1 乳牛ふん尿処理の背景と問題点...76 2 別海町のふん尿処理施設の導入状況...

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75 第Ⅳ章 バイオマスの生産・収穫・運搬システム計画の策定 1 乳牛ふん尿処理の背景と問題点 1 0.5ha 1 0.75ha/ 40 1965 2 48 1973 50 50ha/ 59 1984 10 30 1955 1 (62,600ha( ) 310ha( )) 84,449 ( ) 0.75ha/ ( 15 16 ) ( 15 2 )

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    第Ⅳ章 バイオマスの生産・収穫・運搬システム計画の策定 1 乳牛ふん尿処理の背景と問題点

    ・ 別海町で酪農事業が推進されていた経緯は下記のとおりとなっている。

    ・ 一般的に乳牛が飼養できる圃場面積としては、1 頭当り 0.5ha と言われている。現在の別海町乳牛 1頭当りの所有圃場面積は 0.75ha/頭となっており、ふん尿の循環は十分可能であると考えられていた。 ・ しかし、家畜ふん尿による環境汚染が発生している状況から、原因として下記のような事項が考えられる。 1)家畜飼養頭数の増加に伴い、牛舎周辺にふん尿が集中した。 2)家畜飼養頭数の増加に伴い、牛舎、搾乳機器、重機(トラクター)等の導入が優先され、ふん尿処理施設の整備が遅れた。 3)圃場面積の拡大により飛地が増え、ふん尿の土壌還元作業を効率化することが出来なかった。 4)規模の拡大に伴い、酪農家のふん尿処理への作業時間が減少した。

    ・ 上記のことから、バイオガスプラント利用によるふん尿処理の効率化、管理作業コストの低減、土壌管理を含めた包括的にサポートするシステムの検討が必要である。

    昭和 40年(1965):乳牛飼養頭数 2万頭突破 昭和 48年(1973):新酪農村建設事業着手 平均飼養頭数 50頭及び所有圃場面積 50ha/戸 昭和 59年(1984):乳牛飼養頭数 10万頭突破 離農農家が増え、農家当りの乳牛飼養頭数増加。 ただし、別海町全体の乳牛飼養頭数は増加している。

    昭和 30年(1955):パイロットファーム建設開始 酪農事業推進のための事業開始

    乳牛 1頭当りの圃場面積の計算 (62,600ha(牧草地)+310ha(トウモロコシ))÷84,449頭(成牛換算)≒0.75ha/頭※ 農作物作付面積:北海道農林水産統計年報(平成 15~16年) 成 牛 換 算:別海町統計資料(平成 15年 2月現在)

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    2 別海町のふん尿処理施設の導入状況

    ・ 効率的なふん尿処理を行う上で、現状導入されているふん尿処理施設を、本町で整理した町内ふん尿処理施設導入状況(平成 17年 2月現在)を基に、農協別のふん尿処理施設導入状況、農家規模別のふん尿処理施設導入状況等について策定を行った。 ■本項目図表についての凡例 ・ 乳牛頭数=成牛換算で表示 ・ JA別海=別海農業協同組合 ・ JA中春別=中春別農業協同組合 ・ JA西春別=西春別農業協同組合 ・ JA上春別=上春別農業協同組合 ・ JA計根別・員外=計根別農業協同組合及び農協に登録していない農家 ・ スラリーストア=鉄製スラリータンク・コンクリート製スラリータンク ・ 簡易貯留施設=ラグーン・簡易シート・尿溜 ・ 堆肥施設=堆肥施設・堆肥盤 ・ 堆肥・貯留施設=堆肥施設・堆肥盤およびスラリータンク・簡易貯留施設 ・ 共同施設=共同堆肥施設・共同バイオガスプラント ・ 事業設備無=事業予算により施設の導入を行っていない酪農家 ※ 個人の資金で施設の導入を行っている場合もあるが、今回の統計には含まないものとする。 ・ 50頭以下=成牛換算で 50頭以下の乳牛を飼養している酪農家 ・ 51頭~100頭=成牛換算で 51頭~100頭の乳牛を飼養している酪農家 ・ 101~150頭=成牛換算で 101頭~150頭の乳牛を飼養している酪農家 ・ 150頭以上=成牛換算で 150頭以上の乳牛を飼養している酪農家 ■図表Ⅳ-1 調査対象となった農協別酪農家戸数・飼育頭数・農家圃場面積 農協名 酪農家戸数※1 乳牛飼育頭数 平均飼養頭数 農家圃場面積※2 JA別海 302戸 31,284.4頭 103.6頭/戸 21,896.5 ha JA中春別 201戸 20,303.0頭 101.0頭/戸 13,529.4 ha JA西春別 210戸 16,910.5頭 80.5頭/戸 11,999.2 ha JA上春別 120戸 8,090.0頭 67.4頭/戸 6,185.4 ha JA計根別・員外 77戸 7,861.0頭 102.0頭/戸 4,208.5 ha 合 計 910戸 84,448.9頭 92.8頭/戸 57,819.0 ha ※1平成 17年 2月時点で離農・休農している酪農家は、計上していない。 ※2 統計資料上酪農家が所有している面積で、休耕地、酪農家以外の農家が所有している圃場は計上していない。

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    (1) 農協別の施設導入状況

    ・ 図表Ⅳ-2より、別海町では好気性発酵処理を主体としたふん尿処理及び利活用を行っている。農家戸数においても、540 戸(堆肥施設 349 戸+堆肥・貯留施設 191 戸:全体の 60%)となっている。また、飼養乳牛頭数からみた好気性発酵処理施設についても46,849.8 頭(堆肥施設 29,951.3 頭+堆肥・貯留施設 16,898.5 頭:全体の 53%)となっている。全体的には、スラリーストアを導入している酪農家の平均飼養頭数が高くなっている。図表Ⅳ-3、Ⅳ-4に見られるとおり、施設の導入割合としては、堆肥施設 > スラリーストア > 堆肥・貯留施設 > 事業設備無 > 簡易貯留施設 > 共同施設の順となっている。

    ■図表Ⅳ-2 農協別ふん尿処理施設当りの酪農家戸数と乳牛頭数 スラリーストア 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無 農協名 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数

    JA別海 48 5,565.5 5 322.1 102 10,018.0 91 8,450.0 10 940.3 46 5,988.5 JA中春別 57 6,707.0 48 4,447.0 45 4,004.0 25 2,846.0 15 1,571.0 11 728.0 JA西春別 30 3,140.7 5 452.9 140 10,460.3 20 1,832.5 12 836.8 3 187.3 JA上春別 48 3,489.0 3 129.0 20 1,542.0 45 2,721.0 0 0.0 4 209.0 JA計根別・員外 10 1,740.0 4 372.0 42 3,927.0 10 1,049.0 0 0.0 11 773.0 合 計 193 20,642.2 65 5,723.0 349 29,951.3 191 16,898.5 37 3,348.1 75 7,885.8 平均飼養頭数 107.0頭/戸 88.0頭/戸 85.8頭/戸 88.5頭/戸 90.5頭/戸 105.1頭/戸 その他特徴 ■ JA別海: ・ 事業設備無農家については、1,525頭飼養している大型酪農家があり、平均値に大きく影響を及ぼしている。 ・ 共同施設に関しては、北海道開発土木研究所の共同型バイオガスプラントが導入されており、現在も稼動中である。 ・ 戸別サイロ利用型バイオガスプラントが導入されており、現在も稼動中である。 ■ JA中春別: ・ 13戸(施設を中心に半径 5km以内の酪農家を対象)共同の大型好気性発酵処理施設が導入されており、各農家で発生したふん尿は、施設へのトラックでの移送後、固液分離が行われている。それぞれ固分は堆肥処理、液分は曝気処理し土壌に還元を行っている。 ・ 他地区と比較して簡易貯留施設、特にビニールシートを利用したラグーン施設が多く導入されている。

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    ■図表Ⅳ-3 農家戸数からみた農協別ふん尿処理施設の割合

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    JA別海 JA中春別 JA西春別 JA上春別 JA計根別・員外 全体スラリータンク 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無

    ■図表Ⅳ-4 飼養頭数からみた農協別ふん尿処理施設の割合

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    JA別海 JA中春別 JA西春別 JA上春別 JA計根別・員外 全体スラリータンク 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無

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    (2) 農家規模別のふん尿処理施設の導入状況

    ・ 別海町統計資料における、成牛換算での酪農家1戸当りの平均飼養頭数は、92.8 頭/戸となっており飼養頭数 100 頭以下の酪農家が 70%となっている(図表Ⅳ-5)。しかし、乳牛からみた農家規模の割合(図表Ⅳ-6)としては、飼養頭数 101頭以上の酪農家が 47%となっており、大規模酪農家と小規模酪農家の二極化が進んでいる状況にある。 ■図表Ⅳ-5 別海町における酪農家規模別の農家戸数割合

    9%61%

    22% 8% 50頭以下51頭~100頭101頭~150頭151頭以上

    ■図表Ⅳ-6 乳牛飼養頭数からみた農家規模の比較 4%

    49%

    28%

    19%

    50頭以下

    51~100頭

    101~150頭

    151頭以上

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    ・ 図表Ⅳ-7、Ⅳ-8に見られるとおり、町内で最も多い 51頭~100頭規模の酪農家において、一番導入されているふん尿処理施設は堆肥処理施設である。堆肥舎・堆肥盤は、安価な処理施設ということで全国的にも普及している施設である。しかし、水分調整材(おが粉・麦稈・稲ワラ)の不足、管理作業上の手間がかかる等の理由から、ふん尿貯蔵時に発生する液汁が土壌・河川へ直接流れ込んでおり、環境汚染の原因となっている。 ■図表Ⅳ-7 農家規模に対するふん尿処理施設の導入状況 スラリーストア 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無 飼育規模 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 戸 頭数 50頭以下 7 285.4 11 407.9 29 1,188.7 16 626.4 3 132.4 13 392.4 51頭~100頭 99 7,064.7 32 2,410.3 242 18094.8 124 9,423.2 24 1,825.5 39 2,983.5 101頭~150頭 57 7059.0 18 2,063.1 54 6,316.2 41 4,916.9 8 923.2 18 2,085.4 151頭以上 30 6,233.1 4 841.7 24 4,351.2 10 1,932.4 2 467.0 5 7,885.8 合 計 193 20,642.2 65 5,723.0 349 29,950.9 191 16,898.9 37 3,348.1 75 7,885.8

    ■図表Ⅳ-8 農家規模に対するふん尿処理施設の導入比較

    050100150200250300

    スラリーストア 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無酪農家戸数

    05,00010,00015,00020,00025,00030,00035,000

    乳牛飼養頭数 50頭以下51頭~100頭101頭~150頭151頭以上乳牛頭数

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    (3) 導入施設・農家規模と圃場面積の比較

    ・ 図表Ⅳ-9の通り、各施設と酪農家戸数の酪農家平均圃場面積は、それぞれ平均値63.5ha/戸に近い数値となっている。しかし、図表Ⅳ-10、Ⅳ-11 で各導入施設と1頭当りの平均圃場所有面積を比較すると、スラリーストアを設備している酪農家の面積は0.62ha/頭と少なく、簡易貯留施設、堆肥施設、堆肥・貯留施設などイニシャル・コストが安い施設に関しては、0.7ha/頭以上と高い面積となっている。

    ■図表Ⅳ-9 農家規模に対する圃場所有状況 スラリーストア 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無 飼育規模 戸 ha 戸 ha 戸 ha 戸 ha 戸 ha 戸 ha 50頭以下 7 252.5 11 478.8 29 1,194.2 16 749.7 3 115.0 13 567.9 51頭~100頭 99 5,457.1 32 1,986.8 242 13,433.9 124 7,242.8 24 1,622.5 39 2,269.7 101頭~150頭 57 4,111.3 18 1,382.8 54 4,149.5 41 2,878.1 8 639.8 18 1469 151頭以上 30 2,978.6 4 392.9 24 2,271.9 10 1,027.1 2 142.3 5 1,004.8 合 計 193 12,799.5 65 4,241.3 349 21,049.5 191 11,897.7 37 2519.6 75 5,311.4 平均牧草地面積 66.3 ha/戸 65.3 ha/戸 60.3 ha/戸 62.3 ha/戸 68.1 ha/戸 70.8 ha/戸 ■図表Ⅳ-10 各施設における乳牛 1頭当りの平均圃場所有面積 項 目 スラリータンク 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無 合計・平均 飼養頭数 20,642.2頭 5,723.0頭 29,950.9頭 16,898.9頭 3,348.1頭 7,885.8頭 31,284.4頭圃場面積 12,799.5 ha 4,241.3 ha 21,049.5 ha 11,897.7 ha 2,519.6 ha 5,311.4 ha 21,896.5 ha乳牛 1 頭当所有面積 0.620ha/頭 0.741ha/頭 0.703ha/頭 0.704ha/頭 0.753ha/頭 0.674ha/頭 0.700ha/頭 ■図表Ⅳ-11 各施設における平均飼養頭数と乳牛 1頭当りの平均圃場所有面積

    0.020.040.060.080.0100.0

    120.0

    スラリーストア 簡易貯留施設 堆肥施設 堆肥・貯留施設 共同施設 事業設備無 平 均酪農家当飼養頭数(頭/戸)

    0.00.10.20.30.40.50.60.70.8

    頭数当りの所有面積(ha/頭)

    農家当飼養頭数 頭当圃場面積

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    ・ また、図表Ⅳ-12、Ⅳ-13から、牧場規模ごとに乳牛1頭当りの平均圃場所有面積は、 平均飼養頭数が増えるに従って、所有面積が狭くなっている。 ■図表Ⅳ-12 農家規模別の乳牛1頭当りの平均圃場所有面積 農家規模 平均飼養頭数 平均圃場面積(ha/戸) 頭当圃場面積(ha/頭) 50頭以下 38.4 42.5 1.11 51~100頭 74.6 57.2 0.77 101~150頭 119.2 74.6 0.63 151頭以上 216.7 104.2 0.48 平 均 92.8 63.5 0.68

    ■図表Ⅳ-13 農家規模別の平均飼養頭数・圃場面積と乳牛1頭当りの平均牧草地所有面積

    0.050.0100.0150.0200.0250.0

    50頭以下 51~100頭 101~150頭 151頭以上 平 均平均飼養頭数・圃場面積

    0.000.200.400.600.801.001.20

    頭当の所有面積(ha/頭)

    平均飼養頭数 平均圃場面積 頭当り所有面積

    (4)ふん尿処理施設導入状況の考察

    ・ 上記のことから、下記の評価となる。 凡例:◎充実、〇順当、△不足気味 農家規模 ふん尿処理設備 頭当り所有面積 100頭以下 ○ △ ◎ 100頭以上 ◎ ○ △ ・ 1 頭当りの圃場面積は、規模が大きくなるにつれて少なくなっている。大規模化による圃場の確保が出来ていないことから、地域で発生するふん尿を全体で処理するシステムを検討し、効率化を図る必要性がある。その方策として、バイオガスプラントの導入が有効であると考える。

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    3 バイオガスプラント導入のための対策 ・ 乳牛ふん尿をバイオガスプラントにより利活用を行うためには、各酪農家から排せつされる時点で性状を統一化し、効率的な施設運転の検討が必要である。原料性状から派生するバイオガスプラントにおいて問題となるのは、固形分(多量の敷料、ロープ等)がポンプ・攪拌機に負荷を与え、非効率的な運転および機器破損等に繋がることである。システムの安定利用と機器等への負荷軽減のために、バイオガスプラント利用農家は乳牛の飼養環境の改善が必要となる。 (1) 畜舎内ふん尿のスラリー化(液状)

    ・ 良質な牛床マットの使用により敷料(麦稈・稲ワラ・牧草・木質)の使用量を少なくする。 ・ 敷料は長5cm 以内に切断して使用する。 ・ 牛舎から地下ピットに投入する前に長い敷料や異物など、搬送ポンプやスラリータンカーの使用に問題となる物は機械的に除去する。 ・ 除去した敷料は戸別で堆肥化もしくは搬送し共同堆肥化センターで処理し利用する。 (2) 原料貯蔵と水分の均一化 ・ 牛舎から排せつされたふん尿を地下ピットに集め、攪拌を行うことにより、水分の均一化を図る。 ・ 原料の地下ピット貯蔵により、冬季のふん尿凍結を防止する。

    ・ ピット増設により、戸別型の場合は、発酵槽へのふん尿投入の自動化、共同型の場合には、収集運搬車による回収を行うことにより、処理に係る労働負荷低減を図る。 ・ 牛舎から発生するパーラー排水を混ぜることにより、ふん尿の性状安定化だけでなく、汚水処理に係わる経費の削減にも繋がる。

    〇バイオガス原料用敷料の実施例(酪農学園大学インテリジェント牛舎飼養状況) 敷料は古紙を使っている。ふん尿はバイオガスプラントにて処理を行っている。

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    ■図表Ⅳ-14 バイオガスプラントにおけるふん尿移送と消化液搬出のイメージ

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    4 嫌気性発酵後の消化液肥料成分含量について

    ・ 消化液肥料成分含量を設定する上で、現在北海道開発土木研究所「積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクト」(中西別地区)のバイオガスプラントより発生している成分データを基に成分含量の算出を行った。 ■ 参考資料 北海道開発土木研究所:「積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクト」 ■ 別海プラントの施設概要 参加酪農家 :酪農専業農家 10戸 対象頭数 :乳牛 1,000頭 ふん尿投入量 :45.4m3/日 メタン発酵槽 :縦置円筒形発酵槽 メタン発酵方式:中温発酵(35~37℃で 30 日間滞留) ガスホルダー :乾式 250m3、湿式 200m3 消化液貯留槽 :2,500m3×3基、1,000m3×2基(場外) ■図表Ⅳ-15 バイオガスプラントの使用原料と消化液の肥料成分 (単位:%) 採取年月 乾物 T-N NH4-N P2O5 K2O 2002年 3月 8.56 0.44 0.25 0.15 0.57 2003年 3月 6.99 0.43 0.23 0.17 0.61 2004年 3月 7.16 0.44 0.23 0.21 0.57 2005年 3月 5.51 0.37 0.21 0.16 0.49 原料スラリー 平 均 値 7.06 0.42 0.23 0.17 0.56 2002年 3月 4.39 0.40 0.30 0.06 0.39 2003年 3月 4.64 0.40 0.29 0.11 0.48 2004年 3月 4.70 0.41 0.27 0.12 0.49 2005年 3月 4.41 0.40 0.26 0.12 0.47 消化液 平 均 値 4.54 0.40 0.28 0.10 0.46 ・ 図表Ⅳ-15 より、原料スラリーと消化液の成分は、それぞれ近い数値を示している。これは投入した原料が、嫌気状態で良好な発酵が行われたことを示している。 ・ 今後の検討として、別海町でバイオガスプラントより排出される消化液の肥料成分としては、窒素 0.40%、リン酸 0.10%、カリウム 0.46%として算出を行う。

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    5 別海町における肥料成分の許容量

    ・ 別海町の耕地面積は 63,500haで、その内牧草地が 62,600haと飼料用トウモロコシが310ha であり、耕地面積のほとんどを家畜飼料用作物で占められている。バイオガスプラントより発生する消化液成分(窒素・リン酸・カリウム)の耕作地への還元可能量を検討した。

    (1) 土壌条件と作付け種目の整理

    ・ 別海町内の土壌は、99%以上が火山灰性土壌に分類されている。 ・ 牧草地への撒種子割合は、冷害対策としてチモシー主体の牧草地となっており、マメ科牧草との割合は9:1もしくは9:2程度となっている(別海農業協同組合資料より)。 ・ 火山灰性土壌における肥料成分の施肥標準は、図表-16 のとおりとなっており、別海町圃場の肥料成分の要求量は、チモシー草地3を基準として設定した。 ■図表Ⅳ-16 火山灰性土壌における草地への施肥標準(道東地区) (単位:kg/10a、年間)

    資料:北海道農政部 北海道施肥ガイド(平成 14年 9月) ※マメ科率区分については図表Ⅳ-17マメ科率区分基準により分類される。 ■図表Ⅳ-17 マメ科率区分基準 マ メ 科 率 区 分 項 目 1 2 3 4 マメ科率 30%以上 15~30% 5~15% 5%未満 チモシー草地 チモシー率 50%以上 50%以上 50%以上 70%以上

    肥 料 成 分 種 目 目標収量 マメ科率 区分※ N P2O6 K2O 1 4 10 18

    2 6 10 18

    3 10 8 18 チモシー草地 4,500~

    5,000

    4 16 8 18

    5,000 - 13 20 14 サイレージ用とうもろこし 4,500 - 12 20 14

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    (2) 消化液の土壌還元量の算定状況 ① 消化液の肥効率 ・ 消化液の中に含有する成分は、化学肥料に比較すると、成分ごとにその効き方が異なる。図表Ⅳ-18に、化学肥料の力価を1とした場合における消化液の肥効率を示した。 ■図表Ⅳ-18 作物別における消化液の肥効率 総 窒 素 NH4-N P2O5 K2O 牧草(チモシー) 0.40 1.00 0.40 0.80 ※ 共同利用型バイオガスプラントの利用技術 北海道開発土木研究所土壌保全研究室 ② 消化液1t当たりの成分量 ・ 図表Ⅳ-15で示した消化液を 1t当りの含量として算出した。 ■図表Ⅳ-19 消化液1t当たりの成分量 (㎏/t) 総 窒 素 P2O5 K2O 養 分 量 4.00 1.00 4.60 ③ 消化液の施肥量 ・ 図表Ⅳ-18の消化液の肥効率と、図表Ⅳ-19の成分量を除して、化学肥料に換算した値を求めると図表Ⅳ-20の通りである。図表Ⅳ-20より、北海道施肥標準に基づき、それぞれの作物が必要とする消化液の施肥量を求め、消化液の散布上限量を決定する。 ■図表Ⅳ-20 消化液における化学肥料換算値 (㎏/t) 総 窒 素 P2O5 K2O 牧草(チモシー) 1.60 0.40 3.68 ・ 牧草(チモシー)地における施肥標準量(図表Ⅳ-16)が、総窒素、P2O5、K2O でそれぞれ 10 ㎏/10a,8 ㎏/10a,18 ㎏/10a とすると、消化液の散布量は、総窒素で(10÷1.60=)6.3t/10a、P2O5で(8÷0.40=)20.0t/10a、K2O で(18÷3.68=)4.9t/10a となる。しかし、散布量の最も下限制限となる K2Oの 4.9t/10a(=49t/ha)が、年間当りの散布上限量となる。 ④ 消化液の散布時期 ・ 消化液は、土壌凍結及び積雪の無い時期に、③で得られた年間の消化液量を分施し、施用することとなる。すなわち、春先は土壌凍結融解後5月中旬までに、その後1番草収穫後、2番草収穫後、秋は土壌凍結前を目途として散布機会とする。 ・ なお、消化液の過剰施用による生産性と環境への悪影響を回避し、持続的な作物の生産性を実現していくためにも、消化液の散布に見合った化学肥料の量を減肥する。

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    ⑤ 別海町平均飼養頭数・圃場面積における消化液土壌還元量の試算 ・ ③を基に、別海町の平均飼養頭数と平均圃場所有面積から、発生するふん尿がすべてバイオガスプラントで処理されたとして、所有圃場への肥料成分許容量を試算した。 ■ 試算条件 平均飼養頭数 :92.8頭/戸(成牛換算) 平均牧草地面積 :63.5ha/戸 日当りふん尿発生量:6,032kg/戸・日(92.8頭/戸×65kg/頭・日) 敷料・パーラー排水は含まないものとする。 年間ふん尿発生量 :2,202t/戸・年(日当ふん尿発生量×365 日/年) 発生する消化液量 :投入原料と同量とする。 ※ 面積の単位 :100a=1ha ■図表Ⅳ-21 平均所有圃場(63.5ha)における化学肥料要求量 成 分 年間肥料成分要求量 窒素(N) 6,350kg/年 100kg/ha・年×63.5 ha リン酸(P2O6) 5,080kg/年 80kg/ha・年×63.5 ha カリウム(K2O) 11,430kg/年 180kg/ha・年×63.5 ha ■図表Ⅳ-22 平均乳牛飼養頭数(92.8 頭)分の消化液に含まれる肥料成分含量 成 分 肥料成分含量 全窒素(N) 3,523kg/年 2,202t/年×1.60kg/t リン酸(P2O6) 881kg/年 2,202t/年×0.40kg/t カリウム(K2O) 8,103kg/年 2,202t/年×3.68kg/t ・ 図表Ⅳ-21、Ⅳ-22の結果より、全ての肥料成分において、平均乳牛飼養頭数から発生する消化液に含まれる肥料成分量が、平均圃場が要求する化学肥料要求量より少ないことがいえる。 ・ したがって、バイオガスプラントで発生したふん尿は、別海町においては全量土壌に還元できる。 ・ 圃場の化学肥料要求量に余裕があるため、生ゴミや乳業工場から排出される汚泥等を原料として、バイオガスプラントに投入することができる。有機性バイオマスの利活用を推進していくことから、今後総合的に検討する必要がある。

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    6 乳牛ふん尿の回収と消化液の土壌還元についての効率化 ・ 共同型バイオガスプラントを運営する中で、先行実施地区を例にあげて、ふん尿の運搬から消化液の牧草地散布までの運営方法および費用の検討を行った。 (1) 先行実施地区の状況 ■図表Ⅳ-23 先行実施地区の営農状況 農家 番号 飼養頭数 (成牛換算) 所有圃場 (ha) ふん尿発生量※ (t/日) ふん尿処理施設 A 71頭 31.0 5.79 堆肥舎 B 108頭 59.0 8.80 堆肥舎 C 106頭 66.0 8.64 D 102頭 85.0 8.31 尿溜 E 60頭 49.0 4.89 堆肥舎 F 108頭 91.0 8.80 G 174頭 120.0 14.18 H 162頭 71.0 13.20 スラリーストア I 118頭 64.0 9.62 堆肥舎 J 144頭 63.0 11.74 堆肥舎、堆肥化施設 K 205頭 122.0 16.71 堆肥舎、スラリーストア L 162頭 158.6 13.20 スラリーストア M 134頭 84.7 10.92 スラリーストア、堆肥化施設 N 101頭 99.0 8.23 尿溜 O 45頭 56.0 3.67 P 67頭 88.0 5.46 堆肥舎、尿溜 Q 164頭 129 13.37 スラリーストア、堆肥舎 R 105頭 61.0 8.56 スラリーストア 合計 2,136頭 1,497.3 174.08 - 平均 118.7頭 83.2 9.67 - ※ふん尿発生量計算:乳牛ふん尿(65.0kg/頭)+搾乳機洗浄(15.0kg/頭)+敷料(1.5kg/頭)

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    ■図表Ⅳ-24 先行実施地区共同型プラントの位置と各農家の配置

    共同型バイオガスプラントとの走行距離(km)

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    (2) ふん尿・消化液運搬方法の検討

    ・ 共同型バイオガスプラントにおけるふん尿と消化液の搬出業務を、下記の設定項目を基に設備費と運営経費の検討を行った。 ■ 運営条件の設定 ・ 酪農家からのふん尿回収とプラントからの消化液搬送は同じ車輌で行う。 ・ 酪農家から回収するふん尿が運搬車輌の積載量に達しない場合には、近隣農家のふん尿を回収し、運搬の効率化を図る。 ・ ふん尿の運搬、消化液の散布作業は、新たに運営会社を立上げ事業を行う。運搬車輌は運営会社の所有とする。 ・ 各酪農家の作業としては、ふん尿を原料槽まで排出することとする。 ・ 各酪農家には、発生するふん尿量の 3日分以上を貯蔵できる原料槽、及び付帯する攪拌機・排出ポンプ等の設備があるものと想定する。 ・ 各酪農家には、発生消化液を 180日分貯蔵できる施設があるものとする。 ・ 消化液の散布時期は、4~11月(融雪後、1番草収穫後、2番草収穫後)中の 60日間で行うこととする。また、各圃場への消化液散布は年間2回に分けて散布を行う。 ・ 各酪農家から排出されるふん尿は、敷料が少なく取り扱いが簡易なふん尿とする。 ・ ふん尿回収・消化液移送システムの作業日数は、週 5日とする。 ■図表Ⅳ-25 ふん尿・消化液の搬送イメージ

    酪農家

    “” “” 圃場

    酪農家 酪農家 原料ピット 共同バイオガスプラント ふん尿の運搬

    消化液の運搬 消化液貯留施設 消化液の圃場散布 ①ふん尿回収・消化液移送システム

    ②消化液の圃場への還元システム

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    ① ふん尿回収・消化液移送システム

    ・ 各酪農家から回収される乳牛ふん尿について、搬出回収やプラントから酪農家までの距離を基に作業時間を算出し、作業員人数と運搬作業機の必要数を算定した。

    ■図表-26 ふん尿の経路別回収回数の検討 ルート 酪農家 走行距離 (km)

    ふん尿量 (t/日・戸) 日運搬量※1 (t/日) 搬出回数※2 必要運搬回数※3 1 A 0.40 5.79 8.11 0.90 比率 0.9 < 1 回

    B 0.45 8.8 12.32 1.37 C 1.05 8.64 12.10 1.34 D 1.40 8.31 11.63 1.29 2 E 2.30 4.89 6.85 0.76 比率 4.8 < 5 回 F 0.65 8.8 12.32 1.37 G 1.65 14.18 19.85 2.21 H 2.20 13.2 18.48 2.05 比率 5.6 < 6 回 I 2.20 9.62 13.47 1.50 J 2.70 11.74 16.44 1.83 比率 3.4 < 4 回 3 K 2.95 16.71 23.39 2.60 比率 2.6 < 3 回 L 2.45 13.2 18.48 2.05 M 2.85 10.92 15.29 1.70 N 3.45 8.23 11.52 1.28 O 5.00 3.37 4.72 0.52 比率 5.6 < 6 回 4 P 4.55 5.46 7.64 0.85 比率 0.9 < 1 回 5 Q 4.35 13.37 18.72 2.08 比率 2.1 < 3 回 6 R 5.75 8.56 11.98 1.33 比率 1.3 < 2 回 合 計 ― 173.79 243.31 27.0 30 回 ※1 ふん尿量×7日間÷5日間(週当りの作業日)で算出。 ※2 日運搬量÷9.0t/台(運搬車輌容積)で算出。 ※3 走行距離が近い農家の搬出回数を合計し、運搬回数を算出。

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    ■図表Ⅳ-27 ふん尿回収・消化液移送に関わる作業時間の算出 ルート 酪農家 走行距離※1 (km)

    必要運搬回数 実施走行 距離※2 (km/回) 走行時間※3 (分) 回収時間※4 (分) 1 A 0.40 1 回 0.8 1.2 15 2 B~E 1.30 5 回 13 19.5 75

    F~H 1.15 6 回 13.8 20.7 90 I~J 2.45 4 回 19.6 29.4 60 3 K 2.95 3 回 17.7 26.6 45

    L~O 3.44 6 回 41.3 62.0 90 4 P 4.55 1 回 9.1 13.7 15 5 Q 4.35 3 回 26.1 39.2 45 6 R 5.75 2 回 23 34.5 30 合 計 ― 30 回 164.4 246.6 465 ※1 各グループの中でプラントからの走行距離の平均値で算出。 ※2 プラント⇔グループ間の往復距離を必要運搬回数で積して算出。 ※3 運搬車輌の運転速度を時速 40kmで算出。 ※4 原料・消化液の積み込み時間を 15分とし作業時間を算出。

    ・ 走行時間及び回収時間は 246.6分+465分=711.6分≒11.86時間となり、一人当りの一日の作業時間を 8時間/人とすると、11.68時間÷8時間/人=1.48人工必要となる。さらに安全性等を考慮すると、少なくとも 2 名の作業者が必要となる。また、運搬車輌の作業時間を 16時間とすると 11.86時間÷16時間≒0.74台となり 1台で運搬作業が行える。

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    ② 消化液の圃場への還元システム ・ バイオガスプラントより発生したふん尿を、土壌還元する場合の運搬距離と土壌還元量を算出し、合計した作業時間より、作業員人数、必要運搬車輌の必要数を算定した。 ■図表Ⅳ-28 消化液散布時の運搬車輌走行距離と散布回数 距離圏内 散布面積 (ha) 散布距離 (km) 散布回数 (回) 散布時間 (時間) 積込時間 (時間) 積込距離 (km) 走行時間 (時間) 1km 圏内 29 58 101 10 13 605 15 1~2km 圏内 86 172 302 30 38 1,810 45 2~3km 圏内 144 288 503 50 63 3,020 75 3~4km 圏内 201 402 704 70 88 4,225 106 4~5km 圏内 259 518 906 91 113 5,435 136 5~6km 圏内 316 633 1,107 111 138 6,642 166 合 計 1,035 2,070 3,623 362 453 21,737 543 ・ 消化液散布に関わる時間は、362時間(散布)+ 453時間(積込)+ 543時間(走行)=1,326.3時間となる。消化液の散布期間は、30 日とすることから 1 日当りの作業時間は、1,358時間÷30日/回=45.3時間/日となる。作業員 1人の 1 日当りの作業時間を 8時間とすると、5.66人工≒6人工の作業員が必要となる。また、運搬車輌の 1日の稼動時間を 16時間とすれば、2.83台≒3台必要とされる。

    ③ 作業時間・作業員数・運搬車輌必要台数及び走行距離の取りまとめ

    ■図表Ⅳ-29 作業時間・作業員数・運搬車輌走行距離の取りまとめ 作業時間 作業員 運搬車輌走行距離 ふん尿回収・消化液移送 11.86時間/日× 260日(年間稼動日数) =3,084時間/年 2人工/日× 260日(年間稼動日数) =520人工/年 166.4km/日× 260日(年間稼動日数) =43,264km/年 消化液の圃場への還元 1,358時間/回× 2回/年(年間散布作業) =2,716時間/年 6人工/日× 60日(年間散布期間) =360人工/年 21,737km/回× 2回/年(年間散布作業) =43,474km/年 合 計 5,800時間/年 880人工 86,738km/年 ■ 必要運搬車輌台数: 共同バイオガスプラント ⇔ 各酪農家 :1台 消化液貯蔵施設 ⇔ 圃場 :3台 計4台

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    図表Ⅳ-28 の算出根拠

    ・ 先行地区におけるふん尿の土壌還元量: 共同バイオガスプラントより発生するふん尿は、搾乳機洗浄水(15.0kg/頭)・敷料(1.5kg/頭)を含んでいる。そのため(2)の数値より ha当りの消化液散布量から算出すると、65.0kg・頭(乳牛ふん尿)÷81.5kg/頭=79.8%、49t/ha(カリウム基準)÷79.8%=61.4t/haの散布が可能となる。また、年間ふん尿発生量を ha当りの消化液散布量を算出すると 63,539.2t/年÷61.4t/ha=1,034.8haが散布可能となる。 ・ 圏内別の消化液還元面積の想定: 本共同プラント参加酪農家の所有する圃場は半径 6km 以内に点在することを想定する。それぞれの圏内が想定範囲(半径 6km)に占める面積割合を基に、消化液を散布できる圃場面積を算定した。 ■図表Ⅳ-30 消化液散布面積の算出 項 目 面積 1km 圏内 1~2km 圏内 2~3km 圏内 3~4km 圏内 4~5km 圏内 5~6km 圏内 面積占有割合 ― 2.78% 8.33% 13.89% 19.44% 25.00% 30.56% 消化液散布面積(ha) 1,035 29 86 144 201 259 316 ・ 1回 1ha当りの散布量: 61.4m3/ha÷2回(年二回散布)=30.7m3/ha・回 ・ 1ha当りの運搬車輌走行距離: 10,000m2(1ha)÷5m(消化液散布幅)=2,000m=2.0km ・ 1km当りの消化液散布量 30.7m3÷2.0km=15.35m3/km ・ 運搬車輌の運転速度: 15.35m3/km÷1.5m3/分(ポンプ消化液吐出能力)=10.23分/km 60分/時÷10.23分/km=5.87km/時≒6.0km/時 ・ 運搬車輌の1回当りの散布時間 9.0 m3/回(運搬車輌容積)÷1.5m3/分=6分/回 ・ 1ha当りの散布回数: 30.7m3/ha÷9.0 m3/回=3.41回/ha≒3.5回/ha ・ 消化液積込時間: 9.0 m3/回(運搬車輌容積)÷1.2m3/分(ポンプ消化液吸引能力)=7.5分/回 ・ 積込のための移動距離: 各圏内片道 3km以内の貯蔵施設から消化液の吸引を行う事とする。 ・ 運搬のための走行時間: 時速 40km/hの速度とする。

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    ④ 新規運営会社について

    ・ 新規運営会社の運営経費に関して、下記の通り概略の算出を行った。 1) 設備導入費

    2) 運営経費の算出 項 目 内 訳 合 計 車輌維持費 整 備 費 車 検 消耗品費 燃 料 費 車 輌 費

    60万円×4台 25万円×4台 35万円×4台 86,738km/年÷2.0km/㍑(燃費) ×110円/㍑ 7年減価償却

    240万円/年 100万円/年 140万円/年 477万円/年

    1,549万円/年 作業員費 人 工 費 880人工×2万円/人工 1,660万円/年 小 計 4,166万円/年 ・ 4,166万円/年÷2,136頭=1.95万円/頭・年の負担となる。 ・ 運搬車輌購入費については、別途事業費利用により、農家負担額の軽減が見込まれる。

    項 目 内 訳 合 計 運搬車輌購入費 車 輌 費 登 録 料 2,600万円×4台 110万円×4台 10,400万円 440万円 小 計 10,840万円

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    ⑤ 事業実施に向けての検討課題

    ふん尿発生量からみた圃場へ還元量、運搬作業方法、運営コスト面から見て、地域から発生するふん尿・消化液運搬作業を外部委託(会社)することで、圃場への均一化した還元が出来るとの結果が得られた。しかし、事業の安定化を図るためには、実施に向け、下記の様な課題が考えられる。 1)ハード的な課題 ・ 消化液圃場還元作業時期(2 ヶ月間/年)以外の 10 ヶ月は、運搬車輌が使われない。バイオガスプラントと各酪農家間のふん尿移送作業に使うことで作業時間の短縮や効率化を図る。また、ふん尿・消化液の移送作業以外の利用方法を検討する必要がある。 ・ 乳牛ふん尿の性状統一化のための施設(原料槽・牛床マット等)導入に対しては、積極的な事業支援を図る必要がある。 ・ 冬期間のふん尿凍結対策の検討が必要である。 ・ 各酪農家が現在所有している重機を活用することにより、初期投資(運搬車輌購入費)等の削減を図る必要がある。 2)新規事業の参入等の課題 ・ ふん尿・消化液移送だけでなく、作物収穫等の圃場作業(コントラクター会社)を行う必要がある。 ・ 粗飼料生産だけではなく、TMR(混合飼料)販売の事業参入による業務の拡大を図る必要がある。 3)環境保全に関する課題 ・ 作付け種目に対する適正な消化液散布量の検討が必要となる。 ・ 環境調査業務(土壌・水質等)を定期的に行う専門機関が必要となる。 4)人的課題 ・ 業務期間が集中しているため、安定的な作業員の確保を検討する。 ・ 離農者等経験者の積極的採用を図る必要がある。 ・ 地元企業への業務委託を図る必要がある。 ・ 新規事業への積極的な参入により、年間を通して業務の安定化を図る必要がある。

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