「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

36
未来を思い描く 井庭 崇(Takashi Iba) 慶應義塾大学SFC 総合政策学部准教授 井庭研レクチャーズ Vol.1 takashiiba 方法 2013年4月25日

description

2013年度 慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)井庭崇研究会 レクチャー映像はこちら → http://www.youtube.com/watch?v=ueBQroySLtI

Transcript of 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

Page 1: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

未来を思い描く

井庭 崇(Takashi Iba)慶應義塾大学SFC 総合政策学部准教授

井庭研レクチャーズ Vol.1

takashiiba

方法

2013年4月25日

Page 2: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

まだない世界を想像=創造する

自分が納得・実感する

他の人の納得・共感を引き出す

未来を思い描く

Page 3: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

3.「時代の流れ」を考える

2.「新しいものがある状態」を考える

1.「自分が生きたい世界」を考える

未来を思い描く方法

Page 4: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

未来を思い描く方法

1.「自分が生きたい世界」を考える

Page 5: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

The best way to predict the futureis to invent it.

— Alan Kay

未来を予測する最善の方法は、それを自ら「つくる」ことである。

“パーソナル・コンピュータの父”

アラン・ケイ

1.「自分が生きたい世界」を考える

傍観者的な「予測」ではない。

Page 6: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

応急処置的な社会・組織

「つくる」「つくり直す」ことの回避・封印

古い制度・仕組みにがんじがらめになったまま、そこから抜け出せない社会

制度・仕組みがつくり、つくり直される「自己革新的な社会」「創造社会」。

Page 7: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

「漫然と迎える未来」

「主体的に築く未来」

『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(リンダ・グラットン, プレジデント社, 2012)

Page 8: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

ポジティブな未来を描く

1.「自分が生きたい世界」を考える

予言の自己成就

Page 9: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

未来を思い描く方法

2.「新しいものがある状態」を考える

Page 10: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

こういうものがあったら、どうなるだろう?どんなふうに使える?

こうなったら楽しいなぁ。

2.「新しいものがある状態」を考える

Page 11: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

こういうものがあったら、どうなるだろう?どんなふうに使える?

こうなったら楽しいなぁ。

2.「新しいものがある状態」を考える

防災のパターン・ランゲージがあったら…

企業のなかで、自分たちのパターン・ランゲージを自分たちで書くようになったら…

パターン・ランゲージによる診断が簡単にできるようになったら…

Page 12: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

パターン4コマもし

があったら……

いまのカタログよりもさらに一目でわかる!

ワークショップ準備も面白そう!

子供にも読みやすい!

パターン・コミック!

新聞や雑誌で連載されたりして…!

公募してコンテストとかやったら面白そう!

アニメ風とか劇画風とか!

←パターン名

←状況

←問題

←解決

←結果

「はなすことでわかる」

自分の考えをまとめていると…

ごちゃごちゃしちゃって、わけがわからなくなるよね。

そんなときは、考えていることを誰かに話してみよう!

そうすると、だんだん言いたいことが見えてくるよ。

Page 13: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

「未来はすでに訪れている。 ただし、あらゆる場に等しく訪れているわけではない」

ウィリアム・ギブソン

世界のほんの一部でみられる面白い事例・現象を、より一般的なものとして拡大してイメージしてみる。

2.「新しいものがある状態」を考える

Page 14: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

未来を思い描く方法

3.「時代の流れ」を考える

Page 15: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

C CCConsumption Communication Creation

消費社会 コミュニケーション社会(狭義の情報社会)

創造社会

3.「時代の流れ」を考える

井庭 2012

Page 16: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

ある点からの「変化」だけでは、自由度が高く、まったく異なる他の可能性も想定され得る。

Page 17: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

2点をつなぐ「変化」の「次の変化」を考えると、そこに「文脈」が生まれ、自由度・可能性が制約される。

Page 18: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

まだない世界を想像=創造する

自分が納得・実感する

他の人の納得・共感を引き出す

未来を思い描く

Page 19: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

Learning 2.0話す

Learning 1.0教わる

Learning 3.0つくる

Presentation 2.0発信・伝達

Presentation 1.0マスコミの視聴

Presentation 3.0創造の誘発

Collaboration 2.0調整

Collaboration 1.0命令・管理

Collaboration 3.0育成

Presentation

Learning

Collaboration

CConsumption

消費社会

CCommunication

コミュニケーション社会(狭義の情報社会)

CCreation

創造社会

Page 20: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

Daniel H. Pink, A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule the Future, Riverhead Trade, 2005/2006

『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(ダニエル・ピンク, 三笠書房, 2006)

3.「時代の流れ」を考える

Page 21: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

コンセプトの時代

情報の時代

工業の時代

「過去一五〇年間を『三幕仕立てのドラマ』にたとえてみよう。」

第一幕:工業の時代第二幕:情報の時代第三幕:コンセプトの時代

Page 22: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

コンセプトの時代

情報の時代

工業の時代

Daniel Pink (2005)

コンセプトの時代

情報の時代

工業の時代

農業の時代

「この物語を『工業の時代』とその前の『農業の時代』にまで広げてある。」

Page 23: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

Daniel Pink (2005)

コンセプトの時代

情報の時代

工業の時代

農業の時代

左脳(詳細を分析)

体力頼み

右脳(全体像をとらえる)

Page 24: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

「個人が豊かになり、技術力による影響が強まり、世界がさらに密接につながるようになると、これら三つの要因は一つに収集された勢いとなって、私たちを新しい時代へと動かすようになる。」

「これはかつて、農業の時代から産業の時代へ、そして情報の時代へと移行した過程と同じだ。」

● 豊かさ(西欧諸国の生活に象徴される物質的豊かさ)

● 技術革新(ホワイトカラーの仕事の一部のオートメーション化)

● グローバリゼーション(ある種のナレッジ・ワーカーの仕事におけるアジアなど海外への移行)

コンセプトの時代

情報の時代

工業の時代

農業の時代

Page 25: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

まだない世界を想像=創造する

自分が納得・実感する

他の人の納得・共感を引き出す

未来を思い描く

Page 26: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

ハイ・コンセプト(High Concept)パターンやチャンスを見出す能力芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力人を納得させる話のできる能力一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力

ハイ・タッチ(High Touch)他人と共感する能力人間関係の機微を感じ取る能力自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力

「ハイ・コンセプトとハイ・タッチの傾向が、私たちの生活の周辺部から中心部へと移ってきているのだ。」

その新しい時代を動かしていく力

Page 27: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

6つのセンス(The Six Senses)

・デザイン(Design):機能だけでなく「デザイン」

・物語(Story):議論よりは「物語」

・調和(Symphony):個別よりも「全体の調和」

・共感(Empathy):論理ではなく「共感」

・遊び(Play):まじめだけでなく「遊び心」

・生きがい(Meaning):モノよりも「生きがい」

「ハイ・コンセプトでハイ・タッチな『六つのセンス』こそが、新しい時代に必要不可欠な感性だ」

Page 28: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

「これら六つの感性は、ますます私たちの生活を左右し、世の中を形作っていくようになる。」

「だが、恐れることはない。これから説明する『ハイ・コンセプト』『ハイ・タッチ』な能力は、ほとんどが基本的に人間に備わった資質なのだ。」「これらの能力は常に、人間であるということの証の一つであったのだ。」

「だが、しばらくの間、『産業の時代』が続き、これらの能力は衰えてしまった」

6つのセンス(The Six Senses)

「誰にだって『コンセプトの時代』の六つの感性を身につけることができる。」

未来

過去

現在

未来

Page 29: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

「新生復活の未来ヴィジョン」

Context:新しい時代のヴィジョンを掲げる。

Clue:過去と現在の二つの時代の特徴を象徴的に表現し、過去にあったよいもので現在失われたものを新しいかたちで復活させることを考える。

Consequence:未来の話は本来はイメージしにくいものだが、過去にあったものが変化したというものであば、未だ見ぬものへのイメージがわき、説得力も出る。

※「発想言語」の形式(Context、Clue、Consequence)

井庭 2012

モリス・バーマン『デカルトからベイトソンへ』クリストファー・アレグザンダー『時を超えた建設の道』ウォルター・J・オング『声の文化と文字の文化』

Page 30: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

『情報社会のいま:あたらしい智民たちへ』(公文 俊平, NTT出版, 2011)

3.「時代の流れ」を考える

Page 31: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

時間の流れのなかでの変化

成長モデル

循環モデル

S字波モデル(sigmoid)

S字波モデル「横軸に時間をとり、縦軸には規模に関する適当な指標をとって描かれ、ゆるやかな “出現”、急速な “突破”、ゆるやかな “成熟”の三つの局面をもち、“S”の字を横に引き延ばしたような形をしています。」

出現

突破

成熟

S字波のフラクタル大小無数のS字波が互いに継起・連鎖・複合し合っている

Page 32: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

1550 1750 1950

ᅜᐙ㸸㌷㸦⬣㏕㸧ຊ

⏘ᴗ㸸⤒῭㸦ᘬ㸧ຊ

ሗ㸸▱㸦ㄝᚓ㸧ຊ

㏆௦

⌧ᅾ

ฟ⌧ ✺◚ ᡂ⇍公文 俊平

近代化の三局面

Page 33: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

2点をつなぐ「変化」の「組み合わせ」、もしくは「展開のロジック」を考えて「文脈」を生み、納得性の高い未来像を想像=創造する。

3.「時代の流れ」を考える

Page 34: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

3.「時代の流れ」を考える

2.「新しいものがある状態」を考える

1.「自分が生きたい世界」を考える

未来を思い描く方法

Page 35: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

まだない世界を想像=創造する

自分が納得・実感する

他の人の納得・共感を引き出す

未来を思い描く

Page 36: 「未来を思い描く方法」(井庭研レクチャーズ Vol.1)

未来を思い描く

井庭 崇(Takashi Iba)慶應義塾大学SFC 総合政策学部准教授

井庭研レクチャーズ Vol.1

takashiiba

方法

2013年4月25日