第1章世界と日本の貿易 - ジェトロ(日本貿易振興 …2019年7月30日 日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部 「ジェトロ世界貿易投資報告」2019年版
2003 年3月 日本貿易振興会 海外調査部 - JETRO...2003 年3 月 日本貿易振興会...
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アフリカ主要国の農水産業・食品加工分野に
おける対外ビジネス有望産業
(アフリカ食品ガイドブック)
ケニア編
2003 年3月
日本貿易振興会
海外調査部
序 文 農水産業はアフリカ地域の GDPの3割、就業機会の 6割以上を生み出す、域内最大
の産業部門であり、その開発、振興は地域全体の経済、社会的発展のカギを握る。対外
貿易面でも、アフリカ地域の輸出の 4割が農水産物・同加工品で占められており、偏在する鉱物・エネルギー資源と比較して、当該産品は地域横断的な主力輸出品となってい
る。 農水産業での生産性・付加価値向上と商品多角化、輸出促進は、域内雇用機会の創出
や外貨収入の増加、輸入代替の促進など多大な経済効果をもたらす。このためアフリカ
各国は、当該産業の育成と外国市場へのアプローチ強化を新たな中長期地域開発戦略
NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)の中でも重点課題の一つに盛り込んでいる。一方、近年では域内の政治、経済的安定が着実に広がるなか、米国やアジ
ア系企業などによる当該分野への新規参入の動きもみられ、欧州系企業の独壇場であっ
た過去のイメージも徐々に変化しつつある。 本報告書は、本会アフリカ域内ネットワークを駆使し、アフリカ域内主要 12カ国の
農水産業および同加工品分野において、近年、生産・輸出、外資参入、政府・公的機関
の育成支援が強化されている品目を抽出し、生産・流通構造、主要市場、資源量、品質、
生産・技術供与主体、成長潜在性・課題など諸要素を網羅的に調査、「アフリカ食品ガ
イドブック」の形に取りまとめたものである。本書が我が国企業にとり新たな対アフリ
カ・ビジネス機会(輸入品発掘、各国市場の開拓、開発輸入等)の端緒となり、また
NEPADの理念を側面的に支援するものとなることを祈念する。
2003年 3月
日本貿易振興会
海外調査部
中東アフリカ課
121
ケニアの農水産業・食品産業
(1 米ドル= 79.53 ケニア・シリング <Ksh>。2003 年2月時点)
目 次
第1部 ケニアにおける主要農産品・食品加工分野の概況 .......................................... 122
(1)農産品・食品加工分野の主要産品および生産構造・規模 ................................ 122
(2)当該分野の雇用創出規模(生産、加工、流通その他) ................................... 130
(3)当該分野の国内・海外販売(輸出)実績および販売(輸出)先、流通ルート . 132
(4)当該分野の主要生産者(企業)および外資進出状況 ....................................... 139
(5)当該分野の政府(および生産者団体)の管理・振興施策 ................................ 147
第2部 対外ビジネス有望産品の生産・流通実態と潜在性 .......................................... 148
(1)対象産品の抽出とその背景 ............................................................................. 148
(2)対象産品の生産・輸出動向と近年の変化・推移 .............................................. 148
(3)競争力 ............................................................................................................ 149
(4)国際協定 ......................................................................................................... 150
(5)主要企業と外資進出状況 ................................................................................ 151
(6)今後の成長潜在性と課題 ................................................................................ 151
第3部 参考情報 ......................................................................................................... 152
(1)基礎的情報 ..................................................................................................... 152
(2)参考写真 ......................................................................................................... 153
122
第1部 ケニアにおける主要農産品・食品加工分野の概況
(1)農産品・食品加工分野の主要産品および生産構造・規模
表-1から主要農産品・加工食品における輸出実績を見ると、紅茶、園芸作物、
コーヒーが上位を占めている。紅茶および園芸作物は、 96年から 2000年の5年間に
輸出額が増加傾向にあるが、コーヒーは国際価格の低迷とこれに伴う生産意欲の低
下により、 96年から 2000年の5年間に輸出額が減少傾向を示している。また、表-
2の生産額で見た場合においても紅茶、園芸作物、コーヒーは上位を占めている。
そこで、生産額が大きく輸出実績があり過去5年間に輸出額が増加している紅茶と
園芸作物、そして過去5年間で輸出額自体減少しているものの未だ主要輸出産品で
あるコーヒーを調査対象として取り上げる。特に、園芸作物については、多様な品
種および加工品の存在に加え、主な輸出先であるEUの衛生基準への適合や包装技
術の向上に努めていることから、有望産品の発掘が期待される。
表-1 ケニアの主要農産品・加工食品輸出額(抜粋)
単位:百万 Ksh
1996 1997 1998 1999 2000
紅茶 22,704.6 24,125.9 32,970.7 32,787.7 35,186.9
園芸作物 7,700.0 8,700.0 9,729.0 14,200.0 13,900.0
コーヒー 16,427.2 16,856.0 12,875.0 11.978.3 11,706.9
除虫菊抽出物 1,559.2 1,371.0 715.8 656.3 703.8
小麦 1,028.9 837.7 970.9 423.4 200.6
メイズ 2,000.3 55.6 129.7 357.2 0.04
食用動物生体 31 29 26 30 20
食肉 、肉 調整 品
等
- 20 28 36 41
ベーコン 11 57 46 28 95
381 116 94 62 8
バター及びギー 119 39 23 6 5
3,293 3,076 2,291 2,267 2,953
3,852 2,620 2,778 2,657 2,540
動植物油脂 1,975 2,197 2,396 2,096 1,204
飲料及びたばこ 2,719 2,444 2,286 1,827 2,332
注)2000年は暫定値
出所:STATISTICAL ABSTRACT 2001;Central Bureau of Statistics, Mistry
of Finance and Planning
123
表-2 ケニアの主要農産品・加工食品生産額(抜粋)
単位:百万 Ksh
1996 1997 1998 1999 2000
紅茶 20,336.0 23,636.0 39,138.0 31,087.6 35,969.8
コーヒー 14,358.0 16,546.0 13,198.0 10,050.0 11,282.0
園芸作物 37,561 32,589 31,246 38,263 45,796
除虫菊 334.0 322.0 350.0 405.8 729.3
小麦 2,114.0 2,198.0 2,986.0 1,006.0 1,132.9
メイズ 3,118.0 2,809.2 2,800.0 3,098.0 2,915.4
さとうきび 7,126.0 6,644.0 7,968.0 7,639.4 7,942.2
牛 7,261,80 8,714.60 8,878.80 8,886.40 8,039.84
羊、山羊等 1,003.60 1,003.60 1,022.20 1,090.80 1,395.04
豚 317.40 452.00 394.60 434.20 378.40
鶏、鶏卵 1,384.00 1,344.00 1,400.00 1,431.40 1,539.97
乳製品 3,863.80 2,862.40 1,946.60 2,693.60 2,051.20
淡水魚 6,320 4,336 6,495 7,436 7,685
海水魚 210 194 172 204 186
甲殻類 17 20 18 6 3
肉及び乳製品 1,910 2,074 2,412 2,776 3,036
野菜、魚、油、油脂 1,896 2,344 3,069 3,925 5,059
穀物製粉製品 1,294 1,458 1,744 2,115 2,267
パン類製品 468 539 679 806 914
5,763 6,428 7,925 11,043 13,471
飲料及びたばこ 6,155 7,094 9,004 10,611 11,819
注)2000年は暫定値
出所:STATISTICAL ABSTRACT 2001;Central Bureau of Statistics, Mistry
of Finance and Planning
①コーヒー
元々、アデンから 1893年に導入されたケニアのコーヒーは、アラビカ種が主な栽
培種となっている。ハイランド(標高 1,500~2,100m)の火山灰土で栽培されている
ため、マイルドで高品質となっている。主要栽培地域はケニア山麓からナイロビへと
南に伸びており、エルゴン山麓(ウガンダとケニアの国境近く)にも狭い地域だがコ
ーヒー栽培地域がある。
コーヒーは、毎年約5万トンから7万トン(表-3)がケニアコーヒー委員会に持
ち込まれている。生産量が 99/2000年度(年度:4月から翌年3月)に 47.9%と急
激に増加したが、これは 98/99年度にとれたコーヒーの価格が一時的に上昇したこ
とによる生産意欲の増大およびコーヒー生産性が改善されたためである。このとき生
産量の増加にも関わらずコーヒー輸出による収入は国際価格の下落により減少した。
124
コーヒー農家は小規模農家(協同組合を構成)と大規模農家(エステート)の2つ
のカテゴリーに分類される。大規模農家は、コーヒー農園として 1,000ヘクタール以
上の面積を持つ農家である。ケニアのコーヒー生産において、小規模農家は約 60%の
生産量(表-3)を持ち、栽培面積では約 75%(表-4)を保有する。大規模農家は
小規模農家と比べ、運営管理がしっかりしていることから表-5に見られるように生
産性が高い。表-6より生産額は毎年約 100億Ksh以上である。
表-3 コーヒーの生産量 単位:千t
小規模農家 大規模農家 総生産量
96/97 38.3 29.7 68.0
97/98 32.1 21.3 53.4
98/99 39.4 28.7 68.1
99/00 62.2 38.5 100.7
00/01 24.8 26.9 51.7
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
表-4 コーヒーの栽培面積 単位;ha
小規模農家 大規模農家 総面積
96/97 122.7 38.4 161.1
97/98 122.6 39.7 162.3
98/99 128.0 42.0 170.0
99/00 128.0 42.0 170.0
00/01 128.0 42.0 170.0
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
125
表-5 コーヒーの単位面積当たり生産量
単位;kg/h
小規模農家 大規模農家
96/97 312.0 774.0
97/98 261.8 536.5
98/99 308.0 683.0
99/00 485.9 916.7
00/01 193.8 640.5
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
表-6 コーヒーの生産額
年 生産額(百万Ksh)
1997 16,546.0
1998 13,198.0
1999 10,050.0
2000 11,282.0
2001 * 6,424.2
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
②紅茶
紅茶は“ Camellia sinensis”の新芽および若葉から作られる。主に中国、アッサ
ム、カンボジア種があるが、この中でアッサム種が最もケニアに適しており、多く栽
培されている。この種は木が6mから 18mまで成長するが、実際には商業上および作
業の利便性から木の高さは1m未満にそろえられる。
紅茶の収穫過程は、若葉と新芽の人力によるつみ取りから始まる。つみ取り作業の
機械化は難しい。つみ取り作業のあと工場での加工作業となる。つみ取った葉っぱ約
4.5kgから1kgの紅茶ができる。
ケニアの主なお茶の木の生育地帯は年間降雨量 1,200~1,400mmの間で、海抜 1,500
~2,700mの大地溝帯の両側にあるハイランド地方(特に「ケリチョー」は広大な茶
畑が広がることで有名)である。
ケニアは赤道直下に位置するため適度な日照時間があり、特に海抜 1,500~2,000メ
ートル周辺は温暖で気温の日格差も大きく紅茶の生産に適している。生産は1年中行
われているが、3月から6月および 10月から 12月にピークがある。これはそれぞれ
ケニアの大雨期および小雨期の時期に当たる。
紅茶もコーヒー同様、その生産の担い手は小規模農家と大規模農家に分かれる。表
126
-7に見られるように、生産量は小規模農家の合計が大規模農家のそれを上回ってい
る。小規模農家と大規模農家の生産量は、過去5年間で同様の増減を繰り返している
が、これは天候不良が小規模農家と大規模農家のいずれにも影響を与えているためで
ある。 99年および 2000年の茶生産量の減少は干ばつによって引き起こされたもので
ある。また、いくつかの茶生育地域では 2000年の初期に霜害の影響もあった。表-
8より、栽培面積でも、小規模農家の合計は大規模農家のそれを上回っているが、大
規模農家は過去5年間で着実に栽培面積を増加させている。表-9より、生産性はコ
ーヒー同様に大規模農家の方が高い。これは、小規模農家の多くが紅茶以外にも様々
な穀物を栽培しているため、栽培効率が悪くなっていることによる。2001年の単
位面積あたりでの生産量増加は、改良農法、道路修繕、効果的な投入材の使用によっ
ている。また、 2000年に KTDA(ケニア茶開発局)の指揮下を離れたことも、農家に
自発的な組織化に向けた意識を高めさせ、生産性向上に結びついている。
表-10からは、 2001年の総生産額は 97年と比べて約 77%増加したことがわかる。
一方で、表-7で総生産量が同時期約 33%しか増加していないことから、紅茶価格が
上昇していることが伺える。コーヒーの国際価格が下落していることを考えると、農
家においてコーヒー栽培から紅茶栽培へシフトすることが予想される。
表-7 紅茶の生産量 単位;千t
小規模農家 大規模農家 総生産量
1997 129.71 91.01 220.72
1998 175.63 118.54 294.17
1999 153.85 94.85 248.70
2000 145.55 90.74 236.29
2001 * 181.72 112.90 294.62
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
表-8 紅茶の栽培面積 単位;千ha
小規模農家 大規模農家 総面積
1997 84.66 32.69 117.35
1998 85.56 33.09 118.65
1999 90.32 33.88 124.20
2000 88.36 34.39 122.75
2001 * 88.36 40.81 129.17
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
* :暫定値
127
表-9 紅茶の単位面積当たり生産量 単位;kg/ha
小規模農家 大規模農家
1997 1,774 2,866
1998 2,246 3,699
1999 1,915 2,946
2000 1,793 2,790
2001 * 2,147 3,453
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
表-10 紅茶の生産額
生産額(百万Ksh)
1997 20,336.0
1998 23,636.0
1999 39,138.0
2000 31,087.6
2001 * 35,969.8
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
* :暫定値
③園芸作物
園芸作物部門は、ケニア経済の中でも近年最も急速な成長を遂げている部門である。
ここ 20年間にケニアの園芸作物は、特にハイランドおよびコースト地方において主要
な産業となっている。それはケニアの主要外貨獲得品だったコーヒーをしのぐほどに
発展した。国内消費用に加えて、欧州市場にも大量に輸出されている。この部門の発
展については、これまで政府の統制を受けなかったことが理由の一つに上げられてい
る。
またケニアで生産される園芸作物は、その種類の豊富さが魅力である世界各国を原
産とする様々な野菜や果物が生産されている。
園芸作物は、他の換金作物よりも生産地が分散している。主な生産地はセントラル
州のケニア山付近とイースタン州およびセントラル州のリフトバレーである。コース
ト、ウエスタンおよびイースタンの各州では小規模のマンゴー、アジア地域で産出さ
れる各種野菜、フレンチビーンズの生産地が主に広がっている。
平均1 haの栽培面積を持つ約 25万戸の小規模農家が、園芸作物の生産に関与して
いる。また、約 100戸の大規模園芸作物農家が存在する。新鮮果物および野菜の生産
量の約 60%を小規模農家が担っており、大規模農家は残りの 40%を占める。また、
切り花部門は大規模農家が独占している。
一般的に園芸作物の生産には、国際市場によって要求される品質や生産性の高さを
確保するため、質の高い海外からの輸入資材(農業機械、肥料、農薬等)が利用され
128
ている。
96年には、生産量は 2,380万トンで生産額では 376億Kshであった(表-11)。 20
00年には、生産量が 3,160万トンで生産額 458億Kshであった。この間、生産量では 32.
8%、生産額では 21.8%の増加を示している。
表-11 園芸作物生産傾向
年 種類 生産面積(千ha) 生産量(千t) 生産額(百万Ksh)
1996 果物 95 1,397 23,699
野菜 81 936 9,315
ハーブ&スパイス 2 7 181
切り花 1 39 4,366
合計 179 2,379 37,561
1997 果物 129 1,713 12,718
野菜 88 988 12,281
ハーブ&スパイス 1 6 147
切り花 1 40 7,443
合計 219 2,747 32,589
1998 果物 135 2,141 14,367
野菜 91 1,043 11,934
ハーブ&スパイス 1 5 88
切り花 1 34 4,857
合計 228 3,223 31,246
1999 果物 136 2,158 18,462
野菜 97 1,128 12,259
ハーブ&スパイス 1 6 130
切り花 2 41 7,412
合計 236 3,333 38,263
2000 果物 136 2,063 25,246
野菜 88 1,048 13,123
ハーブ&スパイス 1 5 200
切り花 2 42 7,227
合計 227 3,158 45,796
出所:National Development Plan 2002-2008
園芸作物についてはまた、輸出用の新たな作物の開発が行われている。例えば、果
物ではリンゴ、なし、桃、プラム、杏、いちごなどで、ケニアはこれらの果物を生産
するのに都合のよい気候とその他の条件が揃っている。ぶどうについては食卓用ぶど
う、ワイン用、ほしぶどうといった用途向けに栽培されているが、国内ワイン産業は
まだ未成熟である。
129
2000年には、園芸作物部門は雨不足および劣悪な道路事情のために生産が減少し
た(表-11)。しかし、 2001年には回復することが予想される。
園芸作物の総栽培面積 27万6,630ヘクタールのうち、切り花はその 0.59%の約 1,650
ヘクタールしか占めていないが、園芸作物部門の中で切り花部門は輸出品の花形的存
在である。 70年代、切り花の輸出は主にカーネーションや菊であった。これらの種類
の花は、やがてバラが切り花の最大品目として台頭してからは減少していった。切り
花の輸出が成功したのは、大規模農家が新たな栽培資材を利用して高品質のものを生
産したためである。バラ生産に関わるノウハウの多くは、イスラエルおよびオランダ
系企業の技術指導や生産管理指導によって行われている。
ケニアの主な切り花栽培地域は、ナイロビ、リフトバレー、セントラル、イースタ
ンの各州である。この中でナイバシャ湖を中心としたリフトバレー州が最大の産地で
ある。輸出用の主な品種はバラ、カーネーション、スターチ、アルストロメリアス、
ユリ、ランなどである。小規模農家は大規模農家よりも切り花生産への参入が遅れた。
このため、生産の多くを担うのは大規模農家である。ケニアでの一般的な花の栽培時
期は9月から4月までである。そして、ケニアでの花卉需要は主に冬に生じる。これ
は欧州諸国の生産が低下する時期に当たり、この需要の変化や品質の違いのためにオ
ークションでの価格が異なる。
花卉は、一般的に茎の長さが 40cm以下であることが品質を決める最低条件になる。
しかし、これがあまり短すぎても品質低下につながり、反対に 100cm以上だと長すぎ
てニーズがなくなる。
ケニアは、多様な園芸作物を生産・輸出しているが、これまでその大部分が未加工
品であった。近年は、これらに加工を施して付加価値をつける努力がなされている。
また、生鮮品は特に消費地までの輸送速度が求められるが、航空輸送力が限られてい
るためその輸出は限定的となっている。輸送能力の限界は、傷みやすい園芸作物の輸
出拡大にとって障壁となっている。このため、保存性を高めて販売・輸出することを
始めている。
現在、加工園芸作物の主なものには野菜・果物の缶詰やジュースなどが含まれてい
る(表-12)。例えば、パッションフルーツやパイナップルのような果物はジュー
スや缶詰に加工されて販売されている。
表-12 園芸作物加工品生産額(抜粋)
単位:百万Ksh
1997 1998 1999 2000 2001
ジャム及びマーマレード 328 356 356 43 263
果物・野菜ジュース 19 32 21 51 20
果汁飲料 41 169 165 341 232
果物缶詰 1,925 3,034 2,903 3,435 2,870
野菜缶詰 2,321 3,596 3,450 3,878 3,393
出所: Central Bureau of Statistics, Ministry of Finance and Planning
130
(2)当該分野の雇用創出規模(生産、加工、流通その他)
ケニアにおける農産品・食品加工分野での雇用創出規模は、表-13が示すように、
賃金雇用されている人のうち農林業全体で約 31万人、製造業で約8万人、商業で約4
万人となっており、全賃金雇用者 168万人の約 26%に及ぶ。農産品・食品加工分野の
賃金雇用者数は、いずれの業態においても概ね増加傾向にある。農林業では、農産品・
食品加工分野で賃金雇用されている人の数は約 67%で、中でもコーヒー農園及び紅茶
農園での雇用者数は農林業全体の約 45%にのぼる。製造業では、農産品・食品加工分
野で賃金雇用されている人の数は製造業全体の約 37%、商業では、約 26%と、この
分野での雇用創出割合は流通の末端にいくほど縮小していく。これは、コーヒー、紅
茶といった主要農産品が加工を施さない1次産品の形態で海外に輸出されるためと見
られる。
表-13 ケニアの産業別賃金雇用者数(抜粋)
単位:人
1996 1997 1998 1999 2000
農林業 302,940 305,558 308,815 311,257 310,987
コーヒー農園 59,101 59,874 59,285 60,319 60,700
紅茶農園 76,575 77,024 79,571 79,960 79,562
砂糖農園 26,457 28,047 29,307 29,361 28,961
混合農園 36,883 37,105 37,960 38,406 38,383
海洋漁業 81 105 163 167 171
内水面漁業 224 239 245 244 241
製造業 210,423 214,493 216,889 219,604 217,896
うち、農産品・
食品加工分野
と殺、精肉等
70,576
4,114
72,822
4,147
74,792
4,102
80,390
4,124
80,544
4,070
乳製品製造 4,348 4,384 4,323 4,434 4,437
果物・野菜調 4,260 4,293 4,279 4,852 5,136
理及び缶詰
魚加工、調理 199 192 190 184 174
及び缶詰
動 植 物 油 及 び
油脂製造
1,916 2,011 2,084 2,100 2,107
穀物製粉 5,577 5,812 5,847 6,151 6,178
パ ン 類 製 品 製
造
2,694 2,744 2,776 2,800 2,769
砂 糖 工 場 及 び
精製
13,008 13,180 13,635 16,294 16,263
131
ココア,チョコレート及
び 砂 糖 菓 子
類製造
907 910 912 916 904
そ の 他 食 品 製
造
24,524 25,972 27,368 29,326 29,619
スピリッツ,ビール及 6,631 6,725 6,790 7,548 6,382
びたばこ
飲 料 水 及 び 炭
酸水産業
2,398 2,452 2,486 1,661 2,505
商業 143,177 148,204 150,727 153,629 155,374
うち、農産品・
食品加工分野35,215 36,298 37,698 39,003 40,012
商業(卸し)
食品、飲み物
4,584 4,681 4,743 4,794 4,808
及 び た ば
こ
農産品 18,747 19,174 20,046 20,876 21,547
商業(小売り)
食 品 、 飲 み
物 、 及 び
たばこ
1,239 1,281 1,420 1,558 1,688
食肉販売 714 774 871 968 1,063
レストラン,カフェ及 9,931 10,388 10,618 10,807 10,906
び飲食店
合計 1,618,841 1,647,434 1,664,904 1,673,550 1,676,755
出所:STATISTICAL ABSTRACT 2001;Central Bureau of Statistics、Ministry
of Finance and Planning
1の(1)で調査対象として限定したコーヒー、紅茶、園芸作物について聞き取り
調査をした結果などによると、雇用状態は以下のとおりであった。
①コーヒー
コーヒー産業では、約 25万戸の小規模農家と 45戸の大規模農家が存在する。
小規模農家は家族経営が主体で、約 63万人の雇用があるとされている。一方、大
規模農家では約6万人が雇用されている。加工、流通部門については確認できて
いない。
②紅茶
小規模農家数は 31万1,875戸で、そのうちニャヨ紅茶区域開発組合は、 5,700人
の従業員とその家族2万 4,000人を養っている。
132
大規模農家では約8万人が雇用されている。大規模農家中ケニア最大のブルッ
クボンド・ケニア社はケリチョーだけで1万 5,000人の雇用を生み出している。
③園芸作物
園芸作物部門のうち切り花部門の労働人口は直接的には4万人から5万人の間
といわれ、関連業務従事者まで入れると6万人から7万人に達すると言われてい
る。切り花部門に従事する者の 65%から 75%が女性である。
(3)当該分野の国内・海外販売(輸出)実績および販売(輸出)先、流通ルート
①コーヒー
表-3および表-14から、ケニアで生産されたコーヒーはその大部分は輸出
に回されている。表-14に示されているように、コーヒーの消費地かつ集散地
であるドイツへの輸出が数量で2万 6,278トン、金額で 43億6,270万ケニア・シリ
ングと最大で、続く英国を大きく引き離している。
表-14 コーヒーの主な輸出相手先別輸出量及び輸出額(1999)
輸出量(t) 輸出額(百万Ksh)
ドイツ 26,278.3 4,362.7
英国 8,274.6 1,663.3
スウェーデン 5,589.8 1,185.6
オランダ 3,946.5 589.6
ベルギー 3,702.1 616.9
米国 3,388.9 700.4
サウジアラビア 2,760.0 324.9
フィンランド 2,391.1 459.7
スイス 1,259.8 241.7
日本 1,079.5 162.7
ヨルダン 1,021.5 121.9
その他 9,945.5 1,545.8
出所:Ministry of Finance and Planning
Central Bureau of Statistics
ケニアにおいて農家がコーヒー豆の売買を行うには、ケニア・コーヒー委員会のオ
ークションにかけなければならない。例えば、小規模農家が栽培したコーヒーの実を
協同組合に運ぶと、協同組合はそれを精製のためコーヒー豆精製所に運び、精製され
たコーヒー豆はコーヒー委員会に運ばれることになる。大農園においても、精製され
た豆は同様にコーヒー委員会に持ち込まれる。ケニア・コーヒー委員会に運ばれたコ
ーヒーは、毎週火曜日にナイロビでケニア・コーヒー委員会が主催するオークション
にかけられ、事業ライセンスを取得している卸業者に販売される(表-15)。
133
ケニア・コーヒー委員会( Coffee Board of Kenya)
71年にコーヒー委員会、コーヒー販売委員会およびコーヒー開発庁が統合され発足
した。構成メンバーは、協同組合、農民の代表、農務省、財務省および大統領府の代
表からなる。委員会の機能は、コーヒー産業の振興促進、コーヒーの市場販売操作、
コーヒ-の加工、コーヒー生産者・加工業者の許認可・管理、コーヒー産業に関する
調査研究の実施である。コーヒー法により、生産者はコーヒー委員会に対してのみコ
ーヒーを出荷でき、またコーヒーの栽培、販売あるいは取引に従事する個人や団体は、
コーヒー委員会が発行するライセンスの取得が求められる。
コーヒーの等級は豆の大きさに基づき次のような8つの等級に分かれている。
PB チェリーのままのもの
AA 大豆( 7.20mm)
A 6.80mm
B 6.20mm
C Bより小さい豆
D 最も大きな豆
TT 明るい茶色をした豆
T Cより小さくTTより明るい色の豆
なお、グレードA及びBはABとして混合されオークションかけられる。
また、国際市場に加え、今後国内市場が発展すればコーヒー部門にとってプラスに
働くこととなる。例えば、ケニアのJAVAコーヒーハウスは品質の高いケニアコー
ヒーを提供しており、人気も高い。もう一つの市場へのアプローチは、ケニア・コー
ヒー委員会が最上級品として選別したケニアコーヒーハウスブレンドである。このブ
レンドは、国内の様々な生産地域( District)から取れた豆からできている。ケニア
コーヒーハウスはまた、ケニアを訪れる観光客を対象に配達サービス( 10Kg単位)
を提供している。
134
図-1 コーヒーの流通経路
Kenya Planters
Cooperative Union
または民間工場
小規模農家
協同組合
(果肉除去)
大規模農家
(エステー
ト)
製豆所
ケニア・コーヒー委員会
オークション
(ナイロビ・コーヒー取引所)
ディーラー
国内市場 国外市場
自家製豆の場合
135
②紅茶
表-15より、紅茶の輸出量は干ばつのため 2000年に減少したが、 2001年には
再び輸出量は回復した。ただ、輸出額でみると 2000年には減少した輸出量とは逆
に増加し、輸出量の回復した 2001年には逆に減少した。今後ともケニアは紅茶の
生産・輸出において世界をリードし続けるとみられる。表-17より、輸出相手先
国は1位英国、2位パキスタン、3位エジプトで、この3カ国で輸出量全体の約 70%
を占め、輸出額でも約 74%を占めている。
表-15 紅茶の輸出量及び輸出額
輸出量(t) 輸出額(百万Ksh)
1997 199,224 24,126
1998 263,771 32,971
1999 260,177 33,065
2000* 217,282 35,150
2001* 270, 473 34,485
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
表-16 紅茶の主な輸出相手先、輸出量及び輸出額(1999)
輸出量(t) 輸出額(百万Ksh)
英国 68,732.8 9,029.6
パキスタン 65,720.7 8,875.7
エジプト 49,556.6 6,601.6
スーダン 9,495.1 991.3
アフガニスタン 8,995.6 1,322.5
イエメン 6,836.0 1,062.3
UAE 6,760.6 1,012.7
米国 3,993.3 565.0
イラン 3,161.4 450.4
アイルランド 2,998.7 453.3
ソマリア 2,813.6 208.6
ポーランド 2,417.0 345.8
その他 13,815.2 1,817.1
出所:Ministry of Finance and Planning
Central Bureau of Statistics
136
図-2 紅茶の流通経路
紅茶のオークションは、祭日を除く毎週月曜日に東アフリカ紅茶貿易協会(EAT
TA; East African Tea Trade Association)の監督のもとモンバサで行われて
いる。EATTAはルワンダ、ウガンダ、マダガスカル、ケニア、タンザニア、ブル
ンジ、マラウイ、ジンバブエ、ザンビア、コンゴ(旧ザイール)の国々の生産者、ブ
ローカーおよび買い取り人から組織されている。協会の設立目的は、アフリカで紅茶
貿易を促進すること、適切な市場を保証すること、統計などの産業情報を収集・発信
することなどである。東アフリカでの紅茶の取引は唯一、EATTAのメンバー間で
のみ許可されている。
ケニアの紅茶産業の中でも成長著しい包装業者(パッカー)は、国内市場および輸
出市場向け商品の包装を手がける。現在、国内における主要包装業者はケリチョ-に
本拠を置くケニア紅茶包装会社( Ketepa)で、KTDA(ケニア茶開発局)および
KTGA(ケニア茶栽培者協会)が運営する同社は紅茶の卸売業者でもある。
③園芸作物
表-17より、生鮮園芸作物は概ね毎年輸出量及び輸出額を伸ばしている。 2001
年には輸出量が前年に比べ4%減少したが、輸出額は前年比 69%増加している。これ
は、品種の多様化、包装技術の向上、品質の向上による。表-18から輸出相手先国
小規模農家 エステート
緑葉集荷センター
KTDA 工場 民間工場
オークション
(モンバサ)
輸出業者 包装業者 国内市場
137
をみると、切り花では輸出量でオランダが1位となっている。果物ではフランスが1
位だが、 99年にはアラブ首長国連邦への輸出が拡大し、欧州諸国を差し置いて2位と
なっている。また、6位にもサウジアラビアが入っており、今後、ケニアの園芸作物
の輸出先として拡大する可能性を秘めている。野菜では、英国が1位、フランスが2
位となっている。
表-17 生鮮園芸作物の輸出量及び輸出額
輸出量(千t) 輸出額(10億Ksh)
1997 84.2 8.7
1998 78.4 9.7
1999 99.0 14.2
2000 99.2 13.9
2001* 95.2 23.5
出所:ECONOMIC SURVEY 2002
*:暫定値
園芸作物の輸出を容易にするため、民間輸出業者や政府系機関によってジョモケニ
アッタ国際空港や地方に冷蔵施設が作られた。また、輸出市場のために新たな包装方
法が採用されている。輸出業者は現在、再包装を避けて直接スーパーマーケットに持
ち込めるよう、欧州向けにいんげん豆やいちごなどの作物を包装して出荷している。
多くの園芸作物の輸出用包装は、国際市場の要求する基準に適合するよう改良された。
園芸作物の輸送は、切り花や野菜では積載量に限界のある空路による輸送が利用さ
れているが、バナナ、アボガド、マンゴー、パイナップルのような商品を輸出する場
合には主に海路が利用されている。
ケニア産花卉の市場はオランダ、英国、ドイツ、南アと多様である(表-18)。
例えば、英国市場では同種でも様々な色の品揃えが求められる。赤バラは常に人気が
ある一方で、桃色やクリーム色のバラは結婚シーズンに茎の長さが 50~70cmのもの
が求められる。ケニア産花卉はイスラエル、ジンバブエ、モロッコ、エクアドルの花
卉と競合している。
近年、オランダでのオークションとは別に、直接スーパーマーケットのような小売
業者に販売するケースが増加している。これは価格の安定が保証される一方で、包装
に関しては高い品質基準を要求される。ケニア国内で欧州のスーパーマーケット向け
に花を包装する利点としては、再包装による花へのダメージを減少させられることが
挙げられる。
138
表-18 園芸作物の輸出相手国別輸出量
単位:t
作物 国名 1998 1999
切り花 オランダ 19,660 25,233
英国 4,707 7,170
ドイツ 2,836 2,207
南アフリカ 380 508
スイス 566 491
スエーデン 266 358
フランス 331 302
イタリア 168 119
その他 1,307 604
合計 30,221 36,992
果物 フランス 2,207 3,976
アラブ首長国連邦 - 2,229
オランダ 3,139 1,985
スイス 113 1,738
英国 813 1,667
サウジアラビア 519 675
ドイツ 726 509
スエーデン 5 190
その他 3,830 2,626
合計 11,352 15,595
野菜 英国 19,365 24,391
フランス 9,385 10,932
オランダ 1,463 3,374
ドイツ 1,513 1,860
ベルギー 1,714 1,642
スイス 179 266
イタリア 139 134
スエーデン 48 95
その他 12,379 3,683
合計 36,800 46,377
出所:HORTICULURAL CROPS DEVELOPMENT AUTHORITY
139
(4)当該分野の主要生産者(企業)および外資進出状況
①コーヒー
ケニアのナイロビで開催されるオークションには、 C.Dorman Ltd.、 IBERO(KEN
YA)Ltd.、TAYLOR WINCH COFFE Ltd.といった国際的なディーラーが参加してお
り(下記の「輸出ライセンス取得企業」と「ロースターライセンス取得企業」を参照)、
ニエリ地域のコーヒー農家は、 2002年2月にスターバックスコーヒーおよびC .ドー
ルマン社から「 2001年の最高値のコーヒー豆を生産した」として表彰されている。
コーヒー輸出ライセンス取得企業(2001年9月10日現在)
企業名 カテゴリー/ライセンス番号
AFRICAN COFFEE CO.LTD A.3066
AFRICOFF TRADING CO.LTD A.3067
ALANWOOD LIMITED A.3068
ALCAFFE LIMITED A.3072
AL RAHIL TRADING CO.LTD
ARISTOCRATS8 COFFEE&TEA A.3136
EXPORTERS LTD A.3127
BETCO COFFEE CO.LTD A.3140
BICO LIMITED A.3073
C.DORMAN LTD A.3075
COFFTEA AGENCIES LTD A.3137
CEJO INVESTMENTS LTD A.3129
CENTRAL IMPEX
ENTERPRISES LTD A.3074
CETCO LIMITED A.3076
COFFEE EXPORTERS(K)LTD A.3077
CONNECTIONS JOINT LTD A.3142
DEWJI COFFEE WASHING LTD A.3078
DIAMOND COFFEE CO.LTD A.3079
ET-CETERA LTD A.3138
ESCO KENYA LTD A.3080
FRAMWA ENTERPRISES LTD A.3130
FRANATO COFFEE LTD A.3081
GOLD COFFEE LTD A.3082
GOLDROCK INTERN.
ENTERP.CO.(k)LTD A.3143
GOURMET COFFEE LTD A.3083
GRANAKA CO.LTD A.3084
140
GREAT LAKES
TEA&COFFEE(k)LTD A.3141
GREEN COFFEE LTD A.3085
HANS SICKMULLER(k)LTD A.3086
INLAND COFEE CO.LTD A.3128
IBERO(KENYA)LTD A.3087
JENEM COFFEE LTD A.3088
JOSRA COFFEE CO.LTD A.3089
JUJA COFFEE EPORTERS LTD A.3131
KAGERA LIMITED A.3124
KENYA COFFEE AND
PRODUCE LTD A.3134
KENYA NUT CO.LTD A.3090
KIAMBU DAIRY-PHYRETHRUM
CO-OP UNION A.3091
KIRINYAGA DIST.CO-OP UNION A.3133
KWACHA LIMITED A.3092
LIJUKA INVESTMENTS A.3093
LOKI ENTERPRISES LTD A.3094
MALDE EXPORT IMPORT LTD A.3095
MBARAKI PORT WAREHOUSES
(K)LTD A.3096
MEHISA ENTERPRISES LTD A.3097
MERALI DEWJI &SONS LTD A.3098
MOMBASA COFFEE LIMITED A.3099
MOMBASA PACKERS LTD A.3100
MONACO COFFEE INTERN.LTD A.3126
MOUNT KENYA COFFEE LTD A.3101
MUMBI COFFEE LTD A.3135
MWANGI COFFEE EXPORTERS LTDA.3102
M.A.PANDIT&CO.LTD A.3103
M.A.PANJU&BROTHERS LTD A.3104
NAIROBI JAVA HOUSE LTD A.3105
ORLANDO AGENCIES LTD A.3106
OSEIBO TRADING CO.LTD A.3107
PATI LIMITED A.3108
RAKI INVESTMENT LTD A.3109
RASHID MOLEDINA
&CO.(MSA)LTD A.3110
REJITEK COFFEE CO.LTD SUSPENDED
141
RETNO COFFEE CO.LTD A.3112
RIDGEWAYS COFFEE
DEALERS LTD SUSPENDED
SERVICOFF LTD A.3115
SHAH MEGHJI HIRJI LTD A.3116
SHARMACO INVESTMENT LTD A.3117
SHIGOG INVESTMENT LTD A.3118
S..M.MAINA COFFEE LTD A.3144
SONDHI TRADING LIMITED A.3119
SCEM FARM MANAGEMENT LTD A.3114
TANJAL INVESTMENT LTD A.3120
TAYLOR WINCH COFFEE LTD A.3121
UNITED FOOD PRODUCTS LTD A.3122
UNITRAD LTD A.3123
WAYNE LTD A.3139
コーヒー・ロースターライセンス取得企業(2001年9月10日現在)
企業名 カテゴリー/ライセンス番号
BICO LTD B.2348
CEJO INVESTMENTS LTD B.2350
C.DORMAN LTD B.2349
EXCELLENT ROASTERS&
GRINDERS LTD B.2351
JUJA COFFEE EPORTERS LTD B.2361
KENYA NUT CO.LTD B.2352
KWACHA LIMITED B.2353
MALAIKA COFFEE&TEA LTD B.2354
M.A.PANDIT&CO.LTD B.2355
MOMBASA PACKERS LTD B.2356
MWANGI COFFEE EXPORTERS LTDB.2357
NAIROBI JAVA HOUSE LTD B.2362
RAKI INVESTMENT LTD B.2358
SHIGOG INVESTMENT LTD B.2359
UNITED FOOD PRODUCTS LTD B.2360
142
②紅茶
ケニア紅茶開発機構(KTDA; Kenya Tea Development Agency)が、小規
模農家を統制し、紅茶の生産、加工、販売に関する決定を行う。 2000年6月に KTDA
は民営化され、組織名も“ Authority”から“ Agency”となった。小規模農家を傘下
におさめている現KTDAは45の紅茶製造工場を運営している。このうち 38工場は、
年間6億 5,500万kg以上の生産能力と年間 1,500万kgの加工能力を備える。これら
工場の運営以外にも、KTDAは次の機能を持つ。
・茶育成所の運営及び設立
・苗を育てるための資材購入と農家への販売
・肥料の周旋
・農家による茶栽培の監督
・緑葉の栽培及び育成の検査
・農家からの緑葉購入
・緑葉の加工
・紅茶の販売
・農家への支払い及び徴収
・金融資産の運営
・組合(組織)開発及びサービス
・技術改良及び調査
過去 34年のうちにKTDAは単一では世界最大の紅茶輸出業者となった。
一方、ケニア紅茶生産協会は、 31年に大規模紅茶農家により組織された。会員資格
は、 10ヘクタール以上の紅茶農園を経営していることとなっている。紅茶の栽培や製
造に関する業務のほか、協会加盟者相互の関係や労働者との賃金問題の調整
も行う。 99年には協会加盟農家は9万 4,963トンの紅茶を生産している。これはケニ
アで生産される紅茶のおよそ 38%に及ぶ。
ニャヨ紅茶区域開発組合は、水資源確保および森林保護を目的にケニア政府が保有
する森林と私有地との緩衝地帯として 86年に設立された。同組合は、 3,000ヘクター
ル以上の紅茶畑を管理しており、 98年には1万 3,400トンの紅茶を生産し、輸出によ
り外貨を獲得している。
ケニアでは、紅茶は小規模農家および大規模農家(エステート)により生産されて
いる。通常、小規模農家は栽培面積 1.5ヘクタールから4ヘクタールの耕地面積を持
つものをいうが伝統的には栽培面積 0.2から 0.7ヘクタールが小規模農家との定義がな
され、これが一般的となっている。エステートは 1,000ヘクタール以上の栽培面積を
持ち、多くの労働者を雇用している。現在、小規模農家は紅茶出荷量の約 57%を生産
している。
エステートは主に多国籍企業(ブルックボンド、アフリカンハイランドおよびイー
スタンプロデュース)で紅茶生産の約 40%を担っている。KTDAが設立される 64
年以前はプランテーションが茶を大量生産していた。しかしながら、KTDAは小規
143
模農家を広く組織することができたために、巨大なプランテーションを越えることが
できた。これら小規模農家を組織して作られた協同組合は、 31年にケリチョーにあっ
たケニア茶生産者協会(KTGA)からはじまった。KTGAは、茶を製造・栽培す
る会員(農家)が共通に持つ利益の追求と労働者のための賃金を向上させることなど
の目的から設立された。これら協同組合の多くは、付属の工場で紅茶を製造している。
一方、エステートの例としてブルックボンド・ケニア社がある。ブルックボンド・
ケニア社の操業は、 20年代前半までにさかのぼる。この企業はケリチョーとケニア中
央部(リムル)に茶畑 7,000ヘクタールを持ち、世界中に紅茶を販売している。この
会社の操業区域はケリチョー、セントラル州(リムル周辺)、ナイロビおよびモンバ
サである。同社は世界の紅茶生産の 1.5%、ケニアの紅茶生産の 12~13%を占める。
③園芸作物
野菜および果物の缶詰や加工処理部門での 2000年総生産額は8億 7,211万Kshであ
ったが、このうち約 38%(3億 3,140万ksh)をデルモンテ(K)社が生産している。
同社はナイロビ近郊のティカに2万 6,000ヘクタールの土地を持ち、そのうち1万 4,0
00ヘクタールをパイナップル農園としている。主にパイナップル缶詰、パイナップル
ジュースを製造し、その 99%をドイツ、中東、オランダ、北欧に向けて輸出している。
園芸作物加工会社 (取り扱い加工品)
Cirio Delemonte (パイナップルジュース、マンゴージュース、パッションジュ
ース)
Kenya Orchards (フルーツジュース、ジャム、マーマレード、トマトソース)
Tru Foods/Kabazi Canners Zesta (フルーツジュース、ジャム)
Bio Foods Industry (ヨーグルト、クリーム、ジャム)
Premier Food Industry (濃縮フルーツジュース、ジャム、マーマレード、ト
マトソース、トマトジュース、パイナップルジュース)
Kenya Wine Agencies Ltd. ( Vinvananaf Wine、Paffiflora Wine、
Papaya Wine)
Malindi Fruit Processors (マンゴージュース)
Kenya Fruit Processors (濃縮マンゴー/パッションジュース)
Frig-O -Ken (野菜缶詰、冷凍野菜、乾燥野菜)
Milly Fruit Processors Ltd. (濃縮フルーツジュース、ジャム、果汁飲料)
Kenya Highland Canners (冷凍フレンチビーーンズ、冷凍小キュウリ)
Njoro Canners (野菜缶詰、冷凍野菜、乾燥野菜、フルーツジュース、濃縮フ
ルーツジュース)
出所; Joint Integrated Technical Assistance Programme to Selected Le-a
st Developed and Other African Countries
144
花卉生産・輸出業者
A Touch of Velvet Ltd
Agricultural Integrated Industries
Bawan Roses (生産花種:スターチ、各種バラ)
Bekya Floriculture Redhill, Limuru
Beverly Flowers
Bobs Harries Ltd
Bolmar Flowers
Bud Of Paradise
Carnation Plants Ltd (生産花種:スプレイカーネーション)
Farm Fresh Commodities
Floricult Kenya Ltd
Flowerex Ltd
Fly Flowers (K) Ltd
Forest Edge Flowers
Gaesen Enterprises
Gatoka Ltd
Gilflo Ltd
Global Flora
Gould Flowers
Hezekial Gitata Farm
Highview Farm
Idyll Flowers
Inner Circle
Jambo Horticultural Exporters
Jonella (K) Ltd
Kanorero River farm
Karen Roses (生産花種:各種バラ、日本への輸出経験あり)
Karia Roses
Kenia Exporters Ltd
Kentmere Flora
Kenya Flowerlink
Kenya Highlands Nurseries
Kihingo Roses
Kinangop Flower Growers
Kirin Agribio Kenya Ltd(生産花種:クリサンテミューム)
Kitengela Blooms
Kithanu Flora
Lim Chem
Longonot Farm Ltd(生産花種:リシアンタス)
145
Longonot Horticulture Ltd.
Lotec Exporters
Lukenya Flowers
Mac Ltd
Machrose Flowers (K) Ltd
Magana Flowers (K) Ltd
Mbugua Enterprises(生産花種:アガパンタス、アルストロメリア、アマランタ
ス、アラビカム、カルタマス、エリジウム、グリーンアルムス、オルニトガラム、
ルドキア、スターチ、チュベロース、ベロニカ、ザンテドシャイア)
Model Farm Ltd
Mt. Aberdare Flowers
Mt. Elgon Orchards (生産花種:カーネーション、カルタマス、ザンテドシャイ
ア、バラ、グリーンハウスローズ)
Mt. Kenya Roses
Mweiga Blooms (生産花種: T-ハイブリッド、スイートハートローズ)
Nairobi Flower Village
Nelleon De. Co. Ltd
Njoro Gardens Ltd(生産花種:バラ-ファーストレッド、ゴールデンタイムズ、
プロフィタ)
North Lake Nurseries
Nyakiambi Garden Flowers
Nyanjugu Ltd
Octa Flora Co.
Orchid Kenya Ltd
P J Dave (生産花種:各種バラ)
Panocal International (生産花種:カルタマス、スケッフ、バラ-クリームポフ
ィタ、ファーストレッド、ノーブレス)
Pearl Flowers
Pemi Cultural Afrique
Penta Flowers
Redhill Blooms
Redhill Flowers Ltd
Redhill Gardens Ltd (生産花種:各種バラ)
Redlands Roses
Riva Flora
Riverfarm Blooms Ltd (生産花種:アルストロメリア、カルタマス、エリンギウ
ム、オルニトガルム)
Samawati Ltd
Sawa Flora
Seed and General Ltd
146
Seradic Roses
Shalimar Flowers Kenya Ltd(生産花種:各種花)
Sian Agriflora Ltd (生産花種:各種バラ)
Sinclair Flowers (生産花種:各種花)
Sophia Roses (生産花種:各種花)
Sote Flowers (生産花種:各種花)
Stoni-Athi Ltd (生産花種:各種花、日本への輸出経験あり) 2002年12月現在、
破産管財人の管理下
Suera Flowers
Sunrays Gardens
Supersonic Caterers Co.
Superverg Ltd
Tambuzi
Tanu Roses (生産花種:アガパンタス、バラ-ピスタチ、レニー)
Tena Fresh Flowers (生産花種:アルストロメリア、アラビカム、アルムス(緑
及び黄色)、エリジウム、オルニトガルム、パピルス、チュベロース)
The Eustoma (K) Ltd
Thara Orchid Ltd(生産花種:バラ-エシモ、アリタ、インカ)
Thika Nurseries
Torito Roses
Tropiflora (生産花種:アルストロメリア、アラビカム、カーネーション、オルニ
トガルム、フォーニウム、ソリダゴ)
Tropiroma
Turasha Windsong Farm Ltd
Tyro Enterprises
Valentine Co Ltd(生産花種:バラ-クリーム、プロフィタ、ドリーム、エスキ
モ、ヨーロッパ、ファーストレッド、フリスコ、ランバダ、ラリニ、スターライ
ト)
Vegpro (K) Ltd (生産花種:リシアンタス)
Wam Flowers
Wanjao Estate Ltd
Wet Farm Ltd
Wilfay Investments Ltd.
Wilmar Agro Ltd(生産花種:アマランタス、アミマジュス、カルタマス、エリギ
ウム、チュベロース)
Zena Roses (生産花種:各種バラ)
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(5)当該分野の政府(および生産者団体)の管理・振興施策
ケニア政府はコーヒー及び紅茶について、ボード( Board)と呼ばれる委員会を通
して売買を統制している。一方、園芸作物のボードは存在しない。
ケニア政府が国家開発計画( 2002~2008年)の中で掲げているコーヒー、紅茶お
よび園芸作物に関する政策は以下のとおりである。
①コーヒー
政府は主たる生産者と共同で、貸出し設備の改善、高生産性品種の開発強化及
び切り替え、ロブスタ種の生産促進、コーヒー協同組合の運営改善、税制見直し、
コーヒー販売の強化、新コーヒー政策及び法制度の運用の徹底を行う。
②紅茶
2008年までに生産量が約 35万トンに増加することを予測。このために、グリ
ーンリーフの加工能力を6億 6,500万Kgから7億 7,500万Kgに増加させるため、
小規模農家工場を 45カ所から 56カ所に増やすとともに、紅茶栽培地域でのイン
フラの改善、高生産性ならびに干魃や霜害に強い品種の研究強化、既存の工場の
能力増強を行う。
③園芸作物
市場のインフラ開発を促進し、農家に対して農薬の残留基準要求への対応を支
援し、融資や投入材へのアクセスを容易にし、種苗品質や栽培者の公正さを調査
するケニア栽培衛生査察サービス( Kenya Plant Health Inspectorate Servi
ces;KEPHIS)を強化し、園芸作物の研究を促進し、農家への技術指導を行う。
また、ケニア政府は新コーヒー法を2002年に施行し、ケニアコーヒー委員会の運営
に生産者が参加できる機会を増やした。これを機に、ケニアコーヒー委員会の運営に
おいてコスト意識の向上や業務効率化が進むことが期待されている。
148
第2部 対外ビジネス有望産品の生産・流通実態と潜在性
(1)対象産品の抽出とその背景
第1部で取り上げたコーヒー、紅茶、園芸作物のうち、 2001年に我が国へ輸出さ
れたのはそれぞれ、コーヒーは 191万9,000ドル、紅茶は 379万7,000ドル、園芸作物
ではマカデミアナッツ 550万1,000ドル、切り花 180万5,000ドルであった。輸出の形
態としては、例えばコーヒーの多くは生豆(グリーンビーンズ)のバルクで、紅茶も
82%がその他(バルクもの)で、マカデミアナッツも菓子原料としてのバルクによる
ものがほとんどである。ケニアから我が国への輸出品をみると、このように原材料の
まま輸出される1次産品が大部分である。コーヒー、紅茶、マカデミアナッツについ
ては今後、増減を繰り返しながらも我が国への輸出が継続していくものとみられる。
しかし、第1部で取り上げた農産品・加工食品のうち、園芸作物の生鮮品に関しては
チチュウカイミバエなどの汚染地域であるため、植物防疫の観点から我が国への輸出
には十分な病害虫対策が必要となり、コスト高となる可能性も高いとみられる。
以下では、園芸作物の加工品、特に、既に我が国に多くが輸入されているかんきつ
系ジュースやりんごジュースなどを除いたジュース類(マンゴージュースやパッショ
ンジュース)を取り上げてみたい。
(2)対象産品の生産・輸出動向と近年の変化・推移
①生産・輸出状況
表-20 パッションジュース輸出 単位;100万Ksh
1996 1997 1998 1999 2000 2001
37.74 11.46 0.32 8.28 0.44 1.27
出所:ケニア歳入庁 ※2001年の輸出額のうち、オランダ向けは75%を占める。
②生産(加工品の場合は原料手当、加工)、検査、包装、流通・保管(輸出品の場合
は国内輸送~輸出)の流れと各段階での事業主体
農家
荷受、検査
一時貯蔵
洗浄
選果
搾汁
果汁
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篩別
調合
脱気
殺菌
充てん 冷却
冷蔵
出荷
小売店
(3)競争力
①当該製品の品質評価
Del Monte Kenya limited(商標 Del Monte)
包装材料はテトラ・パック社のテトラ・ブリックを使用し、 250ml入りのマン
ゴージュース(小売価格 35ksh)を販売している。パッケージ図案も明るい感じで
よい。賞味期限やカロリー、タンパク量、脂肪量等の記載あり。ケニアで製造され
ているジュースでは最も品質が高いと思われる。バルク販売もできるそうであるが、
日本とはすでに卸売業者との契約があり、新たな日本企業との契約はできないとの
こと。味はすっきりとして飲みやすいが、マンゴーらしさにかける感がある。
Kabazi Canners Ltd.(商標 Kenylon)
包装材料はテトラ・パック社のテトラ・ブリックを使用し、1リットル入りのマ
ンゴージュースとパッションジュース(いずれも小売価格 106ksh)を販売してい
る。パッケージ図案は対象となる果物とジュースを記載。賞味期限は記載されてい
る。成分記載はあるがその量や割合はかかれていない。味はすっきりとした感じで、
甘みは他社製品に比べて抑えてある模様。
Kenya Fruit Processors Ltd.(商標 PASSINA)
包装材料はテトラ・パック社のテトラ・ブリックを使用し、1リットル入りのマ
ンゴージュース(小売価格 78ksh)を販売している。パッケージ図案はサイなどの
動物が記載されており「アフリカ」的である。賞味期限は記載されている。成分記
載はあるがその量や割合はかかれていない。味は、他社と大きく異なり、くどい感
あり。日本人にはあまり受けない味であろう。
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Kenya Orchards Ltd.(商標 KOL)
300ミリリットル缶入りのマンゴージュース(小売価格 39Ksh)とパッションジ
ュース(小売価格 42ksh)を販売している。パッケージ図案では、マンゴージュー
スは色々な果物を缶に直接印刷しているが、パッションジュースはパッションフル
ーツとジュースを紙に印刷したものを巻き付けている。缶蓋は上面をすべて引きあ
ける。製造年月日及び賞味期限が上蓋に印刷されている。成分記載はあるが量や割
合はかかれていない。味は、悪くないが缶の味がする模様。
Trufoods Limited(商標 TRUFRU)
700mlのプラスチックボトルに入っているパッションジュース(小売価格 58Ks
h)を販売している。パッケージ図案はパッションフルーツとジュースを紙に印刷
したものを貼り付けてある。賞味期限が印刷されている。成分記載はあるがその量
や割合は書かれていない。香料や着色料等が使用されている。味は悪くないものの、
パッションフルーツのジュースという感じに欠ける。
Milly Fruit Processors Ltd.(商標 Picana)
300mlのビン入りのマンゴージュース(小売価格 35Ksh)とパッションジュー
ス(小売価格 35ksh)を販売している。パッケージ図案は商標がかかれているだけ
である。製造年月日が王冠に印刷されている。成分記載もあるが、その量や割合は
かかれていない。味は悪くない。マンゴージュースは他社のものと比べてドロドロ
した感じがするが、これはパルプの割合が高いためと思われる。作りたての新鮮な
生ジュースを飲んだ感じがする。
②生産コスト(生産関連コスト、輸送・保存関連コスト)
原材料 電気 水道代 賃金 輸送 その他
フルーツジュース 50% 15% 2% 13% 5% 20%
濃縮フルーツジュース 60% 10% 2% 18% 5% 10%
出所:園芸作物穀物開発庁
(4)国際協定
米国・アフリカ成長機会法( AGOA:African Growth and Opportunity Act)
により、米国がケニアを含むアフリカ諸国に対し、関税上の特恵を与えている。この
中で、マンゴージュースおよびパッションジュースも特恵対象となっている。
COMESA(東南部アフリカ共同市場)の自由貿易地域(FTA、 2003年3月時点
で9カ国が参加)では、FTA参加国間でマンゴージュースとパッションジュースは
ともに無関税となっている。ただし、原材料のうち 35%以上を自国内で調達する必要
がある。
EUがケニアに対し、農業産品の EUへの安定供給を目的に STABEX基金(一次産品
輸出所得補償融資制度)を創設している。
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FAO/WHOのCODEX委員会において、液体果肉マンゴー製品に関する基準( COD
EX STAN 149-1985)を定めている。ただし、当該基準は強制基準ではない。
(5)主要企業と外資進出状況
Del Monte Kenya Limited(商標 Del Monte)
Kabazi Canners Ltd.(商標 Kenylon)
Kenya Fruit Processors Ltd.(商標 PASSINA)
Kenya Orchards Ltd.(商標 KOL)
Trufoods Limited(商標 Zesta)
Milly Fruit Processors Ltd.(商標 Picana)
(6)今後の成長潜在性と課題
ケニア国内の食品加工企業の生産能力は、デルモンテ社を除けばいずれも小規模な
ため、新たな需要への対応には新規設備投資が必要となる。日本の食品衛生基準や表
示基準への適合やパッケージデザインの工夫も必要(バルクでの輸出であれば不要)
と思われる。また、香料や着色料を使用したものよりも天然に近いものの方が日本の
消費者には受けると思われる。有機無農薬がうたえればなおよい。加えて、健康への
影響についてアピールすることができればさらによい。例えば、マンゴーおよびパッ
ションフルーツは果物の中でビタミンA含有量が非常に高く、糖質やビタミン B2も
多く含まれている。
マンゴーおよびパッションフルーツの生産量は不明だが、マンゴーの輸出量は 200
0年に 2,687トン、 2001年に 3,166トンと増加したが、パッションフルーツの輸出量は
2000年830トン、 2001年に 721トンと若干減少した。また、パッションジュースは 20
00年に1トン、 2001年に 86トンを輸出しており、輸出量は増加している。パッショ
ンジュースのようにニーズに応じて輸出数量増に対応できる可能性も十分にある。
なお、マンゴーおよびパッションフルーツは東南アジアで生産されており、ジュー
スという形でも東南アジア製品との競合が想定される。輸送コストを考えればアフリ
カからの輸出は不利ではあるが、日本のマンゴージュースおよびパッションジュース
の輸入はそれほど多くはないとみられており、対日輸出に参入できる余地はあると思
われる。
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第3部 参考情報
(1)基礎的情報
◎ケニア・シリング(Ksh)の対米ドル換算レート(Ksh/US$)(ケニア中央銀行)
1997年 58.8
1998年 60.4
1999年 70.3
2000年 76.2
2001年 78.6
◎日本とケニアの間の輸送にかかる費用
・Maersk Line社の東京-モンバサ間の船積み料金(30日間)
単位:US$
20フィートコンテナ 40フィートコンテナ
コンテナ料金 1,500 2,600
銀行手数料 100 200
ターミナルハンドリング料 70 80
船荷証券 45 45
合 計 1,715 2,925
・Freight in Time社のナイロビ-成田間の航空輸送料金
重量料金 サービス種類 料金割合 トランジット時間
300Kg 標準 5.09ユーロ/Kg 48時間以上
500Kg 標準 4.35ユーロ/Kg 48時間以上
同上 優先 5.40ユーロ/Kg 24-36時間
◎その他の料金
AWB料金:10.00ユーロ
安全 : 0.05ユーロ/Kg
KAA料金: 4.00ユーロ/Kg
保証金 : 3.50ユーロ
顧客登録 : 7.50ユーロ
航空会社ハンドリング料:0.03ユーロ/Kg
エージェントハンドリング料:0.044ユーロ/Kg(20分)
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(2)参考写真
写真1 コーヒー豆の果肉除去
写真2 果肉除去後にコーヒー豆を天日干し(雨天時は乾燥機を使用)
写真3 外皮除去後のコーヒー豆をサイズごとに選別(製豆所にて)
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写真4 デジタル式のコーヒー豆選別機(製豆所にて)
写真5 オークション会場に新設された電子取引ボード
写真6 マカダミアナッツ(殻なし)
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写真7 アボカド
写真8 バラ
写真9 ビーンズの箱詰め作業
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写真 10 輸出用バラの梱包作業
写真 11 パッションジュース( Kenya Orchards Ltd.)
写真 12 マンゴージュース( Kabazi Canners Ltd.)