120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85...

6
u.D.C.d29.114.41:る21.8dd-82 120†積自走運搬車の構造と性能 Mecbanism and Characteristics of120t Elevating Vehicle 親* Hirocbika Sakai 治* YosbibaruIvasalくi 健次郎* Kenjir6Kasai 之* NobuyukiMatsuda このたび日立製作所で開発し, 石川島播磨重工業株式会社呉造船所に納入した120t蹟自走運搬車は,狭い 構内で重畳120tまでの大形ブロックを容易に運搬できるように,一般正規走行のはか,横克行およびその場 でスピンターンする三つの走行姿勢をとることができ,さらに積載物を自力で積降ろしすることのできる油圧 ジャッキ兼油圧サスペンシ 紹介である。 ソなどの新撥構をもつ画期的な自走運搬車である。本文はその構造および性能の 1.緒 本自走運搬車は,狭い造船所や製鉄所構内における重量品を最も 合理的かつ能率的に運搬する目的で開発されたものである。 限られたスペース内で効率的に重量品の運搬・整理を継続的に行 なおうとすると,どんなとごろへでも進入せねばならぬという前提 条件から,一般自動車なみの前後走行性能のほかに,横方向への 走行(幅寄せ)およぴスピンターン(360度あらゆる方向に頭を向 けることができる)の性能を自らの動力で行なうことが必要と なる。 一般口動車を横方向に移動させる方法として,その都度アタッチ メントを装着して,ある限られた距離の移動を行なわせたり,自動車 全体をジャッキアップして車輪の方向を変え,ジャッキをおろして 車輪を接地させて初めて横方向に運行するというような方法は従来 実施されているが,100t級の自走運搬車で,あくまで自動車とい 表1 う観念の中で,随時随所でボタンーつの操作で,荷物を載せたまま 自由に車輪の姿勢を変え,一般正規走行,横走行,その場でのスピ ンクーソを行ないうる枚能を,その運動性能の中に織り込んだ串は 今まで存在しなかった。 今回,日立製作所で開発した"120t積自走運搬車”は上記要求を 100%満足し,しかもクレーンの力を借りることなく,荷台の昇降 によって自力で荷役作業のできるセルフローディングシステムを付 加した理想的な構内用運搬車で,次のような多くの特長を有してい る。表lは仕様諸元を,図1および図2ほ外形および性能を示した ものである。 (1)駆動輪ユニット,従動輪ユニットは独特な車輪配置で,そ れぞれ車体に対し旋回できるので,正規走行,横走行およ びその場でスピンターンすることができる。 (2)正規走行,横走行,スピンターン姿勢への変換はボタンー つで自動的にできる。 HTT1201 (平坦路直進) 120t 甘i裁 定重 時時 時時 高(最低) (最高) (上向木材J享さを含まぬ) 距(第1,2軸間) (第2,3軸間) .=L ン′ トルクコンバータ(逆転橙付) 120,000kg 4k皿/h 約10km/b 8m 約20m 250mm 約10,800mm 5,500mm l,650mm l,900mln 2,500mm 2,500mm 80ロ1m(走 装置部) 200mm(キャブ,エンジン部) 2名 約45,000kg 約165,000kg 日産UD434 ディーゼルエンジン 151PS/2,200rpm ニイガタ DBRGlOO MS230 撰択しゅう動歯車式(手動切換) 1:1 1:1.026 ETT1201 トランスミ ッション 正規・その場旋回切換 ドライブアクスル ズ「本 装置 7巨 /- キ装置 ■置ビン置形 パ圧ポ 行行 ㌔電㌔換装パー吉レフ * 日立製作所笠戸工場 1:1.07 段1:2.56 撰択しゅう劫歯申式+湿式多板クラッチ式 1:1.87 仝浮動式,スパイラルベベルおよぴプラネタリ ギヤ減速 1:17.8 レタ ソリ ッド 36×16×30】12本 垂直しゅう動式油圧ジャッキ兼用油圧サスペン ション式 アリ 第1,3軸操舵 全軸90度旋回,全軸操舵 第1,3軸足位置旋回 空気も油圧式(ェて-ジュンシープレーキ付) 油圧ジャッキ胤スピリットフロープランジャ ポンプ イド式 DC 24V 27

Transcript of 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85...

Page 1: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

u.D.C.d29.114.41:る21.8dd-82

120†積自走運搬車の構造と性能Mecbanism and Characteristics of120t Elevating Vehicle

坂 井 裕 親*Hirocbika Sakai

岩 崎 義 治*YosbibaruIvasalくi

笠 井 健次郎*Kenjir6Kasai

松 田 陽 之*NobuyukiMatsuda

このたび日立製作所で開発し,

要 旨

石川島播磨重工業株式会社呉造船所に納入した120t蹟自走運搬車は,狭い

構内で重畳120tまでの大形ブロックを容易に運搬できるように,一般正規走行のはか,横克行およびその場

でスピンターンする三つの走行姿勢をとることができ,さらに積載物を自力で積降ろしすることのできる油圧

ジャッキ兼油圧サスペンシ

紹介である。

ソなどの新撥構をもつ画期的な自走運搬車である。本文はその構造および性能の

1.緒 日

本自走運搬車は,狭い造船所や製鉄所構内における重量品を最も

合理的かつ能率的に運搬する目的で開発されたものである。

限られたスペース内で効率的に重量品の運搬・整理を継続的に行

なおうとすると,どんなとごろへでも進入せねばならぬという前提

条件から,一般自動車なみの前後走行性能のほかに,横方向への

走行(幅寄せ)およぴスピンターン(360度あらゆる方向に頭を向

けることができる)の性能を自らの動力で行なうことが必要と

なる。

一般口動車を横方向に移動させる方法として,その都度アタッチ

メントを装着して,ある限られた距離の移動を行なわせたり,自動車

全体をジャッキアップして車輪の方向を変え,ジャッキをおろして

車輪を接地させて初めて横方向に運行するというような方法は従来

実施されているが,100t級の自走運搬車で,あくまで自動車とい

表1 仕 様

う観念の中で,随時随所でボタンーつの操作で,荷物を載せたまま

自由に車輪の姿勢を変え,一般正規走行,横走行,その場でのスピ

ンクーソを行ないうる枚能を,その運動性能の中に織り込んだ串は

今まで存在しなかった。

今回,日立製作所で開発した"120t積自走運搬車”は上記要求を

100%満足し,しかもクレーンの力を借りることなく,荷台の昇降

によって自力で荷役作業のできるセルフローディングシステムを付

加した理想的な構内用運搬車で,次のような多くの特長を有してい

る。表lは仕様諸元を,図1および図2ほ外形および性能を示した

ものである。

(1)駆動輪ユニット,従動輪ユニットは独特な車輪配置で,そ

れぞれ車体に対し旋回できるので,正規走行,横走行およ

びその場でスピンターンすることができる。

(2)正規走行,横走行,スピンターン姿勢への変換はボタンー

つで自動的にできる。

諸 元

形 式 目 立 HTT1201

性 能

最 大 続 載 丑

蔽 高 速 度

(平坦路直進)

120t 甘i裁 定 行

空 車 走 行

殺 小 回 転 半 径

正 規 走 行

枕 走 行

荷 台 昇 降

定重

時時

時時

高(最低)

(最高)

(上向木材J享さを含まぬ)

距(第1,2軸間)

(第2,3軸間)

最 低 地 上 高

空 串 重 量

.=Lン′

両 総 室 生

シ ソ

形 式

最 大 出 力

トルクコンバータ(逆転橙付)

形 式

逆 転 方 式

歯 車 比

120,000kg

約 4k皿/h

約10km/b

約 8m

約20m

250mm

約10,800mm

5,500mm

l,650mm

l,900mln

2,500mm

2,500mm

80ロ1m(走 り 装置部)200mm(キャブ,エンジン部)

2名

約45,000kg

約165,000kg

日産UD434 ディーゼルエンジン

151PS/2,200rpm

ニイガタ DBRGlOO MS230

撰択しゅう動歯車式(手動切換)

前 進 1:1

後 進 1:1.026

形 式 日 立 ETT1201

トランスミ ッション

高 低 速 切 換

歯 車

正規・その場旋回切換

差 動 歯 串 形 式

減 速 機

歯 車 形 式

減 速 比

ドライブアクスル

形 式

減 速 比

タ イ ヤ

種 頸

サ イ ズ「本 数

サ ス ペ ン シ ョ ン

フ レー

か じ 取 り 装置

正 規 7巨兢 延

ス ピ ン タ

/- キ装置

サ ー ビ

■置ビン置形

パ圧ポ

行行

㌔電㌔換装パー吉レフ*

日立製作所笠戸工場

常 時 か み 合 い 式

高 速 段 1:1.07 低 速 段1:2.56

撰択しゅう劫歯申式+湿式多板クラッチ式

す ぐ ほ 傘 歯 車 式

ス パ イ ラ ル べ べ ル ギ ヤ

1:1.87

仝浮動式,スパイラルベベルおよぴプラネタリギヤ減速

1:17.8

ウ レタ ン ソリ ッド タ イ ヤ

36×16×30】12本垂直しゅう動式油圧ジャッキ兼用油圧サスペン

ション式全 溶 接 構 造

パ ワ ー ス テ アリ ン グ

第1,3軸操舵

全軸90度旋回,全軸操舵

第1,3軸足位置旋回

空気も油圧式(ェて-ジュンシープレーキ付)

機 械 式

油圧ジャッキ胤スピリットフロープランジャポンプ

技 能 用 ギ ヤ 式

ソ レ ノ イド式

DC 24V

27

Page 2: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

804 日 立 評 論

l

液)門

漆)l

103

30

×

0

0

2

1

(址まだ望巾㍍恨S群至甘→亡

28

Ⅴ01.52 NO.9 1970

約1り,SCO

lり,0く)0---

ll

⊂>く>

併叫[!王表

--1

一十lニヘ:≦1-・,寸・

「「1 十十=弓

β

■二1穣主+ブ+■\

LrirjF「「盲こ、

lll÷

.朱;

一一-=一1丁・【l十し----r---一y◆

:こ廿至 !l

十、‾‾T"‾‾- 十.rナ

㌣一=昇一-「出/

l;ヰ:う fl.「一一

__▲Jiヒー「

l

t一‖√。二壷軸l

ーー上単一℡▼:r÷r・

I、マ 軒tl ‾‾‾▼7几つし▼こ11--1・ r・・←「

1_n

LlすF

i

虹∠

l----1--一一-+-l

縦-一斗..仙主Ⅳ__入!√≠、\

LIJ【lr一小→◆一 -1,▲′、‖--.,一一一r一+

r

l

l

+】

ト.一-=一1L一山,⊥

l‾‾‾i+

・l

「■‾TT√‾lノ/(

「‾‾■.-、滞て、1-⊥

.].・ノi \■て丁ヒ1\■

\,二/一+__+_ ■‾て_イi上≡二■l

J喜\\「一▼1;‾‾‾▼、''■「‾‾▲‾‾1

l

l

∴___.プ「▲‾1⊇l

ll二 l l

_L

8

く:〉

く⊃く>

M

「喜;

/

/

二‥ニ+j圭、I

8

l

てIl

]_\

■こ一ニ=

仁一1f二二

1‾

⊂⊃くh

α⊃

1イノ

二宮

.こ

【・妄一声r

.ぺ

+ l \l ll ll【l一r l l【1】l 肌′/

l

!

-j;

○-

取qU

;三≡招僻J七:こ

芦云

ト‾‾‾⊥‾■‾‾T▲-

▲‾′‥一一1李t ・前 7〟′:■廼軋ニー‾二‾‾‾野こl

ll

l「‾‾‾ 2,500-

--「一 ---- -2,500- -:

図1120t 積 自 走連投中形式図

エ ン ジ ン

トルクコンバータ

減 速 比

タイヤ有効径

日産UD4

DBRGlOO(MS230)

高速35.6

低速85

0.9皿

横車2.5ヲ占こう配

楷車平たん

空車平たん

2 4 6

走行速度(km/い

図2 走行性能曲線図

10

(3)動力伝達装置は,荷台の昇降に関係なく動力伝達できる構

造になっているので,荷台の昇降と走行の組合せにより,

自力で荷役作業ができる。

(4)荷台昇降の同期性は,特殊油圧ポンプを用いた等量供給方

式によって良好である。

(5)すべての操作は運転室からのワンマンコントロール方式で

ある。

(6)正規走行時の最小回転半径は約8mと一般トラックより小

さく,横走行時においても約20mで操舵(そうだ)できる

ので,自由自在に走行することができる。

(7)油圧サスペンションの採用で,構造が単純,しかも車輪の

路面への追従性が良好である。

盈掘トランスミッシソ…

逆転穫 第1プロペラ軸 ¥

図3 動力伝達系統図

終減速機

ディファ

レンシャル

(8)ウレタンソリッドタイヤの使用により,荷台が低く作業性

および安定性がよい。

(9)荷台上面は平面であるので,積載物の安定性がよい。

(10)運転室は荷台下面前方にあるので,見通しがよく,積載物

の障害にならない。

(11)駆動方式は,ディーゼルエソジソ・トルクコン/く-タ方式

であり,経済的であると同時に運転が容易である。

(12)保守点検性の容易な車体構造である。

2.構造および性能

2.1構 造

2.l.1動力伝達装置

動力伝達系は,図3に示すように,エンジンの出力はトルクコ

ンバータ,逆転機,第1プロペラ軌トラソスミッショソ,第2

プロペラ軸,減速機,第3プロペラ軸を経て駆動車輪に伝達され

ている。

Page 3: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

(1)トルクコンバータ

自動車用として製作されているニイガタDBRGlOO形で,逆転

機を内蔵し,コンバータ運転から直結運転へは自動的に切り換わ

る全自動式であり,またクラッチ操作は,電磁一空気式の採用に

より,運転操作は非常に容易である。

(2)トランスミッショソ

正規走行および横走行の場合は,左右の出力軸の間にディファ

レンシヤル機構を必要とし,スピンターン時には,左右の出力軸

を互に逆回転させるため,ディファレンシヤル装置および正規・

横走行-スピソターン駆動系の切換装置を内蔵し,電磁・空気で

自動的に切り換える方式である。図4は正規・横走行-スピン

正規構走行状態

(丁、

聖獣+L_▼

:り干・、ヰU+ クラ・ノチプ、クラリ千切

C

L▲亡__

スピンターン状態

▼右1Fハ

撃ヂ良+としクラッチブ、

ラッチヒリ クラッチ入

一文14 正規・横走行一スピンターン動力系

油圧イコライズ

ロIlj

ン グ

椎 名芭

駆 動

制 動

○可 ×否

図5 走行装置の配置

■ と踪≡_\≡≡≡‾l

1

主≒一-Jl

1

け rノぎ♂ノ

l

l

lし

J

l

§、\芸、汰壬も

l

1ち乍

Lイ7

クノ‾

、J

】▲▲1巳

120t積自走運搬車の構造と性能 805

ターン動力系の切換えを示すもので,一つのベベルピニオンとか

み合う二つのべべルギヤ,ディファレンシヤル装置および三つの

クラッチから成っており,正規・横走行駆動系の場合は,べべル

ピニオンから一つのべべルギヤに動力が伝達され,ディファレン

シヤルを経て両出力軸を同一方向に回転させる。またスピンター

ン駆動の場合は,クラッチ操作によって,べべルピニオンから,

二つのべべルギヤに動力が伝達され,ディファレンシャル作用の

ない状態で,左右の出力軸を互に逆回転させる。.

(3)減 速 接

第2プロペラ軸より伝えられた動力を駆動車輪上部で90度方

向を変えるもので,一組のべべルギヤで構成されている。また本

べべルギヤを中空形ギヤキャリヤに取り付け,このギヤキャリヤ

上部に第3プロペラ軸のクロスジョイントを取り付けることによ

って,低い荷台にもかかわらず,荷台昇降に支障なく動力を伝達している。

(4)駆動軸および終減速枚

駆動軸は全浮動式りミソジョー形で,中央部にディファレンシ

ャル装置を,また左右の車輪内に終減速機〈プラネタリ減速機〉

を内蔵している。

2.1.2 走行装置および懸架装置

本車両の走行装置は,駆動輪ユニットニ組と従動輪ユニット四

組で構成されている。図5は車輪配置・各車輪のイコライズ,駆

動,制動の模様を示したものである。

懸架装置ほ駆動輪および従動輪を油圧サスペンションシリンダ

により支持し,第1軸の左と右,第2軸と第3軸の左どうしおよ

び右どうしをそれぞれ油圧連通回路によって遵通し,イコライズ

している。なお,第1軸の連通管に設けられているバルブの開閉

により,3点支持と4点支持の切り替えができる。またこの油圧

サスペンションシリンダに250mmのストロークを与え油圧ジャ

ッキとして作用させることができる。図dほ従動輪ユニットの構

造を示したものである。

2.1.3 操舵装置および走行姿勢変換装置

本車両は正規走行,横走行およびスピンターンを行なうための

走行姿勢変換装置と,正規走行および横走行時の操舵装置を必要

とする。各車輪ユニットはターンテーブルにより回転自在で,横

走行時は各車輪ユニットを90度回転し,スピンターンの場合は

各車輪ユニットを同心円上になるように回動させねばならない。

回動させる動力源には油圧シリンダを用い,各車輪ユニットを定

こ二二丁・ニー・∵一二丁=Lr

‾‾‾▲一丁・,-----)1】 l 【 】虹・・=

l/肌〟

‾------1

tさ

一---一一-一一

チ;

車ノ`\ 幹 句\、

薯葺

5l

】L■r

図6 従 動 輪 ユ ニッ ト

29

Page 4: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

ⅤOL.52 N0.9 1970

シグナルコントロールユニット(1)前車絵右槻

//ク

ステアリングパルプ

ステアリング

シリング

セクターギヤ_/

セクターピニオン

0

( 0前車輪左側

シグナルコントロールユニット(2)前車輪左側

ステア

、ノ

0/

\ (望

J

0前車輪右傾

センタ【サボlト

②レバー

(ヒ)後車輪右側

\姦詣岩品ントロ仰ット(5)後車輪左側 シグナルコントロールユニット(6)

後車輪左側

図7 正規兼行操舵リンク系統図

シグナルコントロールユニット(2)

ステアリングハンドル

ングパル7\【■・・・・、_

ノー′

セクターギヤ _/

(駆動車輪) U

(⊆リ

シグナルコントロールユニット(4)

シグナルコントロールユニット(6)後車輪左側

シグナルコ

/

7

トロールユニット(1)

ノイ

‾ヾ

ヨ)

前車絵右側

シグナルコントロールユニット(3)④レバー rP矢車輪右側

図8 横走行挫舵リンク系統図

位置まで回動させるための指示および停止位置検出装置をもった

姿勢変換用の指令系および正規走行・横走行の両操舵リンク指令

系をもったシグナルコントロールユニットを各車輪ユニットに設

らナ,それぞれの走行姿勢に応じた系だけを選択結合することによ

って,姿勢変換および操舵が行なわれる。なお姿勢変換は電気・

油圧制御の採用により,運転席からボタンーつで自動的にできる。

図7,8は正規走行,横走行時の操舵リンク系統図である。図9は

操舵および姿勢変換の経路図を示したものである。

2.1.4 油 圧 装 置

積載物を安定に昇降させるため,荷台が平行に昇降するよう油

圧ジャッキシリンダ(サスペンションシリンダ)の伸縮に同期を

保つこと,6個の車輪ユニットをそれぞれ確実に操舵することお

よび走行姿勢変換の自動化が行なえる油圧回路とすることが必要

である。図10は荷台昇降の油圧回路図である。

2.2 性 能

2.2.1ソリッドタイヤの走行性能

本草両のころがり抵抗係数をプロペラ軸トルクの測定値から換

30

姿 勢 変 換

削 御 盤

シグナルコントロール

ユニット

シグナルコントロール

ユニット

コントロールバルプ

油斥シリンダ

セクターギヤー

車輪ユニット州動

図9 操舵・姿勢変換経路図

車体昇降用シリンダ 弔休即発用シリンダ(前車倫部)

分割吐山形ポンプ

(独立ポンプ3言外二粁当)

/↑

フィルタ

(叫央車輪部) /

右側

(後車輪部)

二J‾

頭甲

ヽ\〉

/ 予圧用ポンプ

ストレーナ

図10 荷台昇降油圧回路

ローコント

ールバルブ

Page 5: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

120t積自走運搬車の構造と性能 807

表2 白動操作による作動時間 位

正 規 位 置

直 角 位 匠

直 角 位 置 L

正 規 位 置 j

正規位匠 よ り その場旋回位置

その場旋回位置 よ り 正規位置

直角位置よ り その場旋回位置

その場旋回位毘よ り直角走行位匿

リ ン ダ 上 昇 時 問

シ ソ ダ 下 降 時 間

設 計 値 測

57

57

53

57

27 1 22

27

33

25

25

57

37

57

30

30 28

1

2

3

エンジン回転数 2,200rpm

荷重(銅板)150t茄‾棍

コソクリート舗装路印i

回11 ブロック運搬中の120t積自走運搬車

算すると横車時(110%負荷帖)においても計画性能にはじゅうぶ

ん余裕がある。なお,ころがり抵抗係数の値は,タイヤ単体によ

る測定値よりも若干高い値となっている。またソリッドタイヤの

粘着係数ほ,コンクリートまたはアスファルト舗装路面において

乾燥状態,水または砂散布状態についてタイヤ単体を用いて測定

し,いずれの場合もあまり変わらないことが確認された。

2.2.2 姿勢変換性能

運行に機動性をもたすため,前述の姿勢変換に要する時間を

極力短くすることが望まれる。最大積載量の125%に相当する

150t積載時の姿勢変換所要時間は表2に示すとおりであり,じ

ゅうぶんである。またサスペソショソシリソダの昇降時間は表2

に示すように30秒程度であり,積降ろし時間がきわめて短縮さ

れる。

2.2.3 走行性能そのほか

走行試験において,空車10.3km/h,横車4.5km/hの最高速

度が得られ,じゅうぶんな走行性能を有している。また,正規走

行で7.95m,横走行で18mの最小回転を有することが確認され,

それぞれ設計値の8m,20mの値を満足しており,じゅうぶん

な旋回性能をもっている。

3.新機構の採用

図11はブロック運搬中の本運搬車を示したものである。 本車両

ほ要求性能を満足させるため表3に示す新技術を折り込んで製作し

た。その概要は次のとおりである。

(1)車 輪 配 置

車輪にはウレタンソリッドタイヤを使用し,その負担台巨力から

車輪数を12個と定めたが,3姿勢走行いずれに対しても無理の

ない,合理的な車輪配置を得るために,2輪ずつ一軸にまとめた

表3 要 求性能 と 新技術

要求一性能と必要条件

自 走 式 駆動力装置の具備-

凸凹走行

運 転 性

低 い 荷 台

走行中荷台一昇降

路面への追従性

変 速 の 容 易 さ

走行姿勢変換の容易さ

荷台昇降操作の容易さ

ハンドル操作の容易さ

3姿勢走行が可能なェソジン・

トルクコソバータ駆動方式

3姿勢走行切換装置

2姿勢ステアリング装置

旋回軸受支持によるユニット式亭輪

全ユニット車輪操舵方式

大形ウレタンソリッドタイヤ

≡三・こ三;ニ::…≡≡≡:苦誓言≡式全自動トルクコンバータ

自動操作(電気一拍圧式制御方式)

6台の油圧シリンダの同期制御

重荷重用 ′くワースチアリング

6個のターンテーブル付車輪ユニットを探用し,これらを車両の

側面から見て3軸となるように配置した。中央の2ユニットは駆

動車輸で,走行時の輪重抜けを防ぐため,油圧サスペソショソ方

式を利用して,常時駆動軸に荷重がかかるよう配慮した。また駆

動車輪ユニットとしては減速機の取付け,駆動トルク反力の処理

に対しトーショソバーを利用したコソパクトな構造とした。

(2)動 力 伝 達

一つのエソジンで2個の駆動車輪ユニットを駆動するため,車

輪ユニット内のディファレンシヤルを含めて3組のディファレン

シャルを配置した。さらに,その場でスピンターンする場合は,

各駆動車輪ユニットを互に逆方向に回す必要があるため,前記の

トランスミッショソを開発した。また低い荷台にもかかわらず,

荷台昇降に支障なく動力を伝達するため,スプライソによって上

下にしゅう勤しながら動力を伝達することのできる縦形減速枚も

開発した。

(3)操 舵

各車輪ユニットは運転席ハンドルからの指令に従って,油圧シ

リソダで必要角度だけ回動されるが,正規走行および横走行のそ

れぞれの場合において,制御される車輪の数とその運動の方向が

異なるので,2系統のリンク・タイロッド系を考案し,必要に応

じて選択使用できるようにした。

(4)走行姿勢変換

各車輪ユニットはターンテーブルで回転自在である。硫走行時

は,各車輪ユニットを90度だけ回し,スピンターンの場合ほ各

車輪が同心円上にあるように回動させる。

各車輪ユニットを定位置まで回動させるための指示および停止

位置検出装置をもった姿勢変換用の指令系を設け,この指令系と

姿勢変換後の走向ハンドルによる操舵指令系とを各車輪ユニット

に共存させ,その時々に必要な系だけを選択結合する方式である。

図12,13は横走行およびスピンターン姿勢の状態を示したもの

である。

(5)走行姿勢変換の自動化

上述のような3姿勢への変換と,それに伴う操舵系の選択結合

を自動化するため,各動作を単位動作に分解し,それぞれを電気

的指令一リレーー電磁弁一油圧シリンダによって分離・結合の動

作を行なわせる。また各動作の終了をリミットスイッチで検出

し,リレーにフィードバックして次の動作に移る態勢をつくる。

たとえば正規走行から横走行に変換する場合は,いったん停車し

て"横走行”のボタンを押す。そうすると次のような順序で姿勢

変換が行なわれる。

31

Page 6: 120†積自走運搬車の構造と性能 - Hitachi日産UD4 DBRGlOO(MS230) 高速35.6 低速85 0.9皿 横車2.5ヲ占こう配 楷車平たん 空車平たん 2 4 6 走行速度(km/い

808 日 立 評 論

図12 横 走 行 姿 勢

図13 スピンターン姿勢

(a)正規走行用の操舵リンク・タイロッドの解放

(b)車輪ユニットを9D度回動させる指令リンクの結合

(c)油圧シリンダにより車輪ユニットを90度回動

(d)横走行用操舵リンク・タイロッドの結合

(e)姿勢変換用の指令リンクの解放

この各動作は,作動終了とともに運転台表示盤にランプで表示

され車輪が全部構を向けば,動力を入れて横走行に移る。

(6)油圧サスペンション(1)

日立製作所が500t積トレーラで開発した方式を改良して適用

した。各車軸を油圧シリンダで支持し,イコライズ車軸の油圧シ

リンダどうしを連通管で結んだもので,連通されたシリンダ群の

中では,路面の凹凸(でこぼこ)に対しイコライズされることにな

る。この方式は,機械式イコライズ方式に比べ,構造が簡単で荷

台が高くならない利点がある。

(7)セルフローディソグシステム

上記油圧サスペンションシリンダに外部から圧油を給排して,

ジャッキ作用を行なわせ,荷台を昇降させるもので,適当な支持

台を使用して,クレーンなどの荷役機械の力を借りずに荷物の積

み取り,置き逃げを行なうことができる。図14は本動作の状態

図である。なお,荷台が水平に昇降するように,各シリンダに等

量の圧油が給排される油圧回路となっている。

(8)安全について

大形重量品の運搬を安全に行なうため,運転室を荷台の下面に

32

⊥∋‾‾ニーー

Ⅴ○Ⅰ山52 N0.9 1970

※荷台を下げて侵入

目的地まで走行 且

シニ※

荷台を上げ荷物

を積上げる

荷台を下げ

荷物を降ろす

荷物を置逃げする

図14 クレーンなしの構降ろし方法

入れ込むとともに,姿勢変換の動作中は走行ができないとか荷台

昇降中ほほかの動作および走行ができないインターロックを装備

し万全を期している。また,セルフローディソグ機構をもってい

るので重量物に対して荷台を上昇させてとることとなり衝撃なし

にローディングすることが可能である。

4.緒 言

新棟構を採用した本車両の構造とその性能について紹介したが,

これを要約すると下記のとおりである。

(1)造船所などにおける使用現場および日立製作所製自走串の

仕様,稼働状況の調査により各部強度,遅行性能,操作性

など,実際の使用に適するように各部仕様を決定し,これ

を満足するように設計した。

(2)試験の結果,性能,強度とも所期の目的を達していること

が確認され,姿勢転向の容易さ,セルフローディソグ機構

による積降ろしの迅速性,小さな旋回半径など機動性に富

んでいることが立証された。

終わりに,本草両の開発にご協力賜わった石川島播磨重工業株式

会社呉造船所の関係各位に深く謝意を表する。

参 芳 文 献

(1)村田,坂井,ほか,日立評論50,795(昭43-9)