2007A 期 PX ステーションの現状 - Riken2007A 期 PX ステーションの現状...

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2007A PX ステーションの現状 研究技術開発室 引間孝明 BL45XU の運用方針の変更に伴い、今期より PX ステーションではアンジュレーターの Gap 値を Gap1 = Gap2 = 18.8mmSAXS ステーション用モノクロメーターが波長 0.9Åでの利用実験を前提 に運用を行うことになった。同利用条件での PX ステーションの光学特性の評価を下記に示す。 評価測定は 2007 5 17 日に行なった。蓄積リングはマルチバンチ、Top-up 運転であり、ア ンジュレーターのギャップ値は Gap1,Gap2 ともに 18.8mmFE Slit 1.0 x 1.0mm 2 SAXS モノクロ メーターは波長 0.9Åの利用条件に設定されている。 トリクロメーターは 3rd Pair のみを利用し、波長 0.9026Åに設定し、実験架台調整を行ったうえ 実験ステーションの 2 つの 4 象限スリットを 0.2 x 0.2 mm 2 に設定し、Au L2 端(0.90259Å)での 透過 XAFS 測定によってエネルギー校正を行なった。エネルギー校正は Au L2 端での 1 点校正 のみである。図 1 にエネルギー校正後に再測定した Au L2 端の透過 XAFS の吸収曲線を示す。 Wavelength (Å) log ( I / I 0 ) Absorption near Au L2 edge (0.90259Å) 0.9 0.901 0.902 0.903 0.904 図1.Au L2 端での吸収曲線

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  • 2007A 期 PX ステーションの現状

    研究技術開発室 引間孝明

    BL45XU の運用方針の変更に伴い、今期より PX ステーションではアンジュレーターの Gap 値を

    Gap1 = Gap2 = 18.8mm、SAXS ステーション用モノクロメーターが波長 0.9Åでの利用実験を前提

    に運用を行うことになった。同利用条件での PX ステーションの光学特性の評価を下記に示す。

    評価測定は 2007 年 5 月 17 日に行なった。蓄積リングはマルチバンチ、Top-up 運転であり、ア

    ンジュレーターのギャップ値は Gap1,Gap2 ともに 18.8mm、FE Slit は 1.0 x 1.0mm2、SAXS モノクロ

    メーターは波長 0.9Åの利用条件に設定されている。

    トリクロメーターは 3rd Pair のみを利用し、波長 0.9026Åに設定し、実験架台調整を行ったうえ

    実験ステーションの 2 つの 4 象限スリットを 0.2 x 0.2 mm2 に設定し、Au の L2 端(0.90259Å)での

    透過 XAFS 測定によってエネルギー校正を行なった。エネルギー校正は Au L2 端での 1 点校正

    のみである。図 1 にエネルギー校正後に再測定した Au の L2 端の透過 XAFS の吸収曲線を示す。

    Wavelength (Å)

    log

    ( I /

    I 0 )

    Absorption near Au L2 edge (0.90259Å)

    0.9 0.901 0.902 0.903 0.904

    図1.Au の L2 端での吸収曲線

  • 図2は Au L2 端の透過 XAFS 測定時の I0(測定は IC#1)の波長依存性を示している。0.901Åか

    ら 0.904Åにかけて PX 実験ハッチでのビーム強度はほぼ一定であり、SAXS ステーションとの干渉

    を避けることも考慮し、同範囲での放射光利用が望ましいと考えられる。

    Wavelength (Å)

    Inte

    nsity

    (a.u

    .)

    0.9 0.901 0.902 0.903 0.9045000

    6000

    7000

    8000

    9000

    10000

    図2.IC#1 でのビーム強度の波長依存性

    波長 0.90259Åでの実験ハッチ内に設置されているイオンチャンバーの値はそれぞれ IC#0 =

    221nA, IC#1 = 83nA, IC#2 = 19nA であり、Si ピンフォトディテクターを用いた測定よりサンプル位置

    でのフォトンフラックスは 1.9 x 1011 photons/sec であった。サンプル位置でのフォトンフラックスとロッ

    キングカーブを表1と図3に示す。ロッキングカーブの半値幅は約 2.0 arcsec であった。diamond の

    400 面 に お け る 0.90259 Å で の Darwin 幅 は 0.95 arcsec で あ る

    (http://bl29www.spring8.or.jp/bl29xu/rock/rock.html の計算プログラムによる計算値)。参考までに

    FE slit を 0.7 x 0.7 mm2 に変更した場合、ピークトップの T31 の絶対値には 7 pulses (2.5 arcsec)の

    ずれを生じ、サンプル位置でのフォトンフラックスは FE Slit の開口面積に比例して減少した。

    FE Slit size Photon Flux at Sample Position

    1.0 x 1.0 mm2 1.9 x 1011 photons/sec

    表1.サンプル位置でのフォトンフラックス

  • Relative Theta1 (arcsec)

    Inte

    nsity

    (a.u

    .)

    Rocking Curve at 0.90259Å

    FE slit 1.0x1.0mm2

    -10 -5 0 5 100

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1

    1.2

    図3.波長 0.90259Åでの 3rd Pair のロッキングカーブ

    図4には波長 0.90259Åでのトリクロメーター下流に設置されている 3 つのスクリーンモニターの

    画像とサンプル位置での蛍光板でのビームプロファイルを示す。SMb05 はトリクロメーター下流部、

    SMb06 はミラー(擬似ベントトロイダル)下流部、SMb07 は光学ハッチ下流壁直前に設置されてい

    る。

    以上の結果より 2007A 期から PX ステーションではエネルギー校正点である波長 0.90259Åでの

    固定波長による運用を行う。

    PX ステーションには 2 種類のディテクター(Jupiter210, R-AXIS V)が装備されており、それぞれ

    のカメラ長範囲は 150mm-300mm, 200mm-900mm である。両ディテクターでの最大分解能は edge

    で 1.50Å, 1.18Åとなる。

  • 図4.波長 0.90259Åでのビームプロファイル

    以上

    SMb05 SMb06

    SMb07 Sample Position

    100mm