ホスファチジルイノシトールマンノシドの免疫化学 …...ホスファチジルイノシトールマンノシドの 免疫化学的研究(II) Mycobacterium intracellu1are
02 免疫のシステムとワクチンの働き 古市 配布用...免疫...
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免疫のシステムとワクチンの働き
古市宗弘1,2
1, 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部感染症科2, 日野市立病院小児科
2017/3/25予防接種基礎講座2017
学習目標
1. 自然免疫と獲得免疫2. 自然感染とワクチンの違い3. ワクチンによる免疫誘導4. 一次・二次免疫応答5. ワクチン不全
免疫
「自己」と「非自己」を見極めて
「非自己」を排除する防衛機構
自然免疫 獲得免疫
NK細胞
樹状細胞
マクロファージ
好中球
パターン認識受容体
TNF-αIL-1
自然免疫病原体の侵入
病原体非特異的に速やかに反応
リンパ組織へ獲得免疫への橋渡し
自然感染時の免疫反応の簡略図
抗原提示細胞
CD4+Th1
Treg
Th17
CD4+Th2
CD4+Naïve T
IL-6IL-23
TGF-β
PGE2IL-4
IFN-γIL-12
獲得免疫~液性免疫~
自然感染時の免疫反応の簡略図
CD4+Th1
CD4+Th2
形質細胞
メモリーB細胞
CD4+NaïveT
IL-4IL-5IL-13
IFN-γIL-2
B細胞
抗体の働き①中和抗体②オプソニン化③補体の活性化
IgG
自然感染時の免疫反応の簡略図
抗原提示細胞
CD4+Th1
TregTh17
CD4+Th2
形質細胞
CD4+Naïve T
IL-6IL-23
TGF-β
PGE2IL-4
IFN-γIL-12
メモリーB細胞
CD4+NaïveT B細胞
獲得免疫~液性免疫~
自然感染時の免疫反応の簡略図
CD4+Th1
CD4+Naïve T
IFN-γIL-12
獲得免疫~細胞性免疫~
CD8+Naïve T
CD8+Tc細胞
抗原提示細胞
中和抗体
IFN-γIL-2
ウイルスなど
自然感染時の免疫反応の簡略図
自然感染とワクチン
• 自然感染– 強力な免疫反応– 疾患の発症、重症化のリスク– 周囲への感染性
• ワクチン– 病原体の弱毒化、不活化、毒素のみの抽出– 特異的な免疫反応の誘導– 疾患の発症、重症化の予防– 原則として周囲への感染性なし
NK細胞
樹状細胞
マクロファージ
好中球
パターン認識受容体
TNF-αIL-1
抗原
自然免疫
アジュバント
ワクチン接種
抗原非特異的に速やかに反応
リンパ組織へ獲得免疫への橋渡し
ワクチンによる免疫反応の簡略図
CD4+Naïve T
抗原提示細胞
アジュバント①抗原提示①抗原提示
②補助刺激②補助刺激
③サイトカイン③サイトカイン
CD4+Effector T
ワクチンによる免疫反応の簡略図
抗原提示細胞
CD4+Th1
TregTh17
CD4+Th2
形質細胞
CD4+Naïve T
IL-6IL-23
TGF-β
PGE2IL-4
IFN-γIL-12
メモリーB細胞
CD4+NaïveT B細胞
獲得免疫~液性免疫~
ワクチンによる免疫反応の簡略図
抗原提示細胞
CD4+Th1
TregTh17
CD4+Th2
形質細胞
CD4+Naïve T
IL-6IL-23
TGF-β
PGE2IL-4
IFN-γIL-12
メモリーB細胞
CD4+NaïveT B細胞
肺炎球菌ワクチンの例ワクチンによる免疫反応の簡略図
結合型ワクチン(PCV)
多糖体ワクチン(PPSV)
T細胞依存性
T細胞非依存性
CD4+Th1
CD4+Naïve T
IFN-γIL-12
獲得免疫~細胞性免疫~
CD8+Naïve T
CD8+Tc細胞
抗原提示細胞
中和抗体
IFN-γIL-2
自然感染時の免疫反応の簡略図
感染細胞
0 30 (日) 0 30 180 (日)
(IgG) (IgG)一次免疫応答 二次免疫応答
初回抗原暴露 追加抗原暴露
免疫記憶は一度誘導されると,1回の追加抗原暴露で高い抗体反応が得られる
4週間
7日以内
ワクチン不全
• 一次ワクチン不全(Primary vaccine failure)–ワクチン接種後に有効な免疫の誘導なし
• 二次ワクチン不全(Secondary vaccine failure)–ワクチン接種後の免疫の減衰
ワクチン不全の原因
ワクチン・投与の問題 宿主の問題
•投与間違い(投与経路、投与量など)•接種シリーズが未完了•不適切な保管•使用期限切れ
•免疫不全•ワクチン関連抗原に対する免疫応答が不十分•年齢•基礎疾患や栄養状態の低下など•他の感染症による干渉•免疫学的干渉(移行抗体、免疫グロブリン)•潜伏期間中の接種
生ワクチンと不活化ワクチン
生ワクチン 不活化ワクチン弱毒生ウイルス弱毒生菌
不活化ウイルスリコンビナントワクチントキソイド多糖体・結合型多糖体抗原
利点
細胞性免疫が成立免疫持続期間が長い局所免疫が可能
移行抗体の干渉を受けにくい免疫不全者・妊婦に安全
欠点
移行抗体の干渉を受けやすい病原性の復帰・変異の可能性
細胞性免疫誘導能が低い単回投与では免疫効果が弱い局所免疫の誘導が低い抗原量が多いため副反応が出やすいアジュバントが必要
付録:用語集マクロファージ 白血球の中の単球から分化した細胞で、強い食作
用により異物や死細胞を除去する。また、取り込んだ異物を抗原提示しT細胞を活性化させる。
樹状細胞 細胞表面に樹状突起を多く持つ血球。異物を取り込み、抗原を提示してT細胞を活性化する。最も強力な抗原提示能をもつ。
NK細胞 自然免疫系で働く細胞。ウイルス感染細胞や癌細胞などを識別して除去する作用をもつ。
パターン認識受容体
微生物特有の構成成分を認識する受容体。
サイトカイン 免疫システムの細胞から放出され、細胞間のシグナル伝達に関連するタンパクの総称。IFN, ILなど。
Naïve T細胞 抗原刺激を未だ受けていないT細胞。
Effector T細胞 Naïve T細胞が抗原提示細胞により抗原提示され、分化活性化された状態。Th1、Th2、Th17、Tregなどに分けられる。
アジュバント ワクチンの効果を増強する因子。