1.摂食嚥下とは1.摂食嚥下とは...

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1.摂食嚥下とは 摂食嚥下とは、水分や食物を口に取りこみ咽頭と食道を経て胃へ送り込む 過程。 摂食嚥下障害とは、摂食嚥下のいずれかに異常が起こること。摂食嚥下障害 で問題になることは①栄養不良・脱水②誤嚥・窒息③食べる楽しみの喪失等が ある。 誤嚥とは、本来食道内に入るべきものが、気道内に入り込んでしまうこと をいう。 通常は、誤って気道内に異物が侵入した場合、喀出するために咳反射が生 じるが、ムセがない不顕性誤嚥もある。不顕性誤嚥は食物だけでなく、口腔 内細菌を多数含む唾液や、逆流してきた胃内容物を少量ずつ持続的に誤嚥す る不顕性誤嚥もある。

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  • 1.摂食嚥下とは

    摂食嚥下とは、水分や食物を口に取りこみ咽頭と食道を経て胃へ送り込む

    過程。

    摂食嚥下障害とは、摂食嚥下のいずれかに異常が起こること。摂食嚥下障害

    で問題になることは①栄養不良・脱水②誤嚥・窒息③食べる楽しみの喪失等が

    ある。

    誤嚥とは、本来食道内に入るべきものが、気道内に入り込んでしまうこと

    をいう。

    通常は、誤って気道内に異物が侵入した場合、喀出するために咳反射が生

    じるが、ムセがない不顕性誤嚥もある。不顕性誤嚥は食物だけでなく、口腔

    内細菌を多数含む唾液や、逆流してきた胃内容物を少量ずつ持続的に誤嚥す

    る不顕性誤嚥もある。

  • 2.嚥下運動とは

    1)解剖

    (1)口腔

  • (2)咽頭(側面の図)

    鼻腔(びくう)と口腔(こうくう)

    ・鼻腔(びくう):鼻のなか

    ・硬口蓋(こうこうがい):口の天井前方の硬い部分

    ・軟口蓋(なんこうがい):口の天井後方の軟らかい部分

    ・上顎骨(じょうがくこつ):上あごの骨

    ・下顎骨(かがくこつ):下あごの骨

  • 咽頭(いんとう)

    ・咽頭(いんとう):のど

    ・喉頭蓋(こうとうがい):嚥下の瞬間、喉頭の蓋になる重要な所

    ・喉頭蓋谷(こうとうがいこく):「こうとうがいや」とも言う

    舌根と喉頭蓋の間にあるくぼみ

    嚥下の際飲食物を一旦溜める重要な所

    ・舌骨(ぜっこつ):舌と喉頭の間に位置し喉頭挙上に重要な役割を担う

    ・甲状軟骨(こうじょうなんこつ):「のど仏」とも言う

    喉頭の軟骨の中で最も大きい

    ・輪状軟骨(りんじょうなんこつ):甲状軟骨の下にある軟骨

    こうじょうなんこつ

    甲状軟骨

    輪状軟骨

    りんじょうなんこつ

  • 喉頭(こうとう)と食道(しょくどう)

    ・喉頭(こうとう):気管の入り口

    ・声帯(せいたい):発声を行う器管。同時に誤嚥防止にも役立っている

    ・気管(きかん):空気の通り道

    嚥下の瞬間以外、空気が通っている

    ・食道入口部(しょくどうにゅうこうぶ):食道の入り口

    通常は閉じて逆流を防止して

    いる

    ・食道(しょくどう):食物の通り道

  • 2)5期モデル

    摂食嚥下は一般的に5つの流れに分けて説明されている。

    (1)認知期(2)準備期(3)口腔期(4)咽頭期(5)食道期

    (1)認知期

    食物を認知する段階。視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚が関わっている。

    経験から食物を見て味や硬さ、臭いなどを連想し、食欲を感じ、唾液分

    泌、消化管の運動等につながり食べる準備が始まる。何からどのように

    して食べるか等を決定し、食器を扱い、周りの雰囲気などにも気を配り

    ながら、食物を口まで適切なペースで運ぶ。意識障害、認知症、注意障

    害などが影響する。

    (2)準備期

    食物を口腔に取り込み、咀嚼して唾液と混ぜ合わせて嚥下しやすい食塊

    (食物の塊)を作る。口唇、頬、舌の運動障害があると上手くできず、口

    からこぼれたり、嚥下前に食べ物がのどへ流れていき誤嚥すること等があ

    る。

  • (3)口腔期

    準備期で形成した食塊を舌を使って口唇側から咽頭に送り込む。

    口唇、頬、舌の運動障害があると口の中に食物を溜め込む、嚥下前に食

    物が咽頭へ流れていき誤嚥する、嚥下後も口の中に食べ物が残る事等が

    ある。

  • (4)咽頭期

    食塊が咽頭に送り込まれると、嚥下反射が起こり、咽頭から食道へ約 0,5

    秒で運ぶ。生命の危機にもつながる誤嚥が起こる場所で、嚥下のポイントと

    なるところ。複雑な嚥下反射の流れを簡単にまとめると以下のようになる。

    ①軟口蓋が後方へ動き鼻咽腔を閉鎖する。(鼻腔への逆流を防止)

    ②舌骨が前上方に動く。

    ③舌骨に引かれて甲状軟骨と輪状軟骨も前上方へ動く。

    ④同時に食道入口部が開く。

    (食道入口部は普段は閉じて逆流を防止している)

    ⑤舌根部が後下方へ動き、咽頭後壁に押し付けられることで食塊を咽頭か

    ら食道へ押し出す力が生じる。

    ⑥同時に咽頭が上から下に絞り出すように収縮する。

    ⑦喉頭蓋が反転して気管への通路が喉頭(気道)を閉鎖する。

  • (5)食道期

    食道入口部を通過して食塊が食道へ入ると蠕動運動(筋肉の収縮)が起こ

    り胃へ運ばれる。(重力、腹腔内圧も関係している)

    脳血管障害、神経筋疾患、加齢などで食道の運動障害が起こると、胃食道逆

    流、食道内逆流、食道残留が問題となる。

    引用参考文献

    http://www.emec.co.jp/swallow/06.html

    https://health.goo.ne.jp/medical/body/jin026

    藤島一郎・柴本勇監修.摂食・嚥下リハビリテーション.中山書店,2004

    藤島一郎著.ナースのための摂食・嚥下障害ガイドブック.中央法規.2005.

    聖隷三方原病院嚥下チーム著.嚥下障害ポケットマニュアル.医歯薬出版株式会社.2001.

    http://ord.yahoo.co.jp/o/image/RV=1/RE=1495618802/RH=b3JkLnlhaG9vLmNvLmpw/RB=/RU=aHR0cHM6Ly9oZWFsdGguZ29vLm5lLmpwL21lZGljYWwvYm9keS9qaW4wMjY-/RS=%5EADBjqyx1dtmZ7iJ7X1KAH.GIrWYjbs-;_ylc=X3IDMgRmc3QDMARpZHgDMARvaWQDQU5kOUdjU1lYLU5hNlVpRXpGdkV0MVVCcmYzc2pLd0RLUzcxcVhoZmRGSFFaY0tIaWR4V0tqU21fSU9EUUMwBHADNVkuajZJV1UEcG9zAzE4BHNlYwNzaHcEc2xrA3Jy

  • 3.摂食嚥下障害がおこる病気・原因

    1)脳卒中

    原 因・・・高血圧や喫煙や糖尿病や脂質異常症による動脈硬化や心房動、

    心筋症等不整脈等の心疾患、また血管の老化現象とされている。

    治 療・・・薬により治療(血圧、脈拍の安定)、手術による治療(脳内にあ

    る血腫の除去手術等)

  • 2)神経筋疾患(特にパーキンソン病について)

    パーキンソン病とは・・・主に 40歳から 50歳以降に発症し、ゆっくりと進

    行する原因不明の神経変性疾患。神経伝達物質の一

    つであるドーパミンが減少する事で起こると考え

    られている。

    予後:適切な治療を行えば、一般平均寿命の 95%以上と言われている。

    検査:症状が出た場合は神経内科専門医にかかり診断してもらう。

    治療:①内服(L-ドパ)②リハビリテーション③手術治療(脳深部刺激法:DBS)

    摂食嚥下障害との関連

    運動症状が出るため、随意的な運動や反射運動が障害される。咀嚼や食塊形

    成、食べるために必要な姿勢保持、嚥下反射の低下等食べるために必要な能力

    が低下する。進行性の為、その時点での最良の摂食嚥下状態を維持していくこ

    とが重要となる。

  • 3)認知症(特にアルツハイマー型認知症について)

    認知症とは・・・一度獲得した知能が後天的に低下し、発症前に比べて社会的

    な機能が著しく低下する症状。記憶障害と失語、失行、失認、

    実行機能の4つのうち1つ以上が当てはまる。

    認知症の種類:①アルツハイマー型認知症

    ②脳血管性認知症

    ②レビー小体型認知症

    ③前頭側頭葉変性症

    (※発症の割合が多い順)

  • アルツハイマー型認知症とは・・・大脳全体が萎縮(特に海馬)する。

    主症状は記憶障害及びその他の認知機能の

    低下が主体となる。

    原因:老人班と神経原線維変化が原因とされている。

    治療:①薬物治療

    進行を遅らせる治療と行動・心理症状(BPSD)を抑える治療

    ②薬以外の治療

    書き取りやドリルによる認知リハビリテーション

    回想や家族以外の人との交流、娯楽、ウォーキングなど脳の活性

    化を行う

    摂食嚥下障害との関連

    認知症のステージにより摂食嚥下障害の問題が異なるため、それぞれにあった

    アプローチを考える必要がある。

    ・ 実行機能障害により、一人で料理を作ることが難しくなる。

    ・ 食べたことを忘れる。食器の使い方がわからない。

    ・ すべての認知症の型において失行・失認が出てくる。

    ・ 食事が食べ始められない食事が途中で中断する。

    ・ 食べるペースが乱れる手を使って食べる。

    ・ 介助量が増える誤嚥も見られるようになる。

    ・ 脳の萎縮が重度になり、嚥下機能自体が障害される。

    ・ 口の中の食べ物をうまく粥状にまとめられない。

    ・ 口の中に食べ物を溜め、喉に送れない誤嚥、窒息のリスクが高くなる。

    ・ 傾眠や意識レベル低下の影響が出てくる。

    ・ 食べる量が少なくなってくる。

  • 4)加齢

    高齢者とは・・・世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを

    さし、65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者

    と呼ぶ。

    摂食嚥下障害との関連

    加齢と共に起こる変化の影響で摂食嚥下障害がおこりやすくなる。免疫力や

    予備能力が低く、一旦悪化すると回復までに時間がかかる為、できる限り現在

    の状態を維持する必要がある。加齢に伴う食べること、飲み込むことに関して

    の評価を適切に行い、食べる動きを回復するための訓練、食べやすい食事の形

    態、食べ方、介助の方法、摂食嚥下障害の予防等を行っていく必要がある。

    引用参考文献

    才藤栄一、植田耕一郎監修.摂食嚥下リハビリテーション第三版.医歯薬出版株式会社.2016

    小山珠美、芳村直美監修.実践で身につく!摂食・嚥下障害へのアプローチ.学研.2012

    日本神経学会 認知症疾患ガイドライン https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo.html

    いらすとや http://www.irasutoya.com/

    https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo.html

  • 4.評価(かんさつ)

    1)食事場面の観察

    (1)EAT-10

    摂食嚥下障害質問紙票。

    結果が3点以上又は実施できない場合、摂食嚥下機能に問題を認め

    る可能性が高い。

    *2点以下でも摂食機能障害がないとは言い切れない。

    質問紙票以外のスクリーニングや食事場面の観察を合わせて行う

    必要がある。

    引用参考文献

    http://rehabnutrition.blogspot.jp/2013/09/eat-10.html

  • (2)摂食嚥下障害を疑う症状

    時期 状態・様子 考えられる状況

    食前 ・体力や意識の低下

    ・拒食

    ・食べるための条件が整っていない

    ⇒無理に食べさせると窒息や誤嚥

    の危険がある

    食事中 ・食べるペースが速い

    ・一口量が多く口に溜め込む

    ・噛まずに丸飲みをする

    ・嚥下のタイミングや一口量が適切

    でない

    ⇒窒息や誤嚥の危険がある

    ・歯や義歯の具合が悪い

    ・食べこぼしが多い

    ・噛まなくて良い物を好む

    ・汁物を避ける

    ・片側で噛むことが多く、頬の

    内側に食べ物が残る

    ・食べ物が舌、上顎、歯等に

    くっつく

    ・歯や義歯の具合が悪い

    ・口唇や舌、頬などの動きが悪い

    ・嚥下機能に問題がありムセやすい

    ⇒食事摂取量の低下

    誤嚥や誤嚥性肺炎の危険

    ・食事に時間がかかる

    ・なかなか嚥下できない

    ・食事をすることで疲れて全部

    食べきれない

    ・痰の量が増える

    ・摂食嚥下機能に問題がある

    ・食事の量や形状が適切でない

    ⇒嚥下しづらく誤嚥の危険がある

    ⇒栄養失調、体力低下の危険があ

    ・咽頭の違和感や食べ物の残留

    感がある

    ・ガラガラ声になる

    ・水や汁物がむせやすい

    嚥下機能に問題がある

    ⇒咽頭残留や誤嚥を起こしている可

    能性がある

    食後 ・呼吸が苦しそうになる

    ・SPO2 が食前より 5%以上低

    下する

    ・がらがら声(湿性嗄声)に

    なる

    ・痰の量が増える

    嚥下機能に問題がある

    ⇒誤嚥を起こしている可能性がある

    引用参考文献

    愛つばめ会 http://i-tubame.com/about/

  • 2)スクリーニング評価

    *医師・歯科医師の指示の下行う評価であり、水や食物を用いての評価

    は誤嚥の危険を伴います。

    評価者は看護師法や他の医療職の職務を規定する法律に則り行う。

    (1)反復唾液嚥下テスト(RSST)

    目的:随意的な嚥下の繰り返し能力をみる。

    方法:30 秒間で何回空嚥下が行えるかを数える。

    30 秒間に 3 回未満が問題あり。

    口頭指示理解が不良な場合は判定付加。

    (2)改訂水飲みテスト(MWST)

    目的:嚥下運動及びプロフィールより咽頭期障害を評価する。

    方法:規定の量の冷水を口腔底に入れ嚥下させる。

    評点が4点以上であれば最大でさらに規定の回数を繰り返し、

    最も悪い場合を評点とする。

    カットオフ値を 3 点とすると、誤嚥有無判別の感度は 0,70、

    特異度は 0.88 とされている。

    評価基準

    1:嚥下なし、むせる and/or 呼吸切迫

    2:嚥下あり、呼吸切迫

    3:嚥下あり、呼吸良好、むせる and/or 湿性嗄声

    4:嚥下あり、呼吸良好、むせなし

    5:4 に加え、反復嚥下が 30 秒以内に 2 回可能

    (3)フードテスト(FT)

    目的:食塊形成能、咽頭への送り込みを評価する。

    方法:規定の量のプリンを嚥下させる。

    カットオフ値を 4 点とすると、誤嚥有無判別の感度は 0,72、

    特異度は 0,62 と報告されている。

    評価基準

    1:嚥下なし、むせる and/or 呼吸切迫

    2:嚥下あり、呼吸切迫

    3:嚥下あり、呼吸良好、むせる and/or 湿性嗄声、

    口腔内残留中等度

    4:嚥下あり、呼吸良好、むせなし、口腔内残留ほぼなし

    5:4 に加え、反復嚥下が 30 秒以内に 2 回可能

  • (4)頸部聴診法

    目的:咽頭残留や誤嚥を評価する。

    方法:聴診器を頸部に接触させ嚥下音と嚥下前後の呼吸音の変化を

    聞く。

    嚥下後にゴロ音等が呼吸音に混ざる等変化があれば咽頭残留

    や誤嚥を疑う。

  • 3)嚥下造影(VF)検査とは

    摂食嚥下障害の疑われる方に対し、レントゲン室で X 線を照射しながら行う

    飲み込みの検査。

    どのように口から食道へ運ばれていくか、一連の流れを客観的に評価する。

    ①「誤嚥」はないか

    ②安全に食べられる食形態・姿勢・とろみの粘度等はどういったものがよい

    か。

    ③どのような訓練がリハビリに効果的か

  • (2)使用する模擬食品の一例

    ※バリウムを混ぜているため、食品は白くなる。

    (3)画像説明

    ①解剖

  • ②誤嚥

    ③咽頭残留

  • 引用参考文献

    聖隷三方原病院嚥下チーム著.嚥下障害ポケットマニュアル.医歯薬出版株式会社.

    2001.

    藤島一郎著.ナースのための摂食・嚥下障害ガイドブック.中央法規.2005.

    斉藤栄一、向井美恵監修.摂食・嚥下リハビリテーション.医歯薬出版株式会社.2007.

    日本摂食嚥下リハビリテーション学会.摂食嚥下障害の評価【簡易版】 2015改訂.

    2015

    才藤栄一、植田耕一郎監修.摂食嚥下リハビリテーション第三版.医歯薬出版

    株式会社.2016

  • 5.訓練

    1)嚥下体操

    ①目的

    ごはん前の準備体操や基礎訓練として行われます。全身や頸部の嚥下筋の

    リラクゼーションになり、また覚醒を促すことにもつながります。

    有名なものにくっぽちゃんの健康体操があります。

    ②方法

  • 2)頭部挙上訓練 おでこ体操

    ①目的

    喉ぼとけを持ち上げる筋肉を鍛える訓練です。食道への通過を促し、喉に

    残る食べ物を減らします。

    ②方法

    ・仰向きに寝転がります。

    ・つま先を見るように頭を持ち上げます。

    ・60 秒間持ち上げたままにします。

    ・60 秒保持後、60 秒休憩します。一日 3 回が目安です。

    ・仰向きに寝転がります。

    この時肩が浮かないよ

    うに気を付けます。

  • ・つま先が見えるように頭を持ち上げ、すぐに頭を下げます。

    ・30 回連続してくり返します。1 日 3 回が目安です。

    ・患者様は座位になります。

    ・おでこを手で抑えます。

    ・おでこを手に押し付けてもらいます。

    ・ゆっくり 5 秒数えながら持続して行う方法と 1 から 5 まで数えながら

    それに合わせて力を入れる方法があります。

  • 3)発声訓練~パタカラ発声~

    ①目的

    食べるために必要な口唇や舌の筋力を鍛えます。

    ②手順

    ・パの発声をします。回数や速さは患者様に合わせて決めます。

    ・タの発声をします。

    ・カの発声をします。

    ・ラの発声をします。

    4)ブローイング訓練

    ①目的

    吹く動作により、飲み込む際鼻から息が漏れるのを防ぎます。鼻から息が漏

    れると食べ物が鼻へと逆流したり、喉に残りやすくなります。鼻から抜けるよ

    うな声(開鼻声)がみられる方は要注意です。

    ②準備するもの

    ・水を入れたコップまたはペットボトル

    ・ストロー

    口唇を閉める筋肉を鍛えます。

    食べ物が口からこぼれるのを

    防いでいます。

    舌の前の方の筋肉を鍛えます。

    食べ物を噛んだり押しつぶした

    りするときに必要です。

    舌の奥の方の筋肉を鍛えます。

    食べ物を喉に送り込む際に必要

    です。

    舌を丸める筋肉を鍛えます。

    食べ物を飲み込みやすく丸め

    る際に必要です。

  • ③手順

    ・水を入れたコップにストローを入れます。

    ・静かにできるだけ長くぶくぶくと泡立つように吹きます。

    ・1 回 5 分程度で 1 日 2~3 回行います。

    ・水を飲み込んでしまう、吹くことが難しい場合は垂らしたティッシュや

    ガーゼに息を吹きかけていただきます。

    引用参考文献

    ・日本摂食嚥下リハ会誌 18(1):55–89,2014「訓練法のまとめ(2014 版)」

    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89.pdf

    ・徳島大学歯学部・大学院口腔科学教育部「くっぽちゃんの健口体操」

    http://www.tokushima-u.ac.jp/dent/kenko.html

    ・山本歯科医院「パタカラ体操」画像使用 http://shika-yamamoto.jp/blog/

    ・エルメッド エーザイ株式会社「摂食嚥下障害の訓練法」画像使用

    http://www.emec.co.jp/swallow/12.html

    水の量や粘度で難易度の調整

    ができる。

    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89.pdfhttp://www.tokushima-u.ac.jp/dent/kenko.htmlhttp://shika-yamamoto.jp/blog/http://www.emec.co.jp/swallow/12.html

  • 6.必要な栄養を取るために(痩せていかない様にするには)

    1)口から食べられない人の栄養方法は?(種類)

    静脈栄養法と経腸栄養法がある。

    静脈栄養法として抹消静脈栄養法と中心静脈栄養法がある。経腸

    栄養が不可能な場合や経腸栄養法では必要な栄養量を摂取できない

    場合に適応とされている。抹消静脈栄養法は静脈栄養の施行期間が

    短期間の場合に適応とされている。静脈栄養の施行期間が長期にな

    る場合や高カロリーの栄養剤を投与する場合には中心静脈栄養法が

    適応とされている。

    経腸栄養法は経口的に摂取する方法と経管栄養法がある。経口的

    な栄養摂取が不可能な場合、あるいは経口摂取のみでは必要な栄養

    量を投与できない場合に経管栄養法が選択されている。消化管を通

    じて消化・吸収が行われるためより生理的で腸管の廃用性の機能低

    下を防ぎ、注入物も水分だけ注入したり高カロリーの濃厚流動食と

    合わせて注入したり様々な対応が可能。消化管機能の障害がない場

    合は経腸栄養法が第一選択肢とされている。チューブをどこから(口

    腔・鼻腔)どこまで(食道・胃・十二指腸・空腸)挿入するか、持

    続的(鼻から挿入し留置しておく)か間欠的(食事の度に口から挿

    入する)か等様々な方法がある。

  • 2)経鼻胃経管栄養と胃瘻

    経鼻経管栄養 胃瘻

    適応 ・消化管機能の障害がなく経口か

    らの栄養摂取が不十分な場合

    ・ある程度長期に渡り経口摂取が

    困難な状態

    ・手術に耐えられる全身状態

    ・胃の位置や大きさによっては適

    応とならない場合がある

    利点 ・手技が広く普及している ・嚥下を妨げない

    ・咽頭の刺激がない

    ・自己抜去が少ない

    ・肺炎リスクの低下

    欠点 ・嚥下への悪影響

    ・鼻咽頭の損傷の可能性

    ・誤嚥発生のリスク

    ・鼻咽頭の違和感

    ・審美的な問題

    ・手術が必要

    ・自己抜去時の合併症

  • 3)栄養が必要な理由

    ◆植物の栄養のとり方

    植物は葉緑素を持っているため光合成を

    して栄養を作ることができる。

    ◆人間の栄養のとり方

    人間は葉緑素を持っていないため食物を食

    べて栄養を摂取する必要がある。

    食物を噛み砕く

    食物が消化される

    栄養となって体に吸収される

    栄養が不足したりバランスが悪くなったりすると、生活の質が下がったり、

    体や精神の不調のために、辛い思いをしたりすることがある。栄養は、丈夫な

    体を作り、毎日を元気に過ごし、将来も健康的に過ごすためにとても大切であ

    る。

    栄養(食べること)は生命を維持するために必要なもの

    http://publicdomainq.net/vegetables-food-0010568/

  • 参考文献

    https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/shumatsuiryou/jomyaku-eiyo.html

    藤島一郎著.ナースのための摂食・嚥下障害ガイドブック.中央法規.2005.

    斉藤栄一、向井美恵監修.摂食・嚥下リハビリテーション.医歯薬出版株式会社.2007.

    日本静脈経腸栄養学会編集.静脈経腸栄養ガイドライン-第 3 版.株式会社照林社.

    2013.

    AllAbout健康・医療 https://allabout.co.jp/gm/gc/301343/

    栄養学.net https://eiyougaku.net/eiyoutowananika/

    ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/w/undefined

    パブリックドメイン Q:著作権フリー写真・イラスト http://publicdomainq.net/

    スタディピア

    http://www.homemate-research-junior-high-school.com/useful/20100_junio_study/

    1_science/photosynthesis/

    わかさ生活。わかさの広場 http://www.wakasa.jp/hiroba/sp/kenko_column/0828.php

    https://allabout.co.jp/gm/gc/301343/https://eiyougaku.net/eiyoutowananika/https://ja.wikipedia.org/w/undefinedhttp://publicdomainq.net/http://www.homemate-research-junior-high-school.com/useful/20100_junio_study/1_science/photosynthesis/http://www.homemate-research-junior-high-school.com/useful/20100_junio_study/1_science/photosynthesis/http://www.wakasa.jp/hiroba/sp/kenko_column/0828.php

  • 7.食形態の種類

    1)嚥下調整食とは

    摂食嚥下機能の低下した人が適正な形態の食事を食べることは、低栄養予防、

    窒息予防の観点からも重要である。食事をするときに最低限備えていなければ

    ならないのは食べ物を口の中で細かく粉砕したり、粉砕した食べ物を唾液と混

    ぜてまとめあげる「咀嚼(噛む)機能」と「嚥下(飲み込む)機能」である。

    これらの機能がどの段階まで維持できるかどうかで、どんな形態の食事にする

    とより安全に、さらにはしっかり栄養がとれるかの多くが決まってくるといわ

    れている。

    嚥下機能障害に配慮して調整した(ととのえた・用意した・手を加えた)食

    事という意味で『嚥下調整食』という名称を日本摂食・嚥下リハビリテーショ

    ン学会嚥下調整分類 2013(以下「学会分類 2013」と表記)では採用している。

  • 2)食形態早見表

    学会分類 2013(食事)早見表(本表は必ず「嚥下調整食分類 2013」の本文を併せてお読みください。)

    http://www.engesyoku.com/topics/images/topics_02.gif

  • コード分類(学会分類 2013 参考)

    コード 0j(嚥下訓練食品 0j)

    ゼリー

    コード 4(嚥下調整食 4)

    形がある。咀嚼が必要。

    コード 3(嚥下調整食 3)

    形はあるが、押しつぶし可。

    コード 2(嚥下調整食 2)

    ピューレ

    ペースト

    ミキサー食

    コード 1j(嚥下訓練食品 1j)

    ゼリー・プリン・ムース状

    コード 0t(嚥下訓練食品 0t)

    とろみ

    均質

    不均質な

    ものも含む

    ミキサーは必須ではない

    ミキサー後再整形

    コード 0や 1

    摂食嚥下機能に重度な

    障害があり、食べる訓練を

    行っている人

    コード 2-1

    飲み込む力に加えて、自ら食べ物を

    送り込む力のある人

    コード 2-2

    食事を口の中でまとめる力があり、

    さらにのどに送り込む力のある人

    コード 3

    形のある食品に対して舌や上あごを

    使って押しつぶす力のある人

    コード 4

    歯ぐきや舌などですりつぶす力のあ

    る人

    http://www.shokushien.net/search?type=3&food=206

  • コード 0t(嚥下訓練食 0t)

    形状はとろみ。均質で付着性が低く、粘度が適切で(中間

    のとろみあるいは濃いとろみ)、凝集性が高い。食品の例と

    して、お茶とろみ・果汁とろみなど。

    コード 0j(嚥下訓練食 0j)

    形状はゼリー。物性は 0t同様でやわ

    らかく、離水(※)ない・スライス状

    にすくうことができる。食品の例とし

    て、お茶ゼリー・果汁ゼリーなど。

    ※離水とは、例えば市販のゼリーを食べるとき、カップの蓋をあけると少し

    出る水のこと。これはゲル化したゼリーの中から出てきたものである)

    コード 1j(嚥下調整食 1j)

    形状はゼリー・プリン・ムース状。物性は 0j同様で離水に

    配慮が必要。若干の食塊保持能力が必要。食品の例として、

    卵豆腐・市販のゼリーやムースなど、おもゆゼリーや物性に

    配慮したミキサー粥(※)ゼリーなど。

    ※粥をミキサーにかけると、糊状となり、時間と共に付着性が増す。このよ

    うなミキサー粥は送り込みずらいだけでなく、咽頭に残留するなど嚥下しにく

    く、難易度が高いため、嚥下調整食としては適切ではない。でんぷんの分解酵

    素(α―アミラーゼ)を粥に作用させて、粥のでんぷんを分解してからミキサ

    ーにかけると付着性が高くならない。ただし、酵素を作用させてミキサーにか

    けるだけではさらさらの液状になるため、ゼリー状にする製品を用いて適切な

    状態に配慮する必要がある。

    コード 2(嚥下調整食 2)

    形状はピューレ・ペースト・ミキサー食

    と呼ばれるものなど。コード 2-1 の物性

    はなめらかで均質であること、コード

    2-2 はやわらかい粒などを含む不均質な

    もの。どちらも付着性、凝集性への配慮

    が必要であり、スプーンですくって食べ

    ることができる。食品の例として市販の

    ミキサー食があげられる。主食について

    はとろみ調整食品でとろみ付したおも

    ゆや、付着性が高くならないように処理

    をしたミキサー粥など。

    付着性、凝集性、

    硬さ、離水に配慮した

    ゼリー・プリン・

    ムース状のお食事

    ピューレ・ペースト・

    ミキサー食など均質

    でなめらかで

    べたつかず、まと

    まりやすいお食事

    ピューレ・ペースト・

    ミキサー食などで

    べとつかず、まと

    まりやすいお食事

    http://www.shokushien.net/search?type=3&food=206

  • コード 3(嚥下調整食 3)

    形はあるが、舌と口蓋間の押しつぶし可能

    な形状。物性は食塊形成やや移送が容易で

    多量の離水がなく、咽頭でばらけず、嚥下

    しやすいように配慮したもの。コード 1

    j、2 までは肉や野菜などは、いったんミ

    キサーにかけたり、すりつぶしたりしてから再成形したものを想定しているが、

    コード 3 では粉砕再成形と均一さは必要ではない。食品の例として、高齢者ソ

    フト食、コード1よりも固さのあるゼリーなど。主食については離水に配慮し

    た粥(※)など。

    ※食べ始めには水分が少ない全粥でも、食事中に離水してくることがある。

    これは唾液に含まれるでんぷん分解酵素(α-アミラーゼ)が、スプーンなど

    食事を介して粥に作用するため、摂食に時間がかかる場合にはこの離水が進み、

    コード 2 からコード 4 まで変化する。そうならないためにも①粥を少しずつ取

    り分けて、粥に唾液が混じらないようにする②粥にとろみ調整剤を添加してお

    く③市販されているでんぷん分解酵素を粥に作用させてでんぷんを分解し、ゼ

    リー状にする製品を用いて適切な状態に調整する、などの工夫が必要。

    コード 4(嚥下調整食 4)

    形はあるが、上下の歯ぐき間の押しつぶし

    可能な状態。

    咀嚼様運動ができ、誤嚥や窒息のリスクを

    配慮して、素材と調理方法を選んだもの。

    主食の例として全粥や軟飯などで、副菜の例として軟菜食、移行食と呼ばれる

    ような、煮込み料理、卵料理など、一般食でもこの段階に入るものが多数ある。

    学会分類 2013(食事)では、形態を分類したものであるが、中途障害の嚥下障

    害では、少量のコード 0(jないしt)からスタートし、コード 1,2,3,4のよう

    に嚥下機能が改善すると共に、経口摂取できる量(嚥下動作の耐久性)も改善

    してくることが一般的で、コードが上がるにつれ量も増えてくるピラミッド型

    である。しかしながら、2や3のコードのままの場合もあり、そのコードでの

    量の増加が必要になる場合もある。

    舌と上あごで押し

    つぶすことが可能

    なお食事

    歯ぐきで押しつぶす

    すりつぶすことが

    可能なお食事

  • 引用参考文献

    日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下食調整分類 2013

    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf

    食べるを支える「嚥下調整食・介護食の食形態検索サイト」

    http://www.shokushien.net/

    ヘルシーネットワーク

    http://www.healthynetwork.co.jp/pro/enge2013.html

    エルメットエーザイ株式会社「摂食・嚥下障害のすべて」

    http://www.emec.co.jp/swallow/11.html

    株式会社フードケア

    http://www.food-care.co.jp/products/sbk/index.html

    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdfhttp://www.shokushien.net/http://www.healthynetwork.co.jp/pro/enge2013.htmlhttp://www.emec.co.jp/swallow/11.htmlhttp://www.food-care.co.jp/products/sbk/index.html

  • 8.とろみについて

    1)とろみ調整剤に求められること

    誤嚥リスクの軽減

    ・ 付着性(ベタつき)が低い

    ・ 凝集性(まとまり)が高い

    ・ 経時変化が少ない

    食品としての安全性

    ・ 味や風味、外観を損なわない

    ・ 温度に関わらず、安定してとろみの発現ができる

    ・ 安価である

    操作性

    ・ 攪拌で容易に溶解し、ダマにならない

    ・ 加熱の必要がない

    ・ 短時間でとろみを発現する

    2)ラインスプレットテスト(LST)

    ①ラインスプレットテストとは

    作成したとろみの粘度が日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下

    食調整分類 2013においてどの分類に属するかを測定するもの

    ②使用方法

    ⑴水平な場所にシートを置き、内径 30mmの

    リングを同心円の中心に置く。

    ⑵測定したいとろみ液をリングのすり切り一

    杯(20ml)まで入れ、30秒間静置する。

  • ⑶リングを垂直に上げ、30 秒後、溶液の広

    がり距離を6点測定する。その平均値をLST

    値とする。

    3)とろみの分類について

    下記の日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下食調整分類 2013参照

    引用文献

    日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下食調整分類 2013

    https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.

    pdf

    参考文献

    SARAYA公式通販 http://shop.saraya.com/smile/item/58023/

  • 9.口腔ケアの方法とは

    口腔ケアとは、生活の援助としてのケアであるばかりでなく、誤嚥性肺炎の予

    防など生命の維持・増進に直結したケアでもあります。口腔ケアの効果として

    は、口腔感染症の予防(齲歯や歯周疾患の予防)、口腔機能の維持・回復(唾液

    の分泌促進や触感、味覚の改善)、全身感染症の予防(誤嚥性肺炎の予防)、全

    身の QOL の向上(経口摂取を促し、低栄養や脱水を防ぐ)、コミュニケーショ

    ン機能の回復(発声機能の維持)などが挙げられます。

    1) 自力で口腔ケアできない方へ

    ① 準備する物品

    ・スポンジブラシ

    ・歯ブラシ

    ・コップ 2個(不潔用・清潔用)

    ・ティッシュ

    ・口腔保湿剤や含嗽剤

    ・手袋

    ② 手順

    ・声かけして体位を整えます。

    顎と胸の間は

    3~4本の指が

    入る程度に調整。

  • ・次に口腔内の観察を行います。どういった箇所に汚れが付いているか、

    出血や瘍が出来ていないかなど確認します。

    ・口唇や口腔内が乾燥している方には保湿剤を塗布します。

    ・スポンジブラシを清潔用で洗い、ぎゅっとよく絞ります。

    ・上から下へ、奥から手前へとケアします。

    (このとき下の図の小帯に触らないように注意しましょう。)

    ・汚れを取るたびに不潔用でしっかり洗いよく絞り、その後に清潔用で

    再度洗いよく絞ります。

    特に汚れが付きやすい部位。

    他にも口蓋や舌の汚れも

    確認しましょう。

    水分が残っていると流れ込みによる

    誤嚥の可能性があるため

    その都度よく絞るのがポイント!

    乾燥が強い場合は保湿剤を

    使用しましょう。

  • ・残存歯がある方はブラッシングも行います。

    ・磨いた後はその都度スポンジブラシで汚れを取り、口腔内に汚れが

    残らないようにしましょう。

    ペングリップ

    余計な力が入りにくいため良い。

    歯ブラシの大きさはだい

    たい前歯 4本分が目安。

    磨く場所によって当て方

    が異なる。

    1㎜程度の間隔で細かく

    動かす。1本 1本磨く

    ようにする。

    大きく動かすのは×。

  • 2)自力で口腔ケアできる方へ

    物品の準備をし自力で可能な方には自力で口腔ケアを行っていただきます。

    ここでは部分介助が必要な方の説明をしていきます。

    ① 準備するもの

    ・コップ

    ・歯ブラシ

    ・歯磨き粉

    ・うがい受け

    ・タオルなど

    仕上げ磨きが必要な場合は上記の介助が必要な方の物品も準備する。

    ②手順

    ・姿勢を整えます。

    ・自力で口腔ケアしていただきます。

    ・口の中をゆすぎます。

    ・磨き残しなどないか口腔内の確認をします。

    ・磨き残しがあれば上記の手段(介助が必要な方)で磨きます。

    3)義歯の取り扱い方

    ①準備するもの

    前かがみになって

    うがいすることで

    咽頭への流れ込み

    を予防できます。

  • ・入れ歯専用のブラシ

    ・洗面器や桶

    ・入れ歯入れ

    ・入れ歯洗浄剤

    ②手順

    ・入れ歯を取り出し冷水で汚れを落とします。

    ・入れ歯専用のブラシで細かい汚れやぬめりを取ります。

    ・入れ歯洗浄剤につけて洗浄します。

    ・つけ置いた後すすぎ洗いをします。

    ・密閉容器に少量の水を入れたものに入れて保管します。

    入れ歯は滑りやすいため

    万一落としてしまってもいいように

    水をためた洗面器などの上で洗いましょう。

    歯磨き粉は細かい傷がつく恐れがあるため使用

    しません。また、ぬめりが残っていると義歯が

    合いにくくなるためよく磨きます。

    入れ歯を磨かずに入れるのは×。

    よく磨いた後につけましょう。

    入れ歯は熱に弱いので熱湯での消毒は×。

    口腔内と同じ環境で保存すれ

    ばよいので入れ歯がつかるほ

    どの水は入れなくてよい。

  • 引用参考文献

    ・渡邉裕編(2013)「口腔ケアの疑問解決 Q&A」学研メディカルマーケティン

    ・岸本裕充編(2011)「成果の上がる口腔ケア」医学書院

    ・日本摂食・嚥下リハビリテーション学会編(2011)「第 4分野 摂食・嚥下リ

    ハビリテーションの介入Ⅰ口腔ケア・間接訓練」医歯薬出版株式会社

    ・はじめよう!やってみよう!口腔ケア

    http://www.kokucare.jp/denture/cleaning/howto/

  • 10.食事の姿勢

    姿勢は姿勢保持、上肢機能、食塊の口腔内保持・移送、咽頭期の障害などの

    状態に合わせて設定する。

    30 度仰臥位(リクライニング位)は食物の取り込みや送り込みに障害がある

    場合は重力を利用できて取り込み、送り込みがしやすくなる。また、気管と食

    道の位置関係として気管が前で食道が後ろにあるため、30 度仰臥位では気管が

    上で食道が下になるため誤嚥が起こりにくくなる。

    ポジショニングの目安

    自立度 角度 対象 利点・欠点 食形態

    全介助 30度

    嚥下評価時

    自力摂取

    困難

    座位困難

    ・口唇からこぼれにくい

    ・口腔内移送と咽頭への送り

    込みに有利

    ・誤嚥と咽頭残留防止効果あ

    嚥下訓練食

    ゼリー食等

    一 部 介

    45度

    自力摂取

    一部介助

    自立 60度以上

    (車)椅子

    座位可能

    頭部ほぼ安

    ・胃食道逆流を起こしにくい

    ・口唇からこぼれやすい

    ・口腔内、咽頭への送り込み

    に不利

    全粥・軟飯

    普通食へ

  • 1)車椅子での良い姿勢

    車椅子や椅子での食事の場合

    ・椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばして顎を引く。

    ・足底は床に接地させる。

    ・テーブルの高さは、テーブルに手を置いた際に肘が 90°屈曲する高さ。

    およそお臍の辺り。

    ・テーブルとの距離は近過ぎず、離れない。拳 1つ分間隔をとる程度。

    ・仙骨座り(骨盤が後方に傾いたまま腰掛け、背中が丸くなった状態で座ること)

    →首の筋肉が張り、食べ物が飲み込みづらくなります。食事を皿から口元に運

    ぶ動作もしづらくなります。食事時間も長くなり、食べこぼしも増えます。

    【良い姿勢(例)】

    【悪い姿勢(例)】

    肘の角度は 90度

    椅子に深く 腰掛ける

    テーブルとの距離が拳 1つ分

    膝の角度は 90度

    足底を接地させる

    テーブルとの 距離が離れない

    背中が丸くならない

    足底が浮き 上がらない

    浅く座らない

  • 2)ベッドでの良い姿勢

    ベッド上での食事の場合

    ・リラックスした姿勢を保持する。麻痺などがある際はタオルなどを使用し、

    姿勢が傾かないようにポジショニングをする。

    ・背もたれは 30~60 度に設定。(角度は人によって調節、角度のポジショニン

    グの目安の表を参照)

    ・頚部が伸展しないように枕を入れる。

    ・ベッドの折れ目に腰部を合わせる。

    →ギャッジアップにて起こした際は、位置がずれていることが考えられる為、

    ギャッジアップ後に確認を行ってください。

    ・膝関節は軽く屈曲させ、ベッドの折れ目に合わせるかクッション・タオルを

    膝下に入れる。

    ・足部ずり下がらないように足底にタオル等を当てる。

    【良い姿勢(例)】

    枕やクッションを入れ、頸部を屈曲させる

    膝はベッドの折れ目に合わせる

    足がずり下がらないように足底にクッションを当てる 腰はベッドの

    折れ目に合わ せる

  • リクライニング位の場合頸部伸展しないように注意する必要がある。頸部が

    伸展していると咽頭と気管が直線になり誤嚥しやすくなる。前屈すると、咽頭

    と気管に角度がついて誤嚥しにくくなる。また、嚥下筋群がリラックスして嚥

    下に有利に働く。

    引用参考文献

    ・聖隷三方原病院嚥下チーム著.嚥下障害ポケットマニュアル.医歯薬出版株式会社.2001.

    ・日本嚥下障害臨床研究会監修.嚥下障害の臨床 リハビリテーションの考え方と実際.

    医歯薬出版株式会社.1998.

    ・誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケアの技術伝承 http://pott-program.jp/pott.html

    ・介護技術マニュアル http://www.nissoken.com/book/1099/1099.pdf

    http://www.nissoken.com/book/1099/1099.pdf

  • 11.窒息について

    1)原因

    厚生労働省:薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

    「食品による窒息の現状把握と原因分析に関する研究」平成 20年

    2)対処法

    ①食べ物をかきだす

    ②背部叩打法

    手のひらの付け根で左右

    の肩甲骨の中間あたりを

    強く連続して叩く。必ず前

    で支えるようにする。

  • ③腹部突き上げ法

    後ろから両手で抱きかかえ、片方の手の握りこぶしの親指側をみぞお

    ちのやや下方に当て、もう一方の手で握りこぶしを握り、素早く内情

    報へ向けて圧迫するように押し上げる。

    引用文献

    厚生労働省 食品による窒息事故に関する研究結果等について

    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/ke

    nkoukiki/chissoku/index.html

    参考文献

    けが・事故の応急手当て https://www.qlife.jp/dictionary/lifesaving/i_5/

  • 摂食嚥下基礎マニュアル

    1.摂食嚥下と【編集 真網代くじらリハビリテーション病院 二宮文香】

    2.嚥下運動とは【編集 真網代くじらリハビリテーション病院 二宮文香】

    1)解剖

    (1)口腔

    (2)咽頭(側面の図)

    2)5期モデル

    3.嚥下障害がおこる病気・原因【編集 市立八幡浜総合病院 梅林歩美】

    1)脳卒中

    2)神経筋疾患(特にパーキンソン病について)

    3)認知症(特にアルツハイマー型認知症について)

    4)加齢

    4.評価(観察)【編集 真網代くじらリハビリテーション病院 二宮文香、市立八幡浜総合病院 梅林歩美】

    1)食事場面の観察

    (1)EAT-10

    (2)摂食嚥下障害を疑う症状

    2)スクリーニング評価

    (1)反復唾液嚥下テスト(RSST)

    (2)改定水飲みテスト(MWST)

    (3)フードテスト(FT)

    (4)頸部聴診法

    3)嚥下造影(VF)検査とは

    (1)VFとは

    (2)使用する模擬食品

    (3)画像説明

    ①解剖

    ②誤嚥

    ③咽頭残留

    5.訓練(※施設でも可能なことのみ掲載) 【編集 市立八幡浜総合病院 菊池美都】

    1)口唇・舌の運動(くっぽちゃん体操参照)

    2)おでこ体操

    3)発声訓練

    4)ブローイング

    5)頭部拳上運動

  • 6.必要な栄養を取るために(痩せていかない様にするには)

    【編集 くじら病院 河野陽子、真網代くじらリハビリテーション病院 二宮文香】

    1)口から食べられない人の栄養方法は?(種類)

    2)経鼻経管栄養と胃瘻

    3)栄養が必要な理由

    7.食形態の種類【編集 くじら病院 河野陽子】

    1)嚥下調整食とは

    2)食形態の早見表(学会分類 2013参照)

    8.とろみとは【編集 市立八幡浜総合病院 清水義貴】

    1)とろみの必要性とは

    2)ラインスプレッドテストとは

    3)とろみの分類(学会分類 2013参照)

    9.口腔ケアの方法とは【編集 市立八幡浜総合病院 菊池美都】

    1)自力で口腔ケアできない方へ

    2)自力で口腔ケアできる方へ

    3)義歯の取り扱い方法

    10.食事の姿勢【編集 真網代くじらリハビリテーション病院 柳直人】

    1)車イスでの良い姿勢

    2)ベッドでの良い姿勢

    11.窒息になった場合の対処方法【編集 市立八幡浜総合病院 清水義貴】

    Vol.1 作成 2017.9

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