概要を理解 フェルマーの最終定理(Outline of Fermat's Last Theorem)
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数式を”可能な限り”使わず概要を理解
フェルマーの最終定理[ 学籍番号 ] [ 名前 ]
フェルマーの最終定理とは
• 1637 年頃に予想• 1995 年 5 月に証明完了• 証明者は”アンドリュー・ワイルズ”• 証明完了までに約 360 年かかった
次の方程式は、 n≧3 で自然数解を持たない。
私は驚くべき証明を見つけたが、それを書き記すには、この余白は狭すぎる。
なぜ余白の書き込みが広まった ?
• フェルマーの息子、サミュエルが父の書き込みを含めた『算術』を再版したから
• 『算術』を書いたのは 3 世紀頃の数学者ディオファントス
• 17 世紀にギリシャ語・ラテン語の対訳として再版したのがバシェ
• バシェ版『算術』にフェルマーが書き込みを行った
• ディオファントス著、バシェ対訳、フェルマー書き込み付き『算術』をサミュエルが再版する
これ以降についての補足
• FLTフェルマーの最終定理の頭文字(Fermat's Last Theorem)
• FLT(n)を示すex. FLT(3) ⇒
• フェルマーの最終定理は証明されるまで「フェルマー予想」と言われていた →ここでは FLT で統一する
• “ 予想”とは証明がされていない状態証明されると”定理”となる
FLT の歴史 - 初等整数論編
初めに、に対して個別の n の証明を行った
• 1640 年、 FLT(4) をフェルマー自身で証明• 1753 年、 FLT(3) をオイラーが証明• 1825 年、 FLT(5) をディリクレとルジャンド
ルが証明• 1832 年、 FLT(14) をディリクレが証明• 1839 年、 FLT(7) をラメが証明
3,4,5,7 とあるのに、なぜ FLT(6) の証明が存在しない?
FLT(6) の証明
←とする
よって、 FLT(3)が証明できていれば FLT(6)も証明可能
n 5≧ について FLT(n)を証明したいとき、素数 p=5,7,11,13,…について FLT(p)を証明すればよい
n 5≧ なのは、特殊な事情から…
特殊な事情…
• n=2 の時 ←ピタゴラスの定理 ( 三平方の定理 )
n=(2 の倍数 ) の時の証明は ?もう片方の倍数について証明されていればよ
いex. n=6 の時 n=3 について証明 ()ex. n=10 の時 n=5 について証明 ()
• n=( もう片方の倍数が存在しない数 ) の時n=4,8,16,32,… ()
特殊な事情…
• n=( もう片方の倍数が存在しない数 ) の時n=4,8,16,32,… ()
n=4 の時さえ説明すればいい !!
ex.
FLT の歴史 - 代数的整数論編
• ソフィ ジェルマン・ が”定理”を発表
• p と 2p+1 の両方が奇数の素数ならばex.) p=3(7),5(11),11(23),23(57),…
• xyz≢0 (mod p)x,y,z は p の倍数ではない
ソフィ・ジェルマンの定理
p と 2p+1 の両方が奇数の素数ならば、は自然数解を持たない(xyz≢0 (mod p) という条件付き )
FLT の歴史 - 代数的整数論編
• 1847 年、ラメとコーシーが証明の先陣争いを始める
( 複素数 ) であるオイラーの公式より、 α の絶対値は 1 、偏角はα は 1 の p 乗根の 1 つ ( 代数的整数環 )
が素因数分解可能なことを利用しようとした
の素因数分解
FLT の歴史 - 代数的整数論編
が素因数分解可能なことを利用しようとしたが失敗
代数的整数環では《素因数分解の一意性》が成り立つとは限らない
クンマーの指摘により、争いは終結代数的整数環では《素因数分解の一意性》は死んだ
では今後どうする?
クンマーは理想数を考えたデデキントがイデアルとして集合の形にまとめた
イデアルによって《素因数分解の一意性》は復活した
クンマーは、正則と呼ばれる素数に関しては FLTを証明した
ここまで 250 年経過
FLT の歴史 - 幾何学的数論の時代
• 1955 年 谷山豊と志村五郎が”予想”を発表
《楕円曲線》と《保型形式》という 2 つの世界を結ぶ大きな橋 →この”予想”を”定理”にするのには数論上の重要課 題しかし、とてつもない難問だった
谷山・志村の予想
すべての楕円曲線はモジュラーである
FLT の歴史 - 幾何学的数論の時代
• 1985 年 ゲルハルト・フライが”予想”を発表
フェルマーの最終定理が谷山・志村の予想に結びついた
しかし、難問が難問に帰着されただけであり、問題が簡単になったわけではない
フライ・セール予想
《フェルマーの最終定理が成り立たない》と仮定すると、谷山・志村の予想に矛盾する判定を作れる
ワイルズさん誕生 !!
自宅でたった一人、 7 年間の研究を行った大学の講義は続けていたが、 FLT の証明を行っていることを誰も知らなかった
• 1993 年、証明ができたと宣言 →ミスが発覚
• 1994 年、テイラーと共に誤りを訂正
ついにフェルマーの最終定理を証明した
ワイルズさんの証明すべきこと1986 年 ( ワイルズが FLT の研究を始めた年 ) の風景
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
ワイルズさんの証明すべきこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
矛盾している
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
前提が間違っている
ワイルズさんの証明すべきこと
矛盾している
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
前提が間違っている
ワイルズさんの証明すべきこと
矛盾しているフライ・セール予想は正しい
《フェルマーの最終定理が成り立たない》と仮定すると、谷山・志村の予想に矛盾する判定を作れる
ワイルズさんの証明したこと
• 谷山・志村の予想【未証明】全ての楕円曲線は、モジュラーである
• ワイルズの証明したこと全ての”半安定な”楕円曲線は、モジュラーである
なぜこれで十分だった?→ フライ曲線が半安定な楕円曲線だったから
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、楕円曲線の一種である
FLT の証明概要• ワイルズの証明したこと【証明済み】全ての半安定な楕円曲線は、モジュラーである
• フライ曲線【証明済み】を満たすが存在すれば、フライ曲線も存在する ( は自然数。は素数 )
• フライ曲線と楕円関数の関係【証明済み】フライ曲線は、半安定な楕円曲線である
• フライ曲線とモジュラーの関係【証明済み】フライ曲線は、モジュラーではない
仮定する
矛盾している
参考書籍結城浩 (2008) 『数学ガール フェルマーの最終定理』ソフトバンククリエイティブ
最後に宣伝 !!
ー作者ー数式の意味がよくわからないときには数式はながめるだけにして、まずは物語を追ってください