2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… ·...

45
藤田保健衛生大学病院 中村 和広 201383日(土)生物化学分析検査研究班研究会

Transcript of 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… ·...

Page 1: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

藤田保健衛生大学病院

中村 和広

2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

Page 2: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病の診断の流れ

問診

身体所見

必要な 検査

確定診断

Page 3: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病に関わる検査

血糖コントロールの指標

血糖値、HbA1c、グリコアルブミン、1,5-AG など

インスリン分泌能の指標

インスリン分泌指数、血中・尿中Cペプチド、グルカゴン負荷試験、HOMA-β、Cペプチドインデックス など

インスリン抵抗性の指標

空腹時インスリン値、HOMA-R など

合併症関連の指標

微量アルブミン、クレアチニン、BUN、β2マイクログロブリン、総コレステロール、HDL・LDLコレステロールなど

Page 4: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病の診断に必要な検査

血糖値(静脈血漿)

空腹時

血糖値

75gOGTT

2時間値

随時

血糖値

正常型 境界型 糖尿病型

110mg/dL未満

110~125mg/dL

126mg/dL以上

140mg/dL未満

140~199mg/dL

200mg/dL以上

200mg/dL以上

Page 5: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1c(NGSP) HbA1c(JDS)

基準範囲 4.6%~6.2% 4.3%~5.8%

糖尿病型 ≧6.5 % ≧6.1 %

糖尿病の診断に必要な検査

Page 6: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1cの国際標準化

6.5%

JDS (日本)値

6.5%

6.5% 6.1%

NGSP値

NGSP値

NGSP (米国)値

北欧 Mono- S

[参考]日本糖尿病学会HP

Page 7: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

JDS(%) NGSP(%) NGSP(%) 差 JDS(%) NGSP(%) NGSP(%) 差 JDS(%) NGSP(%) NGSP(%) 差

4.0 4.3 4.330 0.3

4.1 4.4 4.432 0.3 7.1 7.5 7.492 0.4 10.1 10.6 10.552 0.5

4.2 4.5 4.534 0.3 7.2 7.6 7.594 0.4 10.2 10.7 10.654 0.5

4.3 4.6 4.636 0.3 7.3 7.7 7.696 0.4 10.3 10.8 10.756 0.5

4.4 4.7 4.738 0.3 7.4 7.8 7.798 0.4 10.4 10.9 10.858 0.5

4.5 4.8 4.840 0.3 7.5 7.9 7.900 0.4 10.5 11.0 10.960 0.5

4.6 4.9 4.942 0.3 7.6 8.0 8.002 0.4 10.6 11.1 11.062 0.5

4.7 5.0 5.044 0.3 7.7 8.1 8.104 0.4 10.7 11.2 11.164 0.5

4.8 5.1 5.146 0.3 7.8 8.2 8.206 0.4 10.8 11.3 11.266 0.5

4.9 5.2 5.248 0.3 7.9 8.3 8.308 0.4 10.9 11.4 11.368 0.5

5.0 5.4 5.350 0.4 8 8.4 8.410 0.4 11.0 11.5 11.470 0.5

5.1 5.5 5.452 0.4 8.1 8.5 8.512 0.4 11.1 11.6 11.572 0.5

5.2 5.6 5.554 0.4 8.2 8.6 8.614 0.4 11.2 11.7 11.674 0.5

5.3 5.7 5.656 0.4 8.3 8.7 8.716 0.4 11.3 11.8 11.776 0.5

5.4 5.8 5.758 0.4 8.4 8.8 8.818 0.4 11.4 11.9 11.878 0.5

5.5 5.9 5.860 0.4 8.5 8.9 8.920 0.4 11.5 12.0 11.980 0.5

5.6 6.0 5.962 0.4 8.6 9.0 9.022 0.4 11.6 12.1 12.082 0.5

5.7 6.1 6.064 0.4 8.7 9.1 9.124 0.4 11.7 12.2 12.184 0.5

5.8 6.2 6.166 0.4 8.8 9.2 9.226 0.4 11.8 12.3 12.286 0.5

5.9 6.3 6.268 0.4 8.9 9.3 9.328 0.4 11.9 12.4 12.388 0.5

6.0 6.4 6.370 0.4 9.0 9.4 9.430 0.4 12.0 12.5 12.490 0.5

6.1 6.5 6.472 0.4 9.1 9.5 9.532 0.4 12.1 12.6 12.592 0.5

6.2 6.6 6.574 0.4 9.2 9.6 9.634 0.4 12.2 12.7 12.694 0.5

6.3 6.7 6.676 0.4 9.3 9.7 9.736 0.4 12.3 12.8 12.796 0.5

6.4 6.8 6.778 0.4 9.4 9.8 9.838 0.4 12.4 12.9 12.898 0.5

6.5 6.9 6.880 0.4 9.5 9.9 9.940 0.4 12.5 13.0 13.000 0.5

6.6 7.0 6.982 0.4 9.6 10.0 10.042 0.4 12.6 13.1 13.102 0.5

6.7 7.1 7.084 0.4 9.7 10.1 10.144 0.4 12.7 13.2 13.204 0.5

6.8 7.2 7.186 0.4 9.8 10.2 10.246 0.4 12.8 13.3 13.306 0.5

6.9 7.3 7.288 0.4 9.9 10.3 10.348 0.4 12.9 13.4 13.408 0.5

7.0 7.4 7.390 0.4 10.0 10.5 10.450 0.5 13.0 13.5 13.510 0.5

NGSP値は、NGSP(%)=1.02×JDS(%)+0.25で少数第3位まで計算し、小数第2位を四捨五入し、少数第1位まで示す。

説明用:JDS値とNGSP値の換算表(Ver.1.1)

NGSP値は,NGSP(%)=1.02×JDS(%)+0.25で小数点以下第3位まで計算し,第2位を四捨五入して第1位まで示した.

HbA1cの国際標準化 -JDS値からNGSP値への換算表-

HbA1c(NGSP)=1.02×HbA1c(JDS)+0.25

[参考]日本糖尿病学会HP

Page 8: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

血糖値とHbA1c ともに糖尿病型

血糖値のみ 糖尿病型

HbA1cのみ 糖尿病型

・糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少) ・確実な糖尿病網膜症のいずれか

糖 尿 病

有り 無し

再検査 再検査

(血糖検査は必須)

血糖値とHbA1c ともに糖尿病型

血糖値のみ 糖尿病型

HbA1cのみ 糖尿病型

いずれも 糖尿病型でない

血糖値とHbA1c ともに糖尿病型

血糖値のみ 糖尿病型

HbA1cのみ 糖尿病型

いずれも 糖尿病型でない

なるべく 1ヶ月以内に

糖 尿 病

糖尿病疑い

糖 尿 病

糖尿病疑い

3~6ヶ月以内に血糖値・HbA1cを再検査

糖尿病型;血糖値(空腹時≧126mg/dL,OGTT2時間≧ 200mg/dL ,随時≧ 200mg/dLのいずれか)

HbA1c(NGSP)≧6.5% [HbA1c(JDS)≧6.1%]

糖尿病の臨床診断のフローチャート (2012年4月1日以降) [参考]日本糖尿病学会HP

Page 9: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

境界型について

Page 10: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

空腹時血糖値および75gOGTTによる判定区分

糖尿病型

(IFG) 境界型

正常高値

正常型

(IGT)

空腹時血糖値が100~109mg/dLは正常域ではあるが、「正常高値」とする。この集団は糖尿病への移行やOGTT時の耐糖能障害の程度からみて多様な集団であるため、OGTTを行うことが勧められる。

140 200 mg/dL

100

110

126

mg/dL

負荷後2時間血糖値(静脈血漿値)

空腹時血糖値(静脈血漿値)

Page 11: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

空腹時血糖値および75gOGTTによる判定区分

糖尿病型

(IFG) 境界型

正常高値

正常型

(IGT)

140 200 mg/dL

100

110

126

mg/dL

負荷後2時間血糖値(静脈血漿値)

空腹時血糖値(静脈血漿値)

IFG(impaired fasting glucose):空腹時血糖異常

空腹時血糖値が110~125mg/dLで、2時間値を測定した場合には140mg/dL未満の群を示す。(WHO分類)

Page 12: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

空腹時血糖値および75gOGTTによる判定区分

糖尿病型

(IFG) 境界型

正常高値

正常型

(IGT)

140 200 mg/dL

100

110

126

mg/dL

負荷後2時間血糖値(静脈血漿値)

空腹時血糖値(静脈血漿値)

IGT(impaired glucose tolerance):耐糖能異常

空腹時血糖値が126mg/dL未満で、75gOGTT2時間値が 140~199mg/dLの群を示す。(WHO分類)

Page 13: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

血糖測定時の注意点

空腹時にはほとんど差は無いが、糖負荷後には動脈血が高くなる。 耐糖能異常がある場合には、この差は増大する。 インスリン注射後のように血糖値が変化する場合、腕から採血した血液は30分くらい変化が遅れて現れる。

食事の影響を受ける

空腹時血糖値とは、10時間以上絶食させた後の血糖値。

採血後、全血のまま室温に放置すると、血球の解糖系により代謝され低値となる

1時間37℃で20%、25℃で10%、4℃で1~3%低下するとの報告もある。

NaF入り採血管で採血しても数時間で10mg/dL程度グルコースは低下する。

血糖値は動脈血>毛細血管>静脈血(およそ10~20mg/dLの差がある)

輸液針刺入部より中枢側での採血による影響

輸液の混入は電解質の不均衡や、TPやHbの希釈などで判明することもある。

Page 14: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

全血保存によるグルコースの経時変化

エノラーゼ反応までは解糖系は進むため、採血後30分程度はNaF有でも解糖系は進行する。 WBCが著増している場合は低下率が大きい。

採血後の経過時間 (H) 採血後の経過時間 (H)

血清グルコース (汎用採血管)

グルコース値

グルコース値

(mg/dL) (mg/dL)

血漿グルコース (フッ化ナトリウム入り採血管)

冷蔵

室温

室温

冷蔵

株式会社 シー・アール・シー HPより引用

Page 15: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

SMBGについて

Page 16: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

マルトースを含む輸液を投与中の患者、ガラクトース、ラクトース、マンノースなどを投与中の患者、イコデキストリンを含む腹膜透析液を使用中の患者、ガラクトース負荷試験やキシロース吸収試験を実施中の患者で偽高値を呈する。

注意点① GOD電極法

溶存酸素の影響。低酸素血症では正誤差、高酸素血症では負誤差を生じる。

GDH-PQQを用いる方法

プラリドキシムヨウ化メチル(PAM)を投与中の患者では偽高値のおそれがあるので、事前に製造・販売業者から情報を入手する必要がある。

還元性物質(尿酸、アスコルビン酸など)で正誤差の影響。

GOD比色法

GODを使用する機器

ヘマトクリットの影響

Htが低値の貧血では測定値が高値を、Htが高値の多血症や新生児では測定値が低値を示す傾向ににある。

死亡例あり!

Page 17: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

注意点②

無理に血液を搾り出した結果組織間液で血液が希釈される。

穿刺部位による影響

前腕部は指尖部と比較し20~30分遅れて変動することがある

機器、試験紙の保存状態

果糖など糖分を含む食品に触れた後、そのまま指先から採血すると、偽高値のおそれがある。

消毒液による希釈

その他

診療行為として血糖測定するためのものではない!

Page 18: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1cについて

Page 19: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

2010 年7 月より施行

• 標準化が進み、測定精度が向上してきた

• 空腹時血糖値よりも安定した指標で、慢性的な高血糖をあらわす指標としては優れている

• エビデンスの集積

糖尿病型の定義

HbA1c

HbA1c(NGSP) ≧6.5% 【HbA1c(JDS) ≧6.1%】

ヘモグロビンβ鎖N末端のバリンにグルコースが安定的に結合した糖化ヘモグロビン。 赤血球の寿命(約120日)に関係し、過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映する。

Page 20: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1c測定値に影響を及ぼす因子

• 測定法による差

• 測定試料による差

遠心条件とサンプリング位置 血漿成分、Hb濃度の影響 修飾Hbの影響 異常Hb、HbFの影響 赤血球寿命の変化

Page 21: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

測定法別採用頻度

愛臨技(24年度集計)

HPLC法

免疫法

酵素法

HPLC法

免疫法

酵素法 その他

日臨技(24年度集計)

その他

Page 22: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

測定法別採用頻度 愛臨技(24年度集計)

HPLC法

免疫法

酵素法

HPLC法

免疫法

酵素法 その他

日臨技(24年度集計)

HPLC法 東ソー 37.8 %HPLC法 アークレイ 31.6 %

免疫法 協和メデックス 12.8 %免疫法 シーメンス 4.1 %免疫法 テイエフビー 1.9 %免疫法 ロシュ 1.2 %

酵素法 積水メディカル 5.1 %酵素法 アークレイ 1.4 %

ドライ ビトロス 0.4 %

HPLC法 アークレイ 39.6 %HPLC法 東ソー 35.3 %

免疫法 協和メデックス 8.4 %免疫法 シーメンス 3.1 %免疫法 ロシュ 2.1 %免疫法 和光純薬 1.0 %

酵素法 積水メディカル 7.4 %酵素法 アークレイ 1.0 %

POCT シーメンス 2.1 %

その他

Page 23: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1cの値と平均血糖値の間に乖離があるとき

HbA1c値が高め HbA1c値が低め どちらにもなりうるもの

○急速に改善した糖尿病 ○急激に発症・増悪した糖尿病 ○異常ヘモグロビン症

○鉄欠乏状態 ○鉄欠乏性貧血の回復期

○溶血(赤血球寿命↓)

○失血後(赤血球生成↑)、輸血

○エリスロポエチンで治療中の

 腎性貧血○肝硬変

●種類は800種以上 ●2000~3000人に1人

ちなみに...

Hb J-Bangkok Hb Shizuoka Hb Moriguchi Hb G-Szuhu HbS、HbC Hb Niigata、Hb Himeji Hb J-Lome など

[参考]糖尿病治療ガイド2012-2013(編著者:日本糖尿病学会)

Page 24: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

HbA1cが血糖コントロールを反映しない病態は多い!

異常値が疑われる場合には・・・

原理の異なる測定法で確認

GAなどの他の血糖マーカーを測定

他の検査データ、患者背景の確認

Page 25: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

グリコアルブミン(GA)

HbA1cよりも食後血糖を反映する。

総合的には2か月の血糖状態を反映するが、2か月間でもより直近(約2週間)の血糖状態をもっとも鋭敏に反映する。 血糖が改善or悪化して1週間程度でGA値は変動する。 日本透析医学会では透析患者の血糖指標としてはGAを推奨している。 糖尿病妊婦の血糖管理指標としてHbA1cより適している。 異常ヘモグロビンや新生児糖尿病ではGAでの確認が必要。

Page 26: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

GA/HbA1c(JDS)比

• 合併症がなく血糖コントロールが安定している糖尿病患者では、この比は約3になる。3よ

りも大きい場合には食後高血糖をきたしている可能性がある。

Page 27: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

OH

OH

OH HO

HO

1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)

米、パンなど広範な食物に含有されている。 1日の経口摂取量と尿中排泄量が均衡するため、血中濃度はほ

ぼ一定。 腎糸球体で濾過され、99%再吸収される。 高血糖に伴う尿中へのグルコース排泄により、1,5-AGの再吸収が

競合阻害を受け、尿中へ喪失され、血中濃度が低下する。 血糖値上昇を鋭敏に反映する。(食後高血糖の評価に有用) 過去2、3日~1週間の血糖コントロールの指標となる。

O

OH

OH HO

HO O

1,5-AG グルコース

Page 28: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

血糖コントロール指標

1,5-AG グリコアルブミン HbA1c

反映時期 過去2、3日~1週間 過去1~2週間 過去1~2ヶ月

変化率 大 中 小

特徴

食後高血糖、血糖の日内変動を鋭敏に反映 軽症DM患者の管理に有効

食後血糖改善薬の効果判定

透析患者、糖尿病妊婦、異常Hb、新生児DM患者に有効 食後血糖を反映

DM診断基準の1つ

過去の平均血糖値を反映

影響因子 腎不全などで低値

甲状腺機能亢進症、ネフローゼ症候群などで低値

甲状腺機能低下症などで高値

赤血球寿命の変化 、異常Hb、HbFの影響を受ける

Page 29: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病腎症の検査

Page 30: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病腎症の検査

蛋白尿 GFR(アルブミン) (Ccr)

第1期 正常(腎症前期) ときに高値

第2期 正常(早期腎症) ときに高値

第3期A(顕性腎症前期)

第3期B(顕性腎症後期)

第4期 著明低下(腎不全期) (血清Cr上昇)

第5期(透析療法)

透析療法中

臨床的特徴

ほぼ正常

低下

病期

正常

微量アルブミン尿

持続性蛋白尿

持続性蛋白尿

持続性蛋白尿

糖尿病腎症の病期分類

[参考]糖尿病治療ガイド2012-2013(編著者:日本糖尿病学会)

Page 31: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

尿中アルブミン

アルブミン指数(mg/g・Cr) = 尿中アルブミン測定値(mg/L)

尿中クレアチニン測定値(mg/dL) × 100

正常アルブミン尿 <30mg/gCr (-)

微量アルブミン尿 30~299mg/gCr(第2期早期腎症) (-)~(±)

顕性蛋白尿 ≧300mg/gCr(尿蛋白持続陽性・顕性腎症) (+)~(4+)

尿試験紙

尿量の影響を補正するため

Page 32: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

糖尿病腎症の早期診断基準

1 測定対象:蛋白尿陰性か陽性(1+)の糖尿病患者

2 必須事項 尿中アルブミン値:30~299mg/gCr(随時尿)3回測定中2回以上

3 参考事項 ・尿中アルブミン排泄率:30~299mg/24hr(1日蓄尿) または、20~199μg/min(随時尿) ・尿中Ⅳ型コラーゲン値:7~8μg/gCr以上 ・腎サイズ:腎肥大

Page 33: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

病型診断のための検査

Page 34: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

病型診断のための検査

Ⅰ. 1型 膵β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏に至る

A.自己免疫性 B.特発性

Ⅱ. 2型 インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が

主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある

Ⅲ. その他の特定の機序、疾患によるもの

A.遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの B.他の疾患、条件に伴うもの

Ⅳ. 妊娠糖尿病

糖尿病の分類

GAD抗体、IA-2抗体、IAA、ICA、ZnT8抗体など

Page 35: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

病型診断のための検査

膵臓

プロインスリン

インスリン

Cペプチド

Page 36: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

インスリン抵抗性の指標

空腹時インスリン値(immunoreactive insulin;IRI)

免疫学的測定において、プロインスリンや中間産物も測定するため、IRI(immunoreactive insulin)と呼ぶ

空腹時IRI:10μU/mL以上でインスリン抵抗性疑い

15μU/mL以上でインスリン抵抗性は確実

(糖毒性でインスリン分泌能が低下している場合には、空腹時IRI 10μU/mL未満でも直ちにインスリン抵抗性は否定できない)

HOMA-R(homeostasis model assessment for insulin resistance)

・血糖値140mg/dL以下のときに使用する

HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン(μU/mL)÷405

1.6未満:正常 2.5以上:インスリン抵抗性あり

Page 37: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

インスリン分泌指数(I I):Insulinogetic Index

75gOGTTにより求められるインスリン初期分泌能の指標となる

インスリン分泌指数 = Δ血中インスリン値(30分値-0分値)(μU/mL)

Δ血糖値(30分値-0分値)(mg/dL)

糖尿病患者:0.4以下

境界型でも0.4以下のものは、糖尿病への進展率が高い

インスリン分泌能の指標

健常者:1~3程度が多い

HOMA-β(homeostasisi model assessment for βcell function)

HOMA-β

正常:40~80% インスリン分泌能の低下:25%以下

360×空腹時インスリン濃度(μU/mL)

空腹時血糖(mg/dL)-63 = (%)

Page 38: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

空腹時血中Cペプチド

プロインスリン=インスリン+Cペプチド(同じ割合)

インスリン投与時やインスリン抗体陽性時のインスリン分泌能指標として有用

0.5ng/mL以下:インスリン依存状態の可能性

24時間尿中Cペプチド排泄量

20μg/日以下:インスリン依存状態の可能性

体内で分解されず尿中に排泄されるCペプチドを測定するため、血中Cペプチドよりも正確にインスリン分泌能を反映する。

注意:測定試薬によって、プロインスリンとの交差反応の程度に差がある。

注意:尿中Cペプチドは、細菌汚染やpHの変動で低値をしめす。安定化剤の使用でアルカリ性を維持し低温蓄尿が効果がある。

インスリン分泌能の指標

1ng/mL未満:インスリン分泌能低下の可能性

30μg/日以上:インスリン非依存状態

Page 39: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

グルカゴン負荷試験 健常者:グルカゴン静注6分後に血中Cペプチドがピークとなり、基礎値から3~5ng/mL上昇する。 インスリン依存状態:グルカゴン静注6分後の血中Cペプチドが1.0ng/mL未満

Cペプチドインデックス(CPI)

CPI=空腹時Cペプチド(ng/mL)÷空腹時血糖(mg/dL)×100

0.8以下:インスリン治療が必要

1.8以上:経口血糖降下薬での治療が可能 とされることが多い。

インスリン分泌能の指標

Page 40: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

インスリン測定時の注意点

溶血の影響

プロインスリンやその中間代謝産物との交差反応

抗インスリン抗体所有者

インスリン製剤の影響

抗マウスヒト抗体(HAMA)の影響

溶血(1+)

溶血(2+)

溶血(3+)

室温(25℃)放置時間

インスリン残存率(%)

株式会社 シー・アール・シー HPより引用

Page 41: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

測定試薬により影響の受け方が異なるため、使用試薬の特性を理解する必要がある。 偽高値や偽低値が疑われる場合には、Cペプチドや血糖値など関連項目と併せて評価する必要がある。

インスリン測定時の注意点

Page 42: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

血糖コントロール目標値について

Page 43: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

血糖コントロール指標と評価

不十分 不良

6.2~6.9 6.9~7.4 7.4~8.4

未満 未満 未満

5.8~6.5 6.5~7.0 7.0~8.0

未満 未満 未満

空腹時血糖値 80~110 110~130

(mg/dL) 未満 未満

食後2時間血糖値 80~140 140~180

(mg/dL) 未満 未満

180~220

未満

HbA1c(NGSP)(%)

HbA1c(JDS)(%)

6.2未満

5.8未満

8.4以上

8.0以上

160以上

220以上

未満

指標 優 良可

不可

130~160

血糖コントロール目標は、患者の年齢および病態を考慮して、患者ごとに主治医が決定する。

HbA1c、空腹時血糖、食後2時間血糖の間には、個人差があること、日内変動が複雑なことなどから、定常的な相関は認めない。

[参考]糖尿病治療ガイド2012-2013(編著者:日本糖尿病学会)

Page 44: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

「血糖コントロール目標」の改定図 2013.06.01より運用開始

日本糖尿病学会HPより引用

Page 45: 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会 nakumurasaisyuu… · 藤田保健衛生大学病院 中村 和広 2013年8月3日(土)生物化学分析検査研究班研究会

さいごに...

HbA1c0.1%の差で一喜一憂される患者様もみ

えます。検査技師は、各検査項目の意義や測定時のピットフォール等を理解し精確な検査を行う必要があります。また療養指導時には数値の持つ科学的根拠を理解していることも重要であると考えます。

検査技師がますます糖尿病療養指導の場で活躍していくことに期待します。