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13 高校生の視点から、世の中を楽しくし、役に立つ商品やサービス、 ビジネスアイデアなどを提案する「第 回全国高等学校ビジネスア イディア甲子園」(大阪商業大学、毎日新聞社主催)の最終審査と 表彰式が昨年 日、東大阪市の大阪商業大であった。グランプ リ1件、準グランプリ2件、審査員特別賞5件が選ばれ、賞状など が贈られた。記念講演では、ハウス食品(東京都千代田区)事業戦 略本部の宮奥美行・食品事業1部長が、同社の代表的ヒット商品の バーモントカレーを事例に、商品作りの面白さについて話した。 【中川博史】 大商大経済学部 柴田孝准教授 審査委員長 記念講演 「商品づくりの面白さ ~バーモントカレーを事例に~ ハウス食品 事業戦略本部食品事業1部長 宮奥美行さん その他の受賞者 迷ったら「やる」過程大事に 運営を担当した大商大の 学生たち 開会のあいさつ をする大商大の 谷岡一郎学長 プレゼン内容・方法高評価 8件のプレゼンテーションは、素晴 らしい発表だった。レベルが高く、準 備や練習、方法や工夫に敬意を表する。 共通していたのは「身近な困難」「少 しの優しさ」というキーワードだった と感じている。グランプリは「こうい うものがあれば助かる」と思わせる。 準グランプリの2件は、逆の発想の秀 逸さ、先輩のアイデアをさらに工夫す る、などの点に感心した。他の5件も 高い評価だった。 気になったのは、よく似た製品が既 に市場に出ているケースがあった点。 より独自性を出すため、事前のリサー チにも、これまで以上に力を注いでほ しい。 調 〈審査員特別賞〉 」‖北海道富良野緑峰高2年 グループ「短パンこぞう」(代表・相沢拓弥さん、海馬 沢永さん)▽「ふせんコロコロ」‖大阪府立貝塚高3年 グループ「コロコロし隊」(代表・北村日向子さん、伊 佐治央子さん)▽「代わりに話すインターホン」‖同府 立八尾北高1年、喜多光瑠さん▽「ファストフード店の ドリンクのフタのアイデア」‖大阪商業大学高2年、西 田賢司さん▽「割り箸用バリアフリー箸クリップ」‖岡 山県立岡山東商業高3年、物部祐季さん 〈学校賞〉 広尾学園中・高▽埼玉県立八潮南高▽静岡県立伊東商業 高▽愛知県立愛知商業高▽同県立一宮商業高▽同県立春 日井商業高▽同県立緑丘商業高▽滋賀県立大津商業高▽ 大阪市立扇町総合高▽同市立大阪ビジネスフロンティア 高▽大阪府立貝塚高▽同府立登美丘高▽大阪商業大学高 ▽好文学園女子高▽岡山県立岡山東商業高▽同県立岡山 南高▽同県立倉敷商業高▽広島県立広島皆実高▽九州産 業大付属九州高▽別府溝部学園高 挫折を発展に変えて 5年ほど前から応募しているが、学 校賞をいただいたのも、決勝の舞台で ある最終審査に生徒のアイデアが残っ たのも初めて。「やれるぞ」という手 応えを感じている。 最初は「賞なんて取れるの?」と言っていた生徒 たちだが、そのうちの1人が大学で賞を取り、報告 に来てくれた。その生徒が3年の時、本校に来て指 導してくれたのが、大商大の学生さんだった。 応募の過程で、企業の方の目で見てもらうと、足 りない点が分かってくる。厳しい目なので、挫折も するが、やがて発展に変わる。ビジネスアイディア 甲子園のような場を通して、さらにアイデアの発展 のさせ方を学びたい。 学校賞 校の中から 大阪府立貝塚高 窪井和希教諭 便 粒状・除菌 ハンドクリーナー 東京都立六郷工科高 3年 佐藤光さん 「自転車の新しい錠前」 広尾学園中・高 1年 真鍋光希さん 愛知県立豊橋工業高 3年グループ 「橋工 「風で飛ばない紙コップ『フンバルンバ!』」 (飛ばないシリーズ第2弾‼) 代表の(左から)星野 武朗さん、小出和輝さ ん、小瀬木柊一郎さん 便 使 ■主催 大阪商業大学 毎日新聞社 ■後援 経済産業省 大阪府 大阪 府教育委員会 東大阪市 東大阪市教育委員会 大阪 市教育委員会 全国商業高 等学校協会 (平成 年) 1 17日(土) (平成 年) 1 17日(土)

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第13回全国高等学校

ビジネスアイディア甲子園

役に立つ 優しさを形に

高校生の視点から、世の中を楽しくし、役に立つ商品やサービス、

ビジネスアイデアなどを提案する「第 回全国高等学校ビジネスア

イディア甲子園」(大阪商業大学、毎日新聞社主催)の最終審査と

表彰式が昨年 月 日、東大阪市の大阪商業大であった。グランプ

リ1件、準グランプリ2件、審査員特別賞5件が選ばれ、賞状など

が贈られた。記念講演では、ハウス食品(東京都千代田区)事業戦

略本部の宮奥美行・食品事業1部長が、同社の代表的ヒット商品の

バーモントカレーを事例に、商品作りの面白さについて話した。

【中川博史】

評大商大経済学部

柴田孝准教授

莢莢莢莢莢莢

莢莢莢莢莢莢審査委員長

記念講演

「商品づくりの面白さ ~バーモントカレーを事例に~」

ハウス食品 事業戦略本部食品事業1部長 宮奥美行さん

その他の受賞者

グランプリ

準グランプリ

準グランプリ

迷ったら「やる」過程大事に

運営を担当した大商大の

学生たち

開会のあいさつ

をする大商大の

谷岡一郎学長

「ビジネスアイディア甲子園」

は「世に役立つ人物の養成」を建

学の理念に掲げる大商大が、世の

中の変化に柔軟に対応し、自立し

た人材の育成を目的とした「起業

教育」の実践の場として、200

2年に創設したコンテスト。商品

化のみを目指すのではなく、試行

錯誤や若者ならではの発想、プレ

ゼンテーション能力なども含めた

総合的な能力を審査する点が特徴

と言える。

年度には、文部科学

省の「特色ある大学教育支援プロ

グラム」に選ばれ、

年からは毎

日新聞社も主催に加わっている。

同大は「新しいビジネスプラン

を構想してみることは、将来起業

家や経営者を目指す人だけでな

く、目的意識を持った大学進学や

将来の進路選択にも大いに役立

つ」と意義づけており、さらにレ

ベルアップした実学教育の一環と

して、在学生を対象とした「大商

大ビジネス・アイディアコンテス

ト」も開催している。

今回は全国176校から810

9件の応募があり、3回の審査を

実施。最終審査は学内のホール「蒼

天」で開かれ、通過者が5分の持

ち時間でプレゼンテーションに臨

んだ。各賞は

人の審査委員で決

定し、優秀なアイデアを数多く応

募した学校には、学校賞として

校が選出された。

谷岡一郎学長は開会のあいさつ

で「私は例年、この時期になると

ウキウキした気分になる。非常に

狭き門になっている中、最終的に

残った素晴らしい応募作品のプレ

ゼンテーションを聞くことができ

るからだ。しかし、結果ではなく、

チャレンジするプロセスが大事。

本学は『やるかやらないか迷った

ら、必ずやる』をモットーにして

いる。人生でも、同じことが言え

る」と、意欲の大切さを訴えた。

運営は、昨年に引き続き、アイ

ディアコンテスト受賞の同大学生

らが担当した。

プレゼン内容・方法 高評価

8件のプレゼンテーションは、素晴

らしい発表だった。レベルが高く、準

備や練習、方法や工夫に敬意を表する。

共通していたのは「身近な困難」「少

しの優しさ」というキーワードだった

と感じている。グランプリは「こうい

うものがあれば助かる」と思わせる。

準グランプリの2件は、逆の発想の秀

逸さ、先輩のアイデアをさらに工夫す

る、などの点に感心した。他の5件も

高い評価だった。

気になったのは、よく似た製品が既

に市場に出ているケースがあった点。

より独自性を出すため、事前のリサー

チにも、これまで以上に力を注いでほ

しい。

明治時代、カレーは憧れの食べ物で、

洋食の定番だった。カレーが普及した

のには、さまざまな説があるが、現在

では、地域性を持つようになり、街づ

くりに生かしているところも多い。

商品作りの面白さは「人」「モノ」

「コト」全てに「興味を持つ」ことが

原点にある。1963年に発売した「バ

ーモントカレー」はリンゴやハチミツ

を加えて、マイルドでとろりとした若

い女性や子ども向き。従来のカレーの

常識を覆したコンセプトで開発した。

2006年には「北海道ホワイトカレ

ー」を発売した。従来のカレーの概念

とは違っていたが、スーパーで夫婦が

「白ごはんで食べる」「黄色のターメ

リックライスで食べる」と言い合って

いる場面に出くわし「家庭の中で商品

が話題になる」という点で、大きな意

味があったと考えている。

一つの製品を市場に出すには、開発

研究、マーケティング、品質保証、お

客様調査、生産工場など、さまざまな

専門セクションが関わる。自分の考え

を社内外の人に理解してもらい、ファ

ンになっていただく。商品作りは、こ

の繰り返し。興味の対象は変化・連鎖

していく。いろんなことにチャレンジ

してほしい。

〈審査員特別賞〉

「 」‖北海道富良野緑峰高2年

グループ「短パンこぞう」(代表・相沢拓弥さん、海馬

沢永さん)▽「ふせんコロコロ」‖大阪府立貝塚高3年

グループ「コロコロし隊」(代表・北村日向子さん、伊

佐治央子さん)▽「代わりに話すインターホン」‖同府

立八尾北高1年、喜多光瑠さん▽「ファストフード店の

ドリンクのフタのアイデア」‖大阪商業大学高2年、西

田賢司さん▽「割り箸用バリアフリー箸クリップ」‖岡

山県立岡山東商業高3年、物部祐季さん

〈学校賞〉

広尾学園中・高▽埼玉県立八潮南高▽静岡県立伊東商業

高▽愛知県立愛知商業高▽同県立一宮商業高▽同県立春

日井商業高▽同県立緑丘商業高▽滋賀県立大津商業高▽

大阪市立扇町総合高▽同市立大阪ビジネスフロンティア

高▽大阪府立貝塚高▽同府立登美丘高▽大阪商業大学高

▽好文学園女子高▽岡山県立岡山東商業高▽同県立岡山

南高▽同県立倉敷商業高▽広島県立広島皆実高▽九州産

業大付属九州高▽別府溝部学園高

挫折を発展に変えて

5年ほど前から応募しているが、学

校賞をいただいたのも、決勝の舞台で

ある最終審査に生徒のアイデアが残っ

たのも初めて。「やれるぞ」という手

応えを感じている。

最初は「賞なんて取れるの?」と言っていた生徒

たちだが、そのうちの1人が大学で賞を取り、報告

に来てくれた。その生徒が3年の時、本校に来て指

導してくれたのが、大商大の学生さんだった。

応募の過程で、企業の方の目で見てもらうと、足

りない点が分かってくる。厳しい目なので、挫折も

するが、やがて発展に変わる。ビジネスアイディア

甲子園のような場を通して、さらにアイデアの発展

のさせ方を学びたい。

莢莢莢莢莢莢莢莢莢莢莢莢莢学校賞 校の中から

大阪府立貝塚高 窪井和希教諭

「まさか、自分が1番を取

れるとは思いませんでした。

すごくうれしい」

考案したのは、室内や屋外

など、どんな場所でも、いつ

でも素早く手を清潔にできる

カプセルタイプのハンドクリ

ーナー。小型の容器を開けて

粒状のカプセルにしたクリー

ナーを必要分だけ取り出し、

手のひらで押しつぶして全体

にもみ込む。ハンカチや水も

不要で、簡単に除菌できる。

カプセルは、手の熱と軽い圧

迫で破裂するぐらいの硬さに

工夫した。

ジェルタイプだと、手がベ

タベタする。また、こぼして

しまうと服や鞄を汚す可能

性があった。「ブレスケア商

品なんかには、粒状のものが

ある。ハンドクリーナーでで

きないかな、と考えました」

ときっかけを語る。

商品名は「

」から考えた

造語。カプセルは、詰め替え

ができて、香りも複数種類を

用意。持ち運ぶ時はオシャレ

を楽しむことができ、手洗い

が習慣づけられる点も効果の

一つに挙げる。

持ち運び便利

いつも清潔

「 」粒状・除菌ハンドクリーナー

東京都立六郷工科高3年 佐藤光さん

「自転車の新しい錠前」

広尾学園中・高1年 真鍋光希さん

普通の鍵だと、壊され

ると自転車を盗まれてし

まう。自転車の盗難は社

会的な問題。自分も盗ま

れた経験

があり、

悔しい思

いをした

という。

「だったら、逆の発想

をしてみよう」と思い立

ったのが「Lockしな

い鍵」。ペダルが付いて

いる前方のギアと、後の

タイヤに接するギアとの

間に隙間を作り、双方の

間にかみ合うギア状の鍵

を差し込むと、初めて車

輪が回転する仕組み。

錠前が、自転車を

かす鍵

というユニーク

な発想だ。

逆の発想「鍵で動く」

愛知県立豊橋工業高3年グループ 「橋工 」

「風で飛ばない紙コップ『フンバルンバ!』」(飛ばないシリーズ第2弾‼)

先輩のアイデアを改良

代表の(左から)星野

武朗さん、小出和輝さ

ん、小瀬木柊一郎さん

前回、先輩たちが応募

した「BBQ(バーベキ

ュー)を便利にするアイ

デア」として「風に飛ば

されない皿『エアロディ

ッシュ』」がグランプリに

選ばれた。だが、紙コッ

プは残念ながら選外。「先

輩たちの思いを引き継ご

う」と改良型を作製した。

コップには高さがある

ため、底に重りを装着。

少しだけ底から露出させ

て着色し、誰のコップか

の識別を可能にした。さ

らに、重りを磁石にして、

取り外した際には、冷蔵

庫などに張り付けるマグ

ネットとして使えるよう

にした。

重りの形をキャラクタ

ー化すれば「お土産とし

ても売れる」と夢が膨ら

む。

■主催 大阪商業大学 毎日新聞社

■後援 経済産業省 大阪府 大阪

府教育委員会 東大阪市

東大阪市教育委員会 大阪

市教育委員会 全国商業高

等学校協会

年(平成 年)1月17日(土)  年(平成 年)1月17日(土)