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平成 21年度経済産業省委託調査

平成平成平成平成 21212121年度資源循環推進調査委託費年度資源循環推進調査委託費年度資源循環推進調査委託費年度資源循環推進調査委託費 3333RRRRシステムシステムシステムシステム化可能性調査事業化可能性調査事業化可能性調査事業化可能性調査事業 ----製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグのののの全量高炉循環全量高炉循環全量高炉循環全量高炉循環システムシステムシステムシステム構築構築構築構築にににに係係係係るるるる調査調査調査調査 成果報告書成果報告書成果報告書成果報告書

平成平成平成平成 22222222年年年年 3333月月月月

受託者受託者受託者受託者 JFEJFEJFEJFEテクノリサーチテクノリサーチテクノリサーチテクノリサーチ株式会社株式会社株式会社株式会社

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目 次 1. 緒言 1.1 背景

1.2 調査目的

1.3 検討委員会の設置及び運営

2. 高炉循環システム実用化検討 2.1 製鋼スラグの高炉循環システムにおける技術課題 2.1.1製鋼スラグ高炉循環システムについて (1)製鋼スラグ (2)製鋼スラグの高炉循環システムフロー 2.1.2製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対応 (1)鉄鋼メーカーへのヒアリング (2)製鋼スラグ高炉循環システム構築における技術的課題と対策のまとめ

2.2 製鋼スラグからのリン分離・回収技術に関する技術調査 2.2.1文献調査 (1)文献データベースによる検索調査 (2)技術動向分析 2.2.2ヒアリング調査 (1)ヒアリング先及びヒアリング項目 (2)ヒアリング結果 2.2.3技術比較検討 (1)対象技術の抽出と技術比較検討 (2)技術比較検討の総括 (3)実用化検討を実施する技術

2.3 製鋼スラグの高炉循環システムの可能性調査 2.3.1製鋼スラグ高炉循環システムフローのケース設定 (1)ケースⅠ (2)ケースⅡ 2.3.2製鋼スラグ高炉循環システムケーススタディ (1)進め方 (2)物質収支の検討 (3)エネルギー収支及び CO2排出量試算 (4)経済性の検討

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2.3.3製鋼スラグ高炉循環システムの可能性検討 2.4 製鋼スラグから分離したリンの資源化可能性と課題 2.4.1リン資源需給状況 2.4.2リン資源の利用面からの潜在ニーズと課題 (1)肥料又は肥料原料 (2)その他の原料 (3)まとめ 2.4.3リン資源利用可能性サンプル試験 (1)サンプル試作 (2)肥料試験 (3)まとめ 2.4.4リン資源化実現に向けた課題の整理

2.5 鉄及び他の資源循環について 2.5.1鉄 2.5.2マンガン

3. 開発事業計画立案 3.1 開発基本方針 3.1.1開発目標 3.1.2開発対象となる基本プロセス

3.2 事業計画 3.2.1応用研究 3.2.2実用化研究

4. 検討委員会開催状況

5. 結言 別添資料 ・肥料試験結果報告書

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1. 緒言

1.1 背景 我が国の鉄鋼業においては、従来より環境に配慮した活動として、副産物の有効利用や高度リサイクルシステムの構築が重要な視点として取組まれてきている。特に、高炉スラグは強い水硬性を有しており、セメント混和材として付加価値の高い高炉セメント原料など、幅広い用途に使用されている。一方、製鋼スラグは、土木、地盤改良用、肥料等に利用されてはいるが、焼石灰成分の未滓化による free CaO に起因する膨張性、高 pH水の溶出などのため、高炉スラグのような付加価値の高い用途には利用され難く、使用範囲が限定されている状況である。こうした中で、従来より、製鋼スラグは Fe、CaO源の循環利用を目的として製銑プロセスでの効果的な処理、利用の研究開発が実施されてきたが、製鋼スラグ中に含有するリンが、還元雰囲気の高炉で溶銑に移行するため、循環利用は鉄鋼製品の品質への影響から十分実施されていないのが現状である。 ところで、一昨年、各種の製造原料需給が逼迫し、その価格が高騰するなど需給が不安定な状況があった。肥料や各種化学製品の原料として必須であるリンについても、世界的な肥料需要の伸び等により、2008 年度は輸入価格が前年の価格の 3 倍以上に急騰し、リン資源を全量海外に依存する我が国では入手困難が顕在化した。 リンは有用な資源である反面、環境中に放出されると水域の富栄養化の原因となる場合があるため、我が国では従来から排水処理におけるリン除去技術と除去したリンの有効利用技術が検討されてきた経緯があるが、これに加え、上記背景のもと、近年、未利用資源に対する関心が高まっており、製鋼スラグ中のリン成分の有効活用が検討されるようになってきた。このような中で、スラグの有効利用とリンの分離回収利用の双方に効果のある技術の研究開発が注目されている。

1.2 調査目的 本調査事業は製鉄プロセスでの3Rを促進するとともに、我が国のリン資源確保に貢献する技術として期待される「製鋼スラグからのリン分離技術」と、これを適用した「製鋼スラグ高炉循環システム」の開発に関して、その実施の判断に資することを目的に、これら技術について調査し、実現性と実施時の効果を評価することを目標とする。

1.3 検討委員会の設置及び運営 本調査では、関係する分野の専門的知見を有する専門家により調査方法及び調査内容の検証、関係する専門的知見の提供を目的に検討委員会を設置し、開催した。表1.1に検討委員会委員名簿を示す。

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表 1.1 平成 21年度「製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査」 検討委員会委員名簿

委員会は 3回開催することとし、各回の主な審議議題は表 1.2のとおりである。

表 1.2 検討委員会の主な議題

審議議題 第1回 ・実施計画書承認 ・調査及び分析方法の検証 第2回 ・各委員の関連する専門的知見の提供 ・調査中間結果の妥当性検討 第3回 ・調査結果及び事業成果の妥当性検討

役割 氏名 (敬称略)

所属及び役職 委員長 月橋 文孝 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 委員 後藤 逸男 東京農業大学 応用生物科学部 教授 委員 長坂 徹也 東北大学大学院 環境科学研究科 教授 委員 山田 一郎 JA全農 営農技術センター 技術主管 委員 用山 徳美 日本肥料アンモニア協会 (日本燐酸㈱ 技術室長) 委員 岸本 康夫 JFEスチール㈱ スチール研究所 製鋼研究部長

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2. 高炉循環システム実用化検討

2.1 製鋼スラグの高炉循環システムにおける技術課題

2.1.1製鋼スラグ高炉循環システムについて

(1)製鋼スラグ 鉄鋼プロセスから副生する主要な鉄鋼スラグは高炉スラグと製鋼スラグであるが、国内の最近の生成量は表 2.1に示すとおりである。1 また、組成の一例を表 2.2に示す。2 共に CaO、SiO2が主成分となっているが、成分割合は大きく異なっている。即ち、高炉では鉄分は還元されて銑鉄となり、鉄鉱石、炭材中の脈石分に起因して SiO2、MgOなどの酸化物成分が高炉スラグに移行する。安定した高炉操業のために炉内の溶融物の流動性を確保する必要があり、高炉スラグは塩基度(=CaO/SiO2)が約 1.3程度に維持されるように石灰石を投入して調整されている。このため、高炉スラグは CaO、SiO2、Al2O3等を主体とする組成となる。製鋼工程では銑鉄が酸化精錬処理される際、塩基性の精錬剤として CaO等が添加されるため、生成する製鋼スラグには CaOの他、溶銑成分の酸化により生成した SiO2や一部酸化した鉄分及びメタル鉄を含む組成となっている。一般的に塩基度が 3から 4ではCaO が 51~59%、SiO2が 13~19%、T-Fe が 10~18%、MnO が 4~6%、P2O5が 2~3%であり、塩基度が 4 から 5 では CaO が 47~51%、SiO2が 12~15%、T-Feが 14~20%、MnOが 5~6%、P2O5が 1~2%である。3

表 2.1 鉄鋼スラグの生成量 1 (単位:千トン)

平成 18年度 平成 19年度 平成 20年度 高炉スラグ 24,769 25,437 22,877 製鋼スラグ(転炉系) 10,265 10,631 10,195 高炉銑 84,919 87,867 78,497 参考 粗鋼(転炉鋼) 86,924 90,548 79,793

表 2.2 製鋼スラグ(転炉系)の化学組成例 2 (単位:%)

CaO SiO2 T-Fe MgO MnO Al2O3 P2O5 S 高炉スラグ 41.7 33.8 0.4 7.4 0.3 13.4 <0.1 0.8 製鋼スラグ(転炉系) 45.8 11.0 17.4 6.5 5.3 1.9 1.7 0.06

鉄鋼スラグは従来から各種用途に活用されている。図 2.1に鉄鋼スラグの利用状況を示す。高炉スラグはセメント原料利用が 66%を占め、その 40%は輸出用である。その他の利用は道路用資材、コンクリート骨材などである。製鋼スラグは土木 1 鐵鋼スラグ協会「鉄鋼スラグ統計年報(平成 20年度実績)」平成 21年 8月 2 鐵鋼スラグ協会パンフレット「鉄鋼スラグ製品の特性と有用性」FS111、平成 21年 3 日本鉄鋼協会「鉄鋼便覧(第 4版)」表 8・37、平成 14年 7月

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(高炉スラグ) (製鋼スラグ) 図 2.1 鉄鋼スラグの利用状況 1 用資材、道路用資材が中心でこれらの利用が 68%を占めている。 高炉スラグは水硬性を有し、微粉砕することでよりその効果が高められるため、水砕処理された高炉スラグは比較的付加価値の高いセメント原料として広く流通している。 一方、製鋼スラグは未滓化状態の石灰分(CaO)を含んでおり、化学的に不安定で、 膨張やアルカリ水の溶出等の懸念があり、使用時に不都合な現象を生じることがあり、必ずしも有効利用が進んでいない状況である。このため、従来から、製鋼スラグが高炉スラグに比べ塩基度が高い特性に着目し、CaO源として高炉へ再投入し、高炉副原料である石灰石使用量の低減を図る等の実用化が検討されてきた。しかしながら、鉄鉱石の不純物として持ち込まれるリンが製銑-製鋼の過程で製鋼スラグ中に P2O5換算で%オーダーまで濃縮されているため、このままで製鋼スラグを多量に高炉投入することは溶銑中のリン濃度の上昇をもたらし、結果的に鋼の品質を低下させる原因となる。そのため、製鋼スラグの高炉循環はこれまでは試験的或いは極少量に止まっている。 製鋼スラグを高炉循環するためには、製鋼スラグ中のリン濃度を極力低下させる必要がある。そこで、製鋼スラグ中のリンを分離処理し、リン含有率の低いスラグ(以下、リン低減スラグと言う。)とリン含有率の高いスラグ(以下、リン濃縮スラグと言う。)に分離し、リン低減スラグは CaO源として高炉に投入して製鉄プロセス内で循環利用し、リン濃縮スラグはリン資源として、例えば肥料への利用などが可能となる様なシステムの構築が注目されるようになってきた。

(2)製鋼スラグの高炉循環システムフロー 図2.2は製鋼スラグからリンを分離除去したリン低減スラグを高炉へ全量循環利用を想定したプロセスフローである。すなわち、溶銑に対して行う脱リン処理などの溶銑予備処理や転炉での製錬によりリンが移行している製鋼スラグからリンを分離するプロセス(破線部)を付加して、リン低減スラグの循環利用とリン濃縮ス

セメント66% 地盤改良材1%道路15%他利用2%コンクリート骨材11% 土木5%

地盤改良材5%土木45%セメント5%加工用原料2% 再利用12% 埋立等3% 他利用5% 道路23%

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図 2.2 製鋼スラグ高炉循環システムフローの想定

高炉

焼結 (鉄鉱石) (石灰石) (コークス) (焼結鉱等)

(高炉スラグ) 利用:セメント原料等 (焼石灰・ドロマイト)

転炉 (転炉スラグ) (溶銑)

((((鋼鋼鋼鋼)))) 二次精錬

(スクラップ・合金鉄等)

(製鋼スラグ)

溶銑 予備処理 (脱リンスラグ) 利用:肥料等 (改質製鋼スラグ) (リン濃縮スラグ) リン分離回収

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ラグの利用を実現するフローの例である。 このシステムの実用性を評価するために想定されるメリットとデメリットをまとめると表 2.3のようになる。次節以降、これら高炉循環システム構築の得失を精査し、実用化検討を行う。

表 2.3 製鋼スラグ高炉循環のメリットとデメリット メリット デメリット ・製鋼スラグが石灰石の代替となることで石灰石の使用量削減 ・従来の製鋼スラグ中の鉄分の循環利用促進による鉄源の節約 ・リンを分離濃縮したリン資源回収による付加価値創出及び国内リン資源確保への寄与 ・製鋼スラグが結果的に高炉スラグに転化する事による鉄鋼スラグの安定的利用の拡大

・高炉の操業条件変更 ・製鋼工程の操業条件変更 ・リン分離処理装置の新設及び運転費によるコスト増

2.1.2製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対応 (1)鉄鋼メーカーへのヒアリング 技術的課題抽出のために鉄鋼メーカーへのヒアリングを行った。ヒアリング項目を以下に示す。

鉄鋼メーカーへのヒアリング項目 1.製鋼スラグの現状 ①現状の製鋼スラグの利用状況 ②製鋼スラグの利用における今後の方向性

2.製鋼スラグの製鉄プロセス内での再利用の可能性について ①製鋼スラグを高炉等に循環利用することで製鋼スラグの場外搬出量を低減する操業について ②製鋼スラグの循環利用を進める上での含有するリンの対策について

3.製鋼スラグ中のリンのリン資源としての活用について リン濃度の高いスラグのニーズがあった場合、リン分離回収を進める可能性

鉄鋼メーカー3社に対して直接面談又は書面によるヒアリングを実施した。回答結果をまとめると表 2.4のとおりとなる。

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表 2.4 ヒアリング結果

No.1 No.2 No.3 質問事項 A社 B社 C社 現状の利用状況

土工用 肥料

肥料 主に土工用 製鋼スラグの利用 今後の方向性 リン分離後 全量高炉循環とリン資源化

低リン濃度スラグの活用 (シリカ含有の効果)

他材料とのハイブリッド化 高炉循環操業 リンを除去し、全量石灰石代替として利用

ニーズ調査中、 リン低含有部分の使用検討

- 製鋼スラグの製鉄プロセスでの利用 リン対策 リン分離技術採用

ニーズ調査中 脱リンプロセスでの分離性向上 リン資源化 リン高濃度化技術の実用化

ニーズ調査中、リン高含有部分の外販

各社とも、製鋼スラグの処理と利活用については高い関心があった。具体的な方向性としては A 社は全量高炉循環システムを想定している。B 社はニーズを見極めた上、何らかの方法で高リンスラグと低リンスラグを分離し、別々の活用を考えている。C社は、脱リンプロセスでのリン除去性能の向上と、他の材料と混合することによる新たな用途を目指している。 そこで、製鋼スラグの全量高炉循環システムを具体的に想定している A 社に対して、システム実用化時に想定される技術的課題について更にヒアリングを行った。ヒアリングで得られた知見を次節でまとめる。

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(2) 製鋼スラグ高炉循環システムにおける技術的課題と対策のまとめ ①現状の製鋼スラグの循環利用状況 ⅰ)製鋼(転炉)スラグの現状の処理フロー

(メタル分)→ スクラップ材へ

図 2.3 現状の転炉スラグ処理フローの例

・高炉循環の方法について 鉄鋼製品の品質に影響を与えない範囲で、細かい粒度(10mm以下)のものは焼結鉱原料へ、塊状(10mm以上)のものは直接高炉に投入。 ⅱ)現状の課題 ・場外搬出(外販等)分の用途が、主に、埋め戻し材等であり、高炉スラグに比べ製鋼スラグの付加価値は低い。 →場外搬出分を高炉に循環使用(製鋼スラグの高炉全量循環)により、製鋼スラグを結果的に高炉スラグに転換する。

②製鋼スラグの高炉循環に伴い想定される課題 ・高炉操業:転炉スラグは SiO2を含むため、石灰石代替で高炉に投入する場合に高炉内の塩基度(=CaO/SiO2)を維持するためには余剰の SiO2 に見合ったCaO(石灰石にて充当)を必要とし、結果的に従来よりも高炉のスラグ比が増大する。このため、単位溶銑当たりのエネルギー原単位が上昇する。

転炉

(転炉スラグ) ヤード放流冷却 破砕(<40mm)

0~10mm

磁選 焼結原料 場外搬出(外販等)

高炉直接投入

分級

10mm以上

高炉循環

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→ 製鋼スラグ減少によるメリットとトータルでの評価が必要。 ・焼結工程①:転炉スラグの投入量が増えると、SiO2 分の増加により原料が加熱されにくくなり、焼結鉱の品質が低下する可能性がある。 → 小型の焼結試験により想定される原料配分で確認する。 ・焼結工程②:焼結工程経由の高炉投入に制限が生じる場合は、微細状態のものは既設造粒装置によりペレット化して高炉投入。 → 造粒装置能力による制約有り。造粒設備増強の必要性検討。

③課題に対する検討 ヒアリング調査から想定される課題に対しての対応をまとめると表2.5となる。 表 2.5 製鋼スラグの高炉循環実施に際して想定される課題の抽出 課題 対象となる工程

想定される 課題

課題解決のための対策 実施方法 高炉操業 高炉内塩基度維持 →エネルギー原単位増

製鋼スラグ循環利用時のメリット(①場外搬出量低減、②石灰石低減、③リン資源利用)と デメリット(高炉エネルギー消費量増)との総合評価から許容される循環量を把握。

本調査にて分離技術の絞込み後、想定する具体的工程で収支試算、得失検討を実施。 焼結工程 原料成分変化による加熱阻害

小型焼結試験によって許容される原料成分範囲を把握

今後の開発計画に反映 高炉投入ペレット製造

ペレット量増 ・ペレット製造能力の検討 ・焼結工程条件からペレット製造量を試算し、ペレット製造設備を検証

今後の開発において焼結工程条件を勘案してペレット製造能力を試算。

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2.2 製鋼スラグからのリン分離・回収技術に関する技術調査

2.2.1文献調査 (1)文献データベースによる検索調査 文献調査の対象となる技術はⅰ)製鋼スラグのリン資源活用、ⅱ)製鋼スラグの高炉循環利用、に関するものとした。文献検索システム及び検索条件は以下である。 ア)検索システム:JDreamⅡ(運営:JST((独)科学技術振興機構)) イ)データベース:JSTPlus ウ)期間:1982年~ エ)言語:制限なし オ)対象:原著論文、解説 カ)検索式:

(a)リン資源としての活用に関する技術 製鋼スラグに含有するリンの資源化に関する内容と、そのための製鋼スラグからのリン分離に関する記事を検索するために、以下の検索式を用いた。

L1=(製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ+鉄鋼スラグ※+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理スラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*リンリンリンリン*(分離分離分離分離+除去除去除去除去+濃縮濃縮濃縮濃縮+回収回収回収回収+資源資源資源資源+資源化+再資源化+資源再生資源再生資源再生資源再生+利用利用利用利用+リサイクルリサイクルリサイクルリサイクル+3R+肥料肥料肥料肥料) 太字太字太字太字:シソーラス用語 ※:シソーラス用語である製鋼スラグ、高炉スラグを含まない。 (b)高炉循環利用に関する技術 以下のL2とL3の合算から重複を除いた。

L2=(製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ+鉄鋼スラグ+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理スラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*高炉高炉高炉高炉*(カルシウムカルシウムカルシウムカルシウム+カルシウムカルシウムカルシウムカルシウム化合物化合物化合物化合物+石灰石灰石灰石灰石石石石+石灰石石灰石石灰石石灰石*代替)

L3=(製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ+鉄鋼スラグ+転炉スラグ+脱リンスラグ+溶銑予備処理スラグ+溶銑処理溶銑処理溶銑処理溶銑処理*スラグスラグスラグスラグ)*高炉高炉高炉高炉*(循環+返送+リユース+リサイクルリサイクルリサイクルリサイクル+資源再生資源再生資源再生資源再生)

(2)技術動向分析 ①リン資源としての活用に関する技術 ヒット数:108件 ヒットした 108件につき、抄録を入手し、内容を分類した。結果を表 2.6に示 す。分野名「製鋼プロセス」は、製鋼スラグからのリン分離除去以外で、溶銑予備処理による溶銑からのリン分離がヒットしたものである。また、「その他」に該当する出力は合金鉄関係や汚泥焼却灰からの溶融処理によるリン分離回収などであり、直接的には製鋼スラグからのリン回収には関係のないノイズであると判断される。これら以外が製鋼スラグ等の利用に関連している。

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表 2.6 文献内容の分類

分野 内容 件数 水処理 製鋼スラグを用いた排水処理(リン除去) 11 植物プランクトン繁殖

CO2 固定化を目的にした製鋼スラグの海水への栄養供給

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製鋼スラグをそのまま使用するもの その他直接利用 上記以外製鋼スラグの直接利用(セメント原料等)

5 リン回収 製鋼スラグからのリン分離回収 14* 製銑工程へ循環 製鋼スラグの高炉循環利用 4 製鉄工程循環 製鋼工程内循環 製鋼プロセス内でのスラグの循環使用 2 溶銑からのリン分離

製鋼プロセス 溶銑予備処理や脱リン処理など製鋼プロセスの操業に関する解析、実験、計算等

60 その他 3 計 108 製鋼スラグ等を直接利用する技術としては、排水処理への適用に関連したものが 11 件あった。これは排水中のリンを製鋼スラグによってリン鉄のような形態で固形化し、除去しようというものである。また、海水中の植物プランクトンにCO2を固定化させるために、植物プランクトンの栄養源として製鋼スラグの適用を想定したものが 9件あった。これら以外ではセメント原料等が 5件あった。 製鋼スラグの製鋼プロセス内及び高炉への循環利用(製鉄工程循環)に関するものが 6件あったが、この内高炉への循環利用に関するのは 4件であった。 製鋼スラグからのリン回収に関するものは 14 件(*)であるが、同一の論文の日本語版と英語版が重複して出力しているものがあり、実際は 13件であった。

②高炉循環利用に関する技術 ⅰ)L2:製鋼スラグ等を石灰石代替で高炉に投入 出力数は8件 出力した文献のうち、石灰石代替に転炉スラグの効果に言及しているものが1件あった。 ⅱ)L3:製鋼スラグ等を高炉でリサイクル 出力数は 14件 出力した文献のうち、3件が製鋼スラグの高炉循環使用に関するものであった。 上記 4 件(L2:1 件、L3:3 件)に、前述の L1 で出力した製鋼スラグの高炉循環に関する 4件を加えた 8件が高炉循環利用に関する技術の文献数である。これらの文献は製鋼スラグ中の鉄、マンガン等の有用成分の再利用やスラグ排出量の抑制を目的に製鋼スラグの高炉投入に関し、銑鉄組成への影響やコスト低減効果

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についての実証的な研究が多い。ただし、リンに言及しているのは脱リン処理剤としての製鋼スラグの利用に関するもの(2 件)であり、リン資源に着目したものは無かった。

(3)出力情報 「製鋼スラグからのリン分離技術」(13件)及び「製鋼スラグの高炉循環利用に関する技術」(8 件)については標題及び著者名、資料名などの検索時出力情報を以下に示す。

【該当した文献】 1.製鋼スラグからのリン分離技術 (1)磁気による分離

1-1)松八重(横山)一代, 久保裕也, 長坂徹也、“磁気分離法による溶銑脱リンスラグからのリン回収法で生成する残渣スラグのリサイクル効果”、鉄と鋼、Vol.95, No.3, Page.306-312 (2009.03.01)

1-2)横山一代, 久保裕也, 長坂徹也, 森一広, 岡田秀彦, 竹内秀次、“強磁場を利用した製鋼スラグからのリンの分離回収”、鉄と鋼、Vol.92, No.11, Page.683-689

(2006.11.01) (2)マイクロ波による加熱還元

2-1)森田一樹、“マイクロ波加熱とは-多様な応用展開-マイクロ波熱炭素還元による廃棄物・スラグの資源化”、金属、Vol.76, No.8, Page.882-887 (2006.08.01)

2-2)K.Morita, M.Guo, N.Oka, N.Sano、“Resurrection of the iron and phosphorus

resource in steel-making slag.”、J Mater Cycl Waste Manag 、Vol.4, No.2,

Page.93-101 (2002)

2-3)K.Morita, N.Sano、“New iron and steelmaking process for environmental

protection. New roles of steelmaking slags.”、Glob Symp Recycl Waste Treat

Clean Technol 1999 Vol 2、Page.1583-1592 (1999) (3)アーク炉による還元

3-1)M.Dziarmagowski、“Investigations on the Reduction Level of the Converter

Slag during its Melting in an Electric ARC Furnace.”、Arch Metall、Vol.47,

No.3, Page.287-295 (2002) (4)プラズマトーチによる還元

4-1)竹内秀次, 佐野信雄, 松下幸雄、“Fe-Si 合金利用による転炉スラグの鉄およびりんの個別回収”、鉄と鋼、Vol.66, No.14, Page.2050-2057 (1980.12.01) (5)黒鉛るつぼによる還元

5-1)J-Y.Ryu, R.J.Fruehan,A.T.Morales、“Kinetics of Phosphorus Vaporization

From Slag.”、Iron Steelmak、Vol.26, No.1, Page.59-68 (1999.01)

5-2)S.Shiomi, N.Sano, M.Maeda, Y.Matsushita、“Dephosphorisation of BOF slag

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using tin.”、Aust Jpn Extr Metall Symp 1980、Page.487-495 (1980) (6)シリコン及びアルミによる還元

6)E.B.Cruz, J.B.F.Neto, F.B.Neto, E.Ukai, J.P.Tosetti 、“ Pyrometallurgical

stabilization of steelmaking slags. ”、 Steelmak Conf Proc 、 Vol.84th,

Page.317-327 (2001) (7)予備精錬によるスラグ中のリンの濃化

7) ХАРЛАШИН П С, НОСОЧЕНКО О В, ЗГУРЬЕВ И И, ИВАНОВ Е А,

ГНЕДАШ А В 、“ Переработка высокофосфористого чугуна в 350-т

конвертере с использованием кусковой извести.”(タイトル和訳:塊状石灰を利用した 350t 転炉での高リン銑鉄の予備処理)、Stal' No.4, Page.19-20

(1991.04) (8)リン回収技術紹介

8-1)D.Evans, T.Hartwell, N.Jones, C.Byrne、“Recycling steelmill byproducts-some

practical developments and outstanding issues”、Ironmak Steelmak、Vol.31,

No.6, Page.435-438 (2004.12)

8-2) 梅垣高士, 金村聖志、“廃棄物中のリン分の利用”、J Soc Inorg Mater Jpn 、Vol.8, No.293, Page.262-267 (2001.07.01)

2.製鋼スラグの高炉循環利用 ①R.R.Syrtlanov, S.S.Bakuma, Yu.A.Lekontsev, S.D.Abramov, S.V. Shavrin,

E.A.Vasin, V.A.Zavidonskii、“Aspects of the smelting of high-vanadium pig

iron.”、Metallurgist、Vol.43, No.7-8, Page.310-314 (1999.07) ②瀬村康一郎、“高炉系スラグ極少化のための重要技術課題とその要素技術の方向 4 トータルシステム技術 4. 加古川製鉄所における溶銑予備処理と転炉スラグリサイクルについて (日本鉄鋼協会 S)”、製鋼スラグ極少化に向けての開発動向と課題 製鋼スラグ極少化研究会最終報告書 平成 11年、Page.123-126 (1999) ③D.R.Fosnacht, M.G.Ranade, S.R.Balajee, K.B.Downing、“A product driven

primary operating strategy for Inland Steel Company.”、Steelmak Conf Proc、Vol.72, Page.293-304 (1989) ④森下仁, 山田純夫, 数土文夫, 馬田一、“底吹き転炉による高りん低けい素溶銑のスラグミニマム吹錬”、川崎製鉄技報、Vol.15, No.2, Page.93-99 (1983.06) ⑤ВОЛОВИК Г А, КОВШОВ В Н, ЕГОРОВ Н А, ЕМЕЛЬЯНОВ В А, ТКАЧ А Я,

ПЕТРЕНКО В А、“О технологической целесообразности использования

конвертерного шлака в доменной шихте, содержащей окатыши.”(タイトル和訳:ペレットを含む高炉装入原料に転炉スラグを使用する生産技術上の合目的性)、Metall Gornorudn Prom-st'、No.3, Page.8-10 (1984.07) ⑥R.Dippenaar、“ Industrial uses of slag (the use and re-use of iron and

steelmaking slags)”、Ironmak Steelmak、Vol.32, No.1, Page.35-46 (2005.02)

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⑦R.Bredehoeft、“Recycling und Abfallwirtschaft bei der ThyssenKrupp Stahl

AG.”、Stahl Eisen、Vol.122, No.7, Page.71-75 (2002.07.15) ⑧月橋文孝、“和文標題:リサイクリング 鉄鋼スラグリサイクルの現状と課題”、資源と素材、Vol.113, No.12, Page.989-994 (1997.12)

2.2.2ヒアリング調査 (1) ヒアリング先及びヒアリング項目 製鋼スラグからのリン分離技術についてヒアリングを行った。ヒアリング先は前記の鉄鋼メーカーへのヒアリングと文献検索の結果から、2大学と1鉄鋼メーカーを選定し、実施した。 ヒアリング項目は以下を想定した。 ①技術の概要 ・原理概要 ・リン分離性能(リン濃縮生成物のリン含有率、リン回収率など) ・投入エネルギー(実験時、実操業時試算) ・実設備のイメージ(既存製鋼プロセスとの関係等) ②技術的課題と今後の展開

(2)ヒアリング結果 製鋼スラグからのリン分離技術について研究者及び開発者に行ったヒアリングから得られた内容(要旨)を以下に示す。

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【No.4】 【技術対象】マイクロ波加熱による製鋼スラグからのリン分離回収技術 【ヒアリング先分類】大学研究者(材料系 教授) 【要旨】 1.製鋼スラグからのマイクロ波によるリン回収技術について (1)研究開発の経緯 ・1996年から 5ヵ年、スラグ発生量削減を目的に研究実施。 ・酸化物であるスラグを還元(還元材:炭素)し、鉄、リンをメタルにして回収。 ・加熱源として、放射性廃棄物処理向けに研究(米国研究機関)されていた閉じた空間への適用に向いているマイクロ波を利用。 (2)マイクロ波加熱の特長 ・短時間での加熱が可能であり、バッチ処理に適する。 ・加熱したいものだけ加熱できる。 ・炭材を入れて加熱すると、炭材付近の固体表面で還元してメタル相ができ、表面電流によるジュール熱での加熱の効果が加わる。粉体の加熱に向いている。 ・容易に 2000℃位まで上昇する。 ・一般的に温度が高くなる程、エネルギーの吸収率が高まる。加熱されやすい部分が高温になり易いので加熱の不均一が増大する傾向。 (3)リン分離性能 ・加熱後のメタル中のリン含有率は6~7%。 ・スラグ中のリン分の約半分はメタルに移行する。SiO2 を投入し、組成を酸性側に振ると更にメタルに移行するリンの割合は高まる。 ・リンの損失分が 2割ぐらいある。気散していると考えられる。炭材付近では高温になり易く、還元が進み、メタルが更に加熱され、リン(単体)が容易に蒸発すると考えられる。 (4)エネルギー効率 ・マイクロ波を発生するマグネトロン部の効率が 40~50%、加熱部で数十%、よってトータルでは数%(10%以下)程度と推定。 ・加熱方法の工夫:SiCで容器の内壁を作る。加熱開始直後、対象物の温度が低いうちは SiC が温度上昇して対象物を加熱する。対象物が高温になると自分自身の吸収率が上昇し、昇温する。 (5)実設備のイメージ(既存製鋼プロセスとの関係等) ・マイクロ波が到達する距離は数十 cm。大きな塊の加熱には不向き。実プロセスでは薄く広げた状態に上から照射する方式。よって、全スラグを対象とするよりも、一部を抜き出しての処理が適当を思われる。炉材の乾燥に使っている鉄鋼メーカーの例あり。 また、温暖化ガス排出抑制を目的に主要工程である高炉での加熱にマイクロ波を用いる考えがある。

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(6)技術的課題 ・スケールアップが課題となる。基礎研究はほぼ完了しており、技術的には実現可能な状況だが、スケールアップ時の加熱方法など冶金工学というより伝熱工学的な検討などが必要。 ・メタルはマイクロ波を反射してしまうと考えられているが、実際のメタルの加熱についてはまだ、未解明な部分がある。また、照射するマイクロ波の最適な波長なども把握しきれてはいない。 ・人への安全性の確保も実設備では重要な課題となる。 (3)他の資源の回収の可能性 ・Fe:還元して得られたメタルを溶融状態で K2CO3を添加して、K3PO4として除去し、Fe分を転炉の前工程に戻す。K3PO4は肥料として活用。 ・Cr:分離可能を確認している。 ・Mn:一般的な冶金の手法で分離可能と推測。 (4)今後の展開 鉄鋼スラグからのリン回収技術の実用化研究(プロジェクト)が計画された場合、参画する可能性について: ・スケールアップについては企業による開発の段階にある。大学が中心となる段階ではない。ただし、前記のような加熱方法やマイクロ波自体の研究には基礎研究の余地がある。 2.その他製鉄業における省資源、3Rの方向性など ・肥料としての性能を高めたスラグ(結晶化の制御による) ・MgOレンガの廃棄物の有効利用法(溶銑予備処理フラックスなど)

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【No.5】 【技術対象】強磁場による製鋼スラグからのリン分離技術 【ヒアリング先分類】大学研究者(環境・材料科学系 教授) 【要旨】 1.分離原理 溶銑予備処理で生成する脱リンスラグ中には 5%-P2O5 以上のリン分を含んでいるが、結晶規模で見るとリンの存在は不均一であり、リン分濃度が高いリン濃縮相とリン分濃度が低いマトリックス相に分離している。リン濃縮相は 3CaO-P2O5-2CaO-SiO2固溶体であり、マトリックス相は FeO-CaO-SiO2-MnO-MgO系である。この2相は強磁場下で分離が可能であり、実際の脱リンスラグを用いた実験ではリン濃縮相を 60%以上の収率で回収した。また、マトリックス相は 92%が分離されていた。 2.技術の特長

(1)常温処理 ・高温の溶融状態での処理を必要とせず、常温での操作であり、低エネルギー消費、装置の長寿命化、部分的或いは小規模の適用等が期待される。 ・強磁場発生装置は既に鉱物(カオリン等)からの不純物の分離等に適用されている例4がある。超伝導磁石であれば、初期の電気エネルギーだけでその後の動力はかなり小さい。冷却動力が主となると考えられる。

(2)生成物の用途 ・リン濃縮相はリン酸カルシウム及びケイ酸カルシウムが主体であり、リン酸系肥料原料に適する。 ・マトリックス相は高炉循環或るは溶銑予備処理のフラックス代替等、製鉄プロセスでの副原料使用量低減効果が期待される。 3.今後の展開 実用化に向け、磁気分離回収率の向上を図る。 ・製鋼プロセスでのリン濃縮相及びマトリックス相の粗大化促進 ・磁場の最適化

4 例えば Christianら、「Conceptual Design of a Novel Industrial-Scale HTS Reciprocating High Gradient Magnetic Separator」、IEEE Transactions on Applied Superconductivty、Vol.14、No.2、June 2004

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【No.6】 【技術対象】固体還元と酸化精錬による製鋼スラグからのリン分離技術 【ヒアリング先分類】鉄鋼メーカー(A社)開発者 【要旨】 1.処理フロー 想定している製鋼スラグの基本的処理フローを以下に示す。原則として、現状の製鋼プロセスには改造等を加えず、分離されたスラグを新たな処理システムで処理する。

2.開発フローの特長

(1)高炉循環用生成物のリン濃度の低減化 高炉に全量循環可能なレベルまでリンを除去する。

(2)リン資源の高付加価値化 回収リン含有物の利用促進のため、高濃度のリン含有物を生成するとともに、利用上不適当な物質を分離する。

(3)固体還元 製鋼スラグ中のリンを鉄分と共に還元してメタル側に移行させる処理を、完全な溶融状態より数百℃程度低い温度域で処理することで省エネルギーを図る。

(4)鉄源の有効利用 製鋼スラグ中に多量に含有する鉄分を回収する。

3.開発計画の概要

(1)要素研究の実施 固体還元処理及び酸化精錬処理の要素実験実施中。製鋼スラグから低リンスラグ及びリン濃縮スラグを生成した。リン濃縮スラグは P2O5換算で 30%までリンが濃縮しており、わが国が輸入するリン鉱石並みの品質となる可能性を示している。

(2)実用化計画

鉄源リサイクル

高炉 溶銑予備処理

(脱リン) 転炉 固体還元 酸化精錬 メタル(Fe等)

低 P、Feスラグ リン濃縮スラグ

製鋼スラグ メタル(Fe、P等)

鋼 リン資源

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今後進めるべき研究としては ①1バッチスラグ量数十 kg規模でのプロセスの有効性確認 ②生成物の利用上の課題の克服 更に、実用化のために ③リン資源利用者を含めたリサイクル体制の構築

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2.2.3技術比較検討 (1)対象技術の抽出と技術比較検討 製鋼スラグからのリン分離回収技術について文献調査及びヒアリング調査から整理する。 JDreamⅡを用いて検索した文献調査の結果から、13 件の文献が検出された。(2.2.1(2)①) これら13件を抄録内容からリン分離方法別に分類した。(表2.7) 更に、これらの文献の原著を入手し、技術内容を整理した。この内、「予備処理によるスラグ中のリンの濃化」に関する論文(p.13、7)P.S ハルラシンら「塊状石灰を用いた350t転炉での高リン銑鉄の予備処理」)はリン含有率の高い鉄鉱石を原料とした溶銑からのリン除去に関するものであった。溶銑中のリン濃度が高いため分離される脱リンスラグ中のリンが高濃度(8%-P2O5 以上)となるものであり、操作技術としては通常の溶銑予備処理での脱リン操作と同様であったため、目的としている「製鋼スラグからのリン分離技術」から除くこととした。 また、「黒鉛るつぼによる還元」は別々の2研究グループの論文であったが、基本的なリンの分離プロセスが原理的に同じものと考えられたので1技術とした。

表 2.7 文献調査からの製鋼スラグからのリン分離技術の抽出 技術数 分離方法 出力 件数 抄録より 原文より 磁気による分離 2 1 1 マイクロ波による加熱還元 3 1 1 アーク炉による還元 1 1 1 プラズマトーチによる還元 1 1 1 黒鉛るつぼによる還元 2 2 1 シリコン及びアルミによる還元 1 1 1 予備精錬によるスラグ中のリンの濃化 1 1 - リン回収技術紹介 2 - - 計 13 8 6

上記、公刊論文以外の技術として、現在、基礎実験実施中のリン分離回収について鉄鋼メーカーにヒアリングしたが(前記 p.18【No.6】)、これは通常の製鋼工程から生成する製鋼スラグ(脱リンスラグ又は転炉脱炭スラグ)を高温還元し、得たメタルを酸化精錬することでリン鉱石並みの高濃度のリンを含有する生成物を得るものである。 以上、文献調査からの 6 技術とヒアリング調査からの 1 技術の全 7 技術を製鋼スラグからリン分離回収に関する対象技術として、技術の現状を整理した(表 2.8)。技術検討の目的は製鋼スラグのリサイクルを進める上での核となる技術を見極めることであり、リン分離性能、課題、実現性等を検討項目とした。

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表 2.8 リン分離回収技術比較検討表

検討項目 リン分離回収技術 高温還元 常温 溶融還元式 固体還元式 強磁場による分離 マイクロ波 黒鉛ルツボ アーク炉 プラズマトーチ シリコン、アルミによる還元 固体還元+酸化精錬

リン分離原理 スラグを構成するCaO-P2O5-SiO2相(リン濃縮相)と CaO-SiO2-FelO相(マトリックス相)を磁場分離。事前に30µmまで粉砕必要。徐冷による濃縮相粗大化により粉砕負荷軽減。

マイクロ波により短時間で加熱溶融し、炭材で還元。

・黒鉛ルツボの誘導加熱でスラグを加熱、溶融、還元。スズ浴の存在でリンのメタルへの溶け込みを抑制。(Shiomiら) ・想定プロセス:還元炉(二槽式底部黒鉛板):(一次)FeO、MnO還元、(二次)P2O5還元(Ryuら)

・アーク加熱により転炉スラグ+還元材(5%)でスラグ還元

・溶融した Fe-Si合金に転炉スラグを追装。 ・プラズマトーチにより加熱溶融し、炭材で還元。 ・Fe-Si合金によりリンのメタルへの溶け込みを抑制。

・黒鉛ルツボの誘導加熱で溶融中の転炉スラグ中へのシリコン、アルミ添加によりスラグ中のメタル、リンを還元。

①加熱+炭材でスラグ還元、スラグ中 P2O5から(一部気化したリンが Fe相へ吸収)Fe相に P濃縮。 ②メタル相を酸化精錬し、リンを酸化物(スラグ)へ。 一部ガス化 P揮発 一部ガス化 P揮発 一部ガス化 P揮発 一部ガス化 P揮発 スラグ→メタルへの還元 残部スラグ相→還元 Fe相溶解 残部スラグ相→還元 Fe相溶解 残部スラグ相→還元 Fe相溶解

リン単体で気相へ 65% →乾式回収 残部スラグ相→還元 Fe相溶解 ↓

酸化物としてCaO-P2O5-SiO2相に存在 ↓ ↓ ↓ メタル相への還元 35% ↓ 低 P スラグ、Fe-P生成 粉砕・磁選 粉砕・磁選 粉砕・磁選 粉砕・磁選 ↓ メタル中に P濃化 粉砕・磁選

リン挙動

メタル中に P濃化

Fe-P脱リン処理→P濃化スラグ メタル中に P濃化 メタル中に P濃化 Fe-P脱リン処理→P濃化 リン濃度 (%-P2O5) 初期リン濃縮相のリン濃度相当

4分で 1600℃、鉄分ほぼ還元 スラグ中 4→2%-P2O5 メタル中 →7~8%-P

還元後 P2O5は 80~90%除去

還元率 P 80% Fe 99%以上 Mn 99%以上

気化:P単体 メタル中:1%-P程度

FetO、P2O5の還元可能 スラグ中に約 0.2%-P メタル中に約 2%-P程度

P濃化物質

P2O5=20%~(30%)

リン分離 性能 リン回収率

50%~60%

スラグ側に 10~15%残 メタル側に 55~60%移行 気化 25~30%

スラグ中の P2O5含有量の約 50~60%が気化。30%がメタル溶け込み。(Ryuら)

スラグ側に 10~19%残 メタル側に 30~50%移行 気化 40~60%

95%以上還元 気化分 65%/メタル移行分 35%

Si、Alを還元材としたとき 気化分 19~25% メタル側に 60移行 スラグ側に 10~20%移行

スラグからの除去は 80%以上 (スラグ組成、温度に依存) 肥料、土壌改良資材 肥料:CaO-SiO2スラグ、

K3PO4 高炉循環:CaO-SiO2スラグ

風砕(Ryuら) - リン除去スラグ:高炉スラグ並み

リン除去スラグ:精錬用、建設資材

・リン濃化物:肥料/肥料原料 ・低 P スラグ→高炉循環(高付加価値スラグ)

リン資源化

溶銑:Fe-C-P 基礎~応用研究 基礎~応用研究 基礎~応用研究 基礎研究 基礎研究 基礎~応用研究 基礎~応用研究 開発段階

リン分離性能 ・スラグ種類による分離性の違い ・冷却速度とリン濃縮相サイズの関係(事前粉砕レベル) ・乾式と湿式の分離特性

・溶融までの高速加熱

→反応速度高い

・高温までの加熱によりリン還元反応が高効率で進行

・高温までの加熱によりリン還元反応が高効率で進行

・高温までの加熱によりリン還元反応が高効率で進行(プラズマでの気化脱りん促進)

Si、Alの添加による還元反応促進。

・スラグからの P還元とスラグ性状の関係は不明確。 ・P濃縮は実績のある所内脱リンプロセス利用可能 エネルギ効率 微粉砕機動力、超伝導磁石冷却動力 エネルギ効率 10%以下 熱損失大きい 熱損失大きい 熱損失大きい 熱損失大きい 溶融に対しては低温処理可能

課題 耐久性

スケールアップ実験必要

容器本体加熱による容器の溶損が大

電極からのアーク加熱により電極、容器耐火物の溶損が大

局所加熱による耐火物等の容器溶損が大

溶融状態までの加熱必要で耐火物の損耗大

ダスト還元設備実績有。補修頻度少 技術的可能性 分離特性と必要設備に依存 大型設備開発、熱負荷、溶融スラグ用耐火物開発必要

原理的には可能 気化する P分の回収技術の確立が必要

原理的には可能 気化する P分の回収技術の確立が必要

スラグ中の鉄分のほぼ全量を還元 気化する P分の回収技術の確立が必要

Si、Alを還元材として Fe85~95%、Mn50~65%回収

スラグからの Fe、P分離率高い、メタルと P分離の実証が必要 経済性 運転費安価 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備費大、エネルギー効率低 設備及び還元材コスト大、エネルギー効率低

設備、運転費は処理温度に依存

実現性 事業化可能性 事前処理手段としての可能性 スラグの一部を対象に、予熱手段、気化脱リン促進手段としての利用可能性

実設備の可能性未、より規模の大きな実験が必要 実設備の可能性未、より規模の大きな実験が必要 可能性低い。プラズマによる気化脱りん促進の可能性

可能性低い。 検討中(NEDO事業実施中) 久保ら(2009) 森田ら(2002)、 Shiomiら(1980) Dziarmagowski(2002) 竹内ら(1980) Cruzら(2001) 鉄鋼メーカーへのヒアリング 代表文献他 Ryuら(1999)

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(2)技術比較検討の総括 ①製鋼スラグからのリン分離の原理としては、

(ⅰ)常温で強磁場下において磁化率の差からリン濃縮相を分離する磁気分離法

(ⅱ)高温で炭素、合金等の還元材を用いてリンをメタル相に濃縮する高温還元法 の 2種類に大別される。 更に、(ⅱ)高温還元法は

(a)処理温度の高い、溶融還元式

(b)処理温度が比較的低い、固体還元式 がある。 ②溶融還元式では加熱方法に電力を使用するものが多い。試料量が数 kg 規模の基礎から応用段階の研究のため、容易に加熱可能な電気エネルギーを使用していると考えられるが、実設備化時の加熱方法の選定が応用段階での課題となる。マイクロ波加熱方式は生成するスラグの一部を対象にした実設備化の可能性を示唆している。 ③溶融還元法式の研究開発目的は製鋼スラグに含有するメタル分の還元回収にあると考えられる。このため、リンについては気化或るはカルシウム化合物としてスラグに移行させることを想定しており、積極的にリン資源としての回収を狙ってはいない。ただし、マイクロ波加熱方式ではメタルからリンを分離し、リン資源の利用に言及している。また、「固体還元+酸化精錬」は気化するリンを Fe相に吸収し、その後メタル相から分離回収することで、積極的にリンを回収するプロセスを想定している。 ④リン濃化物のリン濃度は磁気分離法で初期リン濃縮相のリン濃度相当、溶融還元式でリンが移行したメタル中のリン濃度が 1~5%程度、「固体還元+酸化精錬」では 20%以上となる可能性を示唆している。 ⑤溶融還元法では操作温度が高く、耐火物の溶損が著しい。このため、これらの方式で設備化した場合、耐火物の保護方法や補修等のために設備費や運転費の増大が予想される。更に、高温では熱損失の割合が大きくなるのでエネルギー効率は一般的に低下する。 「磁気分離法」は常温での操作であり、上記の問題はない。また、「固体還元+酸化精錬」方式では還元時、他の高温還元法に比べ低温で処理するため、熱損失、運転費(耐火物コストなど)が小さくなる可能性がある。

(3)実用化検討を実施する技術 前述の技術比較から、今後、鉄鋼業における3Rの普及に繋がる可能性があり、原理の確認がなされ、現状、開発が実施されていて、リン資源としての利用促進を明確に目的としている技術として以下の 2技術に着目し、実用化について更に検討することとした。 ・固体還元+酸化精錬:原理的検討がほぼ終了しており基礎研究から応用研究に

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あり、技術的実現性が見通せる。既存の製鋼プロセスから切り離してスラグを処理する方式であり、普及しやすい。また、比較的低い温度域での操作で省エネルギー型である。 ・強磁場による分離:基礎実験で分離性能が定量的に把握されている。常温での分離操作であり、エネルギー消費や維持管理の面から有利である。必要量に対応したシステムの構築に向いている。

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2.3 製鋼スラグの高炉循環システムの可能性調査

2.3.1製鋼スラグ高炉循環システムフローのケース設定 (1)ケースⅠ 固体還元と酸化精錬を適用したプロセスである。脱リンスラグ及び転炉スラグが混合している製鋼スラグを製鋼工程ラインから切り離して処理することを想定している。図 2.4にプロセスの基本フローを示す。本プロセスからは発生する生成物は、以下の 3種である。 ①低リンスラグ:固体還元処理において Fe、P、Mn等の還元されやすい成分が 除去された残渣のスラグであり、CaO 源として焼結後、高炉に投入(循環)する。 ②メタル:酸化精錬でより酸化されやすい P等が除去され、メタル状の Feが多く、鉄源として溶銑に投入され、鉄鋼製品として利用される。 ③リン濃縮スラグ:酸化精錬時にスラグとして分離されたもので、リンが濃縮 されている。

(2)ケースⅡ 溶銑脱リンを積極的に行っているプロセスでの比較的リン含有率の高い脱リンスラグを対象として、リン濃縮相(リン分多、鉄分無し)とマトリックス相(鉄分多、リン分無し)を常温の強磁場下で分離する。図 2.5にプロセスの基本フローを示す。得られる生成物は以下である。 ①リン濃縮スラグ:主にリン濃縮相を中心とする磁場に作用しなかったもの。 ②低リンスラグ:主にマトリックス相を中心する着磁物。

図 2.4 [ケースⅠ] 高温プロセス

(低 P・Feスラグ)

(Fe、P) (製鋼スラグ =脱リンスラグ +転炉スラグ)

P濃縮プロセス 酸化精錬

リン濃縮スラグ:リン資源 メタル: 鉄源リサイクル 低リンスラグ: 高炉リサイクル→高炉スラグ

Fe、P回収分離プロセス 固体還元

図 2.5 [ケースⅡ] 常温プロセス

(低 Pスラグ)

(高Pスラグ) (脱リンスラグ)

リン濃縮スラグ: リン資源 Fe、P回収分離プロセス 粉砕・磁気分離 低リンスラグ: 高炉リサイクル→高炉スラグ

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2.3.2製鋼スラグ高炉循環システムケーススタディ (1)進め方 ①物質収支 想定したフローを構成する各プロセスでの処理においての主要成分毎の移行量を試算し、システム全体としての物質収支を試算する。 ②エネルギー収支及び CO2排出量試算 各ケースを実施した場合に想定される消費エネルギー低減量及び新規に必要とする或るは増大する消費エネルギー量を概算してシステム採用のメリットを検討する。 ③経済性の検討 上記消費エネルギーコストに加え、リン資源としての価値等も考慮の上、経済性について検討する。

(2)物質収支の検討 図 2.6に現状の一般的な製鋼プロセスにおける、スラグ量、スラグ中リン分、スラグ中鉄分等の収支を示す。数値は粗鋼 1トン当たりの量を示すものである。溶銑中に含有するリンのうち約 28%は溶銑脱リン工程で脱リンスラグ中に移行し、約59%は転炉スラグに移行し、トータルで製鋼スラグ中に 87%(0.99 kg-P/t)が分離されている。残りの 13%は粗鋼中に残留するが、品質条件である 0.02%以下(残留リン量=1.14-0.99=0.15kg-P/t、0.15÷1t×1000=0.15%)を確保している。 製鋼スラグ中の平均リン濃度は約 0.85%-P(=1.9%-P2O5)であり、その他の成分である CaOは 30%、Fe分は 25%程度である。 現状の操業では高炉スラグが約 310kg/t-steel、製鋼スラグが約 117kg/t-steel生成しているとした。注) 注) 粗鋼、溶銑、高炉スラグの生成比率は一般的な値として、 粗鋼生産量:溶銑量:高炉スラグ生成量=1:1.033:0.31 ・・・5 とした。また、粗鋼生産量と製鋼スラグ生成量の比率は 2007 年度の国内総量(表2.1 参照)から求めた。即ち、粗鋼(転炉鋼)生産量が 90,548 千トン、転炉スラグ生成量が 10,631千トンより、 粗鋼生産量:製鋼スラグ生成量=1:0.117 とした。 また、鉄鉱石は焼結鉱及びペレット、塊鉱石として高炉に装入されるが、製鋼スラグは主に焼結を介しての高炉循環となるので、循環量との比較のために現行の焼結鉱の原単位(約 1200kg/t-銑鉄6=約 1240kg/t-粗鋼)を記載した。 図 2.7はケースⅠにおける物質収支を示すものである。図 2.6で示した現状のプ

5例えば、「鉄鋼プロセス工学入門」(http://www.jfe-21st-cf.or.jp/jpn/index2.html)) 6重見「製銑ハンドブック」地人書館、p.7、昭和 54年 12月

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ロセスで生成する製鋼スラグが還元処理され、鉄、リン、マンガンは完全に還元してメタル側に移行するとする。次の酸化精錬によるリン濃縮処理では、酸素を供給してリンをスラグ側へ移行し濃縮させる。このとき、リンとマンガンは別々に利用できることが望ましいので、ここでは精錬によりリンとマンガンを別々に選択分離できるとする。その他、試算に際しての仮定を以下にまとめる。 還元処理 ⅰ)スラグ中の鉄、リン、マンガンは全て還元し、メタル側に移行する。 ⅱ)還元剤として添加した炭素分はメタル中に4%残留する。 酸化精錬によるリン濃縮処理 ⅲ)マンガンがスラグに移行する際、リンはスラグ側に移行しない。 ⅳ)処理後のメタル中のリン、マンガン濃度は仮定による。 ⅲ)添加するフラックス剤は無視する。 図 2.8 はケースⅡにおける物質収支を示すものである。これは、文献7で報告されている脱リンスラグ発生量(34.7kg/t-溶銑)、実験試料スラグ性状(表 2.9)及び磁気分離実験結果(表 2.10)に基づき試算した。

表 2.9 実験に使用した脱リンスラグの性状(文献 7 Tabel 1. を転記) 組成(%)

FetO P2O5 CaO SiO2 MnO MgO 平均 18.1 6.6 45.9 20.3 2.5 5.5

相比率

(%) リン濃縮相 0.6 11.8 60.5 26.7 0.2 0.3 56.2 マトリックス相 40.5 0.2 27.2 12.0 5.7 12.5 43.8

表 2.10 強磁場による分離結果(文献 7 Tabel 3. を転記) 組成(%) スラグ分配比(%) リン濃縮相の分配比(%)

マトリックス相の分配比(%) FetO P2O5 CaO SiO2 MnO MgO リン回収スラグ 37.2 60 8 4.4 10.7 57.3 25.3 0.8 1.4 残留スラグ 62.8 40 92 26.2 4.4 39.1 17.3 3.7 8.1

7松八重、久保、長坂、”磁気分離法による製銑脱リンスラグからのリン回収法で生成する残渣スラグのリサイクル効果”、鉄と鋼、Vol.95、(2009)、No.3

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図 2.6 現行の製鋼プロセスの物質収支例

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図 2.7 製鋼スラグの全量高炉循環システム(ケースⅠ)

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図 2.8 製鋼スラグの全量高炉循環システム(ケースⅡ)

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次に、リン資源等の外部利用の普及を考慮し、輸送が簡便となるように集中的な発生源として製鉄所単位での生成量の試算を行うこととする。想定する製鉄所の規模は、我が国の平均的な一貫製鉄所として、年間粗鋼生産高 800 万トンと設定した。 表 2.11に単一製鉄所からの生成物の物質量を示す。

表 2.11 高炉循環システム採用時のスラグ類の生成量試算(粗鋼 800万 t/年規模) 現行 ケースⅠ ケースⅡ 原単位

(kg/t-粗鋼)

生成量

(万 t/年)

原単位

(kg/t-粗鋼)

生成量

(万 t/年)

原単位

(kg/t-粗鋼)

生成量

(万 t/年) 製鋼スラグ* 117 93.6 117 93.6

Fe 29.3 23.4 脱リンスラグ 35.8 28.6

Fe 5.0 4.0 転炉スラグ 81.2 65.0

Fe 24.2 19.4 低リンスラグ 73.6 58.9 22.5 18.0

CaO 35.1 28.1 8.8 7.0

石灰石換算 62.7 50.1 15.7 12.6

Fe分 4.58 3.66 循環スラグ** 104 83.2

CaO 27.5 22.0

石灰石換算 49.1 39.3

Fe分 28.8 23.0 高Mnスラグ 5.6 4.5 リン濃縮スラグ 8.1 6.5 13.3 10.6

リン 0.95 0.76 0.62 0.50

P2O5換算 2.2 1.74 1.42 1.14 メタル分 32.0 25.6

Fe 27.0 21.6 高炉スラグ 310 248 349 279 387 310 *(ケースⅠ)脱リンスラグ及び転炉スラグ **(ケースⅡ)低リンスラグ及び転炉スラグ

ケースⅠでは一製鉄所当たり 1 年間で CaOが 48%の低リンスラグが約 59 万トン、リン濃度が 27%-P2O5のリン濃縮スラグが 6.5万トン生成すると試算されている。石灰石の代替となる低リンスラグの石灰石代替量は約 50万トンである。また、鉄源として循環利用が可能なメタル分が約 26万トン(内、鉄分約 22万トン)生成す

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る。更にMn濃度が 58%-MnOの高Mnスラグが 4.5万トン生成する。 ケースⅡでは CaOが 39%、リンが 2%-Pの低リンスラグが 18 万トン、また、リン濃度が約 11%- P2O5のリン濃縮スラグが約 11 万トン生成すると試算された。

(3)エネルギー収支及び CO2排出量試算 【ケースⅠ】 高炉循環システム採用時のエネルギー収支を検討する。表 2.12 に本調査で検討するケースⅠにおけるエネルギー使用量及び CO2 排出量が低減或いは増加する因子を列挙する。

表 2.12 ケースⅠにおけるエネルギー収支及び CO2排出量増減因子

①低減する項目関係 ・石灰石石灰石石灰石石灰石のののの採掘関係採掘関係採掘関係採掘関係 高炉循環する低リンスラグ中の CaO は 35.1kg/t-steel であるがこれは石灰石62.7kg/t-steelに相当する。1ヶ所の製鉄所で見積もると年間で石灰石 50万トンに相当し、この分の石灰石使用量が削減となる。(表 2.11参照) 削減する石灰石に関するエネルギー消費量及び CO2排出量の原単位を表 2.13に示す。

増減項目 増減因子 備考 採掘時エネルギー 石灰石採掘時エネルギーの低減 高炉循環による石灰石使用量削減 分解反応熱(吸熱) 石灰石使用時の吸熱量の低減 高炉投入エネルギー 回収鉄分利用で高炉投入炭素分低減によるエネルギー低減 鉄鉱石採掘時エネルギー 回収鉄分利用による鉄鉱石使用量削減 鉄鉱石輸送時エネルギー 回収鉄分利用による鉄鉱石低減 高炉スラグ増量によるセメント製造時のCO2削減

高炉セメント生産量増加によるCO2発生抑制 リン鉱石採掘時エネルギー リン鉱石採掘時エネルギーの低減

低減する項目

回収リン資源化によるリン鉱石削減 リン鉱石輸送時エネルギー リン鉱石輸送エネルギーの低減 処理熱源 還元処理加熱用 製鋼スラグ加熱用熱源(新規) 金属分離 磁選機用 金属/非金属分離磁選機動力(新規) 焼結熱源 焼結機投入量増加による熱源(増)

増加する項目 高炉熱源 高炉投入量増加による熱源(増)

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表 2.13 石灰石の採掘に係る CO2排出原単位8 石灰石1t当たり使用量 容量 エネルギー エネルギー種別当たりの CO2排出原単位 石灰石1t当たりの CO2排出量 軽油 0.489 L 18.7 MJ 2.64 kg-CO2/L 1.291 kg/t A重油 0.05 L 2.0 MJ 2.7 kg-CO2/L 0.135 kg/t 電力 2.27 kWh 20.4 MJ 0.33 kg-CO2/kWh 0.749 kg/t 火薬 0.1 t 0.060 kg/t その他 0.078 kg/t

合計 41.1 MJ 合計 2.31 kg/t ・石灰石分解石灰石分解石灰石分解石灰石分解反応反応反応反応熱熱熱熱 石灰石は焼結機内で以下の反応により分解するが、この反応は吸熱反応である。低リンスラグ中の Ca 分は既に CaO となっており、石灰石に置き換わる事で吸熱量が削減される。 CaCO3(石灰石) → CaO + CO2 - 168kJ/モル・・・9 より石灰石が CaCO3単体と見なして、吸熱量を 1.68GJ/t-石灰石とする。 ・回収鉄分利用回収鉄分利用回収鉄分利用回収鉄分利用によるによるによるによる高炉投入高炉投入高炉投入高炉投入エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー 高炉法で鉄鉱石から溶銑を単位重量生成するのに必要なエネルギー量は概略値として約 14.0GJ/t-銑鉄とする。また、このときの CO2発生量は 1.57t-CO2/t-溶銑とする。(数値は鉄鋼メーカー推定値) ・鉄鉄鉄鉄鉱石鉱石鉱石鉱石のののの採掘採掘採掘採掘とととと輸送輸送輸送輸送 製鋼スラグの還元処理及び酸化精錬処理で得られるメタル中の鉄分のリサイクルによる高炉溶銑の減量は希釈用溶銑中の鉄分を差し引いた

125kg/t-steel-98kg/t-steel=27kg/t-steel である。表 2.14に鉄鉱石の採掘時のエネルギー消費量及び CO2排出量原単位を示す。また、表 2.15に鉄鉱石の海上輸送に係るエネルギー原単位を示す。

表 2.14 鉄鉱石の採掘に係るエネルギー原単位及び CO2排出量量原単位 項目 原単位量 備考 エネルギー原単位 0.89 GJ/t-鉄鉱石 ① =③÷71.6(A重油:kg-CO2/GJ10)

1.4 GJ/t-Fe ② =①÷0.65(鉄鉱石中 Fe分含有率)

CO2排出量原単位 64 g/kg-鉄鉱石 ③ 11

0.098 t/t-Fe ④ =③÷0.65(鉄鉱石中 Fe分含有率)

8安達ら、「石灰石鉱山における採掘プロセスの CO2排出量に関するインベントリ分析」、資源と素材、Vol.117、p.520-326(2001) 9大谷「鉄冶金熱力学」日刊工業新聞社、昭 55、p.208 10NEDOホームページ:http://www.nedo.go.jp/nedata/16fy/14/e/0014e001.html 11京都大学環境保全センター他、「京都大学マイボトル・モニター実験報告書」平成 21年 12月 (http://eprc.kyoto-u.ac.jp/old/research/mybottle/mybottle_full.pdf)

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表 2.15 鉄鉱石の輸送に係るエネルギー消費量及び CO2排出量原単位 船種区分 バルカー

0.0063 kg-燃料/t-鉄鉱石・マイル ① 12

0.0046 L-A重油/t-鉄鉱石・km ② =①÷0.86(A重油比重)÷1.609(km/マイル) 0.178 MJ/t-鉄鉱石・km ③ =②×39.1(MJ/L-A重油 10)

0.274 MJ/t-Fe・km ④ =③÷0.65(t-Fe/t-鉄鉱石)

輸送エネルギー効率

1,860 MJ/t-Fe ⑤ =④×6,800km13

0.0196 kg-CO2/t-Fe・km ⑥ =④×0.0716(A重油:kg-CO2/MJ10) CO2発生源単位 133 kg-CO2/t-Fe ⑦ =⑥×6,800km11

・セメントセメントセメントセメント製造製造製造製造でのでのでのでの COCOCOCO2222削削削削減減減減 本システムにより高炉スラグが増加して、普通セメントに置き換わると仮定する。高炉スラグセメント製造時、従来の普通セメントに比べ 321.1kg-CO2/t-セメントの CO2 が削減となる。14 高炉スラグ増分がそのまま普通セメントに置き換わるので、高炉セメント増分単位重量当たりの CO2排出低減量を 321kg-CO2/t-高炉スラグ増分とする。 ・リンリンリンリン鉱石鉱石鉱石鉱石のののの採掘採掘採掘採掘とととと輸送輸送輸送輸送 リン濃縮スラグがリン資源として利用される場合に削減されるリン鉱石の採掘と輸送に関するエネルギー消費量及びCO2排出量の原単位を表 2.16と表 2.17に示す。

表 2.16 リン鉱石の採掘に係るネルギー消費量及び CO2排出原単位

P2O5 単位重量当たりの使用量15

単位当たりの 発熱量 10 エネルギー種別消費量原単位

エネルギー-種別単位熱量当たりのCO2発生原単位 10

P2O5 単位重量当たりの CO2排出量 電力 697 MJ

/t-P2O5 9.0 MJ/kWh 77.44 kWh /t-P2O5 0.378

kg-CO2

/kWh 29.27 kg-CO2

/t-P2O5

採掘 ディーゼル油 125

MJ /t-P2O5 38.2 MJ/L 3.27 L/t-P2O5 0.0692 kg-CO2/MJ 8.65

kg-CO2

/t-P2O5 電力 1,128 MJ

/t-P2O5 9.0 MJ/kWh 125.33 kWh /t-P2O5 0.378

kg-CO2

/kWh 47.38 kg-CO2

/t-P2O5

選鉱 ディーゼル油 396

MJ /t-P2O5

38.2 MJ/L 10.37 L/t-P2O5 0.0692 kg-CO2/MJ 27.40 kg-CO2

/t-P2O5 合計 2,346 MJ

/t-P2O5 112.7 kg-CO2

/t-P2O5

12(財)シップアンドオーシャン財団、「船舶からの温室効果ガスの排出削減に関する調査研究報告書」、平成 13年 6月、p.92 13オーストラリア→日本の輸送距離を約 6,800kmとする。 14鐵鋼スラグ協会 資料「環境資材 鉄鋼スラグ」FS-109 、平成 21年 15G. Villalbaら、「Global Phosphorus Flows in the Industrial Economy From a

Production Perspective」、J. of Industrial Ecology、Vol.12、No.4、p.557-569

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表 2.17 リン鉱石の輸送に係るエネルギー消費量及び CO2排出量原単位 船種区分 バルカー

0.0037 kg-燃料/t-リン鉱石・マイル ① 12

0.0027 L-A重油/t-リン鉱石・km ② =①÷0.86(A重油比重)÷1.609(km/マイル) 0.1045 MJ/t-リン鉱石・km ③ =②×39.1(MJ/L-A重油 10)

0.3372 MJ/t-P2O5・km ④ =③÷0.31(t-P2O5/t-リン鉱石)

輸送エネルギー効率

7,420 MJ/t-P2O5 ⑤ =④×22,000km16

0.0241 kg-CO2/t-P2O5・km ⑥ =④×0.0716(A重油:kg-CO2/MJ10) CO2発生源単位 531 kg-CO2/t-P2O5 ⑦ =⑥×22,000km14

②増加する項目関係 ・処理熱源処理熱源処理熱源処理熱源 製鋼スラグを還元処理し、分離されたメタル分を更に酸化精錬処理する際の投入エネルギー原単位は、還元処理過程で 12.4GJ/t-メタル中 Fe 分となる。尚、酸化精錬処理過程は希釈用に注入する溶銑の顕熱と酸化反応による発熱で温度が維持されるため外部からの熱投入はないとした。(数値は鉄鋼メーカ推定値) ・金属金属金属金属////非金属分離用磁選非金属分離用磁選非金属分離用磁選非金属分離用磁選機動力機動力機動力機動力 酸化精錬後、メタルから分離したリン濃縮スラグと残留メタル分を選別するために一般的には磁選機が想定できるが、磁選機動力は還元処理の熱源等に比して小さい事が予想されるので省略する。(鉄鋼メーカー推定) ・・・・焼結機投入焼結機投入焼結機投入焼結機投入エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー 従来の石灰石に比べ、他成分の含有が多い低リンスラグによる代替により、焼結機への投入物質量は増大する。これにより焼成用エネルギーの増加が考えられるが、焼結条件の変化など現時点では想定不可能な点も有り、これについては今後の開発研究の中で実験的に確証してゆくものであるため、本調査では考慮しないこととする。 ・・・・高炉投入高炉投入高炉投入高炉投入エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー 高炉投入物の増量による必要な顕熱の増加がある。高炉スラグの 1400℃における熱容量を 400kcal/kg-slag17とすると

400kcal/kg-slag×4.19J/cal=1.67GJ/t-slag また、これによる CO2増加量は、重油を熱源とすると 1.67GJ/t-slag×71.6kg-CO2/GJ 10=0.121t-CO2/t-slag である。

16モロッコ→日本の輸送距離を約 22,000kmとする。 17日本鉄鋼協会「鉄鋼便覧 第Ⅱ巻」、昭和 54年 10月、p.320、表 5.31

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③試算結果 前記の原単位をもとにエネルギー収支及びCO2排出量収支を表 2.18にまとめた。 図 2.9と図 2.10に粗鋼 1t生産する際の低減項目と増加項目のエネルギー消費量とCO2排出量を示す。低減効果が最も大きいのは回収鉄分利用による高炉投入エネルギー削減分であり、全減量分の約 6割強である。一方、増加する項目では還元処理用の加熱が増加するエネルギー中の約 8割強を占めている。 収支の総計(表 2.19)で製鉄所 1 ヶ所当たり 1.71×106GJ/年のエネルギー削減が見込まれた。CO2排出量は 2.30×105t/年削減となる。よって、エネルギー収支的には本プロセスは実用の可能性があると判断される。

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表 2.18 ケースⅠにおけるエネルギー収支及び CO2排出量収支のまとめ 原単位 800万t/年製鉄所年間 増減項目 増減因子 エネルギー CO2 物質量 エネルギー CO2 石灰石採掘時エネルギー 41 MJ/t-石灰石 2.31 kg/t-石灰石 50.1 万 t-石灰石 2.05×104 GJ 1.16×103 t 石灰石使用量削減 分解反応熱(吸熱) 1.68 GJ/t-石灰石 122 kg/t-石灰石 50.1 万 t-石灰石 8.42×105 GJ 6.11×104 t 高炉投入エネルギー 14.0 GJ/t-溶銑 1.57 t/t-溶銑 21.6 万 t-Fe 3.02×106 GJ 3.67×105 t 鉄鉱石採掘時エネルギー 1.4

GJ/t-メタル中 Fe分 98

kg/t-メタル中 Fe分 21.6 万 t-Fe 3.02×105 GJ 2.12×104 t

鉄鉱石使用量削減 鉄鉱石輸送時エネルギー 1.86 GJ/t-メタル中 Fe分

133 kg/t-メタル中 Fe分

21.6 万 t-Fe 4.02×105 GJ 2.87×104 t 高炉スラグ増量によるセメント製造時の CO2削減 321 kg/t-セメント 31.2

万 t-高炉スラグ増分

1.00×105 t リン鉱石採掘時エネルギー 2.35 GJ/t-P2O5 112.7 kg/t-P2O5 1.74 万 t-P2O5 4.09×104 GJ 1.96×103 t リン鉱石使用量削減 リン鉱石輸送時エネルギー 7.42 GJ/t-P2O5 531 kg/t-P2O5 1.74 万 t-P2O5 1.29×105 GJ 9.24×103 t

低 減す る項目

計 4.76×106 GJ 5.63×105 t 処理熱源 還元処理加熱用 12.4 GJ/t-メタル中 Fe分

1.38 t/t-メタル中Fe分

23.4 万 t-Fe 2.90×106 GJ 3.23×105 t 高炉熱源 1.67 GJ/t-投入スラグ増分

0.12 t/t-投入スラグ増分

8.72 万 t-投入スラグ増分

1.46×105 GJ

1.05×104 t

増 加す る項目 計 3.05×106 GJ 3.33×105 t

合計 1.71×106 GJ 2.29×105 t

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図 2.9 エネルギー消費量低減効果(ケースⅠ)

図 2.10 CO2排出量削減効果(ケースⅠ)

表 2.19 収支総括表(ケースⅠ) 粗鋼 1t当たり 一貫製鉄所(800万 t/年規模)

MJ kg-CO2 GJ/年 t-CO2/年 低減 5.95×102 70.4 4.76×106 5.63×105 増加 3.82×102 41.8 3.05×106 3.33×105 削減量 2.14×102 28.6 1.71×106 2.29×105

低減 増加

低減 増加

削減量

削減量

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【ケースⅡ】 強磁場による分離手法を適用した高炉循環システムでのエネルギー収支を検討する。表 2.20にケースⅡにおけるエネルギー使用量及び CO2排出量の増減因子を示す。

表 2.20 ケースⅡにおけるエネルギー収支及び CO2排出量増減因子

①低減する項目関係 ケースⅠの原単位に準ずる。 ②増加する項目関係 微粉砕設備微粉砕設備微粉砕設備微粉砕設備 脱リンスラグを三段で微粉砕する設備を想定する。各段破砕機の動力を表 2.21に示す。 表 2.21 破砕装置概略動力 構成 形式 動力18

(kWh/t-スラグ) 備考 一次破砕 ジョークラッシャー 1.85 二次破砕 回転式遠心破塊装置 1.83 三次破砕 ボールミル 39.1 * 計 42.8 =0.385GJ/ t-スラグ (=16.2 kg-CO2/t-スラグ) *200メッシュ(75μm)80%通過

18 破砕機メーカーカタログ性能表より推算。

増減項目 増減因子 備考 石灰石使用量削減 採掘時エネルギー 石灰石採掘時エネルギーの低減

分解反応熱(吸熱) 石灰石使用時の吸熱量の低減 採掘時エネルギー 鉄鉱石採掘時エネルギーの低減 鉄鉱石使用量削減 輸送時エネルギー 鉄鉱石輸送エネルギーの低減 高炉スラグ増量によるセメント製造時のCO2削減

高炉セメント生産量増加によるCO2発生抑制 リ鉱石採掘時エネルギー リン鉱石採掘時エネルギーの低減

低減する項目 リン鉱石使用量削減 リン鉱石輸送時エネルギー リン鉱石輸送エネルギーの低減 微粉砕設備 スラグ微粉砕動力(新規) 強磁場発生装置 強磁場発生機動力(新規) 焼結熱源 焼結機投入量増加による熱源(増)

増加する項目 高炉熱源 高炉投入量増加による熱源(増)

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全動力は商用電力で発電効率を考慮した換算式 1kWh=9MJ10より 0.385 GJ/ t-ス ラ ク ゙ と な る 。 CO2 排 出 量 原 単 位 は 商 用 電 力 の kWh 当 た り 原 単 位0.378kg-CO2/kWh10より 16.2kg-CO2/t-スラグとした。 強磁場発生装置強磁場発生装置強磁場発生装置強磁場発生装置 強磁場発生発生に超伝導磁石を利用する場合、磁石での消費エネルギーよりも冷却動力が大きいと考えられる。処理能力が 20t/hの超伝導磁場分離装置の励磁電力は 3.3kW、冷凍機動力は 7kWであった。(メーカー推定値) 常時運転時には冷却機用動力 7kWのみとなるが、稼働時間等が不明であるので、ここでは励磁電力も加えた 10.3kWを装置動力とする。よって、単位処理量当たり、0.515kWh/t-スラグ(=4.64MJ/t-スラグ 10)である。これによる CO2排出量は商用電力の kWh 当たり原単位 0.378kg-CO2/kWh10より 0.194 kg-CO2/t-スラグとした。 焼結機投入焼結機投入焼結機投入焼結機投入ネルギーネルギーネルギーネルギー ケースⅠ同様に今後の実験による。 高炉投入高炉投入高炉投入高炉投入エネルギーエネルギーエネルギーエネルギー ケースⅠの原単位に準ずる。

③試算結果 前記の原単位をもとにエネルギー収支及びCO2排出量収支を表 2.22にまとめた。図 2.11 と図 2.12 に粗鋼 1t 生産する際の低減項目と増加項目のエネルギー消費量CO2排出量を示す。低減効果が最も大きいのは高炉投入前の焼結過程での石灰石吸熱量の低減分であり、全減量分の 4割強である。増加する項目では高炉投入物の増加による高炉投入熱量増加分が全増加分の 8 割以上である。収支の総計(表 2.23)では、平均的な一貫製鉄所当たりにすると年間 6.93×105GJ の削減であり、CO2排出量は 2.48×105t削減となり、エネルギー収支的には本プロセスは実用の可能性があると判断される。ただし、これまでの基礎実験ではスラグを予め 30μm まで微粉砕しているが、破砕機動力原単位の元となったカタログ値は 200 メッシュ(75μm)80%通過であり、今後、より微細化可能かつ大容量装置の検討やスラグの結晶粒径肥大化を図る検討が必要である。

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表 2.22 ケースⅡにおけるエネルギー収支及び CO2排出量収支のまとめ 原単位 800万t/年製鉄所 増減項目 増減因子 エネルギー CO2 物質量 エネルギー CO2 石灰石採掘時エネルギー 41 MJ/t-石灰石 2.31 kg/t-石灰石 39.3 万 t-石灰石 1.16×104 GJ 9.08×102 t 石灰石使用量削減 分解反応熱(吸熱) 1.68 GJ/t-石灰石 122 kg/t-石灰石 39.3 万 t-石灰石 6.60×105 GJ 4.79×104 t 鉄鉱石採掘時エネルギー 1.4

GJ/t-メタル中Fe分

98 kg/t-メタル中 Fe分

23 万 t-Fe 3.22×105 GJ 2.25×104 t 鉄鉱石使用量削減 鉄鉱石輸送時エネルギー 1.86

GJ/t-メタル中Fe分

133 kg/t-メタル中 Fe分

23 万 t-Fe 4.28×104 GJ 3.06×104 t 高炉スラグ増量によるセメント製造時の CO2削減 321 kg/t-セメント 61.2

万 t-高炉スラグ増分

1.96×105 t リン鉱石採掘時エネルギー 2.35 GJ/t-P2O5 112.7 kg/t-P2O5 1.14 万 t-P2O5 2.68×104 GJ 1.28×103 t リン鉱石使用量削減 リン鉱石輸送時エネルギー 7.42 GJ/t-P2O5 531 kg/t-P2O5 1.14 万 t-P2O5 8.46×104 GJ 6.05×103 t

低減する項目

計 1.54×105 GJ 3.06×105 t 破砕設備動力 0.385 GJ/t-脱リンスラグ 16.2 kg-CO2/t-脱リンスラグ 28.6

万 t-脱リンスラグ 1.10×105 GJ 4.63×103 t 増加する項目 強磁場発生装置動力 4.64 MJ/t-脱リンスラグ 0.194

kg- CO2/t-脱リンスラグ 28.6 万 t-脱リンスラグ 1.33×103 GJ 5.55×101 t 高炉熱源 1.67

GJ/t-投入スラグ増分 0.121 t/t-投入スラグ増分

43.9 万 t-投入スラグ増分

7.33×105 GJ 5.31×104 t 計 8.45×105 GJ 5.78×104 t

合計 6.93×105 GJ 2.48×105 t

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図 2.11 エネルギー消費量低減効果(ケースⅡ)

図 2.12 CO2排出量削減効果(ケースⅡ)

表 2.23 収支総括表(ケースⅡ) 粗鋼 1t当たり 一貫製鉄所(800万 t/年規模)

MJ kg-CO2 GJ/年 t-CO2/年 低減 1.92×102 38.2 1.54×106 3.06×105 増加 1.06×102 7.23 8.45×105 5.78×104 削減量 8.66×101 31.0 6.93×105 2.48×105

低減 増加

低減 増加

削減量

削減量

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(4)経済性の検討 現在、リン分離技術に関しては基礎的な開発段階であり、実設備に関する検討は今後の応用研究を待たねばならない。このため、本調査での経済性の検討としては、前節で見たようなエネルギーや資源量の削減等の経済的効果についてのみ検討することとした。即ち、設備建設にかかる費用、設備の補修に係る費用及び設備の運転要員に係る人件費等は検討に加えないものとした。また、今回の検討はケースⅠを例に取り、行った。ケースⅡは現在、リン濃縮性能の更なる向上をめざしており、現時点でリン資源の経済的価値が予測できないためである。表 2.24 にケースⅠを適用した一貫製鉄所当たりの経済性検討例を示す。なお、石灰石使用量の削減分は石灰石の採掘時のエネルギー費用削減分と見なした。また、鉄鉱石及びリン鉱石の採掘、輸送に係るエネルギー削減のメリット分は元来、製鉄所側の費用ではないために前記消費エネルギー削減量から除いている。

表 2.24 一貫製鉄所(800万 t-粗鋼/年規模)における経済性検討例(ケースⅠの場合) 項目 数量 備考(単価など) エネルギー削減量 8.36×105 GJ/年 削減される鉄鉱石と代替リン鉱石の採掘・輸送エネルギーは除く。 上記重油換算 2.14×104 kL/年 A重油:39.1MJ/L 上記価格 ① 12 億円/年 ¥59/L-重油 鉄鉱石削減量 33.2 万 t/年 上記価格 ② 21 億円/年 @¥6,400/t-鉄鉱石19 代替リン鉱石量 6.5×104 t/年 上記価格 ③ 10 億円/年 @¥19,200/t-リン鉱石20×0.8* 経済メリット①+②+③ 44 億円/年 *回収リン利用のインセンティブとして

経費削減効果では回収鉄分の循環利用による鉄鉱石削減効果が大きいと予想される。次いでエネルギー費用削減とリン外販による収入が同程度の効果を持つと見られる。 今後、実用化に向けた更なる技術検討がなされて、設備の基本仕様の具体化に合わせ、より精度の高いエネルギー使用量の推算を実施すると共に、設備費等を含めての経済性の確保を目指すこととなる。更に、リン外販収入の確保を可能とする回収リン資源の品質確保が大きな課題となる。

19財務省「貿易統計」品目コード 2601.11-000鉄鉱(凝結させてないもの)2009年 12月輸入分 より算出。 20同上 品目コード 2510.20-000白亜(粉砕したもの)2009年 12月輸入分より算出。

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2.3.3製鋼スラグ高炉循環システムの可能性検討 製鋼スラグの利用を拡大し、全量高炉に循環使用する一方、リンを中心とする資源の回収を図るシステムの実現可能性について検討した。このシステムを適用する場合に既存の高炉等の操業や設備に対する課題の抽出とともに、製鋼スラグの処理に関して文献とヒアリングから調査した。さらに、エネルギー収支の試算から技術的可能性を検討した。検討結果をまとめると以下のとおりである。 ①製鋼スラグを全量高炉循環することで、現状の高炉等の操業において大きな支障は考えられないが、現行の石灰石の一部をリン含有量を下げた低リンスラグに置換することで生ずる焼結工程及び高炉での操業条件変更対応が課題として挙げられる。 ②高炉循環可能なように製鋼スラグからリンを分離除去する技術で実用化に至ったものはない。また、分離したリンを資源として利用することを考慮した技術は限られていた。結果的に高温化での冶金的処理方法である「固体還元+酸化精錬」と常温化での物理的方法である「強磁場分離」の 2方法が抽出された。 ③前記、抽出した 2技術について物質収支及びエネルギー収支の試算による実用化検討を行った結果、実用の可能性が判断された。 ④今後は実用に向けて以下のような課題に対する対応が必要である。

(ⅰ)「固体還元+酸化精錬」法 【課題】 ・固体還元プロセスの装置化: ・還元性能の確保。 ・大型化や連続化等、装置の具現化 ・酸化精錬プロセスの装置化: ・リン、マンガン等の分離性能の確保 ・生成物の場内での輸送等ハンドリング操作に係る消費エネルギーの最少化 ・リン濃縮生成物のリン資源としての品質確保 【解決のための研究開発内容等】 ・製鋼スラグの固体還元時のリン還元状況やメタルの挙動把握等。 ・固体と溶融物が混在する系での適切なハンドリング方法を確立するための 加熱方法や設備の伝熱性など、実験規模の大形化。 ・酸化精錬処理技術確立のための分離成分の挙動と操業の最適条件の把握。 ・設備の耐久性確保のための実運転と同じ温度負荷条件での連続運転実験。

(ⅱ)「強磁場によるリン分離」法 【課題】 ・分離性能の確保: ・リン濃縮生成物の更なるリン濃度向上 ・実装置化 【解決のための研究開発内容等】

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・磁場や分離ゾーンの最適化。 ・スラグ結晶粒寸法制御による分離性能向上。 ・乾式処理又は湿式処理+乾燥等、実用施設の検討。 ・大形微粉砕機等、破砕施設の最適化。

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2.4 製鋼スラグから分離したリンの資源化可能性と課題

2.4.1リン資源需給状況 リン鉱石は世界的に見て偏在した鉱物であり、わが国は全量輸入に依存している。表 2.25と図 2.13に主要産出国の産出量と可採埋蔵量を示す。年間産出量が1千万tを越える主要 4 カ国で全世界の産出量の 7 割以上を占め、埋蔵量も上位 4 カ国で 8割を越えている。このため、産出国の政策に影響を受けやすい資源と考えられる。例えば、2008 年は各種資源価格が高騰する事態となったが、我が国のリン鉱石の輸入価格も 2008年 5月の中国の輸出関税の引き上げを契機に急騰し、それま

表 2.25 世界のリン産出量と埋蔵量(2007年)21 (単位:鉱石-t) 産出国名 産出量 可採埋蔵量 中国 45,400 4,100,000 アメリカ合衆国 29,700 1,200,000 モッロコ(含:西サハラ) 27,000 5,700,000 ロシア 11,000 200,000 チュニジア 7,800 100,000 ブラジル 6,000 260,000 ヨルダン 5,540 900,000 シリア 3,700 100,000 イスラエル 3,100 180,000 南アフリカ 2,560 1,500,000 その他 14,200 760,000 世界総計 156,000 15,000,000

図 2.13 世界のリン鉱石の産出状況(2007年)21 (単位:鉱石-t/年)

21USGS Mineral Commodity Summaries, January 2009

産出量国構成 埋蔵量国構成 ロシア11,0007%その他42,90028%モロッコ27,00017% 中国45,40029%アメリカ29,70019%

アメリカ1,200,0008%モロッコ5,700,00038%中国4,100,00027%その他2,500,00017%南アフリカ1,500,00010%

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での 4 倍以上に上昇した(図 2.14 参照)。その後、世界的な経済危機の影響で価格は低下してきたが、世界経済の情勢に大きく影響されることを示している。

(a)リン鉱石輸入量と輸入価格の推移(年間平均)

(b)リン鉱石輸入量と輸入価格推移(月平均) 図 2.14 我が国のリン鉱石輸入状況の推移22

我が国の国内におけるリン資源の需給状況については既往調査23があり、流入状況、国内需要、国内リン物質収支について言及されている。この NEDO 調査ではでは、財務省の貿易統計からリン関連品目(輸入統計品目表の第 25類、第 28類、第 31類でリンを含有する物品)の 2007年の輸入量と輸出量の差を国内消費量と見 22財務省「貿易統計」 23独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構(以下「NEDO」と言う。)、「未利用資源からのリン、カリウムの省エネルギー型回収技術開発の先導調査」 (平成 20年度)

020406080100120

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009年リン鉱石年間輸入量(万トン) 012345 リン鉱石輸入単価(万円/トン

)リン鉱石年間輸入量リン鉱石輸入単価(年平均)

0204060801001201401 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12月 (2008年-2009年)リン鉱石月毎輸入量(千トン

)01234567

リン鉱石輸入単価(万円/トン)

リン鉱石月毎輸入量リン鉱石輸入単価

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なし、更に、これら品目に含有するリン量を仮定し、リン資源として流入するリン量を形態別に推算している。本調査ではこの 2007 年のデータを含む 2004 年から2008 年の 5 年間につき、上記の品目について同様の手法で国内消費(流入)量(リン換算値)を推算した。推算結果を表 2.26 に示す。更に、図 2.15 にリン鉱石、無機化学品、肥料等形態毎のリン流入量の過去 5年間の推移を示す。これによれば、流入量合計はほぼ横ばい(2008 年は 2004 年比 1.6%減)である。リン鉱石の流入量は2008 年は 2004 年比で 5.4%減、同様に肥料の形態での流入は 7.2%減であるが、無機化学品としてのリン流入量は増加傾向(2008年は 2004年比 41.5%増)にある。 一方、国内のリン系無機化学品の生産について、表 2.28にリン系無機化学品(15品目)の国内生産量及び出荷量を示す。2008年度は前年比で生産量及び出荷量共に20%程度減少しており、この分野での原料リン資源の消費量も同様に減少していると推算される。前記貿易統計からでは 2007 年と 2008 年で無機化学品の輸入量は18%程度増加しており、国内生産分の減少が輸入量の増加で補われていると見られる。

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48

表 2.26 我が国のリン及びリン関連品目貿易量

*表 2.27 (次頁)に換算方法記載

図 2.15 わが国に流入する形態別リン資源の推移

050100150200250300350400450

2004 2005 2006 2007 2008年形態別リン流入量(千トン-P) リン鉱石無機化学品リン酸肥料計

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表 2.27 リン関連品目のリン分換算方法( 23NEDO調査報告書 p.34より転載) リン分換算

品名 HS コード P換算方法 P 換算係数 粉砕していないもの 251010000 リン鉱石中のリン含有量を 30%(P2O5換算)* 0.131 塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント 天然のりん酸カルシウム及びりん酸アルミニウムカルシウム並びにりん酸塩を含有する白亜 粉砕したもの 251020000 2P/P2O5=0.436 より 0.3×0.436=0.131 0.131 りん 280470000 P単体として 1.000 五酸化二りん 280910000 2P/P2O5=0.436 0.436 りん酸及びポリりん酸 280920000 リン酸として P/H3PO4=0.316 0.316

無機化学品 りん化物(りん鉄を除く) 284800000 不明 0.316 ホスフィン酸塩及びホスホン酸塩 283510000 不明 0.316 りん酸塩 一ナトリウム又は二ナトリウムのもの 283522000 りん酸一ナトリウムとして P/NaH2PO4・2H2O=0.199 0.199 カリウムのもの 283524000 P/KH2PO4=0.228 0.228 オルトりん酸水素カルシウム 283525000 2P/Ca(H2PO4)2・H2O=0.246 0.246 カルシウムのその他のりん酸塩 283526000 P/CaHPO4・2H2O=0.180 0.180 三ナトリウムのもの 283529010 P/Na3PO4・12H2O=0.081 0.081 その他のもの 283529090 不明 0.316 トリポリりん酸ナトリウム 283531000 3P/Na5P3O10=0.253 0.253 ポリりん酸塩 その他のもの 283539000 不明 0.316 過りん酸石灰及び重過りん酸石灰 310310000 過リン酸石灰とし、第 1 リン酸カルシウム:硫酸カルシウムが40:60 とすると、2P/Ca(H2PO4)2・H2O=0.123 より 0.4×0.123=0.049 0.049

りん酸肥料(鉱物性肥料及び化学肥料に限る。) その他のもの 310390000 不明 0.316 この類の物品をタブレット状その他これに類する形状にし又は容器との重量が 10 キログラム以下に包装したもの。 310510000 不明 0.316 鉱物性肥料及び化学肥料(窒素、りん、カリウムを含有するものに限る。) 310520000 不明 0.316 オルトりん酸水素二アンモニウム) 310530000 P/(NH4)2HPO4=0.235 0.235 オルトりん酸二水素アンモニウム 310540000 P/NH4H2PO4=0.269 0.269 その他の鉱物性肥料及び化学肥料(窒素及びりんを含有するものに限る。) 310551000 +310559000

不明 0.316 鉱物性肥料及び化学肥料(りん及びカリウムを含有するものに限る。) 310560000 リン酸三カリウムとして P/K3PO4=0.146 0.146

肥料 肥料成分(窒素、りん及びカリウム)のうち二以上を含有する肥料(鉱物性肥料及び化学肥料に限る。)泳ぎその他の肥料並びにこの類の物品をタブレット状その他これに類する形状にし又は容器ともの 1 個の重量が 10 キログラム以下に包装したもの その他のもの 310590000 不明 0.316

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表 2.28 リン及びリン化合物の国内生産量及び出荷量

2007年度24 2008年度25 備考 生産量(t) 104,988 85,019 19.0%減 生産量中 P分(t) 29,806 24,305 18.5%減 出荷量(t) 106,423 84,532 20.6%減 出荷量中 P分(t) 30,263 24,089 20.4%減

リン国内需要及び物質収支については横山らによる調査研究26や、これをアップデートした独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「JOGMEC」と言う。)のレポート27がある。 図 2.16は 2006年のデータに基づく国内リンマテリアルフローの概略である。 国内に流入するリンは、資源としての形態の他、食糧・飼料や他の鉱物資源に含まれているものあり、年間約 80万 t-Pである。このうち、最終的に 50%は植物が吸収できない状態で土壌に蓄積されている。未利用資源として注目されているのは水域に移行する 5.8万 t-Pのうち下水処理プロセスで回収可能なリンと製鋼スラグに移行しているリンである。(前記、23NEDO調査報告書)

以上をまとめると、 ・リン資源は世界的に偏在した資源であり、全量を輸入に依存する我が国は産出国の輸出政策に影響を受けやすい。 ・リンの国内需要の変化は緩やかであり、今後とも肥料を中心に年間約 80 万t程度のリンが消費されると思われる。また、化学製品については国内生産から製品の輸入に移行する傾向がみれれる。 ・未利用資源として製鋼スラグ及び下水中のリンが注目される。

24日本無機薬品協会「無機薬品の実績と見通し」(平成 20年度版)より集計 25 同上 (平成 21年度版) より集計 26横山、「強磁場を利用した製鋼スラグからのリンの分離回収」、鉄と鋼、vol.92 (2006)、No.11、P.683-689 27JOGMEC,「鉱物資源マテリアルフロー2007」、p.270、平成 20年 3月

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図 2.16 国内リンマテリアルフローの概略(2006年データに基づく)

(27JOGMEC「鉱物資源マテリアルフロー2007」を元に簡略化)

2.4.2リン資源の利用面からの潜在ニーズと課題 製鋼スラグから分離するリン濃縮生成物(リン濃縮スラグ)の利用の可能性の確認と、利用時に求められるスラグの品質等の課題の整理のために想定される利用側の専門家にヒアリングを実施した。

(1)肥料又は肥料原料 想定されるリン濃縮スラグの性状に対して、肥料研究者、リン酸肥料メーカー(協会を含む)等から情報を得た。また、肥料としての効果を把握するための肥料試験に関し、肥料検査機関から情報入手を行った。想定したリン濃縮スラグの性状はある程度の量が試作されているケースⅠの例を用いることとした。ヒアリング時に提示した想定するスラグ性状を表 2.29に示す。

*植物に吸収されずに土壌に含有輸出輸出輸出輸出::::0.30.30.30.3万万万万不明:3.8万

(単位:t-P/年)

リンリンリンリン資源資源資源資源43.943.943.943.9万万万万 食糧食糧食糧食糧・・・・飼料飼料飼料飼料

17171717万万万万 他他他他のののの天然資源天然資源天然資源天然資源混入量混入量混入量混入量19.119.119.119.1万万万万輸入輸入輸入輸入::::80808080万万万万リンリンリンリン鉱石鉱石鉱石鉱石

10.310.310.310.3万万万万 化学工業品化学工業品化学工業品化学工業品17.617.617.617.6万万万万リンリンリンリン酸質肥料酸質肥料酸質肥料酸質肥料

16161616万万万万水域水域水域水域5.85.85.85.8万万万万 最終処分場最終処分場最終処分場最終処分場

5.85.85.85.8万万万万 製品固定製品固定製品固定製品固定12.912.912.912.9万万万万土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積****

39.839.839.839.8万万万万 製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ11.411.411.411.4万万万万環境中環境中環境中環境中::::51.451.451.451.4万万万万 製品等中製品等中製品等中製品等中::::24.524.524.524.5万万万万鉄鉄鉄鉄スクラップスクラップスクラップスクラップ

0.20.20.20.2万万万万国内滞留量国内滞留量国内滞留量国内滞留量::::75.975.975.975.9万万万万*植物に吸収されずに土壌に含有輸出輸出輸出輸出::::0.30.30.30.3万万万万

不明:3.8万(単位:t-P/年)

リンリンリンリン資源資源資源資源43.943.943.943.9万万万万 食糧食糧食糧食糧・・・・飼料飼料飼料飼料

17171717万万万万 他他他他のののの天然資源天然資源天然資源天然資源混入量混入量混入量混入量19.119.119.119.1万万万万輸入輸入輸入輸入::::80808080万万万万リンリンリンリン鉱石鉱石鉱石鉱石

10.310.310.310.3万万万万 化学工業品化学工業品化学工業品化学工業品17.617.617.617.6万万万万リンリンリンリン酸質肥料酸質肥料酸質肥料酸質肥料

16161616万万万万水域水域水域水域5.85.85.85.8万万万万 最終処分場最終処分場最終処分場最終処分場

5.85.85.85.8万万万万 製品固定製品固定製品固定製品固定12.912.912.912.9万万万万土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積****

39.839.839.839.8万万万万 製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ11.411.411.411.4万万万万環境中環境中環境中環境中::::51.451.451.451.4万万万万 製品等中製品等中製品等中製品等中::::24.524.524.524.5万万万万鉄鉄鉄鉄スクラップスクラップスクラップスクラップ

0.20.20.20.2万万万万国内滞留量国内滞留量国内滞留量国内滞留量::::75.975.975.975.9万万万万輸出輸出輸出輸出::::0.30.30.30.3万万万万

不明:3.8万(単位:t-P/年)

リンリンリンリン資源資源資源資源43.943.943.943.9万万万万 食糧食糧食糧食糧・・・・飼料飼料飼料飼料

17171717万万万万 他他他他のののの天然資源天然資源天然資源天然資源混入量混入量混入量混入量19.119.119.119.1万万万万輸入輸入輸入輸入::::80808080万万万万リンリンリンリン鉱石鉱石鉱石鉱石

10.310.310.310.3万万万万 化学工業品化学工業品化学工業品化学工業品17.617.617.617.6万万万万リンリンリンリン酸質肥料酸質肥料酸質肥料酸質肥料

16161616万万万万リンリンリンリン資源資源資源資源43.943.943.943.9万万万万 食糧食糧食糧食糧・・・・飼料飼料飼料飼料17171717万万万万 他他他他のののの天然資源天然資源天然資源天然資源混入量混入量混入量混入量

19.119.119.119.1万万万万輸入輸入輸入輸入::::80808080万万万万リンリンリンリン鉱石鉱石鉱石鉱石10.310.310.310.3万万万万 化学工業品化学工業品化学工業品化学工業品

17.617.617.617.6万万万万リンリンリンリン酸質肥料酸質肥料酸質肥料酸質肥料16161616万万万万

水域水域水域水域5.85.85.85.8万万万万 最終処分場最終処分場最終処分場最終処分場

5.85.85.85.8万万万万 製品固定製品固定製品固定製品固定12.912.912.912.9万万万万土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積****

39.839.839.839.8万万万万 製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ11.411.411.411.4万万万万環境中環境中環境中環境中::::51.451.451.451.4万万万万 製品等中製品等中製品等中製品等中::::24.524.524.524.5万万万万鉄鉄鉄鉄スクラップスクラップスクラップスクラップ

0.20.20.20.2万万万万国内滞留量国内滞留量国内滞留量国内滞留量::::75.975.975.975.9万万万万水域水域水域水域5.85.85.85.8万万万万 最終処分場最終処分場最終処分場最終処分場

5.85.85.85.8万万万万 製品固定製品固定製品固定製品固定12.912.912.912.9万万万万土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積土壌蓄積****

39.839.839.839.8万万万万 製鋼製鋼製鋼製鋼スラグスラグスラグスラグ11.411.411.411.4万万万万環境中環境中環境中環境中::::51.451.451.451.4万万万万 製品等中製品等中製品等中製品等中::::24.524.524.524.5万万万万鉄鉄鉄鉄スクラップスクラップスクラップスクラップ

0.20.20.20.2万万万万国内滞留量国内滞留量国内滞留量国内滞留量::::75.975.975.975.9万万万万

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表 2.29 概略スラグ性状 (%-重量) リン濃縮スラグ スラグ種 転炉スラグ サンプル試験 改善型* 主成分 協会カタログ値 平均 推定値

CaO 46 20~25 25~30

SiO2 11 ~5~ 5~10

T-Fe 17 13~30 2~3

MgO 7 ~1 1~5

MnO 5 25~35 1~5

Al2O3 2 ~1 1~2

P2O5 2 ~15~ ~30 *ヒアリング実施時点では推定値

次頁以降にヒアリング内容を示す。

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【No.7】 【目的】製鋼スラグから分離したリン濃縮生成物(高リンスラグ)の農業利用の可能性に関するヒアリング 【ヒアリング先】大学研究者(生物応用化学科 教授) 【要旨】 1.高リンスラグの使用の可能性 (1)肥料としての利用 ・「表 2.29中の改善型」は下水汚泥焼却灰から製造される「熔成汚泥灰複合肥料」に類似している。使用方法としては「熔成汚泥灰複合肥料」同様に「熔成リン肥」代替ということになるだろう。下水焼却灰では還元溶融により、As や Cd 等の有害成分が飛灰側に移行し、スラグ(製品肥料)側に残らないというのが売りになっている。 ・Mn は必須成分であるが、過剰投入は有害である。一般的な製鋼スラグ中の MnOの濃度程度(約 5%)が有効である。表 2.29中のサンプル試験のような濃度のMnO含有物はリン系肥料というより「鉱さいマンガン肥料」(合金鉄産業から発生している。く溶性マンガンが 10~20%のもの。)に相当するものである。 Mnの効果と施肥量について Mnや Feは水田でのメタン発生を抑制する効果がある。ただし、Mn2+は生育阻害となる。土壌を酸性にし、過多の場合、マンガン過剰症になる。 リン酸肥料の施肥量: P2O5の濃度が 30%のものだと、1回の施肥量は 100kg/10アール=100g/m2 これを 2回/年行う。 一般的にはマンガン等の微量要素肥料は施肥量がリン酸肥料の 1/30 程度の 3~4g/m2である。 P2O5 と同程度の MnO を含む肥料を施肥し続けた場合の、影響については現状データはない。 ・Fe は通常土壌中に多く含有しているので植物への影響はない。鉄過剰症というのはない。ただし、肥料のかさ比重が大きくなり、取扱い上問題となる場合がある。 ・スラグの冷却方法では徐冷と水砕がある。下水汚泥焼却灰の「熔成汚泥灰複合肥料」は水砕である。水砕でも肥効はあるが、徐冷の方がより効果があると思われる。最終的には肥料試験を行うこととなる。また、水砕はガラス質で取り扱い時に手に刺さるということで敬遠される場合がある。 (2)土壌改良資材としての利用 ・「肥料」は根から直接吸収するもので、N、P、Kのいずれかが 1%以上含むものと定義されている。例えば、ドロマイトは登録された肥料であると同時に土壌改良資材でもある。現在、転炉スラグは副産石灰肥料(粉砕品)や特殊肥料(粗粒品)あるいは土壌改良資材として農業利用されている。 (3)肥料等原料としての利用

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・配合飼料の原料になり得る。ただし、飼料登録のための壁が高い。 ・水田は現状でもリン酸が足りない。今後もリン酸の需要はある。 ・例えば、下水からの HAP(hydroxylapatite:ヒドロキシアパタイト)はかなり純度が高いが、飼料用原料の場合でも品質面でかなり条件が厳しい。工業用となると更に厳しい。製品品質という点では直接、肥料に使用する方が容易ではある。 (4)その他 ・「表 2.29中の改善型」が実現できれば組成としてバランスがいい。 ・下水系の回収リン酸肥料としてはMAP(Magnesium Ammonium Phosphate:リン酸マグネシウムアンモニウム)や HAP のようなリン酸純度の高い資材の他にも肥料として有効な成分(ケイ酸など)が混在する資材の開発を進めるべき。 ・現状の土壌酸性改良資材として利用している転炉スラグは 3.36mm の篩を通過したもので、粒径が粗いため酸性矯正力が既存資材(ドロマイト)より劣る。そのため、施用量が多量になってしまう。粒径も重要な要素である。 ・製鋼スラグを還元して得られたメタルを酸化精錬するときのフラックスを Ca系でなく K系にすることで肥料としての付加価値は上がる。肥料中の K の形態としては K2SO4、K2SiO3だが、水田では S分は不可、畑は S分があっても可。 ・海外ではドイツなどでは古くからスラグを肥料に利用している。

2.今後の展開 (1)新肥料としての登録(※p.58参照)について ・下水スラグや転炉スラグの肥料登録は比較的早いだろう。2年程度以内で登録可能と思われる。成分試験、植害試験、肥効試験(対照は「熔成リン肥」が適)を複数の検査機関で実施してデータが揃えば登録される。 ・肥料の名称は由来を示すので、常識的には「鉱さい」というのが付いてしまう可能性大。イメージに影響する。 (2)大学での研究対象としての高リンスラグについて ・肥料登録時の試験だけでは実用化は困難。ⅰ)どの作物に、ⅱ)どう施肥すると、ⅲ)どのような効果があるか という研究を行う必要がある。 (まとめ) ・リン濃縮スラグの肥料化の可能性あり。 ・課題:①Mn成分の影響確認及び除去処理の適応 ②従来の転炉スラグの特長(酸性抑制効果)の持続 ③普及のために肥料登録とは別に施肥法に関する基礎データの蓄積

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【No.8】 【目的】国内肥料メーカのリン資源確保状況と回収リン利用の考え方 【ヒアリング先】リン酸肥料メーカー及び肥料アンモニア協会関係者 【要旨】 1.リン酸肥料における原料確保の動向 (1)リン鉱石 ①現状の課題 ・世界的に偏在しており、日本は主に中国、モロッコ等から輸入。近年の価格上昇や米国、中国等の主要産出国の政策に影響されやすい状況を回避するために、最近は新たにチュニジア、ベトナムなどからの輸入も始まった。 ・昨年、リン鉱石が急騰したが、本来、リン鉱石はリン関連物資の中でも比較的価格が安定しているもの。リン安(DAP)等加工品は投機の対象になり易く、価格は変動しやすい。リン安は昨年夏には、それまで$200/トン位が$1200/トンまで上昇した。現在は$300/トン位に落ち着いてきている。 ・生産は露天掘りであり、いずれ埋め戻す必要がある。 ・中国は、埋蔵量はあるが、高品質の原料には限界がある。 ・中国では、山元は、売れるので輸出したい意向だが、国の施策としては国内向けを優先し、輸出関税の課税で輸出を制限している。 ・日本は中国からのリン鉱石輸入が全リン鉱石輸入量の約半分である。中国産リン鉱石はリン含有量が低いが、Cd や放射線物質が他より少なく、重要なリン鉱石資源である。 ②今後の見通し ・供給量が絞られている訳ではないので、量的確保は当面問題ない。ただし、価格面での問題はある。肥料の利用先である農作物は原材料費とリンクして価格を設定できない。急激な価格上昇に農家が追いつかないため、肥料価格も安易には上げられない構造である。アメリカはかつてフロリダ産のリン鉱石を輸出していたが、フロリダで高品位が少なくなったこと、リン鉱石よりも付加価値の高いリン安を輸出し世界市場の寡占化を狙う方針とした。前述のように加工品は価格が不安定である。現在はリン鉱石の輸入先としては中国が主ではるが、モロッコの他、リン鉱石原料の安定的確保のためにベトナム、チュニジアからも鉱石を輸入している。なお、モロッコは鉱石のまま輸出したい意向。よって、現状、量的確保に関して問題ない。 ・品質は徐々に低下しているが、対応できる範囲。 (2)未利用資源の活用について ・上記のように価格については問題があるので、供給源の分散は必要。世界的な埋蔵量が 120億~500億トンで、年間消費量を 1.5億トンとみると可採年数は 80年から 300年あると言われるが、昨年の中国の関税問題や四川(産出地)大地震等があった。今後は何らかの対応策は必要である。リン資源リサイクル推進協議会

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が活動している。下水汚泥や製鋼スラグからのリン回収と利用に関心がある。ただし、完全な実用化はまだ先という感覚。課題は価格、品質と肥料取締法の遵守。 (価格)原料の変更は即、コストの上昇に繋がる。

(品質)①肥料取締法に合致し、重金属など有害金属の少ないもの。 ②他の肥料と混同した場合の性状など。

(肥料取締法)現行の肥料取締法では原料の由来を届出しなければならない。例えば、下水汚泥焼却灰からの熔成リン肥などは完全に有機物が分解除去されていても「汚泥」という名称がつけられている。このため、利用者は選択し難いという問題もある。また、新たな肥料が増えると肥料メーカーは登録を維持するために更新料がかかる。肥料メーカーでは通常数百種の肥料を製品化しておりその全てについて製法等が管理されている。さらに、新たな肥料の規格改正にはかなりの時間(例:3ヵ年)が必要である。 ・最近の肥料の傾向は単肥よりも複合が好まれる。農家の人手が少なくなり、施肥回数の少ない肥料が求められる。

2.製鋼スラグの利用可能性 (表 2.29の改善型のリン濃縮スラグの性状に関するコメント) ・前記の肥料登録が必要。現行の肥料に該当するものがあるのか、なければ新たに規格改正を申請し登録する。この場合、製造方法、原料、製品品質、微量成分等、詳細なデータが必要となる。 ・示された想定する性状ではサンプル試験の例では鉄分が多く、使い難いが、改善型では可能性はある。今後、具体的に性状がはっきりし、サンプルの提供があれば利用側としての研究を行うことはあり得る。なお、形状としては水砕スラグのような粉状が好ましい。

3.その他 ・リン鉱石はリンの他、カルシウム、フッ素を含有しており、これらについても資源として回収の可能性が考えられる。 (まとめ) ・需給状況:①リン資源確保状況の好転 ②今後とも価格、供給量の点でリスク継続 ③一般論としての未利用資源活用の重要性 ・回収リン利用普及の課題: ①品質(安心・安全)、価格、供給量 ②「肥料取締法」の遵守 ③使う側に立った仕様

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【No.9】 【目的】リン濃縮スラグサンプルの肥料試験に関するヒアリング 【ヒアリング先】公的肥料検定機関 【要旨】 0.試験用サンプルについて JFEテクノリサーチから説明 (以下、ヒアリング先のコメント) 1.直接肥料使用を想定して実施することの現実性 ・リン酸質肥料であれば、標準的なリン濃度がある。これを基準に施肥量を調整して、肥料試験を実施する。く溶性リン酸濃度が高い試料は施肥量を少なく条件を設定する。 ・想定しているリン濃縮スラグは P2O5濃度でリン鉱石に匹敵するが、リン鉱石を直接肥料として使用することはない。ただし、スラグ中のリンの形態がリン鉱石と同一とは限らないので、肥料としての性能を確認すること自体は意味がある。

2.肥料試験の流れ ・「肥料成分分析→植害試験→肥効試験」と言うのが一般的。 肥料成分分析は水、クエン酸(2%)、中性(アンモニア+クエン酸)溶液への溶出量から植物が吸収しやすい形態の肥料成分量を評価するもの。この分析結果をもとに、植害試験の施肥量を定め、試験を設計する。このため、肥料成分分析は植害試験の前提。植害試験は標準の施肥量を基準に 4倍まで施肥量を増やして(4水準が基本)各濃度での生育状況を観察するもの。対象とする植物は一般的には小松菜でプランタの容量は約 400cc。4倍まで水準を振っているので、肥料としての効果もある程度は判定できる。肥効試験はより大きなプランターを用いて実施するもの。 よって、今回のような最も基本的な性能を見るには植害試験まででよいと思われる。

3.マンガンについて ・マンガンは必須成分である。ただし、窒素、リン酸、カリに比べた場合、濃度的には 1/10~1/20 程度が一般的であり、多い場合については何らかの障害が出る可能性あり。

4.比較資材について ・何を目的とした肥料試験かによって、比較材は異なってくる。例えば、リン酸成分の効果をみるのであれば、リン以外の成分をほぼ同濃度水準になるように調整した肥料を比較材とする。このとき、必須である窒素とカリは最低限を一定量として試験材と比較材の双方に添加しておく。 ・今回のサンプルには鉱滓リン酸肥料か、熔成リン肥が適当と思われる。熔成リン肥は当検査機関で比較材としてよく使用しているので物があり、肥料成分分析データ

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も揃っている。熔成リン肥のリン濃度をサンプルのリン濃度を合わせて、マンガンの有無の影響を見る試験などが考えられる。

5.試験期間について ・小松菜による試験では 植害試験:約 3週間、肥効試験:約 1.5ヶ月 ・稲に対する珪酸の効果を見る場合は、茎が生育する期間(約 4ヶ月)が必要。 (まとめ) ・肥料試験の流れ:肥料成分分析→植害試験→肥効試験 ・植害試験で異常のある試料は肥料として不適。初期段階で肥料成分分析、植害試験を実施。

※肥料登録の方法

[1.肥料公定規格改正申請]28 新たに肥料を登録する際、現行の公定規格(肥料取締法に基づく告示)に定義されている肥料の種類に該当しない場合は、公定規格の改正を申請する必要がある。申請から規格改正までの経過を図 2.17に示す。肥料事業者(申請者)が、独立行政法人農林水産消費安全センター(以下、センターという。)経由で申請書を提出し、農

図 2.17 肥料公定規格の改正

28農林水産省ホームページ(http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000056.html)

肥料業者(申請者)

改正(告示)

(独)農林水産消費 安全技術センター

(検査機関) 農林水産省 消費・安全局 肥料公定規格設定検討会

(肥料登録申請へ)

申請(3月末) 提出(4月)

(10-11月)

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林水産省が開催する肥料公定規格設定検討会での審議を経て、規格改正(新規肥料の追加)が告示される。申請は例年 3 月末であり、10 月から 11 月に改正の告示がなされる。 申請時に必要な書類にはア)当該肥料の生産方法ならびに組成及び含有成分の分析成績、イ)当該肥料の施用方法の概要、ウ)改正後における当該肥料の原料、生産設備及び販売の見通し、の他、以下の参考資料(必要に応じて)がある。 ①当該肥料の試験成績書(栽培試験成績、幼植物試験成績、硝酸化抑制試験成績) ②原料の使用割合、生産工程及びその工程における化学反応の概要 ③原料、材料又は異物に関し、出所、生産経緯及び組成、成分分析成績 ④その他魚毒試験、貯蔵試験等 このため、公定規格改定申請時には新規肥料が対象とする植物を決定し、その植物に対する詳細な試験結果の取得が必要であり、申請前にセンターと協議の上、更に必要な試験を実施することになる。 [2.肥料登録]29 公定規格の改正(告示)後、改めてセンター経由で農林水産省に肥料登録を申請する。肥料登録の申請は随時であり、申請後概ね 1ヶ月程度で登録証が公布される。

(2)その他の原料 肥料及び肥料原料以外の工業製品原料としての利用の可能性については、既往調査(前出の 23NEDO の調査報告書)によると原料は厳格な品質管理が行われており、現時点で回収リン資源の利用は想定されていない状況であった。しかしながら、リン含有濃度が 30%-P2O5 程度となるリン濃縮スラグが大量に生成される可能性(2.4.3節)が出てきたため、再度、工業用リン酸製造での回収リン利用の可能性について電話によるヒアリングを行った。ヒアリング内容を次頁に示す。 ヒアリングの結果、品質の安定性を条件に利用の可能性が示唆された。今後、実際に生成してくるリン濃縮スラグの性状から対応を判断することとなるという見解を得た。

29(独)農林水産消費安全センターホームページ(http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub2_gaiyo.html)

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【No.10】 【目的】リン濃化スラグの工業用リン酸原料化に関するヒアリング 【ヒアリング先】工業用リン酸メーカー 【要旨】 試作した以下の組成のリン濃縮スラグについて、工業用リン酸原料としての利用の可能性をたずねた。 ①組成:( )内はリン濃縮処理前の現状の製鋼スラグの組成* P2O5 30%(2%)

CaO 39%(46%)

T-Fe 23%(17%)

MnO 2%(5%)

SiO2 1%(11%)

MgO 1%(7%) ②発生量: ひとつの製鉄所が全量この方式で製鋼スラグを処理すると、国内の平均的な一製鉄所から年間 5~6万トン程度のリン濃縮スラグが発生。

以下、リン濃縮スラグの湿式リン酸原料としての可能性についてのコメント ・リン濃度や発生量は充分。原料となる可能性はある。 ・湿式リン酸製造では最初に硫酸で Ca分を石膏として分離する。石膏は石膏ボードの原料として出荷。サンプルスラグの組成では鉄分が高濃度であるが、これが石膏品質にどのように影響するかは未知であり、確認が必要である。 ・現状、工業原料用の湿式リン酸製造は国内 2社。ただし、現状、中国からの安価なリン酸(乾式リン酸であり、品質が良いが、安いエネルギー(水力、ただし電力原単位は大)で製造。国内の湿式リン酸と価格的に競う状況。)が入ってきており、国内企業は事業として更に低コスト化を図る必要に迫られている。現状のリン鉱石より安価であれば代替資源を使用する可能性はあるが、今後積極的に利用して生産量を増大できるかは疑問。 ・現在、リン鉱石価格は一時の高騰から完全に戻った感があり、コスト面からは代替原料に対する期待は薄くなっている。ただし、原料確保(安定調達)という観点からは、引続き様々なリサイクル原料の使用検討は必要。 ・代替資源を使用する場合、現状の設備・操作を変更しない範囲で既存の原料に混合する場合と、全く専用のラインとして改造や運転方法変更を行う場合があるが、企業としては前者から始めることになると思われる。いずれにしても、代替資源の組成や供給量が安定していることが必須条件である。 *ヒアリング時点で得られたサンプル分析概略値

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(3)まとめ 製鋼スラグを固体還元と酸化精錬で処理し生成したリン濃縮スラグの肥料又は肥料原料及び工業用原料への適用について利用側の専門家にヒアリングした結果をまとめると以下のとおりである。

①リン資源化の可能性

(a)直接肥料として ・可能性有り。特に従来の転炉さい肥料(鉱さいリン酸肥料)同様に酸性土壌改良効果があれば、リン酸濃度が高いことにより施肥量が低減でき、利用しやすい。 ・リン酸肥料原料よりも要求される品質は緩やかで、利用しやすい。 ・サンプルによる成分分析と植害試験で基本的な利用可能性が判断できる。 (b)リン酸肥料原料として ・現状、輸入リン鉱石は量的に確保されているが、産出国の政策に影響される状況であり、国内で確保可能な未利用資源への期待有り。 (c)工業用リン酸原料として ・高純度の乾式リン酸(黄リン)は国内での生産は行われていないため、工業用の湿式リン酸原料としての利用となるが、想定するリン含有生成物のリン含有量は利用可能なレベル。

②リン資源化の課題

(a)直接肥料として ・マンガン過多による生育阻害の可能性があるので、マンガンが分離可能であれば分離すべき。 ・利用普及のためには最適な施肥法を確立する必要があり、実際の農地を利用した数年規模の試験が必要となる。

(b)リン酸肥料原料 ・リン資源としては、含有リン濃度がリン鉱石並み以上であること。 ・安全安心、価格、量的確保が基本的条件となる。 ・リン以外の成分については肥料製造上の制約があるものも有り、今後ある程度の規模で実機に近い生成物が得られた段階で利用については検討することとなる。特に、副生成物の石膏の品質への影響を確認する必要有り。

(c)工業用リン酸原料として ・リン酸肥料原料用同様、湿式リン酸製造の副生成物である石膏品質への影響把握が必要となる。 ・品質が安定していること。 ・現状の原料リン鉱石より低価格であること。

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2.4.3リン資源利用可能性サンプル試験 想定したリン分離回収プロセスからの生成物のリン資源としての有効性についてサンプルを試作し、利用の可能性を検討した。検討項目は、リン資源利用の主たる分野が肥料あることから、肥料試験(原料分析、植害試験)とした。そこで現時点で実用規模の具体的な処理手順がある程度想定され、検討に必要なサンプル量が試作可能なケースⅠを例に実施した。

(1)サンプル試作 ①サンプル試作フロー 製鋼スラグを原料資料として固体還元を模した還元実験と、酸化精錬を模した実験を個別に行い、スラグサンプルを試作した。図 2.16 に実験フローを示す。還元実験装置はラボスケールのため、還元実験で生成したメタル分の組成を模した試料を別途調整し、酸化精錬実験(200kg規模の小形溶解炉使用)を行った。

リン濃縮スラグⅠ:高Mn リン濃縮スラグⅡ:低Mn リン濃縮スラグⅢ:Mn無し

図 2.18 サンプル試作実験

還元実験

酸化精錬実験

原料試料:製鋼スラグ

原料試料:純鉄、C、Fe-P合金、Mnにより調整

生成物 メタル:還元したメタル分の組成分析 スラグ:低リンスラグ

生成物 スラグ:リン濃縮スラグⅠ リン濃縮スラグⅢ メタル:Fe主体

生成物 脱Mnスラグ:Mn高含有 脱リンスラグ:リン濃縮スラグⅡ メタル分:Fe主体 肥料試験

希釈用高炉溶銑・石灰石添加 脱Mn処理

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Mn分をパラメーターにリン濃縮スラグⅠからⅢまでの 3種類のスラグサンプルを試作した。

②サンプル試作状況 還元実験装置は 1 回に製鋼スラグ 100~300g を還元する規模である。写 2.1、写 2.2にモデル溶解炉(溶銑 200kg/回)を使用した酸化精錬実験の状況を示す。

写 2.1 酸化精錬実験 途中サンプリング作業

写 2.2 酸化精錬実験 スラグ回収状況

スラグ回収 炉

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(2)肥料試験 試作した 3種のサンプルについて肥料としての使用可能性を確認するために、組成分析以外に以下の肥料試験を実施した。(詳細は別添資料「肥料試験結果報告書」参照) ⅰ)原料分析:植物が吸収可能な形態の肥効性分含有量 試験方法:「肥料分析法」(1992年版) による。 ⅱ)植害試験:植物の発芽、生育への悪影響の有無 試験方法:「植物に対する害に関する栽培試験の方法」(昭和 59 年 4 月 18日付け通知 農蚕第 1943号)による。 ①原料分析結果 表 2.30に分析結果を示す。 表 2.30 原料分析結果

リン濃縮スラグⅠ リン濃縮スラグⅡ リン濃縮スラグⅢ く溶性リン酸 14.66 % 28.67 % 15.12 % 水溶性リン酸 0.03 % 0.02 % <0.01 % アルカリ分 26.09 % 42.29 % 39.96 % く溶性苦土 0.59 % 0.88 % 1.36 % く溶性マンガン 29.62 % 1.29 % 0.47 %

ヒアリングで指摘されたマンガンについては、高マンガンのリン濃縮スラグⅠで 30%程度のく溶性マンガンが検出されているが、低マンガンのリン濃縮スラグⅡでは 1%台まで低下しており、マンガン過剰症が問題となる含有量以下(土壌改良資材として障害なく使われる一般的な転炉スラグのMn濃度は 5%30)である。 ②植害試験 表 2.31に「こまつな」を用いた幼植物試験の結果を示す。

30ヒアリング【No.7】p.53参照

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表 2.31 植物に対する害に関する栽培試験結果

リン濃縮スラグⅠ リン濃縮スラグⅡ リン濃縮スラグⅢ 規準量区 100 98 98

2倍量区 100 95 95

3倍量区 100 95 100

発芽調査

発芽率(%) 4倍量区 98 100 100 規準量区 105 (91) 115 (100) 99 (86)

2倍量区 117 (102) 125 (108) 100 (87)

3倍量区 116 (102 126 (109) 105 (91)

生育調査

生体重指数 4倍量区 117 (101) 119 (103) 108 (93) 規準量区 無 無 無

2倍量区 無 無 無

3倍量区 無 無 無

異常症状

4倍量区 無 無 無 所見

生育上の異常症状は認められなかった。

生育上の異常症状は認められなかった。

生育上の異常症状は認められなかった。 生体重指数は無機基礎量区を 100とした指数、( )内は対照肥料区と 100とした指 数。

3サンプル共に発芽、生育に対し、異常症状は無かった。また、対象肥料としての「熔成リン肥」(農林水産大臣登録肥料)と比して、生育状況はリン濃縮スラグⅠ及びリン濃縮スラグⅡ共に生体重が多く、リン濃縮スラグⅢは生体重が少なかったが、Mnによる差異は認められなかった。

(3)まとめ 実用化検討の対象とした「還元+酸化精錬」方式の小型実験でリンを濃縮させたリン濃縮スラグサンプルの肥料利用の可能性について試験を実施し、以下の結果を得た。 (肥料試験) ・肥料原料分析からリンが主にく溶性の形態で存在している事を確認した。 ・植害試験ではいずれのサンプルも生育上異常症状を示す兆候は無かった。

上記結果から、「還元+酸化精錬」方式による製鋼スラグの処理によって肥料として利用可能な性状のリン濃縮スラグが生成できることを確認した。今後は、処理プロセスの実用化や、リン濃縮スラグの最適施肥方法などの利用技術の確立に向けた開発研究に進むこととなる。

2.4.4リン資源化実現に向けた課題の整理

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製鋼スラグの全量高炉循環システムの構築に伴い、製鋼スラグから分離回収したリン濃縮生成物のリン資源化利用について検討し、課題を整理した。 1)リン資源の需要の見通しについて リン資源の国内需要は肥料或いは肥料原料を中心に今後とも持続する可能性が高いことが統計資料などから確認できた。我が国は全量リン資源を海外に依存しており、今後も世界的な価格変動には受身で対応せざるを得ない状況である。このため、回収リンの利用など資源供給先の拡大が有効と見られているが、回収リンの利用を進めるには既存リン資源の価格に対抗可能な価格の実現が必須である。 2)リン資源に要求される製品品質 利用側からのコスト以外の条件として、品質の保証がある。要求される品質としては有害物質や従来品に含有していない成分を含有しないことと、成分組成が安定していることが挙げられる。肥料或るいは肥料原料では安全性が最も重要な品質である。化学製品用原料では成分ごとの組成の変動域に対し、より厳しい条件が付く。即ち、製鋼スラグの組成や性状の変化に対しても、安定した品質のリン濃縮生成物の生産が必要となる。

3)分離技術の装置化 (a)「固体還元+酸化精錬」法でのリン分離回収処理では、サンプル試作を行い、リン、鉄、マンガンを分類できる可能性を確認した。今後はよりスケールアップした実験を行い、資源としての品質確保のためのプロセス構築が課題となる。 (b)「強磁場によるリン分離」法についても原理の確認は成されているが、今後は更なるリンの濃縮を目指すと共に、実装置化を検討することとなる。

4)利用技術 「固体還元+酸化精錬」法で製鋼スラグから試作したリン濃縮生成物のサンプルによる肥料試験を行ったところ異常は無かった。Mnの含有率の違いによる生育状況の差異も認められなかった。今回実施した肥料試験は発芽から短期間の幼植物試験であり、新規の肥料の効果を確認するには、今後、長期間の生育試験や異なる植物での試験データが必要である。更に、利用の普及を進めるには、施肥の最適条件把握など長期間の使用時のデータ取得が必要となる。 また、肥料や化学製品の原料への利用を想定した場合、湿式リン酸製造等、既存の生産技術への影響についての検討が必要になる。

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2.5 鉄及び他の資源循環について

2.5.1鉄 製鋼スラグからリンを分離する過程では鉄の分離もなされることになる。実用化検討を実施したケースⅠ及びケースⅡでそれぞれ鉄は鉄源として製鉄プロセスで利用されている。表 2.32に製鋼スラグ中の鉄分の動きを示す。

表 2.32 製鋼スラグの鉄源利用 鉄源原単位 (kg-Fe/t-steel) 従来 ケースⅠ ケースⅡ 製鋼スラグ中 a 29.3 29.3 29.3 高炉焼結投入 b 0 28.8 メタル c 125 製 鋼工程投入 高Mnスラグ中 d 0.56 希釈用溶銑中 e 98 製鉄プロセス鉄源循環量 f=b+c+d-e 27.6 28.8 鉄源利用率(%) g=f/a×100 0 94.2% 98.3% リン濃縮スラグ中 1.46 0.46 その他 29.3

リン資源等に混在する鉄分を除き、鉄源としての利用がなされる比率(鉄源利用率とする。)をみると、ケースⅠでは製鋼スラグ中の約 94%が高炉(焼結)又は製鋼工程に戻され鉄源として利用されている。粗鋼に占める循環利用鉄源の割合は 3%弱である。ケースⅡでは、ケーススタディの試算のように転炉前で充分な溶銑脱リンが行われた場合、リン含有率が 0.1%以下となり、全量高炉循環が行えるレベルとなるため、鉄源利用率は 98%以上となる。

2.5.2マンガン マンガンは製鋼時にマンガン合金(フェロマンガン或るいはマンガン鉱など)として添加され、鋼の硬度、耐摩耗性、耐食性を向上させるもので特殊鋼のみならず普通鋼の生産においても必須の原料である。31 マンガンは代替が困難で供給国の偏りの著しい「備蓄対象7鉱種」のひとつに含まれるレアメタルである。我が国の年間マンガン需要量は鉄鋼業で約 65 万t-Mn、アルミ製造業に約 5 千t-Mn、電池製造に約 2.1万t-Mn等である。これに対し、供給は鉄及びアルミスクラップの国内リサイクルによる含有マンガンのリサイクル分もあるが、需要の概ね 3/4に当 31 K.Nakajimaら、”Substance Flow Analysis of Manganese Associated with Iron and Steel Flow in Japan” ISIJ International, Vol.48 (2008), No.4

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たる約 50万t-Mnを輸入に依存している。32 鉄鋼業においては、鉄鋼に含まれるマンガン分は鉄スクラップのリサイクルにより結果的に循環利用されているが、スラグに移行したマンガン分は利用されていない状況である。製鋼スラグ中に含有するマンガン量は転炉スラグ発生量が 10,631千t(表 2.1)でマンガン含有率が 5.3%-MnO(表 2.2)より 56.3万t- MnO(=43.6万t-Mn)であり、輸入量の 8割に達すると推算される。表 2.33に製鋼スラグ中のマンガンの動きを示す。

表 2.33 製鋼スラグのマンガン利用 マンガン原単位 (kg-Mn/t-steel) 従来 ケースⅠ ケースⅡ 製鋼スラグ中 a 2.72 2.72 2.72 高炉焼結投入 b 0 2.66 メタル c 0.07 製鋼工程投入 高Mnスラグ中 d 2.51 希釈用溶銑中 e 0.21 製鉄プロセスマンガン循環量

f=b+c+d-e 2.37 2.66 マンガン利用率(%) g=f/a×100 0 87.1% 97.8% リン濃縮スラグ中 0.34 0.08 その他 2.72 ケースⅠではマンガン利用率は 87%程度であるが、ケ-スⅡでは 98%が利用可能となると見られる。

32JOGMEC、「鉱物資源マテリアルフロー(2007)12 マンガン(Mn)」、平成 20 年 3月、p.72 より推算

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3. 開発事業計画立案

3.1 開発基本方針 製鋼スラグの利活用を図り、鉄鋼業の3Rを促進することを目的に、新規技術開発の可能性について検討してきた。その結果、現行の製鉄プロセスにおいて原料及び副原料の低減、肥料等の必須資源であるリンの回収と有効利用、更にはこれらに伴うエネルギー消費量の低減と CO2 排出量の低減が期待できるプロセスが提案された。ここでは、今後、このプロセスの実用化に向けた新たな技術開発を実施することを想定して、開発基本方針を提言する。

3.1.1開発目標 ①全量循環による原料や副原料の消費量低減 溶銑予備処理工程からの脱リンスラグ或いは転炉からの転炉スラグ等の製鋼スラグから製鉄工程に不要なリンを分離除去し、CaO 源や鉄源等として製鉄工程で原則全量再利用するプロセスとする。 ②リン資源利用技術の実用化検証 リン含有生成物の肥料及び肥料等各種原料利用について実用技術確立のために基本特性データ収集と利用可能分野の絞り込みを行う。 ③トータルエネルギー消費量の低減 現行のプロセスに比してエネルギー使用量及びコストを低減する。また、CO2排出量を低減する。 ④経済性の確保 エネルギー消費量の低減などからトータルコストを低減する。

3.1.2開発対象となる基本プロセス 技術の中核となるリン分離・濃縮・回収方法は冶金的手法と物理的手法によるものとする。 冶金的手法(例:「固体還元+酸化製錬)法) 製鋼スラグを還元と酸化精錬の 2段で処理し、高炉で循環利用する「リン濃度の低いスラグ」、製鋼工程にメタル源として利用する「リン含有量の少ない溶銑」及び製鋼工程でマンガン源として利用する「低リン・高マンガンスラグ」、リン資源として利用可能な「リン濃度の高いスラグ」を生成する方式。 物理的手法(例:「強磁場による分離」法) 製鋼スラグを構成する成分相の磁性に対する特性を利用して、リン資源として利用可能な「リン濃度の高いスラグ」と鉄源として鉄鋼プロセスで利用可能な「高Fe、低 P-スラグ」を分離生成する方式。

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3.2 事業計画 現時点は原理の実証がなされた基礎研究段階である。今後の展開としては、応用研究、更に実用化研究に繋げることが適切である。ただし、応用研究が終了する段階で技術の実用化に関する具体性及び事業化に向けた実施体制の実現性等について中間評価を実施し、以後の実用化研究の実施を判断する。以下に各研究段階における想定される主な研究項目を示す。

3.2.1応用研究

(1)冶金的手法 ・固体還元実験 小型実験:バッチ炉、スラグ投入量約数十 kg規模による還元条件把握 ・酸化精錬 小型実験:溶解炉によるマンガン、リン、鉄分離特性データ取得 ・焼結性検討 焼結試験:石灰石の代替にリン濃度の低いスラグを投入した場合の焼結性に関して、小型焼結機による焼結条件の検討 (2)物理的手法 ・装置化研究 プロセス毎の検討と全体装置計画 ・脱リンスラグ結晶相肥大化研究 小型実験:熱処理条件の検討 (3)リン資源利用技術 ・肥料化研究 ①直接肥料化 ・有害成分含有試験 ・肥効試験(作物別肥効試験等) ・土壌改良効果検討 ・造粒性検討 ②肥料原料化 ・肥料設計検討(化成肥料及び配合肥料の原料) ・肥料用リン酸製造への影響検討(リン酸肥料原料) ・工業用リン酸原料化研究 化学工業用リン酸製造への影響検討

3.2.2実用化研究 (1)冶金的手法 ・固体還元実験 中型実験:連続炉

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(2)物理的手法 ・装置化研究 モデル実験:連続処理実証 (3)システム検討 ・現行のプロセスに比してエネルギー使用量及びコストを低減するシステムの 構築検討 (4)リン資源利用技術 ・肥料化研究 ①直接肥料化 ・施肥方法の最適化 ・造粒試験 ②肥料原料化 ・化成肥料及び配合肥料の肥効試験 ・肥料用リン酸製造条件及び副生成物性状の確認 ・工業用リン酸原料化研究 化学工業用リン酸製造条件及び副生成物性状の確認

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4. 検討委員会開催状況

本調査に関し、開催した検討委員会の状況を以下に示す。

【第 1回検討委員会】 日時 平成 21年 9月 2日(水) 13:30~15:20 場所 経済産業省 本館 17階 第 6共用会議室 概略議事内容 ①委員長の選出。 ②事業内容の確認及び実施計画書の承認。 ③中間報告に対する審議。 ・鉄鋼メーカに対するヒアリングから高炉循環に伴う課題抽出 ・文献検索による技術動向整理

【第 2回検討委員会】 日時 平成 21年 11月 13日(金) 13:30~16:00 場所 経済産業省 本館 17階 第 3特別会議室 概略議事内容 ①各委員の専門分野からの「製鋼スラグの循環利用技術」に関する話題提供。 ・製鋼スラグからリンを分離回収する技術開発の課題整理 ・分離回収したリン資源の利用普及に向けた課題整理 ②中間報告に対する審議。 ・ヒアリング結果のまとめ ・リン分離回収技術/肥料利用の課題/工業原料の可能性 ・リン分離回収技術比較検討:実用化検討対象技術の絞り込み ・国内需給状況調査

【第 3回検討委員会】 日時 平成 22年 3月 5日(金) 13:30~16:00 場所 経済産業省 本館 4階 製造産業局第 4会議室 概略議事内容 ①成果報告に対する審議 ・ケーススタディのまとめ ・回収リンの資源化利用 ・開発事業計画 ・結言について ②総括 今後の製鋼スラグ全量高炉循環実用化の取組みなど。

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5. 結言

製鉄プロセスでの3Rを促進するとともに、わが国のリン資源確保に貢献する技術として期待できる「製鋼スラグからのリン分離技術」とこれを適用した「製鋼スラグ全量高炉循環システム」の開発実施に当たり、実現性と実施時の効果について検討した結果、以下の結論を得た。

(1)製鋼スラグの全量高炉循環システム構築における現行製鉄プロセス上の技術的課題を抽出し、整理した。基本的には現行の製鉄プロセスで適応可能と判断された。

(2)システムの中核となる製鋼スラグからのリン分離回収技術について適用可能性のある以下の新技術を抽出し、今後の研究課題を整理した。 ⅰ)「固体還元+酸化精錬」法 ⅱ)「強磁場によるリン分離」法 更に、上記二技術について適用プロセスの実用化検討を行い、現時点での技術的実現性を確認した。

(3)リン資源の国内外の需給状況について統計情報の調査と専門家へのヒアリングから、わが国のリン資源確保において製鋼スラグに含有するリンの資源としての有効性を確認した。

(4)リン資源の利用普及を図るために主たる利用先と見られる肥料又は肥料原料に着目してヒアリング及びサンプル試験を実施し、利用可能性を確認するとともに回収リン生成に対する課題を整理した。

(5)(2)で示した手法を適用したシステム構築のための開発計画素案を立案し、開発目標及び開発項目を提示した。

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別添資料 ・肥料試験結果報告書

サンプル番号対照表

本文中使用番号 肥料試験報告書使用番号 リン濃縮スラグⅠ リン濃化スラグ B(HP-4) リン濃縮スラグⅡ リン濃化スラグ D(HP-6) リン濃縮スラグⅢ リン濃化スラグ C(HP-5)

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