2018 度、MJET植林ツアーの記録Sin Kyae...

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1 ミャンマー日本・エコツーリズム 2018 年度、MJET植林ツアーの記録 8月 18 日~8 月 27 日 要約 2 はじめに 2 1. 植林ツアー実施概要 3 2. 植林計画と実施手順の改善点 7 3. 交流会 8 4. 運動会 10 5. 環境教育の改善 12 6. ゴミ収集・処理プロジェクト 14 7. 日本語教室への支援 18 8. 健康管理 19 9. ネリカ米栽培試験と水文調査 20 10.フィールドワーク 27 11.植林ツアー体験記 29 12.植林ツアー後記 35 付録 1.植林ツアー参加者 36 2.植林ツアー日程表 37 3.写真集 38 4.植栽地図 44 5. 運動会実施要領 46 6. 環境教育新モジュール(Grade4) 48

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ミャンマー日本・エコツーリズム

2018 年度、MJET植林ツアーの記録

8月 18日~8月 27日

目 次

要約 2

はじめに 2

1. 植林ツアー実施概要 3

2. 植林計画と実施手順の改善点 7

3. 交流会 8

4. 運動会 10

5. 環境教育の改善 12

6. ゴミ収集・処理プロジェクト 14

7. 日本語教室への支援 18

8. 健康管理 19

9. ネリカ米栽培試験と水文調査 20

10.フィールドワーク 27

11.植林ツアー体験記 29

12.植林ツアー後記 35

付録 1.植林ツアー参加者 36

2.植林ツアー日程表 37

3.写真集 38

4.植栽地図 44

5. 運動会実施要領 46

6. 環境教育新モジュール(Grade4) 48

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要約

目 的

ミャンマー中部乾燥地域に位置するバガン及びその近郊の村において、ミャ

ンマーの青少年と交流しながら、協働して植林を行うことによって、地域の

緑化に貢献するエコ・ツーリズムを実施する。

期 間 2018 年8月 18 日から8月 27 日まで。

参 加 者 学生2名、社会人6名、計8名。

植林の場所 Thant Sin Kyae(タンシンチェ)村及び East Pwa-saw(イーストパッソー)村の各共有地。

成果の概要 1 East Pwa-saw 村の共有地において、村人の協力を得て、チーク 463 本

を植林した。Thant Sin Kyae 村では村人がチーク他5樹種の苗、376 本を

植林したので、合計 839 本を植栽することができた。

2 村人たちとの植林・交流会によって、お互いの理解と親睦を深めること

ができた。特に Chaukkan(チョーカン)村と Thant Sin Kyae 村の小学校に

おいて、全児童・生徒の参加を得て運動会を行ったところ、大変喜ばれた。

3 「ゴミ収集処理」の「Indaing(インダイン)モデル」を普及するために、Thant

Sin Kyae 村において、これまでに植林を行った6村の村長等を招いて、「ゴ

ミ管理計画の進展」に関するワークショップを行った。今後とも、各村はイ

ンダインモデルの実施に努力することを確認することができた。

4 Thant Sin Kyae 村と Phyauk Seik Pin(ピョーセーピン) 村の各小学校におい

て、2つのモジュールで実習を行う「環境教育」を3年生と4年生を対象と

して行い、非常に好評であった。

5 本年初めて実施した 2 人の学生の卒業論文のテーマを見つけるフィール

ドワークを Thant Sin Kyae 村と Indaing 村において実施した。テーマは

農村の上水道敷設及びゴミ収集処理の進展により変化してきた農村の生活

環境の変化と女性の生活状況へのインパクト等についての調査ができた。

6 Thant Sin Kyae 村の1農家がネリカ米の試験栽培を行っており、これを

支援するための気象・土壌に関する水文データを収集・分析することが出

来た。今後ともデータの収集を安田先生が継続する。

7 ヤンゴンの僧院では、瞑想の実行後、ミャンマー日本青年協会の会員及

び僧院附属小学校の児童と交流会を開催して、相互の理解と親睦を深める

ことができた。

8 バガンの歴史的遺跡と風物、地場産業とビルマ料理を十分に楽しむこと

ができた。

はじめに

植林ツアー参加者8名の内訳は、男性5名、女性3名; 1大学から学生 2名、社会人6

名であった。MJET は出発前に3回の勉強会と 2 回の打ち合わせ(東京)を開催した。ま

た、パートナーの The Nature Lovers Group の U Aung Din は、事前にバガンに赴き、今

年度の植林地である East Phwar Saw村の村長と打ち合わせを行うと同時に植林の穴掘

り等の準備を行った。植林ツアーには、The Nature Loversから U Aung Din, Daw May

Kyinの2名、ミャンマー日本青年協会からは、Ko Paing 1人が同行し、参加者と村人

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との間の円滑なコミュニケーションに貢献した。今回は、East Phwar Saw 村の村人と

一緒に植林した。村人達は、ツアー一行を大歓迎してくれ、Chaukkan村の運動会では子

供達が競技に大興奮して楽しんだ。

1. 植林ツアー実施概要

平田經倫

1) 日程と参加者

・実施期間:2018 年8月 18 日(土)から8月 27 日(月)まで。

・参 加 者:8名(内訳:MJET から社会人4名 一般参加者2名 茨城大学学生2名)

・日程の概要

8月 18 日(土):移動(成田~ヤンゴン:ANA 利用)(トーイン ガーデンホテル)

8月 19 日(日): 僧院における瞑想

: 僧院における付属学校・日本語クラスとの交流プログラム

: 涅槃像及びシュエダゴンパゴダ参拝

8月 20 日(月): 移動(ヤンゴン~ニャウンゥー:航空機)(ウンブラホテル)

:タンシンチェ村(既植地・改植予定地視察・アンケ-ト調査打合せ)

:イーストパッソー村(既植地視察・新植予定地下見)

:ブリーフィング(環境問題―Aung Din 氏、MJET の植林活動-平田)

:ピョーセーピン村(既植地視察)

8月 21 日(火):チョーカン村(既植地視察・運動会の準備及び教員への説明)

:インダイン村(既植地視察・アンケート調査について村長に説明)

:タンシンチェ村(既植地視察)

8月 22 日(水):イーストパッソー村

(午前:ドナー別植栽区画の確定、午後:植付け作業)

:Bagan village cultural theme park(12 月開園予定)の視察

8月 23 日(木):タンシンチェ村(環境教育授業・アンケート対象者へのインタビュー)

:チョーカン村(小学校で運動会の実施)

8月 24 日(金):ピョーセーピン村(環境教育授業)

:タンシンチェ村(小学校で運動会の実施)

:インダイン村(アンケート対象者へのインタビュー)

8月 25 日(土):タンシンチェ村(ゴミ処理の進展に関する報告ワークショップ)

:視察(アーナンダ寺院・市営ゴミ捨て場・保護林)

:移動(ニャウンゥー~ヤンゴン:航空機)(トーイン ガーデンホテル)

8月 26 日(日):視察(国立博物館・アウンサン将軍旧居・ボージョーマーケット)

:移動(ヤンゴン~成田:ANA 利用)

8月 27 日(月):成田着

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2) 新規植林活動(タンシンチェ村・イーストパッソウ村)

(タンシンチェ村)

・8月 20 日、タンシンチェ村の改植予定地(貯水池の入口付近)をツアー参加者全員で

下見した。しかし、村人による 376 本の植付け(The MJET Forest)が既に終了してい

た。

・樹種別の内訳は次のとおりである。

Teak 217 本、Yinmar 103 本、 Kokko 28 本、 Tamar 18 本、 Magyi 7 本及び

Eucaliptus 3 本。

(イーストパッソー村)

・8月 20 日、イーストパッソー村の新植予定地を下見した。当初は、藤村の森の捕植を考

えていたが、村長から新しい土地を提示された。植穴は、村人によって掘られており、南

北方向に 23 列、東西方向に 22 列の植穴が準備されているということであった。

・8月 22 日午前に、植林木のドナーごとの植栽区域を設定した。まず、植栽地入口に近い

北西の角を座標の原点とし、これから東側(1,2,3,・・・)と南側(A,B,C,・・・)に各

10 個ごとに紙製の赤旗を立てて、これらを白色のポリプロピレン製細縒りの荷造りロー

プで結んで 100 穴ずつの区域に分け、その後、30 本以下のドナーの区域を青色のそれで

区画し、これらドナーの区域を取り囲む周辺区域を MJET の植栽区域とした。

・植穴は、縦横 40cm 角、深さ 30cm の直方体の穴(a)の底面中央に、ポット苗の根鉢を差

し込める直径 10cm 前後の円筒形の穴(b)が空けられていた。また、植穴(a)間の間隔は2

m前後であった。

・植付け作業は、日中・炎天下の作業を避けて午後4時から、村人約 90 名が参加して行わ

れた。

・初めに Aung Din 氏が村人に植栽方法等を説明し、村人をツアー参加者ごとのグループに

分けて、それぞれのグループが所属する参加者の植付け区域から作業をすることとした。

・植付けに当たっては、村人が用意した堆肥を植穴(b)の底に施した。

・植栽樹種はチークのみで、同一樹種・同時植栽という、典型的な陽樹である本樹種には、

小雨のこの地域では最適の植栽方法(単純林・単層林仕立て)となった。

・植栽木のドナー別内訳は、家族の森(3)90 本、企業の森(3)333 本、個人(4)40

本で、合計 463 本であった。

*家族の森:The Aonuma Forest 30 本、The Oishi Forest 30 本、The Unnamed Forest

30 本。

*企業の森:The Yui Matsuoka Forest 100 本、The Sanda Forest 100 本、

The MJET Forest 133 本。

*個 人:Aika Kouno 5 本、Natsumi Ishii 5 本、Tetsuya Nishimura 10 本、

Tsunemichi Hirata 15 本、Hiroshi Yasuda 5 本。

・植栽地は、写真の E 列南端の部分で貯水池(写真の南西隅)の東側の区域である。

・後日、ドナーごとの植栽区域を示した植栽地図を作成した

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黄色部分が植栽地

3) 交流会活動

・ヤンゴンの僧院で交流会を開催した。

・午前中に僧院長の講話の後、瞑想を行った。午後には、初めに、藤村会長が付属学校の 児

童を対象にアニメ「ドラエモン」3編の上映を行い、その後、同校女児のダンス、会長に

よる手品、日本語教室の生徒による日本語弁論、ミャンマー在住日本人によるビルマ語弁

論が行われ、最後に、日本語教室の生徒と MJET との間で、小グループに分かれての懇

談を行った。

4) 運動会(チョーカン村・タンシンチェ村)

・昨年に引き続きチョーカン村の小学校で3回目の運動会を、全校の児童・生徒(GK~

G8)が参加して、6種目の競技で行った。

・タンシンチェ村の小学校では、交流会の予定であったが、都合により変更して初めての

運動会を、全校児童(GK~G4)が参加して、2種目の競技で行った。

5) ゴミ収集・処理プロジェクト

・インダイン村のゴミ収集・処理プロジェクトは、村委員会の下に、ゴミ処理の美化委員

会を設置するとともに、3箇所にゴミ箱を設置、ゴミ焼却場を設置、焼却灰の廃棄穴を

設置するなど、ゴミ処理の一応の仕組み作りが、一昨年、完了し、これを「インダイン

モデル」とした。

・昨年は、植林地のある6村の村長等をインダイン村に招き、「インダイン村ゴミ収集・

処理プロジェクト計画」を普及させるべく、セミナーを開催した。また、3 月にワーク

ショップを開催し、6 村がインダインモデルの 5 要素の実施を推進することで合意し

た。

・今回は、MJET 関係 6 村の村長等をタンシンチェ村に招き、各村におけるインダイン・

モデルの 5 要素の実施状況について報告するワークショップを開催した。

・初めに Aung Din 氏及び藤村会長から、ゴミ処理の必要性、ワークショップの意義等に

ついて説明し、その後、各村からそれぞれの進捗状況の説明がなされた。

・各村からの報告について、優秀な取組みをしていると思う村名を参加者全員に投票し

て貰い、票数の多い方から順位を付け、1~3 位までに指名された村に記念品を贈呈し

た。

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6) ネリカ米の試験栽培(タンシンチェ村)

・バガン地区では、雨量や土壌の条件から稲作は行われていない。2015 年に引き続き行

った 2016 年の試験栽培では、一定の成長は見られたものの、結実を見るに至らなかっ

た。2017・18 年度は新たにネリカ米を導入し、これまでの成果を踏まえ、タンシンチ

ェ村の篤農家1人が試験栽培を行っている。4 年間のうち、2017 年度は枯死がなかっ

たが、不稔が大半であった。

・最適の播種時期等ネリカ米結実の条件を探るべく、安田先生が気候及び土壌水分に関す

る各種観測データの収集・分析を行っている。

7) 環境教育の実習(タンシンチェ村・ピョーセイピン村)

・タンシンチェ村・ピョーセイピン村の各小学校において、環境教育の実習を行った。

・タンシンチェ村においては、G4の児童に対し、光の性質に関する実習を行った。

光の①光は明るい、②光は直進し反射する、③光は熱を持つ、④光は色を持つという性

質について、実験を行った。

・ピョーセイピン村においては、G3の児童に対し、同村の地図及び航空写真を使用して、

地図の見方を学習させ、また、水の性質について、①温度による状態の変化―固体・液

体・気体、②容器の違いによる体積の不変性及び③物質を溶かす働きについて、実験を

行った。

8) 生活環境調査(タンシンチェ村・インダイン村)

・バガン近郊の村々では、現在、逐次、公共上水道が敷設されてきており、また、MJET

及び Nature Lovers の提唱により、急速に顕在化しつつあるゴミ問題への取組みが始

まっている。

・このような状況の下で、貯水池から各家庭への水汲みがその大きな任務とされてきた女

性の生活にどのような影響を与えているのか、また、ゴミの増大が村の循環型社会にど

のような生活環境の変化を与え、生活がどのように変化しつつあるのかについて、茨城

大学の女子学生2名によって調査がなされた。

・ 調査手法は、予め、2 つの村の村人に、質問事項を記述した質問票を調査対象者(各村

10 名程度)に配付して記入して貰い、後日、対象者にインタビューを行う方式を採っ

た。

・ 調査結果は、帰国後に取り纏めることとなっている。

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2. 植林計画と実施手順の改善点

平田經倫

昨年の「植林ツアーの記録」のこの項では、植林地や植栽樹種の選定等について述べた

が、今回は、既植地等を観察して気づいた2点について述べる。

(1) 家畜による食害からの保護

ピョーセイピン村の 2016・17 年植栽地では、家畜による植栽木への食害が顕著であっ

た。イエトゥ氏によると、加害家畜は山羊と豚であるという。一方、インダイン村の 2013

年植栽地は、当初から家畜の食害が予想され、植栽前に植栽区域を鉄条網で囲ったため、

同植栽区域では、半ば樹下植栽であったにも拘わらず、植栽木は旺盛に繁茂している。

今後の植栽においては、植栽前にその区域を家畜の食害から守る防護柵(耐蟻性のある

支柱を用いる。)を設ける必要がある。

ピョーセイピン村 2017年植栽地 インダイン村 2013年植栽地

(2) 穿孔性害虫からの保護

イーストパッソー村のパゴダ前広場の東側のユーカリ林は、植栽当初は旺盛な成長を見

せていたが、年々、シロアリの食害が拡大してきた。この樹種は幼齢期にはその食害に

遭いやすいと言われているが、その他の樹種でも、コッコーやメザリなどマメ科の樹種

でも被害が発生している。

一般に、樹勢の衰えた樹木は穿孔性害虫の標的となり、そこから周辺の樹木に被害が拡

がりやすいので、林冠が閉鎖した時点で、隣接木との競争に敗れ劣勢となった樹木は林

外に搬出して、焼却等の処分をする必要がある。

ユーカリ(イーストパッソー村) メザリ(タンシンチェ小学校)

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3.交流会

藤村建夫

今年の交流会は、ヤンゴンの Dhama Vihara Monastery で 1回、Thant Sin Kyae 村で 1

回開催されました。

ヤンゴン

8月 19日、午前 9時に Dhama Vihara Monasteryに着くと、僧院長の指導で瞑想を行い

ました。その後、200人の僧侶に対してご飯を提供する「Offering」を行い、終了後に

早めのランチをごちそうになりました。お昼の12時から僧院で日本語クラスの小学生

40名と教職員や社会人を中心とするミャンマー人参加者と MJET参加者とで交流会を行

いました。

最初に日本語クラスの生徒がスピーチを行いました。小中学生のクラスからは一人の少

女がかなり優れた日本語で「私と日本語」についてスピーチを行いました。その後、学

生・社会人コースからは 4人が「私と日本語」というタイトルでスピーチを行いました。

これらの生徒達は、わずか 1 週間くらいしか練習する期間がなかったにも拘わらず、

夫々、自分がどのようにして日本語に興味を持ち勉強を始めたかについて語り、将来は

日本に留学したり、働いたりしたいと述べました。これらのスピーチが素晴らしかった

ので、藤村会長より小さな記念品を贈りました。

その後、僧院の小学生の歌と踊りが披露され、MJET は藤村会長が手品を披露した後、だ

るま落としと2つの運動会種目を紅白に分かれてゲームを楽しみました。交流会が終わ

った後は、全員が3~4グループに分かれて、日本語による懇談を行いました。

スピーチをした日本語クラスの生徒 日本語クラスの生徒達

スピーチをした学生の名前:

Nant Phyu Hnin Soe Grade 10 (女子)

Win Thandar Oo BE civil(女性)

Nay Lin Aung BA Engineering (男性)

Htet Htet Lin BE Civil (女性)

Yu Yu Lin 大学 5年生(Law)

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バガン

タンシンチェ村での交流会は以前と異なり、新しい村長が学校との関係が円滑でない

ことから、子供達を動員する場合には、学校の校長先生と交渉しなければならないこ

とが判明した。夕方に子供達を動員することが困難であるとのことから、急遽、学校

の授業が終わる午後 3時からの開催と決定した。このため、歌と踊りなどは難しいこ

とから、運動会を行うことになった。

運動会担当の松岡さんと相談して以下の 3種目を選択したが、大人の参加がなく、ム

カデ競争はキャンセルした。

1. 玉入れ:KGと G1 生

2. キャタピラー競争

3. ムカデ競争(キャンセルになった)

調べてみると小学校の校庭は意外に凸凹で石ころなども多いことが判明したので、正

門から入ってすぐ左の集会所と右側の家族の森との間に20m X 8m位のスペース

を運動場として活用することとした。用務員さんにお願いして、石灰の白ラインを引

いてもらい運動場の形を整えた。午後 3時に子供達が教室から出てきたので、学年ご

とに紅白 2チームに分かれて整列した。

開会式の後、直に玉入れのゲームに入った。リハーサルを行ったが、紅白チーム共に

興奮して盛り上がり、本番で猛烈に気合が入った激戦となった。

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4.運動会

藤村建夫

1)国内事前準備

昨年参加できなかった松岡会員が、今年は参加できることになり、一昨年と昨年の経験

をもとに計画書、手順書の作成に参加された。昨年と同じ小学校で行うため、新たな種

目を加える方が良いとの考え方から、午後4時30分頃から日没近くまで2時間程度の時間

内で、玉入れ、サイクロンの目、デカパンレース、キャタピラー競争、電車リレー、ム

カデ競争の6種目を実施することにした。

参加人数は、KG,とG1年生からG8年生までの各学年平均30人 計約280人を想定して実施

要領を作成するとともに、鉢巻、赤白帽子を追加購入するするとともに、キャタピラー

用のマルチキャタピラーを松岡さんに手製で作成してもらった。また、デカパンレース

のパンツはヤンゴンで作成してもらった…

2)実施要領現地事前説明

二日前の21日に学校を訪問し、校長を含む先生方に実施要領を説明した後、校庭で先生

達が自分でデカパンリレー、キャタピラー競争、電車リレー、ムカデ競争をトライして

要領を理解した。在校生は、学年により相当異なり、各学年の人数を確認としたところ、

全体で296人であった。競技の難易度を考慮して競技を選定したが、4年生~8年生は2回

参加することとした。

① 玉入れ(KG,G1):39人

② サイクロンの目(G2, G3):79人

③ デカパンリレー(G4,G5):88人

④ キャタピラー競争(G6.G7,G8):90人

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⑤ 電車リレー(G4, G5):58人

⑥ ムカデ競争(G6, G7, G8):90人

3)運動会実施

①会場設営:校舎側を実施本部として、音楽設備を設置した。生徒は先生の指導により

本部席の真向かいに学年ごとに赤組と白組に分け、先生が列の先頭に立って先導する形

で整列した。

②選手入場;赤組は本部に向かって右側、白組は左側に、低学年から入場行進曲に合わ

せて本部に向かって順番に行進し本部前に整列した。

③開会式:校長先生、藤村会長より挨拶を行い、松岡さんが実施要領を説明した(Aung

Dinさん通訳)。

④選手退場と応援団:開会式終了後は退場行進曲に合わせて、赤組は本部左側、白組は

右側に分かれて所定の位置に座り、各学年の学生リーダーのもと応援を開始した。

⑤競技:各種目は初回は練習として実施し、生徒が要領をつかむよう配慮した。競技は

各学年の学生リーダーの誘導のもと、ゴールテープ配置、藤村会長のスタート笛、安田

氏による行進曲放送により実施された。競技は比較的スムーズに行われた。最後に高学

年(G6, 7, 8年生)ムカデ競争によって競技を終了した。今回は紅組と白組が伯仲し、最

後まで競り合ったが、総合結果は白組の勝となった。

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➅閉会式:安田さんによる入場行進曲に合わせて、選手入場を行い、本部前に整列。松

岡さんによる得点発表ののち、藤村会長が優勝トロフィーを1等と2等に手渡した。ま

た、AUNG/DINさん他より全員に、ボールペンとノートを手渡して終了した。

4)事後の整理

来年もいずれかで実施することを考え、運動会の道具はバガン在住のイエ・ツウ氏の自

宅に、また、鉢巻はヤンゴン在住のララタンさんに預かってもらうこととした。

所感:

① 昨年に引き続きの実施であったので先生方は要領を掴んでいた。今回は、日本側の

参加者が8人と少ないため、事前に先生方に要領について説明し、競技を実演して

協力をお願いしたので、紅組と白組に分ける作業や二人一組の競技で奇数になった

時に、円滑に実施できるよう適宜指導していた。

② 新しい種目である「サイクロンの目」、「デカパンリレー」や「キャタピラー競争」

は新鮮なイメージを与え、まっすぐに行かずに横にそれたりしたときには大笑いに

なり、大いに盛り上がった。

③ キャタピラーの蓑の部分が途中で一部破けたので、今後材料の選定に留意する必要

がある。材料は出来るだけ現地調達するのが良い。サイクロンの目の竹棒は学校で

用意してもらった。

④ ムカデ競争のリレーでは、交代する時にひもで足をくくる作業が円滑にできないチ

ームがあったので、もう一組余分に準備することが良いように思われた。

⑤ 今回も、村人の参加はなかったが、全生徒の参加であったので、大いに喜ばれたが、

先生の競技参加がなかったので、来年は先生が参加する競技を入れるようにしたい。

5. 環境教育の改善

河野愛加

ミャンマーの小学校では先生が一方的に話し授業を進めることが一般的であり、この現

状を改善するため、Thant Sin Kyae 村と Phyauk Seik Pin 村の小学校で理科の授業を

行った。これらの授業では、児童の積極的に参加できるよう理科の実験を取り入れ、ま

た児童の発言を促した。ここでは私が授業を行った Thant Sin Kyae 村での様子をまと

める。

Thant Sin Kyae 村

Thant Sin Kyae 村では、ここ数年水の性質に関する授業を行っており、今回は新たに

光の性質についての授業を行うことになった。私たち学生は、事前にモジュールを作成

して事業に臨んだ。光の性質について実験を通して理解するというものである。

授業は私が中心に進め、MJET の方々や先生には通訳や実験のサポートをしていただ

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いた。授業では新しく作成したモジュールをもとに、児童が積極的に発言でき、一人一

人が実験できるように心がけた。それぞれの実験では、児童たちは互いに話し合ったり、

発言したりする様子が伺えた。また楽しそうに実験に取り組んでいたことは大きな成果

であったと考える。また、「光は熱を持つ」という性質を調べるための実験では、教室

内と校庭、植林した林の木陰で温度を計った。この実験では、日光の当たらない木陰が

日光のあたる校庭より温度が低いことがわかり、光は熱を持つという性質が理解できる

とともに、植林の重要さを伝えることにもつながったと感じる。

「光はまっすぐ進み、反射する」ことを理解するための実験では、鏡を使って光のリレ

ーを行ったが、用意した鏡が小さく、リレーをつなげるのに時間がかかってしまった。

少し授業に戸惑うことがあったが、児童らや MJET の方々の協力のおかげで無事終え

ることができた。

今回は MJET で初めて光の性質を題材にして

授業を行った。今回用いた実験道具を使って、

私たちがいなくても実験が行えるようになる

にはまだまだ改善が必要である。そのために教

員の育成や、実験道具の充実も重要な要素であ

る。

子供たちが楽しく学べる環境を考えさせられ

たとても貴重な経験となった。

環境教育

石井奈津

環境教育の改善を目的に、昨年行われた授業のモジュールを参考にThant Sin Kyae 村

とPhyauk Seik Pin 村で授業を行った。教員養成が問題となっているミャンマーは、教

材は教科書のみの小学校がほとんどであり、実験道具などはなく、教員からの一方通行

の授業が主流となっている。生徒の理解を深めるための双方向的な学びを意識し、実験

を生徒とともに行いインタラクティブな授業を目指した。私が行ったPhyauk Seik Pin

村での授業の様子を以下にまとめる。

Phyauk Seik Pin 村

Phyauk Seik Pin 村では昨年も行われた水の性質についてのモジュールを実施した。

授業の進行は主に私、学生が行いMJETの方々や現地の小学校の先生方にはサポートをし

てもら

う形で行った。小学生たちは皆元気がよく、こちらの質問に対して大きな声で答えてく

れたり、近くの生徒と話して試行錯誤していたりする様子が伺えた。

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14

実験道具は1セットの準備だったため、1人ひとり

生徒に前に来てもらって、実際に見て、質問に答え

てもらった。そのため、積極的に答えようとしてく

れた生徒や、こちらから指名した生徒とは近くでコ

ミュニケーションが取れたが、それが全生徒に対し

て平等にはできなかったように思う。ミャンマーの

小学生や教員にとって、実験道具を用いて授業をす

ること自体にとても価値はある。しかし、生徒全員

の理解を深めること、スムーズな授業の進行のため

には、実験道具の数も重要になってくると感じた。

6. ゴミ収集・処理プロジェクト

藤村建夫

ゴミ収集・処理システム(インダインモデル)の概要

本年 4 月に開催したインダイン村のゴミ収集処理をモデルとしたインダインモデルを

他の 6つの村々に普及するためのワークショップが開催された。その時、参加者は今後

インダインモデルの下記 5つの要素を実行することに合意したので、今回はその進捗状

況を把握するために、進捗状況報告のためのワークショップを開催した。

①美化委員会の確立

村の機構として、美化委員会を設置し、小学校における環境教育、美化の日の設定な

どにより、村のごみ処理に対する意識を高める。

②ゴミ箱の設置

現在、不適切に捨てられているプラスチックゴミを適正に処理するため、ゴミ箱の設

置と適切な管理を行う。

③中間的なゴミ焼却場の設置

ゴミ処理場(村の共有のゴミ捨て場)を設置する。この施設を活用し、美化委員会の

管理により定期的回収と適時の埋め立て、あるいは焼却の仕組みを確立する。

④環境教育

学校において生徒に対してゴミ収集処理を含む環境問題の重要性について教えたり、

村人に対してゴミ収集処理に協力して村の生活環境を改善する努力を行うよう啓発

する。

⑤恒久的なゴミ埋め立て場の設置

燃えないゴミや焼却場の燃えカス・灰等を恒久的に埋めて処理する。村に適切な場所

があれば利用できるが、オープンダンピングとなり、土をかぶせていないものが多い

ので土をかぶせて衛生的になるようにする。町との協力が望ましい。

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15

ワークショップの概要

① 実施日程:2018年 8月 25日(木)10時 00分~14時 00分

② 場所;タンシンチェ村集会場

③参加者::30名

*MJET:藤村、安田、松岡、平田、河野、石井、AUNG DIN、May Khin, Ko Paing

*5つの村の村長と役員:約 25名

各村の進捗状況報告

主催者として、Nature Loversの Aung Din会長と MJETの藤村会長が開会挨拶を行い、

続いて6つの村の代表がそれぞれの村の取り組みと進捗状況について報告を行った。今

年の初めに村長と幹部の入れ替えがあったため、引継ぎがうまくゆかなかった村があっ

たが、新村長はいずれも、今後、この課題に積極的に取り組みたいと、抱負を述べた。

発言の要点は以下のとおりである:

インダイン村

⚫ 美化委員会は設置されている。

⚫ ゴミ収集箱は道路脇に設置されており、学校のゴミ箱は生徒が面倒をみることにな

っている。また、学校はこのゴミを綺麗に処理するプログラムを奨励するために、

もっとも優れた活動を行った人に 100万チャットを贈ることにした。

⚫ 中間的焼却場は MJET の支援を得て設置したが、ある村人からは煙が問題だと、文

句が出されているので、別の適切な場所に移動させることを検討している。

⚫ 村人への環境教育はきちんとしたものはやっていないが、村のラウド・スピーカー

で美化委員会がゴミをきちんと収集処理するように伝えている。

⚫ 学校は生徒のカリキュラムに組み入れてこのことを教えている。

⚫ 最終埋め立て場は作ってないが、村の近くの穴場に捨てている。

⚫ 学校と村人に総合的な環境教育についてきちんとお話しする機会を MJET/TNL に開

催してもらいたい。

チョーカン村

⚫ 美化委員会はまだ設置されていないが、村人は昔から自分達でゴミを適切に処理し

てきている。

⚫ 公共のゴミ収集箱はまだ設置されていないが、伝統的に各家庭でゴミ箱を作って使

っている。

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⚫ 中間的な焼却場はまだ設置されていないが、村人は畑に行く途中で自宅や近所の人

達のゴミを運んで、自然にできた谷あいに捨てている。

⚫ 村の中正式な環境教育は行われていないが、学校のカリキュラムの中にはいくらか

入っている。

⚫ 最終埋め立て場はいくつかの自然にできた捨て場がある。

イーストパッソ―村

⚫ 緑化委員会の一部として美化委員会が設置された。

⚫ ゴミ箱を村人が使用するように設置された。

⚫ 中間的な焼却場が村の外に数か所設置されたが、必ずしも適切な設備ともいえない。

⚫ 村での環境教育は学校を除けば未だ行われていない。しかしながら、村人は第三者

が示唆することをよく聞くので主催者にそのような環境教育の機会を開催しても

らいたいと希望している。

⚫ 村の外に自然のゴミ捨て場がいくらかあり、利用されている。

コンタンジ―村

⚫ 20人のメンバーで美化委員会が設置された。

⚫ 公共のゴミ箱は作成中であるが、全ての雑貨屋は適切なゴミ処理用の箱を設置する

ように指示されている。

⚫ 村の東、北および南の場所に焼却場の場所を特定し、準備中である。

⚫ 環境教育は未だ行われていないが、第三者による村人向けの機会を主催者にお願い

した。

⚫ 埋め立て場は未だ設置されていない。

ピョーセイピン村

⚫ 美化委員会は設置されていないが、準備中である。

⚫ 村の数か所にゴミ箱を設置した。

⚫ 中間焼却場を村の外に数か所デザインしたが、未だ建設されてはいない。

⚫ 環境を大切にしようという情報を提供するシステムがあるが、正式な環境教育にな

っていない。このため幾つかの組織がそのような環境教育を開催してくれることを

期待している。

⚫ 村の外に自然の埋め立て場があり、利用している。

タンシンチェ村

⚫ 前村長グループから緑化委員会の一部メンバーがゴミの収集処理の責任を持って

いるとの発言があった。

⚫ これに対して、現村長グループより、最近になって村の委員会に任命されたので、

まだ、その準備が出来ていないが、もし財政的な支援が得られればきちんと取り組

みたい、と述べた。

⚫ ゴミ箱は未だ設置していない。

⚫ 2年前に中間焼却場を設置したが、村人の中には非協力的な人がいる、と前村長グ

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ループが述べた。現村長グループは、もし予算が得られればもっと効果的に実施で

きると述べた。彼らの一人は、村人に適切にゴミを捨てる責任を自覚させるために

は、焼却場を道路脇よりも離れたところに設置した方が良いと述べた。

⚫ 学校での環境教育を除いて、村人への環境教育は行われていない。環境教育につい

てのきちんとした講演を主催者にお願いしたい。

⚫ ゴミの埋め立て場を掘ったが、必ずしも適切なものになっていない。

表1は、上記報告をもとに、3月に作成した 5要素の現状を示したものである。

主催者より参加者に対して、もっとも努力している村の順位を記述投票してもらいたい

と依頼したところ、投票の結果は、以下の順位となり、MJETは奨励賞として置時計を贈

呈した。

1位:インダイン村

2位:チョーカン村とコンタンジ―村

インダイン村 チョーカン村 コンタンジ―村

今後のフォローアップ

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最後に藤村会長がワークショップを総括し、以下の 4点への努力の継続をお願いして終

了した。

1) 村の外の地域に散らかっているゴミを学校の校長先生と協力し、環境教育の一

環として子供達を動員しゴミの収集・処理を実施する。

2) 中間焼却場を、適切な選定基準を定めて数か所の適地を選定して設置する。

3) 燃えないゴミを埋めるための中間埋め立て場(7m x 7m)を設置する。

4) MJETは環境教育の教材を Plastic Campaign と協力して作成し、村人と生徒の両

方に対してセミナー等を開催する。

7.日本語教室への支援

Dhama Vihara Monastery の日本語教室において、現在開講しているのは以下の 4コー

スである。(初級 3コース;中級 1コース)

小中学生向け:

初級コース: Thin Thin Aung: 土、日 (20人)

大学生・社会人向け:

初級コース: Khai Neu Oo: 大学生と社会人(日)(4~6人)

Moe Thin Myin: 大学生(土)(8人)

中級コース: 佐伯祐里・田中:学生・社会人(5~8人)

今回、これらの日本語クラスの生徒の中から下記 5名が日本語のスピーチを行った。

Nant Phyu Hnin Soe Grade 4 (女子)

Htar Myat Noe 大学 1年生 (女子)

Win Pa Pa Lin 大学卒業生 (女子)

Khine Zar Lin 大学 1年生 (女子)

日本語クラスの生徒 スピーチをした生徒達

スピーチでは、自分がどうして日本語を知るようになったかを中心に、友人や日本人の

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知人を介して日本のテレビ番組の漫画や雑誌等のメデイアによって日本文化とのコン

タクトが動機付けになったことを話しました。

8.健康管理

藤村建夫

今年の MJET 植林ツアー参加者は 8 名と少なく、ミャンマーを始めて訪問する参加者は

2人のみであったが、10日間の旅行中、誰も大きな腹痛や下痢のような病気にかかるこ

となく、元気に過ごすことができた。2名の女子学生は、ミャンマー初訪問であったが、

ミャンマー料理の食事にも適応し、体調不良の日がまったくなく、快適に日々の活動に

参加することが出来た。その意味で

今回の植林ツアーではまったく健康管理に関する問題は生じなかった。

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9.ネリカ米栽培試験と気象水文調査

安田 裕

1.ネリカ米栽培実験

1-1 2018年概況

昨年と同様に 2018年も多雨傾向であったが、今年も結実に至ることはなかった。MJETのネ

リカ実証栽培に協力してきた U Than Swe氏は、今年 7月に播種したものであるが、その後

の連続干天で枯死したとのことであった(図 1)。

2018年は 5月 28日から 6月 16日までに 310.6mm

の降雨があったが、その後は連続干天であった

(図 2)。7 月 5 日から同 22 日に 75.2mm の降雨

があり、この時に播種したものであるが、7月 23

日から 8 月 18 日まで実質 27 日間の連続干天と

なり、土壌水分も低下してネリカ苗は枯死した。

8月 18日に 37.4mmの降雨があるまでに、6,7日

に 2.0, 0.2 mmの降雨が観測されたものである

が、土壌水分の増加は認められず、有効雨量とは

いえないものであった。そのため 27 日間の無灌

水状態となり、ネリカは枯死したものである(図

3)。

昨年(2017)も多雨であり、ネリカは

枯死せずに栽培期間を全うしたもの

であったが、収穫した穂は大半が不

稔であった。10m四方の農地から収穫

された米は数百 g ほどであった。こ

れは、開花時に、乾燥・高温のストレ

スがあったためであると考えられる

(後述)。

過去 4年間の実証栽培の結果をみる

と、予想通り乾燥による枯死もしく

は不稔が生じている(表 1)。乾燥帯

における天水灌漑の宿命ともいえ

るが、農法の改善である程度の対応

は可能であることが期待される。

1/1/18 3/1/18 4/29/18 6/27/18 8/25/18

0

20

40

Te

mp

era

ture

(°C

)

1/1/18 3/2/18 5/1/18 6/30/18 8/29/18

80

40

0

Ra

infa

ll (

mm

/da

y)

Rainfall

Tmax

Tmin

図 2 2018 年 日最高・最低気温と日降雨量

7/1/18 7/11/18 7/21/18 7/31/18 8/10/18 8/20/18

0

0.1

0.2

0.3

So

il m

ois

ture

(m

3/m

3)

07/01 07/12 07/23 08/03 08/14 08/25

80

60

40

20

0

Ra

infa

ll (

mm

/da

y)

0.05 m

0.20 m

0.50 m

図 3 2018 年 7-8 月 日降雨量及びネリカ農地土壌水分

図 1 ネリカ米実証農地 篤農家 U Than Swe

氏所有

表1 過去 4 年間のネリカ栽培経緯

2015 乾燥のため枯死

2016 乾燥のため枯死

2017 結実するも大半が不稔

2018 乾燥のため枯死

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また、バガン地区の降雨特性であるバイモダルを何らかの方法で予測できれば、雨季の開始

による最適農法が望めるものである。

1-2 2017年ネリカ栽培実証

2015-2018 年と 4 年間にわたり、栽培を行ったなかで唯一 2017 年は結実し、僅かながらの

収穫があった。2017年は多雨で、年雨量は 792.4 mmに達した。8月に播種し、11月に収穫

したものであったが、不稔株が大多数でネリカ米の収穫は 5 × 5 mの農地からわずか数百

gほどであった。

不稔の要因として、開花期における乾燥・高温・低温ス

トレスがあったと考えられる。ネリカ播種は 7月 19日、

収穫は 11 月 8 日であった。ネリカ播種後も 10 月上旬

まで最高気温 35℃以上の日が出現していた。また、播

種後、8 月 3-19 日は連続干天で、乾燥ストレスがあっ

た。

イネの開花は 1日限り、当日に高温・乾燥ストレスがあると不稔になる。下図にあるように

播種以降降雨は、ほぼ連続的にもたらされたが、10 月上旬まで 35度以上の高温が記録され

ていた。2017 年は多雨であったことから、開花日の高温が原因で不稔になったものと推察

される。

図 4 2017 年全収穫量

7/1/17 8/1/17 9/1/17 10/2/17 11/2/17 12/3/17

20

30

40

Da

ily

ma

xim

um

tem

pe

ratu

re (°C

)

7/1 8/1 9/1 10/2 11/2 12/3

100

50

0

Ra

infa

ll (

mm

da

y-1

)

Nerica cultivation7/19 11/8

図 5. 2017 年ネリカ栽培期間中の日雨量・日最高最低気温

Page 22: 2018 度、MJET植林ツアーの記録Sin Kyae 村において、これまでに植林を行った6村の村長等を招いて、「ゴ ミ管理計画の進展」に関するワークショップを行った。今後とも、各村はイ

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対応策

2017 年は開花時の乾燥・高温ストレスで不稔になったと思われる。現地の気象特性からは

連続干天、乾燥・高温は十分予測されるものである。そのため、

⚫ 耐高温ネリカ品種を選択する

⚫ 耕起・畝建てを行う

⚫ 畝間に作付けを行う

などの対策が提案される。さらに、後述のように、マルチや保水材の利用が望まれる。

2.気象・水文調査

2-1 2018年概況

本件プロジェクトにあって、Thant Sin Kyae村小学校、同農地、及び Nyaung Uの Dry Zone

Greening Department (DZGD)において気象観測を実施中である。Thant Sin Kyae 村小学校

にあっては、降雨・日照量・気温・湿度・気圧に加えて土壌水分(0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5

m深)を、同農地では土壌水分(0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5 m 深)を、さらに DZGDでは、

降雨・気温・湿度・気圧に加えて土壌水分(0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5 m 深)を測定中で

ある。今回は時間不足のため、DZGDでのダウンロードは叶わなかった。Thant Sin Kyae 村

小学校、同農地のデータは回収された。今年は 5月下旬から前雨季が始まり 310.6mm の降雨

が記録された。しかし 7月以降は降雨不順で、後雨季の開始は 8月下旬の段階で認められな

い。

5月下旬からの前雨季期間中は土壌水分も増加し、植生・作物の生育に適した水分環境であ

ったが、6 月下旬からは無降雨が連続し、土壌水分も低下していた。7 月にある程度の規模

の降雨があり、土壌水分も一時的に増加したものであるが、8月下旬までの連続無降雨によ

り土壌水分は低下していった。

90 120 150 180 210 240DOY

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

So

il m

ois

ture

(v

ol/

vo

l)

90 120 150 180 210 240

80

60

40

20

0

Ra

infa

ll (

mm

)

20

30

40

50

Te

mp

era

ture

(°C

)

Soil moisture

(depth m)

0.05

0.10

0.20

0.30

0.50

Tmax

Tmin

Rain

図 6 2018 年日雨量、日最高・最低気温及び土壌水分(日平均).Tan Sin Kyae 村での測定

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2-2 中央乾燥帯バガン地区の降雨特性

2-2-1 概況

ニャンウーの過去の降雨量データをみると、年降雨量は変動が激しく、1980-2015年の 26年

間に、最小は 1982 年の 274mm、最大は 2011 年の 1024mm が記録されている。平均年降雨量

は 633mm、変動係数は 0.253 となっている。(図-7参照)

月平均降雨量と月別変動量は図‐8のようになる。雨季・乾季の差異は明白であり、雨

季は 5, 6 月の前雨季 (early monsoon)

と 8, 9, 10月の後雨季(late monsoon)

に分かれているバイモダルの降雨分布

になっている。前雨季、後雨季それぞれ

の平均は 176 mm, 362mmであり、それぞ

れの CVは 0.547, 0.398となっており、

極めて大きな変動となっている。これら

2つの雨季の降雨量につき、正規化して

示すと図‐9のようになる。前雨季と後

雨季の相関は-0.257で、無相関である。

前雨季の降水状態をみて、後雨季の降

水を推測することは不可能といえる。

天水農業の実施上、困難な状態となっ

ている。

ネリカに限らず、現地における天水農

業にあって雨季の開始、さらには前・後

雨季の開始・終了の見極めが重要にな

ってくる。降雨量がより多い後雨季を

ターゲットに作付けを行うことが有利

であると考えられるが、後雨季の開始

を見極めるのは困難であることが想定

される。

0

50

100

150

Ra

infa

ll (

mm

)

0

2

4

CV

Rain

CV

Early monsoon

Late monsoon

J F M A M J J A S O N D

図 8 月平均降雨量と変動係数(CV)

Nyaung U 気象台での観測(1980-2015)

1980 1990 2000 2010

0

500

1000

Ra

infa

ll (

mm

)

min 274 mm

max 1024 mm

図 7 年降雨量. Nyaung U 気象台での観測(1980-2015)

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

-3

0

3

Sta

nd

ard

ized

ra

infa

ll

Early monsoon

Late monsoon

r = -0.257

図 9 正規化した前・後雨季雨量の経年変化

Page 24: 2018 度、MJET植林ツアーの記録Sin Kyae 村において、これまでに植林を行った6村の村長等を招いて、「ゴ ミ管理計画の進展」に関するワークショップを行った。今後とも、各村はイ

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2-2-2 2017-2018年傾向

図 10 は 2017-2018 年の日雨量と日最

高・最低気温である(2018 年は 8 月ま

で)。昨年・今年は豊水傾向であり、

2017年の年雨量は 792.4 mmであった。

一方で、降雨事象はランダムであり、

営農計画上、連続干天日数の出現を把

握することが必要である。

2-3 前・後雨季の渇水確率年

前後雨季の渇水確率年を求めるために、

対数正規分布により、非超過確率を推

定した。図 11はトーマスプロットによ

るものであり、相関は前後につき、

0.986, 0.990となっている。これらか

ら渇水の確率年を求めると、表2のよ

うになる。

北中(2010)によると、ネリカは生育期

間平均 4mm/day あれば良好な収穫が得

られるとしている。本件では生育期間

90 日として、360mm の降雨が基準とな

る。本件では生育期間 90 日として、

360mmの降雨が基準となる。対象地の後

雨季(the late monsoon、8, 9, 10 月)

の平均は 360.9 mm, 変動係数は 0.410

である。北中の行ったウガンダの実験

栽培では、栽培期間(100日間)300mm以

下では収穫なしで、400mm以上が望まし

いという結果が示されている。表 2 に

掲げた渇水確率をみると、後雨季につ

いては3年のリターンピリオドで281mm

1 1.5 2 2.5 3

Rainfall (mm)

-3

0

3

Sta

nd

ard

de

via

tio

n

10 100 1000

r = 0.990

1 1.5 2 2.5 3

Rainfall (mm)

-3

0

3

Sta

nd

ard

de

via

tio

n

10 100 1000

r = 0.986

Early monsoon Late monsoon

図 11 前・後雨季降雨量対数正規分布 (Thomas plot)

表 2 渇水出現確率年

Early monsoon Late monsoon

Return

period

(year)

Rainfall (mm)

30 45 156

20 51 169

10 65 197

5 86 237

3 113 281

0 90 180 270 360

100

80

60

40

20

0

Ra

infa

ll (

mm

)

0 90 180 270 360DOY

0

20

40

Tem

pra

ture

( °

C)

2017

0 90 180 270 360

100

80

60

40

20

0

Ra

infa

ll (

mm

)

0 90 180

0

20

40

Tem

pra

ture

( °

C)

2018

Tmax

Tmin

Tmin

Tmax

図 10 2018 年日降雨量・日最高最低気温

Page 25: 2018 度、MJET植林ツアーの記録Sin Kyae 村において、これまでに植林を行った6村の村長等を招いて、「ゴ ミ管理計画の進展」に関するワークショップを行った。今後とも、各村はイ

25

となっている。単純計算では 3 年間のうち 2 年は収穫があるが 1 年はほとんどゼロという

ことが想定される。単純化してみると、統計上は 3年間に 1度だけは収穫が期待されること

が示唆されている。何らかの形で、雨季降雨量の予測による作付対応が必要であろうかと思

料されるものである。凶作予想年には、豆、芋などの要水量の低い作物に転作するなどの対

応が合理的であると思われる。

3.農地土壌水分特性からみた連続干天と農業生産性

ネリカ米の試験栽培は 4 年間にわた

って実施されたものであるが、満足

な結果が得られたとは言い難い。バ

ガンはエーヤワディー川の氾濫原由

来の地形であることから、農地土壌

は砂質土が卓越している。例として、

Thant Sin Kyae村 U Than Swe氏所有

農地の土壌水分特性をみると、図の

ようになる。0.2 m深までは砂質土で、

以深は砂質埴壌土の特性を呈してい

る。植生の生育の乾燥限界となる初

期しおれ点(primary wilting point)

である pF3.8 に対応する土壌水分はおおむね 0.1 になっている。連続干天日数の出現と農

地の有効水分量の観点から、営農への提言が期待される

4. 気象・水文観測網の拡張

現在、気象観測は Thant Sin Kyae村と Nyaung U

で実施中である。これに加えて Indaing におけ

る観測機器設置を検討中である。3 点における観

測により気象現象の面的評価が可能になることが

期待される(図 13)。対象バガン地区では、降雨の

空間分布が卓越しているといわれている。Nyaung

Uでは少雨でありながら、Old Baganでは豪雨で道

路交通が一時停止されるような状態が報告されて

いる。このような降雨事象をはじめとした気象現

象の空間分布を評価するために、Indaing での気

象観測を準備中である。

さらに、Indaing にあっては、MJET による廃棄物

処理の方策が進行中であり、廃棄物の焼却場の設

置が行われているところである。バガン地区にお

ける廃棄物処理のモデルケースとして、住民の啓

発に対する寄与が期待されるものであるが、廃棄物焼却場周辺にあって、風向により風下側

の住民から焼却廃棄による悪臭に対する苦情が出ていることが報告されている。そのため、

1 10 100 1000 10000 100000 1000000Matric suction (cm H2O)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

Vo

lum

rtri

c s

oil

mo

istu

re (

m3 m

-3)

Shallow (- 0.20 m)

Deep (0.20 m- )

図 12 Tan Sin Kyae 村ネリカ農地の土壌水分特性

有効水分域 (pF 1.8 – 3.8) に対応する土壌水分量は、浅層

(- 0.2 m 深)、深層 (0.2 m - )に対して、それぞれ 0.092 –

0.204、0.053 – 0.122 である。

図 13 気象観測網の拡張計画

Tan Sin Kyae と Nyaung U で観測実施中。

これに加えて In Dine における観測機器設

置を検討中。

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Indaing においては風向・風速の測定を実施することとしたい。風向・風速の観測結果を基

に、廃棄物焼却に対し何らかの提言が行われることを期待したい。

参考文献

北中真人:サブサハラアフリカへのネリカの導入にかかる水利用からみた課題. 沙漠研

究 20-2: 145-146, 2010.

安田裕, 平田經倫, 藤村建夫, 神田道男, Aung Din.ミャンマー半乾燥地の降雨量時系

列の変動について.日本沙漠学会第 26回学術大会講演要旨 pp. 39-40. 2015

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10.フィールドワーク

河野愛加

ミャンマーのバガンでは、増える近代消費財に対し処理が追い付いておらず、あちこち

にごみが放置されているという現状があり、MJET はゴミ処理のプロジェクトを 7 つ

の村で進めている。今回のツアーでは、フィールドワークの時間を二日間設けていただ

き、卒論のテーマに関する事項について、インダイン村とタンシンチェ村で調査を行っ

た。私はテーマを「ミャンマー・バガンにおける近代消費財の流入による変化とその取

り組みについての考察」と定め、対象村において問題となっているゴミ処理についてフ

ィールドワークを行った。

あらかじめ調査項目を設定し、これに沿った質問票を作成、両村の村長および村人 10

世帯にアンケート、村長や有志の村人を集めていただきインタビューを行った。

タンシンチェ村

フィールドワーク前に訪問した際、村への道中や畑へ道の脇、木と木の間などに多く

のゴミが散乱している様子が伺えた。また、村長のアンケートによると、MJET のプロ

ジェクトであるインダイン・モデルの 5 つの要素(美化委員会、ゴミ箱、焼却場、埋め

立て場、環境教育)はほぼ達成していないことがわかった。そのことをインタビューに

て質問すると、村長は変わって間もなく、前の村長が熱心に取り組んでいなかったため

このような事態になっているとのことであった。また、この村では村長派と反村長派に

わかれているため、村でことを起こすことが難しい。しかし、質問紙やインタビューに

よると、村長や村人はゴミについて問題視しており、どうにかしたいという気持ちはあ

るようだ。また、電気や水道のようなインフラの普及により、電化製品が普及し、消費

が増え、ゴミが増えたことも分かった。

インダイン村

インダイン村は MJET が先駆けて、ゴミ処理プロジェクトを

進め、インダイン・モデルのもととなった村である。そのた

めモデルの 5 つの要素はほぼ達成しており、他の村に比べ道

に落ちているゴミは圧倒的に少なかった。村にはゴミ箱、焼

却場があり、しっかり使われているようだった。インタビュ

ーでは、環境教育が不十分であること、焼却場の場所に課題

があることがわかった。環境教育は専門的な知識が必要なため、まず教育者が必要であ

る。また、焼却場はゴミを燃やすときのにおいが風で流れてくるという問題があるが、

村人の生活導線に設置しなければ、ゴミをそこに捨てなくなるという問題もある。ゴミ

処理において他の村よりも先を走っているが、まだまだ克服すべき点があることがわか

った。

このフィールドワークは、ミャンマーの生活を知るためにとても貴重な機会となった。

アンケートについては無回答が見られ、意味がしっかり伝わっていないことが伺えた。

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また、インタビューでは、Nature Lovers の方に訳していただきながら質問し、より深

く理解することができた。初めての訪問であり、テーマを探すところから手探りの状態

であったが、MJET や Nature Lovers の方々のおかげで何とかを目的を達成すること

ができた。至らない点も多く反省もあるが、今回の調査を役立て卒論を完成させたい。

フィールドワーク

石井奈津美

ミャンマー・バガンの水道インフラの状況は、約1年前に一部の家庭に個別給水システ

ムが設置されたばかりであり、それまでは池の水や雨水を汲んで生活していた。水汲み

は多くの家庭が女性の仕事としている。個別給水システムが設置されたことによって、

その女性の労働時間が減り、生活の変化や改善が起こっている。その話を聞き、どの程

度個別給水システムが設置されているのか、また各家庭、女性の生活の変化は具体的に

どのようなものなのか調査したいと思い、研究テーマを「個別給水システムが設置され

たことによる生活改善と女性のエンパワーメント」と定め、フィールドワークを行った

。その計画と実施について以下に記載する。

計画は、事前学習が5月から月1回ずつ、計3日間と出発前の準備・その他説明の時間と

して、2日間の準備・打ち合わせの時間があり、計5日間の事前準備の時間が設けられた

。事前学習の内容は、ミャンマーの社会経済事情や環境問題、教育についての講義に加

えて、経済開発におけるエコツーリズムの役割や論文の書き方について学習した。様々

な大学からそれぞれの専門の教授におこし頂き、話を聞くことができた。これからフィ

ールドワークをする上で知っておくべき情報であり、吸収するものが多く貴重な時間で

あったと感じた。それと平行して、自分のフィールドワークの計画も進めた。研究テー

マの考案やアンケート作成をMJETの方々から、アドバイスを頂きながら進めていった。

現地でのフィールドワークは、植林ツアーの9日間の日程のうちの2日間(午後のみ)、

フィールドワークの時間が設けられた。1日目はタンシンチェ村の人々とのインタビュ

ー、2日目はインダイン村の人々とのインタビューを事前に記入してもらっていたアン

ケートの回答をもとに行った。その回答はミャンマー語で書かれているため、Nature

Loverの方に訳してもらいインタビューに役立てた。また、未回答の部分や図での回答

を要求した部分の書き方が間違っているところがあった。アンケートの質問の仕方や回

答方法を村の人々にもっとわかりやすいようにするべきであったと感じた。

インタビューは終始英語とミャンマー語で行われ、Nature Loverの方に通訳をしていた

だき行われた。MJETの方々も同伴して行われたため、自分の質問が不十分であったとこ

ろはアドバイスをいただきながら、突き詰めて質問をすることができた。2つの村を訪

問したことで、村によって個別給水システムの設置状況が異なることが明らかになった

。また、実際に水道パイプの仕組みや女性の内職の様子を見せていただくこともでき、

視覚的な理解も深まった。今回の現地でのフィールドワークはMJET、Nature Loversの

方々の協力無しにはできないことであり、とても貴重な体験であった。

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11.植林ツアー体験記

河野愛加

今回、初めてミャンマー植林ツアーに参加しました。このツアーでは、植林活動だけで

はなく、交流会や環境教育、運動会、さらには村でのフィールドワーク調査など多くの

活動に取り組みました。今回の学生参加者が二人だけということもあり、会長の藤村さ

んをはじめ、ツアーの参加者の方からよくしていただき、不自由なく過ごすことができ、

大変勉強になった 10 日間でした。

ミャンマーを訪れるのは初めてで、期待と不安の中ヤンゴンに到着しました。一番の不

安はコミュニケーションでした。事前にビルマ語を学ぶ機会を設けていただいたといえ

ど、できるようになったのはあいさつ程度でした。活動自体は日本語や英語で行うこと

がほとんどだったので心配なかったのですが、植林や運動会で村人達や子供達と関わる

ときに意志を伝えるのに苦労しました。しかし、皆簡単な英語を理解してくれ、また身

振り手振りでも伝えることができました。Nature Lovers の Aung Din さんにはフィー

ルドワークではつたない英語をくみ取って通訳してくださり、また「口先ではなく心で

話すんだ」と言ってくださいました。自分の言いたいことを心で話すことの重要さに気

付きました。言葉が通じなくても、文法がめちゃくちゃでも、自分の意思を伝えようと

する気持ちがあれば、伝えることができるということを学びました。

今回の活動を通して、見えてきたのは人々の生活でした。学校の授業やこの事前学習で

途上国やミャンマーのこれまでの生活や現状を学んできました。人々はどういう生活を

しているのか、村にどういう課題があるのかを事前に学んできましたが、どこか遠い話

のようでした。しかし、実際にミャンマーのバガンの村を訪れ、確かに人々が生活し、

仕事をし、学校に通っていることを目にしました。ゴミ問題や村内部での派閥があるこ

となどいくつかの課題があることも目の当たりにしました。そして、子供達や村の人々

と関わり、ミャンマーの人々の人柄に触れました。実際に訪れ、目で見て経験すること

が、その国を知るうえで大切であるということを改めて感じました。

今回のツアーでは、ミャンマーの文化や生活、抱える課題などを学べたのはもちろんで

すが、日本では絶対に経験することのできない貴重な体験をすることができました。関

わってくださった方々に感謝いたします。

体験記

石井奈津美

私はMJETの植林ツアーに初めて参加し、また今年は私たち学生の卒業研究の支援もして

いただき、自分一人でやろうと思ってもできないような非常に良い経験をさせて頂きま

した。今回このツアーに参加した学生は、私と同じ茨城大学の河野さんと2人での参加

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となりました。例年に比べ、学生の数が少ないようでしたが、特に支障なく植林・運動

会などの活動やフィールドワークなどができました。

運動会は紅白戦で行い、私は紅組を担当して子供たちと一緒になって応援しました。言

葉が通じない中で、たくさんの子供たちを植林ツ

アーの少ないメンバーと小学校の教員たちでまと

めるのは少し体力が要る部分もありましたが、子

供たちが一生懸命コミュニケーションをとろうと

してくれて、競技をする姿を見て、とても良い活動

だと身に染みて感じました。終始子供たちはエキ

サイトしていて、大人も子供も心から楽しめた時

間になったと思いました。

卒業研究のためのフィールドワークに関しては、アンケート作成等の事前準備から当日

のインタビュー、視察までMJETの方々にお力添えいただき、とても良い経験となりまし

た。ミャンマーの農村部の現状は良い面も悪い面も衝撃的なことが多かったです。プラ

スチックごみが増えたことによる環境の悪化、それに伴う村々の取り組み。水道供給に

関しては未だ一部の家庭にしかなされていないことなどです。

MJETの植林ツアーで研究の支援をすることは今回

が初めてということでしたが、特に問題なく進める

ことができました。しかし、もっと自分でインタビ

ュー時の質問やアンケートの分かりやすい回答方

法の考案など準備して臨めたと思う点もありまし

た。次回のツアーに参加する学生には、ぜひこの反

省を見て活かして欲しいです。

今回のツアーで得るものは多くあり、充実した10日

間をミャンマーで過ごすことが出来ました。また自

分の植林した地を見に行く機会があればまたミャ

ンマーを訪れたいです。全日程の活動において、藤

村さんをはじめとするMJETの方々やツアーに参加

された皆様、Nature Loverの皆様に感謝申し上げま

す。

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体験記

青沼智子

ミャンマー・バガンでの MJET植林ツアーに参加した。私がミャンマーという国に興味

を持ったのは、夥しい数のレンガ造りのパゴダが映っている写真に心奪われたから

だ。そして直ぐに行動に移し、今年の 2月と3月に立て続けに2回訪れた。その時に

感じたバガンと言う場所の印象は乾季と言う時期もあったのか、暑くて乾燥してい

て、樹木がもっとあっても良いのではというものだった。13〜14Cのバガン王朝

の王さまたちが仏教を手厚く保護し、パゴダ建造用のレンガを焼くために木々を大量

に伐採したのだということだった。納得がいった。さては真相はどうなのだろうと思

った。

8月 21 日と 22 日の両日だけのツアー部分参加とさせて頂いた。2007 年から植林され

た3つの村を見て回った。おもしろいことが分かった。場所によって苗木の活着率がち

がう事だった。活着率と言う言葉を初めて知った。移植した植物が、根づいて生長し始

めることだそうだ。ここで先ずおどろいた。植林なのだから木が大きくなる事だけ頭に

描いていた。苗木を植えた場所の色々な条件(日当り、降水量、地面の状況)、協力し

てくれている村民の手入れ、シロアリ被害、など色々な原因が木の生長に大きく影響し

ている事を知って「な〜〜んだ、そうなの?枯れちゃう事もあるんだ!」と単純にショ

ックを覚えた。だが、年間平均降雨量 633mmのこの地では「さもありなん」だと各村を

周りながら思えたし、今まで、10年に渡って、植林活動をされて来た諸先輩がたの何よ

りの情熱とたゆまない努力にあらためて敬服した次第だ。経験談を聴きながら、植物に

とって十分な水分が一番必要だということがヒシヒシと伝わってきたが、そのごく当た

り前の事ながらその水をしっかり確保する事が難しいことが、降水量だけでなく、大河

川のイラワジ川を擁するバガンと言えども、村々と川の地形的落差に頭を抱えざるを得

なかった。

MJET の会長である藤村氏御自慢のこんもりした森を観たときの、わくわく感は今でも

覚えている。2007 年に、砂しかなかった土地だというその場所は本当に青々とした森

だった。それを愛おしそうに話して下さる藤村氏は森の守り人のように見えた。このよ

うに沢山の方々が情熱を注いで来た森創りが、(グローバリティーが主流のこの現代)、

ローカリティーとの融合を生み育てていると実感出来た。そして今私たち人間にとって

は、自然を守る事の大切さも同時に教えてくれた旅だった。

だから、来年もこの森に帰って来たいと思った。村の方々と青沼チームを組み植えたチ

ークの 30 本の苗木がどんなになっているか、こんもり森は更に大きくなって虫や鳥や

動物達、そして人びとの憩いの場になっているだろうか等想像が尽きない。

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体験記

大石浩

5年ぶりのミャンマー、初のバガン。そして初の植林体験。こんな機会に恵まれて楽し

い3日間を過ごした。植林に関しては MJET の過去の経験と必要分野の専門性が詰まっ

た資料と植林プロセス。申し分ないと思った。仏教遺跡に囲まれた環境で見て、動いて、

感じて、エコツアーも初めてだったが繰り返したい体験、欲を言えばバスを降りてもっ

と足で歩き回りたかったが盛り沢山のアジェンダで中3日間では全く文句なし。総じて

村を歩き回り目についたのはやはり学術研究テーマの「水にゴミ」と「笑顔」。

最近は東アフリカの農村部を対象に仕事をさせて頂く機会が多いが先ず水の問題に特

に安全な飲料水確保の問題に必ずぶつかる。「地下水は不味い」、自治体に対して「水道

管でキレイな水を蛇口まで供給してほしい」と言った意見は良く聞くがバガンの農村で

もそうであった。私がかかるエチオピアやケニア辺りの農村とバガン農村との違いは農

家が各自で屋根の雨水を溜めるシステムが多く導入しているところだった。立地条件や

気候も違えば、素材確保の用意性も違うので単純比較は出来ないがバガンの農家の方が

自宅のものに限りキチンと設置され管理されており自主性、勤勉性を伺えた。一方で農

村集落に設置された韓国からの寄付などを例に集落共同所有のものはちゃんと管理・機

能しているのかと問いが生まれたが、本当のところはどうなのだろうか?その答えは分

からないが、同じ公共問題のゴミの扱いを見ると心配になる。

近年、アフリカでも農村集落では生活の変化により家庭ごみが従来のバイオマス主体か

らプラや金属、化学合成品などが混在、近代化している。バガンでも無論そうであると

伺った。キチンと分別出来ていればゴミの資源化、例えば食料・飼育残渣のバイオガス

化なども有り得るように思うがバガンの見学した農村ははっきりとそのような傾向は

伺えなかった。回収問題に対応するボックスのアイデアは素晴らしいがそれを持続する

農村内のインセンティブ作りに大変興味を持った。ゴミを問題化する傾向ははっきり見

たが、それを機会と見る、例えば「ゴミを金に変える」などのイニシアチブに今後期待

したいが、私の限られた経験では画期的な農村社会のプロセスの画期的な変革アイデア

は、農村からオーガニックに誕生する事は中々難しく、都市に集中するナレッジバンク

とのリンケージの構築を支援する事も大事では無いかと感じた。

3つ目のキーワードは「笑顔」であり、アフリカで開発事業に携わり良く感じるのが「農

村集落ほど笑顔が多い」。持論、世界一笑顔が少ない東京(通勤地下鉄電車の中!)を

開発済みの極端な例に考えると、開発事業そのものに「果たして開発を手伝ってよいも

のか」と疑問を感じる事は良くある。笑顔の数はバガンもアフリカ農村部同様、一人村

を歩いていたらすれ違う村民たち皆自然な笑顔と若干の照れ臭さで無言の挨拶をして

くれた。訪れた Thant Sin Kyae村と Chaukkan村の小学生の新しい理科授業体験や得意

になって臨んだ運動会の真剣な眼差しにも最後には笑顔が必ずあった。そして子供たち

を束ねる大人たち、運動会前日予行練習で子供に戻った運動会種目を試動する先生方の

笑いと笑顔、当日活躍する我が子、我が孫を見る父兄の笑顔も印象的であった。

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文末に藤村建夫先生をはじめとする人生経験、開発事業の大先輩の方々とこのような機

会でお会い出来、一緒に時間を過ごせた事に大感謝したい。アフリカの経験が多い先輩

方が何故 MYANMARなのか、まだまだ聞きたいところが多い。

ありがとうございました。

体験記:村人たちになにか貢献したい

安田 裕

今年で 5 年目の参加となりました。いつもながら、現

地の澄んだ目をした子供たちの笑顔には心から励まさ

れるものです。

植林

今回は、Chokkan村でチークの植林を村人たちと行いま

した。これまでの植林地の経過を観察してみると、村

によってフォローアップが大きく異なっているようで

す。青々と育っているところもあれば、ゴミ捨て場に

なっているところもありました。植林と廃棄物処理は

両輪として取り組むべきではないかと思ったものでし

た。

環境教育・交流

このような背景から、村人たちとの交流は意

義深いものであり、未来を担う小学生たちへ

の理科実験教育や団体行動・規則遵守を伝授

する運動会実施などを通じて、環境意識の啓

発を期待するところです。現地の子どもたち

の運動会での行動をみていると、日本の運動

会とは、幼稚園児のころから、競技のルール

をまもって団体行動をとるという訓練の場

として、日本人を育てているということを再

認識するものです。

ネリカ米栽培 (最適営農法啓発)

この他に MJET の活動として4年前から実施してきたネリカ米栽培推奨などもありま

す。これは営農法啓発という位置づけで考えたいものです。ネリカ米については、本報

告 9 の項に前述の通りです。MJET の対象としているバガン地区7村は農村であるかと

思われますが、鳥取大学乾燥地研究センターの研究活動として、昨年度から実施されて

いる人文系学術調査(ミャンマー中央乾燥地における複数生業による生計向上のための

村落開発についての研究)によると、村民の多くは農業以外の収入が大半を占める「第

2種兼業農家」ではないかとされています。実際に全村民のうち、どのくらいの割合が

子供たちの笑顔はなにより

の励み

運動会で玉入れに熱中する子どもたち

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第 2種兼業農家であるかまで調査が及ぶかは危ぶまれますが、伝統的産業である農業に

つき、少雨下における最適営農法の啓発が望まれるものです。ミャンマーの普遍的営農

法は、米の三期作をやっているような多雨モンスーン気候に立脚したものです。そのよ

うな国情をふまえ、少雨の中央乾燥帯に最適な営農法を啓発することが、村人への貢献

でありましょう。例えば、林業コンサルタントの平田氏(林野庁 OB)の提案したマルチ

農法・保湿剤利用などは、砂質土が卓越する対象村落で有効かと思われますが、村民の

理解は十分とはいえず、これからの啓発が期待されます。

気象観測

私は数年前から、現地で気象観測(雨量・気温・

湿度・気圧・日照量及び土壌水分)を行っていま

す。Tant Sin Kyae 村の小学校と農地に加えて、

Nyaung U の Dry Zone Greening Department

(DZGD)に機器を設置しています。今回小学校に

設置していた日照計と温湿度・気圧計の木製支柱

がシロアリ被害により損傷したので、PVC パイ

プで置き換えました (右図)。植林にあって

も、特にユーカリ種はシロアリに脆弱であるよ

うですが、自分の観測体制の中でシロアリ被害を受けたことにより、より切実に脅威を

抱いたものでした。

少雨の中央乾燥帯にあって村落開発という観点から、村人たちに何か貢献できればと思

っています。

村人と協働で植林

気象観測機器の木製支柱がシロアリによ

り損傷したので、PVC パイプで置き換え

た。

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12.植林ツアー後記

今年の植林ツアーは、学生の卒業論文の研究テーマを見つけることを MJET が支援する

という新企画で5~6名を見込んで、20あまりの大学にコンタクトした。いくつかの

大学から好意的な反応があったが、最終的には都合がつかず参加者が茨城大学から2名

の学生参加となり、予定よりも少なくなった。

卒業論文の研究テーマ候補をみつけ、それを現地のフィールドワークでどのように調査

するかという手順を事前の勉強会で準備した。一人は「バガンへの近代消費財の流入に

よる変化とその取り組みについての考察」をもう一人は「個別給水システムが設置され

たことによる生活改善と女性のエンパワーメント」を候補として選定し、調査すべき内

容の枠組みを作って上で質問票を和英文で作成した。これを在日ミャンマー人に翻訳し

てもらい、現地に着いてから2つの村で、村人に配布して質問票を集めると同時に面談

を行った。

面談も今回が初めてであったので、最初の村では緊張したが、2つ目の村では少し慣れ

て質問をきちんとできるようになった。通訳は Aung Dinさんが行った。

藤村会長も同席し、学生の質問の補足説明を行ってサポートした。村人は率直に質問に

答えてくれたので、良い調査が出来たものと思われる。質問票にはミャンマー語で記入

されているので、その場では内容を確認できなかったのが、難点であったが、帰国後に

ミャンマー人の助けを得て日本語版を作成する必要がある。

運動会はチョーカン村とタンシンチェ村の2つの学校で開催した。どちらも子供達が一

生懸命にがんばったので、大変楽しく愉快に開催することが出来た。今後とも競技を工

夫して継続したい。

理科の実験を含む環境教育は Grade 3向けをピョーセイピン村で、Grade 4向けを

タンシンチェ村で実施した。日本の学生はこのような教育実習を初めて行ったが、生徒

達の反応を見ながら丁寧に行ったので、大変良い授業になったと思われる。ピョウセイ

ピン村の校長先生は、「水の性質」について、まだ教えてなかったので、4年生の方が

良かったのではないかと、言っていたが、3年生の教科書に出ている内容であったので

後で先生が復習されると思われる。他方、タンシンチェ村では校長先生がやや心配しな

がら見ておられたが、内容については特段の問題はなく、生徒達も良く理解したように

見えた。

最終日に行った「ゴミ収集・処理の進捗状況報告会」は6つの村から村長以下数名が参

加して、インダイン・モデルの実施状況を報告した。村人の問題意識が非常に高まって

いることが理解された。村人向けの環境教育のセミナー開催の希望が多く寄せられたの

で、次回は進捗状況を聞くと同時に、村人の環境保全のためのセミナー開催を企画した

い。このための教材を作成することとしたい。

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付録 1.植林ツアー参加者

参加者:8 名 (内訳:MJET会員 4名;一般社会人 2名;一般学生 2名)

学年 氏名 所属大学、学科

学部 3年 河野愛加 茨城大学文学部

学部 3年 石井奈津美 茨城大学文学部

NGO 藤村建夫 ミャンマー日本エコツーリズム会長

NGO 松岡和久 ミャンマー日本エコツーリズム理事

NGO 平田経倫 育林コンサルタント

大学教員 安田裕 鳥取大学乾燥地研究センター准教授

国際機関職員 大石浩 UNIDO 職員

社会人 青沼智子 自由業

Myanmar 側パートナー参加者

氏名 所属

会長 U Aung Din The Nature Lovers Group

職員 Daw May Khin The Nature Lovers Group

会員 Ko Paing Myanmar Japan Youth Association

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付録2 Itinerary in Myanmar for August18--27, 2018

Leave Arrive AM PM Overnight stay

8/18

Sat

Narita

11:00 NH813

Yangon:

16:30

Departure 15:35 Arrive in Bangkok

17:50 by TG305

18:45 Arrive in Yangon

Yangon

Taw Win Garden

Hotel

8/19

Sun

08:30---10:00 The Dhamma Vihara

Monastery: Practice meditation

10:30—11:00 Early lunch

12:00 Speech by Japanese class students

13:00 Exchange programme with MJYA

16:00 Visit the reclining Buddha

20:00 Shwe Dagon Pagoda

Yangon

Taw Win Garden

Hotel

8/20

Mon

Yangon

08:00 by K7 248

Bagan

09:20

08:00 arriving at 09:20

10:30 Observing planted trees in Thant Sin Kyae

village and East Phar Saw village

14:00 Briefing by U Aung Din on Environmental Issues

in Myanmar and Tree-planting by MJET by Mr.

Hirata

16:00 Observing planted trees and consultation in

Phyauk Seik Pin village

Bagan, Umbra Hotel

8/21

Tue

08:00 Observing planted trees in Chaukkan village

and consultation on the sport games/science

education

14:00: Observation of the trees planted and

consultation with the villagers on Garbage Treatment

Home visit in In Daing village

18:00 Sunset observation

Bagan, Umbra Hotel

8/22

Wed

08:00 Preparation for tree-planting in East Phwar

Saw village

13:00 Bagan Village Cultural Theme Park

15:30 Tree-planting in East Phwar Saw village

Bagan, Umbra Hotel

8/23

Thu

08:30 Environment education in Thant Sin Kyae

11:00 Interview with villagers

15:00 Sport games in Chaukkan village Bagan, Umbra Hotel

8/24

Fri

08:30 Environment education in Phyauk Sei Pin

village

12:00 Lunch in Tower

15:00 Sports games at Thant Sin Kyae village

17:00 Field work in Indaing village

Bagan, Umbra Hotel

8/25

Sat

Bagan

17:20 byK7 265

Yangon

18:40

10:00 Workshop on the “Progress of the Garbage

Management” in Thant Sin Kyae village

13:00 Sightseeing: Ahnanda temple, etc.

17:20 Leave Bagan to arrive in Yangon at18:40

Yangon

Taw Win Garden

Hotel

8/26

Sun

Yangon

21:45 NH814

09:00 City tour in Yangon (National museum, Bojo

Aung San Museum, Railway station, etc.)

14:00~ Shopping

21:45 Leave Yangon (To stay in flight)

8/27

Mon

06:50

Narita

Arrive in Narita

(注)8 月 23 日と 24 日はフィールドワークの日

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付録3.写真集

ヤンゴンの Dhama Vihara Monastery での瞑想と交流会

East Phwar Saw Pin 村での植林

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Thant Sin Kyae 村での交流会・運動会

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Thant Sin Kyae 村での環境教育

Phyauk Sei Pin 村での環境教育

Chaukkan 村での運動会

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Thant Sin Kyae 村でのゴミ収集・処理ワークショップの開催

Thant Sin Kye 村でと Indaing村でのフィールドワーク

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観光

これまでに植林した苗木の成長状態

Thant Sin Kyae 村 (2009年) In Daing 村 (2013年)

East Phar Saw村(2011年) Chaukkan 村(2015年)

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Phyauk Seik Pin 村(2016・2017年)

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付録4.植栽地図

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付録5:運動会実施要領:Chaukkan Village:8 月 23 日(午後 4 時~6 時半)2018 年 8 月 15 日

競技名 参加する Grade 人数 ゲームの進め方 点数 備品

1. ジャマ

ジャマ

玉入れ

GK(B11+G10=

21),

G1(B9+G9=18)

39 人+先生 1 人

赤 1―20 人

白 1―20 人

自分のチームの籠の周りを取り囲み、地面に置いてある玉を投

げて籠に入れて、数の多いチームが勝ちです。

G8 の一人がうちわを付けた竹の棒を持って籠の前に立ち、赤

は白の、白は赤の籠に入る玉の邪魔をします。

1 位―10

2 位―5

⚫ 紅白の玉各 30 個

⚫ 鉢巻き(紅白)

⚫ 籠付きポール 2 本

⚫ うちわ付き棒

2. サイクロ

ンの目

G2(B15+G20=35),

G3(B24+G20=44)

79 人+先生 1 人

赤―40 人

白―40 人

竹の棒を 4 人でつかんで走り、最初のポールの周りを 1 周し

て、2 番目のポールに進み、その周りを 1 周して、スタート地

点に戻り、次のチームにバトンタッチします。

1 位―10

2 位―5

⚫ 竹の棒(長さ 2m

50cm)(直径

5cm)

⚫ 鉢巻き(紅白)

3.デカパン

リレー

G4(B11+G19=

30)、G5

(B13+G15=28)、

58 人+先生 2 人

赤―30 人

白―30 人

二人で肩を組み、大きなロンジーの中に入り、走って、その速

さを競うゲームです。各組は校庭を半周して、バトンを渡すリ

レー形式で行います。

1 位―10

2 位―5

⚫ デカパン 2 枚

⚫ 鉢巻き(紅白)

4.キャタピ

ラー競争

G6(B12+G15=27)

G7(B13+G16=29)

G8(B15+G19=34)

90 人

赤―45 人

白―45 人

2 人 23 組

3 人 15 組

段ボールで作ったキャタピラーの中に二人が入って、四つん這

いになってキャタピラーの中を歩いて前に進むゲームです。校

庭の両側に二つに分かれて待機し、行ったり来たりして速さを

競います。

1 位―10

2 位―5

⚫ 段ボールで作ったキ

ャタピラー4 個(2

個は予備)

⚫ バトン帽子2本

5.電車リレ

ー(予行演

習なし)

G4(30)、G5

(28)58 人+先生 2

(赤白 5 人 X6 組)

赤―30 人

白―30 人

縄の輪の中に 5 人が入って、縄をつかみながら走って、その

速さを競うゲームです。各組は校庭を半周して、電車を降り

て、帽子を渡すリレー形式で行います。

1 位―10

2 位―5

⚫ 電車用縄‐2 個

⚫ 鉢巻き(紅白)

⚫ バトン帽子2個

6.ムカデ競

争(予行演

習なし)

G6(27), G7(29),

G8(34), 90 人

(赤白 9 人x5 組)

赤―45 人

白―45 人

ムカデの縄に両足を結び 10 人で足を揃えて走る競技です。

各組は校庭を一周して帽子を渡すリレー形式で行います。

1 位―10

2 位―5

⚫ ムカデの縄

⚫ 鉢巻き

⚫ バトン帽子2個

総監督と進行:松岡; 勝敗記録・音楽:安田; ゴールテープ:平田・大石; 選手の集合と整列:先生・Ko Paing,

応援:紅組・石井、白組・河野; スタート号令:藤村; 審判:藤村; 備品と賞品:藤村

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交流運動会実施要領:Than Sin Kyae Village:8 月 24 日(午後 6 時~8 時)2018 年 8 月 24 日現在

競技名 参加する Grade 人数 ゲームの進め方 点数 備品

2.

玉入れ

GK(B5+G8=13),

G1(B6+G10=16)

G2(B3+G10=13)

小計:B14+G28=42

赤―21 人

白―21 人

小計 42 人

自分のチームの籠の周りを取り囲み、地面に置いてある玉を投

げて籠に入れて、数の多いチームが勝ちです。

1 位―10

2 位―5

⚫ 紅白の玉各 30 個

⚫ 鉢巻き(紅白)

⚫ 籠付きポール 2 本

2.キャタピ

ラー競争

G3(B10+G7=17)

G4(B5 +G7=12)

小計:B15+G14=29

G2(B3)

中計:B18+G14=32

赤―16 人

白―16 人

2 人 8 組

段ボールで作ったキャタピラーの中に二人が入って、四つん這

いになってキャタピラーの中を歩いて前に進むゲームです。校

庭の両側に二つに分かれて待機し、行ったり来たりして速さを

競います。

1 位―10

2 位―5

⚫ 段ボールキャタピラー

2 個

⚫ 鉢巻(紅白)

総監督と進行:松岡; 勝敗記録・音楽:安田; ゴールテープ:平田・大石; 選手の集合と整列:先生・Ko Paing,

応援:紅組・石井、白組・河野; スタート号令:藤村; 審判:藤村; 備品と賞品:藤村

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付録 6. 環境教育新モジュール(Grade 4)

2018 年 8 月

(Proposal by MJET Students)

1. 提案の趣旨

ミャンマーは、近年目覚ましい経済発展をとげつつあり、今後、経済発展を担うための

科学的知識・経験を持った人材が一層多く必要とされるようになる。そのためには、小

学校から科学的知識を持った人材を多数養成することが求められている。しかしながら、

現在の小学校の科学教育は、実験を伴わない教科書の丸暗記が主な教育指導となってお

り、現在それらの教育指導要領が改善の途上にある。

Thant Sin Kyae 村の人々は、大変教育熱心であり、第 28 小学校生徒の多くは高等教

育に進学している。MJET 学生部は、これらの小学校生徒が将来、経済発展に大いに役

立つ人材となるように、科学的知識の習得に役立つ簡単な科学的実験による参加型教育

手法の実施を提案し、協力することとしたい。

2.科学教育改善の目的

提案する科学教育の内容改善は、生徒が科学的知識を取得する方法として、生徒の身近

な環境を題材としてとりあげ、自らの生活に密接に関わりのある物質とその性質につい

て実験を通じて科学的知識を深めることを目的とする。

3.教育手法の特色

提案する環境教育は以下の 3 つの特色をもった方式で実施する。

➀ モジュール方式

授業はテーマ毎のモジュール方式とし、各モジュールは特定のテーマについて、

目的の説明、生徒の実験・作業、討論、まとめの順番で行う。

➁ 参加型方式

生徒は先生の指示にしたがって、自ら実験を行い、その結果について考え、友達

と討論を行う。不明な点については先生に質問し、先生は生徒の意見について、

適切な回答と助言を与える。

➂ 協同方式

第 28 小学校の先生と MJET 学生が授業を分担し、相互に助け合う。

Module 4: 光の性質について実験を通して理解する。

達成すべき目標:

① 光は明るい。

② 光は直進し、はね返すことができる。

③ 光は熱を持っている。

④ 光は色をもっている。

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授業の進め方:先生が生徒に質問して、生徒が自分で考えて回答する。

① 先生が質問する。

光を出すものにはどのようなものがありますか?

② 生徒がいくつかの光の種類を挙げる。(例:日光、電灯、ろうそくなど)

③その光にはどのような性質があるか実験で調べる。

実験1 光は明るいことを理解する。

① クラスを 4 人程度のグループに分ける。

② プロジェクターないし懐中電灯の光で本を読む。

◎照らされているところが明るくなっていることから、光は明るいという性質を持ってい

ることがわかる。

実験2 光は直進し、はね返すことができることを理解する。

① 屋外に出て、鏡を使って、建物の陰に日光を反射させる。

(鏡を地面に置くと地面に光の道ができる。)

②グループのメンバーで、鏡を使って光のリレーを行う。

一人は日向で日光を反射させ、その他の人は日陰の中でリレーを行う。

◎地面に光の道が出来ていることから、光はまっすぐ進んでいることがわかる。

◎鏡で光を反射させることができることから、光ははね返すことができることがわかる。

実験 3 光は熱を持っていることを理解する。

①全員で屋外へ出て、グループごとに日向と日陰 2 か所(建物の影、木陰)の計 3 か所の

温度を計る。

②教室内に戻り、グループごとそれぞれ何度であったかを発表してもらい、白板に示す。

(表を用意しておく。)

◎光が当たっている日向は温度が高く、光の当たらない日陰は温度が低いことから、光は熱

を持こっていることがわかる。

◎木陰では、植林した場所で温度を計り、木が気温を下げることに役立っていることも理解

できる。

実験4 光は色を持っていることを理解する。

① 屋外に出て、箱に入ったプリズムを使って、虹色を見る。

まとめ

最後に先生が教室内で、生徒たちに光の4つの性質について理解できたか確認する。

① 先生が 4 つの質問をする。

1~4目の実験でわかったことはなんですか。

②生徒が答える。

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※必要なもの

・鏡 …18個

・懐中電灯 …5 個程度

・温度計 …5 個程度