2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747...

34
2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国 (Republic of Mozambique) (2) 首都 (英語名) マプト (Maputo) (3) 面積 79.9万平方キロメートル(日本の約2.1倍) (4) 民族 マクア・ロムウェ族など43部族 (5) 言語 ポルトガル語、マクア語、シャンガナ語、英語 (6) 宗教 キリスト教(54.1%)、イスラム教(17.8%)、原始宗教 (7) 政治体制 共和制 (8) 人口 約2,798万人、人口増加率2.8%(2015年:IMF) (9) 人口密度 35.0人/km 2 (10) 名目GDP 166.8億ドル(2014年IMF)、148.1億ドル(2015年IMF) (11) 一人当たりGDP (名目) 529.3ドル(2015年 IMF) (12) 経済成長率 7.5%(2014年、IMF、中銀)、6.5%(2015年、IMF) (13) 物価上昇率 4.2%(2013年)、2.6%(2014年)、4.4%(2015年:世銀) (14) 外貨準備高 (US$) 14.7億ドル(2014年)(JETRO) 輸出 32.0億ドル(2015年:国連) 輸入 79.8億ドル(2015年:国連) (16) 日本との貿易 対日輸出1.387億ドル、対日輸入0.774億ドル(2015年:、財務省統計) (17) 使用通貨 メティカル(複数形はメティカイス) (18) 為替レート 1米ドル=約70メティカル(2017年2月) (19) 失業率 (%) 22.5%(2012年) (20) 在留邦人数/在日モザンビーク人数 176人(2016年10月)/130人(2016年12月現在) (15) 総貿易額 (US$) 出所:「外務省ホームページ」、但し、(9)(3)(8)からの計算値、(10),(11)は「国際通貨基金(IMF)ホーム ページ」、(14)は「アメリカ中央情報局(CIA)ホームページ」より作成 出所:CIA ホームページ

Transcript of 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747...

Page 1: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 747 -

2.16 モザンビーク

1. 一般情勢

 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国 (Republic of Mozambique)

 (2) 首都 (英語名) マプト (Maputo)

 (3) 面積 79.9万平方キロメートル(日本の約2.1倍)

 (4) 民族 マクア・ロムウェ族など43部族

 (5) 言語 ポルトガル語、マクア語、シャンガナ語、英語

 (6) 宗教 キリスト教(54.1%)、イスラム教(17.8%)、原始宗教

 (7) 政治体制 共和制

 (8) 人口 約2,798万人、人口増加率2.8%(2015年:IMF)

 (9) 人口密度 35.0人/km2

 (10) 名目GDP 166.8億ドル(2014年IMF)、148.1億ドル(2015年IMF)

 (11) 一人当たりGDP (名目) 529.3ドル(2015年 IMF)

 (12) 経済成長率 7.5%(2014年、IMF、中銀)、6.5%(2015年、IMF)

 (13) 物価上昇率 4.2%(2013年)、2.6%(2014年)、4.4%(2015年:世銀)

 (14) 外貨準備高 (US$) 14.7億ドル(2014年)(JETRO)

輸出 32.0億ドル(2015年:国連)

輸入 79.8億ドル(2015年:国連)

 (16) 日本との貿易 対日輸出1.387億ドル、対日輸入0.774億ドル(2015年:、財務省統計)

 (17) 使用通貨 メティカル(複数形はメティカイス)

 (18) 為替レート 1米ドル=約70メティカル(2017年2月)

 (19) 失業率 (%) 22.5%(2012年)

 (20) 在留邦人数/在日モザンビーク人数 176人(2016年10月)/130人(2016年12月現在)

 (15) 総貿易額 (US$)

出所:「外務省ホームページ」、但し、(9)は(3)と(8)からの計算値、(10),(11)は「国際通貨基金(IMF)ホーム

ページ」、(14)は「アメリカ中央情報局(CIA)ホームページ」より作成

出所:CIA ホームページ

Page 2: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 748 -

2. エネルギー情勢 2015 年の一次エネルギー消費量は、石油換算で 1,295 万トンと、2000 年以降、年率の

伸びは4.01%である。一次エネルギー消費量の内訳をみると、その他(69.9%)、水力(11.4%)、

石油(9.0%)、ガス(5.9%)で構成されており、石炭のシェアは 3.8%と極めて少ない。

バイオ燃料が主体で、水力が重要なエネルギー源の一つになっている。2011 年から出炭が

始まったテテ州の石炭開発が期待される。

ガスは国内で生産される量の約 9 割を輸出に廻しており、石油はすべて輸入である。な

お、下記のように将来の LNG 輸出能力は世界第 6 位となると予定されている。

発電電力量は 20 TWh と少ないが、86%は水力、残りはガス火力で、石炭火力はない。

隣国である南アフリカとは電源構成が大きく異なっている。

(1)エネルギー資源量

出所:国際金融情報センター、「モザンビークがわかる 10のポイント」、2014年 1月 15日

Page 3: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 749 -

(2)エネルギー政策 1 モザンビーク政府は、1995 年以来、「国家開発計画 (programa de Governo)」として政府

の 5 カ年計画を策定し、一貫して貧困撲滅、地域間格差の縮小、平和維持を国家開発の柱とし

ている。2011 年には国家開発の基本指針として「絶対貧困削減行動計画 (PARAPII)」(2006-2010 年)に続く「貧困削減行動計画 (PARP)」(2011-2014 年)を策定した。また、2013年には、政府 5 カ年計画や PARP が導入された政策を調和・実現していくための民間投資戦

略として「モザンビーク投資促進戦略 (PEPIP)」(2014-2016 年)を策定したほか、公共投資

戦略としてインフラ整備計画を主とする「統合投資計画 (PII) 」(2014-2017 年)も導入してい

る。こういう中、モザンビーク政府は 2008 年から 2012 年の間のエネルギー戦略(Energy Management Strategy for the Energy Sector 2008–2012)を策定し、エネルギー政策実行の

基本としている。エネルギー戦略の主な内容は下記のとおりである。 ・ 電気と液体燃料への持続的なアクセスの増強 ・ 薪や木炭などの持続可能な利用 ・ 新エネルギーと再生可能エネルギーなどの新たなエネルギーソースの促進 ・ エネルギーの多様化 ・ 輸入燃料に代わるバイオ燃料の生産の促進 ・ エネルギー開発計画とプログラムの策定 ・ エネルギーに係る開発計画やプログラムを実施する他部門との共同計画やエネルギーイ

ニシアティブの統合 ・ 持続可能な発展と環境保護 ・ エネルギー供給のためのシステムとツールを含む効率の良いエネルギー供給の促進 ・ 適切なステークホルダーとの協議と制度の調整 ・ 南部アフリカ開発共同体(SADC2)を含めた国際協調フォーラムへの積極的な関与 ・ エネルギーの効率的な利用

(3) 石炭政策 3 石炭資源の開発・利用等に係る国の方針・戦略となる石炭政策は、まだ策定途上にある

が、国のエネルギー戦略として石炭に関する下記の方針が示されている。 ・ 石炭火力発電所の建設を推進 ・ 石炭火力発電に利用可能な石炭火力発電技術の研究。研究はSADC地域に適用する技術

を選定 ・ 気候変動を軽減するための炭素固定と貯蔵のための効率的な技術の修得と利用 ・ エネルギー省と鉱物資源省は緊密な連携を取合い、石炭資源を電力供給に有効活用する

ことを確実にする (4)環境政策 4

1 JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」 2 Southern African Development Community 3 JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」 4 NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭

Page 4: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 750 -

・温室効果ガス削減の具体的な数値目標はない。鉱業法(Law Nr.14/2002, of June 26)の中で、環境マネジメントについて、以下のように言及している。

・鉱物資源の適切な探鉱および活用と社会・経済・文化的側面を含む環境の保護、保全と

の適合性、および廃棄物の発生と天然資源の損失を最小限に抑え自然破壊を防止する優

良な鉱業活動を目的とする。 ・法制上の環境マネジメントツールとして、環境影響評価、環境マネジメントプログラム、

環境マネジメントプラン、環境モニタリングプログラム、閉山プログラム、環境監査の

6 種を設定 ・鉱業活動をレベル 1(機械化方式によらない概査・試掘や個人や協同組合による小規模

鉱山)、レベル2(建設材料用鉱物の採掘や採石、機械化設備による採鉱及び試験操業)、

レベル 3(上記以外の鉱山操業で機械化方式によるものを含む)の 3 つに分類し、

レベル 1 の鉱山には基本環境マネジメントルール、レベル 2 の鉱山に関しては環境マ

ネジメントプラン、レベル 3 の鉱山には環境影響スタディを義務付けている。 (5)一次エネルギー消費量

(石油換算千トン)

2000 2005 2010 2013 2014 2015年平均伸び率'00-'15

年平均伸び率'10-'15

2005年のシェア

2015年のシェア

石 炭 0 0 6 10 114 498 142.00% 0.0% 3.8%

石 油 486 496 719 844 955 1,163 5.99% 10.10% 5.8% 9.0%

ガ ス 1 18 128 139 398 761 55.63% 42.84% 0.2% 5.9%

原子力 0 0 0 0 0 0 0.0% 0.0%

水 力 830 1,141 1,432 1,251 1,391 1,480 3.93% 0.66% 13.4% 11.4%

その他 5,860 6,837 7,590 8,538 8,778 9,049 2.94% 3.58% 80.6% 69.9%

合 計 7,177 8,493 9,875 10,782 11,636 12,950 4.01% 5.57% 100.0% 100.0%

出所:IEA, “World Energy Balances of Non-OECD Countries 2017” モザンビークでの 2014 年一次エネルギー総供給量は 1,030 万 toe、その内バイオマス

(木炭・薪)が最も多く 60%、続いて水力 13%、灯油 13%、石炭 8%、ガソリン 4%であ

る。灯油、ガソリンは全量輸入、電力は南アフリカへ輸出されており-2%である。

バイオマス(木炭・薪), 6474, 60%

水力, 1390, 13%

灯油, 1352, 13%

石炭, 818, 8%

ガソリン, 464, 4%LNG, 26, 0% 電力, -219, -2%

2014年一次エネルギー消費量(1,000万toe)

バイオマス(木炭・薪) 水力 灯油 石炭 ガソリン LNG 電力 出典:エネルギー省 (単位:ktoe)

一次エネルギー総供給量(2014 年)

Page 5: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 751 -

(6)一人当たりエネルギー消費量

2000 2005 2010 2013 2014 2015

一次エネルギー消費量

(石油換算百万トン)7.18 8.49 9.88 10.78 10.78 12.95

人口(百万人) 18.3 21.1 24.3 26.4 27.2 28.0

一人当たりエネルギー消費

(石油換算トン/人) 0.392 0.402 0.403 0.508 0.428 0.462

出所:IEA, “World Energy Balances of Non-OECD Countries 2017”

(7)一次エネルギー需給バランス(2015 年)

(石油換算千トン)

石 炭 石 油 ガ ス 原子力 水 力 電 力 その他 合 計

国内生産 4,307 0 4,090 0 1,480 - 9,249 19,126

輸 入 0 1,226 0 0 0 907 0 2,133

輸 出 -3,182 0 -3,329 0 0 -1,107 0 -7,618

バンカー 0 -36 0 0 0 - 0 -36

在庫変動 -627 -27 0 0 0 - 0 -654

一次供給 498 1,163 761 0 1,480 -200 9,249 12,950 注: *バンカーとは、国際航空及び外航海運のための燃料

出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2017” (8)電力消費

(GWh)

2000 2005 2010 2012 2013 2014 2015年平均伸び率'00-'15

年平均伸び率'10-'15

産 業 1,501 8,364 8,574 9,448 9,295 10,651 9,426 13.03% 1.91%

輸 送 0 0 0 0 0 0 0

家 庭 392 533 897 1,233 1,416 1,629 1,654 10.07% 13.02%

業 務 196 246 264 258 166 174 702 8.88% 21.60%

その他 0 0 96 0 404 2 1,667 76.98%

合 計 2,089 9,143 9,831 10,939 11,281 12,456 13,449 13.22% 6.47% 出所:IEA, “World Energy Statistics of Non-OECD Countries 2017”

2013 年の電力供給量は 4,540Gwh、Cahora Bassa 水力発電(HCB)が最も多く 9 割に

達する。モザンビークの北部と南部は電力系統が連結されておらず、北部に位置するCahora Bassa で発電された電力は南アフリカなど隣国へ輸出され、Maputo を含む南部の大電力

消費地域の電力は南アフリカなど隣国から輸入されている。この状況から脱却するため、

Cahora Bassa ダムと Maputo を結ぶ東西の 2 送電線の敷設計画が進められている。

Page 6: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 752 -

カワラバッサ水力

発電, 4,084 , 90%

EDM水力, 222 , 5%

輸入, 109 , 2% IPP発電, 95 , 2% EDM発電, 30 , 1%

2013年電力供給内訳

カワラバッサ水力発電 EDM水力 輸入 IPP発電 EDM発電

合計:4.540Gwh

出典:EDM Annual Statistic Report 2013(単位:Gwh)

当該国がまとめた消費量は以下の通りで、消費量は上記の 1/3 以下である。セクターと

しては商業用、大口低圧電力、家庭用、農業、中・高圧電力、特別顧客、輸出に分類され

る。2003 年の電力消費量は全体で 1,341GWh、2013 年は 3,583GWh、2.7 倍に増加して

いる。家庭用、中・高圧電力の電力消費の伸びが高く、大口低圧電力は低い。特別顧客の

伸びは 2011 年から急激に伸び、また、近年農業セクターでの消費も伸びている。また、

国内消費の増加と共に、輸出は減少傾向にある。 (単位:GWh)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

商業用 132 131 160 183 195 198 222 219 245 258 322

大口低圧 57 70 82 89 103 112 125 141 150 169 170

家庭用 411 447 481 517 581 648 751 897 1,052 1,233 1,416

農 業

0.1 0.1 0.1 0.1 0.3 0.3 0.9 0.2 25

中・高圧 495 495 532 535 567 672 701 792 890 1,007 1,080 特別顧客 15 60 88 96 122 253 310

輸 出 246 279 362 498 523 670 514 580 669 320 260

計 1,341 1,422 1,617 1,822 1,984 2,360 2,401 2,725 3,129 3,240 3,583

出典:EDM Annual Statistic Report 2013

(9)発電電力量

(GWh)

2000 2005 2010 2013 2014 2015年平均伸び率'00-'15

年平均伸び率'10-'15

2005年のシェア

2015年のシェア

石 炭 0 0 0 0 0 0 0.0% 0.0%

石 油 42 14 1 0 0 152 8.95% 173.13% 0.1% 0.8%

ガ ス 2 7 18 349 1,569 2,554 61.09% 169.40% 0.1% 12.8%

原子力 0 0 0 0 0 0 0.0% 0.0%

水 力 11,841 13,264 16,647 14,546 16,175 17,207 2.52% 0.66% 99.8% 86.4%

その他 0 0 0 0 0 0 0.0% 0.0%

合 計 11,885 13,285 16,666 14,896 17,744 19,913 3.50% 3.62% 100.0% 100.0%

出所:IEA, “World Energy Balances of Non-OECD Countries 2017”

Page 7: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 753 -

(10)当該国が策定したエネルギー需要量及び将来の電源構成の見通し 下図にソース別エネルギー需要を示す。2011 年、2013 年は実績、2015 年~2050 年は

予想である。2013 年のエネルギー需要は 9.13Mtoe であったが、2050 年には 45Mtoe と 5倍に増加すると予想されている。現状では木炭・薪の従来燃料が 8割程度を占めているが、

今後は電力、化石燃料の増加が見込まれる。

0.005.00

10.0015.0020.0025.0030.0035.0040.0045.0050.00

2011 2013 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

Mto

e

ソース別エネルギー需要量(Mtoe)

木炭・薪 新バイオ 電力 太陽光 化石燃料 車燃料

(単位:Mtoe)

実 績 予 測

2011 2013 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

木炭・薪 6.67 6.87 7.06 7.50 8.05 8.72 9.56 10.64 11.98 13.72

新バイオ 0.00 0.01 0.02 0.06 0.11 0.18 0.29 0.44 0.67 1.00

電 力 0.86 0.99 1.14 1.62 2.35 3.38 4.82 6.81 9.52 13.18

太陽光 0.01 0.02 0.02 0.04 0.06 0.09 0.14 0.21 0.31 0.45

化石燃料 0.46 0.55 0.66 0.99 1.48 2.19 3.20 4.62 6.60 9.59

車燃料 0.61 0.69 0.79 1.02 1.35 1.84 2.53 3.53 4.93 6.92

計 8.62 9.13 9.68 11.22 13.40 16.41 20.54 26.23 34.00 44.87

出典:エネルギー省

出所:JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」

ソース別エネルギー需要量

下図に需要先別エネルギー需要量を示す。2011 年、2013 年は実績、2015 年~2050 年

は予想である。現状では家庭での需要(ほぼ全てが木炭・薪等の従来燃料)が 70%を占め、

一般産業の割合は 20%と少ないが、今後は一般産業の伸びが見込まれており、2050 年で

は 65%まで増加すると予想されている。

Page 8: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 754 -

0.005.00

10.0015.0020.0025.0030.0035.0040.0045.0050.00

2011 2013 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

Mto

e

需要先別エネルギー需要量(Mtoe)

一般産業 輸送 家庭 サービス

(単位:Mtoe) 実 績 予 測

2011 2013 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

一般産業 1.55 1.79 2.08 3.03 4.48 6.63 9.72 14.10 20.27 29.12

輸 送 0.41 0.45 0.50 0.57 0.67 0.78 0.91 1.06 1.24 1.44

家 庭 6.11 6.28 6.43 6.72 7.02 7.30 7.59 7.89 8.17 8.45

サービス 0.55 0.61 0.68 0.90 1.23 1.70 2.33 3.18 4.32 5.86

計 8.62 9.13 9.68 11.22 13.40 16.41 20.54 26.23 34.00 44.87

出典:エネルギー省

需要先別エネルギー需要量

モザンビーク電力公社が策定した 2027 年までの電源構成の見通しを示す。2012 年まで

は水力が主体であるが、2014 年からはガス火力が 2 割近くを占め、2016 年からは石炭火

力も導入される。2018 年には石炭火力が約 22%、ガス火力が約 38%、水力が約 39%と

いう構成になる。2021 年以降は再び水力がガスを上回る。また、発電量自体は毎年約 10%伸びている。

Page 9: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 755 -

出所:METI、三菱日立パワーシステムズ、平成 25 年度エネルギー需給緩和型インフラ・システム普及等

促進事業、「モザンビーク共和国における先進型高効率ガス発電設備に係る事業実施可能性調査」 (11)部門別エネルギー消費(2015 年)

(石油換算千トン)

部 門最終エネルギー

消費量

産 業 1,990

輸 送 841

家 庭 7,242

業 務 124

農林漁業他 66

非エネルギー 150

その他 0

合 計 10,414

産 業

19.1%

輸 送

8.1%

家 庭

69.5%

業 務

1.2%

農林漁業

0.6%

非エネル

ギー

1.4%その他

0.0%

出所:IEA, “World Energy Balances of Non-OECD Countries 2017”

3. 石炭生産、消費動向 IEA Coal Information 2017 に基づくデータは、2016 年の生産量が 676 万トンと前年

2015 年の 660 万トンよりも 16 万トン増加した。消費量は 1.2 万トンで、殆どすべてを

輸出に廻している。 2017 年時点で生産しているのはテテ州のモアティーゼ・プロジェクト(2015 年の生

産量 496 万トン、’16 年の生産量 549 万トン、’17 年の生産量 1,126 万トン)、ベンガ・

Page 10: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 756 -

プロジェクト(2014 年の生産量 167 万トン、2015 年末から停止中も 17 年後半から再

開)、チロゼプロジェクト(2014 年度の生産量 131 万トン、一旦停止後 16 年 10 月に再

開)である(プロジェクトの概要を後述)。 (1)石炭埋蔵量 モザンビーク内の最新の石炭資源量は、2014 年に開催された「クリーン・コール・デー

(2014)」で発表された 254 億トンである。また 2012 年に鉱物資源省により発表された

JORC 規定ベースでの資源量は 292 億トンと発表されている。

資源量 区分 資源量(単位:10 億トン) 確定資源量 3.58 予想資源量 10.50 推定資源量 11.35

計 25.43 World Energy Council(WEC)は、モザンビークの石炭可採埋蔵量を 2 億 1,200 万ト

ンと報告しており、その全てを瀝青炭(無煙炭を含む)と分類している。 可採埋蔵量

(百万トン)

瀝青炭無煙炭

亜瀝青炭 褐 炭 計

212(100.0%)

212(100.0%)

出所:WEC, “Survey of Energy Resources 2013”より作成 (2)炭田位置図、主要炭鉱位置図 モザンビークにおいて、従来、石炭賦存が確認されているのは、Niassa 州、Cabo Delgado

州、Tete 州および Manica 州の 4 州である。炭田分布(Karoo 系堆積岩)および分布地域

詳細について次に示す。 現在稼動している炭鉱は Tete 州の Vale Moatize 炭鉱、ICVL Benga 炭鉱、Jindal

Chirodze 炭鉱の 3 炭鉱で、2014 年は原料炭 410 万トン、一般炭 240 万トン、合計 650万トンが生産され、7~8 割程度が輸出されている。なお、Beacon Hill Minas Moatize 炭

鉱は 2014 年経営破綻により生産停止している。これら 3 炭鉱以外に今後 Ncondezi、Revuboe からの生産が見込まれとして、2025 年には 9,000 万トンの石炭が生産されると

予想しているが、輸送インフラや炭鉱開発の遅れ等によりこの政府予想の実現は非常に難

しい。 主要稼行炭層はチパンガ層で、夾みが多く灰分は高いが、炭層厚みは 30mに達する。

Page 11: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 757 -

Zambezia 州

Cabo Delgado 州

Niassa 州

Teta 州

Manica 州

(▲番号:石炭分布地域)

出典: Coal in Mozambique(2009) 3rd Symposium on Gondwana Coals、平成 24 年度海外炭開発支援事業海外地質

プロジェクト選定事前調査(モザンビーク)報告書(JOGMEC)一部編集 モザンビークの炭田分布図

(3)石炭生産量

(千トン)

2000 2005 2010 2013 2014 2015 2016*年平均伸び率'00-'16

年平均伸び率'10-'16

一般炭 16 3 38 2,198 2,547 1,814 1,559 33.14% 85.71%

原料炭 0 0 0 3,281 3,785 4,787 5,204 - -

計 16 3 38 5,479 6,332 6,601 6,763 45.92% 137.17%

褐 炭 0 0 0 0 0 0 0 - -

合 計 16 3 38 5,479 6,332 6,601 6,763 45.92% 137.17%

注:*2016 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2017”

No. 石炭分布地域 炭田(堆積盆) 州 名

1 Metangula Lunho Niassa

2 Lungenda River Luangua Cabo Delgado

3 Mucanha-Vuzi Mucanha-Vuzi Tete

4 Sige Chicoa Tete

5 Sanangoe Sanangoe Tete

6 Moatize Tete

7 Benga Moatize Tete

8 Muarazi Tete

9 Minjova Minjova Tete

10 Ncondezi Ncondezi Tete

11 Mutarara Chire Tete

12 Mpotepote Espungabera Manica

Page 12: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 758 -

(4)炭種別石炭消費量 (千トン)

2000 2005 2010 2013 2014 2015 2016*年平均伸び率'00-'16

年平均伸び率'10-'16

一般炭 0 0 10 16 19 14 12 - 3.09%

原料炭 0 0 0 0 152 727 1,507 - -

計 0 0 10 16 171 741 1,519 - 130.99%

褐 炭 0 0 0 0 0 0 0 - -

合 計 0 0 10 16 171 741 1,519 - 130.99%

注:*2016 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2017” (5) 炭鉱開発状況

炭種別生産量

炭鉱別石炭生産量

Page 13: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 759 -

① Moatize プロジェクト Vale が 2017 年に入り、Moatize 炭鉱での原料炭増産に乗り出している。1~3 月の生産

量は 163 万トンで、前年同期比で 103 万トンの増加であった(テックスレポート 2017.4.24)。 1~12 月の生産量は 1,126 万トンであった。

・2 段階に分けて開発、ステージⅠ(生産能力 1,100 万トン)は 2013 年に完了、ステ

ージⅡ(生産能力 1,100 万トン)は 2016 年 1Q に完了した模様。 生産能力 2,200 万

トンに増強。 ・選炭工場:ステージⅠで 4,000t/h、ステージⅡで 4,000t/h、合計能力 8,000t/h ・Nacala 回廊が 2015 年末完成、Beira・Nacala 両港からの輸出が可能となる。2015年4Q には 241 千トン、2016 年1Q には 747 千トンが Nacala 鉄道にて輸送された。

・2016 年以降段階的に生産量を増やし、2019 年には 1,800 万トンまで増産予定

Page 14: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 760 -

ヴァーレ、2017 年の石炭生産は 1126 万トン ブラジルのヴァーレによれば、同社の 2017 年にお

ける石炭生産量は 1126 万トンに達し、前年同期の実績を 404 万 4 千トン(56.0%)上回った。

うち原料炭生産量は 695 万 3 千トンで、前年より 174 万 9 千トン(33.6%)増加した(2018.2.20 テックスレポート)。

モアティーズ炭鉱の原料炭生産が大幅増加。モアティーズ炭鉱の 2017年 10月末時点で 1千万ト

ンを超えた。因みに 1~9 月の生産量は 868 万 4 千トンで、前年同期比 58.1%増であった。原料

炭が 553 万 4 千トン、一般炭が 315 万トンであった。ヴァーレは 2017 年の目標を 1,300 万トン

と策定しており、11・12 月に計 300 万トン生産すれば、目標を達成できる(2017.11.24 テック

スレポート)。 モアティーズ炭鉱の 2017 年 1 ~6 月の原料炭生産量は前年同期比 161%増の 368 万トンとな

った。一般炭と併せると 547 万トンとなった。2017 年の生産目標を 1,300 万トンに策定してい

るので、7~12月に 750万トン以上を生産しなければならない(2017.07.24 テックスレポート)。 モアティーズ炭鉱の原料炭生産が増加へ、2基目の石炭処理設備が8月に稼動。モアティーズ炭鉱

の 2015 年の石炭生産量は 496 万トンで、うち原料炭は 340 万トンであった。しかし、原料炭輸

出マーケットの長期低迷やインフラ能力不足により、2016 年 1~6 月の原料炭生産は 141 万トン

にとどまり、前年同期を 20 万トン(12%)下回った。モザンビークでは 2015 年末に、ナカラ

回廊鉄道/港湾プロジェクトのステージ 1 が完了した。現時点の能力は 1,100 万トン/年。2017年には 2,200 万トン/年に拡大される。さらに最近は、原料炭輸出マーケットも緩やかに上昇し

てきており、モアティーズでの増産は追い風となる(2016.07.25 テックスレポート)。 三井物産がモアティーズ炭鉱の権益買収。ナカラ回廊プロジェクトの権益も取得へ。 三井物

産がヴァーレからモザンビークのモアティーズ炭鉱の権益を 15%取得する。さらに、ヴァーレ

が進めているナカラ回廊プロジェクトの権益も取得する。モアティーズ炭鉱は 2011 年に生産開

始され、13 年には精製炭能力が 1,100 万トン/年(強粘結炭:850 万、一般炭:250 万)に高ま

った。しかし、鉄道やインフラ整備が大幅に遅れており、13年における精製炭生産量が381万7千トン/年(強粘結炭:237 万 3 千、一般炭:144 万 4 千)、14 年 1~9 月までの精製炭生産量

は 347 万 5 千トン/年(強粘結炭:213 万 7 千、一般炭:133 万 8 千)にとどまっている。ヴァ

ーレは今後、2017~18 年の完了を目指して、ステージ 2 を進め、精製炭生産能力を 2,200 万ト

ン/年(強粘結炭:1,700 万、一般炭:500 万)に倍増する。一方、ナカラ回廊プロジェクトで

は、ナカラ港に大規模ターミナルを建設するとともに、ナカラ鉄道を整備する。2015 年から本

格操業を開始し、石炭輸送能力は 1,100 万トン/年となる。初期投資は 7 億 6300 万ドル(約 916億円)。拡張費を含め三井物産の総投資額は 1,200 億円を越えそうだ。(2014.12.08 テックス

レポートなど)。 本プロジェクトは、ブラジルの総合資源会社であるValeが首都Maputo の北1,700kmに位置する Tete 州で新規に進めている原料炭開発プロジェクトである。露天掘りに

よる年間 1,100 万トンの石炭生産(原料炭:850 万トン、一般炭:250 万トン)が 35年間見込まれている。 • 処理能力年間 2,600 万トンの大型選炭工場を建設しており、将来の生産拡張に備

えている。 • 2011 年 5 月に操業を開始した(Bloomberg ,2011.5.8)。 • 生産された石炭は Sena-Beira を経由する 600km の鉄道で、Sofala 州の Beira

Page 15: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 761 -

港に設けられる新規石炭ターミナルに輸送される。 • 2013 年の生産量 381.7 万トン(強粘結炭 237.3 万、一般炭 144.4 万)、2014 年

上半期の生産量 218 万トン(強粘結炭 130.9 万、一般炭 87.1 万)。 • 2014 年の生産量は 491 万トン、15 年は 496 万トン。 • 2015 年からナカラ鉄道およびコール・ターミナルの操業が本格的に開始され、

モアティーズ炭をナカラ港から輸出することができる(能力 2,200 万トン)。 ② Benga プロジェクト

出所:Rio Tinto

出所:2012、13 年は Rio Tinto、14 年は ICVL

・インドの ICVL が 65%、Tata Steel が 35%の権益を有する。 ・原炭生産能力 530 万トン、2014 年原炭生産量 397 万トン(歩留:原料炭 24.3%、一般

炭 21.8%)。 ・ICVL は Rio Tinto から Zambeze PJ, Tete East PJ も購入したが未だ開発には至ってい

ない。 印 ICVL がモザンビークの石炭資産買収へ。R ティントからベンガ炭鉱の権益 65%等を。

インドの International Coal Ventures Private Limited が近く、リオ・ティント社か

らモザンビークの複数原料炭資産を買収する見通しとなった。ベンガ炭鉱の権益 65%に

加え、ザンベージプロジェクトおよびテテ・イーストプロジェクトの権益 100%を約 1億 800 万ドルで買収する。ICVL は国営企業 5 社が出資する国策会社で、これまで海外

資源を獲得した実績はない。因みに、ベンガ炭鉱の残りの 35%の権益をタタ・スチール

が保有している。また、インド企業では現在、ジンダル・スチール社がテテ州チロゼ炭

鉱を操業中で、生産規模は 150 万トンだが、2020 年以降 650 万トンに引き上げる計画

だ(2014.7.28 テックスレポート)。

Page 16: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 762 -

リオ・ティントがモザンビーク石炭資産を売却。 リオ・ティントはモザンビークで

保有する石炭資産を、インド政府系企業連合 ICVL に 5,000 万ドルで売却すると発表し

た。同事業はザンベージ川を利用した石炭輸送計画が当局の反対で変更を余儀なくされ

るなど、難航を極めていた。売却するのは、テテ州のベンガ炭鉱でリオが保有する 65%の権益を含む。リオは2011年、豪州リバースデール・マイニングを40億ドルで買収

した際に資産を取得していた。同事業は 13 年には 30 億ドルの評価損を計上、CEO の

辞任の引き金にもなっていた(2014.8.4 日刊産業新聞)。 ③ JINDAL Chirodze プロジェクト

・インドの JINDAL(Jindal Steel and Power Ltd)が 100%の権益を有する。 ・全期間での剥土比 2.5、選炭工場能力 300 万トン/年(400t/h)、原料炭 Ash 16%。 ・山元から Moatize までトラック輸送。その後、Sena 線を使って Beira 港まで鉄道輸送、

2013 年 5 月に初出荷をインド向けに行った。 ・地場のタバコ・砂糖工場に約 10 万トン販売。

④ Revuboe プロジェクト: 日鉄商事、American Metals and Coal Internationa(AMCI)、

Broadband(南アフリカのコントラクター)が 2004 年に試掘権を取得し、試錐調査を実施

した(平成 16 年度には独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構による海外炭開

発可能性調査補助事業「モザンビーク・レブボー東地区」地質構造調査が実施された)。本

プロジェクトは、2 度にわたって NEDO の補助金を利用して進められてきた事業である。

2010 年 10 月 27 日、新日鐵(株)は、日鉄商事が 33.3%の権益を保有するレブボー炭鉱開発

プロジェクトのうち、23.3%の権益に新日鐵が参入することに合意し、今後、同プロジェク

トの本格開発に向けた事業化調査を進めると発表した。中国の鉄鋼需要の激増に伴い、原料

炭価格が高騰しているため、アフリカからの輸送コストをプラスしても、採算がとれる状況

Page 17: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 763 -

になってきており、安定調達のための調達先の分散という意味もある。 なお、アングロ・アメリカン社が豪 Talbot の権益売買交渉に入った(2011.12.16 テック

スレポート)が、アングロの参画が見込めなくなったため、新日鐵住金などは、新たなプロ

ジェクトパートナーを探さざるを得なくなった。 本プロジェクト関連の 2013 年以降の情報は次の通り。

JOGMEC、モザンビーク政府と覚書を締結。JOGMEC は 1 月 10 日付けでモザンビーク

鉱物資源省(DNG)及び地質鉱業研究所(IGM)と、同国における新たな石炭ポテンシャ

ル地域の発掘と石炭資源量の評価を目的とした共同調査を行うための覚書を締結した。平成

24 年 10月に日本政府からモザンビーク政府に提案されたモザンビーク石炭産業発展 5ヵ年

プランは、「地質構造調査」、「人材育成、「石炭の利用に向けた石炭産業マスタープランの策

定」といった 3 種の事業から構成される。共同調査は 2014 年から 2016 年までの 3 ヵ年実

施される(2014.2.10 鉱業新聞)。 モザンビークに600億円超の円借款。日本政府はモザンビークの主要港から内陸に伸びる

「ナカラ回廊」などの建設のため、5 年間で 600 億~800 億円を供与する(2014.1.6 日本経

済新聞)。 新日鐵住金、モザンビークで採掘権。新日鐵住金と日鉄商事は、モザンビーク「レブボー

炭鉱」の採掘権を取得したと発表。2016 年に出炭を開始し、19 年に年産 500 万トンを計画。

新日鐵グループの権益は 33.3%のため、フル生産で年間約 170 万トン、新日鐵住金の年間

調達量の約 6%を占める。権益の 58.9%を持つ豪タルボットが英アングロ・アメリカンに売

却すると合意したが、破談となり新たなパートナーを探している(2013.4.5 日刊工業新聞)。 レブボープロジェクトの概要

プロジェクト所在地

探査権保有者 (Minasde Revuboe Limitada)

33.3%58.9%7.8%

推定資源量 約7億9,800万トン、うち、露天掘り可能推定埋蔵量は5億5,900万トン

石炭品質 豪州優良強粘結炭並み

沿革・経緯

2004年7月 NSRIが1/3出資した南ア法人が5年間の探査独占権取得

2005年~2006年 NEDOの海外炭開発可能性調査補助事業を利用し、鉱区の職調査完了

2008年10月 上記南ア法人からMinas de Revuboe Limitadaに探査件が移管

2009年 再度NEDOの海外炭開発可能性調査補助事業を利用し、プレFSを完了

開発計画

開発規模 原料炭500万トン/年

開発資金 5~6億 US$(炭鉱のみ、鉄道・港湾等インフラ除く)

今後のスケジュール

2011年12月 企業化調査完了

2012年前半 採掘権取得、開発着手(工期:2~3年) → 2013年に延期

2014~15年 出炭開始  → 2016年に出炭開始、2019年に年産500万トン

ブラジルVale社モアティーズ鉱区、豪州Riversdale社ベンガ鉱区、ザンベジ鉱区に隣接

NS Resources International B.V.(日鉄商事の100%子会社)Talbot GroupPOSCO

出所:2010.10.27 日鐵商事、新日本製鐵ニュースリリース、2013.4.5 日刊工業新聞

Page 18: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 764 -

⑤ その他(Zambeze)のプロジェクト:Riversdale Mining Limited は 2009 年 10 月 12 日付で、

モザンビークの Tete 州で実施中の Benga プロジェクトの隣接鉱区の取得を発表した。

Riversdale 社は、2010 年 6 月に中国の武漢製鉄集団公司と共同で開発することに合意した

(2011 石炭年鑑)。2011 年 6 月に Rio Tonto が Riversdale 社を買収したが、結果的には、イ

ンドの International Coal Ventures Priviate Ltd.が買収(2014.7.28 テックスレポート)。 モザンビークの炭鉱開発プロジェクトの概要(資本、生産予定、埋蔵量等)を以下に示す。

モザンビークの炭鉱開発プロジェクトの概要

① Moatize プロジェクト ② Benga プロジェクト③ Jindal Songo地区

(Chirodze炭鉱)④ Beacom Hill-Minas de

Moatize

権益: ブラジル、Vale社 80%三井物産 15%モザンビーク政府 5%

権益:インド ICVL 65%(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)

インド Tata Steel 35%

権益:Jindal Steel & Power(印)

権益:Beacon Hill (英)100%     14年12月に経営破綻し生産停止中

出炭開始: 2011年2012年に377万トン、13年に382万トン、14年に491万トン、15年に496万トン、16年に549万トンを生産、17年に1,126万トンを生産

2013年に87万トンの強粘結炭及び75万トンの一般炭を生産2014年に89万トンの強粘結炭及び79万トンの一般炭を生産2015年末から停止中も17年後半から再開予定

2012年に生産開始。2013年度に53万トン、14年度に131万2千トンを生産した。2016年度300万トンに拡大

2012年に60万トンの一般炭を生産。

石炭埋蔵量:14.2億トン 石炭埋蔵量:2.8億トン 石炭資源量:16.5億トン石炭埋蔵量:8,000万トン可採埋蔵量:5,700万トン

2016年生産量:1,000万トン2017年生産量:1,500万トン2019年生産量:1,800万トン

2015年目途に原料炭600万トン、一般炭600万トンを生産

原料炭マーケットの低迷を受け、2016年2月から9月まで生産停止。10月に再開。

主な事業

MoatizeⅠMoatizeⅡNacala Corridor:2015年完了Sena BeiraPower Plant

灰分が10%と多いため、選炭設備(4,000トン/時)を所有

火力発電所: 600~2,500MWの火力発電所を建設予定

Revuboe プロジェクト Zambezeプロジェクト Ncondezi Coal ProjectENRC (Eurasian Natural

Resources Corp)

権益:Talbot 58.9%新日鐵住金23.3%日鉄住金物産10.0%POSCO 7.8%     アングロ社はTalbot の権益取得を断念

権益:インド ICVL 100%(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)

権益:Ncondazi(英) 100% 権益:ENRC(カザフ) 100%

生産開始時期は未定2023年に原料炭700万トン、一般炭500万トンの生産

開発計画中 開発計画中

石炭埋蔵量:14億トン 石炭埋蔵量:.40億トン 石炭埋蔵量:18.1億トン石炭資源量:3鉱区合計で15億トン

Tete East プロジェクト Mozambi Coal ETA Star Coal India

権益:インド ICVL 100%(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)

権益:Mozambi(豪)  70% 権益:ETS Star(印) 100%権益:Coal India(印) 100%インド政府が所有

開発計画中 開発計画中2012年採掘権認可500万トンの生産予定

開発計画中

石炭資源量:16.5億トン石炭資源量:3鉱区合計で49.6~61.9億トン

石炭資源量:20億トン

出所:平成27年度JOGMEC海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況及び市場競争力等調査」。テックスレポート「2017石炭年鑑」、他より

フェーズ1生産量:240万トン(強粘結炭160、一般炭 80)フェーズ2生産量:1,200万トン(強粘結炭600、一般炭600)

Beacon Hill が破綻したため、生産が再開されるか田舎は流動的。

マーケット長期低迷で採算が悪化しため2015年末に操業停止したが、17年後半に再開する。

Page 19: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 765 -

(6)当該国が報告する生産統計 ①生産量予測 モザンビーク政府は、現在生産している炭鉱Vale、ICVL、JINDAL以外に今後Ncondezi、

Revuboe からの生産が見込まれとして、2025 年には 9,000 万トンの石炭が生産されると

予想しているが、輸送インフラや炭鉱開発の遅れ等によりこの政府予想の実現は非常に難

しい。

0102030405060708090

100

2015 2020 2025

百万

トン

石炭生産量

既稼動炭鉱 新規稼動

(単位:百万トン)

2015 2020 2025 既稼動炭鉱 26.4 43.7 44 新規稼動炭鉱 12.0 39.0 49

計 38.4 82.7 93 出典:クリーン・コール・デー2014 年講演資料

モザンビークの生産量予測(2014 年)

Moatize、Benga、Revuboe、Beacon Hill、Zambeze、Jindal 、Nconderi の 7 炭鉱の

生産計画を集計すると、生産量は 2015 年には 4,100 万トン(原料炭 2,440 万トン、一般

炭 1,630 万トン)、2020 年には 7,400 万トン(原料炭 4,030 万トン、一般炭 3,360 万トン)

となり、うち 9 割以上は輸出向けとなる計画である。

7 炭鉱合計の石炭生産量と輸出量の計画

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023

原料炭 0.9 6.2 11.6 15.5 24.4 33.2 35.2 37.2 39.3 40.3 41.3 41.4 41.4

輸出用一般炭 0.4 2.5 4.5 6.9 13.0 19.1 22.9 26.0 29.0 29.1 29.2 29.4 29.4

国内用一般炭 0 0.5 1.5 2.8 3.3 4.3 4.4 4.4 4.5 4.5 4.6 4.6 4.6

合  計 1.3 9.2 17.5 25.2 40.8 56.6 62.5 67.7 72.7 73.9 75.2 75.4 75.4

Page 20: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 766 -

(百万トン)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023

国内用一般炭

輸出用一般炭

原料炭

出所:NEDO「平成 23 年度海外炭開発高度化等調査(モザンビークにおける石炭資源の開発状況)」

BHP Billiton が報告している原料炭供給の予測(第 1 章図 1.3.13-2)によれば、モ

ザンビークの輸出量は将来モンゴルよりも多くなり、2020 年で 2,100 万トン、2025年で約 4,300 万トンまで増加するとしている。上記の数値とよく一致する。

②石炭の品質

出所:JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」

Page 21: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 767 -

(8)当該国が報告する生産コスト(山元及び FOB コスト) ・ モザンビークの Tete における炭層の厚さは厚いところでは実に 30m にも達し、低

い剥土比(原炭 ROM 当たりの剥土量 m3)により大規模露天採掘が可能であるが、

原炭灰分が高く原料炭歩留は3割以下と低いため、結果的に高コストとなっている。 ・ モザンビークにおける山元の採掘費は、30USD/トン~40USD/トンである(EMEM)。 ・ 輸送コストについて:Sena 線は Tete から Beira 港まで 575km、タリフは鉄道輸送

費が50USD/トンから55USD/トン、ポートチャージが15USD/トン程度である。 Valeの試算では、Nacala 線 912km のタリフはポートチャージを含めて 45USD/トンか

ら 50USD/トンである。 ・ Benga 炭鉱の FOB コストの内訳を次図に示す。Banga 炭鉱の FOB コスト内訳の

52%を占める採炭コスト詳細については、明記されていない。一般的な採掘コスト

は、人件費、燃料費、資機材費、及び設備減価償却費などから構成されている。

・ 出典:第 6 回 Mozambique Coal Conference, ICVL Mozambique,発表資料を基に作成

Benga 炭鉱の FOB コスト内訳

・ 第6回 Mozambique Coal Conference(2015)において International Coal Ventures Private Limited (ICVL) Mozambique が発表した、Benga 炭鉱と豪州炭鉱のコスト比較を次表に示

す。この表によるとモザンビークのコストは豪州と比較して非常に割高なことを示している。

Benga 炭鉱のコストの内訳について、次々表 に示す。ただし、このコスト内訳について、

国内および Conference に参加していた専門家は、現実よりも高すぎるという見解を示して

いる。Benga 炭鉱はコントラクトマイニングであり、ICVL Mozambique の発表によると、

この非常に高いコントラクト料金が、高生産コストの主要な要因と指摘している。コントラ

クト締結時の原料炭価格は、2009 年から 2011 年の高値ピーク時であったため、その時の価

格設定が踏襲されているとのことである。本契約の有効期間は 2015 年 12 月までになってお

り、その後に締結される契約次第で、コストは大幅に下げられるものと思われる。5 ・ Tete 州の炭鉱では、原料炭の選炭後に残された石炭のうち、輸出用に回らない石炭が、山元

に利用されないままストックされている。山元では、自然発火対策も含め 10 USD/トンのコ

ストをかけているとの情報もある。

5出典:第 6 回 Mozambique Coal Conference(2015), ICVL Mozambique,発表資料

Page 22: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 768 -

Benga 炭鉱と豪州炭鉱の生産コスト比較 (単位:トン)

項 目 単 位 炭鉱-1 炭鉱-2 炭鉱-3 炭鉱-4 炭鉱-5 炭鉱-6 炭鉱-7 炭鉱-8 Benga

炭 鉱

炭鉱の特性

採掘法 - 露天 露天 坑内 坑内 坑内 坑内 坑内 坑内 露天

ROM Mtpa 14.52 13.33 10.70 12.2 2.50 6.60 5.75 7.00 4.0

剥土比 bcm/トン 7.50 6.00 NA NA NA NA NA NA 4.9

歩 留 % 61% 68% 68% 65% 65% 77% 68% 69% 25%

灰 分 % 8 8 8 8 8 8 8 8 10.5

コスト

採 掘 USD/トン 46.03 41.20 51.82 32.63 64.77 36.93 65.04 41.02 138

選 炭 USD/トン 6.62 6.50 7.04 8.57 8.76 6.31 9.76 8.30 22

鉄 道 USD/トン 3.78 4.27 7.01 11.38 7.15 6.50 7.72 7.32 45

港 湾 USD/トン 2.33 4.07 8.13 8.13 6.50 8.13 6.50 8.94 11

間接費 ほ か USD/トン 20.28 18.78 16.61 20.95 19.90 21.32 18.70 22.30 51

(計) USD/トン 79.03 74.81 90.62 77.60 104.64 75.14 105.29 83.82 267

出典:第 6 回 Mozambique Coal Conference, ICVL Mozambique,発表資料

Benga 炭鉱の FOB コスト内訳

工 程 コスト

(USD/トン)

採 掘 138 選 炭 22 鉄 道 45 港 湾 11

間接費ほか 51 計 267

出典:第 6 回 Mozambique Coal Conference, ICVL Mozambique,発表資料

参考データとして、豪州における Thiess 社(QLD 州の Lake Vermont 炭鉱、Meandu 炭鉱

等、豪州で複数の炭鉱の操業、NSW 州の Newcastle 港建設の請負実績をもつ、豪州のゼネコ

ン企業)の炭鉱における操業コスト内訳を次図に示す。Thiess 社の操業コスト(輸送コストを

除く)内訳は、7 要素に分類されている。内訳は人件費(31%)、燃料費(17%)、スペア部品

(14%)、設備投資費及び減価償却(10%)、爆発物(8%)、金融コスト(3%)、その他(17%)

となっている。この内訳が発表された 2014 年 11 月時点では、操業コスト(輸送コスト除く)

は FOB 価格を上回っており、人件費、スペア部品、設備投資費等についてコストカットが行

われたものと推察される。Benga 炭鉱においても大幅なコストカットを行う必要がある。

Page 23: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 769 -

出典: JOGMEC 公表報告書第 10 回 Coaltrans Australia(2014.11)参加報告より

豪州炭鉱の操業コスト構成事例

(9)輸入国における輸出国別原料炭 CIF 価格(2015 年)

インドにとっては距離的優位性もあるため最も安価で輸入しており、日本や韓国にとっ

ては米国やカナダよりも安価で輸入している。

モザンビー

ク豪州 米国 カナダ ロシア

日本 109.09 98.06 115.49 110.78 87.28インド 98.82 106.71 121.81 108.13 108.74中国 0 94.18 105.58 97.21 89.99韓国 100.3 97.1 112.01 109.94 85.74英国 100.18 108.54 103.35 117.36 82.51

020406080

100120140

US$

/t

出所:JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」

4.石炭輸出入動向 (1)石炭輸出量 IEA Coal information 2017 ではモザンビークの輸出量は記されていないので、生産

量と消費量の差を輸出量とした。2016 年の輸出量は 524万トンで 7割が原料炭である。

日本の財務省貿易統計によると、日本へは 2015 年には 34 万トン、2016 年には 98 万ト

ンの原料炭が輸入された(製鉄分野で試験的に使用)。

Page 24: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 770 -

(千トン)

2000 2005 2010 2013 2014 2015 2016*年平均伸び率'00-'16

年平均伸び率'10-'16

一般炭 16 3 28 2,563 2,537 1,800 1,547 33.07% 95.16%

原料炭 0 0 0 3,281 3,633 4,060 3,697 - -

合 計 16 3 28 5,844 6,170 5,860 5,244 43.62% 139.19% 注:*2016 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2017”

(2)当該国が報告する石炭輸出量 (a)石炭輸出量

テックスレポート「2017 石炭年鑑」ではモザンビークからみた輸出量が集計されて

いない。しかし、輸入各国からみた量に基づいて集計したところ、2016 年の上位 6 ヵ

国はインド、オランダ、日本、トルコ、台湾、韓国の順である。以下、ブラジル、英国、

フランスと続く。中でもインドは全量の半数以上に相当する365万トンを輸入している。

この範囲内で集計した全輸出量は 2012 年 245 万トン、2013 年 353 万トン、2014 年 439万トン、2015 年 507 万トン、2016 年 712 万トン、2017 年 961 万トン、と増加してき

ている(*印はデータがなく、前年と同じとした)。 また、Vale の Moatize 炭鉱の生産統計データによると、2016 年 549 万トン(原料炭

348 万トン、一般炭 201 万トン)であった。前述のように速報として 2017 年の Moatize炭鉱のの生産量は 1,126 であったので、1,000 万トン弱は妥当な数値である。このうち、

約 6 割はインド向けに輸出している。

国別の石炭輸出量

(千トン)

相手国 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

インド 82 0 5 789 1,050 2,137 2,408 3,650 5,722

オランダ 0 0 0 106 223 544 1,071 1,257 *1,257

韓 国 0 0 0 265 37 197 77 229 886

日 本 0 0 0 90 213 169 343 980 811

トルコ 10 40 341 714 210 177 305 229 195

台 湾 0 0 0 24 648 495 416 229 185

ドイツ 0 213 213

ブラジル 0 0 0 105 161 70 164 147 *147

英 国 0 0 0 29 230 176 93 107 *107

フランス 0 0 103 68 150 171 196 80 90

中 国 0 0 34 208 456 148 0 0 0

ドイツ 0 0 0 20 38 0 0 0 0

他の欧州 3 27 114 102 0 0 0

合 計 92 40 486 2,445 3,530 4,386 5,073 7,121 9,613 出所:「2017 石炭年鑑(貿易統計)」及び 2018 TEX レポートの輸入相手国データより作成

Page 25: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 771 -

(b)石炭輸入量 南アの貿易統計によると、モザンビークが南アから輸入した石炭量は以下の通りであ

る。ピークの 2011 年には 380 万トンも輸入していたが、その後'16年まで減少を続け、’17年に 237 万トンまで増加した。

(千トン)

相手国 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

南アフリカ 1,457 1,565 3,837 3,300 1,813 1,512 849 654 2,365

(c)主要サプライヤーの石炭生産・販売実績 TEX レポート「2017 石炭年鑑」および「2014 石炭年鑑」に記載されているサプライヤ

ー3 社の情報は以下の通りである。Benga プロジェクトは 2014 年にリオ・ティントから

ICVL に売却されたため、年末までの数値ではない。Moatize は 2016 年で 549 万トン、

2017 年 9 月までで 868 万トンと目標(1,300 万トン)のペースで進んでいる。 ①ヴァーレ

(千トン)

Moatize Mine 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

原料炭 275 2,501 2,373 3,124 3,401 3,480 6,953

一般炭 342 1,267 1,444 1,784 811 2,012 4,307

合  計 617 3,768 3,817 4,908 4,960 5,492 11,260

②リオ・ティント→ICVL

(千トン)

Benga Mine 2011年 2012年 2013年 2014年

原料炭 0 188 1,128 986

一般炭 0 272 980 911

合  計 0 460 2,108 1,897

③ビーコン・ヒル・リソーシズ

(千トン)

Minas Moatize 2011年 2012年 2013年

原炭生産量 83 194 108

精炭生産量 25 54 41

Page 26: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 772 -

5.鉱業法と関連法制度 (1)鉱業管轄官庁と関連政府機関

a)管轄官庁 • 鉱山資源省(Ministry of Mineral Resources)が鉱業部門を管轄する。下部組

織として、国家鉱山局(National Directorate of Mines)や国家地質局(National Directorate of Geology)などがある。

(2)鉱業法(Law Nr.14/2002, of June 26)6

モザンビーク政府は、海外からの鉱業投資促進を図るために1994年に鉱業法を改定し、

さらに 2002 年には概査、試掘期間の延長、鉱業権者に対する保証、零細及び小企業の支

援策等を改正した鉱業法 2002 年法律第 14 号(Mining Law No. 14/2002, of June 26)を

施行した。この鉱業法の概要を以下に示す。 ① 鉱物資源は国家に帰属する。 ② 鉱業権の種類

— Reconnaissance License(概査権) — Exploration License(試掘権) — Mining Concession(採掘権) — Mining Certificate(採掘免許) — Mining Pass(採掘許可) なお、概査権、試掘権、採掘権、採掘免許は国内に居住する国民、外国人の個

人もしくは集団(法人)、採掘許可は特定地域の住人(法人)であることが要

件の一つになっている。 ③ 鉱業権は先願優先。 ④ 鉱業権の譲渡は可能。試掘権、採掘権の取消しは権者の破産もしくは解散の場

合に生じることがある。 ⑤ 鉱業に関する税金

・ 生産税(production tax): ロイヤルティに相当。操業(試験を含む)に対する課

税。閣僚会議(Council of Ministers)で決定(販売もしくは建設以外の商工業用に

した場合、その売上額に対しダイヤモンド、金、銀、プラチナは 10%、その他の鉱

物は 5~6%の範囲)。石炭は輸出用場合 3%、国内向けの場合は半分の 1.5%。 — — 地表税(Surface Tax): 採掘許可を除く鉱業権者に課税され、鉱区面積

に規則に定める税率を乗じた額である。土地使用税とは別に課税される。 — 地方政府税(local government tax): 操業に対して課税(1 米国ドル/ヘ

クタール)。 — 税の免除:採掘免許、及び採掘許可での操業の場合は鉱産税が免税される。

鉱業法の規則として、2006 年 12 月 26 日に鉱業規制令(2006 年法令 62 号:Mining

6 NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南アフリカ及びモザンビーク)におけ」、

Page 27: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 773 -

Regulation Decree No. 62/2006, of December 26)が、また同日付けで鉱業安全規制令

(2006 年法令 61 号:Mining Safety Regulations Decree No. 61/2006, of December 26)が施行されている。 さらに、2007年6月27日には鉱業に関する財政制度法(2007年法律11号:Fiscal Regime

Law No. 11/2007, of June 27 for mining operations)が施行されている。 その後、2013 年 12 月 13 日に資源戦略を定めた 2013 年法令 89 号が、2014 年 5 月 16

日に採掘企業に課せられる社会責任を規制した 2014 年法令 21 号が施行されている。 2014 年 8 月 18 日には 2002 年に施行された鉱業法の改訂版として新鉱業法が、国会及

び内閣での長い議論の末、施行された。 基本となる変更点は、①政府の運営参画、②現地調達義務(現地雇用、付加価値によるイ

ンセンティブ等)、③採掘産業最高機関の設置、④炭鉱ライセンス期間の変更、である。 具体的な変更点は以下の通りである。 ・ ローカルコンテンツの活用が求められ、鉱業活動に係る商品やサービスの調達は国内の

ものを優先して使用する必要がある。また現地住民の雇用と人材育成が求められている。 ・ 探査権に係る「概査」と「探査」権が「探査・調査」権に統合され、探査期間を対象物

によって分けている(ミネラル水を含むその他鉱物資源5年、建設資材用鉱物資源2年)。

前鉱業法では「概査」、「探査」合わせて 7 年であったので、探鉱期間が短縮された。 ・ 採掘権に関しては、採掘権付与後、旧鉱業法では、環境ライセンス及び土地使用権を 3

年以内に取得しなければならず、取得しない場合は採掘権が取り消されることとなる(新

鉱業法では取り消しについて直接言及されていない)。 ・ 採掘権付与後から商業生産前に、新鉱業法では、環境ライセンス及び土地使用権さらに

は住民の移住補償と計画の承認を取得することが求められる。 ・ さらに、採掘権取得後の商業生産開始までの期間を、旧鉱業法では最大 6 年以内として

いたものが、新鉱業法では 48 ヶ月(4 年)以内となっている。 ・ マイニング・コントラクト(採掘権付与時に締結される政府との契約)中には、開発に

関して国の参加に係る条項が入れられた。 ・ さらに、地域社会に対する雇用、トレーニングに係る条項が設けられ、炭鉱開発には企

業、政府、地域団体の 3 者間で締結された MOU(覚書)が必要とされている。 ・ 鉱産物の国内での加工が義務化された。インドネシアのように未加工鉱物の輸出禁止ま

で意図しているかは不明確であるが、鉱産物を輸出して他国で加工を行っている企業に

とってはかなり大きな懸念事項となる。 ・ 鉱業活動に係る許認可について、前鉱業法では外国企業への付与を認めていたが、新鉱

業法ではモザンビークの企業に限定されることとなり、現地法人の設立が必要となる。 ・ 鉱産物の販売に際しては、国内産業に必要な場合、政府がこれを販売する権利を有する

(国内販売優先)。 ・ 前鉱業法では、鉱業活動に係る権利の譲渡に際し、権益の譲渡・移転に際しては政府の

承認を必要としていたが、新鉱業法ではこれに加えて権利保有者の株式に関しても政府

の事前承認を必要とする。

Page 28: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 774 -

鉱業法の新旧対比表

鉱業権の種類 対象行為 着 手 期 間 更 新 旧 新 旧 新 旧 新 旧 新

Reconnaissance License

Prospecting & Research License

最大 25,000 ha まで。た

だし採掘権とともに有す

る場合は 80ha まで。独

占的に当該区域で試掘権

にて規定された鉱種の探

査を実施。法規で定めら

れた範囲内での試料や見

本の採集、採掘の可能性

を決定するために必要な

範囲内での鉱石のサンプ

リングや選鉱試験、上述

のサンプルや見本の販売

等が許可される。

-

2 年

・建設資材用鉱物

2年

・その他鉱物/

ミネラル水

5年

・建設資材用

2年

(1回のみ)

・その鉱物/ミネ

ラル水 3年

(1回のみ)

Exploration License

180日 5 年

Mining Concession

鉱物資源の開発・採掘。 最大

6 年 48ヶ月 25年 25 年 左記期間と同数

(1 回のみ)

Mining Certificate

小規模鉱山の操業。鉱区

面積 500ha 以内

非砂鉱床の場合 /露天掘

り 1 万 m3/年以内・坑内

掘深度 20m 位以内。

2 年 10 年 左記期間と同数

(1 回のみ)

Mining Pass

特定された地域における

小規模鉱山の操業。簡単

な設備工具を使用した原

始的な操業、少量小規模

生産、人力式選鉱・輸送。

1 年 5 年 左記期間と同数

(1 回のみ)

出典:政府発表資料を基に作成 出所:JOGMEC「平成 26 年度海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭開発状況」 (3)関連法制度 7 ① 鉱業規則(Mining Regulation)の変更

2007 年に鉱業規則の一部に変更があった。大きな変更は、鉱業権を取得したにも関

わらず、1 年以上何らの活動を行わなかった場合には鉱業権は取り上げるようにした

ことである。その他、建材に関する採掘免許は地方政府の管轄に移管したことや、試

掘鉱区境界のくい打ち義務の廃止等がある。 ② 税制優遇措置

• ロイヤルティは課税対象所得から控除できる。 • 探鉱及び開発期間の費用は、生産の第 1 年度まで繰延べ及び留保が可能。 • 標準法や鉱山寿命による定額法の代わりに探鉱及び開発費用を特別償却できる。 • 生産開始から 10 年間法人所得税(32%)を半分から 24%まで低減できる。 • 非居住外国人下請業者には売上税を免除し、所得税は 15%とする。 • 探鉱及び鉱山設備は、探鉱及び鉱山操業中にはそれらの輸入税を免除する、この

免税は下請業者にも適用される。 7 NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭

開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月、等を参照。

Page 29: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 775 -

• 鉱産品の輸出に関する税を免除する。 • 外国資金ローンの利子返済に対する源泉徴収税を免除する。

③ その他 • 環境法(Environmental Law No.20/97) • 鉱山環境規則(Environmental Mining Regulation) • 水に関する法律(Water Law No16/91):水の利用及び排出に関する法律 • 海洋法(Ocean Law No.4/96) • 土地所有法(Land Law No.19/97):モザンビークにおいては、土地は国家の財

産であり、この法律は土地の利用と認可に関するものである。 6.輸送インフラの運営・維持管理 (1)Nacala 回廊鉄道/港湾プロジェクト モザンビークの新石炭積み出し基地であるナカラ・コール・ターミナルからの石炭輸出が

15 年 8 月に開始される。ナカラ・コール・ターミナルは、ヴァーレが中心となって進めてい

るナカラ回廊鉄道/港湾プロジェクトの一環として、モザンビーク北部のナカラ港に新設され

た。テテ州の炭田地帯で生産された原料炭をアジア地域などに大量輸出するため、炭田地帯と

ナカラ港を結ぶナカラ回廊鉄道を整備・拡充するとともに、ナカラ港に大型コール・ターミナ

ルを建設しようというもの。ステージ 1 での出荷能力は 1,100 万トン/年(完了)。ステージ 2では 2,200 万トン/年に引き上げられる(2017 年内に完了予定)。ナカラ回廊鉄道は、隣国の

マラウィを横断する 912km の石炭輸送用鉄道であり、鉄道新設工事はすでに終了している。

能力増強工事が 2015 年第 3 四半期に終了すれば、ステージ 1 は完了する。ナカラ・コール・

ターミナルからの石炭輸出が本格化すれば、モザンビークでは①セナ鉄道/ベイラ港、②ナカ

ラ回廊鉄道/ナカラ港、の 2 つのルートが確立された。ベイラ港は水深が浅く、パナマックス

以上の大型船を受け入れることができないが、ナカラ港ではケープ船も受け入れられ、アジア

地域に大量に輸出することが可能だ。プロジェクトの権益はヴァーレが35%、三井物産が35%、

モザンビーク企業保有(2015.07.22、2015.11.13 テックスレポート)。 ●Nacala 鉄道 輸送能力 22Mt ( 石炭 1800 万トン + 一般貨物 400 万トン)

●Nacala 港 ケープサイズ船舶接岸可能、輸出能力 1800 万トン

●Macuze 回廊 PJ(F/S 段階) 輸出能力: Phase 1 ⇒ 2500 万トン (2019-25)

Phase 2 ⇒ 5000 万トン (2026-34) ●最大船舶サイズ :パナマックス(1st stage)

(2)Beira コール・ターミナル/Sena 鉄道プロジェクト モザンビーク港湾鉄道会社が運営、ターミナルの使用比率はヴァーレが 68%、ICVL が

32%(2015.11.16 テックスレポート)。 ●Beira 港

Page 30: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 776 -

最大受入船舶はハンディーマックス (35ktDWT)、輸出能力:6 百万トン ●Sena 鉄道 輸送能力 650 万トン、拡張計画あり

輸送ルート別輸送インフラ関係組織

Page 31: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 777 -

出所:NEDO「平成 23年度海外炭開発高度化等調査(モザンビークにおける石炭資源の開発状況)」

Page 32: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 778 -

7. 港湾施設

マブート港

Nakara港

Beira港

フェーズ4でMatra Coal Terminalの拡張計画により、2,000万トン/年の積み出しが可能となる。

Valeが1,800~2,000万トン/年の石炭輸送を計画。一部新規に鉄道を建設。

2013年にVale、Rio Tintoが350万トン/年の積み出しを行う。将来の拡張で900万~1,800万トン/年の積み出し能力が必要。推進が浅く、パナマックスサイズが入れないため、35,000トンのトランス・シップメントで沖合まで運び、本選に積み込んでいる。

ジンバブエから輸送する場合

ジンバブエから石炭を運ぶ場合、60万トン/年位ならBeira港であれば問題ないとのこと。また貨車、機関車ともジンバブエ側が用意すれば、モザンビークの鉄道(CFM)から鉄道使用量、通貨量からキャッシュバックが可能。

出所:JOGMEC 平成 24 年度海外炭開発高度化等調査「ジンバブエ及びケニアにおける石炭資源の開発状

況、輸送インフラの整備状況及び我が国への輸出ポテンシャル調査」

8.炭鉱の権益獲得に関する最近の情報

三井物産、モザンビーク資産の買収 =モアティーズ炭鉱とナカラ回廊鉄道/港湾権益

三井物産が 28 日に、ブラジルのヴァーレからモザンビークの大規模原料炭炭鉱であるモ

アティーズ炭鉱の権益ならびにナカラ回廊鉄道/港湾プロジェクトの権益を買収した。具体

的にはヴァーレから、モアティーズ炭鉱の権益を 95%保有する子会社の持ち分 15%と、

ナカラ回廊鉄道/港湾プロジェクトの権益を約 70%保有する子会社の持分 50%を一括買収

したもの。これらの結果、三井物産はモアティーズ炭鉱の権益を 14.25%、ナカラ回廊鉄

道/港湾プロジェクトの権益を約 35%間接保有することになった。ヴァーレは 2017 年に、

モアティーズ炭鉱での石炭生産量ならびに石炭販売量を各 1300 万トンに引き上げる。炭

種別の販売比率は原料炭が 65%、一般炭が 35%であり、原料炭の 32%が日本/韓国/台湾

に輸出される。さらに同社は同炭鉱の精炭生産量を 2018 年に 1800 万トン、2019~2020年に各 1900 万トン、2021 年に 2 千万トンに拡大する計画。ナカラ・コール・ターミナル

は石炭出荷能力 1800 万トン/年、一般貨物出荷能力 400 万トン/年を有する(2017.3.29 テ

ックスレポート)。 モザンビーク原料炭権益(ヴァーレ)=三井物産に月内売却完了 伯資源大手のヴァーレは

15 日、モザンビークの原料炭事業の権益を三井物産に売却する手続きを月内に完了すると

発表、約 7 億 7 千万米㌦(882 億円)でモアティーズ炭鉱とナカラ港への輸送インフラの

権益を取得する。三井物産は懸案だった年産2200万㌧の大規模原料炭への参画を果たす。

両社は 2014 年に権益の売買で合意した(2017.3.17 テックスレポート)。 ICVLがベンガ炭鉱の石炭生産を近く再開、ジンダル社のチロゼ炭鉱に続いて。ICVL は

2015 年に入り原料炭輸出価格が急落しベンガ炭鉱の経営が悪化したこともあって、2015年末に石炭生産を停止した。輸出マーケットが 2016 年夏を境に急回復したことを受け、

Page 33: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 779 -

十分に採算が取れると判断し、石炭生産を再開することを決めた(2017.2.6 テックスレポ

ート)。

モアティーズ炭鉱拡張2が 2015年内に完了。モザンビークで進めているモアティーズ炭鉱拡

張ステージ 2 の工事進捗率が 9 月末時点で 96%に達したことを明らかにした。ステージ 2が完了すれば、生産能力は 2,200 万トンに倍増する(2015.10.27 テックスレポート)。

モアティーズ炭鉱拡張の進捗率が 93%に。ナカラ回廊鉄道・既設区間の工事は 74%終

了。ヴァーレは 30 日、モザンビークで進めているモアティーズ炭鉱拡張ステージ 2 の総合工事

進捗率が 6 月末時点で 93%に達したことを明らかにした。モアティーズ炭鉱は、2011 年

に石炭生産が開始された。2013 年に拡張ステージ 1 が終了し、生産能力が 1,100 万トン

(強粘結炭 850 万トン、一般炭 250 万トン)に高まった。ステージ 2 は 2015 年内に完了

する予定で、生産能力は 2,200 万トンに倍増する(2015.08.03 テックスレポート)。 Jindal Steel 社のチロゼ炭鉱で 131 万トンの生産。 2014/15 年度(15 年 3 月末まで

の 1 年間)で 131 万 2 千トンの原炭を生産した。前年度比では 95 万 8 千トン(270%)

の増加である。原料炭はインドに輸出され、一般炭は隣接する石炭火力発電所に供給され

る(2015.3 月テックスレポート)。 インド公社が ICVL から脱退へ。インド石炭公社(Coal India)が、ICVL から脱退する

ことガ 3 月初めに分かった。ICVL は、海外での優良資源を積極的に獲得するためにイン

ドの国営企業 5社が出資して 2009年に設立した。ICVLにはCILとインド鉄鋼公社(SAIL)が各 28%、RINL、NMDC、NTPC の 3 社が各 14%出資する。ICVL は 14 年 10 月にリ

オ・ティントからベンガ炭鉱の権益 65%に加え、ザンベージおよびテテ・イーストの権益

100%で、買収額は 5 千万米ドル。しかし、原料炭の安定供給が必要な SAIL/RINL/NMDCと、原料炭を重視しない CIL/NTPC との間で、モザンビークでの原料炭輸出事業をめぐっ

て対立が表面化していた(2015.05.15 テックスレポート)。 ミナス・モアティーズ炭鉱を操業していた英国の Beacon Hill Resources plc の経営が破

綻し、管財人の管理下におかれている(2015.4.10 テックスレポート)。

三井物産がヴァーレからモザンビークのモアティーズ炭鉱の権益を 15%取得する。さらに

、ヴァーレが進めているナカラ回廊プロジェクトの権益も取得する。初期投資は 7 億 6300 万

ドル(約916億円)。拡張費を含め三井物産の総投資額は1,200億円を越えそうだ。(2014.12.08 テックスレポートなど)。

インドの International Coal Ventures Private Limited が、リオ・ティント社からモザンビ

ークの複数原料炭資産を買収する見通しとなった。ベンガ炭鉱の権益 65%に加え、ザンベー

ジプロジェクトおよびテテ・イーストプロジェクトの権益 100%を約 1 億 800 万ドルで買収す

る(2014.7.28 テックスレポート)。 モザンビークに 600 億円超の円借款。政府はモザンビークの主要港から内陸に伸びる「ナカ

ラ回廊」などの建設のため、5 年間で 600 億~800 億円を供与する(2014.1.6 日本経済新聞)。 9.その他 住商、モザンビークに約 200億円でガス火力発電を受注、官民で強化の動き。 現地国

営電力公社からガス火力発電所を受注。JOGMEC と三井物産などは技術者育成を支援す

Page 34: 2.16 モザンビーク - JOGMECcoal.jogmec.go.jp/content/300356627.pdf2.16 モザンビーク - 747 - 2.16 モザンビーク 1.一般情勢 (1) 国名 (英語名) モザンビーク共和国

2.16 モザンビーク

- 780 -

る。首都マプトから 700 キロの土地に 2018 年着工し、21 年の完成を目指す。出力は 10万 kW で同国の電力需要の 1 割を賄う。IHI が発電設備を供給する。千代田化工も国営石

油会社とガス処理プラント建設の技術協力で合意する(2017.3.15 日本経済新聞)。 モザンビークにで火力発電。住友商事は IHI と組み、マプト近郊で国営電力公社からガ

ス火力発電所の建設工事を受注。2018 年の完成を目指す。出力は 11 万 kW(2016.2.17日本経済新聞)。