1.ファシリティマネジメント 1-②...

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- 58 - 1.ファシリティマネジメント 1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定 『県有施設の利活用・保守管理プログラムによる 施設機能の集約化』 愛知県 建設部建築担当局公共建築課 052-954-6594 総務部財産管理課 052-954-6056 1.背景・目的・概要 県内の庁舎等の既存施設は、約 3、000 棟超(学校・警察本部所管施設・県営 住宅を除く)、床面積約159万㎡にのぼり、うち、建築後30年を経過している施設は、 約 1,600 棟、61万㎡、およそ全体の38%を占めており、今後、膨大な施設の老朽 化対策が課題となっている。(図-1) また、愛知県では、累次の 行革大綱のもとに過去10年間 余りにわたり、地方機関や公の 施設の見直しに積極的に取り 組んでおり、知事部局等の職 員数について大幅な減員を実 施した。このため、庁舎等の施 設では、低利用や未利用スペ ースが生じるなど、整備当初と は施設の利用状況が変化して いる。(図―2) これにより、既存県有施設 の総量を縮小し、施設の効果 的・効率的な利活用・保守管 理を推進する取り組みとして、 「県有施設利活用・保守管理 プログラム」 を策定し、将来的 な維持管理・保守経費を縮減 するとともに廃止した施設の跡 地については地域のニーズに 配慮しながら適切な処分や有 効活用の推進を図っている。 図-2 愛知県職員定数の推移(平成 10~23 年度) 図-1 愛知県有施設の建築年度別床面積 (㎡)

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1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『県有施設の利活用・保守管理プログラムによる

施設機能の集約化』

愛知県 建設部建築担当局公共建築課

052-954-6594

総務部財産管理課

052-954-6056

1.背景・目的・概要

県内の庁舎等の既存施設は、約 3、000 棟超(学校・警察本部所管施設・県営

住宅を除く)、床面積約159万㎡にのぼり、うち、建築後30年を経過している施設は、

約 1,600 棟、61万㎡、およそ全体の38%を占めており、今後、膨大な施設の老朽

化対策が課題となっている。(図-1)

また、愛知県では、累次の

行革大綱のもとに過去10年間

余りにわたり、地方機関や公の

施設の見直しに積極的に取り

組んでおり、知事部局等の職

員数について大幅な減員を実

施した。このため、庁舎等の施

設では、低利用や未利用スペ

ースが生じるなど、整備当初と

は施設の利用状況が変化して

いる。(図―2)

これにより、既存県有施設

の総量を縮小し、施設の効果

的・効率的な利活用・保守管

理を推進する取り組みとして、

「県有施設利活用・保守管理

プログラム」を策定し、将来的

な維持管理・保守経費を縮減

するとともに廃止した施設の跡

地については地域のニーズに

配慮しながら適切な処分や有

効活用の推進を図っている。

図-2 愛知県職員定数の推移(平成 10~23 年度)

( 人 )

図-1 愛知県有施設の建築年度別床面積

( ㎡ )

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2.取組の成果・効果

「県有施設利活用・保守管理プログラム」は平成 24 年2月に1次、平成 25 年 2

月に2次を策定・公表した。

プログラムにより得られる効果額の試算は以下のとおりである。今後15年間現状

を維持する場合の経費と、適正化を図る場合の経費の差額に財産収入を加算し

て算出している。

●第1次プログラム(平成 24 年 2 月公表)

対象施設数:16 (うち、引き続き活用する施設9、廃止する施設7)

効果額:16.8億円

●第2次プログラム(平成 25 年 2 月公表)

対象施設数:16 (うち、引き続き活用する施設9、廃止する施設7)

効果額:64億円

現在、1次、2次プログラムに基づいた取組みを行うとともに、新規プログラムを策

定中である。

3.取組内容

●「県有施設利活用・保守管理プログラム」の対象

知事部局(教育委員会事務部門を含む)所管施設のうち、指定管理者制度を

導入している公の施設や無人施設を除く庁舎等(146 施設・約 1,400 棟)を対象

に効果・効率の向上が見込めるものから順次策定している。

●プログラムの内容

対象施設のうち個々の施設について全庁的な視点から検討し、次の事項を取

りまとめている。

・中長期的な施設の利活用の方向性

(建物の耐震性、築年数、土地利用、職員1人あたりの面積等から、維持す

る施設、利用調整の上売却する施設等の方向性を検討)

・利活用・管理の最適化に向けた対応策

(施設の集約など)

・施設機能の移転に係る整備等

(施設の利用拡大に必要な整備工事及び併せて実施する老朽化部分の保

守工事の検討、移転や跡地利用に向けたスケジュールの検討)

・効果額

(今後15年間現状維持する場合及びプログラムを実行した場合の保守経費、

プログラムの実行に要する初期投資(移転・改修経費等)や財産収入(跡地)

の等の算出)

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●主なプログラムの事例

第2次に策定された「県庁周辺」の6庁舎を対象としたプログラムでは、

6庁舎併せて利活用の方針や整備計画等をまとめている。

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1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『『フファァシシリリィィテティィママネネジジメメンントトのの手手法法をを用用いいたた

効効果果的的なな中中長長期期整整備備計計画画作作成成及及びび施施設設整整備備』』

奈良県 県土マネジメント部まちづくり推進局営繕課

0742-27-5434

1.背景・目的・概要

少子高齢化の進行、人口減少社会の到来など、本県行政を取り巻く社会環境は

大きく変化し、また県民ニーズは多様化、高度化している。同時に財政状況は厳し

くなり、限られた財源の中で、効率的・効果的な施設整備が求められている。

また、県有建築物は建築後30年を経過したものが半数以上を占めており、施設

の老朽化への対策が喫緊の課題となっている。

さらに、耐震化の推進、環境への配慮、利用者の利便性の向上、施設の長期有

効活用等、県有建築物を取り巻く多様な課題への対応とともに、工事の品質確保、

良質なストックとなる施設づくりの促進等、社会的要請に的確に対応することが重要

である。

そこで、県有建築物について総合的に企画・管理・活用するファシリティマネジメ

ントの手法を取り入れ、長期的・全庁的な視点に立って県有建築物の更なる有効

活用を図り、県有建築物の効率的な整備と効果的な保全を的確に実現する。

2.取組の成果・効果

ファシリティマネジメントの手法に基づき、各施設のあり方に応じた適切な施設整

備を行うことにより、利用者及び社会的ニーズに対応した施設整備、施設の安全性

の確保といった公共サービスの質が向上され、さらに県有建築物全体のライフサイク

ルコストの軽減が図られる。

3.取組内容

3-1 ファシリティマネジメントの導入

県全体における資産の最適化、より効果的な利活用を図るため、知事を本部長

としたファシリティマネジメント推進本部(事務局:総務部ファシリティマネジメント室)

を設置し、各部局を横断して全庁的な視点に立った戦略的なファシリティマネジメン

トを行い、施設の選択と投資の集中を推進する。

ファシリティマネジメント推進にあたっては、3つの視点で県有資産の質と量の見

直しを行い、3つの効果を目指す。(図-1)。

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図-1 ファシリティマネジメント推進の取組施策

3-2 県有建築物のライフサイクルにおける営繕・保全の体系的取組 県有建築物の合理的かつ適切な施設整備を推進するため、県有建築物のライフ

サイクルにおける「企画・計画」、「設計・工事」、完成後の「保全」の段階において、

所管課及び施設管理者と連携を図り、県有建築物の営繕・保全を体系的に取り組

んでいる(図-2)。

図-2 県有建築物のライフサイクルにおける営繕・保全の体系的取組

取り壊し

取り壊し

保 全保 全

点検・保守・清掃 等

補修・修繕

補修・修繕

補修・修繕

・・・

※改修時は、新築時の手続きを準用

発注手続き

実施設計

基本設計

工事監理

工事検査

発注手続き

設計段階設計段階 工事段階工事段階

設計・工事(新築)設計・工事(新築)

企画基本計画

基本構想

企画・計画企画・計画

所管課所管課

企画発案企画発案

営繕課営繕課

○技術協力○技術協力

所管課所管課

設計条件の整理・取りまとめ設計条件の整理・取りまとめ

○設計・工事の実施

○発注手続き

○工事の検査

○設計・工事の実施

○発注手続き

○工事の検査

位置、規模、構造、機能

営繕課等営繕課等

○補修・修繕は、保全相談による技術協力

○改修は、新築時の設計・工事と同様

○この他、保全指導を実施

○補修・修繕は、保全相談による技術協力

○改修は、新築時の設計・工事と同様

○この他、保全指導を実施

営繕課等営繕課等

所管課・施設管理者所管課・施設管理者

保全の実施、修繕計画の策定保全の実施、修繕計画の策定

取り壊し

取り壊し

保 全保 全

点検・保守・清掃 等

補修・修繕

補修・修繕

補修・修繕

・・・

※改修時は、新築時の手続きを準用

発注手続き

実施設計

基本設計

工事監理

工事検査

発注手続き

設計段階設計段階 工事段階工事段階

設計・工事(新築)設計・工事(新築)

企画基本計画

基本構想

企画・計画企画・計画

所管課所管課

企画発案企画発案

営繕課営繕課

○技術協力○技術協力

所管課所管課

設計条件の整理・取りまとめ設計条件の整理・取りまとめ

○設計・工事の実施

○発注手続き

○工事の検査

○設計・工事の実施

○発注手続き

○工事の検査

位置、規模、構造、機能

営繕課等営繕課等

○補修・修繕は、保全相談による技術協力

○改修は、新築時の設計・工事と同様

○この他、保全指導を実施

○補修・修繕は、保全相談による技術協力

○改修は、新築時の設計・工事と同様

○この他、保全指導を実施

営繕課等営繕課等

所管課・施設管理者所管課・施設管理者

保全の実施、修繕計画の策定保全の実施、修繕計画の策定

目指すべき3つの効果

(1)利用者満足度の向上

(2)財政健全化への寄与

(3)まちづくり・環境への寄与

①保有総量最適化

②県有資産の有効活用・利用

③長寿命化・耐震化の推進

<資産総量の縮小・適正化>○設置義務や目的等の見直し○低・未利用資産の積極的な売却○エリアマネジメント 等

<ライフサイクルコストの軽減・平準化><事後保全から予防保全への転換>

○建物耐震化の促進○施設整備計画の策定支援 等

<資産の利用価値の最大化>○公設民営、PFI手法の活用○市町村との共同利用○まちづくりの視点による跡地活用 等

施設評価(施設データによる見える化)施設評価(施設データによる見える化) 目指すべき3つの効果

(1)利用者満足度の向上

(2)財政健全化への寄与

(3)まちづくり・環境への寄与

①保有総量最適化

②県有資産の有効活用・利用

③長寿命化・耐震化の推進

<資産総量の縮小・適正化>○設置義務や目的等の見直し○低・未利用資産の積極的な売却○エリアマネジメント 等

<ライフサイクルコストの軽減・平準化><事後保全から予防保全への転換>

○建物耐震化の促進○施設整備計画の策定支援 等

<資産の利用価値の最大化>○公設民営、PFI手法の活用○市町村との共同利用○まちづくりの視点による跡地活用 等

施設評価(施設データによる見える化)施設評価(施設データによる見える化)

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3-3 意見書制度

県有建築物の整備需要及び整

備内容を把握した上で、県全体と

して良質で均衡のとれた施設整備

を実施するため、所管課から提出

される県有建築物の整備計画に対

して、技術的な観点から緊急性・妥

当性等を判断するとともに、耐震化

等の安全確保、環境への配慮、利

便性の向上等、県有建築物を取り

巻く課題への対応を視野に入れ評

価を行っている(図-3)。

その際、ファシリティマネジメント推進の検討状況を踏まえつつ、整備計画に対し

て統一的な判断基準による技術評価を行い、効果的な施設整備を推進する。

3-4 中長期整備計画の作成及び長寿命化の推進

所管課及び施設管理者が県有

建築物を効率的・効果的に整備し

ていくため、劣化状況や設備機器

の耐用年数に応じた中期的な整

備計画とともに、今後、改修・修繕

が見込まれるものを想定した長期

的な整備計画の作成支援を実施

している(図-4)。

所管課及び施設管理者は、この

計画を踏まえつつ施設の状況に応

じた適正な保全・整備を実施するこ

とで、良好な施設機能の維持とライ

フサイクルコストの軽減に取り組ん

でいる。

さらに、ファシリティマネジメントの評価による施設のあり方に応じた中長期整備計

画を作成し、合理的な施設整備を行うことで無駄な投資を無くし、県有建築物に求

められる品質を確保するとともに施設の長寿命化を図る。

中長期整備計画の作成にあたっては、総務部ファシリティマネジメント室において

「奈良県ファシリティマネジメント支援システム」を開発中であり、本システムにおいて

将来コストの自動算定、平準化シミュレーションといった、より効率的・効果的な中長

期整備計画を作成できることが期待されている。

図-3 意見書制度の概要

図-4 中長期整備計画の概要

今後の修繕、維持管理の内容、費用の把握

県有建築物の適正な保全・整備の推進(予算要求等へ反映)

中長期整備計画

長期整備計画

県有建築物を取り壊すまでの期間

喫緊の5年間

中期整備計画

特別修繕費 各所修繕費 維持管理費

不具合等による修繕費

長期整備計画の喫緊5年分

営繕課による作成支援

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0

200

400

600

800

1000

1200

1400

S26 S30 S34 S38 S42 S46 S50 S54 S58 S62 H3 H7 H11 H15 H19 H23 H27 H31 H35 H39 H43 H47 H51 H55 H59 H63 H67 H71

戸数

中期財政健全化計画期間

平均 31 戸 /年

10 年間 平均 44 戸 /年

年間約 200~ 300 戸に平準化過去 10 年間 平均 71 戸 /年

平準化しない場合

1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『県営住宅再編5箇年計画の策定』

広島県土木局住宅課

082-513-4164(ダイヤルイン)

1.背景・目的・概要

高度経済成長期に集中的に建設された県営住宅は,全体数の約6割を占め,

老朽化による劣化が現れ始めている。これらの住宅はこのまま放置すると,集中して

建替えの時期を迎えることとなるため,県の財政状況を考慮すると,適切な建替え

又は長寿命化改修工事を行い,建替え時期を分散させる必要がある。

一方,将来の人口推計では,50 年後の人口は約 39%の減少,世帯数は約 35%

の減少,30 年後の生産年齢人口は約3割の減少,老年人口は約3割の増加見込

みであり,将来の県営住宅の供給目標量を適切に検討する必要がある。

このため,老朽化が進行しつつある県営住宅の更新を,県の財政状況,将来の

供給目標量を考慮した上で計画的に行うため,建替え及び統廃合計画を策定し,

これに基づく事業を実施する。また,併せて県営住宅の運営に当たり,長期的な展

望に立った基本方針を定める。

なお,この計画は概ね 10 年後を展望した5年間の計画とし,長寿命化計画と合

わせ,適宜見直しを行う。

2.取組の成果・効果

住棟別に建替え,用途廃止,長寿命化の分類を行い,計画的な統廃合計画及

び長寿命化計画を策定することで,平成 33 年以降の建替え戸数を年間 200~300

戸に平準化した。(平準化しない場合は,年 800 戸程度の建替えが必要。(図1))

これにより,単年度の事業量を抑制することができ,県財政の負担を低減すること

が可能となった。

また,県営住宅事業の長期的な運営に当たり,基本方針及び配慮事項を明確

にしており,今後の円滑な事業の推進が期待される。

図1 建替事業における平準化のイメージ

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3.取組内容

3-1 県営住宅の長期的な展望に立った基本方針

(1) 人口減少社会における県営住宅の供給方針

県内の人口や世帯数が,今後本格的な減少局面に転じることは避けられない見

込みとなっている。

現在でも県内の住宅総数が約 136 万戸に対し,総世帯数は約 115 万世帯(平成

20 年度土地統計調査)と,住宅総数が総世帯を約 15%上回っており,世帯数の減

少に応じて空き家数も増加することが予想される。

民間住宅では中古住宅の流通促進等が重要となる一方で,県営住宅について

も世帯数減少への対応が必要となる。

このようなことから,今後の世帯数の減少のトレンド(すう勢)を踏まえつつ,必要な

時期に見直しを行いながら,県営住宅の戸数を適切に削減する。

表 人口減少が現在の推計どおり減少した場合の世帯数と県営住宅戸数

(2) 既存住宅ストックを活かした少子高齢化への対応

〇子育て支援住宅の推進

県営住宅に近接する保育施設等と連携した子育て支援住宅の推進に引続き取

り組む。

〇新婚世帯の入居優遇

非正規雇用者の増加など,若者の経済基盤が脆弱化していることが,「結婚した

い」という希望をかなえられない一因となっている。このため,若い世代が「結婚して,

子育てをする人生設計が可能となる」環境づくりとして,新婚世帯(婚約を含む。)の

入居の優遇に取り組む。

3-2 事業実施において配慮する事項

(1)コンパクトなまいづくりの推進に対応した配置計画

〇職住近接に応じた供給

産業を支える労働力の適切な供給のため,産業団地や商業・業務地に近接した

団地に統合する。(低所得就労者には,十分な通勤費が支払われないという実態に

配慮。(図2))

〇需要に応じた供給

需要の低下が予想される主に郊外の団地は,空家の状況をみて縮小,又は廃止

し,まちなかの団地に集約する。(図3)

平成22年度末 ⇒ 平成47年度 ⇒ 平成72年度 削減の割合

一般世帯数の

推計 1,143千世帯 ⇒ 1,006千世帯 ⇒ 744千世帯 約▲35%

県営住宅戸数 16,793戸 ⇒ 約15,000戸 ⇒ 約11,000戸 約▲35%

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3,843 3,956 4,140 4,386 4,605 4,819

22.5% 23.5% 24.6%26.3%

27.4% 28.7%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

H17年度末 H18 H19 H20 H21 H22

バリアフリー住戸数

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

バリアフリー化率

バリアフリー住戸数 バリアフリー化率

(2)地球環境への配慮

県営住宅の建設において,建築物の長い耐用年数を見据え,住戸内の断熱性

の向上や太陽光発電の導入により省エネルギー化を進める。

(3)高齢者,障害者向け住まいの確保

高齢者,障害者が安心して暮らせる住宅を提供するため,建替えにおいては,床

の段差解消,エレベーターの設置等のバリアフリー化を推進する。また,既存住宅の

1,2階の住戸においては,高齢者向け改善事業を引き続き進める。

(4)市町など多彩な主体との連携

〇地域福祉施策等との連携

支援や介護が必要になっても,住み慣れた地域で自立した生活ができる環境の

整備に向け,福祉施策を担う市町と連携し,人口減少,少子高齢化に対応した住

まいづくり・まちづくりを進める。

〇地域社会の価値を高める取組み

景観形成など市町が進めるまちづくりと連携し,地域社会の価値を高める取組み

を推進する。

0円18%

1円以上

500円以下18%

501円以上

1,000円以下27%

1,001円以上37%

出 典 :ハローワーク求 人 情 報

図 2 低 所 得 就 労 者 の通 勤 手 当 の状 況 (日 額 上 限 )

(月 収 20 万 円 ,雇 用 形 態 :正 社 員 以 外 ,勤 務 地 :広 島 市 内 )

図 3 需 要 に応 じた供 給 のイメージ

まちなかの団地に集約

(需要高)

郊外の団地(需要低)

図 4 バリアフリー住 戸 数 とバリアフリー化 率 (県 営 住 宅 )

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1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『京都市市営住宅ストック総合活用計画』

京都市 都市計画局 住宅室 すまいまちづくり課

075-222-3635

1.背景・目的・概要

1-1 背景・目的

京都市の市営住宅は,昭和40年代から50年代前半に建設したものを中

心に,60%以上が築30年を経過しており,建物や建築設備の老朽化が進

み,耐震性能が不足している住棟や高齢者等への対応が十分にできていない

住戸,浴室が設置されていない住戸が多く存在している状況である。

これまでは,しゅん工後約35年から45年経過した市営住宅を対象に,

建替えを中心に,老朽化や設備等の劣化に対応してきたが,現在は,可能な

限り環境負荷の低減と事業費の削減を図るため,建替えを 小限に抑えなが

ら,適切な維持管理や改善を重点的に実施している。

1-2 概要

京都市では,市営住宅を住宅セーフティネットの中核として位置付け,長

く有効に活用するために,適切な更新と維持管理を図るための具体的な実施

計画として,団地,住棟ごとの活用方針等を示す「京都市市営住宅ストック

総合活用計画」を平成23年2月に策定した。

計画期間:平成23年度から平成32年度までの10年間

計画対象:市営住宅 99団地,702棟,23,616戸

(平成22年11月1日時点)

住棟活用方針 団地活用方針

方針 住棟数 住戸数 方針 団地数

継続活用 467棟 20,906戸 継続活用団地 72団地

全面的改善 1棟 380戸 団地再生検討団地 16団地

建替え 26棟 615戸 用途廃止団地 11団地

集約 58棟 1,435戸 計 99団地

用途廃止 150棟 280戸

計 702棟 23,616戸

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2.取組の成果・効果

2-1 団地単位での取組

安全性の確保のための耐震改修や,住宅確保要配慮者(高齢者,障害者,

子育て世帯,低所得者等)に対して適切な住環境を提供するためのバリアフ

リー改善等を行うことにより,本市全体の住宅セーフティネットの強化を図る。

2-2 団地の枠を超えた地域のまちづくり

市営住宅の有効活用の観点から,高齢化や子育て支援等の団地内外の課題

への対応,コミュニティの活性化に資する住戸の転用や敷地の活用について

も検討のうえ,整備を進める。

3.取組内容

3-1 ストックの活用

⑴ 長期活用に向けた適切な維持管理と改善

適切な維持管理については,法定点検や建物診断によって市営住宅ス

トックの現状を把握したうえで,日常的な維持管理や計画的な修繕を実

施する。

改善については,耐震改修,エレベーター・スロープ設置による共用

部の段差解消,住戸内の高齢者や障害者等への対応(段差解消,手すり

設置),浴室設置を実施し,特に耐震改修は優先的に実施する。

⑵ 小限の建替え,計画的な集約

市営住宅のうち公営住宅の建替えについては,老朽化等の著しいもの

に限定し,従来の手法にとらわれることなく,民間活力の導入(PFI

等)や借り上げ公営住宅制度の利用等も検討する。改良住宅については,

これまでと同様の建替えはせず,適切に改善された住宅へ住み替えを進

め,集約を図る。

⑶ 耐用年限を経過した木造住宅等の用途廃止

老朽木造住宅等で構成される団地については,敷地が狭小で都市計画

規制も厳しい場合が多く,効率的な利用が困難な状況にあることから,

各住棟を用途廃止し,順次敷地の売却等を検討する。

⑷ 団地再生計画の策定による総合的な事業実施

住棟活用方針で,建替え又は集約と判定された住棟を含む団地につい

ては,団地再生計画を策定する。策定に当たっては,市営住宅を地域資

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源と位置付け,当該団地を含む周辺地域を含めた課題(住環境,高齢者

対応,子育て支援等)を抽出したうえで対応について検討する。また,

活用予定のない敷地については売却を検討し,今後の事業の財源とする。

(図-1)

図-1 団地再生計画のイメージ

(参考)ストックの活用方針判定

住棟別に住棟活用方針と改善方針を判定し,住棟活用方針に基づき団地別に

団地活用方針の判定を行った。(図-2)

図-2 活用方針フローチャート

団地 活用方針

用途廃止 公営: 建て替え 改良: 集 約

継続活用

H27年度までに耐用年限を経過

未経過

問題あり

問題なし

全戸30㎡未満

S45年度以前

S46年度以降

全戸設置スペースなしあり又は設置スペースあり

用途廃止団地

 住棟

活用方針判定

住棟 活用方針

団地再生計画検討団地

改善方針

耐用年限

住戸面積

避難安全着工年度

継続活用団地

団地

活用方針判定

EV等設置検討

耐震改修検討

高齢者等対応検討

浴室設置検討

なしなし

30㎡以上

あり

同一団地内に

「建て替え」「集約」住棟あり

浴室

同一団地内に

「建て替え」「集約」住棟

改善の実施建て替え,集約,改善等

の実施用途廃止の

実施適切な

維持管理

団地再生計画 策定

全面的改善

事業

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0

100

200

300

400

500

600

S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

(戸)

木造

簡平

簡二

準耐

低耐

中耐

高耐

1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『市営住宅における長寿命化計画の策定』

堺市建築都市局住宅部住宅まちづくり課

072-228-8215

1.背景・目的・概要

本市では、約 6,500 戸の市営住宅のうち、多くは昭和 40 年代に建設された耐火

構造の住宅であり、今後これらが一斉に更新時期を迎えることが予想されている。

これまでの事業の進捗状況などを踏まえ、既計画であるストック総合活用計画(計

画期間:H14-22)における活用手法を再検討するとともに、効率的かつ円滑なストッ

クの更新と、予防保全的な維持管理を推進することを目的とした「長寿命化計画」と

して再編したものである。計画期間は平成 23 年度から 32 年度までの 10 年間。

図1.構造別・建設年度別管理戸数

法定耐用年限を超過した木造および簡易耐火構造の住宅が 133 戸、法定

耐用年限の 1/2 を経過した昭和 50(1975)年度以前の耐火構造の住宅が

2,734 戸であり、これらは全ストックの約 42%を占める。

図1 構造別・建設年度別住戸数

法定耐用年限超過 (木造 21 戸・簡平 100 戸・簡二 12 戸)

法定耐用年限 1/2 経過 (中耐 1,918 戸・高耐 816 戸)

(年度)

新耐震基準を満たす住宅

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2.取組の成果・効果

改善・相当期間管理と判定された住棟を対象とし、外壁改修、屋上改修、

配管改修のうち、従前の仕様と比して、耐久性が向上する、躯体への影響が

低減する、維持管理を容易にする改善が可能と判断されるものについては、

長寿命化型改善を実施することとする。また、建物使用年数を以下のとおり

の設定し、将来の建替えに係る事業量の平準化を図る。

○建替対象の住棟(長寿命型改善を行わない場合)

使用年数 平均 49 年

○改善・相当期間管理対象の住棟

使用年数 60~67 年

0

100

200

300

400

500

600

S35 S36 S37 S38 S39 S40 S41 S42 S43 S44 S45 S46 S47 S48 S49 S50 S51 S52 S53

建替

改善・相当期間管理

0

100

200

300

400

H23

H24

H25

H26

H27

H28

H29

H30

H31

H32

H33

H34

H35

H36

H37

H38

H39

H40

H41

H42

H43

H44

H45

H46

H47

H48

H49

H50

使用年数

平均 67 年

使用年数

平均 64 年

使用年数

平均 60 年

図2-1建設年度別、管理戸数

図2-2.

建替実施年度別、管理戸数

→以後、

使用年数

60 年~

建替対象(使用年数 平均 49 年)

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3.取組内容

3-1 目標年次における市営住宅管理戸数

公営住宅は管理戸数、改良住宅では入居戸数を目途とし柔軟に対応。

3-2 活用手法別対象戸数及び活用方針

●相当期間管理対象 95 棟 2,668 戸

・日常的な保守点検に基づく補修のほか、標準修繕周期を踏まえて、適切な

時期に必要な修繕を行うことで、居住性・安全性等の維持・向上を図り、長

期的に活用する。

●改善対象 57 棟 1,180 戸

・居住性向上型:住戸・住棟設備の機能向上を行い、居住性を向上させる。

・福祉対応型:エレベーターのない4階以上

の住棟において、設置スペースがあり、かつ

費用対効果の高い片廊下型のものを優先

し、エレベーターの設 置を推 進するとともに、

歩行者用安全通路の確保を進める。また、

新たな設置スペースの確保等によるエレベ

ーターの設置についても検討を行う。

・安全性確保型:外壁改修により、落下・転

倒防止など生活事故防止に配慮した改善を行う。

・長寿命化型:躯体への影響の低減、維持管理の容易性向上の観点から、外

壁塗装の防水性を高める改修や給排水設備等の耐久性向上を図る改善を

実施するなど、予防保全的な改善を行う。

●建替対象 75 棟 2,616 戸

・建替事業をすすめるにあたって、周辺環境や入

居者等に対する移転負担の配慮を行い、集約

化や非現地での建替などの検討を行う。また、

余剰地が創出された場合、地域の課題を考慮

し、良好なまちづくりに資する土地利用をすすめ

るなど、周辺まちづくりへの貢献を図る。

●用途廃止対象 21 棟 33 戸

EV有り

41.2%EV無し

58.8%

図3-1中高層市営住宅のEV設置(H25.9月末現在・着工ベース)

耐震

対応済

82.9%

要対応

17.1%

図3-2市営住宅の耐震化(H25.9月末現在・着工ベース)

平成 32 年目標:95%

平成 32 年目標:60%

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1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『『市市営営住住宅宅スストトッックク有有効効活活用用計計画画にに基基づづくく改改善善工工事事等等のの実実施施』』

広島市都市整備局住宅部住宅政策課

082-504-2292(5612)

1.背景・目的・概要

広島市では、平成 21 年 3 月に「広島市市営住宅ストック有効活用計画」を策定し、

既存ストックを「改善」、「建替え」、「用途廃止」、「維持保全」の 4 つの区分に分類し

て、市営住宅の効率的な活用を図っている。

近年、社会情勢が多様化している中で、住宅に困窮している低額所得者など、

自力では適切な水準の住宅を確保できない世帯や入居選別を受けやすい高齢者、

障害者、小さな子どものいる世帯など、住宅の確保に特に配慮を要する者も多様化

している。

また、昭和 40 年代に大量に供給された住宅が更新時期を迎えつつある中で、長

期を見通した建替えや計画的な修繕・改善により長寿命化を図るものの分類を行う

など、効果的、効率的なストックの有効活用が求められている。

しかしながら、本市の厳しい財政状況の中で、ストックの長寿命化に必要な計画

修繕を十分に行うことが困難な

状況にある。

こうしたことから、一定の安全

性や居住性を備えており、修繕・

改善により 大限の活用を図る

べき住棟については、予防保全

の観点からの長期的な維持管理

計画(長寿命化計画)を策定し、

ライフサイクルコストの縮減と事業

量の平準化を図っている。

2.取組の成果・効果

定期的な点検を実施し市営住宅ストックの状況を把握した上で、適切な時期に

予防保全的な修繕及び耐久性の向上等を図る改善を実施することで、市営住宅の

長寿命化が図られ、ライフサイクルコストの縮減に寄与している。

また、これらの適切な修繕及び改善を実施することで、市営住宅の安全性も確保

されている。

昭和20年代

2.9%昭和30年代

8.2%

昭和40年代

42.9%昭和50年代

20.9%

昭和60年代

18.0%

平成7年以降

7.1%

■市 営 住 宅 ストックの建 設 年 代 別 戸 数 比 率

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3.取組内容

3-1 日常的な維持管理

公営住宅の定期点検を 3 年に 1 度実施しており、この点検作業において、予防

保全的な項目(外壁、屋上防水)を加え、維持管理の課題を明確にするとともに、

公営住宅の修繕履歴データを団地別及び住棟別に整備し、継続的に履歴を確認

できる仕組みを整備している。

3-2 長寿命化及びライフサイクルコストの縮減

これまでの対症療法的な維持管理ではなく、予防保全による計画的な維持管理

として改善を行うことにより長寿命化を図っている。

具体的には、仕様のアップグレードによる耐久性の向上、予防保全的な維持管

理の実践による修繕周期の延長によりライフサイクルコストを縮減するとともに、修繕

や改善の効率的な実施を図ることにより建物の老朽化や劣化による事故等を未然

に防止している。

3-3 修繕管理・改善事業の内容

ア 修繕対応

長寿命化の対象とする住棟につい

ては、3 年に 1 回の定期的な点検を

行い、適切な時期に予防保全的な

修繕を行うことで、居住性・安全性等

の維持・向上を図り、長期的に活用

している。

〔定期点検の実施、経常修繕の実

施〕

イ 居住性向上型

住戸規模の改善や住戸・住棟の

機能向上を図り、居住性を向上させ

ている。

〔電気容量の増加、鋼製建具のア

ルミサッシ化、住戸規模の改善、駐

車場整備など〕

【住戸規模の改善】

【屋上断熱防水修繕】

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市営基町住宅団地において、国の示す 低居住面積水準に満たない単身

者向け1K住宅(18 ㎡<国水準 25 ㎡)や 4 人家族の場合の2DK・3K(36 ㎡・

42 ㎡<国水準 50 ㎡)の居住環境を改善するとともに、新たなファミリー世帯の

入居促進を図ること目的として住戸規模の改善を行っている。

【住戸規模の改善】3K住宅→3DK住宅

3K住宅(床面積約 42 ㎡)3戸を、3DK住宅(床面積約 59.66 ㎡)2戸に規模増改善

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ウ 福祉対応型

高齢者が安全に安心して居住できるよう、住戸内部の段差の解消や手すりの

設置など、住宅のバリアフリー化を推進している。

〔住戸内部の段差解消、手すりの設置、レバーハンドルへの変更、スイッチの

大型化など〕

エ 安全性確保型

防犯性や落下・転倒防止など

の生活事故防止に配慮した改

善を行っている。

〔防犯灯の設置、ベランダ手す

りの改善、ガス管の改修、エレベ

ーターの改修など〕

オ 長寿命化型

一定の居住性や安全性等が確保されており、

長期的な活用を図るべき住棟において、耐久性

の向上や躯体への影響の低減、維持管理の容

易性向上の観点から、予防保全的な改善を行

っている。

〔外壁及び屋上防水の耐久性向上、給排水

管の更新など〕

【手すりの設置】 【和室の段佐解消】

【外壁改修】

【手すりの設置】

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費用

経年2013

将来予測費用

長寿命化後推計

1.ファシリティマネジメント

1-② 所管施設全体の中長期の整備計画の策定

『『長長寿寿命命化化にに資資すするる一一定定地地域域内内ににおおけけるる

官官庁庁施施設設のの整整備備構構想想のの策策定定ににつついいてて』』

国土交通省 官庁営繕部計画課

03-5253-8111(23228)

1.背景・目的・概要

高度成長期に集中的に整備された社会資本が今後急速に老朽化することが見

込まれ、厳しい財政状況の中、既存の社会資本を効率的に活用しつつ、適切かつ

確実に維持・更新を進めることが喫緊の課題となっている。

官庁施設についても、同時期に多くの施設が整備されており、現在、築後 30 年

以上を経過したものが約 4 割を占め、10 年後には約 5 割に達し、老朽化が更に進

行することが見込まれており、官庁施設の老朽化対策を計画的かつ効率的に推進

し、官庁施設を適切に維持・更新をしていく必要がある(図-1~2)。

このため、全国を約 330 地域に区分し、一定地域内の官庁施設を群として計画

的に維持・更新するため、従来の建替と入居官署の入換えによる使用調整に加え、

比較的健全な施設を対象とする長寿命化改修を組み合わせた 適な中長期整備

計画を策定し、それに基づく官庁施設の長寿命化に資する整備を実施する。

2.取組の成果・効果

官庁施設の長寿命化に資する整備と保全の一層の強化等によって、官庁施設

の長寿命化を図ることにより、来訪者等の安全の確保と行政サービスの円滑な提供

の維持並びにトータルコストの縮減と予算の平準化を図る効果が見込まれる。

なお、長寿命化を行った場合、その期間中は1㎡当たり年間 2~3 千円程度(※)

の費用縮減が見込まれる。

※長 寿 命 化 改 修 費 を 7 万 円 /㎡とし、当 初 40 年 の寿 命 を 65 年 まで長 寿 命 化 したものと仮 定 して、図 -5の

合 理 的 なコストの目 安 に示 す比 較 を行 った結 果

図-1 官庁施設経年別延べ面積割合 図-2 予算の平準化イメージ

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3.取組内容

3-1 一定地域内における官庁施設の整備構想の策定

●施設整備構想の概要

一定地域内における官庁施設を群として効率的・効果的なファシリティマネジメン

トを行うことにより良質なストックとしての整備・活用を図るため、各国家機関の機能と

建物が有する性能が 適な組合せとなるように整備構想を策定する(図-3)。

整備構想は、全国を約 330 に区分した地域毎に、現状の整理を行うこと及びその

現状を踏まえた今後の整備予定を検討することにより、群としての施設整備の構想

を策定するものである。

●既存官庁施設の更なる徹底利活用

従来から、一定地域内の官庁施設について、建替、使用調整等からなる整備計

画を策定し、官庁施設の有効利活用を図ってきたが、既存官庁施設の更なる徹底

利活用を図る観点から長寿命化改修という手法を導入し、計画的かつ効率的な維

持・更新を推進することを目的として中長期整備計画を策定する。

●整備計画策定に当たっての主な視点

建替、長寿命化改修、入居官署の入換えによる使用調整等の手法を組み合

せて、費用対効果の高い 適な計画を立案する。

地域や行政のニーズを踏まえ、一定地域内の既存官庁施設から長寿命化す

るものを選定し、各官庁施設について、当該地域の今後の建替・改修が効率

的・効果的に進められるように目標寿命年度を設定する。

図-3 一定地域内における官庁施設の中長期整備計画のイメージ

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築30~50年か

Yes

築30年以内:現状維持築50年超え:建替

その他の障害※1がないか

Yes

合理的なコスト※2

建替又は使用調整

No

増築・改修で対応可能

長寿命化改修の検討目標寿命年度の設定

Yes

長寿命化改修

耐震改修済かつ躯体が

健全か建替又は使用調整

Yes

No

No

改修が可能か

No

Yes

No

No現状維持

※1その他の障害:法令不適格、都市計画、狭隘、分散等

現在 目標寿命年度 想定寿命

長寿命化改修(コストA)

建替(コストB)

X年後

65年後

※2 合理的なコストの目安:A/X<B/65

3-2 長寿命化改修対象施設の選定

長寿命化改修を行う施設は、築後 30~50 年の施設のうち比較的健全な官庁施

設を対象とする(図-4)。

一定地域内の個々の官庁施設について、構造躯体の健全度、法令不適格、都

市計画、狭隘、分散等の条件で、長期的に使用可能な施設であるか判定する。更

に、長寿命化改修に要する費用が合理的なコストである場合は、原則として長寿命

化改修を行う(図-5)。

3-3 長寿命化改修の実施

目標寿命年度にあわせて、必要な仕様や耐久性等を考慮して改修メニューを決

め長寿命化改修を実施する。

長寿命化改修とは、築後 30~50 年の施設に対し、 通常の耐用年数(50 年)を超

えて、長寿命化(築後 65 年程度)を図るために実施する改修をいい、具体的には、

構造躯体が健全である(耐震性能を含む)ことを前提に、構造躯体の劣化を防止す

る屋根、外壁又は建具の改修とそれに併せて実施することが合理的な建築設備等

の改修を行う事業である(図-6)。

図-4 長寿命化対象施設イメージ

図-6 長寿命化改修の概要 図-5 長寿命化対象施設検討イメージ

・建物の躯体(構造体・骨組み)は、ひび割れに雨水が侵入すると、劣化が著しく加速。

・躯体のひび割れからの雨水浸入を防ぐため、防水層、外壁、建具等の劣化防止対策が必要。

時間

限界

躯体の健全度

躯体の寿命建替え時

ひび割れに雨水が侵入し、鉄筋が劣化

・その他併せて実施することが合理的な建築非構造部材及び建築設備の改修等を実施。

比較的健全な施設

寿命を迎えた施設

:施設の分布

健全度

経年

建替

長寿命化改修※

30年