1.解 剖 - Seminar StreamA-1 1 解 剖 1.解 剖 ⑴ 気管分岐部...

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A-1 1 1.解 剖 1.解 剖 1.解 剖 ⑴ 気管分岐部 ・気管の分岐:気管は第 4 胸椎の高さで左右に分岐し、左主気管支は右主気管支より長い⑵ 気管支 名称:呼吸細気管支は終末細気管支よりも末梢に存在する。 ☞ 細気管支 気管支軟骨の消失 細気管支以降 ・線毛の減少~消失 → 細気管支以降次第に消失 食道 平滑筋 気管腺 気管軟骨 (馬蹄型) 膜性壁 分岐 気管支の分岐 0 1 2 3 4 17 18 19 20 21 22 23 気道部 (導管部) 移行部 呼吸部 気 管 気管支 呼吸細気管支 二次 肺胞 三次 一次 肺胞管 肺 胞 細気管支 終末細気管支 粘膜上皮 気管支平滑筋 気管支軟骨 軟骨は全周を覆わない 粘膜固有層 参照:i Medicine 2 呼吸器 p.5, 6 【総論】

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A-1

1▼解 

1.解 剖1.解 剖1.解 剖

⑴ 気管分岐部

・気管の分岐:気管は第4胸椎の高さで左右に分岐し、左主気管支は右主気管支より長い。

⑵ 気管支

名称:呼吸細気管支は終末細気管支よりも末梢に存在する。

☞ 細気管支・気管支軟骨の消失 → 細気管支以降・線毛の減少~消失 → 細気管支以降次第に消失

食道

平滑筋

気管腺

気管軟骨(馬蹄型)

膜性壁

分岐 気管支の分岐

0

1

2

3

4

171819202122

23

気道部(導管部)

移行部

呼吸部

気 管

気管支

呼吸細気管支二次肺胞三次

一次

肺胞管

肺 胞

細気管支終末細気管支 軟

骨はない

粘膜上皮

気管支平滑筋

気管支軟骨

軟骨は全周を覆わない

粘膜固有層

参照:i Medicine 2呼吸器 p.5, 6

【総論】

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A-2

参照:i Medicine 2呼吸器 p.11, 17

⑶ 肺分画

・肺区域 → S1~ S10まで確実に立体的に記憶すること!

※ポイント・後ろ(背部)には、上から上葉のS2、下葉のS6、その下に下葉のS10が存在・中肺野には、中葉のS4とS5、さらに下葉頭側のS6が存在している

☞ 右肺と左肺の違い

⑷ 胸腔と縦隔

・胸腔とは胸膜に覆われた閉鎖空間 → 気道とはつながりはない!

1 12 2

3 33 3

1+21+2

4 4 45

55 5

55

7 778 8

8

8 8

8

89 9 9 9

99

6 66

6

1010

1010 10

**

側面像(外側)

右肺 左肺 右肺 左肺 右肺 左肺

側面像(縦隔側) 横隔面(腹腔側)

右肺では、上葉 → S1 が肺尖、S2 が後方、S3 が前方中葉 → S4 が外側、S5 が内側下葉 → S6 は後ろで上方    S7、S8、S9、S10 は肺底区で、    順に内側、前方、外側、後方(S10 は S6 の下にくる)となっている。

壁側胸膜(肋骨胸膜)

壁側胸膜(横隔胸膜)

壁側胸膜(縦隔胸膜)

臓側胸膜

横隔膜

心臓 心臓

胸膜腔

胸膜弾性板

肺弾性板

胸膜腔

胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞胞

中皮細胞

臓側胸膜 壁側胸膜

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A-3

1▼解 

参照:i Medicine 2呼吸器 p.16, 19

☞ 縦 隔・上縦隔は気管分岐部のTh4 → 縦隔上縁は第一肋骨を通る面・上大静脈や横隔神経は肺門前方に存在し、食道・迷走神経・胸管・下行大動脈は後方

⑸ 呼吸筋

・呼吸筋には主呼吸筋(横隔膜、肋間筋)、補助呼吸筋がある。・安静吸気には横隔膜(腹式呼吸)と外肋間筋(胸式呼吸)、呼気は受動的反跳で行われる。努力性呼吸では、吸気には胸鎖乳突筋・斜角筋群が、呼気には内肋間筋や腹直筋などが用いられる。

☞ 横隔膜・横隔神経:C4由来で、中縦隔の肺門前方を下降し、横隔膜を支配する。

T4T5

T12L1

上縦隔胸骨柄

後縦隔

中縦隔

前縦隔

胸骨体

剣状突起

横隔膜交感神経幹

気 管

上大静脈

奇静脈

食 道

右迷走神経

大動脈弓

左横隔神経

上行大動脈(AAo)

下行大動脈(DAo)

左反回神経

胸 管

T4

リンパ節

左迷走神経

T4T5

T12L1

大静脈孔

食道裂孔

大動脈裂孔

横隔膜

横隔膜の収縮 →胸腔内陰圧の増加

横隔膜の弛緩 →胸腔内陰圧の低下

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A-4

参照:i Medicine 2呼吸器 p.12, 14, 18

☞ 胸 郭・肋骨は肋軟骨を介して胸骨と連続する。・肋間神経や肋間動静脈は肋骨下縁を走行する。

⑹ 血 管

・肺動脈主幹部は左後上方に走行し、左右の肺動脈に分かれ、左肺動脈は左主気管支を乗り越えて左肺門にいたり、右肺動脈は気管分岐部前方を右方に走行して右上葉への枝を分岐

☞ 気管支と肺動脈は並行して小葉の中心部を走行し、リンパ管と末梢肺静脈は小葉間隔壁に存在する。

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

1112

肋軟骨

胸骨柄

肋骨

肋間隙

鎖骨

剣状突起

胸骨体

へい

肋間動脈

肋間静脈

肋間神経 最内肋間筋

���

肋 骨

内肋間筋

外肋間筋

肺動脈幹

気管

左肺動脈右肺動脈

A1

A2

A3

A4

A5A6

A8A8

A9 A9A10A10

A7

A6

A5

A4

A3

A1+2肺区域(S)

区域静脈(区間枝)

区域動脈(A)

区域気管支(B)

気管支肺動脈肺静脈

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A-5

2▼組 

参照:i Medicine 2呼吸器 p.7, 8

2.組 織2.組 織2.組 織

⑴ 肺 胞

① 肺胞上皮・Ⅰ型肺胞上皮は単層扁平上皮で、ガス拡散に関与・Ⅱ型肺胞上皮はサーファクタント(界面活性物質 → 表面張力低下)を産生

☞ 肺胞にまで至った2μm以下の異物は肺胞マクロファージにより除去 → 肺胞クリアランス

② 肺胞孔・肺胞間には肺胞孔(Kohnの小孔)があり、末梢気道の閉塞による無気肺を防いでいる → 大葉性肺炎

Ⅱ型上皮

Ⅰ型上皮

閉塞

Kohn 孔が無気肺を防ぐ

Kohn 孔を介し炎症が広がる

Kohn 孔肺胞

【総論】

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A-6

参照:i Medicine 2呼吸器 p.34

⑵ 気管支

・杯細胞から分泌された粘液は、線毛上皮(→ 線毛運動にはダイニン腕が必要)による流れfl owを形成することで異物を除去する

口側

粘液中の異物

喉頭への流れ

杯細胞線毛

粘液層

粘液(分泌顆粒)

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A-7

2▼組 

□ □ □ 1.104E24  気道の解剖について正しいのはどれか。

a 気管は食道の左前方に位置している。 b 主気管支は右の方が長い。 c 気管支は肺静脈と伴走する。 d 終末細気管支は呼吸細気管支に移行する。 e 呼吸細気管支には軟骨がある。

□ □ □ 2.103G12  正しいのはどれか。

a 気管は第4胸椎の高さで左右に分岐する。 b 右主気管支は左主気管支よりも長い。 c 末梢肺静脈は気管支と並行して走る。 d 呼吸細気管支が分岐して終末細気管支となる。 e ガス交換は肺胞孔で行われる。 

□ □ □ 3.104B8  胸部の解剖について正しいのはどれか。

a 大胸筋は上腕骨に付着する。 b 奇静脈は腕頭静脈に流入する。 c 縦隔上縁は鎖骨で形成される。 d 横隔膜の辺縁部は腱膜である。 e 肋骨は背側で肋軟骨に移行する。

□ □ □ 4.98G31  正しいのはどれか。

a 気管支粘膜は移行上皮細胞からなる。 b 細気管支には軟骨がある。 c 呼吸細気管支には線毛上皮細胞がある。 d 肺胞間には交通路がない。 e Ⅱ型肺胞上皮細胞は広く肺胞表面を覆っている。

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A-8

参照:i Medicine 2呼吸器 p.21

3.機 能3.機 能3.機 能

⑴ 全 体

・肺における呼吸は、3つの要素に分けられる。 換気:外界との気体の交換 拡散:肺胞と肺毛細血管との気体の移動 運搬:血液を介する気体の運搬・これらの1つ以上に障害が生じると、呼吸は障害される。逆に、呼吸不全ではこれらのどこに障害があるのかを考える。

☞ まとめ

構 造

気道

肺胞

間質

血管

機 能

呼 吸

換気

拡散

血流 (運搬)

CO2 O2

外界(大気)

気道

肺胞

末梢細胞

間質

動脈静脈

RV LVRV LV

CO2 O2

CO2 O2

CO2 O2

CO2

HbHbO2

Hb-O2

(酸化型)(還元型)

Hb

【総論】

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A-9

3▼機 

参照:i Medicine 2呼吸器 p.22

⑵ 換 気

・大気圧に比べると、胸腔内(=胸膜によって覆われている閉鎖空間)の圧力は呼気も吸気も常に陰圧であり、その陰圧の程度が変化することで、肺胞内圧が陰圧(=吸気)になったり、陽圧(=呼気)になったりする。

☞ 胸腔内圧は常に陰圧!

⑶ 拡散:ガス交換

・拡散は濃度の高い方から低い空間へ粒子が広がること・酸素分圧は肺毛細血管より肺胞内のほうが高いので、酸素はⅠ型肺胞上皮を介して毛細血管に拡散するcf. 空気呼吸では、吸気の酸素は21%で二酸化炭素は0.03%、呼気の酸素は16%で二酸化炭素は5%

・二酸化炭素は拡散しやすいので、拡散障害はない

☞ 拡散に影響を与える因子・拡散する物質:二酸化炭素は拡散しやすいが、酸素は拡散しにくい!・濃度差:濃度差の大きいほうが拡散しやすい・拡散表面積:表面積が大きいほど拡散しやすい(肺胞の表面積は75m2)・拡散抵抗:Ⅰ型肺胞上皮と間質(基底膜の間)が重要

吸息

肺胞内圧

胸腔内圧

呼吸量

呼息+2

+1

-1

-2

-3

-4

-5

-6

0.6

0.4

0.2

00 1 2 3 4

容積(L)

圧(mmHg)

時間(秒)

0

CO2 O2

CO2 O2Hb

HbO2

外界(大気)

気道

肺胞

間質

(還元型)

(酸化型)

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A-10

参照:i Medicine 2呼吸器 p.24

⑷ 換気調節

・睡眠時・無意識のうちに換気する場合:PaCO2の増加 → 延髄の呼吸中枢

・呼気時間と吸気時間は、1:2程度で、各種反射・中枢などで調節されている。

横隔膜

外肋間筋

吸気

呼吸中枢

・中枢受容体:CO2↑ (脳幹)

・末梢受容体:O2↓ (頸動脈小体、大動脈小体)

C4 横隔神経

刺激

大脳皮質

肋間神経Th

肺気量

吸気1:2

呼気 吸気 呼気

Hering -Breuer 反射など

・呼吸中枢  延 髄・随意    大脳皮質

 延 髄   大脳皮質