 <海外リユース> ・ 海外でのリユース製品の需要あり(例:地方銀行)。 ・ 以前は壊れている製品でも海外向けに売却されていたが、最近は正常稼動することが

条件として求められる模様である。ただし、国内リユースに向かない古い製品が海外

に輸出される傾向がある。 ・ まれに輸送段階での故障等、不良品が発生する場合もある。その場合、解体・リサイ

クルされているとのこと(事例ベース)。 ⑬国内リユース ・ 製造後 5~6 年以内のパソコンが国内リユース大半を占める。 ・ マイクロソフト MAR プログラムなどによるリユース適正化の動きあり。 ・ 家庭系ユーザーが購入するほか、以下のとおり事業系でのリユースパソコンの利用が

ある。 ・ 通信系キャリアといった大口の需要あり。 ・ 中古パソコンの利用するのは、工場の端末など高性能を求めていない場合のほか、ア

プリケーションの都合上 windowsXP 搭載パソコンを希望する場合がある。

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56

図 2-7 家庭系使用済みパソコンの排出フロー

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

逆有償で取引されるもののフロー

廃棄物処理業者

最終処分

国内製錬所

海外スクラップ

海外リユース

再資源化業者

輸出業者・海外バイヤー

*1 CtoCリユース:事業者等を介さずに行われるリユース*2 事業所にてリユースへ

•家庭系ユーザーが排出するパソコンのうち比較的新しい製品が、小売店・中古品販売業者、C to Cリユースに回っているようである。•古い製品は、不用品回収業者やメーカに回るほか、一部自治体が回収している(自治体回収は1割にも満たない)。

③ ⑤

市町村

メーカー

不用品回収業者

C to Cリユース*1

小売店・中古品

販売業者

約1~2割

約2~3割

約2割

約2~3割

家庭

•パソコンネットオークションの約半数は事業者が出品(それ以外は一般という括りであるが、必ずしも個人ではなく事業者も含まれている)•落札価格は、1円~10万円程度まであるが、1~3,000円(約3割)、3,000~1万円(約3割)、1万円以上(約4割)。

•7年~8年前のパソコンではほとんど値がつかないが、消費者が、店頭に持ち込めば最低価格(例:100円)で買い取る事業者もいる。•引き取ったパソコンは、事業系パソコンと同様の流れで、リユース向け、リユースできないものは資源として利用。

•パソコンを回収している自治体はごく一部。•パソコンを回収していない自治体において、不法投棄は確認されていない(4自治体へのヒアリングの結果)

*2

・不用品回収業者は家庭からパソコンを入手している。・不用品回収業者に引渡しているユーザの1~2割は、処理費用を支払っているとの調査結果が存在。・不用品回収業者は、主に輸出業者・海外バイヤーへ引き渡している。

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図 2-8 事業系使用済みパソコンの排出フロー

逆有償で取引されるもののフロー

輸出業者・海外バイヤー

最終処分

国内製錬所

海外スクラップ

海外リユース

中古品買取・販売業者

再資源化業者・廃棄物処理業者

•製造後5~6年以内のパソコンが国内リユース大半を占める。•マイクロソフトMARプログラムなどによるリユース適正化の動きあり。•家庭系ユーザが購入するほか、以下のとおり事業系でのリユースパソコンの利用がある。•通信系キャリアといった大口の需要あり。•中古パソコンの利用するのは、工場の端末など高性能を求めていない場合のほか、アプリケーションの都合上Windows XP搭載パソコンを希望する場合がある.

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

<RITEA認定再資源化事業者の状況>• 事業者(ユーザ)からの引取が大半。• 手分解後、原則国内事業者に売却。• 資源有効利用促進法の基準以上の取組を実施。<メーカー系再資源化業者>• メーカー系以外に事業者(ユーザ)からの廃棄物処理

依頼もあり。• メーカー回収パソコンと同等の再資源化を実施。<廃棄物処理業者>• 他の産業廃棄物と一括して破砕処理。

<海外スクラップ>•単一素材に選別できないものが海外スクラップ(高品位)として輸出されることが多いと考えられる。•メタルスクラップの約53%が中国に、約41%が韓国に輸出されている(韓国への輸出は主として鉄スクラップ)。•パソコンの配線等は銅スクラップに含まれて輸出される。その他、デスクトップパソコンやノートパソコンが輸出スクラップに含まれているケースあり(ただし重量比は低い)。<海外リユース>•海外でのリユース製品の需要あり(例:地方銀行)。•以前は壊れている製品でも海外向けに売却されていたが、最近は正常稼動することが条件として求められる模様。ただし、国内リユースに向かない古い製品が海外に輸出される傾向がある。•まれに輸送段階での故障等、不良品が発生する場合もある。その場合、解体・リサイクルされているとのこと(事例ベース)。

事業所

メーカー

販社ディーラ

リース・レンタル会社

• 事業所(ユーザ)は、信頼性・安全性の面から、メーカーを選択している模様。

【資源】

【資源】

【PC】【PC】

【資源・一部PC】

【PC】

約3~4割

約1~2割

約1~2割

約2~3割

⑦⑧

• 売却できる製品は中古品買取業者へ、売却できない製品は廃棄物処理業者へ処理委託されることが多い。

• 一部セキュリティの問題から売却可能な製品であっても廃棄物処理業者への処理委託される場合もある・

• 廃棄物処理業者の選定理由は、コスト・データ消去の安全性。中小事業者を中心にコストを優先する場合もある。

• リースアップ品の平均使用年数は4~5年

• リース品が事業者(ユーザ)に売却されることはほとんどなく、大部分をリース会社が引きあげ

• 大手リース会社の大部分は、系列会社に引渡し、中小リース会社の大部分は、RITEA認定事業者に引渡している。

• 中古品買取・販売業者におけるパソコン取扱台数の約8割をRITEA認定リユース事業者が占める。

<RITEA認定リユース事業者の状況>• 事業系パソコンからの調達が約9割(1割は個人からの買

取)。事業系パソコンの4割弱はリース・レンタル会社、そのほかは一般企業等の事業者。リース会社が占める割合は低下傾向、一般企業等の事業者の割合は増加傾向。

• 使用年数5年以内:約7割、6年以上:約3割。• 確実なデータ消去を実施し、顧客ニーズに対応(データ消

去のみを有料で実施する場合あり)• 引渡状況は、OSインストール済み(国内リユース)4割強、

OSインストールなし(海外リユース)3割弱、OSインストールなし(卸として国内中古品販売店に売却)約3割強。

• 製品リユースできないパソコンは、主に自社にて解体後、素材として売却。

< RITEA認定リユース事業者以外の事業者の状況>• 買取ったパソコンの中で、古い製品・壊れている製品は、

輸出業者等に安値で売却されている。• 買取ったパソコンをネットオークションで販売している事業

者もおり、買い手としては事業者もいる。

• 販社としての基本的なスタンスは、販売後は一切関与しないこと。そのため、使用済みパソコンにはあまり関与していない(下取りは基本的な商流ではない)。

• ただし、ユーザーからのデータ消去のニーズから、無償引取りを行っている販社がある(販社での年間取扱台数数%程度)。

*1

*1 家庭にてリユースへ

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3. 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルに関する実態調

タブレット型端末の 2011 年の国内出荷台数 4(通信事業者等において携帯電話回線の契約を伴

うタブレット端末を含むことに注意)は 188 万台、2015 年には 550 万台を突破すると見込まれて

いる(出典:ICT総研:タブレット端末市場に関する需要予測(2011 年 8 月))。このため、タブ

レット型端末及び類似品目(以下、「タブレット型端末等」と言う)の機能、販売形態、リサイク

ルの現状等について、文献調査、関係者(製造事業者、携帯電話通信事業者、業界団体等)への

ヒアリング調査等により実態を把握するとともに、パソコン、携帯電話、また資源有効利用促進

法において引用する品目等との区分整理に関する検討を行った。 また、上記を踏まえ、1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルの技術

的、経済的可能性等について検証を行った。 <調査項目> 既往調査等におけるタブレット端末等の定義 タブレット型端末等に該当する具体的品目とその製造事業者 機能 販売形態 出荷台数(現状、将来予測) 資源性(レアメタル等の有用金属の含有状況等) 回収・リサイクルの現状 自主回収によるリサイクルの技術的、経済的可能性 等

なお、検討にあたっては、有識者やタブレット端末等の関係者である製造事業者、携帯電話

通信事業者、業界団体等による WG を設置し、情報収集・検討を実施した。WG メンバーと議

題は以下のとおり。

学識経験者 東京大学大学院工学系研究科准教授 村上進亮氏 業界関係者 一般社団法人 パソコン 3R 推進協会(PC3R)

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) 一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)

社団法人 電気通信事業者協会(TCA)

議題 第 1 回 (2/1)

○ワーキンググループの設置趣旨等について ○タブレット型端末を含む 1kg 以下のパソコンの取扱いについて ○今後の検討の進め方(案)について

4 通信事業者等において携帯電話回線の契約を伴うタブレット端末を含むことに注意。

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議題 参加業界団体による情報収集・提供

第 2 回 (2/22)

○タブレット型端末を含む 1kg 以下のパソコンに関する情報収集結果につ

いて ○資源有効利用促進法において引用する品目等との区分整理にあたっての

論点等について ○1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末の回収・リサイクルの可能性に

ついて

3.1 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末に関する基礎情報の整理

1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末に関して基礎情報の収集整理を行った。情報収集

項目は以下のとおりとした。

表 3-1 情報収集項目 情報収集項目 ・ 既往調査等におけるタブレット端末等の定

義 (1)タブレット型端末の定義

・ タブレット型端末等に該当する具体的品目

とその製造事業者 (2)製品の種類

・ 機能 ・ 販売形態 ・ 出荷台数(現状、将来予測) (3)今後の出荷動向 ・ 資源性(レアメタル等の有用金属の含有状

況等) (4)製品特性

・ 回収・リサイクルの現状 (5)製造事業者等による自主回収・再資

源化の実態 ・ 自主回収によるリサイクルの技術的、経済

的可能性 等 (6)リサイクル技術 (7)回収・リサイクルコスト

なお、基礎情報については情報を提供した業界団体名を明記する形で整理した(例:【PC3R】)。

また、文献調査に基づくものは【文献調査】と記載した。

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(1) タブレット型端末の定義

タブレット型端末に関する業界団体・各社の定義は以下のとおり。JEITA 自主統計上の定義は

なされているが、各社が独自の定義を有しているのが実態である。

表 3-2 タブレット型端末の定義 定義 JEITA 通信契約なし 【JEITA 自主統計の定義】

ネットワークサービスの利活用を目的とした可搬型汎用端末装置。 概ね質量 1kg 以下、画面サイズ 5 型以上(複数画面搭載機ではそれぞ

れの画面サイズを合算)を目安とする。 但し、次の①,②に該当するものは除く。

① サーバ、ワークステーション、電子書籍リーダー、電子辞書、

電卓、電気通信事業用移動電話(スマートフォン、携帯電話、

PHS)、インターネット対応 TV、ゲーム機、デジタルオーディ

オプレーヤ、デジタルフォトフレーム、カーナビゲーションシ

ステム、ハンディターミナル、テーブルオーダー端末。

② パーソナルコンピュータ ※キャリアブランドで販売されるモデルおよび企業向け専用モデル

は除く。 -----------------------------------------------

【各社の考え方】 ・PC と携帯電話の中間領域である 5~10 インチクラスの表示画面を

有し、PC の表現力と携帯電話のモビリティを両立させた(中間領域)端末群。

・現時点では物理キーボード非搭載で OS が Android の機種 ・ネットワークサービスの利活用を目的とした可搬型汎用端末。物理

キーボード標準搭載せず、タッチ操作。 ・本体(画面部)に CPU 等の基本部品が実装されており、単体で動

作可な端末。 TCA 通信契約あり 定義は特に定めていない。 CIAJ 表示部にタッチパドイプの入力機能を有する情報通信端末通信端末

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(2) 製品の種類

<調査項目>

現在(2013 年 2月時点)、製造・販売している製品(製品種類毎に、画面サイズ、重量、

OS、当該カテゴリーの特徴、通信キャリア契約の有無、リサイクルに関する取扱い)

<調査結果のまとめ>

○1kg以下のパソコン

画面サイズは 10~13 インチ、重量は 880g~1kg程度。

OSは Windows7、Windows8。通信キャリア契約の有る製品と無い製品の双方がある。

全ての製品について、パソコンメーカーがリサイクルを実施(PCリサイクル対象)。

キーボードユニットが取り外し可能な製品もある。

○タブレット端末

製品カテゴリー名称は、「タブレット型端末」「タブレット型パソコン」「Windows タブ

レット」等、各メーカーが独自に区分。カテゴリーを定義づける要素としては「物理キ

ーボード非搭載」「OS」「画面部に CPU等の基本部品が実装」「モバイル性」等。

画面サイズは 5.5~13.3インチ、重量は 220g~1kg程度。

OSは Android、Windows8。通信キャリア契約の有る製品と無い製品の双方がある。

通信キャリア契約されているものについては、モバイル・リサイクル・ネットワークに

て回収。それ以外については回収・リサイクルされていない。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

画面サイズ 10.1 インチ 13.3 型 11.6 型 重量 0.97kg~0.99kg 0.875kg~0.890kg 0.85kg(キーボード付で

1.7kg)※ OS Windows7 Windows 8 Windows8 通信キャリア

契約の有無 有 無 無

リサイクルに

関する取扱い 全ての製品についてパ

ソコンメーカーが回

収・リサイクルを実施

PC リサイクル対象 PC リサイクル対象

備考 ※タブレットスタイル

とノート PC スタイルの

利用が可能な 2 ウェイ

スタイル PC(取り外し

可能なキーボード・ドッ

キングステーションと

液晶部分(本体)で構成) 回答業界団体 JEITA JEITA JEITA

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②タブレット型端末

製品カテゴリー タブレット型端末 タブレット 画面サイズ 5.5 インチ×2~9.4 インチ 7 型 ~ 10.1 型 重量 356g~625g 0.25kg ~ 0.54kg OS Android 4.0 Android

※Windows を搭載したタブレット

型端末は、「タブレット PC(タブレ

ットの形状をしたパソコン)」とし

て、パソコンの商品カテゴリーに

分類 当該カテゴリーの

特徴 現時点では物理キーボード非搭載

で OS が Android の機種 5~10 インチクラスの表示画面を

有し、PC の表現力と携帯電話のモ

ビリティを両立させた(中間領域)端末群

通信キャリア契約

の有無 通信キャリア契約が必要なものと

必要でないものが存在 回線契約が必要な商品と、必要で

ない商品が存在 リサイクルに関す

る取扱い 通信キャリア契約されているもの

については、モバイル・リサイク

ル・ネットワークにて回収。それ

以外については未対応。

回線契約が必要な商品について

は、MRN にて回収。回線契約が必

要でない商品については、小型家

電リサイクルのスキームでの回

収・リサイクルを想定。 回答業界団体 JEITA JEITA

製品カテゴリー タブレット型情報通信端末 タブレット型パソコン 画面サイズ 5.5 インチ ~ 10.8 インチ

*注:上記は現状商品化されてい

る情報を元に表記。現在、サイズ

によってカテゴリーを サイズに

よってカテゴリーを特定しておら

ず、メーカー各社の商品企画に合

わせスマホまたはタブレットに分

類。5 インチサイズではスマホとし

て商品化されるケースが多い。

6 インチ ~ 10 インチ

重量 220g~765g 500g ~ 700g OS Android Android4.0 当該カテゴリーの

特徴 物理キーボードが無く、表示部の

タッチパッドにて入力。携帯電話

のデータ通信サービス機能を有す

る場合と WiFi 機能のみの製品があ

る。

物理キーボードがないもので、ビ

ジネス文書作成を主たる用途とす

るもの

通信キャリア契約 必要なものと必要でないもの 通信キャリア契約が必要なものと

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63

の有無 (WiFi 機能のみの場合)がある。 必要でないものが存在 リサイクルに関す

る取扱い 通信キャリアが販売したものにつ

いては、MRN で回収。 通信キャリア契約されているもの

については、モバイル・リサイク

ル・ネットワークにて回収。それ

以外については、特に回収・リサ

イクルはされていない。 回答業界団体 CIAJ TCA

製品カテゴリー タブレット Windows タブレット 画面サイズ 7.7 インチ~13.3 インチ 10.1 型 重量 約 332g~約 1000g 0.574kg OS Andoroid4.0 or 4.1 Windows 8 当該カテゴリーの

特徴 ネットワークサービスの利活用を

目的とした可搬型汎用端末。物理

キーボード標準搭載せず、タッチ

操作。

本体(画面部)に CPU 等の基本部

品が実装されており、単体で動作

可な端末。

通信キャリア契約

の有無 無 なし

リサイクルに関す

る取扱い PC リサイクル非該当。廃棄する場

合は、お客様の居住各自治体の処

理に従い、適切に廃棄することを

カタログ、取扱説明書等に明記。

PC リサイクル非対象

回答業界団体 JEITA JEITA

製品カテゴリー Android タブレット

画面サイズ 10.1 型

重量 0.589kg OS Android 4.0 当該カテゴリーの

特徴 本体(画面部)に CPU 等の基本部

品が実装されており、単体で動作

可な端末。

通信キャリア契約

の有無 なし

リサイクルに関す

る取扱い PC リサイクル非対象

回答業界団体 JEITA

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(3) 今後の出荷動向

<調査項目>

今後の出荷見込み

開発の方向性

<調査結果のまとめ>

1kg以下のパソコンについては、現在開発はほとんど行われていない。

タブレット型端末の開発は増加傾向にある。2011年で 270~290万台程度(通信契約あ

り:約 100 万台、なし:約 200万台)の国内出荷実績が、2015年では 500~800万台程

度(通信契約あり:約 200万台、なし:約 300万台)となると見込まれている。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

【JEITA】

1kg 以下のパソコンの開発はほとんどない ②タブレット型端末(通信契約あり・なし)

【JEITA】

タブレット型端末の開発は増加方向 【CIAJ】

個社のビジネス情報ため不明。

【文献調査】

タブレット端末の国内出荷状況を以下に示す。2011 年では、270~290 万台程度の国内出荷

実績となっており、今後も出荷の拡大が予想されており、2015 年では、500~800 万台程度

となるとされている。通信回線契約を要する 3G タイプと通信回線契約を必要としない

Wi-Fi タイプが存在する。

表 3-3 タブレット端末の国内出荷台数予測(単位:万台) 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度

(実績) (実績) (予測) (予測) (予測) (予測) iPad(iOS タブレッ

ト) 80 182 268 319 343 387

Android タブレッ

ト 7 86 133 194 252 315

その他(Windowsタブレットなど)

2 8 26 56 72 93

合計 89 276 427 569 667 795

出典:ICT 総研 2012 年度 タブレット端末市場に関する需要動向調査(2012 年)

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表 3-4 タブレット端末の国内出荷台数予測(単位:万台)

2010 2011 2012 2013 2014 2015

(実績) (見込) (予測) (予測) (予測) (予測)

個人 75 110 130 150 160 170

法人 30 180 220 260 300 330

合計 105 290 350 410 460 500

方式別

3G タイプ 25 110 140 160 175 190

WiFi タイプ 80 180 210 250 285 310

OS 別

iOS 80 120 130 140 145 150

Android 他 25 170 220 270 315 350

出典:株式会社富士キメラ総研 2011 スマートフォンビジネス総調査(2011 年)

図 3-1 国内シェア(2010 年度実績に基づくシェア)

出典:(株)富士キメラ総研:2012 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望

表 3-5 (参考)PC(デスクトップ・ノート)の国内出荷台数予測(単位:万台) 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度

(実績) (実績) (予測) (予測) (予測) (予測) PC 1,432 1,496 1,530 1,505 1,494 1,502 出典:ICT 総研 2012 年度 スマートデバイス需要動向調査(2012 年)

アップルジャパン76.2%

シャープ8.6%

サムスン電子5.7%

その他9.5%

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(4) 製品特性

<調査項目>

レアメタル・有用金属の含有状況(含有されている金属・部品・含有量)

有害物質・取扱いが困難な部品等の含有状況

<調査結果のまとめ>

○1kg以下のパソコン

有用金属の含有状況について定量的なデータはないが、HDD未搭載であること、質量が

小さいことから一台当たりの資源価値は低いとの指摘あり。

RoHS 指令に準拠しており、鉛等の規制対象物質の含有は基準値以下。リチウムイオン

バッテリを内蔵している。

○タブレット端末

HDD未搭載であること、質量が小さいことから一台当たりの資源価値は低いとの指摘あ

り。1製品の含有量分析データに基づく資源価値は 200円/kg(160円/台)。

RoHS 指令に準拠しており、鉛等の規制対象物質の含有は基準値以下。リチウムイオン

バッテリを内蔵している。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

レアメタル・有用

金属の含有状況

(含有されてい

る金属・部品・含

有量)

・レアメタル・有用金属の含有状況はデータなし ・開示可能な定量データなし。 (定性情報)

・ 1kg 以下のパソコン及びタブレット共にHDD未搭載により、通常

のノート/デスクトップPC等に比べ、ネオジム・ジスプロシウム

等の含有量が大幅に少ないことが想定され、装置質量自体も小さい

ことから、1台当たりの資源価値は相当程度低いと考える。

・ 1kg を超えるパソコンと、1kg 以下のハードディスクなど装備するパ

ソコンでは、ユニット類の構造などが変わりません。従って、1kg

を超えるパソコンとレアメタルの含有物質は変わらない。 有害物質・取扱い

が困難な部品等

の含有状況

・ 有害物質は含有していない。(J-MOSS を遵守)

・ 開示可能な定量データなし (定性情報)

・ 1kg 以下のパソコン及びタブレットは、RoHS 指令に準拠。

・ リチウムイオンバッテリの内蔵。

・ 有害物質は各国法規等を顧慮して決定した社内規定に準拠すべく、

含有していない。

・ 筐体にマグネシウム合金が使用されているものがあり、リサイクル

時に微細なマグネシウム合金片に起因する爆発、火災の危険性あり。 回答業界団体 JETIA

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67

②タブレット型端末

レアメタル・有用

金属の含有状況

(含有されてい

る金属・部品・含

有量)

・ レアメタル・有用金属の含有状

況はデータなし。 ・開示可能な定量データなし。 (定性情報)

・ 1kg 以下のパソコン及びタブレ

ット共にHDD未搭載により、

通常のノート/デスクトップP

C等に比べ、ネオジム・ジスプ

ロシウム等の含有量が大幅に少

ないことが想定され、装置質量

自体も小さいことから、1台当

たりの資源価値は相当程度低い

と考える。

・ 1kg を超えるパソコンと、ハー

ドディスクなど装備するユニッ

ト類の構造などが変わりませ

ん。従って、1kg を超えるパソ

コンとレアメタルの含有状況は

変わらない。

不明

有害物質・取扱い

が困難な部品等

の含有状況

・有害物質は含有しておりません。

(J-MOSS を遵守) ・開示可能な定量データなし (定性情報)

・ 1kg 以下のパソコン及びタブレ

ットは、RoHS 指令に準拠。

・ リチウムイオンバッテリの内

蔵。

・ 有害物質は各国法規等を顧慮し

て決定した社内規定に準拠すべ

く、含有していない。

・ 筐体にマグネシウム合金が使用

されているものがあり、リサイ

クル時に微細なマグネシウム合

金片に起因する爆発、火災の危

険性あり。

特に顕在化していない。

回答業界団体 JETIA CIAJ・TCA

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【JEITA】

タブレット型端末の素材構成データは以下のとおり。サンプルによってばらつきがあるが、

ノートブック型パソコンに比べると、有価となる素材の重量比は低い傾向にある。

図 3-2 タブレット型端末の素材構成

No. 計 プリント基板 非鉄 鉄系 ケーブル類 ユニット類 プラスチック 液晶 二次電池 本体重量 (単位:g)1 993 79.1 73.9 21.4 10.6 16.6 218.7 362.5 210.2 9932 728 104 101 6 14 0 146 75 282 7283 506 75 0 30 23 0 147 99 132 5064 598 25.5 37.26 5.24 5 5 153 235 132 5985 372 27.6 2 53 0 0 91 116.4 82 372

TAB平均 639.4 62.24 42.832 23.128 10.52 4.32 151.14 177.58 167.64 639.4NB平均 2050 260 330 130 60 110 390 470 300 2050

有 価

タブレット端末の素材構成

0 500 1000 1500 2000 2500

1

2

3

4

5

TAB平均

NB平均

プリント基板

非鉄

鉄系

ケーブル類

ユニット類

プラスチック

液晶

二次電池

有価物

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69

【文献調査】

タブレット端末の資源性を下表に示す。以下の素材構成及び基板の含有量を分析した結果

に基づき推計(基板、鉄、銅、アルミを評価対象)した結果であり、タブレット型 PC 以

外は、「小型電気電子機器リサイクル制度の在り方について(第一次答申)平成24年1月

31日中央環境審議会」を参照した。単純な比較は難しいが、PC(デスクトップ型)と同

程度の資源性を有することが分かる。

表 3-6 タブレット端末の素材構成

出典:経済産業省:レアメタルリサイクル実態調査(平成 24 年 3 月)

表 3-7 タブレット端末の資源性 円/台 円/kg

タブレット型端末 159 206

PC(ノートブック型) 1,757 721

PC(デスクトップ型) 3,160 263

モニター(電子計算機用) 274 51

注)資源価格は 2011 年 3 月時点の価格 タブレット型端末は上記素材構成分析に供したサンプルの平均重量(約 770g)に基づき 1 台当たりの金額

を算出。他の品目についても分析サンプルの平均重量に基づき算出

基板 6.59%

鉄 6.73%

アルミニウム 13.11%

銅 0.00%

その他金属 18.66%

プラスチック 18.45%

液晶 17.22%

その他 19.24%

合計 100%

リチウム 0.0036% コバルト 0.0051% ニッケル 1.5% パラジウム 0.0018% ネオジム 0.012% ジスプロシウム 0.014% タンタル 0.0005% タングステン 0.018% プラチナ <0.0001%

アルミニウム 1.7%

鉄 0.78%

銅 47%

銀 0.14%

金 0.068%

鉛 0.010%

※あるメーカーのタブレットの素材構成及び基板の含有量を分析した結果

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70

(5) 製造事業者等による自主回収・再資源化の実態

<調査項目>

製造事業者等による 1kg以下のパソコン(タブレット型端末を除く)の回収・再資源化

実態(回収量、回収方法(消費者・事業者等から回収してリサイクル施設まで運搬する

方法)、再資源化実績)

製造事業者等によるタブレット型端末の回収・再資源化実態(回収量、回収方法、

再資源化実績)

<調査結果のまとめ>

○1kg以下のパソコン

回収台数は年間 1,000 台程度(2011年度のノートパソコン回収台数 19万台の約 0.5%、

重量比では 0.13%)。

現在、全てのパソコンメーカーがノートパソコンとして回収しリサイクル。

2011年度で、再資源化処理量は 0.79t、資源再利用量 0.46tと推計。

○タブレット端末

通信キャリア契約のある端末は、モバイル・リサイクル・ネットワークとして店頭で回

収を実施。再資源化実績は、携帯電話端末と一括して処理。

通信キャリア契約のない端末は、「ノートパソコンとして回収」「回収しない旨を明記」

「回収するかについての情報提供なし」など、メーカーによって対応が分かれている。

なお、製造事業者等による自主回収・再資源化の実態と国内シェアを重ね合わせると、

2010 年度出荷ベースでは、約 76%が製造事業者等(アップルジャパン)により、回収

の対象となっていることとなる。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

【PC3R】 1kg以下のパソコンの回収量

対象期間 回収量 会社数 2011年度 1,058 台 10 社

2012年4月~12月 894 台 11 社 回収量はパソコンリサイクル推進協会会員会社に対しアンケート調査を行い、得られ

た回答の合計値。各社が型名等から把握できた機種の数値で、全ての対象機種の実績

が把握できているわけではない。 調査会社数:全会員52社のうち、グループ会員*を1社とカウントし、実質45社

• パソコンリサイクル推進協会では親子会社間で製造と販売が分離している場合に

は、双方をグループ会員としている。 回答会社数:27社

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<内訳> ①販売・回収実績あり:11社 (2011年度は10社) ②販売実績あり・回収実績なし:4社 (2011年度は5社) ③販売・回収実績なし:11社 ④回収実績は提供できないとの回答:1社 ⑤未回答:18社 (未回答会社にはモニターのみの会員、事業撤退済みの会員などが含まれる。)

1kg以下のパソコンの回収方法 1kg以下であっても、全てのパソコンは同一の回収方法で回収されている。事業系お

よび家庭系の回収フローの概要は下図の通り。 なお、1kg以下のパソコンは、管理上、ノートパソコンに含まれている。

梱包方法などは、1kg以下も他のパソコンと同一であり、家庭系ではビニル袋などに

よる簡易梱包が必要となる。

再資源化実績 1kg以下のパソコンは、ノートパソコンとして処理されているが、2011年度(平

成23年度)のノートパソコンの再資源化実績は下表のとおり。 再資源化処理量 資源再利用量 資源再利用率

家庭系 347.4t 186.3t 53.6%

事業系 248.7t 161.5t 64.9%

合計 596.1t 347.8t 58.3%

• 再資源化処理量及び資源再利用量は再資源化プラントに搬入後、処理および再利

用された重量であり、資源再利用率は再資源化処理量における資源再利用量の比

率を表している。 上記「1kg以下のパソコンの回収量」から、1kg以下のパソコンの平均重量を0.

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75kgと仮定し、資源再利用率はノートパソコン全体と同一とすれば、1kg以下の

パソコンの2011年度(平成23年度)再資源化実績は下記と推定される。(なお、

回収量には家庭系、事業系の双方を含むため、全体としての実績とした。) 再資源化処理量 資源再利用量 資源再利用率

合計実績 0.79t 0.46t 58.3%

• ノートパソコン全体における 1kg以下のパソコンの構成比:0.13%

【文献調査】 表 3-8 1kg 以下のパソコンのリサイクルに関する取扱い(例)

メーカー 型名 重量 パソコンリサイク

ルに関する取扱い OS

通信機能

等 NEC LaVieZ LZ750/JS 約

875g ウェブサイトにて

回収対象と記載

Windows 8 Wi-Fi 、

Bluetooth LaVieZ LZ550/JS 約

890g ソニー VAIOTypeG

VGN-G1LBN 約

898g PC リサイクルマー

クあり(ウェブサイ

トにて確認)

Windows Vista Business

Wi-Fi 、

Bluetooth VAIOTypeG

VGN-G1KBNA ・

G1KBN

992g

東芝 dynabookRX2/T9G 約

858g PC リサイクルマー

クあり(ウェブサイ

トにて確認)

Windows Vista Business

Wi-Fi

dynabookRX2/T9GG 約

933g Windows Vista Business

Wi-Fi 、

KDDI CDMA

オンキョ

DP315 約

440g PC リサイクルマー

クあり(ウェブサイ

トにて確認)

Windows 7 LAN

マウスコ

ンピュー

ター

LB-X210S 約

960g PC リサイクルマー

クあり(ウェブサイ

トにて確認)

Windows 8 Wi-Fi 、

Bluetooth

Lenovo 1kg 以下のパソコンなし(現在のメーカーウェブサイトを確認) デル

日本 HP

出典:各社ウェブサイト等

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73

②タブレット型端末

タブレット端末等については、ノートパソコンに位置付けパソコン回収スキームを活用し

て回収されている製品や、通信事業者による携帯電話等の回収スキームを活用して回収され

ている製品が混在。

【JETIA】

データなし

【TCA・CIAJ】

モバイル・リサイクル・ネットワークとして店頭で回収。 再資源化実績は、携帯電話端末と一括して処理している。

【文献調査】 製造事業者等による自主回収・再資源化の実態と国内シェアを重ね合わせると、2010 年度

出荷ベースでは、約 76%が製造事業者等(アップルジャパン)により、回収の対象となっ

ていることとなる。

図 3-3 国内シェア(2010 年度実績に基づくシェア)

出典:(株)富士キメラ総研:2012 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望

アップルジャパン76.2%

シャープ8.6%

サムスン電子5.7%

その他9.5%

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【文献調査】 表 タブレット端末等のリサイクルに関する取扱い(例)

メーカー等 主な製品 リサイクルに関する取扱い OS 通信キャリア契約 通信機能等

アップル iPad ノートパソコンとして回収

iOS WiFi モデル:不要 WiFi+3G:要

Wi-Fi:Wi-Fi 等 Wi-Fi+Cellular : GSM/EDGE 、

UMTS/HSPA+/DC-HSDPA、LTE 等 Google ASUS

Nexus7 PC リサイクル用シールが付属 Android 4.0 不要 Wi-Fi、NFC(Android ビーム)等

ソニー Xperia Tablet 記載なし 簡易マニュアルにモバイル・リサイク

ル・ネットワークのマーク貼付

Android 3.1 Android 3.2

WiFi モデル:不要 WiFi+3G:要

Wi-Fi 等 3G(NTT ドコモ):UMTS/ HSPA/ HSPA+ 、 GPRS / EGPRS 、

StandaloneGPS / AssistedGPS

シャープ GALAPAGOS

記載なし 取扱説明書にて、モバイル・リサイク

ル・ネットワークの回収リサイクルを案

Android 3.2 WiMAX 内蔵モデル:要 WiFi モデル:不要 モバイル WiMAX 本体内蔵

Wi-Fi 等

東芝 REGZA Tablet 「本製品は PC リサイクル対象製品には

該当しません。」との記載あり。

Android 4.0 不要 Wi-Fi 等

富士通 ARROWS Tab 記載なし Windows 8 Android 3.2

不要 Wi-Fi 等

日本エイサ

ー ICONIA W7

記載なし

Windows 8 不要 Wi-Fi 等

Lenovo ideal Tablet 記載なし

Android 4.0 不要 Wi-Fi 等

アマゾン Kindle 記載なし - 不要 無料 3G 接続+Wi-Fi 接続

楽天 kobo 記載なし

- 不要

Wi-Fi

出典:各社ウェブサイト等

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◎Apple 社ウェブサイトにおける iPadのリサイクルの説明

出典:アップル社ウェブサイト

工場出荷時の設定に戻す方法を説明したページにリンク

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◎Google 社・ASUS社 Nexus7に同封されていた PCリサイクルマーク

出典:製品同封資料

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(6) リサイクル技術

<調査項目>

1kg以下のパソコン(タブレット型端末を除く)の解体・リサイクルフロー(リサイク

ルの各工程と産物)

タブレット型端末の解体・リサイクルフロー(リサイクルの各工程と産物)

※ 加えて、上記解体・リサイクルフローについて、1kg以下のパソコンやタブレット

型端末特有のオペレーション、技術、留意すべき事項

<調査結果のまとめ案>

1kg以下のパソコンについては、薄型ノートパソコンの中でも解体性の観点から技術的

な難易度が高く、結果として工数増となるものが多いとの指摘あり。

タブレット型端末(通信契約あり)については、携帯電話等と同じような扱いと考えら

れるとの指摘あり。

一方、タブレット型端末(通信契約なし)については、業界団体からの情報は得られな

かったが、独立系の再資源化業者によると現状では取り扱いはなく、現在の技術で十分

に対応可能と想定との指摘あり。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

【PC3R】

a.部品の識別が難しく、解体技術の難度が高い。 ノートパソコンの場合の記憶媒体はHDDのみであるが、薄型ノートパソコンの場合に

は、記憶媒体方式がSSD5のみの 1wayタイプとSSDとHDD併用の 2wayタイプがある。 しかし、外見上は 1way タイプか 2way タイプかを判別することはできず、また、SSD

記憶媒体は裸ではメモリーと判別がつかないため、解体時において、SSD 記憶媒体を

見落とす懸念がある。見落とした場合には情報漏洩の恐れがあるため、解体時にも製

品技術が要求され、技術的な難度が上がる。 b.専用の工具等が必要となり、解体しにくい。 薄型ノートパソコンの場合には、ノートパソコンに比べて、全体的にねじが小さいの

で、通常の電動ドライバーがそのままでは使えず、専用のビットに交換するなどの作

業が発生する。 ノートパソコンの場合はマザーボードにCPUがソケット式で搭載されており、取り

外しが容易であるが、薄型ノートパソコンの場合は、CPUがマザーボードに半田に

よる直付けになっており、またフラットポイントの裏面に基板が接着されているため、

解体には専用の工具が必要となる。 c.マグネシウム合金筐体の解体にも手解体が必要となる。 ノートパソコンの場合は筐体の材料はプラスチックが主流であるが、薄型ノートパソ

コンの場合には、薄く軽量で丈夫にするため、筐体の材料はマグネシウム合金が主流

5 Solid State Drive の略称。記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置。

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となりつつある。 マグネシウム合金は、リサイクルは可能であるが、微細なマグネシウム合金片に起因

する爆発、火災の危険があるため、マグネシウム合金単体で破砕したり、プラスチッ

ク等との混合物を破砕してから分別するという工程には不向きで、ベテランの作業者

による手解体が必要となる。

1 ㎏以下のパソコンは、薄型ノートパソコンの中でも特に上記の解体性の問題が強く表れ、

工数増となるだけでなく、1台あたりの資源価値も低くなる。現在、ノートパソコンの再

資源化費(委託費)は 1kg 以下も含め一律になっているが、薄型ノートパソコン、とりわ

け 1 ㎏以下のパソコンの回収台数が増えてきた場合には、委託費の高騰に繋がる懸念があ

る。

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図 3-4 1kg 以下の使用済パソコンの一般的な再資源化処理フロー

<1kg以下の使用済パソコンの一般的な再資源化処理フロー>注)再資源化処理フローは、通常のノートブックパソコンと差異はない。

アルミ原料

1kg以下の使用済パソコン

手解体・手分別

プラスチック(筺体等)

ユニット類

(キーボード、マウス等)

機械破砕

機械選別

アルミ

廃プラスチック

中間処理業者

分別・分解

ニカド電池

ニッ ケル水素電池

リチウムイオン電池

焙焼

カドミウム

ニッケル原料

コバルト原料

金属原料

二次電池処理業者

プラスチック プラスチック原料

埋立処分

埋立処分

焙焼 水銀

焙焼汚泥

蛍光管処理業者

凝縮

リサイクル業者 最終処分業者

: 再生品(有価物) : 廃棄物

金属

(筐体等)

二次処理業者

ケーブル類

プリント板

埋立処分

アルミ原料

鉄原料

銅原料

銅・貴金属原料

二次電池

蛍光管

液晶パネル等

処理委託

処理委託

処理委託

処理委託

売却

売却

売却

売却

売却

(非鉄回収業者)

(アルミ回収業者)

(製鉄事業者)

(プラスチック再生業者)

(非鉄回収業者)

廃棄物処理業者

機械:焼却 残差

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②タブレット型端末(通信契約あり)

【CIAJ】

携帯電話等と同じような扱いと考えており、特段のコメント無し。 ③タブレット型端末(通信契約なし)

【再資源化業者(独立系)へのヒアリング調査】

現状では取扱いなし。現在の技術で十分対応は可能と想定。

図 3-5 携帯電話のリサイクルフロー(有価金属回収システム(一例))

出典:(社)電気通信事業者協会(TCA)資料(産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会第 16 回)

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(7) 回収・リサイクルコスト

<調査項目>

回収コスト

リサイクルコスト(資源売却収入分を差し引いた金額)

その他コスト(回収コスト、リサイクルコスト以外に必要なコストがあれば)

※ 上記の回収・リサイクルコストの定量的なご記入が難しい場合は、デスクト

ップ PC・ノートブック PC もしくは、携帯電話・スマートフォンと比較して

頂き、定性的に整理。

<調査結果のまとめ案>

1kg以下のパソコンの回収・リサイクルコストは 3,768円/台との推計結果あり。

通常のノートパソコンと同程度の水準。

タブレット型端末(通信契約あり)については、現時点では他の携帯端末と比較

したコスト差は顕在化していないとの指摘あり。

一方、タブレット型端末(通信契約なし)については、業界団体からの情報は得

られなかったが、独立系の再資源化業者によると現状では取り扱いはなく、コス

ト差は不明とのことであった。

<調査結果の詳細>

①1kg以下のパソコン

【PC3R】

ノートパソコンの回収・リサイクルコスト 2008 年 9 月調査によれば、ノートパソコン 1 台当たりの回収リサイクルコスト

は下表のとおり。 5 年ほど前のデータではあるが、基本的には現在も同様の構造と考えられる。

表 3-9 ノートパソコンの 1 台当たりコスト (単位:円)

物流関連費 再資源化費 社内管理運営

費 その他費用 合計

¥1,019 ¥529 ¥1,962 ¥358 ¥3,868 26% 14% 51% 9% 100%

(平均料金単価:¥3,000 との差額 : ¥868)

(注 1)パソコン3R推進センター(当時)理事会社9社*に対し 2008.9 に実施した調査の平均値 *ソニー㈱、パナソニック㈱、シャープ㈱、セイコーエプソン㈱、レノボ・ジャパン㈱、

㈱日立製作所、NECパーソナルプロダクツ㈱(当時)、 ㈱東芝、富士通㈱ (注2)調査対象期間*中の発生費用と回収台数から1台当りの費用を算出した。

なお、金額には消費税を含んでいない。 *調査対象期間は、平成19年度もしくは平成20年度第1四半期(又は4~8月)

(注3)費用分類の詳細は下記の通り。 (1)物流関連費:ゆうパック輸送費、物流倉庫検品費、プラント搬入費、ゆうパック伝票発送費、

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(2)再資源化費:中間処理プラントに支払う再資源化処理費 (3)社内管理運営費:直接部門人件費、その他人件費、システム運用・保守費、通信費、他 (4)その他費用:パソコン3R推進センター年会費、R&D費、料金回収委託費、他

1kg以下のパソコンの回収・リサイクルコストの推計

1kg以下のパソコンということでの回収・リサイクルコストを調査したことは

なく、上記のノートパソコンのコストから推計する。 (1)物流関連費

• PCリサイクルで使用している「ゆうパック」では、輸送距離と重量により

料金が定まる。 • 重量ランクで見ると、ノートパソコンの平均重量が入る”2~4kg”と、

1kg以下のパソコンが入る”2kg以下”では¥100 の差がある。 (2)再資源化費

• 中間処理プラントへの業務委託費は、ノートパソコンとして決められており、

1kg以下であることで委託費に差が生じてはいない。1kg以下を独立し

た項目として委託した場合は前述のリサイクル技術で記載した特有のオペ

レーション等によるコストアップが予想される。 (3)社内管理運営費

• 1kg以下であるか否かを問わず、1台当たりにかかる社内管理運営費は同

一である。 (4)その他費用

• 社内管理運営費と同様、1kg以下であるか否かを問わず、1台当たりにか

かる費用は同一である。 上記から1kg以下のパソコンの回収・リサイクルコストは、下記と推定される。

表 3-10 1kg 以下のパソコンの 1 台当たりコスト推計(単位:円)

物流関連費 再資源化費 社内管理運営

費 その他費用 合計

¥919 ¥529 ¥1,962 ¥358 ¥3,768 24% 14% 52% 10% 100%

②タブレット型端末

【TCA・CIAJ】 現時点では他の携帯端末と比較したコスト差は顕在化していない。

【再資源化業者(独立系)へのヒアリング調査】 現状では取扱いなし(コスト差は不明)。

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3.2 タブレット型端末の定義に関する基礎情報の整理

資源有効利用促進法において引用する品目等との区分整理を視野に入れつつ、タブレット

型端末の定義に関する情報を収集・整理した。 タブレット型端末は板状である機器の形状を有した可搬型の情報端末を総称した表現で

あり、パーソナルコンピュータに属する端末、携帯電話と同様に電気通信事業者と通信回線

契約を伴う端末、ネットワークに接続することで多目的に利用可能な端末、電子書籍等の特

定用途で利用される専用端末など、多岐にわたる製品が存在する。 新製品が多く開発、販売されるなど、市場形成の過渡期にあるため、明確な定義は難しい

が、日本標準商品分類(平成2年策定)でみると、国内メーカーが製造、販売するタブレッ

ト型端末の多くは、ネットワークや通信装置を介して、パソコンやサーバーに接続し、デー

タの読み込み、共有等を図ることを前提とした可搬型端末であり、日本標準商品分類におけ

るはん(汎)用端末装置(52151)に属する製品として製造、販売されている。一方、

パーソナルコンピュータ(5212)や、携帯電話が該当する移動局通信装置(5422)

に属する製品として販売されているタブレット型端末も存在している。 消費者の視点でみると、電気通信事業者と通信回線契約を伴うもの、電子書籍端末などの

用途を特定したもの以外は、分類を区別することは難しいと考えられる。

表 3-11 日本標準商品分類(平成 2年策定)においてタブレット型端末に

関連が深いと考えられる分類の定義

大分類 定義 タブレット型

端末の該当可

能性

5 情報・通信機器

52 電子計算機及び関連装置

5212 パーソナルコンピュータ マイクロプロセッサを基本

とした、事務用、科学技術

用、計測制御用、教育およ

び趣味用など多目的に利用

される卓上型程度の大きさ

までの個人向け小型電子計

算機

5215 端末装置 電子計算機の中央処理装置

から離れたところに設置さ

れ、また可搬され、入力・

出力を主に行う装置であ

り、業務を特定しないはん

(汎)用端末装置と、特定

業務に使用する専用端末装

置がある

52151 はん(汎)用端末装置 ○

52152 専用端末装置

54 通信装置及び関連装置

5422 移動局通信装置 移動物体に搭載し、移動体

相互の通信もしくは固定局

との通信を行う装置

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84

なお、「資源の有効な利用の促進に関する法律に基づくパーソナルコンピュータの3R推

進のための方策について(平成 12 年 12 月)」において、パーソナルコンピュータは、下記

のとおり定義されている。 『日本標準商品分類において「パーソナルコンピュータ」と分類されるものであって、B

ASIC、COBOL、PASCAL等の高級言語が使用でき、ユーザーが自力でプログ

ラミングでき、かつ基本ソフトウェアの交換が可能であるもの』

パーソナルコンピュータの定義は、資源有効利用促進法の制定時に、当時の業界団体(日

本電子工業振興協会:JEIDA)の自主統計の定義を準用したものであり、現状の実態に合わ

せた見直しも必要ではないかとの意見があった。 仮にタブレット型端末を資源有効利用促進法における「パーソナルコンピュータ」に位置

づける場合、上記の定義のまま適用できるかは検討が必要と考えられる。具体的には、高級

言語の使用や、ユーザーによるプログラミングが、基本的な用途として想定しないことや、

基本ソフトウェアの交換については、現状の OS のバージョンアップとなることに留意する

必要があると考えられる。

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85

3.3 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルの必要性・可能性

等に関する検討

ここでは、1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末について、既に取り組まれてい

る回収・リサイクルの取り組みを推進しつつ、さらなる回収・リサイクルを促進すべく、リ

サイクルに係る技術的・経済的・政策的な必要性等の観点から検討を行い、回収・リサイク

ルの可能性について整理した。

(1) 現状・課題の整理と回収・リサイクルの必要性

1)市場

パソコン及びタブレット型端末について、国内の出荷台数シェアをとりまとめた結果は次

表のとおりであり、パソコンの出荷台数がほぼ横ばいで推移することが予測されているのに

対し、タブレット型端末は 2015 年度には 500~800 万台程度と、パソコンの出荷台数の 1/3~1/2 程度の水準に達するとの予測がなされている。

タブレット型端末のうち、通信回線契約を伴うもの(次表の 3G タイプ)については、タ

ブレット型端末全体の出荷量の 4 割程度で推移すると見られている。 また、タブレット型端末のメーカー別国内シェアの推移は次図に示すとおりであり、米ア

ップルと台湾 ASUS(エイスース)の 2 社で全体の 8 割強を占めている。

表 3-12 パソコンとタブレット型端末の国内出荷台数予測(単位:万台) 出

典 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 (実績) (実績/予測) (予測) (予測) (予測) (予測)

パソコン(デスク

トップ、ノート) 1

1,432 1,496 1,530 1,505 1,494 1,502

タブレット型端末 1 89 276 427 569 667 795 タブレット型端末 2 105 290 350 410 460 500

3G タイプ 2 25 110 140 160 175 190

Wi-Fi タイプ 2 80 180 210 250 285 310

出典:1)ICT 総研 2012 年度 スマートデバイス需要動向調査(2012 年)※2011 年度は実績 2)株式会社富士キメラ総研 2011 スマートフォンビジネス総調査(2011 年)※2011 年度は予測

図 3-6 国内タブレット市場のシェア

出典:2013/1/17 付日本経済新聞 朝刊(BCN 調べ)

Page 90: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

86

2) 制度

1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末に対するリサイクルを求める制度は、現段階で

はないが、平成25年度には小型家電リサイクル制度の施行が予定されており、本制度の対

象品目にいずれも位置づけられている。ただし、これらの機器については、個人情報漏洩防

止措置が図られた場合に限り回収対象となることとされている。 また、1kg以下のパソコン及びタブレット型端末には、小形二次電池が使用されている

が、資源有効利用促進法に該当する場合は、電池メーカーに対しては二次電池の回収・リサ

イクルが、電池使用機器メーカーに対しては二次電池の回収及び電池製造メーカーへの引き

渡しが求められる。

3) 回収・リサイクル実態

a. 1kg 以下のパソコン

1kg 以下のパソコンについては、メーカーにおける自主的取組として、パソコン(1kg超)の回収・リサイクルスキームを活用した回収・リサイクルが提供されている。

回収台数はノートパソコン全体の回収数に占める割合の 0.5%程度と少ない。加えて、従

来型の 1kg 以下のパソコンの製品開発は行わなくなったメーカーもあり、今後、大幅な排出

増加は見込まれないと考えられる。

b. タブレット型端末

通信回線契約を伴い、電気通信事業者で販売されるタブレット型端末については、メーカ

ーにおいてリサイクルスキームが提供されているものを除き、電気通信事業者の販売店等で

回収・リサイクルのスキームが提供されている。 通信回線契約を伴わない端末については、メーカーにおける対応に違いが見られる。外資

系メーカーの一部では、自主的な取組として、パソコンと同様にタブレット型端末について

も、パソコンの回収・リサイクルスキームを活用したリサイクルが提供されている。一方、

国内メーカーを含む他のメーカーでは、回収・リサイクルスキームを提供しておらず、自治

体における廃棄物処理に任せている状況にある。なお、現在のマーケットシェアで見れば、

上記外資系メーカーのシェアが大きいことから、タブレット型端末全体のうち 80%超の端

末について、回収・リサイクルスキームが提供されていると考えられる。

4)回収・リサイクルを促進する上での課題

○経済性 軽量、コンパクトな構造のタブレット型端末は含有資源が限られるため、パソコンで構築

している従来のパソコン(1kg 超)の回収・リサイクルスキームで取り扱うことは経済性に

欠ける。 米 Apple、台湾 ASUS といった、製品にブランド力のある外資系メーカーでは、自主的な

取組として、パソコン(1kg 超)の回収・リサイクルスキームによる回収・リサイクルを提

供しているが、国内シェアの小さな国内メーカーにとっては、製品価格へのリサイクル費用

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の転嫁による競争力の低下も懸念される(なお、電気・電子業界にとって、タブレット端末

は数少ない成長分野と見られている点にも留意が必要)。 ○リサイクル技術

1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末については、リサイクルを実施する上での課

題・留意点として、以下に掲げる事項が指摘されている。 製品の軽量化を図りつつ、強度を確保するため、マグネシウム合金が使用されている

製品も存在するが、マグネシウム合金は再資源化工程において爆発、発火等に留意す

る必要があり、手分解、選別が必要となる。 手分解の作業では、従来のパソコンと比して、小さいネジが使用されていることから、

工具の交換等が必要となり、工数が増加する。 記憶デバイスに使用されている SSD の解体時の部品識別が困難であり、個人情報保

護措置に注意が必要となる。 二次電池にリチウムイオンポリマー電池が使用される製品では、消費者によって電池

が取り外せない構造となっているため、リサイクル事業者による電池の取り外しが必

要となるが、リチウムイオンポリマー電池は構造的に柔らかく、無理に取り外した場

合には運送時における安全性を損なう恐れもある。 現状では、タブレット型端末を取り扱うリサイクル事業者は少ないことから、上記のよう

なリサイクルにおける配慮事項が十分に認知されていない可能性もあり、これらの安全性、

効率性に配慮したリサイクルに係る情報を関係者間で共有することが重要と考えられる。 ○排出者(消費者)への配慮 タブレット型端末は、“タブレット”という形状を表している用語であるが、日本標準商

品分類における『パーソナルコンピュータ』、『汎用端末装置』、『移動局通信装置』など、機

能面等からの定義は定まっておらず製品の位置づけが曖昧な状況にある。加えて、現段階で

は製品市場が成熟段階にはなく、今後も新たな製品形態が出現する可能性もあることから、

排出者である消費者にとってのわかりやすさに十分に配慮する必要がある。 また、個人情報を扱う製品のリサイクルでは個人情報漏洩を懸念して退蔵する利用者も存

在することから、タブレット型端末におけるデータ消去方法や情報についても、消費者に判

りやすく提供することが必要と考えられる。

5)現状・課題に関するとりまとめと回収・リサイクルの必要性

上記の現状・課題を踏まえ、1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末について、回収・

リサイクルに係る技術的・経済的・政策的な必要性等の観点から整理した結果は以下に示す

とおりである。 1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末については、技術的・経済的な観点から回収・

リサイクルに課題はあるものの、1kg 超のパソコンと同様に高度な再資源化が求められる

製品であること、消費者にとってのわかりやすさへの配慮等から、回収・リサイクルを促進

すべきであると考えられる。

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表 3-13 1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末の回収・リサイクルに関する 現状・課題のまとめ

必要性検討の観点 1kg 以下の パソコン

タブレット型端末 (通信契約なし)

タブレット型端末 (通信契約あり)

技術的・経済的な観点

その再資源化を行

う技術が存在し、こ

れを利用すること

が可能なこと

リサイクル技術 ■解体の難易度が

高く、工数増とな

るものが多い。

■現状では取扱い

なし。現在の技術

で十分対応は可能

との意見あり。

■携帯電話等と同

じような扱いと考

えられる。

事業者により自主

回収・再資源化の費

用を一定程度賄え

ることなど自主回

収・再資源化の体制

の整備が経済的に

可能な製品である

こと

回収・リサイク

ルコスト ■3,768 円/台との

推計結果あり。通

常のノートパソコ

ンと同程度の水

準。

■現状では取扱い

なし。 ■含有資源が限ら

れるため、資源有

効利用促進法の回

収スキームで扱う

のは経済性に欠け

る。

■現時点では他の

携帯端末と比較し

たコスト差は顕在

化していない。

製品の資源価値 ■一台当たりの資源価値は低いとの指摘あり。

政策的な観点

事業者による自主

的な回収・再資源化

の取組だけでは十

分な効果が上がら

ない製品であるこ

現行の制度的な

措置 ■資源有効利用促進法 指定再資源化製品の対象外。 ■平成25年4月から施行される小型家電リサイクル法の対

象。ただし、個人情報漏洩防止措置が図られた場合に限り

回収対象となるため、回収しない市町村が存在する可能性

あり。 製造事業者等に

よる自主回収・

再資源化の実態

■回収台数はノー

ト PC 回収数の

0.5%程度。 ■現状はメーカー

が PC として自主

的に回収・リサイ

クル。

■自主的に回収して

いるケースと回収し

ないケースがあり、

メーカーにより対応

は異なる。 ■自主的に回収し

ているメーカーは

PCの回収ルートを

活用。

■電気通信事業者

等が店頭で自主的

に回収・リサイク

ル。

今後の排出台数

増加の可能性 ■現在メーカーに

よる開発はほとん

ど行われていない

ため、将来的な増

加可能性は低い。

■開発は増加傾向にある。 ■2011 年で 270~290 万台程度(通信

契約あり:約 100 万台、なし:約 200万台)の国内出荷実績が、2015 年では

500~800 万台程度(通信契約あり:約

200 万台、なし:約 300 万台)となる

と見込まれている。 消費者の排出の

しやすさ・わか

りやすさ

■メーカーによる

回収・リサイクル

が提供されてお

り、1kg 以下である

ことを意識する必

要はない。

■市場形成段階にあるため製品の区分

が曖昧であり、消費者にとって排出先

がわかりにくい。 ■個人情報漏洩を懸念して退蔵する利

用者も存在。

高度な再資源化が

必要であるため、市

町村による再資源

化が困難な製品で

あること

使用済製品の有

害性等の懸念 ■メーカーでは欧州 RoHS 指令に基づく有害物質の使用制

限に対応済み。 ■リチウムイオン電池を内蔵しているが、消費者が自ら取

り外すことを想定した設計とはなっていない。 リサイクル時の

安全性等への配

慮の必要性

■マグネシウム合金は爆発、発火等に留意。 ■SSDは部品の識別が困難なため個人情報保護措置への配

慮が必要。リチウムイオンポリマー電池取り外し時の安全

性への配慮が必要。

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(2) 回収・リサイクルの可能性検討

制度、回収・リサイクル実態、リサイクルを促進する上での課題を踏まえ、回収・リサ

イクルの可能性について整理した結果は以下のとおり。

表 3-14 1kg 以下のパソコン・タブレット型端末の回収・リサイクル可能性に関する整理

1kg以下の PC

タブレット型端末

(通信契約なし)

タブレット型端末

(通信契約あり)

①PC リサイクルル

ート(PC メーカー

回収ルート)

現状

◎資源有効利用促進法対

象外であるが、メーカーが

自主的に回収

△一部の外資系メーカー

が自主的に回収

×未対応

可能性

■個体管理となること、選

別に工数がかかることか

ら、回収・リサイクルコス

トが高い

■メーカーブランドで販

売されているため、消費者

の排出先としてはある程

度分かりやすい

■個体管理となること、選

別に工数がかかることか

ら、回収・リサイクルコス

トが高い

②モバイル・リサ

イクル・ネットワ

ーク(MRN)ルート

現状

- ×未対応 ◎電気通信事業者等が自

主的に回収

可能性

■現状の回収・リサイクル

ルートで技術的には対応

可能

■通信事業者との接点が

ないため、消費者の排出先

としては分かりにくいの

ではないか(通信契約の有

無によらずほぼ同じ形状

であるため、逆に分かりや

すいという見方もある)

■将来的に量が増えた場

合に対応可能か

■通信事業者ブランドで

販売していること、回線契

約/解約の手続きの際に通

信事業者との接点がある

こと等から、消費者の排出

先としてある程度分かり

やすいのではないか

③小型家電リサイ

クル法ルート 現状

- - -

可能性

■制度上の対象品目ではあるが、回収するかは自治体・認定事業者次第。自治体は個人

情報への対応が必要となるため、回収しない自治体が存在する可能性あり

■回収を実施する地域では有力な受け皿となる可能性あり(特に、個人情報へ

の配慮の観点からは対面回収を行う量販店等)

■認定事業者が全てを回収対象とした場合、3 つの製品を区別する必要がない

点は消費者にとってわかりやすいが、既存回収ルートとの共存により混乱を招

く可能性あり

↓ ↓ ↓

総括 ■メーカーの自主回収

(①)で対応できている

■量的に少ないため、小型

家電リサイクル法(③)と

の共存にも大きな問題は

ないと考えられる

■小型家電リサイクル法

(③)の回収ルートのみで

十分か(回収が行われない

地域が存在する可能性あ

り)

■電気通信事業者等の自

主回収(②)により対応済

み。ただし、将来的に量が

増えた場合に対応できる

かは要検討

■小型家電リサイクル法

(③)との共存により混乱

が生じる可能性はないか 注)現状欄は、◎:回収スキームあり、△:一部事業者が回収、×:回収スキームなし

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90

4. 使用済パソコンの回収量拡大とレアメタル等のリサイクルの効率化に向け

た方策の検討

<今後の方向性>

使用済パソコンの回収・リサイクルは、これまで資源有効利用促進法に基づく、メーカ

ーによる回収・リサイクルルートを促進してきたところであるが、中古品買取・販売事

業者等の中には、確実なデータ消去及びリユース・リサイクルを実施する事業者も存在

する。また、本年 4 月 1 日から小型家電リサイクル法が施行され、個人情報保護に対す

る取組を前提に自治体や小売業者等が使用済パソコンの回収を開始することが予想さ

れる。

これらを踏まえ、メーカーによる回収・リサイクルルートのみならず、今後は複数存在

する適正なルートが相俟って、日本全体で適正な回収・リサイクルを進めていくことが

望ましいと考えられる。ただし、拡大生産者責任という観点から、使用済パソコンの回

収・リサイクルにあたっては、今後も資源有効利用促進法に基づく、メーカーによる回

収・リサイクルルートを第一と考えることとする。 以上の今後の方向性を念頭に、本年度実施した調査から得られた検討課題等を踏まえ、使

用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた方策について以下の 4 つ

の観点から検討した。 1.消費者の適正排出の促進 2.使用済パソコンのフローの適正化 3.1kg 以下のパソコン及びタブレット型端末の回収促進 4.使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率化

図 4-1 使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率化に向けた

方策検討の観点

家庭系

事業系

ユーザー (資源有効利用促進法スキーム)

製造事業者等

(その他)・レンタルリース会社

・販社ディーラー・廃棄物処理業者・中古買取業者

・小売店・不用品回収業者

・市町村 等

国内リサイクル

国内リユース

海外流出

最終処分

? ?

退蔵

タブレット型端末

4.使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクル

の効率化

2.使用済パソコンのフローの適正化

1.消費者の適正排出の促進

3.1kg以下のパソコン及びタブレット型端末の回収促進

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4.1 消費者の適正排出の促進に向けた方策

(1) 調査結果(1 章参照)に基づく現状・課題の整理

消費者のパソコンの排出・退蔵等に関する実態調査結果(1 章参照)によると、消費者

から排出される家庭系使用済パソコンについては、比較的新しい製品は、有価で小売

店・中古品販売業者へ売却される、あるいは C to C リユースされている状況。

一方、古い製品は、不用品回収業者への引渡の割合が高く(2~3 割程度)、その他、メー

カーによる回収・リサイクル(1~2 割程度)、自治体による回収(1割未満)というル

ートに流れている。

消費者調査からは、メーカーによる回収・リサイクルルートの認知度が低いことに加え、

認知度を高めるための方法として、定常的な広報普及啓発の工夫に加えて、買い替え時

の情報提供が有効であることが示唆された。

消費者調査では、メーカーによる回収・リサイクルルートに関する長所として「安心し

て任せられる」「信頼できる」という意見が多く挙げられていた。一方で、短所として

「手間がかかる」「面倒」といった意見が多く見られた。

また、消費者調査では、パソコンの処分方法の選択において最も重視される点はコスト

面であり、排出時に何らかのインセンティブ付与を望む意見が多く見られた。

図 4-2 家庭系使用済パソコンの排出に関する現状と課題

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

逆有償で取引されるもののフロー

*1 CtoCリユース:事業者等を介さずに行われるリユース

市町村

メーカー

不用品回収業者

C to Cリユース*1

小売店・中古品

販売業者

約1~2割

約2~3割

約2割

約2~3割

①メーカーによる回収・リサイクルルートの認知度が低い。

→定常的な広報普及啓発の工夫に加えて、買い替え時の情報提供が有効ではないか

家庭

②メーカーによる回収・リサイクルルートの「安心感」「信頼性」が評価される一方で、「手間」「面倒」を不満点に挙げる意見が多い。

→使い勝手を向上させ、排出者の手間を軽減させるような改善策が有効ではないか

③パソコンの排出に対してインセンティブがない。

→排出へのインセンティブ付与が有効ではないか

Page 96: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

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(2) 方策(案)と今後の方向性

①メーカールートの理解促進に向けた普及啓発の実施

メーカーによる回収・リサイクルルートの理解・普及を促進するための方策(案)

として、以下に示す「広報媒体等の工夫」及び「新製品購入時の情報提供」が

考えられる。

表 4-1 制度内容も含めた理解促進に向けた普及啓発の実施に関する方策(案) 普及啓発方法 方策(案)

広報媒体等の工夫 ・パソコン 3R 推進協会やメーカーウェブサイトの見直し ・パソコンの使用者に身近な SNS サービス等の活用 ・メーカーへユーザー登録している利用者のメールマガジン等

の活用 ・定期的な再資源化施設の見学会の開催 ・パソコンの回収・リサイクルに関する政府広報の実施

新製品購入時の情

報提供

・新製品の広告の中にメーカールートのパソコン回収・リサイ

クルの広報(簡潔な説明や PC リサイクルマークの表示等) ・製品中にパンフレットを同封 ・小売店 6と連携して、小売店内にポスター等を貼付

<今後の方向性>

以上のような方策(案)が考えられるところ、広報媒体等の工夫として、特に

ウェブサイトの見直しについては、現状のパソコン 3R 推進協会ウェブサイト

は構造が複雑かつ階層が深いため、消費者が必要とする排出方法や、個人情報

保護にも配慮した再資源化処理内容に関する情報が容易に分からない構造と

なっていることから、消費者が必要とする情報に容易にアクセスできるような

サイト構造を検討すべきである。

また、SNS サービス等の活用については、パソコン利用者にユーザーが多い

と見込まれる Facebook や Twitter 等を活用して、様々なコミュニティに情報発

信を行うことで、比較的低コストで効果的な情報発信が期待されるため、積極

的な検討を進めるべきである。

なお、国には、政府広報により、パソコンの回収・リサイクルを定期的に広報す

ることや小型家電リサイクル制度の普及啓発に併せた資源有効利用促進法に基

づくパソコンのメーカーリサイクル制度の広報等の実施が望まれるところ。メー

カーによる回収・リサイクルスキームの改善や広報・情報提供方法の工夫と合わ

6 2013 年 4 月以降、小型家電リサイクル法の施行後は、小売店が小型家電リサイクル法に基づきパソコン

回収を行う場合が考えられる。このため小売店での広報普及啓発にあたっては、資源有効利用促進法ルー

トと小型家電リサイクル法ルートの 2 つのルートの存在等、消費者の混乱を招かないような配慮が必要と

なる。

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93

せて実施することで、回収量拡大の効果が見込まれる。

新製品購入時の情報提供については、新製品の広告の中で、メーカールートの

パソコン回収・リサイクルに割けるスペースは限られ、また、製品中にパンフ

レットを同封することは、パソコンがグローバル商品であり、ペーパーレス化

の方向にあることから日本向けに特別にパンフレットの同封を行うことは難

しい。他方、取扱説明書におけるパソコンリサイクルの記載内容を分かりやす

く見直すことや目立たせるなどの工夫の余地があり、新製品購入時の情報提供

として効果が期待される。

②メーカールートの使い勝手の向上(手間の軽減)

メーカールートの使い勝手を向上し、排出者の手間を軽減するための方策(案)

としては、「データ消去」「梱包」「手続き」「郵送」の各ポイントにおいて以下

の方策(案)が考えられる。

表 4-2 メーカールートの使い勝手の向上に関する方策(案) ポイント 方策(案)

データの消去 ・データ消去なしで排出しても高い安全性があることを積極的

に訴求 7する ・データ消去ソフトのホームページからのダウンロード以外の

配布方法等を検討する 梱包 ・メーカーがあらかじめ梱包資材を準備する 手続き

・受付窓口の全メーカー一元化 ・エコゆうパック伝票を郵便局や小売店等にて配布

郵送 ・郵便局以外の回収窓口として、PC リサイクルにおける再資源

化施設への消費者の直接持込を可能とする。

<今後の方向性>

以上のように、方策(案)が考えられるが、データの消去に掲げた方策(案)

のうち「データ消去ソフトの配布」については、機器毎に対応する消去ソフト

のバージョンが異なっているケースもあり、コストと効果を比較すると、ダウ

ンロードによる配布が適切である。

また、「データの消去なしでの排出の積極的な訴求」については、メーカール

ートの個人情報漏洩防止策に関する理解を排出者に促すような取組を行うこ

とが効果的かつ対応可能な方策であると考えられる。これは、メーカールート

7 調査では、メーカーの回収ルートの長所として情報管理に対する安心感が多数挙げられていたことから、

情報管理体制の訴求やデータ消去してからの排出を不要とする等の取組による更なる安心感の醸成により、

回収量の拡大が期待される。

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94

の個人情報漏洩防止策に関する理解促進によって、利用者の安心感の醸成や退

蔵品対策への効果が期待される。

他方、梱包資材の提供については、排出時にパソコンの機種名や大きさの確認

が必要となり、排出までの時間を更に増大させる結果にもなりかねないため、

必ずしも手間の軽減につながらない可能性が高い。

「受付窓口の全メーカー一元化」については、PC リサイクルマークのついて

いない製品が一定程度存在する現状では、メーカー毎に回収料金の振込等の手

続きが必要となるなどの課題もあるが、手間の軽減とともに排出方法が分かり

やすくなるなどの効果が期待されることから、リサイクルスキームの広報・情

報提供と合わせて検討を進めていくことが望ましい。

なお、「エコゆうぱっく伝票の配布」は、これを利用してどのようなものをど

こへでも送付することが可能となるなど管理が難しい。また、郵便局以外の回

収窓口として、「PC リサイクルにおける再資源化施設への消費者の直接持込を

可能とすること」に対しては、再資源化施設は持ち込みやすい立地にはなく、

使い勝手の向上にはなりにくいところ、例えば、郵便局に回収ボックスを設置

するなどの方法も考えられ、このように回収窓口に多様化については、コスト

ベネフィットを踏まえながら、更に検討を進めることが必要である。

③使用済みパソコンの排出へのインセンティブ付与

使用済パソコンの排出へのインセンティブを付与するための方策(案)として

は以下が考えられる。

表 4-3 使用済みパソコンの排出へのインセンティブ付与に関する方策(案)

方策(案) メリット(○)とデメリット(▲) a)デポジット制度の導入 • パソコンの製品価格に一定

金額の「デポジット(預託

金)」を上乗せして販売し、

パソコンが使用済みとなっ

た際に、決められたルート

に排出することでデポジッ

トが返却される制度。 • デポジット制度では、購入

時の負担とならず、排出時

のインセンティブとなるよ

うな適切な金額の設定が重

要となる。

○決められたルートに排出することで、デポジットが払

い戻されるため、当該ルートに排出することを促す効

果が期待。 ▲デポジットを安全に管理するためにシステムの構築が

必要。資源価値によってデポジット制度のシステム構

築や運用コストを賄うことは困難なため、製造事業者

等に新たな負担を強いることになる。 ▲製造事業者や輸入業者が倒産又は撤退した場合に、消

費者が購入の際に既に支払ったデポジットが製造事業

者等に「取り逃げ」される可能性がある。 ▲既に販売された市中品については、個体管理されてい

ないためにデポジットを徴収することができず、市中

品のためにこれまでの既存のシステムも併せて運用す

る必要がある。 ▲預託金として上乗せする額が多くなれば、購入時に消

費者に受け入れられなくなり、少なければその効果は

薄くなる。特にパソコンのように様々な製品、価格が

併存する中では、均一に預託金というものを設定する

ことが困難である。

Page 99: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

95

方策(案) メリット(○)とデメリット(▲) b)ポイント制度 • 決められたルートにパソコ

ンを排出した場合に、ポイ

ントを付与する制度。 • パソコン回収のための新た

なポイント制度を構築する

場合と、既存ポイント制度

(メーカーの直販ルートの

ポイントや販売店のポイン

ト等)を活用する場合の 2パターンが考えられる。

○決められたルートに排出することで、ポイントが付与

されるため、当該ルートに排出することを促す効果が

期待。 ○ポイント制度によるユーザーの囲い込みが期待され

る。 ▲ポイント原資の確保が必要であり、製造事業者等に新

たな負担を強いることになる。 ▲新たにシステムを構築する場合、システム構築や運用

コストが必要となり、製造事業者等に新たな負担を強

いることになる。 ▲パソコンは耐久消費財であり、頻繁に排出する類の製

品ではないため、ポイントの付与による効果が限定的

である可能性あり。 c)キャンペーン期間における粗

品提供等 • キャンペーン期間中に決め

られたルートにパソコンを

排出した場合に、粗品等を

提供。

○決められたルートに排出することで、粗品等が提供さ

れるため、当該ルートに排出することを促す効果が期

待される。また、限定的なキャンペーンを実施するこ

とで消費者の排出意欲を高め、排出を促すことが期待

される。 ○1)、2)に比べ、大がかりなシステム構築等の必要が

ない。 ▲粗品等の原資の確保が必要であり、製造事業者等に新

たな負担を強いることになる。 ▲粗品提供がどの程度排出促進となるかの効果は疑問。

<今後の方向性>

以上のようにパソコン回収のためのインセンティブの付与方策(案)が考えら

れるが、メリット・デメリットなどを踏まえれば、インセンティブの付与によ

りパソコン回収量は増加するが、インセンティブ原資の確保や円滑なシステム

構築などのコスト増加と比較すると、インセンティブを付与することで回収量

を拡大することが健全な国民経済の発展につながるとは必ずしも言えない。

そのため、拡大生産者責任を踏まえ、パソコンの回収量を拡大するためには、

先ずは、パソコン利用者に対して、メーカーによる回収・リサイクルの取組や、

個人情報保護にも配慮した再資源化等を含めた普及啓発を通じた、メーカール

ートへの排出の動機付けを行うことが必要であり、メーカールートの不断の改

善とメーカールートの普及啓発に向けた創意工夫のなかで、継続的なキャンペ

ーンなどの取組を実施していくことが必要である。

4.2 使用済パソコンのフローを適正化するための方策

(1) 調査結果(2 章参照)に基づく現状・課題の整理

使用済パソコンの排出フローに関する実態調査(2 章参照)によると、家庭系使用

済パソコンについては、比較的新しい製品は、有価で小売店・中古品販売業者へ売

却される、あるいは C to C リユースされている状況。一方、古い製品は、不用品

Page 100: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

96

回収業者への引渡の割合が高い(2~3 割程度)。

事業系使用済パソコンについては、製品リユース可能な製品に加え、製品リユースでき

ないパソコンであっても資源としての価値があり、有価で取引されている場合があるこ

とから、中古品買取・販売業者へ売却されるパソコンが多い。

中古品買取・販売事業者では、RITEA 認定事業者を中心に、確実なデータ消去及びリ

ユース・リサイクルが実施されている。一方、古い製品や壊れている製品が、輸出業者

等に安値で売却されることもあり、留意が必要である。このような状況を踏まえれば、

中古品買取・販売業者等に適切な引渡(不適切な海外リユースや不適切なスクラップ輸

出を行わない)への協力を促すことが効果的と考えられる。

不用品回収業者には一般廃棄物処理業の許可なく逆有償で(ユーザーが費用を支払って)

パソコンを引き取っているケースがあること、また、引き取った使用済パソコンは主に

輸出業者・海外バイヤーに引き渡されることから、廃棄物処理法遵守の観点から取締を

強化していくことが必要と考えられる。

海外への輸出については、製品としての輸出と資源としての輸出があり、いずれも適正

な輸出が行われている一方で、一部偽装リユースや現地での不適正処分などの可能性も

指摘されている。バーゼル法・廃棄物処理法に基づく輸出の適正化が求められる。

図 4-3 使用済パソコンのフローの現状と課題

輸出業者・海外バイヤー

最終処分

国内製錬所等

海外スクラップ

海外リユース

中古品買取・販売業者

再資源化処理業者・廃棄物処理業者

逆有償で取引されるもののフロー

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

事業所

メーカー

販社ディーラ

リース・レンタル会社

【資源】

【資源】

【PC】【PC】

【資源・一部PC】

【PC】

約3~4割

約1~2割

約1~2割

約2~3割

市町村

不用品回収業者

C to Cリユース

小売店・中古品

販売業者

家庭

*1

*1

約1~2割

約2割

約2~3割

約2~3割

1割未満

RITEA認定事業者

メーカー委託事業者

小電法認定事業者

①適正なルートが評価されていない。また、不適正な輸出業者に引き渡されることで不適正な輸出に繋がることが懸念。

→適正なルートの確認・評価等の実施

②違法回収や不適正な輸出が行われている事例が存在。

→違法回収や不適正な輸出の取締強化等

Page 101: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

97

(2) 方策(案)と今後の方向性

①適正なルートの確認・評価等の実施

適切に引渡を行う業者等の確認・評価等の実施に関する方策(案)としては以

下が考えられる。

表 4-4 適正なルートの確認・評価等の実施に関する方策(案) 方策(案) 具体的内容

a)使用済パソコンの適

正ルートの定点観

測による評価等の

実施

• 使用済パソコンのフローの適正化にあたっては、メーカーによ

る回収・リサイクルルートに加えて、適正な引渡や処理につい

ても国が報告を受けるなどによってそれを確認することがで

きるルートについては、適正なルートであることを評価してい

くことが有効と考えられる。 • また、本年 4 月 1 日から小型家電リサイクル法が施行され、個

人情報保護に対する取組を前提に自治体や小売業者等が使用

済パソコンの回収を開始することが予想される。 • したがって、これまでのメーカールートの実績把握に加えて、

小型家電リサイクル法ルート、その他の適正ルートを合わせた

適正ルート全体の回収量や取組水準等を把握し、その取組の進

捗を国が定期的に確認・評価していくことが必要と考えられ

る。

<適正ルートの回収量等把握のイメージ>

b)適正ルートへの引

渡を行う業者等へ

の奨励策等の実施

• 使用済パソコンの排出からその引取・引渡・リユース・リサイ

クルを担う一連の業者等(適正ルートへの引渡を行う排出者、

中古品買取・販売業者、適正な処理を行う再資源化業者、廃棄

物処理業者)を国等が表彰するなど、取組促進のための奨励策

を検討することが考えられる。 • また、再資源化業者・廃棄物処理業者においても、RITEA 認

定再資源化事業者及びその他の産業廃棄物処理業者が資源有

効利用促進法の基準を満足した取組を行っている場合もあり、

併せて奨励策を検討することが考えられる。

その他適正ルート

メーカールート

小電法認定事業者

ルート使用済パソコン

排出

⇒メーカーによる再資源化実績等の報告により回収量を把握

⇒認定事業者による再資源化事業の実施の状況の報告により回収量を把握

⇒RITEA認定事業者による再資源化等の実績報告により回収量を把握

⇒その他の事業者については国が報告を受ける等により、確認・評価し、回収実績を把握

適正ルート

Page 102: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

98

②違法回収や不適正な輸出の取締強化等の海外流出の防止に向けた方策

違法回収や不適正な輸出の取締強化等の海外流出の防止に向けた方策(案)と

しては、以下が考えられる。

表 4-5 違法回収や不適正な輸出の取締強化等の海外流出の防止に向けた方策

方策(案) 具体的内容 a)違法回収業者への対策の強化 • 一般廃棄物処理業の許可なく、逆有償で(ユー

ザーが費用を支払って)パソコンを引き取って

いる不用品回収業者も存在するため、不用品回

収業者への対策を強化。(環境省と連携して実

施)。 • さらには、不用品回収業者を違法と認識してい

ないユーザーもいるため、取締と併せて、ユー

ザーへの広報普及も重要と考えられる。 b)不適正な輸出の取締強化 • 海外への製品・スクラップの輸出については、

バーゼル法や廃棄物処理法による違法業者の

取締等の水際対策について運用の適正化によ

り、不適切な輸出を防止することが必要。(環

境省と連携して実施) • 環境省による検討会にて、使用済み電気・電子

機器の輸出時における中古品判断基準案、)基

板等のバーゼル法の該当性の判断を分析によ

り確認することとされている場合における分

析手法(サンプリング方法等)等が検討されて

いる。

Page 103: 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル …平成24 年度経済産業省委託調査 平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタル

99

(3) 適正なルートによる日本全体の回収率について

1)適正なルートの回収量の把握 (2)において、日本全体としての適切な回収ルートについて検討した。その中で、

そのほか事業者が適切にリサイクルしているかについては、報告を受けることなど

により継続的に適切な再資源化を実施しているか捕捉していくことが必要である

が、ここでは、メーカーによる再資源化、小型家電リサイクル法認定事業者による

再資源化、RITEA 認定事業者による再資源化、その他事業者による適切な再資源

化を適切な回収ルートとみなして、日本全体の回収量について検討した。

表 4-6 適正なルートの回収量のイメージ(単位はトンまたは台) 事業者数 回収量

リサイクル

仕向量 リユース 仕向量

適切にリサ

イクルされ

ている回収

ルート

メーカーによる再

資源化 ●● 社 ▲▲ ■■ ◆◆

小電法認定事業者

による再資源化 ●● 社 ▲▲ ■■ ◆◆

RITEA 認定事業者

による再資源化 ●● 社 ▲▲ ■■ ◆◆

その他事業者によ

る適切な再資源化 ●● 社 ▲▲ ■■ ◆◆

合計 ●● 社 ▲▲ ■■ ◆◆ 2)適正なルートの回収率の把握 1)にて把握した適正なルートの回収量÷排出台数により回収率を把握。 排出台数については、以下のいずれかの手法を用いて推定。

製品寿命と出荷台数から推定 保有製品の使用年数データ(残存率)から推定 使用済製品の使用年数データから推定

なお、排出台数の推定に関しては、大規模アンケート調査の実施など調査コストを

かければ調査精度を向上可能であるが、費用対効果を踏まえ、適切な推計方法や更

新頻度を検討する。 3)使用済みパソコンの排出フローの全体像の把握 消費者・事業所に対するアンケート調査を行い、家庭または事業所からの引取・引

渡実態を調査。 1)~2)及び上記実態査結果から使用済みパソコンの排出フローを作成。 なお、2)と同様に、フロー把握の費用対効果を考慮し、適切な更新頻度等を検討

する。

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100

図 4-4 適正なルートの把握方法 8

8 フローの数値は、経済産業省:平成 23 年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタルリサイクル実態調査)

報告書(平成 24 年 3 月)に示された使用済みパソコンのフロー図及び本調査で実施した事業者ヒアリング

等を基に推計。

輸出業者・海外バイヤー約650万台

最終処分80万台

国内製錬所等

海外スクラップ

海外リユース

中古品買取・販売業者

約750万台

再資源化処理業者・廃棄物処理業者

約400万台

逆有償で取引されるもののフロー

有償で取引されるもののフロー

無償で取引されるもののフロー

事業所約1000万台

メーカー約90万台

販社ディーラ

約200万台

リース・レンタル会社約500万台

【資源】

【資源】

【PC】

【PC】

【資源・一部PC】

約3~4割

約1~2割

約1~2割

約2~3割

市町村約50万台

不用品回収業者

約130万台

C to Cリユース

約150万台

小売店・中古品

販売業者

約150万台

家庭約500万台

*1

*1

約1~2割

約2割

約2~3割

約2~3割

1割未満

その他の事業者

メーカー委託事業者

90万台

小電法認定事業者

:適正ルート

RITEA認定事業者

290万台

1)適正なルートの回収量の把握 メーカーによる再資源化実績等の報告 認定事業者による再資源化事業の実施の状況の報告 RITEA認定事業者による再資源化実績等の報告 その他事業者による再資源化実績等の報告

によって適正ルートの回収量をリユース・リサイクルに分けて把握

3)排出フローの全体像の把握

消費者・事業所に対するアンケート調査を行い、家庭または事業所からの引取・引渡実態を調査

2)適正なルートの回収率の把握回収量÷排出台数より回収率を算出。排出台数は以下のいずれかの手法を用いて推計。 製品寿命と出荷台数から推定 保有製品の使用年数データ(残存率)から推定 使用済製品の使用年数データから推定

※調査コストをかければ調査精度を向上可能であるが、費用対効果を踏まえ、推計方法を検討

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101

上記を踏まえた現時点で得られているデータに基づく適正なルートの回収量・回収率の

試算イメージを以下に示す。 1)適正なルートの回収量の把握 現時点における適正ルート別の回収量の把握イメージは下表の通り。

表 4-7 適正なルートの回収量の把握イメージ 回収量

リサイクル 仕向量

リユース 仕向量

メーカーによる再資源化実績等

の報告 90 万台 80 万台 10 万台

認定事業者による再資源化事業

の実施の状況の報告 - - -

RITEA 認定事業者による再資源

化実績等の報告 ※1 290 万台 40 万台 250 万台

その他事業者による再資源化実

績等の報告 ※2 α万台 α万台 -

合計 380+α万台 120+α万台 260 万台 ※1 平成 23 年度 RITEA 認定事業者回収実績。 ※2 その他事業者による回収量は再資源化処理業者・廃棄物処理業者が引き取った量

(約 400 万台)の内数としてαと記載。全てリサイクル仕向量として計上してお

り最大約 400 万台。 2)適正なルートの回収率の把握 <使用済みパソコンの排出台数を分母とした試算> メーカールートの回収量(90 万台)及び消費者・事業所の引渡先比率から推計し

た使用済みパソコンの排出台数は約 1,500 万台。これより、現状のメーカールート

の回収率は、6%(=90 万台÷1,500 万台)となる。 これに表 4-7 にて示した回収量を把握し、加えると、適正なルートの回収率は以下

の通りとなる。 回収率 :約 25+α1%(=(380+α万台)÷1,500 万台) リサイクル仕向率 :約 8+α2%(=(120+α万台)÷1,500 万台) リユース仕向率 :約 17%(=260 万台÷1,500 万台)

※リユースには C to C リユースは含まれていない。 <使用済みパソコンの排出台数からリユース分を除いた台数を分母とした試算> 使用済みパソコンの排出台数からリユース分(国内・海外)を控除した量は約 850

万台。 これを分母と考えると、適正なルートの回収率は以下の通りとなる。

回収率(リサイクル仕向率):約 14+α3%(=(120+α万台)÷850 万台)

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102

4.3 1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収促進に向けた方策

(1) 調査結果(3 章参照)に基づく現状・課題の整理

1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末の回収・リサイクルに関する実態調査(3

章参照)によると、1kg 以下のパソコン並びにタブレット型端末については、技術的・

経済的な観点から回収・リサイクルに課題はあるものの、1kg 超のパソコンと同様に高

度な再資源化が求められる製品であること、消費者にとってのわかりやすさへの配慮等

から、回収・リサイクルを促進していくべきであると考えられる。

また、タブレット型端末については、新しい製品であり、「パソコン」「汎用端末装置」

「移動局通信装置」といった複数の製品領域にまたがる特性・機能を有していることか

ら、製品の定義が十分になされていない状況にある。また、現在も製品の市場形成段階

にあることから、今後の市場や製品形態等が変化することも大いに想定される点に留意

が必要である。

なお、タブレット型端末については、今後も市場拡大が見込まれており、それに伴い排

出量も増加することが想定される。このため、使用済みとなったタブレット型端末の回

収ルートの構築が重要となる。

(2) 方策(案)と今後の方向性

①1kg以下のパソコンへの対応

現在、メーカーにおける自主的取組として、パソコン(1kg 超)の回収・リサ

イクルスキームを活用した回収・リサイクルが提供されているところ。今後、

大幅な排出増加は見込まれないことから、メーカーの自主回収を継続すること

とするが、今後状況が変化して必要が生じた場合は、制度的手当を検討するこ

とも考えられる。

②タブレット型端末(通信契約あり)への対応

通信回線契約を伴い、電気通信事業者で販売されるタブレット型端末について

は、メーカーにおいて自主的な回収・リサイクルスキームが提供されているも

のを除き、電気通信事業者の販売店等で携帯電話と同様の自主的な回収・リサ

イクルのスキーム(モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)等)が提

供されている。引き続き電気通信事業者の販売店等での回収を継続することで

十分対応可能と考えられる。

③タブレット型端末(通信契約なし)への対応

現在の国内シェアの大宗を占める外資系メーカーのタブレット型端末につい

ては、メーカーの自主的取組として、パソコン(1kg 超)の回収・リサイクル

スキームを活用した回収・リサイクルが提供されているところ。一方、国内メ

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103

ーカーの製品については、メーカーによる回収・リサイクルスキームは提供さ

れていない。

現状は製品の市場形成段階にあり今後の市場や製品形態等が変化する可能性

を有することを前提に、消費者へのわかりやすさ、リサイクルの安全性確保、

リサイクルの効率性向上に配慮しつつ回収・リサイクルを推進するための方策

として、以下の対応案が考えられる。

表 4-8 タブレット型端末(通信契約なし)への対応に関する方策(案) 方策(案) メリット(○)とデメリット(▲)

a) 資源有効利用促進法の指定再資源化

製品への指定(既に指定されているパ

ーソナルコンピュータの定義見直し、

もしくは、タブレット型端末を新たに

指定等)

○法に基づく確実な回収・リサイクルルート

が担保される。 ○消費者にとっては、メーカーが回収するこ

とに一定のわかりやすさあり。 ▲現状では量が少ないこと、1 台当たりの資

源価値が相対的に低いことから、個体管理

を前提とした回収・リサイクルは非効率。 ▲現状は製品の市場形成段階にあるため、法

制化することで、今後の市場や製品形態の

変化等に対する柔軟な対応がとりにくくな

る懸念あり。 b) 回収・リサイクルの効率化を図りつ

つ、メーカーによる自主回収 ○メーカーにとって、製品の形態や市場が流

動的な状況下でも比較的取り組みやすく、

柔軟な対応が可能。 ○消費者にとっては、メーカーが回収するこ

とに一定のわかりやすさあり。 ▲現状では量が少ないこと、1 台当たりの資

源価値が相対的に低いことから、個体管理

を前提とした場合は、回収・リサイクルは

非効率。 c) 小型家電リサイクル法回収・リサイク

ルスキーム ○他の小型家電と一緒に回収することで、効

率的な回収・リサイクルが実施できる可能

性あり。 ▲自治体は個人情報への対応が必要となるこ

とから、回収しない自治体が多い可能性あ

り(結果的に回収が行われない地域が存在

する可能性あり) ▲他のルートとの共存により消費者が混乱す

る懸念あり(ただし、周知の方法を工夫す

ることで軽減可能)。

上記の方策(案)のメリット・デメリットを踏まえれば、製品の市場形成段階で

あり今後の市場や製品形態等の変化が考えられることに配慮し、回収・リサイク

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104

ルの効率化を図りつつ、メーカーによる自主回収を行うことが可能と考えられる。

自主回収ルートとして、メーカーによる協働回収スキームの構築などの方法が考

えられるが、具体的に検討を行うこととする。今後は、低価格なタブレットでは、

国内シェアの大小によりリサイクルコストの負担が市場競争力にも影響を及ぼ

すことや個人情報漏洩防止 9などにも配慮しながら回収・リサイクルにかかるコ

ストを低減するための具体的な回収・リサイクル方法の検討を行うこととする。

検討状況については、産業構造審議会にてフォローアップを行うとともに、検

討に具体的な進展が見られない場合には、制度的手当の必要性を検討する。

9個人情報漏洩防止の方法としては、「製品毎の個体管理」や「データ消去ソフトの配布」を行うことが考

えられる。「製品毎の個体管理」のメリットとしては、個人情報漏洩防止やリサイクルの実施状況について

確実に管理することができる点等が挙げられ、デメリットとしては、個体管理のためのシステム等が必要

となる等のコスト面に加え、個体管理を行うために必要な情報を記入する等、消費者にも手間がかかる点

等が挙げられる。また、「データ消去ソフトの配布」については、先述のとおりダウンロードによる配布が

適切と考えられる。これらのメリット・デメリットを踏まえながら個人情報漏洩防止対策に関しても具体

的に検討を行うこととする。

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105

4.4 使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率性向上のための方策

(1) 現状と課題

使用済パソコンからのレアメタルリサイクルの取組は、基板や電池を対象に一

部既に実施されている。具体的には、使用済みパソコン中の基板は、非鉄製錬

事業者によって、貴金属やベースメタルに加え、Pd、Pt 等の一部のレアメタ

ルが回収されている。また、電池については、専門の電池リサイクル業者によ

って合金(特殊鋼原料や磁石原料等)としてリサイクルが行われている。

その他に、パソコンにおいて注視すべきレアメタルとしては、基板のタンタル

コンデンサ(Ta)、HDD のネオジム磁石(Nd、Dy)、リチウムイオン電池(Co)

がある。これらについては、レアメタルを含んだ使用済製品の回収量が(経済

性を有する水準まで)確保されていないこと、また、経済性に優れたリサイク

ル技術の開発が十分なされていないことから、現状ではリサイクルが進展して

いない。

(2) 対応の方向性(案)

今後、使用済パソコンにおけるレアメタルリサイクルの効率性向上への取組の

方向性は次図に示すとおりであり、レアメタル含有部品の取り外し(メーカー

による情報提供と易解体設計による取組促進)、他ルートと連携したレアメタ

ル含有部品の集約・集中処理、前処理・後処理技術の開発、リサイクル技術に

係る情報の共有等が重要と考えられる。

レアメタル含有部品の取り外しについては、メーカーによるレアメタル

含有部品やその取扱いに関するリサイクラーへの情報提供に加え、易解

体設計による含有部品の取り外しコストの低減を推進していくことが

期待される。

他ルートと連携したレアメタル含有部品の集約・集中処理については、

適正ルート全体での意識の共有の下、レアメタルを含有した部品を集

約・集中させることで、リサイクルの経済性に資することが期待される。

前処理・後処理技術の開発については、国等による支援の下、技術開発

ロードマップに沿って、産学官民連携して効果的に技術開発・実証を進

めていく必要がある。

リサイクル技術に係る情報の共有については、関係者間においてリサイ

クル技術の進捗等を共有しておくことで、レアメタル等のリサイクルの

効率性向上に向けた自発的な行動を促すことが期待される。

なお、適正ルート全体における回収量の増大を起点として、これらの一

連の流れに基づく回収・リサイクルの実証の場として、関係者の連携に

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106

よる「資源循環実証事業」を活用することが期待される。

以下、使用済パソコンからのレアメタル等のリサイクルの効率性向上に向けて、

関係者別に望まれる取組内容を示す。

排出者(消費者及び事業者):適正ルート(メーカールート、小型家電

リサイクル法認定事業者ルート、その他適正ルート)への排出

パソコンメーカー:レアメタル含有部品の取り外しに関する易解体設計

や中間処理業者(リサイクラー)への情報提供の促進、リサイクル技術

に係る情報の共有と他ルートと連携したレアメタル含有部品の集約・集

中処理の可能性検討 等

中間処理業者(リサイクラー):レアメタル含有部品の取り外しや他ル

ートと連携したレアメタル含有部品の集約・集中処理の検討、前処理技

術の開発、リサイクル技術に係る情報の共有 等

金属回収事業者等:後処理技術の開発や技術の更なる効率化の推進、リ

サイクル技術に係る情報の共有 等

他の回収ルートに関与する事業者:他ルートと連携したレアメタル含有

部品の集約・集中処理の可能性検討 等

国:技術開発・実証の支援、適正なルートの回収量の把握、各関係者に

おける取組内容の実態把握 等

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107

<使用済みパソコンからのレアメタル等リサイクルの現状>

<レアメタルリサイクル等の効率性向上への取組の方向性>

図 4-5 パソコンからのレアメタル回収の効率性向上の方向性

使用済パソコン

基板等

電池

鉄・アルミ・プラ・HDD等

中間処理 非鉄製錬Au、Ag、Cu、

Pd、Pt等回収

(PCリサイクル)

回収(その他リサイクル)

電池リサイクル業者

特殊鋼・磁石原料等

基板等

電池

鉄・アルミ・プラ・HDD等

中間処理 非鉄製錬Au、Ag、Cu、

Pd、Pt等

電池リサイクル業者

特殊鋼・磁石原料等

不用品回収

電池前処理

使用済パソコン

基板等

電池

鉄・アルミ・プラ等

中間処理 非鉄製錬Au、Ag、Cu、

Pd、Pt等回収

(PCリサイクル)

回収(小電リサイクル)

回収(その他リサイクル)

Co等

基板前処理

基板等

電池

鉄・アルミ・プラ等

中間処理

不用品回収

基板等

電池

鉄・アルミ・プラ等

中間処理

磁石合金原料(Nd、Dy)

電子素子(Taコンデンサ等)

Ta等抽出

HDD前処理

Ta等

HDD

HDD

HDD

Co等活物質

磁石濃縮物磁石合金原料回収

Co等抽出

前処理技術開発

前処理技術開発

他ルートと連携したレアメタル含有部品の集約・

集中処理

レアメタル含有部品の取り外し

後処理技術開発

技術の更なる効率化

技術の更なる効率化

⇒メーカーによる情報提供・易解体設計等による連携推進

関係者間での技術開発情報の共有

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参考資料

消費者に対するグループインタビュー調査結果

の詳細

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109

参考資料:消費者に対するグループインタビュー調査結果の詳細

調査項目毎の調査結果の詳細を以下に整理した。

(1) パソコンの処分方法について

「パソコンの処分状況」を聴取。 パソコンの処分方法は多岐に渡っており、「メーカーによる回収」以外に、「人に譲

った」「オークションで売った」「購入時に販売店で処分(下取り・引き取り)」「リ

サイクルショップ・不用品回収業者(巡回の軽トラ業者に渡す・回収業者へ持ち込

む)を利用」「分解して不燃物として自治体回収へ排出」等が挙がった。 <全体傾向> 全体を通じて、処分に先立ち「HDD の処理をどうするか」という話題が多く出てい

た。個人情報保護を目的として、自分で「HDD を取り出す・物理的に破損させる」

ことを実施している方がいる一方で、自分で出来ない方や処分の必要性を感じてい

なかった方もいた。 HDD だけ外して物理的破損後に燃えないゴミへ。 自作パソコンの旧タイプは、ばらして 10 年以上使用して更新したケースは、金

属として市のリサイクルの収集に出しています。マザーボード、HDD などはマ

ザーボードの収集業者に持ち込み、貴金属の回収用に買い取ってもらっていま

す。パソコンなどの収集に回っている業者は未登録で、行先についても明確な

返事がないので利用していません。 HDD のデータ消去はソフトで行っても完全ではないので物理的に壊して金属

類のゴミ回収に出してます。 HDD を捨てる際は、(生きてる場合は)データをバックアップして、出来る限

り破壊して破棄してました HDD 内のデータはフリーのデータ消去ツールを使って削除しておきます。

<各処分方法> [メーカーによる回収・リサイクル制度利用者]は、インターネットで自ら調べ、指

示に従って利用を進めていた。廃棄に迷って検索して知ったという「初心者」と、

PC リサイクル法や PC3R 推進協会の取組を理解した「上級者」がみられた。梱包

材準備の有無、集荷利用の有無、有償・無償はそれぞれであった。 PC のメーカーサイトで調べたところ、リサイクルマークのある PC は無料で回

収してもらえるとの事で、案内に沿って手続きをし郵便局から無料で回収セン

ターへ送り引き取ってもらいました。 リサイクルマークがついていない古いタイプだったため、指定の方法で料金を

振り込んで、パソコンを発送しました。段ボールが送られてきて、それに梱包

をして、自分で郵便局に持って行ったような覚えがあります。料金は 3000~4000 円ぐらいだった気がします。

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110

PC リサイクル法施行以前は、「パーツ単位でオークションに出品」「粗大ゴミ回

収(自治体)で処分」していました。PC リサイクル法が施行されてからは、

「PC3R 推進協会(メーカーが無くなったものや自作)・「製造メーカーの PCリサイクル」で処分しています。何らかの形で梱包しないといけないので、大

きめのエアクッションシートなどで一巻きしたり、大きなゴミ袋に入れる、な

どの措置が必要でした。 [購入時に販売店で処分した]ケースは、購入と廃棄がセットになっているのがポ

イントで、購入のついでに処分の手配も行っている。購入の交渉材料になるケース

や付帯サービスとして HDD 処理を依頼するケースがみられた。多くが無償だが、

一部下取りをしてもらった者もいた。 個人情報流出がこわかったので、新しく購入した家電量販店で見ている前でメモ

リを取り出して破砕してもらいました。メモリ以外の本体などは無償で引き取っ

てもらいました。 まだ使えるパソコンは、家電量販店で下取りをしていただきました。思った以上

のお小遣いになりました。 新しいパソコンを購入する条件で古いパソコンを買取るというものでした。確か

2~3 万くらいで買い取っていただいたような(もう忘れちゃいました)感じで

した。 [不用品回収業者の利用]は、購入と関係なく処分したい場合に多く利用されていた。

インターネット検索して探した業者、チラシ業者、街で見かけた店舗など、処分先は

様々であった。気長に巡回業者を待つケース、自分で運搬して持ち込む等のケースも

あった。意見から判断すると、こうした手間をあまり苦にしてはいなかった。 無料で引きとってくれる業者が車で回ってくるのを気長に待って、処分していま

した。 今までに 6 台のノート PC を同じ業者さんに無料で引き取ってもらっています。

自宅から車で 1 時間ほどの場所なので、私はいつも持ち込んでいます。 早く処分したいときや持ち運びが面倒な物は馴染みの軽トラ業者さんに取りに

来てもらいます。

[人に譲った]では、身近な「家族や友人に無償で譲った」ケースが多い。 1台は実家の親に譲った、もう1台はPC初心者の入門用に差し上げた。 購入してから時間が経ってない PC の場合は、今まで通り、家族や知人に配布か、

業者へ販売という方法。 廃棄する時は、友人に譲る。

[オークションで売った]ケースでは、同じ人物が 2 度 3 度とリピート利用する傾

向がみられた。 3年前に一体型デスクトップを、2年ほど前に B5 ノートを処分しました。どち

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らもオークションに出品し、落札されました。 3 回目のノートパソコン処分もオークションでした。この時はソフトもいろいろ

「おまけ」として付けたこともあり、思ったより高く売れました。 欲しい人にあげるか、オークションに出すかどちらかにしようと思います。廃棄

は最終手段と考えています。

[分解処分]をしていた方が少なからずいた。分解後は、「不燃物として自治体回収

へ排出」「一部部品としてリサイクルショップに売却」といった経緯をたどる。PCに通じた改造ユーザー・自作ユーザーでこうした処分がみられた。 処分するのは本体と言うよりはパーツ単位になります。 ノートは分解処分しました。基本的には故障した部分を交換修理したりして使い

まわしてますので、あまり処分はしないですね。

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(2) パソコンの処分方法の選択理由

「パソコンの処分方法の選択理由」を聴取。 前述したように、パソコンの廃棄は選択肢が多いため、いろんな条件が絡み合い最

終手段が決定されるが、大きな要素となっているのが、廃棄パソコンの状態(リユ

ース可能性、古さ)と廃棄時のコスト(有償・無償・逆有償)であった。 <全体傾向> 全体的な傾向として、最初に意識されることは、【リユースの可能性・売却の可能性

(そのまま使えるものか、壊れているのか、部品利用が可能か)】であった。そのま

ま使えるもの、さほど古くないものであれば、「売る」「人に譲る」がまず検討される。 続いて処分の検討となる。ここでは、【コスト】【手間】【安心感】がポイントとなっ

ているようであった。 【コスト】は「廃棄コストのかからないこと」が条件であり、もしくは「かかっても

より安価であること」が求められる。 【手間】の中には、複数の要素が入っている。具体的な内容としては「処分先や手段

の情報収集や検討の手間」「HDD 処理等、下準備の手間」「梱包・運搬の手間」が多

くみられた。 【安心感】は大きく「HDD 処理の確かさ」「回収後に適正にリサイクルされるという

信頼性」という 2 つの視点があった。 何といっても、手間と費用のバランスです。処分に当たっては、「1 できれば

売却益を得たい」⇒「2 それが適わないなら無料で譲っても良い」⇒「3 そ

れも無理なら可能な限り安い費用で処分したい」。HD 内の個人情報の処理を済

ませれば、あとは1から3の段階で検討します。 上記の 3 つのポイントのうち、【コスト】が最も大きな重視ポイントになっており、

「お金を払わずに処分すること」への関心は高い。 “捨てる”のだから手数料を払うのは惜しい。ということで、無料という点にはこ

だわりました。 そもそもは、有料で処分することにばかばかしさを感じてます。

【安心感】と【手間】は、個人個人で重視度が異なる。【安心感】のうち、「HDD 処

理の確かさ」を処分先に求めているのは、自分で処理できない方(したことがない方)。

自己処理できる層はこの点を考慮に入れていない。また「適正にリサイクルされる」

も気にはしつつも、補足的要素で処理先の決定要因にしている人は一部であった。 【手間】は【コスト】とのバランスによる要素で、無料で処分できる方法を探す手間に

ついては度外視されている。手間がかかっても、無料であればそれを選択する実態がみ

られた。 <各処分方法の選択理由> [メーカーによる回収]の選択理由としては、【無料】【安全・安心】【法やリサイク

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ルに則っているため適正】等が挙げられた。法に則っている安心感もあってか、あま

り悩まず選択しているケースが多い。特に、パソコンの処分方法に関する知識に自信

がないユーザーがインターネット検索で知り、選択しているケースが見られた。 パソコンを処分したのは数回です。処分に関するほとんど知識がなかったのでメ

ーカーに無料で回収していただきました。 パソコンの知識が乏しく、適切な処分の方法が分からなかったのでインターネッ

トで処分方法について調べました。そこで、メーカーさんでのリサイクルをして

いることを知り、そのままお願いしました。一番確かで、安全な方法かなと思い

ます。漠然と、メーカーさんならパソコンに関するプロがたくさんいらっしゃる

から、情報が漏れてしまったりすることは絶対にないだろうというイメージがあ

ったので安全だと感じました。 無料ということに惹かれて無料のメーカーの回収に決定いたしました。 パソコンの処分はリサイクル方が出来上がった時点で選択の余地は無いと思っ

ていました。 一番手間なく、コストなく、かつ適切に処理できると思い、他の方法は特に探さ

ず、特に悩む事なくその方法にしました。 少し手続きに手間はありますが、わかりにくいこともなく、スムーズに引き取っ

てもらえ、家でゴミとして眠ることもなくとても満足しました。 [購入時に販売店で処分]ではいくつかの選択要因がみられた。「購入時に廃棄の段

取りが可能な利便性」「無料引き取り。場合によっては下取りも可能」「HDD 処理や

リサイクルスキームへの信頼感」「知名度の高い量販店への安心イメージ」等が出て

いた。 手間を省けることや、リサイクル代が無料でわずか 100 円とはいえ下取り代が手

に入ること、安心してリサイクルしてもらえそうなことなどがその理由。 コストが掛からない事が一番。 他のところよりも公正な査定をしてくれそうな感じがしたのと、場所がわかりや

すかったことが選択の理由。 家電量販店は配達の際に持っていってくれるから。 新規購入した PC ショップに相談したら、メモリ破砕してくれるのでこれ幸いと

いうことで決めてしましました。

[不用品回収業者]は、「無料引き取り」が絶対条件になっている。様々な業者が混

在しており、自分なりの経験を頼りに信頼できそうな業者を選択している状況であっ

た。 HD以外の部品がほしいから無料で引き取ってあげるよと言われました。 無料で引き取ってもらいました。チラシで「無料で引き取り OK」の文言に惹か

れました。 オプションボードもしっかりリサイクルしてくれる場所を探して持っていって

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います。お金を要求するところはマニュフェストでしっかり処分先と処分結果を

知らせてくれることを要求すると、無認可であったり、こちらの要求を理解でき

ない場合があります。

[人に譲った]は、表向きには「もったいない」が理由だが、「処分方法を色々調べ

るのが面倒」という意識も働いており、あれこれ調べて方法を選ぶよりも、人に譲る

方が簡単にすむと考え選択されている様子であった。 まずはもったいない。二番目はなるべく費用をかけたくないと思ったから。三番

目として、色々調べるのが面倒であることです。リサイクル費用を事前徴収して

いると聞いておりますが、具体的に何をどうすればよいのかわからないので調べ

なくてはいけないのですが、それが面倒に感じてます。 [オークション]は、「お金になる」のがポイント。物によっては高額になるという

話が出ていた。 古くても使ってくれる人がいて、お金もすこしですがいただけるということでう

れしかったです。

[分解処分]は、PC リサイクルマークのない PC や自作 PC の処理方法と捉えられ

ていた。「情報漏洩の不安がない」と「コストがかからない」がポイントになってい

る。 業者などに引き取ってもらうとデータなどを復元されて見られるのがいやで自

分で分解してできるかぎり細かく壊して地域の指定のごみ処理で捨てました。 人に頼むのが面倒で、又金もかかることなので少し手間がかかりますが道具だけ

は揃ってましたので。

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(3) パソコンの処分方法の長所・短所について

「パソコンの処分方法の長所・短所」を聴取。 ここでも【コスト】【手間】【安心感】が評価ポイントになっていた。様々な処分方

法で共通していたものとしては「無料で処理できた」という点で、【コスト】につい

ては満足度が高い。 短所としては「情報漏洩への不安」=“安心感がない”を挙げる方が多かった。特に不

用品回収業者を利用した方で、この不安が大きくなっていた。 メーカーによる回収・リサイクル制度の利用者では、「(古い製品の場合は)コスト

がかかること」「手間がかかること」が不満点として挙げられていた。

[メーカーによる回収]の長所は、「安心して任せられる・信頼できる」「無料で引き取

ってもらえる(PC リサイクルマーク付きの場合)」がメイン。 特に【安心感】が多く見られた。「法に合致している」「指示通りにすれば間違いがない」

「メーカーは専門家」「HDD を物理的処理してくれる」が【安心感】に結びついてい

ると言える。 リサイクルマークがついている PC ならただで処分できる。「工場到着後 HD は

物理的に処理します」と書いてあるので、それを信じるとすれば、安心して処

分できる。戸口回収もしてくれるので自分で持って行かなくてもよい。特に面

倒な梱包は必要ない。 パソコンに詳しくない人も、指示通りに行えば間違いがない。 メーカーが処分という点で、自分でやるよりも安心感がある。

逆に不満点としては、「リサイクルマークなしの場合に有料。しかもコストが高い」

「手続きや梱包が面倒」が多く挙がった。 リサイクルマークがないものは結構金額がかかる。 デスクトップだった場合どうするの!?と戸惑う(モニターなど大きいので自

分で梱包する事自体できるのか?と思う)。 最初に申し込みをして伝票をもらい・・・という手続きがちょっと面倒。思い

ついた時から完了まで数日かかる事。伝票に期限がある事。 何らかの形で梱包が必要になること。昔有った日通のパソコンポのように(回

収前提のリユース可能な)梱包資材を持って来てくれるととても楽です。梱包

資材は 100 円ショップでレジャーシート買ってきたり、大判のゴミ袋を用意し

ました。 正直、手続きが面倒です。私の場合は、HDD・メモリなど再利用可能なもの

は部品として取り外してメーカーに送っていますが、梱包など想像以上に手間

がかかりますね。 リサイクルダンボールなどメーカーで用意してくれると良いと思っています。 エコゆうパックは電話のみ集荷依頼になるのと普通の宅配業者に比べて、集荷

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時間の融通が利きにくいので終日在宅の日の朝に電話するなどの配慮が必要で

した。

[購入時に販売店で処分]のよい点は、「手間が省ける(購入時に合わせて手配が済

む・購入品の配達時に引き取ってもらえる)」「無料(または下取りもあり)」「HDD処理をしてもらえる」等で、コストがかからず、安心感もある。また手間がかからな

い以上の利便性が感じられている。不満点があまり見られなかった点も特徴である。 これに比べて、[リサイクル店・回収業者]は、「コストがかからない」点はよいが、

「情報漏洩への不安」が見られ、「適正にリサイクルされるという信頼感」もやや薄

い。業者の選択に不安や手間感が垣間見られる。なお、運搬が発生しているケースも

あるが、この点は手間とはあまり捉えていない。 [オークション]は「換金の高さ」が強い魅力となっているが、「落札者との関わり

に不安」が抱かれている(ex.動作クレーム)。知らない相手に譲るため、「データ消

去」についても気が使われて、ある程度の手間を要する。 同じ人に譲る場合でも、[人に譲る]は、「コストが発生しない」「廃棄について調べ

ずに済む」が長所として挙げられていた。不満はあまりなく、しいて言えば「何か見

返りが欲しかった」程度。 [分解処分]は情報漏洩やコストの心配がなく、分解の手間はかかるが本人はあまり

気にしていない様子であった。

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(4) メーカーによる回収・リサイクル制度について

「メーカーによる回収・リサイクル制度」についての意見を聴取。その際、各処分

方法の利用評価からの抜粋も対象者に提示し、参考としてもらった。 メーカーによる回収・リサイクル制度の利用未経験者の反応をみると、[メーカーに

よる回収]のよい点は、「安心感がある」「無料で処理できる」にあった。一方、不

満点は「場合によっては有償になる・コストが高い」「イメージ的に面倒そう」「使

用可能なものを出すのはもったいない」。コストはメリット・デメリットの両面がみ

られた。

<メーカーによる回収・リサイクル制度の利用未経験者> 非未経験者の多くが「そもそもメーカーによる回収制度を知らなかった」としている。 制度自体は 10 年前からあるんですね、全然知りませんでした。

利用未経験者にとって[メーカーによる回収]のメリットは、「安心して任せられる・

信頼できる」がまず挙がる。特に、自分で HDD 処理ができない初心者が「データ漏

洩が起きなさそう」と捉えていたケースが目立った。自分にとって実利のある“安心

感”を抱いている。加えて、“リサイクルシステムとしての確かさ”も“安心感”につなが

っている。こちらは社会的にみての“安心感”と言える。 質の悪い業者にひっかかってしまうリスクは否定できません。その点、メーカー

が回収してくれるのであればデータ漏えいの問題も含めて安心して任せられると

思います。 勿論量販店でもリサイクルされるでしょうがメーカーの方がより担保されそうで

気分的に良いことした気になれそう。 “コスト”はメリット・デメリットの両方に振れる要素になっている。それだけ重要な要

素と考えられる。 「無料」は制度を知らなかった者にとっては、インパクトのある情報となっている。た

だし、実態としては他の処分方法でも多くが「無料」を経験しており、利用の前提条件

とも言える。 リサイクル法が出来て、メーカーが無料で引き取ってくれる事は良いと思います。 メーカーとして顧客にとって良い情報ほど出し惜しみしないで流してほしいです

逆に、PC リサイクルマークのついていない場合は「費用がかかる。費用が高い」とさ

れ、[メーカーによる回収]を選ばない理由に直結している。 平成 15 年 9 月以前の PC は、有償である点且つ費用が高いが悪い点。

「古いパソコンは有料というのが納得いかない」という発言も多く聞かれた。また、購

入時にリサイクル料金が上乗せされていると理解している方も見られた。 何故古い PC は無料で引き取ってくれないのか、意味がわかりません。 やはり上乗せされていたのですね。それならメーカーに回収してもらわなきゃ

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損? 未経験者から出た話のうち、「もったいない」「ユーザーへの還元やインセンティブがな

い」は処理方法としての優先度を下げる要因になっている。 パソコンがまだ使用可能である場合は「使えるものを部品などにリサイクルしてしまう

のがもったいない」という感覚が強い。メーカー回収においても、再資源化の前にリユ

ースを求める声があった。 また「下取りと比較してインセンティブがない」も不満まではいかないが、“最後の手

段”と捉えるひとつの要素となっている。

メーカーでのリサイクルも次回は考慮に入れるかもしれません。でも、その前に

家電量販店の下取りでいくらになるのかをチェックしそうです。 それなら自分でデータ削除などして、全体なりパーツなりの生きてる部分を中古

で使ってもらう方がいいような気はします。完全に壊れたならメーカーに送るで

しょうけど。

未経験者から「手間がかかる」「面倒」という発言も多く出ていた。全体的に、今まで

のパソコン処分とは異なる作業や工程に、心理的な距離を感じて「面倒」と表現する傾

向があった。例えば「郵送が面倒」と言う者は、実際に持ち出す手間は変わらないはず

であるが、ついでにひきとってもらえる[販売店へ持ち込む]と比較して、「面倒」と

捉えていた。個別の梱包ややり取りまで想定して回答していたわけではない。 他に「面倒」とされたのは「メーカーへの連絡」「梱包」「処分全体に時間がかかる」。

中には「サイトの説明(データ消去の仕方等)を読むのも面倒」という声まであった。 尚、梱包については「簡易包装でもよい」「郵便局で集荷に来てくる」を評価する者も

いた。 無料で引き取ってくれるとこに頼んだ方が手っ取り早いです。梱包も不要で,持

って行くだけであとはやってくれるので。 データの消去の仕方とか読むのもめんどくさくなってきちゃいそう。

今後に関しては、パソコンの状態を見極めて、コストや手間でバランスがとれた時に[メ

ーカーによる回収]を利用するイメージであった。 PC リサイクルマーク付(無償)で相当古くなった或いは壊れたという場合は、

使うと思います。例えば、処分する PC を業者に売る場合は、小金を稼げますが、

結構な手間(事前準備とお店に持ち込んでから査定まで)がかかります。付属品

も揃って無くてと値が殆ど付かないような場合は、時間単価を考えるとこの方法

で破棄した方がお得と思いました。壊れている場合は言うまでもありません。 次に購入してから時間が経ってない PC の場合は、今まで通り、家族や知人に配

布か、業者へ販売という方法をとると思います。一番悩むのは、PC リサイクル

マーク無し、つまり有償のケースですが、結局は、無償で引取る業者へ委託して

しまうと思います。

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<メーカーによる回収・リサイクル制度の利用経験者> お金を支払って処分した経験者の中には、「下取りすればお金になる」という話を聞

き、お金を払って処分したことを後悔した者もいた。お金を払って処分したというケ

ースが対象者には少なかったためか、不公平感が見られたようである。 損した気持ちです。わたしは倹約家なので、お金がもらえる所を、逆に支払った

のだと思うと、残念でなりません。無知って、残念ですね。

また前述の回答にも出ていたが、「処分全体のスピード感のなさ(待ち時間が長い)

や手間感」が再度挙げられていた。 申し込みは型番など書く欄があって捨てる物なのにいちいち確認が面倒です。ま

た部品に違うメーカーがあるとまた別々に申し込まないといけなかったと思いま

す。その後は伝票を待ったり郵便局の配送を待ったりアナログで時間がかかりま

す。また直接手渡しなので来てもらうにしても自宅にいなければなりません。

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(5) パソコンの退蔵理由

「パソコンの退蔵が発生する理由」について聴取した。 「邪魔にならないから」「処分が面倒・お金がかかるから」「使用可能性があるから」

がパソコン退蔵の主な理由となっている。 また、タイミングを逸すると、処分が先延ばしになっていく実態が窺えた。

大前提として「パソコンの処分は面倒」という意識がある。処理に際しては、「可能であれば、よ

り有利な条件で下取りに出したい。それが無理ならコストをかけずに処分したい」というニーズ

がある。結局の所、“コスト”が大きく絡むため、このようなニーズがでてくることになっているの

ではないか。

納得できる処理をするためには、処理方法の選択や具体的な持ち込み先の決定等の工程を

自分でこなさなければならず、その面倒感は非常に強い。

まず処分費用を考えてしまいます。以前は処分費用が幾らぐらいになるのかを色々調

べたりしてました。買い取ってもらえる店があるのかどうか。店に売る場合も面倒で、まず

パソコンを店に郵送して査定してもらい、その査定価格でよければそのまま売却、納得

がいかない場合は返品(送料はこちら負担)など、いちいち手間が掛かる。そうした事を

調べたりこなすのが面倒で、結局処分せずに持っていた。。。という感じでしょうか。

どう処分するかあれこれ思案しているうちに、ほったらかしになってしまう。

そもそも捨てる方法を調べるところからする必要がありますので、動機づけのためのモチ

ベーションが入りますね。

処分を躊躇させているもう一つの要因として「HDD のデータ処理」が挙げられる。明確な根拠

なく“悪用の不安”にかられている層がいる。一方で、物理的な破壊等で消去をきちんと行っ

ている者は、不安はないが“作業の面倒感”を感じている。

HDDの内容を消去して廃品回収に出しても何か心配。

データの消去を業者に任せるのはイマイチ不安があるので、自分でやろうと思うのです

が、パソコンを分解して消去する工程が面倒で、なかなか捨てられません。

「いざという時の保険として」「思い出や愛着のある品なので」等の目的ある保持もみられたが、

時間の経過ともに、存在を忘れて退蔵品と化してしまう様子も垣間見られた。

ひょっとしたら部品の使い回しが出来るかもしれないし、とりあえず置いておく場所もある

し、と最初は思っていても、そのうちあることも忘れてしまっています。

はっきり言って使っていないパソコンがあるということを忘れていました。どうでもいい

や?みたいな感じです。

もう何台もいろんな方法で処分してきたんですが、このノートだけは、会社で前に使って

おり、非常に愛着がある。

まだ使えるパソコンの退蔵も少なくない。「もったいない」という意識から、「人に譲る」事を希望

するケースが多かったが、実際には貰い手はなかなか見つからない様子であった。

まだ十分使えるので子供と妻に使えと言ってるのですが古いのは嫌だとか言ってます。

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誰か使ってくれる人がいるのでないかと思って押し入れの中に入れて、その内めんどく

さくなって、そのままになっている。

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(6) メーカーによる使用済パソコンの回収・リサイクルスキームに関する普及啓発方法

「パソコンリサイクル情報の広報」について聴取した。それに先立って「メーカー

による回収・リサイクル制度」の認知状況についても回答を求めた。 今回の対象者のうち、制度の中身も含め「メーカーによる回収・リサイクル制度を

ある程度知っていた」という者は 4 割程度。メーカールートの利用者が中心であっ

た。

広報普及啓発の手段としては、新製品の購入時に販売店での情報提供、広告の活用

等が挙げられていた。

メーカーリサイクルの存在すら知らなかった方も 3 割程度おり、周知・浸透が十分でないことが

窺えた。また、法制化から時間が経つにつれて、記憶が薄れてきたというケースもみられた。

そもそも公表されているかどうかすら知りませんし、噂でなにか法改正があったらしいぐ

らいしか知りませんでした

法律の施行時は気にしていましたが、最近は広報活動が無かったのでメーカーのリサイ

クルの意味が分からなかった。

広報については、“喚起のタイミング”が重要とされており、「新しいパソコンを検討・購入する

際」を挙げる意見が多く聞かれた。

具体的には「パソコン販売店からの情報提供」や「購入パソコンへのリサイクル情報の添付」が

効果的とされている。

パソコンを購入するときに、以前使っていたパソコンを処分したいと思う方が多いと思う

ので、購入の際に必要な方にパンフレットなどを渡すのがいいのかな・・・と思います。そ

の際、処分をする方に梱包用のセット(ダンボールなど)が渡されるとメーカーで処分す

る方が増えるんじゃないかなと思います。

消費者に一番近いのは小売り店なので、最終的には PC の販売時に店員が顧客に説

明するのが一番確実な方法だと思います。 伝え方としては、回収することでどんなメリ

ットがあるのか、回収しないことでどんなデメリットがあるのか(その逆もあるのでしょう

が・・・)を説明し、メーカー、小売り、消費者が目的を共有(というと仰々しいですけれど)

できないと、この手の取り組みは地に足がついていかない気がします。

ネットで調べない限り私もわからなかったので、もっと宣伝が必要ですね。一番効果的

なのは購入時の箱の中にわかりやすいチラシを入れる事かなと思います。

また、広く世間での周知を高めるために「CM(TV・交通・インターネット)や広報番組(タイアッ

プ番組)を利用してはどうか」という意見も多く出ていた。

細かい中身の説明が必要になるので、ある程度じっくり読め、理解できる媒体が好ましい。

電車内の告知広告。制度について暇な電車でじっくり読んでくれる可能性有り。

PCを使っている時に、目に飛び込んでくるので、インターネット広告なども有効だと思い

ます。

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テレビなどのメディアも影響力がありますよね。「ためしてガッテン」とか。「シルシルミシ

ル」や「がっちりマンデー」。

自治体で発行している冊子にて告知。

回収を担っている郵便局での告知”、“キャンペーンの実施”を求める意見も聞かれた。

また郵便局に持っていくか、取りに来てもらうので、郵便局に目立つポスターを貼ってお

く。

キャンペーンはアンケートやデモ、説明などを一通り見てもらえたときに、抽選で商品、

粗品を提供するなどで良さ気。

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(7) タブレット型端末の処分についての考え

「タブレット端末の処分方法」についての意見を求めた。 所有者にとっても、まだ明確なイメージはないようであったが、「販売店に依頼」「メ

ーカーに問い合わせる」といった反応がみられた。これからの検討事項となってい

るようである。

今後の検討事項というイメージで、処分イメージを明確には持っていないユーザーが多かっ

た。

まだ処分したことはありませんが,きちんと処理してもらえそうな方法で処分したいと思っ

ています。PC と同じで,個人の連絡先や種々の情報も入っていますので。販売店に持

ち込むことになるのかな,と思っています。

どうするんだろう?タブレットって買い換える、というより買い足す感じでだんだん古いも

のを使わなくなっていくような気がするので、そうなると買い換えの時に引き取ってもらう

事もできなさそうですよね。 メーカーリサイクルもやってなさそうだし。粗大ゴミ?という

程粗大ではないし・・・。全然検討がつきません。メーカーや家電量販店に処分の仕方

を聞いて指事を仰ぐかな?叩き割る勇気もあまりないですが、自分で捨てなくてはなら

ないとなるとやはりデーターが怖いので壊してからでないと、でしょうか。

パソコン同様に「売却できるものはしたい」という気持ちがある。また有償処分へは抵抗感が強

い。

価値があるうちに買換えたいので、手持ちのタブレットはヤフオクなどで売却しますね。

昨年購入したタブレット PC(国内家電メーカ、Android)は、PC リサクルマークが付いて

おらず、念のためメーカーの WEB サイトを調べましたが対象外のようでした。当分の間

は、処分を致しませんが、「有償引き取りになるの!」と驚いてます。

かさばらないため、パソコン以上に退蔵してしまう危険性も感じられた。

タブレットは持ってましたが、電源が入らなくなり、そのままにしてます。捨てるのもなん

だし、修理すると高いしで。そのうち、何かしらの使い道があるんじゃないかなぁ~?と

微かな期待を持ちつつ、そのうち、有ることすら記憶から消えるかも?

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平成24年度地球温暖化問題等対策調査(レアメタルリサイ

クル推進事業)報告書

2013 年 3 月

株式会社 三菱総合研究所 環境・エネルギー研究本部