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博士論文 重症急性呼吸器症候群(SARS)及び新型インフルエンザ に対する細胞傷害性T細胞(CTL)誘導型ワクチンの開発 高山俊輔

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博士論文

重症急性呼吸器症候群(SARS)及び新型インフルエンザ

に対する細胞傷害性T細胞(CTL)誘導型ワクチンの開発

高山俊輔

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博士論文

重症急性呼吸器症候群(SARS)及び新型インフルエンザ

に対する細胞傷害性T細胞(CTL)誘導型ワクチンの開発

高山俊輔

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はじめに

  1.緒言

  2.CTLとは

  3.CT:しに注目した理由

  4.本研究の目的

目次

第1章新規サイトカイン、IL-23によるアジュバント効果について

緒論                             6

材料と方法

         望五 -

細胞

IL-12、 U-17、またはllL-23を発現・分泌させる組換えWの作製

IL-12、 IL-23の発現と機i能活性の検出

1:L-17を発現分泌させるW

マウスと免疫

ウイルスタイターの測定

CT:L活性の測定(CTL assay)

細胞内CD8←IFN一γ÷T細胞数の測定(lntracellular cytokine staining:ICS)

W特異的抗体の検出

サイトカインの検出(Cytokine ELISA)

NK細胞の活性

組換えWによるIL42とIL-23の発現と機能活性

BALB/cマウスにおけるWに対するIL-23の発症防御効果

W特異的CTL活性の潰掟

CD8+T細胞中のIFN-y“陽性細胞数の測定

W特異的抗体の晶晶とNK活性の損掟

VV-IZL-23感染細胞のIFN一γとIL-17の産生

IL-12/皿f-23 p40 KOマウスにおけるVVに対する正,23の発症防御効果

IFN一γKOマウスにおけるWに対するIL-23の発症防御効果

BALB/cマウスにおけるWに対するllL-17の発症防御効果

88999101010111112

望11瓜望111

1胤11二霊1

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第H章 ペプチド結合リボソームを用いた、重症急性呼吸器症候群(SA

     RS)および新型インフルエンザに対するワクチンの開発

緒論

    H-1SARSコロナウイルス                    21

    ff 一2 H5N1亜型鳥インフルエンザウイルス              24

材料と方法

  9.

 1 0.

結果

ll 一1

  i’

  2.

マウス

細胞

インフルエンザウイルス

合成ペプチド

リボソーム

免疫

細胞内CD8+IFN一γ+T細胞数の測定(intracellular cytokine staiエ血g:ICS)

ペプチドパルスした脾細胞の静脈投与による細胞内CD8やIFNイ←T細胞

誘導活性の測定

in vivo CT:L活性の測定(CT:L assay)

インフルエンザウイルスのチャレンジ実験

   SARSコロナウイルス

   コンピューターによるSARS-CoV pp l a由来CT:Lエピトープの予測

   ペプチドパルスした脾細胞の静脈投与による細胞内CD8+IFN一γ÷T細胞

    誘導活性の測定

  3.SARS-CoV pp l a由来エピトープ特異的細胞内CD8+IFN一γ+丁細胞数の

    測定

  4.in・vivoの実験系における細胞傷害活性

  5.ペプチド濃度によるSARS-pp l a-3709由来エピトープ特異的細胞内

    CD8なFN一ゾT細胞誘導活性に対する影響

ll 一2 HsN1亜型鳥インフルエンザウイルス

  1.コンピューターによるH5N1亜型鳥インフルエンザ由来CT:Lエピトー

    プの予測

  2.ペプチドパルスした脾細胞の静脈投与による細胞内CD8“ IFN一γ+T細胞

    誘導活性の測定

(UO

つつつ」

雪一∴1

2」3

32

2弓づ

つ」つ」

35

35

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3.H5N1亜型鳥インフルエンザウイルス由来エピトープ特異的細胞内

  CD 8“ IFN一γ+T細胞数の測定

4.in vivoの実験系における細胞傷害活性

5,HIN1、 H3N2、 H5N1亜型インフルエンザウイルスを使ったウイルスチ

  ャレンジ実験

36

!0月!

つ3つ」

考察 40

謝辞 48

参考文献 49

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はじめに

近年、AIDS(Acquired lmmune Deficiency Syndrome)、結核、マラリアなど、さまざまな新興・再興

感染症が発生し、世界中で猛威をふるっている。1997年に香港で起こったH5N1亜型鳥インフルエ

ンザウイルスの人への感染、2003年に中国で発生したSARS・corona・virusによる重症急性呼吸器症

候群(SARS)などが記憶に新しい。日本においても、HIVの都市部を中心とした急激な広がり、SARS

の自然宿主を介した侵入懸念、さらに新型インフルエンザの流行懸念など、感染症の脅威は増加し

ている。しかしながら、これらの感染症予防に効果的なワクチンはまだ存在しない。従って、ワク

チンをいち早く開発することは極めて重要なことである。

 ワクチンの成否にかかわる要件は感染病原体の性質に依存する。細胞外病原体の場合、宿主の獲

得免疫応答には抗体が重要な働きをする。また、ウイルスのように細胞内に入り込み増殖するよう

な病原体の制御には、内在性抗原を認識するCD8“細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte:CTL)

の反応が必須である。ウイルス特異的CTLを誘導するには、対象となるウイルスを弱毒化した生

ワクチンが有効であるが、たとえ弱毒化しても感染予防のために接種するには危険性が伴う。そこ

で、安全なウイルスタンパク質成分を用いて免疫することで、ウイルス特異的CTLを賦活化させ

る成分ワクチンの開発が重要である。筆者は、ウイルス感染症に有効なCT:L誘導型成分ワクチン

の開発を目標に、安全で効率の良いウイルス特異的CTLの誘導法を検討した。

2. CTLとは

 CTLは、抗原特異的な細胞傷害活性を発揮することができるリンパ球集団であり、ウイルス感染

細胞を殺傷してウイルスを排除することにより、宿主の防御免疫に貢献している。一方、CD4陽性

ヘルパーT(Th)細胞は、 CTLなどによる細胞性免疫の正常な機能維持を行う。 CT:Lは、ウイルス

感染細胞を特異的に認識し、パーフォリン、グランザイムを分泌する。さらに、ウイルス感染細胞

をアポト…一…シスへと講ずる。またCTLは、 hter琵ron-ga㎜a(IFN一γ)、 Tumor・Necrosis・Factor(TNIF)

一・盾モネどの抗ウイルス性サイトカインを産生して効率的にウイルスを排除する。 Fig.1で示されるよ

うに、ウイルス感染後、CT:L活性と抗体価が上昇していくとともに、ウイルス力価が次第に下降す

る。このように、CTLと抗体はウイルス排除機構において重要な役割を担っている1)2)。 CTLの分

化・誘導には、CDグヘルパーT細胞の中でも、1型ヘルパーT(Th 1)細胞が必要不可欠である。従っ

て、効率の良いCTL誘導型ワクチンを開発するためには、 Th1細胞の誘導を考慮する必要がある。

 CTLは、主要組織適合抗原(maj or histocompatibility complex:MHC)(ヒトではhuman leukocyte

antigen:H:LA)クラス1分子によって提示された、短いペプチドを抗原として認識し活性化される。

一1一

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Innate lmmuni Aeguired lmmuni

IFN一一 oe, E

NKCT Antibed

 9職・““

   「円br篭裏s tite】r

…感・塾一駒趣鯉。㌔趣

      “一e-

       7.        .         ・

   ◆

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馬③◎◎

 ◎趣趣㌔・・。。鞠馳

      躍酔醒躍画躍鯉溺暫盈冠註震源驕闘鷹翻豚国墜繕響継録鍵鰍鵬屑繊髄鳳質

 0   壌

Virus infectioR

23456789 10 “ 12 13 14                       (Days post infectien)

  :Fig.1 1mmune host de罫eRse盆gai簸s重virus i聡ズectio麹

MHCクラス1分子は、約340個のアミノ酸からなる45-kDaの重鎖(heaVy chain)と、 MHCとは連

鎖していない遺伝子産物で100個のアミノ酸からなる12-kDaのβ2-microglobulin(β2m)とが非共有

結合した膜結合型タンパク質である。MH:Cクラス1分子の重鎖は、α1、α2およびα3の3つの細

胞外ドメインからなり、01とα2ドメインからなる高次構造によって、抗原ペプチドが結合する大

きな溝とペプチドのアミノ酸側鎖がはまり込む6つのポケットが形成される3)・ 4)(Fig.2)。

 Fig.2 Stiructure of HLA一一AIZ melecule

a:From alateralview b:Fxo】mtoP重obo伽m

β2mは、3つのドメインと接触し、クラス1重鎖のコンフォメーションに強い影響を与える。抗原

ペプチドはMH:Cクラス1分子に結合すると、 MHCクラス1分子を安定化させる。つまり、ペプチ

一2一

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ドはMHCクラス1分子複合体構造の一部として不可欠なものであり、ペプチドが結合していない

状態のMHCクラス1分子(empty MH:C class 1 molecule)は不安定である。このように、 MHCクラ

ス1分子はどれも欠かすことのできない3分子で構成され、CTL上のT細胞レセプター(TCR)を

介してCTLにウイルス由来ペプチドを抗原提示し、 CTLを活性化する。 Fig.3に示したように、ウ

イルスが細胞に感染すると、細胞内でウイルス遺伝子からウイルスタンパク質が作られ、プロテア

ソームによって分:解される。

                      Direct prese耐a揺on Cross presentation

                          旦   旦MHC class l

complexViru$    Exogenous Ag

Cytosol

倉  G◎ll

Vl,al gen◎m・↓

          ↓

  mRNA          ↓

Caj(i, 5-E“fiEi5Ei}te is

Endogeneus@A魔=@×

p

ER

e

 class l

heavy chain

ロ  P瞬d・

  o cua@ぐコ

  X @E ndj

     ,

    艦⑬

TAP 1/TAP2

ome

u$ Ag

MHC class g melecule

Fig.3 Apttigen processing pathvvay of maC class I melec”les

    Direct presentatioR and cross presentatien

プロテアソームを介して分解されたペプチド断片は、抗原処理関連トランスポーター(transporters

associated with antigen processing:TAP)とよばれる分子によって、粗面小胞体内に輸送される5・6)。

TAPは2種類のタンパク質TAP 1、 TAP2からなるヘテロニ量体で、小胞体膜を貫通しATP依存的

にペプチドを輸送する。TAP 1、 TAP2遺伝子はMHC遺伝子領域に位置し、2つの遺伝子どちらに

変異が生じてもMHCクラス1分子による抗原提示はできなくなる。このTAPの機能は、 TAP欠損

細胞株を用いた研究によって見出された。TAPが欠損した細胞株では、ペプチド断片が細胞質から

粗面小胞体に入れないため、クラス1分子がペプチドと結合できず、CTLにペプチドをうまく提示

することができない。TAPを通り、粗面小胞体内に入ってきたペプチドはMHCクラス1分子と結

合し、ゴルジ装置でmatUrationされ細胞表面に出て行き、 CT:しに認識される。以上の過程は一般的

にDirect presentationと呼ばれている。また、これとは別に、 Cross presentationという抗原提示過程

も存在する。Cross presentationは、エンドサイトーシスで細胞内にとりこまれた外来性抗原が、エ

一3 一

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ンドソームから細胞質へと移行しプロテアソームで分解されたのち、TAP依存的に粗面小胞体に輸

送され、MH:cクラス1分子に結合して提示される経路である(Fig.3)。

1991年、Ra㎜enseeら、およびWileyらの2っの研究グループ}ま、 MHCクラス1分子に結合し

ている自己抗原ペプチドを分離し、そのアミノ酸解析を行った7)・ 8)。その結果、結合しているペプ

チドのアミノ酸配列には、それぞれのMH:Cアリールに特有のモチーフが存在することがわかった(ペ

プチドモチーフ)(Table 1)。これらのペプチドは、通常8-10個のアミノ酸からなる。例えば、 HLA-A*0201

に結合するペプチドの多くは2番目にロイシンやメチオニン、9番目にバリンやロイシンをもつ。

このことから、ペプチドの2番目と9番目のアミノ酸は、ペプチドとH:LA-A*0201の結合において

重要なアンカーの役割を果たすと考えられた。すなわち、それぞれのMHCクラス1分子に対応す

るペプチドのアンカーが、特有のアミノ酸でないと、ペプチドはそのクラス1分子に結合しない。

しかしながら、MHCクラス1分子への結合アフィニティだけで、ペプチドの免疫原性は説明でき

ない。むしろ、MHCクラス1分子一ペプチド複合体の結合後の安定性が重要であるとの報告もあ

る9)。このようにHLAタイプから、8-10個のアミノ酸からなるCT:Lエピトープをある程度予測す

ることは可能である。

Table 1 Peptide motifs associated with MHC class 1 molecules

Amino acids at anchor pesitions

Isoform of HLA 1 2 3 zl1

5 6 7  8 9 10

HLA-A*e201

HLA-A 3

HLA-A 24

HLA-A 68.1

HLA-B 7

HLAsB 8

HIL,A-B*2705

HLA-B*3501

HLA-B*5101

HLA-B 53

H-2 Kb

H-2 Kd

H-2 Kk

H-2 Db

H-2 Dd

II-2 Ld

LIM:L八ηM:

 YV/T

 P

  G

  創

加E

Y

G侶 P

K

P

KIR

F/Y

N

 VIL

K/Y/F K

I/LIF

 RIK L/F

 L LIF

YIFtwL/I

 FII

LIM/IIV

    I/:Lバl

 I   I

    M/I

   I/LIF

   FII./M

一4一

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3。CTLに  した理由

 CT:L誘導型ワクチンに着目する理由は主に2つある。1っは、 CT:しが9つ前後のアミノ酸からな

る短いペプチドを抗原として認識するlo)のに対し、抗体は通常20-30のアミノ酸からなるペプチ

ドを認識する11)ことである。RNAウイルスは、ウイルス複製過程で変異が起きやすいため、長い

ペプチドを抗原とする抗体は変異の影響を受けやすく、短いペプチドを抗原とするCTLは変異の

影響を受けづらい。2つ目は、CTLと抗体の抗原認識機構の違いがあげられる。抗体(中和抗体)は、

細胞外に存在するウイルスのエンベロープやスパイクなどの外郭タンパク質を認i識しウイルスを中

和する。一方、CT:Lは、ウイルスが感染した細胞で作られるウイルス由来タンパク質すべてを内在

性抗原として認識することが出来る。そのため、抗体に比べCTLでは、エピトープのレパートリー

に広がりが持てる。また、CTLがウイルスの作製するすべてのタンパク質を抗原として認識できる

ため、ウイルスの生存に関わる変異しづらい内部の構造タンパク質や、非構造性の調節性タンパク

質をエピトープにできる。そして、ウイルスが細胞内に潜んで、宿主の防御反応から逃れている場

合、抗体では細胞内のウイルスを中和できないのに対し、細胞内抗原を認識するCTLは、細胞を

破壊してウイルス排除することに繋がる。以上の理由から、CTLは、特に抗体では防御すうことが

難しい、難治性感染症の原因となる変異の多いウイルスに対して有効な手段となりえる。

SNpt Esweqts

 我々の研究グループは、難治性の慢性ウイルス感染症や新興感染症において、ウイルス特異的メ

モリーCTLを強力に再活性化して、ウイルスを完全に除去するような予防・治療ワクチンの開発を

試みている。短い合成ペプチドで免疫するCTL誘導法を用いたワクチン開発は安全であるが、免

疫原性が弱いため、なんらかのアジュバントを用いて免疫を強力に賦活化する必要がある。免疫を

賦活化する工夫として、著者は2つの方法を検討した。まず1っ目は、細胞性免疫を促進する新規

サイトカイン、IL-23をアジュバントとして利用した研究である。2つ目は、アジュバント効果が証

明されている12)表面結合型リボソームを抗原導入のキャリアーとして用い、免疫原性が高いエピ

トープであるドミナントエピトープを探して、それをリボソーム表面に結合し、CT:L誘導型のワク

チンとする方法である。そこで、本論文では内容を2つに分けて、第1章では新規サイトカイン、

1:L-23によるウイルス感染防御効果について、第H章ではペプチド結合リボソームを用いた、SARS

および新型インフルエンザに対するワクチンの開発について述べることにする。

一5一

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第1章新規サイトカイン、1:L-23によるアジュバント効果について

諸論

 インターロイキン(IL)一12は、CTLなどの細胞性免疫を促進する最も強力なサイトカインであり、

癌や感染症の治療に有効であると考えられる。近年、腎臓癌の患者に対して、1[L-12を使ったPhase

2臨床試験が行われた。その結果、Phase 1臨床試験で確i認された安全な許容範囲で行われたにもか

かわらず、予想外に強い毒性が確認され、死亡症例がみられた13)。そのため、IL-12の臨床応用は

凍結されたままである。その後、IL-12と構造的に極めて類似したサイトカイン、 IL-23がIL-6の

構造に基づいたデータベース検索によって2000年に発見された。IL-23は、その構造的類似性のた

め、当初、IL-12と同様にTh1を誘導する機能をもつと考えられ、臨床応用において毒性を示した

1:L-12に代わる有望なサイトカインとしてその重要性が認識された。

 1:L-12は、IL-6サイトカインファミリーに属し、二つのサブユニットp40とp35分子からなる二

量体分子である。一方、1:L-23は、IIL-12のサブユニットであるp40と新しい分子p19からなる二量

体のサイトカインである。このp19分野はE-12のp35分子、 IL-6(single chain)などと構造的に

類似している。また、受容体の構造も極めて類似している。llL-12受容体はIL42Rβ1とIL-12Rβ2

からなる二量体であり、また、IL-23の受容体も二量体である。その1つはIL-12受容体を構成する

IL-12Rβ1であり、他方はIL-23に特異的なIL-23Rである14)。以上のように、 IL-23はllL・一12に極

めて似ているため、IL42と同様にTh 1反応を促進すると予測されたが、宿主免疫反応調節におい

て全く異なる役割を果していることがわかってきた。Cuaらは、p19ノックアウト(KO)マウス(K-23

のみ欠損)、p35 KOマウス(iL-12のみ欠損)、およびp40:KOマウス(IL-12とIL-23の両者を欠損)を

比較することにより、実験的自己免疫性脳脊髄炎(expetmental autoimmune encephalomyelitis:EAE)

             Th2                     がIL-12では                            H縫憩。どa至i紐艶繊1嚢マ            雛一一

             Thl            鱒…晒

     1レ4/ノ      er./tieh

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   ㌦曳IL-6  駄噛    触\     ”it“’h’“sc.aigk

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蕪鱒:

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    P蟹a舶¢w斑憩s    A簸ぞぞ琴y,蝦1撒額

    c{組雛鍛董瓢滋掘至i重㌢ta-s””ww”ww’狽狽浴@Defense agaklSt

    kitraceilulRr p atkegens

IL一ユ7(A)

IL-1 ’7F

IL_2ユ  一一一勢L・一22

Defe!}se against some

ぞxむ・ace鶏i韮lai・1)魏《オe霊勲

A{ヨ{o藪】謝憲}慧識三重v

Cfti}cer

A一一一驍sGF一多一…噸無無膿。卿Pぎess垂on  (Other facters?)

Fig.4 DevelopmeRt from Naive T cemo T撤, Th2我丑d T肌一17

なく正,一23に

依存したもの

であることを

報告した15)。

さらに同グ

ループは、

Naive T細胞

に】[L-23を加

えると、IFN一γ

やIL4を産生

することなく、

一6一

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特異的にIL47を産生する新しいCD4+丁細胞サブセットであるTh 17に分化することを報告した16)

(Fig.4)。 Th17は、自己免疫疾患をおこす新じいcD4+T細胞サブセットとして、近年の免疫学で大

変注目されている。最新の知見では、TGF一βとIL-6およびそれに続くIL-21がNaive T細胞をTh17

に分化させ、転写因子RORγtを発現させる。そして、 IL-23レセプターが発現され、 rL-23がSTAT3

を介してTh17をamplifyしfUll-fUnctionを与えると考えられている17)。IL47は炎症性サイトカイ

ン、ケモカインの産生誘導や細胞遊走を介して炎症を誘導するサイトカインであり、IL-23による

炎症誘導は主としてIL-17を介したものであると考えられる。しかしながら、まだTh17の分化誘

導を含めたIL-23の機能は十分に理解されていない。

ワクシニアウイルス(W)は天然痘のワクチンとして多くの人々に擁されてきたウイノレスであ

る。天然痘の根絶以降は、Wに外来遺伝子を組み込んで、簡便で効率のよい遺伝子発現ベクター

として、広く用いられている。このウイルスは、ほとんどの哺乳動物由来の培養細胞に感染可能で

あり、ゲノムサイズが大きいため、多種類の外来遺伝子を挿入できる。また、Wは、マウスに感

染して病気を引き起こすため、サイトカインなど免疫に関係する遺伝子を組み込んだ組換えWを

使って、それらの遺伝子産物が、ウイルス感染症に対してどのような生体防御効果を示すかを生体

内で観察することができる。今回、私は、IL-12またはIL-23を発現する組換えVV(W-IL-12, VV-IlL-23)

を作製し、これらを用いてウイルス感染における1:L-23の機能をIL-12と比較し、1:L-12に代わるア

ジュバントとしての可能性を検討した。さらに、W-tt-17およびllL-17・KOマウスを使用して、IL-23

の作用によって産生されるIL47のウイルス感染に対する役割について検討した。

一7k

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材料と方法

 マウス肥満細胞腫由来のP815(H-2b)、マウスモロニー白血病ウイルス誘発リンパ腫由来のYAC-1、

マウス線維芽細胞由来のNIH/3T3、ヒト骨肉腫細胞由来のC143、ヒト腎臓細胞由来の293T、アフ

リカミドリザルの腎臓細胞由来のCV-1、BS-C-1を用いた。これらの細胞は、10%ウシ胎仔血清(fetal

calf serum:FCS)と2血Mの:L-glutamineを加えたRPMI 1640(Sigma-Aldrich)培地(RIO)および

DMEM(sigrna-Aldrich)培地(D l o)で培養した。

2.IL-12、 IL-17、またはIL-23を ・賜させ嫌えWの’

 ConcanavaliRe・Aによって刺激したマウスの脾細胞のmRNAから逆転写酵素を使って、 cDNAを

作製した。このcDNAから、それぞれのサイトカインに特異的なプライマー

(正,一12sense:5’一AAGCTTATGTGGGAGCTGGAGAA-3’;IL-12antisense:5蜜一CTCGAGTCAGGCGGAGCTC

AGATA-3’;IL-17sense:5’一AAGCTTGCGGCTACAGTGAAGGCA-3’;1:L47antisense:5’一TCTAGATTAGG

CTGCCTGGCGGACA-3’;1:L-23sense:5’一AAGCTTATGTGGGAGCTGGAGAAA・一3’;M-23antisense:5’一CT

CGAGTCAAGCTGTTGGCACTAA-3’)を使って、1:L-12、 IL-17、 IL-23をPCRで増幅し、シーケン

サー(cEQ 8000:BEcKMAN)を用いて遺伝子配列を確認した。その遺伝子を、発現ベクター、

P3xF:LAG-CMV-9(Sigma-Aldrich)に挿入した。 P3xFLAG-CMV-9は、タンパク質検出用のタグとし

てFLAGタンパク質をコードする遺伝子と組換えタンパク質を分泌させるためのリーダーシークエ

ンス(:LS)を含んでおり、細胞に導入されると、 FLAGタンパク質が追加された融合組換えタンパ

        崖凱.(璽野…譜面

              」                    /』       P㈹Z68K2 vector              は                           ノ               \   ln飽dヒlo精            /                \            /  T臓擁s眠毫io絢

   ! WithBrdu

Fig.5 Generation ef VV-IL-12, VV-IL-170r VV-IL-23.

一8一

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ク質が分泌される。この組換えプラスミドから、FLAG、:LSを含めた各cDNAをPCRで増幅し、

Wの一部のDNAを含むpNZ68K2プラスミドベクターに挿入した。チミジンキナーゼ(TK)遺伝

子を欠損したC143細胞に野生型W(VV-WT)を感染させ、このpNZ68K2組変えプラスミドを遺

伝子導入した。C143細胞内では、VVとの相同組換えがおこり、生じた組換えVVはbromodeoxyuridine

(BrdU)で選別した。野生型vvは、 TK遺伝子によってリン酸化されたBrduをウイルス核酸に取

り込み、死滅するため、相同組換えによりTK遺伝子を欠損した組換えvvのみが生き残る(Fig.5)。

なお、本研究で使用したWWTは、遺伝子を挿入しても、感染性に影響を与えない18)。

3.IL.12、 IL.23の  と の

 作製した、1:L・・12または1:L-23を発現・分泌するVV(VV-IL-12, VV-llL-23,VV一一一17)をそれぞれ、

293T細胞にmultiplicity of infection(MOI)=3で感染させた。 D 10を加えて2日間培養した後、培養

上清を回収し、anti-FLAG抗体とprotein G-Sepharoseを用いて免疫沈降した。沈降したタンパク質

は、12%sDs・一PAGEで電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に吸着させて、 anti-FLAG抗体を使っ

てウエスタンプロットで分泌したIL42またはIL-23を検:出した。

 組換えVVから分泌されたIL-12とIL-23の機能活性は、 Signal tr鋤sducers and activa£ors of

transcription 4(STAT4)のチロシンリン酸化によって検討した。まず、293T細胞にIL-12またはU-23

のレセプター遺伝子を発現するプラスミドとSTAT4を発現するプラスミドを遺伝子導入した。この

細胞に、VV-IL-12またはW-IL-23を感染させた細胞の培養上清を0.2%,2%,20%の濃度で加えて

45分間培養した後、細胞を溶解して、抗リン酸化STAT4抗体を用いてウエスタンプロットを行い、

STAr4がリン酸化されたかどうかを検討した。

4.皿議7を tS泌させるVV

 VV-1:L47を293T細胞にMOI協で感染させ、2日間培養後、その培養上清中のIIL-17の量を

enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)によって測定した。また、 E-17磯能活性はN[H/3T3

細胞によるM-6産生量から判定した。293T細胞にVV-M-17を感染させ、その駿上清をN田/3 T3

細胞(2×105cells/we11)に加えた。37℃、24時間後、その培養上清中のIL-6をELISAで測定した。

5。マウスと免

 BALB/cおよびC57B:L/6マウスは日本チャールズ・リバー株式会社より購入した。 IL-12/23p40

gene一㎞ockout(KO)マウスは、The Jackson Laboratoryから購入した。IFN一γ:K,0マウスおよびIL-17 KO

マウスは、東京大学賞科学研究所ヒト疾患モデル研究センター岩倉洋一郎博士から供与いただい

た。いずれのマウスも640週齢のマウスを使用し、埼玉医科大学・動物施設で飼育・繁殖された。

組換えWは、マウスの腹腔内に注射して感染させた。W一脳7を使ったサバイバル実験では5×

108PFU/mouse感染させ、その他のサバイバル実験では組換えWを2×109PFU/mouse感染させた。

一9k

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6.ウイルスタイターの測定

各々の組換えWをマウスに感染させて(5×IO6 PFU/mouse)1~2週間後、卵巣を回収して卵巣

内のウイルス量を測定した。卵巣はホモジナイズして、freeze-thawを3回繰り返し、超音波処理し

て遠心後、上清をウイルス液とした。調製したウイルス液は、101~103倍に希釈してBS-C-1細胞

に感染させ、48時間後、0.1%クリスタルバイオレットで染色して、プラーク数を測定した。

7.CTM  の測定(CTL assa)19)

 組換えVV(2×107 PFU)をマウスに感染させ、2週問後に脾細胞を調製し、 CT:Lアッセイにおけ

るEffecter細胞とした。 Target細胞には、1×106個のP815細胞にMOI=3で37℃90分間、 W-WT

を感染させ、その後、100鉢CiのNa25iCrO4で37℃、30分間ラベルしたものを用いた。 Effector細胞

とTarget細胞を様々な比率で96 well U plateの各wellに加え、37℃で4時間インキュベーションし、

培養上清に遊離した51Crを測定した。測定結果から次式によって%specific lysisを算出した。

O/e specific lysis=[(CPmsample m CPrrlspomaneous)/ (CPMmaximum 一 CPMspontaneous)] × 100

cpmは、 count per minuteを表し、 cpm、p。。ta、t。◎。sはEffectorのない状態でのcpmを、 cpmmaxim。mはTarget

細胞を5%Triton・X-100でlysisしたときのcpmを表す。 Assayは3回以上行った。

8.糸 CD8’ IIFN-y’ Trk“ の湖 htrace皿ular c tokiRe stainin :ICS 19)

組換えW(5×IO7 PFU)を感染させた1週間後のマウスから脾細胞を調製し、96 well U plate(2

×106celIs/well)に加えた。各ウェルに、 W-WTを感染(MOI ・3)させたP815細胞又は非感染P815

細胞(2×105cells/we11)を加え、1FI/血1のbrefeldin・A(B臥)と共に37℃で5時間インキュベーショ

spleen cells infected with VV

     十VV-infected P 815 or naive P815

FITC-conjugated rat

Emti-mouse CD8ct mAb              N一”     Cytofix/Cytoperm

    ssptesii,!”

N一一一:Nm一一em一一一

Phycoerythrin(PE)一conjugated

rat anti-mouse IFN-y mAb

ノ風ーノ

(章)

  !’一、、

醇   欝

T       卿

 .  聾   8

@ 麺 ・5磨 ・

fiow cytometry

Fig.6 Precedure of iRtracellxlar cytokine staining

一 10 一

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ンした。その後、CD16/CD32モノクローナル抗体(BD Phammingen)で細胞表面のFcレセプターを

ブロックした後、FITC-co切uga重ed rat anti-mouse CD 8αモノクローナル抗体(BD Pha㎜ingen)を加え

4℃で30分間反応させた。続いて、Cytofix/Cytoperm kit(BD Pha㎜ingen)を使って細胞を固定し、

細胞の透過性を向上させた。その後、phycoerythrin(PE)一conjugated rat anti-mouse IFN一γモノクロー

ナル抗体(BD Pha㎜ingen)で4℃、30分間反応させた後、フローサイトメーターで測定した(Fig.6)。

9. VV 三二 の

組換えWを感染させたマウス血清中の抗W抗体を、ELISAによって測定した。まず、抗原と

して、VV・・WTを感染させたCW細胞の1ysateを0.05 Mのcarbonate-bicarbonate buffer (pH9.6)で希

釈して、96 well fiat-bottom plateに100μしずつ入れ、4℃で一晩静置した。続いて、 paraformaldehyde

でウイルスを固定し、5%FCSを含むPBS溶液でブロッキングした後、各we11に101~105倍に希釈

したマウスの血清を100μしずつ加えて、37℃で1時間反応させた。PBS-Tweenで5回洗った後、

horseradish peroxidase-co1加gated goa惚nti-mouse IgMまたはIgG抗体を加えて、37℃で1時間インキュ

ベーションした。その後、発色させて、492㎜における吸光度を:測定した(Fig.7)。

                 O。.ph。蜘。di。min。dihyd,。、hl。rid。、ub、㈱\\ノイ

              蝕W干魚、t。d cemy、at。

EZZZZZZZZZZvaZ

Fig.7 Deteetien of VV-specific antibodies

10.サイカインの Cvtokine ELISA

naiveマウスの脾細胞を調製し、 MOI=3で組換えWを感染させ、2日間培養後、その培養上清

中のサイトカイン量をELISAによって測定した。まず、 ELISAプレートに希釈したcapture Absを

50μしずつ加えて、4℃で一晩インキュベーションしてプレートに結合させた。captUre Abs(BD

Pharmingen)を取り除き、 blocking bufferを100μしずつ加えて1時間後、 PBS-Tweenで3回洗い、

上述の培養上清を100 P:しずつ加えた。一晩インキュベーションした後、PBS-Tweenで4回洗い、

biotinylated antibody(BD Pha㎜inge籍)を100叫ずつ加えて、1時間、室温に放置したプレートを

一ll ..

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PBS-Tweenで4回洗い、 avidin-horseradish peroxidase(Av-HRP)(BD Phai mingen)を加えて30分間イ

ンキュベーションした。さらに、PBS-Tweenで5回洗い、 o-phenylenediamine dihydrochlorideを5m9

とH202を5μL含んだEIA bufferを100μ:しずつ加えて15分~30分間反応させて、6N H2SO4を50

μL/we11加えて反応を止めた後、492㎜における吸光度を:測定した(Fig.8)。

       o-pheRylenediamine dihydrochloride substrate

            O             v・vidi曲・・se・adi・hp…xid・・e S@

            A biotinyiatedAb

       ・脚・囎

captur e Abs

,〃;zづ勉zf

Fig.8 The principle ef cytokine ELISA

11.NK系胞の電

組換えW(2×io7 PFU)を感染させ、1~2日後のマウスから調製した脾細包と、コントロールと

して非感染マウスから調製した脾細胞をNK assayにおけるEffector細胞とした。 Target細胞として

は、YAC-1細胞(NK細胞感受性細胞株)を使用し、100移CiのNa25℃rO4で37℃、30分間ラベル

したものを用いた。Effector細胞とTarget細胞を様々な比率で96 well U pla£eの各ウェルで混合し、

4時間37℃でインキュベーションし、培養上清に遊離した5℃r量を測定した。%specific lysisの求

め方は上述のCT:L assayと同様であるが、 cpm、p。Rtan,。usは非感染マウスを使用したときのcpmとし、

cpmm。xim。mは感染マウスを使用したときのcpmとして表した。 Assayは3回以上行った。

一 12 一

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結果

1.,えWによるU-12とIL-23の と  ’

A葦40WIレ」2薫L’23

  沁0

  80

  60  50

  44

  陥凹

  ぶ協

B虚蝉

 d【纂洲.一∵

 縫  @ 

C

,4襯繍鰍

 …

作製した組換えW-IL-12とVV一一23が、機能活性のあ

るIL-12またはIL-23を発現するかどうかをウエスタンプロッ

トとSTAr4のリン酸化によって調べた。 Fig.9Aに示したよ

うに、IL-12、 IL-23タンパク質はそれぞれ76 kDa、74 kDa

の位置にバンドとして検出された。さらに、そのサイトカ

インタンパク質に、機能活性があるかどうかをSTAT4のリ

ン酸化によって調べた(Fig.9B&9C)。 IL-12の受容体であ

るIL-12Rβ1とIL-12Rβ2を発現した293T細胞において、

Sl㎜4のチロシンはW-IL-12を感染させた細胞の継上清

を加えることによりリン酸化された。またIL23の受容体で

あるIL-12R.β1とIL23Rを発現した293T細胞において、

STAT4のチロシンはW-IL-23を感染させた細胞の培養上清

を加えることによりリン酸化された。これらの結果から、

作製した組換えVV一一一12とVV-IL-23は、それぞれIL-12

とIL-23を発現し、またその機能活性を示すことがわかった。

Fig.9 Detectioll of the muri皿e sclL-12 and sclL膚23 fロsion proteins secreted fmm VV」hlfected ce皿s.

A,293Tcells were酸ctcd with WWT(WT), W-1レ12(脱2), or W-IL-23(IL-23). Prote血s secreted in止e

supernatants were immunoprecipitated with the anti-FLAG mAb, The imunoprecipitated proteins were then

subjected to Western blot analysis with the anti-FLAG mAb. The positions of protein皿olecular mass markers血

kilodaltons are shown. Arrows indicate the bands of the murine sclL-12 (76 KDa) and sclL-23 (74kl)a) fusion

protei■s, B and C, STA[lr tyrosine phosphrylation assay.293T cells expressing either mUine IL-12Rβland Iし12Rb2

(B),or皿urile IL-12RbI alld IL-23R((りwere stilnulated fbr 45 min with the culture supematant containing either

murine sclL-12 (IL-12) (B) or sclL-23 (IL-23) (C) at final concentrations of O, O.2, 2 and 20010 of the original

supernatants. The cells were then subjected to Western blotting using anti-STAT4 (Total STA[lr4) and anti

phosphorylation-STAT4 (pY-STAT4) Abs.

2.BALBlcマスにお}るWに・ るIL-23の

次に、組換えWから発現したIL-12とIL-23がW感染の抵抗性にどのような効果があるカ、を

調べるために、マウスあたり2×IO8 PFU(VV-WTの致死量)の組換えWを、それぞれBALB/cマ

ウス}憾染させ、マウスの生存率を観察した。Fig.10Aに示すように、 W-WTを感染させた8匹の

マウスのうち5匹が5日目までに死亡した。これに対し、VV-IL-23を感染させたマウス(n-7)は

ll日間の観察期間中すべてが生存したことから、 IL-23がVVに対する抵抗性を高めると考えられ

る。またVV-IL-12を感染させたマウス(n=7)は2日目までに5匹が死亡した。これは、 IL12の毒

性によると考えられる。

一13一

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Fig. 10 IL-23 delivered by VV-IL-23 enhances

resistance to VV infection in BALBIc mice.

BALB/c mice were infected i.p. with 2× 108 PFU (A)

or 5×106 PFU (B and C) of VV-WT, VV-IL-12, or

VV-IL-23. A, Eight mice per group were monitored

daily for mortality. B and C, BALBIc mice inoculated

with VV-WT (WT), VV-IL-12 (IL-12), or VV-IL-23

(IL-23) were sacrificed at days 7 (B) and 14 (C)

postinfection, and viral titers in ovaries were

measured. From 8 te 12 mice were used in each group,

and all titrations were performed in duplicates. Data

are representative o f one of th2ree independent

experiments, and results are shown as the mean PFU

±SEM. ND, Not detected. “, P 〈 O.OO I compared

with VV-WT.

 さらに、ウイルスが排除されるかどうかを観

察するため、マウスあたり5×106PFUの組換、

えWを感染させて、7日と14日後のマウスの

卵巣におけるWのウイルスタイターを摂理し

た。W-IL-12を感染させたマウスでは、7日お

よび14日後において共に卵巣からのWは検

出されなかった。VV-L-23を感染させて、7日

後のマウスの卵巣におけるWのPFUは、

W-WTを感染させたマウスのPFUの約1/100

であった(Fig. I OB)。また、感染14日後の

VV-WTを感染させたマウスでは依然として高

いウイルスのPFUが認められたが、 WIL-23

を感染させたマウスでは、VVは検出されなかっ

た(Fig.10C)。以上の結果から、 IL-23はIL-12

と同様に、マウス体内におけるW排除を促進

することが明らかとなった。

3.W里CTLIの’碇 次に、51Crリリース法を用いたCTL assayによって、 CTLのkilling活性に対するIL-23の影響を

調べた。本実験では、組換えWを感染させたマウス脾細胞をEffector細胞として、 W-WTを感染

させたP815細胞をTarget細胞として用いた。 Fig.11に示されるように、 WIL-12やVV-IL-23を感

染させたマウスではWWTを感染させたマウスと比べて、 VV特異的CTL活性が若干高かった。

従って、IL-23がIL-12と同様に、ウイルス特異的CT:しの活性を増強することがわかった。

一 14 一

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.O.

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釜訂占個り己の雲

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VV一[L-12

  リロレユヨ

ISO SO 17  E:T Ratio

Fig.11 Activity ofVV・・speci∬c CTLs血皿盛。e血fected wi止W・IL-12 and W-1レ23.

Spleen cells were prepared丘om面ce at 2 wk a丘er臨cdon酷2×107 PFU of W-WT(circles), VV-L-12

(sequares),or W-U-23(血ve丘ed伽gles),51Cr relaease assays were then perfo皿ed to detect W」speci丘。 CTL

activity in spleen cells at various E:T ratios, using P815 cells infected with (open symbols) or without (filled symbols)

W-WT as t肛gets. Data are representative of血ee血dependeu伽d reproducible exper血enお, Resuls are shown as

the mean±SEM oftriplicate wells,*,、Pく0.05 copared with VVWT;**,P<0.05 compared with W-IL-23.

4.CD8+T のIFN一+ の油

Nalve

ト・毒

  く・)     (+}

  i  }・  1・1’s

『i ll  コ        コ   し

.、熱1  ; 漁

 翼  } 塗

   VV」猛・12

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  (・》     (+》

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 i    。

   W階猛響23 (一}      (漸》..      ←}

戴1⊃:。難野睡

 ias’ 1

  {+)

co8

Fig. 12 lntracellular IFN-y staining of W-specific CD8’

cells量皿血ce infected with VV」Wr, VV・・II、一12 and. uV一IL-23.

BALB/c:nice were i皿fected with 2×107PFU of either VV・WT,

Wn-12,0r VV一皿i-23, and spleen cells were prepared at day 7

postinfection. SPIeen cells of noninfected mice (Naive) were

used as a negative control. Spleen cells were then stimulated with

W-infected P815 (+) or noninfected P815 O cells for 5h. After

stimulation, cells were stained fbr theiエsu㎡hce expression of

CD8 (x-axis) ・with FITC-conjugated mAb and for their

intracellular expression of IFN-y(y-axis) with PE-conjugated

mAb, All lymphocytes were gated and analyzed on a FACScan

flow cytometer us血g cell Quest software(耳D Biosciences).

Values shown in upper right quadrant ildicate血e percentage of

CD8+cells that are positive for intracellular IFN「一γ,

 活性化されたCD8+T細胞は、 IFN一γ

を分泌しウイルス感染の進行を防ぐため

に重要である。そのため、組換えWを

感染させて1週間後、CD8+T細胞中の

IFN一γ陽性細胞数をフローサイトメー

ターによって測定した(Fig,12), Naive

マウスやW-WTを感染させたマウスに

比べて、W-IL-23を感染させたマウスで

は、W--一12を感染させたマウスと同様

に、CD8+T細胞中のIFN一γ陽性細胞数

が増加することが明らかとなった。この

結果からも、やはり、IL-23がIL-12と同

様に、ウイルス特異的CTLの誘導を促進

することがわかった。

一15一

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5.W里的野の測定とNKiの’掟

  iA   l騨(潮型4}

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l一凧憎 1畷鱒 Pよこ壌墨     エ    ;{   頑   窪   斑  難}  沁  餐} 三奪

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   1’aive wT 鷺,獄!円蓋。一23

FRg. 13 VV-specific lgG and lgM Ab production and

NK ac樋v量ty h蓋mice i曲cted with e鴛her VV・・WT,VV-IL-12 er VV-IL-23.

A-C, BALB/c rnice were infected i.p. with 2×107 PFU of

VV-WT (O), VV-IL-12 (V), or VV-IL-23 (V), and serum

of each meuse was collected at days 7 (C) and 14 (A and B)

postinfection. Serum of noninfected mice (ee) was used as

negative controls. Titers of anti-VV lgG l (A), lgG2a (B),

and lgM (C) in serially diluted sera were deterrnined by a

solid-phase ELISA. Data are shown as the average±SEM

of four to six mice per greup. The experiment was repeated

twice with similar results. *, P 〈 O.05 compared with

VV-WT. D, NK cell-mediated cytolytic activity. BALB/c

mice were infected i.p. with 2 × 107 PFU of either VV一一WT

(WT), VV-IL-12 (IL-12), or W-IL・一23 (IL-23). Spleen cells

were prepared at day 2 postinfection and used as effectercells in standard 5 i Cr YAC-1 cell-killing assays.

細胞性免疫だけでなく、体液性免疫もW

発症防御に関与する。そのためW特異的抗

体によってVVがマウスの体内から排除され

ている可能性があるため洛組換えWを感

染させて、1-2週間後のマウスの血清を希釈

して、W特異的抗体をEHSAによって測定

した。VV-IL-23を感染させたマウスでは、

VV-WTを感染させたマウスと比較して、Th 1

優位のIgG2a、 Th2優位のIgG1、 Tota1のIgM

の産生量は、これらすべてにおいて同様か、

もしくは低い糸課となった。一方、WIL-12

を感染させたマウスは、Th2優位の’lgG1が

VV-WTやVV-M-23を感染させたマウスと比

較して低く、Th 1優位のIgG2aはW-WTや

VV-IL-23を感染させたマウスと同様の糸課と

なった(Fig.13A,13B&13c)。このことから、

1:L-23がTh1タイプのIL-12とは違う特性であ

ることがわかった。さらに、IL-23はVV特

異的抗体の産生増加には関与しないことが分

かった。

次にNK細胞もW感染防御に寄与してい

る可能性があるため、NK活性についても比

較した。NK細胞は感染後早い時期に活性が

高まるのが特徴であるため、2×107PFUの組

換えWを感染させて、1-2日後のマウスの

脾細胞を使ってその活性を調べた。Fig.13DはEffector細胞とTarget細胞の比率が150対1のとき

のSpeci丘。 Lysisを示す。感染後1日に、 VV-llL-23を感染させたマウスは、 Specific Lysisが10%か

ら20%であった。また、その他のWを感染させたマウスについても、顕著な活性は見られなかっ

た。

6。W亙L-2編糸のIFN-IM 7の生

 IL-12は、 Th1やNK細胞をstimulateして、ウイルス発症防御に重要なIFN一γを産生させる。一

方、IL-23が誘導するIL47は、1(翅飢。碗αεやC. rodenliumのようなバクテリアに対する防御反応

一 16 一

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Fig. 14. VV-IL-23-infected }ymphecytes prodace

beth IFN-y and IL-17.

A and B, Naive spleen cells of BALA/c mice were

infected in vitro with W一一WT (wr), VV-IL-12 (IL-12),

or VV-IL-23 (IL一・23).NoRinfected spleen cells (None)

were used as a negative control. C and D, Nal’ve spleen

cells of BALAIc mice were cultured with either

recombinaAt IL-12 or recombinant IL-23 at various

concentrations. After 2 days of incubation, amounts of

IFN-y (A and C) and IL-17 (B ar}d D) in the culture

supernatants were quantitated by ELISA. Data are

shewn as the mean±SEM of three to five mice per

group. The experiment was repeated three times witih

similar results. ND, Not detected. *, P 〈 O.01.

に重要な役割を果たすことが報告されている。

そこで、WIL42とVV-IL-23発症防1卸における、

IFN一γとIL-1・7の役割を検討することにした。

 まず、BALB/cマウスの性細胞を調製し、in vitro

で各組換えVVを感染させ、2日間培養して、培

養上清中のIFN・・γと1:L-17量をE:LISAで測定し

た。その結果、W-WTを感染させた場合では、

わずかにIFN一γが検出されなかったものの、

W-U-12を感染させると多量のIFN一γが分泌さ

れた。一方、W-IL-23を感染させた場合、 IFN-y

の産生量は、W-IL-12の場合と比べて大幅に低

下した(Fig.14A)。また、 WIL-23を感染させ

た場合、多量肌一17が産生されたが、VV-U-12

またはWWTを感染させても、 IL-17はまった

く産生されなかった(Fig.14B)。この結果は

rlL-12もしくはrlL-23をマウスの脾細胞と一緒

に培養し、IFN一γとIL-17を測定した場合と同様

の結果となった(Fig.14c&14D)。

7.IL-12/IL-2340 KOマウスにSlるWに塗るIL-23の疵 右

 さらにIL-23によるウイルス発症防御について詳しく調べるために、 IL-12とIL-23の共通のサブ

ユニットであるp40をノックアウトしたマウスを使った。まず、 WWTの致死量(2×108 PFU)の

組換えウイルスを投与して、サバイバルを観察した。感染1帽後、WWTを感染させたp40 KO

マウスがすべて死亡したのに対して、w-IL-23を感染させたp40:Koマウスはほとんど生存した(Fig.

15A)。このことから、 IL-23によるWに対する発症防御の増強効果は、1:L-12 independentに作用す

ることがわかった。次に、組換えウイルスを感染させて14日後、p40 KOマウスの卵巣のウイルス

量を測定した。その結果、VV-IL-12もしくはWIL-23を感染させたp40 KOマウスの卵巣力、らは

ほとんどウイルスが排除されていた(Fig。15B)。したがって、やはりIL-23が1:L-12 independentに

一 17 一

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Wに対する発症防御を増強していることがわかっ

た。P40 KOマウスとBALAIcマウスにWWTを

感染させて21日後、それらのマウスの卵巣のウイ

ルス量を比較するとP40 KOマウスの方がWに対

する抵抗性が弱いことが確認された(Fig.15c)。つ

まり、VVの発症防御にIL-12とIL-23が重要な役

割を果たしていることが示唆された。また、マウ

ス脾細胞にin・vitroでウイルスを感染させた場合、

P40 KOマウスにおいても、 BALB/cマウスとまっ

たく同様にIFN一γとIL47が産生されることがわ

かった(Fig.15D&15E)。

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Fig.15亙L-23 delivered by W-IL-23 e曲allces resistaRce to VV infection in IL-12/23p40-deficient㎡ce.

A,IL-12/23p40-de負cient mice a簸d BALB/c mice Were infected i。p. w油2×108 PFU of WWT or WI:L-23, and

were menitored daily for mortality. B, IL-12/23p40-deficient mice infected with 5×106 PFU of VV-WT (WT),

W-IL-12 (IL-12), or VV-IL一一23 (IL-23) were sacrificed at day 14 postinfection, and viral titers in ovaries were

measured. From 8 to 12 mice were used in each group, aBd all titrations were performed in duplicates. Data are

shown as the mean PFU±SEM. C, BALB/c mice (B C) and IL-12/23p4e-deficient mice (p40 KO) were infected

with 5×106 PFU of VV-WT and sacrificed at day 21 postinfection. Viral titers in ovaries were then measured. Data

shown are the mean PFU± SEM. D and E, Nal’ve spleen cells of either BALB/c or IL-12/23p40-deficient (p40 KO)

mice were infected in vitro with VV・一WT (wr), VV-IL-12 (IL-12), er VV一一IL-23 (IL一・23). Noninfected spleen cells

(Nal・ve) were used as a negative colttrol. After 2 days o f incubation, culture supeixxatants were screened for the

presence of IFN-y (D) and IL-17 (E) by ELISA.

8.IFN-KOマウスにお1るW触る亙L-23の’L効

 さらにIFN-yが欠損している場合のVV対するIL-23の発症防御能を観察するために、 IFN一γ KO

マウスを使って実験を行なった。まず始めに、VV-WTの致死量のウイルスを感染させて、サバイ

バルを観察した。その糸課、VV-WTを感染させたIFN一γKOマウスがすべて死亡したのに対して、

VV-IL-23を感染させたIFN・一γ KOマウスはすべて生存した(Fig.16A)。このことから、 IFN一γが存在

しない場合でも、IL-23はWに対する発症防御に働し、ていることがわかった。次に、組換えウイ

一 18 一

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ルスを感染させて14日後、1:FN一γ:KOマウスの卵巣

のウイルス量を測定した。VV-IL-12を感染させた

IFN一γ KOマウスでは、 IFN一γが存在しないため、多

量のウイルスが残存した。しかしながら、W-IL-23

を感染させた場合は、ほとんどウイルスが排除され

た(Fig.16B)。従って、サバイバル実験の結果と同

様に、IFN-yの非存在下でも、 IL-23がWに対する

感染防御に有効に働いていることがわかった。また、

BALB/cマウスにおいて、 IL-23は一定量のIFN一γ産

生を誘導するが、このIFN-yは、 IFN一γKOマウスに

おいて、IL-23による発症防御増強効果にはほとんど

寄与しないことが推測される。この発症防御にIL-17

が関与していることが考えられたことから、次に抗

IL47抗体を用いた実験を行なった。その結果、抗

1:L-17抗体を投与すると、W-IL-23を感染させた場

合でもウイルスが卵巣に有意に高かった(Fig.16c)。

なお、IFN一γ KOマウス脾細胞にWIL-23を感染さ

せると、当然のことながらIFN一γはまったく産生さ

れないが(Fig。16D)、 IL47の産生はC57BL/6マウス

で認められると同様に産生された(Fig.16E)。以上

の糸雨から、IL-23によるWに対する発症防御の増

強効果には、IIL-17が関与していることが示された。

Fig.161L-23 delivered by W-IL-23 e曲ances resistance to W㎞fectio舳亙酬一γ.deficieRt mice.

A, IFN-y-deficient (IFN-y KO) mice and C57BL/6 mice were infected i.p. with 2 × 108 PFU ofVV-WT or W-llL-23,

and were moRitored daily for mortality. B, IFN十de負cient mice i醜cted with 5×106 PFU of WWT(WT),

VV-IL-12 (IL-12), or VV-IL-23 (IL-23) were sacrificed at day 14 postinfection, and viral titers in ovaries were

measured. Ferm 6 to 12 mice were used in each group, and all titrations were performed in duplicates. Data are

shown as the mean PFU±SEM. C, IFN-y-deficient mice were infected with 5×106 PFU of VV-WT (WT) or

W-IL-23 (IL-23). VV-IL-23-infected mice were then administered with 7e ptg ef a neutralizing anti-IL 17 mAb

(alL-17) or a relevant isotype control Ab (Control) at days O, 2, 7 postinfection. Feur mice were used in each group,

ai}d all titrations were performed in duplicates. Data shown are the meaR PFU±SEM. D and E, Naive spleen cells

of either C57BL/60r FN一γ一deficie就(IFN一γKO)mice were in免cted in vitro with WWT(WT), W-IL-12(IL-12),

or VV-IL-23 (IL-23). Noninfected spleen cells (Nal’ve) were used as a negative control. After 2 days of incubation,

culture supernatants were screened for the presence of IFN-y (D) and IL-17 (E) by ELISA.

9.BA]LB/cマウスにお1るWに・るIL・・17の 毒

IL-17の役割をさらに詳しく検討するために、 W-IL-17を使った実験系を構築した。 BA:LA/cマ

ウスに致死量のウイルスを感染させて、生存率と体重変化を観察すると、VV-WTに比べてWIL-17

一 19 一

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を感染させた場合、マウスはすべて生存し、体重も回復した(Fig.17A&17B)。したがって、 IL47

がWに対する発症防御を増強することカミわかった。次に、組換えウイルスを感染させて、3日後

と7日後のBALA/cマウスの卵巣のウイルスタイターを測定した結果、感染7日後、 VV-IL-17を感

染させたBA:LA/cマウスの卵巣からはウイルスが検出されなかった(Fig.17c)。この結果からもIL-17

がVVに対する発症防御を増強していることが示唆された。さらに、 IL-17KOマウスにW-WTの

致死量のウイルスを感染させ、サバイバルを観察したところ、WWTの致死量のVV-IL-23を感染

させても、IL-17:Koマウスはすべて生存したため(Fig.17D)、 IL-23によるvvに対する発症防御

増強作用に、IL47が主要な役割を果たしていないことが示唆された。

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Fig.17 Role o肌47沁resis伽ce to W漁tion.

A and B, Twelve BALBIc mice per group were infected i.p. with 5 × 10g PFU ofVV一一WT or W-IL-17. A, Mice were

monitored daily for mortality B, Changes in bedy weight of mice iAfected with VV・一WT (epen symbols) er

VV-IL-17 (solid symbols) were calculated as the percentage of the mealt weight per group in compariselt with

staning bedy weight. Data are shown as the mean±SEM. C, BALB/c mice infected with 5× 106 PFU ofVV-WT or

鴨L-17were sac葡ced at day 30r 7 pos厭。㌻io難,鋤d vi繭ters in ov麟es of mice were meas蟹ed. Six翻ce

were used iB each group, and all titrations were p erformed in duplicates. Data are shown as the mean PFU±SEM.

Nd, Not detected. *, P 〈 O.01. D, IL-17-deficient (ILt-17 KO) mice and BALB/c mice were infected i.p. with 5 × 108

PFU of W-WT or VV-IL-23, and were monitored daily for mortality Six ;nice were used in each group. Data of

VV-WT-infected IL一一17 KO mice were shown as a dashed line for highlighting.

一 20 一

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第皿章ペプチド結合リボソームを用いた、重症急性呼吸器症候群(SARS)

       および新型インフルエンザに対するワクチンの開発

緒論

 リボソームは、生体の細胞膜構成成分からなるため、極めて毒性が低く、ワクチンの担体として

使用するのに安全性が高い。本実験では、抗原を内包した通常のリボソーム(内包型リボソーム)で

はなく、抗原をリボソーム表面に共有結合させた表面結合型リボソームを用いた。表面結合型リボ

ソームには2つの特徴がある。1つは、アレルギー様の副反応の原因となるIgE産生が起こらない

ことである。Naitoらの報告20)によると、卵白アルブミン(OVA)表面結合リボソームと、 OVAに

水酸化アルミニウムを吸着させたものをマウスの皮下に投与し比較した研究で、投与後の血清中に

は、ともに抗原特異的なIgGの産生は見られるものの、 OVA表面結合リボソーム投与において抗

原特異的なIgEの産生は見られなかった。このことから、現行のワクチンに用いられているアルミ

ニウムアジュバントで生じるIgE抗体が関与するワクチン接種後の副反応21)を惹起しにくい。2

つ目は、ペプチドタンパク質抗原を内包するリボソームと比べて、表面結合型リボソームでは、極

めて効率的にCT:Lを誘導することである。 Nagataらの実験22)によると、 OVAペプチド内包型リ

ボソームではほとんどCTL誘導活性を示さなかったのに対し、 OVAペプチド結合リボソームでは

高いCTL誘導活性を示した。これらの2つの特徴から、アレルギー反応を誘導しにくく、細胞性

免疫を強く誘導するウイルスワクチンの開発に、表面結合型リボソームを利用することとした。

皿一1SARSコロナウイルス

Spike

Nucleocapsid

MembraneEnvelope

×  7b

Fig.18 Structure ef the SAIRS virion

3a

7a

 SARSの原因ウイルスであるSARS

コロナウイルス(SARS-CoV)は、約

30Kbの極めて大きなプラス鎖RNA

からなる新種のコロナウイルスであ

る。ウイルスゲノムはRNAウイルス

としては最長のゲノムであり、その5’

末端にはキャップ構造を、3’末端に

はpoly(A)を有する23)(Fig.19)。そ

のゲノムは、1345のopen reading

frame(ORF)からなり、5’末端から非

構造タンパク質、レプリカーゼとプ

ロテアーゼをコードするORFla

一 21 一

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(ppla)と1b(pplb)があり、ウイルスの構造は少なくとも7つの構造、スパイク(S)、3a、エンベ

ロープ(E)、メンブレン(M)、7a、7b、ヌクレオカプシド(N)で構成されている(Fig.18)。 S領域

内のレセプター結合ドメイン(RBD)は、レセプターであるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と

結合し、ウイルス侵入に重要な役割をする。

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Fig.19 SARS-CoV geRome ergallization

 SARSは、2002年

の11月中旬に中国広

東省で流行した「非

典型肺炎」に端を発

し、ベトナム、香港

の医療従事者を中心

に感染が拡大した。

引き続きカナダ、シ

ンガポールへ広がる

に至って、世界保健

機 構   (WHO)  カミ

‘Global Alert’を発

して本格的な調査を

開始し、2003年3月

15日にはSARSと名

づけられて、「世界規模の健康上の脅威」である原因不明の重症非定型肺炎として扱われることと

なった24)・ 25)。また、航空機の登場により、短時間で長距離の移動が可能になったことから、数ヶ

月間でアメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの29の国へ急速に広がりを見せた。実際には、2002年

11月から2003年7月末日の間に中国を中心に8,096人の患者が報告され、このう.ち774人が死亡

している26)。このような事態に対して、WH:0が中心となり各国支援のために専門家チームが派遣

され、電子情報システムを駆使した研究協力による原因病原体の同定、古典的な「隔離と検疫」を

用いた院内感染を中心とした集団発生の防止などが実施された。その結果、2003年4月16日掛は

新種のコロナウイルスがSARS起因病原体(SARS-CoV)であることが発表され、7月5日には感染

経路の特定、確定診断の方法、特異的な治療法の確立などを待たずに、世界規模の集団発生に終息

宣言が出されることとなった27)・ 28)。

 スパイクタンパク質に基づく系統発生学的解析によると、SARS-CoVは4つのグループに分けら

れる(Fig.20)29)。グループ1は、2003年に中国でハクビシンから分離されたウイルスであり、ヒ

トACE2がレセプターではない。グループ2は、ハクビシンやタヌキ由来のウイルス、および2003-20e4

年にヒトで散発的に発生したウイルスであり、致死的なグループ3のウイルスに比べて病原性が低

く、ヒトACE2に結合するRBDを持つ。グループ3は、2002-2003年に発生した、 Urbani株などの

一 22 一

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病原性の高いウイルスである。グループ4はコウモリより得られた株であり、Urbani株に比べて、

12-22%のアミノ酸が異なる。これらの解析から、SARS-CoVは、キクガシラコウモリに起源を持ち、

ハクビシンやタヌキに感染し、さらに種を超えてヒトへ感染したと考えられる。ハクビシンからヒ

トに感染した当初は、高い病原性を持たないが、ヒトからヒトへと感染が進むにつれて変異し、極

めて高い病原性を持ったと考えられる。また、Fig.20における太線は、グループ3と4の間が系統

的に離れていることを示している。

 SARS-CeVによるSARSの致死率は約10%とされており、(致死率は60歳未満で13.2%だが、60

歳以上では50%と極めて高かった)臨床経過は極めて不良である。SARS-CoVは、主に目、鼻、口

などの粘膜から感染すると考えられており、その後、鼻腔、咽頭、肺などの呼吸器で増殖する。感

染者のなかには下痢症状を伴う者がかなり多くみられ、ウイルスも便から検出され小腸、大腸での

増殖が認められている30)。SARS-CoVの増殖のピークは発症後10日頃で、重症化は10日以降に

みられ、さらに死亡するまでには19日程度と隔たりがある。2003-2004年に単発的発生が数件起こっ

たが、それ以降、発生はない。

 SARSの発生は、2004年以降みられないが、ウイルスは間違いなく自然宿主(コウモリ)に潜ん

でいる。したがって、またいつの日か、動物種を越えてヒトに猛威をふるう可能性があり、そのた

めにも早急なワクチンの開発が望まれる。

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Fig.20 Phylogenetic ana}ysis of SARS-CoV

一23 一

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皿一2HsN1亜型鳥インフルエンザウイルス

 インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科に属し、A・B・Cの3つの型に分類される。

これらのうち、A型は特に変異型が多く、世界的大流行を起こしやすい。 A型インフルエンザウイ

ルスのゲノム遺伝子は、マイナス鎖閉鎖RNAからなり、8つの分節に分かれている31)。ウイルス

の構造はそれぞれがコードしているタンパク質から、hemagglutinin(HA)、 neuraminidase(NA)、 RNA

pelymerase ot (PA). RNA polymerase B l (PB I). RJNA polymerase B2 (PB2). matrix protein (M).

nucleoprotein(NP)、 nonstmctUral protein(NS)と名づけられている(Fig. 21)。 MとNSを除く6つの

分節は、名前の由来になったタンパク質1種類のみをコードしているが、MとNSの2つの分節か

らは選択的スプライシングによって、それぞれM1とM2、 NS 1とNS2の2種類のタンパク質が合

成される。すなわち、A型インフルエンザウイルスが合成するタンパク質は10種類である。ウイ

ルス粒子は脂質二重膜からなる外被(envelope)を持ち、その表面には、2種類の糖タンパク質、 HA

                               とNAが外被を貫通して突             ..t一一/一s”                               き出している。さらに、

一“””gA-M2

   f一一一!

〆コ饗ン〆

 墜NP

Fig.21 Structure of the infiueRza A virioR

NA        ・nv・1・p・内部は、8種類の

           RNAが多数のNPおよびPA、MI   PB1、 PB2と結合して]RN・

            (ribonucleoprotein)を形成し

            ている。RNPと外被との問

            には多数のM1が充填され、

PBユ,PB2♪PA少数のn・n・㎞・tu・al P・・t・in・2

            (NS2)がM1に結合して存在

            している。A型インフルエ

            ンザウイルスは、粒子表面

            にあるHAとNAの抗原性に

            よりHAが16種類(H 1-H 16)、

NAが9種類(N1-N9)の抗原亜型に分類されている。従って、 HAとNAのさまざまな組み合わせ

により、理論的には数多くのA型インフルエンザウイルスの亜型が生じうる。

 A型インフルエンザウイルスは野獣共通ウイルスであるが、もともとは鳥に起源を持ち、ヒトや

獣に感染性を獲得したウイルスである。新しくヒトに感染するようになったA型インフルエンザウ

イルスでは、ほとんどの人が免疫を獲得していないため、まれに爆発的な世界規模の大流行(パン

デミック)が発生している。過去に、スペインインフルエンザ(H:IN1亜型)(1918-1920)、アジアイ

ンフルエンザ(H2N2亜型)(1957-1958)、香港インフルエンザ(H3N2亜型)(1968-1970)のパンデミッ

クが発生している。これらの亜型ウイルスに対して、現在、大流行が懸念されているH:5N1亜型鳥

インフルエンザウイルスは、重篤な全身症状を呈する高病原性であり、ヒトに感染して新型インフ

一一 24 一

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ルエンザになった場合、・はるかに多くの犠牲者が発生すると予想されている。

 現在、世界中で、H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスの感染拡大が大きな話題となっている。

H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスは、1997年、香港で鳥が大量死し、18人の感染者と6人の死

者を出した32)ことで、世界的にその脅威が周知されるようになった。そして2003年末から2004

年にかけて日本を含むアジア諸国でH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスが広がり、ヒトへの感染

もベトナム・タイで確認された。さらに2005年になると、その感染はヨーロッパや中東諸国、ア

フリカへと拡大し、2006年以降、中国やインドネシアを中心にトルコ・イラク・エジプトなどでも

多くの感染、死亡例が確認されることになった。2009年2月、WHOの報告によると、世界での感

染者数は404人で、そのうち254人が死亡している33)。発病から4~21日で死亡する例が多く、

死亡率は62.9%と非常に高い。H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスに感染したヒトの、香港・タ

イ・ベトナム・カンボジアからの症例をまとめたBeigelらの報告34)によると、ほぼ全例で38℃以

上の発熱、咳を認め、呼吸困難、咽頭痛、鼻汁、下痢、筋肉痛、頭痛など呼吸器外症状が見られる。

早期に、ウイルス性肺炎によると考えられる下気道症状が出現し、急速に増悪する。呼吸困難は発

症後5日目ごろに出現し、ほぼ全例で肺炎となる。重症例ではサイトカインの過剰分泌(サイトカ

インストーム)となり多臓器不全で死亡する。

 これまでほとんどの場合、鳥やアヒルに濃厚に接触したヒトのみが感染したと考えられ、明らか

なヒトからヒトへの感染例はまだない。しかし、インフルエンザウイルスは変異をおこしやすいウ

イルスとして知られており、ヒトに効率よく感染する株がいっ発生してもおかしくない状況である。

一方で、現在有効なワクチンが開発されていないため、現行のインフルエンザ薬やこれまでのイン

フルエンザワクチンに頼るしかない。厚生労働省の新型インフルエンザ専門会議は、2008年4月16

日、北里研究所と阪大微生物病研究会のワクチン原液から製造化されたプレパンデミックワクチン

を、感染症指定医療機関職員、検疫所職員などからの希望者に事前接種し、有効性・安全性を評価

する研究を実施することを決めた。しかし、このプレパンデミックワクチンはヒトからヒトへの感

染を獲得した新型インフルエンザに対して効果が期待できるかどうかはわからず、さらに製造まで

に半年以上の時間がかかることなど問題点が多い。そのため、新型インフルエンザの出現による世

界全土でのパンデミックを避けるためにも、現行のワクチンとは違った予防ワクチンの開発は重要

である。

 本研究では、ペプチド結合リボソームを使って、世界で最も人口が多いH:LA-A*0201を持つヒト

をターゲットにしたSARS-CoV及びH5N1亜型トリインフルエンザウイルスに対するCT:L誘導型

の予防・治療ワクチンの開発を試みた。そのために、まず、H:LA-A*0201トランスジェニックマウ

スを使って、HLA-A*0201に関連したCT:Lドミナントエピトープの決定を行うこととした。 SARS

については、SARS-CoVの非構造タンパク質であるPP l aのアミノ酸配列を使用した。 PP laは4377

個のアミノ酸からなる極めて大きなタンパク質であり、ドミナントエピトープが同定される可能性

が高い。またウイルス構造タンパク質より、感染後時間的に先に合成される非構造タンパク質であ

一25 一

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るため、それを免疫反応のターゲットとすれば、感染初期にウイルスを攻撃できることや、非構造

性、調節性タンパク質であるため、アミノ酸変異が少ないなどの特徴がある。2種類のエピトープ

予測コンピュータープログラム(BIMAS&SYFPEITHI)を用いて、エピトープの可能性の高い9個

のアミノ酸配列をpplaのアミノ酸配列から選び、 HLA・一A*0201関連SARS ppla由来エピトープの

ペプチドを作製した。各ペプチドのHLA.A*0201の結合アフィニティと安定性を検討して、予測し

たエピトープによって誘導されたCTLとの反応性を比較検討することによりエピトープを同定し

た。また、ペプチド結合リボソームの投与によって、CTLの誘導についても検討した。インフルエ

ンザウイルスに関しては、新型インフルエンザになりうる可能性の高いH5N1亜型鳥インフルエン

ザウイルスの内部構造タンパク質、調節性タンパク質から、SARSと同様に、2種類のエピトープ

予測コンピュータープログラム(BIMAS&SYFPEITHI)を用いて、エピトープの可能性の高い9個

のアミノ酸配列を選び、合成ペプチドを作製した。さらに、各ペプチドのHLA-A*0201の結合アフィ

ニティと安定性を検討するとともに、免疫したトランスジェニックマウスでのCT:L誘導能を比較

検討することにより、ドミナントエピトープの可能性を検討した。また、特にCTL誘導能が高かっ

たペプチドに関して、ペプチド結合リボソームを作製し、CT:しの誘導能、 HIN1亜型インフルエン

ザウイルス、H3N2亜型インフルエンザウイルス、 H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスに対する

感染防御能について検討した。

一 26 一

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材料と方法

1。マウス

 フランス・パスツール研究所のLemonnier博士が作製した、反応性の高いHLA-A*0201トランス

ジェニックマウスを使用した。このマウスは、マウスMHCクラス1遺伝子であるH-2Db遺伝子と

マウスβ2m遺伝子をダブルノックアウトしたマウスに、 HHD遺伝子を挿入したトランスジェニッ

クマウス(HHDマウス)35)である。 HHD遺伝子とは、 MHCクラス1のα1とct・2ドメインが

HLA-A*0201由来で、ct 3、transmembrane、 cytoplasmicドメインがH:一2DbからなるキメラHLA-A*0201

遺伝子と、ヒトのβ2m遺伝子を組み合わせた遺伝子である(Fig.22)。5’末端側から:Leader sequence

(LS),ヒトβ2m(huβ2m), HLA-A*0201α1domain(A2α1), HLA-A*0201α2domain(A2(x 2), H・一2Db()c

3・domain(Dbμ3), H-2Db transmembrane domai簸(DbTM), H-2Db cytoplasmic domain(CP)を表す。実験

にはすべて、6-8週齢のマウスを使用した。HHDマウスは、フランス・パスツール研究所・Lemo㎜nier

博士より供与され、埼玉医科大学動物施設で飼育・繁殖されたものを用いた。

5’ LS huβ2m A2α1 A2α2 Dbα3 DbTM CP 3

Fig.22 Structure of the HH]D geRe

 インフルエンザウイルスのチャレンジ実験には、イヌ腎臓細胞由来MDCK(Madin-Darby Canine

Kdney)細胞を用いた。細胞は、10%ウシ胎仔血清と2mMのし-glutamineを加えたRPMI 1640培地

で培養した。

3.インフルエンザウイルス

 10日号ど経った艀化鶏卵の漿尿膜にインフルエンザウイルス(A/lvPR8/34、:HIN1亜型インフル

エンザウイルス)(A/Aichi/2/68、 H3N2亜型インフルエンザウイルス)を感染させ、35℃に保ち、72

時間培養した。その後、4℃に冷却してウイルスの増殖を止めて、艀化鶏卵を割り,尿膜腔液中に

遊出したウイルス培養液を採取した。ウイルス液は一定時間超遠心することにより、ウイルスを分

画した36)。

dLj2t1iwrE

 :H:LA-A*0201関連SARS-CoV由来ペプチドは、 SARS-CoVのpp la領域から予測した。予測には、

2種類のエピトープ予測コンピュータープログラム(BIMAS&SYFPEITHI)を用いた。 BIMASは、

MHCクラス1とペプチドのdissociatio鍛rateを指標としエピトープを予測するものであり、その値

一27一

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Tab嚢e 2 Prediction ef SARS-CeV ppla derived CTL epitopes on cemputer

softwares.

Ep難ope Se騨e羅ce 81MAS SYFP冠 Ep量tope Se嵯ue獄ce 8遡AS SYFPE

PPla-15 QLSLPVLQV 匪56.0 26 PPla-2758 VLAALVCY至 224.4 26

PPla403 TLGVLVPHV 1560 26 PP韮a-2990 ALSGVFCGV 132.玉 25

PP王a-445 TLNEDLLEI 98.4 28 PPユa-3444 VLAWLYAAV 177.4 27

PPla-634 KLSAGVBFL 4635 27 PP玉a-3459 FL講RFrrrL 373.4 27

PP玉a-651 FLπGVFDI 64G.2 27 PPla-356G MLLrFLrSL, 三174.4 29

ppIa-1121 ILLAPI」しSA 7L9 26 PP玉a-3564 FLrSLLILV 7359 25

PPla-H39 SLQVCVQTV 160.0 28 PPla-3616 FLLPSLArv 2722.7 33

ppia-1288 MLSRALK:KV 272.0 25 PPla-3687 TLMNVfrEV 5919 25

ppia-1652 YLSSVLLAL 226.0 28 PP1段一3709 S㎜V【SV 958.9 28

PP匪a-2187 CLDAGmYV 35L9 27 PPla-3730 4047.2 29

PPla-2207 AMWLLLLS正 143.8 27 PP王a-37尋5 L監F】『rGNTL 134.4 26

PPla-2340 WLMWF巫SI 玉55L9 26 PP玉a-3816 KLMK工LGL 84.0 27

PPla-2546 玉LLLDQWV 4375 26 PPla-3848 VLLSVLQQL 309.玉 27

PPla-2754 TLLCVLAAL 18L8 29 ppia-4◎7叢 ALWEI(≧(~W 97◎.0 25

PP玉a-2755 LLCVMV 三182 25 ppla-4219 VLGSL頓V 118.2 26

Thirty CTL epitopes derived firom SARS-CoV pp l a were predicted using two kinds

of computer sofiwares, SYFPEITHI and BIMAS.

Table 3 Predietioll ef HsNl influenza virus derived CTL epitopes en cemputer

softwares.

£p猛ope Seqロε轟ce BmAS SYFP起 £p髭ope Seque鶏ce 81醐 SWP髭

韮)風4 αLG㎜L 550.9 30 25)PA一蒐0 LLAKSV落NSL 6タ.0 27

2)繊一2 LLT覧V覧γYV 2666.3 23 26)PA-1呈 擁しLkTAIGQV 13LO 26

3)Mレ3 RM(㎜EV 50.2 22 27)PA-12 LLMDALKLS{ 269.1 25

4)M14 SLLTεVETYV …415.4 24 28)PBレ1 藪L三D糀KDV 2492.3 27

5)M1-5 LLTEV£TYVL 6玉.o 24 29)P81-2 G犠照LSTV 4275 26

6)M1-6 ILGFVFrLτV 449.3 24 30)PB玉一3 N磁LSTVLGV 4275 26

7)M2-1 SLLτEVETL 89.葉 30 31)P814 VLGVSILNL 83.5 26

8)M2。2 IL}{LILWΣL 256.8 26 32)PBレ5 MMMGMFNML 韮84.4 22

9)M2-3 G!LB凝しWI 67.1 25 33)PB 1-6 QMYQKCCτL 49.4 22

10}M24 αLHL三L瓢L フ6.9 25 34}P81-7 YMFESKSMKL !076.6 25

H)NP-1 FLARSAL三L 4G.3 24 35)遡i-8 IM罫S醐ARL 2232 23

蓋2)NP-2 LLQNSQVFSL 484.5 28 36)PB匪一9 GLQSSDDFAL 蓬23.9 22

茎3)NP-3 SLVGIΣ)PFRゐ 蓋23.9 24 37)田MO RΣFLAM㎜ 67.峯 2:

14)NS-1 1夏LKANFSV 3489 24 38}PBレH (…MMMG錘F琵ML 1085 2叢

15)NS・2 WL蟹L三PKQKV 1玉83.8 23 ρ 39)PBト12 只LCNPLNPFV 3825 2茎

蓋6)PA-1 KLLし正VQAL 636.3 28 4G)野Bト玉3 SM嫉EAMVSRA 125ユ 21

17)PA-2 SLPPNFSSL 40.6 26 4DPB2-1 VLTGNLQτL 835 28

18)PA-3 FLL猷DALK工 363.6 26 42)PB2-2 SLLEMα{ST 1:3.0 23

翼9)PA4 ALLKHRドEI 223.9 24 43)PB2・3 M,(~TLK夏KV 69.6 23

20)PA-5 SLENFRAYV 93.0 24 44)PB24 叢LPDMTPST 5L9 22

21)PA{ YLLAWKQVL !49.蒙 24 45)PB2-5 TLFQQ羅kOV ::8.4 21

22)PA-7 CLLQSLQQI 88.8 24 46)P82-6 A乙S㎜LSNL 49.ユ 26

23)PA-8 KLSQMSK:£V 243.4 22 47)PB2-7 NLτKGεKANV 69.6 21

24)PA-9 CL姻DPWVL 65.7 22

Forthfive CTL epitopes derived frem HsNl infiuenza vims were predicted using two

kinds bfcomputer softwares, SYFPEITHI and B IMAS.

一28 一

が低いことがより抗原性

の高いエピトープである

ことを意味している。ま

た、SYFPEITHIは、ペプ

チドモチーフによりエピ

トープを予測するもので

あり、その値が高ければ

より抗原性の高いエピ

トープであることを意味

している。その二つの予

測プログラムでscoreの良

いエピトープを30種類選

び、それに相当するペプ

チドの合成をOperon社に

依頼した(Table 2)。

 HLA-A*0201関連H5N1

亜型鳥インフルエンザウイ

ルス由来ペプチドは、H5N1

亜型鳥インフルエンザウイ

ルスのRNA polylneraseα

(PA), RNA polymerase S l

(PB i), RNA polymerase S2

(PB2). mauix protein(M l,

M2), nucleopretein (NP).

nonstructural protein (NS 1,

NS2)領域から予測した。

予測には、2種類のエピ

トープ予測コンピューター

プログラムを用いた。その

二つのプログラムでscore

の良いエピトープを47種

類選び、それに相当するペ

プチドの合成をOperon社

に依頼した(Table 3)。

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5.リボソーム

   o   llH,q-O一一C一(CH2)M-CH3

1曾M,C-O-9一一(CH,),,一CH,

1曾H・C+ ァ+(C暁NH・+

   0皿DPPE

      曾

   i 曾

   i曾      ゐ.

H,〈} 一 O 一 C一一(CM,),,一一 CFI,

     DSS

    H,P-O一 SI}一(CH,), ,一一CH, o

        /Q

H2N一

ュ1{illi

         o

 本研究では、Dioleoyl

phosphatidyl choline (DOPC).

Dioleoyl phosphatidyl ethanolamine

(DOPE), Dioleoyl phosphatidyl

glycero1(DOPG)、 Cholestero1が

4:3:2:7のモル比からなるリボソー

ムを使用した37)。また、ペプチ

ドをリボソーム表面に結合させた

リボソームを使用した。ペプチド

の結合にはDisuccinimidyl subera重e

(DSS)を用いた38)。ペプチドと

リボソームの結合模式図をFig.23

に示す。リボソームは国立感染症

研究所・内田哲也博士に作製を依

頼した。

Fig.23 CeupliHg ef a peptide with lipesome via DSS

 SARS-CoV由来ペプチドを結合させたリボソーム(100 p:L)は、 CpG

(5’一TccATGAcGTTcTGATGTT-3’,5μL)を混合して、 HHDマウスのfoot padに皮下注射して免疫し

た。

 H5N1亜型鳥インフルエンザウイルス由来ペプチドを結合させたリボソーム(100 FL)も同様に、

CpG(5μ:L)を混合して、 HHDマウスのfbot padに皮下注射して免疫した。またサバイバル実験・

ウイルスチャレンジ実験ではM14ペプチドを結合させたリボソーム(Lip-M 1-1,100 F:L)、NS-1ペ

プチドを結合させたリボソーム(:Lip-NS-1,50μL)、PB 1-2ペプチドを結合させたリボソーム

(Lip-PB 1-2,50匹)、さらにCpG(5 p:L)を混合して、HHDマウスのfbot padに皮下注射して免疫した。

7.糸 CD8“ IFN-y“ Tk の’1 intracelhalar cvtekine staining : ICS

 免疫したマウスより得た脾臓細胞を、96 well U plateの各ウェルに2×106 cells/we11加えて、1μL/mし

のBFAと10排Mのペプチドと共に、37℃で5時間インキュベーションした。その後、細胞表面の

一29 一

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Fcレセプターをブロックする目的で、 CD 16/CD32モノクローナル抗体を1μg/weUとなるように入

れ、4℃、10分インキュベーションした。続いて、FITC-conjugated rat anti-mouse CD8ctモノクロー

ナル抗体を反応させた。次に、Cytofix/Cytopemm kitを用いて細胞を固定し、細胞の透過性を高めた

後に、細胞内のIFN一γを、 PE-conjugated rat anti-mouse IFN一γモノクローナル抗体と反応させた。細

胞内IFN-y“ CD8+細胞数測定には、フローサイトメーターを用いた。

8.ペプチドパルスした 細胞の静脈投与による細胞内CD8牽IFN一+T細胞誘輸性の測定

 NaiveのHHDマウスの脾細胞を調製し、10μMのペプチドで1時間パルス処理した後、 X線を

20Gy照射した。その後、脾細胞を2×107個、別のHHDマウスに静脈投与した。一週間後、静脈

投与したマウスの脾細胞を、96 well U plateの各ウェルに2×106 cells/we11加えて、1μ:L/mしのBFA

と10μMのペプチドと共に、37℃で5時間インキュベーションし、活性化された細胞内IFN一γ陽性

のCD8+T細胞数を上述の様にフローサイトメーターで測定した。

pmt mvivoCTLX1i’lllll{IZ)vailre(c’TL )

 マウスを免疫して1週間後、in vivo CTL assayを行った。5μMのcarboxy fiuorescein diacetate

succinimidyl ester(CFSE)でラベルし、それぞれのペプチドでパルス処理した脾細胞と、05 pMの

CFSEでラベルしペプチドでパルス処理していない脾細胞を等量ずつ混合し、免疫したマウスに静

脈注射した。投与12時間後、CFSEでラベルした細胞のviabilityをフローサイトメーターで測定し

た。%killingは、以下の式から算出した。

e/e killing = [1一{(number of cells in control mice (CF SE low)) / (ltumber of cells in coRtrel mice (CFSE

high))} / {(number of cells in immunized mice (CFSE low)) / (number of cells in immunized mice (CFSE

high))}] x 100

10.インフルエンザウイルスのチャレンジ実験

 サバイバル実験では、HHDマウスの鼻からHIN1亜型インフルエンザウイルス(8.43×106 TCID5◎)

を感染させた。また、ウイルスチャレンジ実験では、HIN1亜型インフルエンザウイルス(i.5・6×105

TCID50)、H3N2亜型インフルエンザウイルス(25×IO3 TC正)50)、H5N1亜型鳥インフルエンザウ

イルス(20PFU)を感染させた。

 マウスに免疫して、1週間後、HIN1亜型インフルエンザウイルスまたはH3N2亜型インフルエ

ンザウイルスを感染させた。さらに4日後、採取した肺をホモジナイズし、ウイルス液を調製した。

ウイルス液は、5%FCS-DMEMで3倍希釈より始めて段階希釈し、これらのウイルスとMDCK細

胞を96穴のマルチプレートで培養した。5日後、鳥の血球を使って、凝集反応を確認し、段階希釈

したウイルス液に感染した細胞(Well)の割合が50%の濃度をTCID50とした。

一30一

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結果

皿一1SARSコロナウイルス

1。コンピューターによるSARS-CoV la ’CT:Lエプープの ’1

 SARS-CoVはCT:Lエピトープがわずかしか同定されていない。そしてSARS-CoVの非構造タン

パク質であるPP 1領域からはエピトープは見つかっていない。そこで著者は、SARSウイルスのPP l a

領域のアミノ酸配列において、9-10個のアミノ酸からなるCTLエピトープを2種類のコンピュー

タープログラムを使って予測した。そして、エピトープの可能性の高いものを30種類選びそれに

相当するペプチドを合成した(Table 2)。

2.ペプチドパルスした 糸胞の静脈 与による細胞内C:D8+IFN♂T糸胞誘轄  の測定

Tab且e 4 1ntracellular皿ぞN一γs加in藍ng of C】D8÷TceHs i蔽

response to predicted CTL epitopes derived from SARS-CeV

ppla.

ぐPeμideICS(%i塾b:D8+ce皿s)

Peptide亙CS(%h鼓

bD8+ce皿s)

ppla-15 0.05 PPla-2758 0.03

PPla403 0.07 PPIa-2990 0.16

ppla-445 0.08 PPIa-3444 0.12

PPla-634 0.08 PPla-3459 0.03

PPla-651 0.02 PPla-3560 0.04

PPla-1121 0.05 PPla-3564 0.06

PPla-1139 0.07 PPla-3616 0.07

PPla-1288 0.05 PP裏a-3687 0.20  ,

PPla-1652 0..05 PPIa-3709 0.50

PPIa-2187 0.19 PPla-3730 0.06

PPIa-2207 0.48 PPla-3745 0.03

PPIa-2340 0.21 PPla-3816 0.07

PPIa-2546 0.丑7 PPla-3848 0.07

PPla-2754 0.04 PPla-4071 0.06

PPla-2755 0.18 PPla-4219 0.01

  さらに、反応性の高いペプチド

を選択するために、各ペプチドでパ

ルスしたHHDマウスの脾細胞をX

線照射し、別のHHDマウスに静脈

投与した。一週間後、静脈投与した

マウスの骨細胞をさらにペプチド刺

激して、活性化された細胞内CD8+

IFN一γ+T細胞数をフローサイトメー

ターで測定した。その結果、9種類

のペプチド(PPla-2187,PPla-2207,

ppla-2340, ppla-2546, ppla-2755,

ppla-2990, ppla-3444, ppla-3687,

pp l a-3709)でCD8+ IFN一γ+丁細胞を

誘導することができた(Table 4)。

Syngeneic spleen cells from Naive HHD mice were pulsed with each peptide, and were transferred

intravenously (i.v.) into another }MIID mice. One week later, spleen cells ofthe mice were prepared,

and stimulated with each relev2mt peptide for 5 heurs. Cells were stained for their surface expression

of CD 8 and intracellular IFN-y. The values shown indicate the percentages ofCD8“ cells that are

positive for intracellular IFN-y.

一31一

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3. SARS-CoV nnla エピープ CD8’ IFN-y’ T の1

Peptide(一) Peptide(+)

     ・..........轟 ,t  i

l誌£三無1調「                ユあり         ロ

     「1     」

      E     舳託

          颪              旨

研続露濡

?eptide(一) Peptide(+)

謙慰3’eg

識1167

㌫匪〔[、訂.γg7s@eeli’ I R” 1 ff

              CD8

Fig.24 lnduction of IFN-y’CD8’cells in mice by immunization with

surface一血1ked随pos6mal peptides derived from SARS-CoV ppla.

Mice were immunized with each liposomal peptide derived ftom

SARS-CoV pplatogether with Iiposomal helper pqptide and CpG, One

week later, spleen cells ofthe mice were prepared, and stimulated with

each relevant peptide for 5 hours. Cells were then stained for their surface

expression ofCD8 and intracellular IFN-7, Values shown indicate the

percentages ofCD8’cells that are positive for intracellular IFN-T.

 静脈投与実験からCD8+

IFN一γ+T細胞を誘導すること

ができた9種類のペプチドに

ついて、ペプチド結合リポソニ

ムを作製した。これらのペプ

チド結合リボソームとCpGを

混合して、HHDマウスに免疫

した。1週間後、脾細胞を採

取して、各ペプチドで刺激し、

細胞内IFN一γ+CD8+T細胞を測

定した。その結果、6種類の

表面結合リボソーム

(Lip-ppla-2187, Lip-ppla-2340,

Lip-ppla-2546, Lip-ppla-2755,

Lip-ppla-2990, Lip-ppla-3709)

でCD8+IFN一γ+T細胞を誘導

することができた(Fig. 24)。特

にLip-ppla-2990、 Lip-ppla-3709

を免疫したマウスでは細胞内

IFN一γ+CD8+T細胞を顕著に誘導

することができた。また、すで

にエピトープとして報告されて

いるSpike-978、 Spike-1167、 Spike-1203についてもペプチド結合リボソーム(Lip-Spike-978,

Lip-Spike-1167, Lip-Spike-1203)を作製し、同様の実験を行った。その結果、 Lip-spike-978、

Lip-spike-1167の表面結合リボソームではCD8+IFN一γ+T細胞を誘導できなかったのに対してl

Lip-Spike-1203ではCD8+IFN一γ+T細胞を顕著に誘導することができた(Fig.24)。

4.in vivOの 験系における,胞傷害“性

 さらに詳細に各ペプチドの免疫原性を調べるために、in vivoの実験系におけるCTLの細胞傷害

活性を測定した。まず、作製した結合リボソームとCpGを混ぜて、 Hmマウスに免疫した。1週

間後、別のHHDマウスから採取した脾細胞を5μMのCSFEでラベルし、各ペプチドでパルス処理

した細胞と、0.5μMのCSFEでラベルし、ペプチドでパルス処理していない細胞を等量ずつ混合し、

あらかじめ免疫したマウスに静注した。投与12時間後、CFSEでラベルした細胞の数をフローサイ

一32一

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ppla齢

2187

ppla-

234g

pp{a-

Z7SS

ppla-

3444

群P三a扁

3799

$’plke-

1167

’Lip L衰P一叢鳩裏》tide

ppla-

22G7

鞭1蕊・

2546

PPla嵐

299の

ρ纏か

3697

$pike-

978

§pike翼

三2㈱

Lip Li峯》・・pept茎Ge トメーターで測定した。この実験

でも、Fig.24と同様に6種類の表

面結合リボソーム(:Lip-pp la-2187,

Lip-pp la一一2340,]しip-ppla-2546,

Lip-pp l a-2755, Lip一一pp l a-2990,

:Lip一・pp l a-3709)とLip・一spike・・1203

でCTLの細胞傷害活性を顕著に

誘導した(Fig。25)。

CFSE

Fig.251蜘曲gac舳ies加㎜miceimm曲edwithsur飴ce一蹟nked薮posomalpep髄des.HHD rnice were imnur}ized once with each liposomal peptide together with CpG in the foot pad. On week

later, an equal number of a relevant peptide-pulsed CFSE targets and unpulsed CFSE targets were traRsferred

into the immunized mice by i.v. inj ection. After 12 hours, CFSE-labeled cells were recovered from spleens of

recipient醜ice and analyzed by flow cy£ometry. The numbers show the percentages of specific Iysis.

5.ペプチ“’ によるSARS-1a-3709 ’エピープ 里白, C:D8+IFN一+T糸胞■

導活性に対する影響

 ilt・vivoの実験系でCTLの細胞傷害活性を顕著に誘導したpp l a-2990、 pp l a-3709について、エピ

トープのaffinityを調べる実験を行った。 Lip-pp l a-2990、:Lip-pp l a-3709}ご関して、それぞれ、 CpG

と混合して、HHDマウスに免疫した。1週間後、脾細胞を採取して、様々な濃度のペプチドで刺激

し、IFN一ジCD8+T細胞を測定した。 pp la-3709はpp l a-2990に比べて、低濃度のペプチドで細胞内

IFN一γ+CD8“ T細胞を誘導することがわかった(Fig.26A)。このことからpp l a-3709はaffTnityが強く、

ドミナントエピトープとした。また、pp la-2990はペプチド濃度の上昇に伴ってIFN一γ+CD8+T細胞

が誘導されることから、pp l a-2990もドミナントエピトープとした。さらに、spike-1203と比較して、

pp l a-3709がspike-1203と同様のCTL誘導能を示すことがわかった(Fig.26B)。

一33 h

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A100

80

60

40

20

 0

ppla-3709vs ppla-2990

le7 10-6 105 104 10-3 10-2    Peptide Conce瞭ation(mM)

B100

se

6e

4G

zo

 e

ppla-3709

vs Spike-1203NS

NSNS

=裏0吟7      10-6      10-5      =裏0卜4      10-3      10-2

   Pep tide CeRcentratien (mM)

Fig. 26 induction of IFN-y“ CD8+ cells in mice by immunizatien vvith surface-linked liposomal peptides derived

from SARS-CeV ppla.

Mice were immunized with each liposomal peptide derived from SARS-CoV pp l a (open symbels) or empty liposomes

(closed symbols) together with CpG. One week later, spleen cells of the mice were prepared, and stimulated with each

relevant peptide of either pp l a-3709 (A and B : circles) , pp l a-2990 (A : inverted triangles) or Spike-1203 (B : inverted

triangles) at various concentrations for 5 heurs. Cells were then stained for their surface expressioR of CD8 aiid

intracellular IFN-y. Values shown indicate e/o maximum ofCD8’ cells that are positive for intracellular IFN-y.Data are

shown as the mean the percentages ef CD 8“ ceils that are positive for intracellular IFN-y ± SEM.

一 34 一

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IL2:H5N1亜型烏インフルエンザウイルス

1。コンピューターによるH5N1亜型鳥インフルエンザウイルス由来CTLエプトープの予測

 H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスにおいても内部タンパク質、調節性タンパク質をターゲッ

トとした。H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスのPA、 PB 1、 PB2、 M1、 M2、 NP、 NS 1、 NS2の

領域のアミノ酸配列において、9-10個のアミノ酸からなるCTLエピトープをSARS-CoVと同様に

2種類のコンピュータープログラムを使って予測した。そして、エピトープの可能性の高いものを

47種類選びそれに相当するペプチドを合成した(Table 3)。

2.ペプチドパルスした 細胞の静脈投与による細胞 CD8牽IFN一+T細胞幽幽性の測定

’lrable 5 EntracelluHar KFN-y staining of CD8’Tcells in

response to predicted CTL epitopes derived frem HsNl.

Epitope 亙CS Epitope 夏CS

1)M1-1 0.81 25)PA-10 0.13

2)M1-2 0.23 26)PA-11 0.14

3)Ml-3 0.13 27)PA-12 0.1フ

4)M1-4 0.17 28)PBI-1 ◎.20

5)M1-5 0.18 29)P鷺1-2 030

6)M1-6 0.84 30)B1-3 037

7)M2-1 037 31)PB 14 0.15

8)M2-2 Nr 32)PB 1-5 0.21

9)M2-3 0.42 33)PB 1-6 0.21

10)M24 M 34)PB 1-7 0.18

11)MM 0.18 35)PB 1-8 0.22

12)M}一2 0.13 36)PB 1-9 0.16

13)NP-3 0.15 37)PB140 ③.48

14)N$1 0.36 38)PB 1-11 0.15

15)NS-2 0.18 39)PBレ12 0.20

16)PA一玉 0.22 40)PB 1-13 0.13

17)PA-2 0.20 41)P脱一1 0.22

18)PA-3 0.20 42)PB2-2 0ユ5

19)PA4 ◎.15 43)PB2-3 0.22

20)PA-5 0.24 44)PB24 0.15

21)P卒一6 0.26 45)PB2-5 0.14

22)PA-7 0.20 46)PB2-6 0.20

23)PA-8 0.25 47)PB2-7 ◎.15

24)PA-9 0.20

 さらに、反応性の高いペプチドを選択す

るために、各ペプチドでパルスしたHHD

マウスの脾細胞をX線照射し、別のHHD

マウスに静脈投与した。一週間後、静脈投

与したマウスの脾細胞をさらにペプチド刺

激して、活性化された細胞内CD8”’ IFN一γ“ T

細胞数をフローサイトメーターで測定した。

その結果、9種類のペプチド(Ml-1,M1-6,

M2-1, M2一一3, NS-1, PB l-2, PB 1-3, PB 1-10,

PB24)でCD8+正N一ゾT細胞を誘導するこ

とができた(Table 5)。

Syngeneic spleen cells from Naive HH]) mice were pulsed with each

peptide, and were transferred intravenously (i.v.) into anether HHD

mice. One week later, cells were stained for their surface expression of

CD8 and intraceUular正N一γ. The values shown i鍛dicate the

percentages of CD8“ cells that are positive for intracellular IFN-y.

一35一

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3.HsNl亜烏インフルエンザウイルス来エピトープ t胞CD8+IFN一+T胞の測定

トー呂旨

  PεP梱¢(一)Pep輔己e(+)

_臨。’4 X7’3

   M-Sva-1

協、譲軌1]、1㈲(ri) kima“ tstsi

     O.1811, ftiSen:22.1

四S1-1

    湿

。Bレ懸軌14 ルゼ  一葦

留潅ボ灘、:f

  ?eptide(一) Peptide(+)

      一 1 O.25Ml.6    蓬

(i2) avme    eno:i 一1,,:.’

M2-3 i,.S.tf

?Bl-21.i.[’t,t“:,1

PB、.、。認

(rt) Eieelll

 舞463ヒ

磁嚢.

063

470 旨=

謬焔

溜誌

r,

脇露

 静脈投与の実験でCD8+IFN・γ+T細

胞を誘導することができた9種類の

ペプチドについて、ペプチド結合リ

ボソームを作製した。これらのペプ

チド結合リボソームとCpGを混合し

て、HHDマウスに免疫した。1週間

後、小細胞を採取して、各ペプチド

で刺激し、細胞内IFN一γ+CD8+T細胞

を測定した。その結果、Fig,27に示

されるように、3種類の表面結合リ

ボソーム (Lip-MI-1, Lip-NS-1,

Lip-PB 1-2)で細胞内IFN一γ+CD8+T

細胞を顕著に誘導することができた。

CD8

Fig.27 1nduction ofIFN-y’CD8’cells in mice by immunization with surface-linked liposomal peptides

derived from HsNl infiuenza yirus.

Mice were i㎜血zed wi血each lippso皿al peptide derived from HsN1 influenza血s together With CpG. One

week later, splecn cells of the皿ice were prepared, and stimulated with each relevant pcptide fbr 5 hours. Cells

were then stained for their surface expression of CD8 and intracellular IFN-y. Values shown indicate the

percentages ofCD8’cells that are positive for intracellular IFN-y.

4.in vivoの  系における,胞傷宝’

 次に、il vivo CTL assayでCTLの細胞傷害活性を測定した。選択した9種類のペプチド結合リボ

ソームの各々とCpGを混合して、 HHDマウスに免疫し、1週間後、 in vivo CTL assayを行った。5μM

のCSFEでラベルしそれぞれのペプチドでパルス処理した細胞と、0.5μMのCSFEでラベルしペプ

チドでパルス処理していない細胞を等量ずつ混ぜ、リボソームで免疫したマウスに静注した。投与

i2時間後、 CFSEでラベルした細胞の数をフローサイトメーターで測定した。この実験でも、 Fig.27

の結果と同様に、Lip-M1-1、 Lip-Ns-1、 Lip-PB 1-2で免疫したマウスにおいて強い細胞傷害活性が認

められた(Fig. 28)。

 特にインフルエンザのCTLエピトープとして、強い免疫誘導を起こすことがすでに知られてい

るMl-1では、他のペプチドと比較して、強い細胞内IFN一γ℃D8+T細胞の誘導とCTL活性を示し

た。また、これまでの結果からM1-1、 NS-1、 PB1-2の3種類をドミナントエピトープと判断した。

一36一

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Peptide(一) Peptide(・F)

  ’’”一’li:il,4iiii[IIII[[1.二;

M萬4

湖【2-3

}トm

i’幕贋i

      M2・lt,1

  15.3i一戸‘

 騨i NSI-1

PBI-lg齊一暴

   l   I

3三…饒

Pe欝鍼繧e(一) Pep燃e(÷)

鴫紺i団灘5i

    l

il・II:ll;・・++・’“y/i’ 一 fi

       し 醗一一

esr1r 一!!r i:’rl11E!ttr1t i一

Fig.281nviv曲g activities iR HHD micei-izedwithsurface一二nkedliposo酬peptldes.

HHD mice were imaiunized once with each liposomal peptide together with CpG in the foot pad. OR week later,

an equal number ofa relevant peptide-pulsed CF SE targets and unpulsed CF SE targets were transferred into the

immunized mice by i.v. inj ection. After 12 hourrs, CFSE-labeled cells were recovered from spleens ofrecipient

mice and analyzed by flow cytometry. The numbers show the percentages of specific lysis.

5.H:1N1、 H3N2、 H5N1亜型インフルエンザウイルスを つたウイルスチャレンジ

 次にこれら3種類のペプチド結合型リボソームをマウスに免疫して、インフル土ンザウイルスを

感染させ、防御効果があるかどうかを調べた。H5N1亜型鳥インフルエンザウイルス

(A/HongKong/156,97)から同定した3種類のエピトープは、著者らが使用したHIN1亜型インフル

エンザウイルス(A/lvPR8/34)、 H:3N2亜型インフルエンザウイルス(A/AichY2/68)において、アミノ

酸変異は認められなかった。そのため、ペプチド結合リボソームをマウスに免疫してCTLを誘導

できれば、これらの亜型のインフルエンザウイルスに対して発症防御が可能である。

 まず、Lip-M1・・1(100匹)、 Lip-NS-1(5e P:L)、 Lip・一PB I-2(50匹)さらにCpG(5μ:L)を混合して、

:HHDマウスのfoot padに免疫した。またコントロールのH:HDマウスには表面にペプチドを結合し

ていないリボソーム(200μL).をCpGと共にfoot padに投与した。1週間後、マウスの鼻からHIN1

亜型インフルエンザウイルス(A/lvPR8/34,8.43×106 TCID50)を高用量感染させて、体重変化を観察

した。その結果、コントロールマウスでは死亡、または体重が元に戻らない結果であったのに対し

て、3種類の混合リボソームを免疫したマウスでは一時的に体重が減少したが、回復する結果となっ

た(:Fig。29)。

 なお、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの協力により、同様にH5N1亜型インフルエ

ンザウイルス(A/Hong:Kong/156,97,20PFU)をマウスに感染させたサバイバル実験からも、コント

一37一

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ロールマウスと比較して、3種類の混合リボソームを免疫したマウスでは体重の変化は見られなかっ

た(Fig.29)。

 そこで、さらに詳細に調べるために、免疫したマウスに対して、鼻からHIN1亜型インフルエン

ザウイルス(AIIvPR8/34,1.56×105 TCIDso)または、H3N2亜型インフルエンザウイルス(A/Aichi/2/68,

2.5×103TCID50)を感染させた時の肺のウイルス量を測定・比較した。サバイバル実験と同様に、

HHDマウスに免疫して、1週問後、マウスの鼻からインフルエンザウイルスを感染させて、さらに

4日後、HHDマウスの肺を採取し、ウイルスタイターを測定した。その結果、 HIN1亜型インフル

エンザウイルス、H3N2亜型インフルエンザウイルスのどちらを感染させた場合においても、コン

トロールマウス(non-immun)と比較して、3繍の混合リボソームを免疫したマウス(i㎜un)で

は、肺のウイルス量が優位に低下していることがわかった(Fig.30)。

011

001

90

80

70

(ぎ鎧釜り毒謡露嗣9ご躍営¢≧下弓。葭 60

AIPR/83/4(旺1N1)

02468 10 12 14X)avs Pest-infeetioR

0入玉

001

90

80

70

(夢爲審曽欝欝ご鳥驚汐・ε◎

60

A/且ongKong/156.97(耳5N1)

o 4   6   8 leDays Pest-infeetien

Fig.29 Resistance to infection with AIPR!8/34(HINI), er sueRgkong/156.97(HsNl)in mice immunized

with surface-linked lipesomal peptides derived from AIHengKong/156.97 (HsNl).

HHD mice were immunized with either a mixture ofLip-M 1-1, Lip-NS・一1 and Lip-PB 1-2 (epen symbols) or empty

liposomes (closed symbols) along with CpG. One week later, mice were challenged i.n. with either 8.43 × 106

TCIDsofmouse offVPR!8/34 (H I N I) or 8.43 × 106 TCIDsofmouse ofAIHongkong/l56.97 (HsNl).

一38 一

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IGff

1曇$

掛    伊

1         1

⇔矯(興一畳)臼即

1{野

1び

A/PR/8/34(耳1醗)

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且Ott一・i!繊裏澄澱   蓋1陰繊誠獄

10ぎ

沁4

O頃(閏遍執)』旨

玉02

沁1

ム魚抽シ2/68(撚!!rZ)

猛。温一…膿恥組  三撮斑皿

Fig. 30 Resistance to infection with AIPR/8/34 (HINI), or A/AichV2/68 (H3N2) in mice immunized with

surface-Iinked liposomal peptides derived frem A/HoRgKeng/156.97 (HsNl).

H HD mice were immunized wnh either a mixture ofLip-nyM 1-1, Lip-NSh-1 and Lip-PB 1-2 (irr}mun) or empty

liposomes (non-immun) along with CpG. One week later, mice were challenged i.n. with enher 1.56 × 105

TCID50/mouse ofA/PR/8/34(H l N1)or 2.5×103 TCID5♂mouse ofA/Aichi/2/68(H3N2). Mice were sac面ced

4 days after challenge, and viral titers iR the lungs were measured.

一39一

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考察

 多くのウイルス感染症では、種々のワクチンが開発され、感染防御に大きく貢献している。しか

しながら、HIV感染症やウイルス性肝炎などの、難治性の慢性ウイルス感染症や新しく認識された

新興感染症に対しては、有効なワクチンが開発されておらず、新規ワクチンの開発が世界的に急務

である。そこで著者は、強力に細胞性免疫を賦活してウイルスを完全に除去する予防ワクチンを開

発するために、サイトカインをアジュバントとして使用する方法と免疫原性の高いエピトープをワ

クチンに使用し、ペプチド結合型リボソームと組み合わせることで強力な免疫反応を誘導する方法

を検討した。

 まず第1章では、最も強力に細胞性免疫を促進するIL-12と構造的に極めて類似した新規サイト

カイン、IL-23の機能を理解する目的で、 IL-12またはIL-23を発現する組換えWを作製し、これ

らを用いてウイルス感染防御におけるIL-23の機能を、 IL-12と比較して検討をした。そして、1:L-23

のアジュバント効果などの機能解析を試み、毒性の強いIL-12に代わる免疫賦活アジュバントとし

ての可能性とともに、IL-23によって産生される、 IL-17(A)のウイルス感染に対する役割について

検討した。

 まず、ウエスタンプロットにより、作製した組換えウイルスを感染させた細胞から、IL一・12また

はIL-23が培養上清中に分泌されること、分泌されたIL-12または、1:L-23がSTAT4をリン酸化し、

機能活性があることを確認した。WIL-12またはVV-IL-23を感染させたマウスでは、 W-WTを感

染させたマウスに比べてウイルスがより早くマウス体内から排除された。従って、IL42同様、 IL-23

がウイルスのクリアランスに重要な役割を果たすことがわかった。また、CD8+IEN一ゾT細胞の割合

は増加し、W特異的CT:L活性も増加した。これらの結果から、 IL-23がIL-12同様、 VV特異的

CTLを誘導し感染防御に効果があることがわかった。次に様々なマウスを使って、 IL-23のWに

対する感染防御能を検:減した。BA:LB/cマウスの実験結果から、 IL-23がIL-12と同様にウイルス抵

抗性を増強すること、P40 KOマウスの実験結果から、 IL-23はIL-12とは独立して、またIL-12と

は異なったメカニズムでWに対する感染防御を増強することがわかった。加えて、IFN一γ KOマウ

スを使った実験から、1:L-12による発症防御増強作用にはIFN一γが重要であるが、 IL-23ではあまり

重要でないことがわかった。さらに、抗IL-17抗体を投与したIFN一γKOマウスの実験結果から、IL-23

による発症防御増強作用にはIL-17がある程度関与するが、他の因子が主要な役割を果たすことが

示唆された。実際のところ、VV-U-23感染でIL一・17が誘導産生されるものの、 IL 17KOマウス

にVV-IL-23を投与した場合では、発症防御増強作用に変化はみられなかった。このためWに対

する発症防御増強作用にIFN一γとIL-17の両者が関与していると考えられるが、 Th17から産生され

る他のIL-22やff-17FなどがIL-23による発症防御増強作用に働いていることや、まったく別のシ

グナル伝達経路によって発症防御を増強している可能性が示唆された。仮に、Th 17の経路ではな

く、この未知の因子およびその誘導経路を同定して免疫活性化に利用できれば、IL-17による自己

免疫疾患を回避した、新しいウイルス発症防御法を見いだせる可能性がある。

一40 一

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 本実験で注目したIL-23は、 IL-12ファミリーに属する、新規サイトカインである。工L-12がIFN一γ

産生によって特徴づけられるTh 1反応を促進する一方で、 IL-23はIL-17の産生によって特徴づけ

られたTh 17への分化を促進する。 Th 17が産生する炎症性サイトカインIL47は強力な炎症誘導メ

ディエーターとして作用し、炎症性サイトカインの産生誘導や細胞遊走、血管新生などを介して炎

症を講ずる。多発性硬化症のモデルであるEAE(experimental autoimmune encephalomyelitis)にお

いて、1:L・一23は以前考えられていたIL-12よりも病態形成に関与していることが報告された39)。こ

の病態に、Th17が関わるため、多発性硬化症の患者の中枢神経や末梢および拳骨髄液から分離し

た単核球において、1:L-1・7(A)の発現が増強していることが知られている。また、リウマチや関節

炎、クローン病、:Lupus、喘息などの病因として寄与しているとの報告もある。なお、 Harringtonや

Parkらによって、Th 1からTh 17へ分化していくわけではなく、Naive・CD4・T細胞からそれぞれTh 1、

Th2、 Th17へ分化することが証明された40“42)。このTh17は、 Th1でもTh2でもない、ヘルパ・一一T

細胞の新しい第3のサブセットであり、現在、免疫学で大きなトピックである。さらに、Th1によ

り誘導されたIFN一γ、Th2により誘導されたIL-4が、 IL-23によるNaive T細胞からTh17への誘

導・分化を抑制することが報告されている。:KOマウスを使うことで単純化された実験系とは異な

り、ウイルスに対するような極めて複雑な免疫反応においては、IL-23は単にTh17を分化・誘導し

てIL-17を産生させるだけではなく、IL-4やIFN一γなどの複雑なサイトカインネットワークに関わ

るTh1およびTh2の誘導にも何らかの影響を及ぼしており、それらのサイトカイン同士で均衡を保っ

ていると考えられる。しかし、IL-23およびTh17の生理的意義の詳細はまだ十分に理:解されていな

い。

 IL-23によるIL-17の産生誘導は自己免疫疾患や炎症を引き起こすといった、一見、生体にとって

マイナスな作用がある一方で、病原体感染に対する抵抗性に重要な役割を示すことが報告されてい

る。Fede1らの報告では、 Bordetella pertussisの感染において、 IL-12ではなくIIL-23が優先的に誘導

され、その感染防御にかかわっていることを示唆している43)。また、IL-23/Th-17・axisはKlebsiella

’pneumoniaeやCitrobacter・rodentiumなどの一部の細菌の感染防御に重要であることがわかった44’)・ 45)。

さらに、Th17はIL-22も産生する。 IL-22はIL-23により誘導される皮膚炎を仲介するが、 H:IVに

対する抵抗性に関わること、IL-23/Th-17/IL-17が好中球を誘導し、 IL-23は病原体侵入に対する速

効型防御反応を引き起こすことも推測されている。今回の実験においても、1:L-23がW感染に対

するマウスの抵抗性を高め、さらに、IL-17産生を誘導していることを見出した。さらに1:L-23で

は産生誘導能が弱いとされていたIFN一γの産生誘導も認められた40)。従って、本実験結果からVV

感染において、IL-23はTh1とTh17の両方を誘導して共にoverlapして作用し、 IFN一γとIL-17が

分泌され、Wの抵抗性を高めているのではないのかと推測できる。つまり、1:L-23は細胞性免疫を

高めるため、IL-12に代わるアジュバントとしての可能性があると考えるものである。

 1:L・一23が発見されて間もなく、我々はIL23が1:L・・12と同様にウイルス特異的細胞傷害性T細胞の

誘導を促進することをマウスの系で示した。その後、IL-23がTh1だけでなく、Th17の誘導に重要

一41一

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な役割を果たし、自己免疫疾患に密接に関係することが示された。しかし、他のグループからも1レ23

がある種の細菌の感染防御に関わることや、腫瘍免疫を促進することが示されたように、我々の結

果からもIL-23の重要な生理学的役割の一つは病原体に対する感染防御であることが示された。こ

れらの研究により、1:L-23がウイルス感染症や癌の免疫療法において有効な免疫アジュバントとし

て利用されると共に、IL-23によるIL-1・7産生誘導の抑制による、自己免疫疾患や種々の炎症を抑制

する治療法が開発されることが期待される。また、今まで説明されてきたTh1、 Th2だけではなく、

1:L-23によって誘導されたTh17を含めた複雑な免疫システムがさらに解明されることを期待する。

 第III章では、ここ数年の間に出現した新しい感染症であるSARSと新型インフルエンザをターゲッ

トに研究を行った。これらの新興感染症は世界的な感染拡大はしていないものの、自然界にリザー

バーが存在していることから、いっ感染が拡大してもおかしくない状況である。特にH5N1亜型鳥

インフルエンザウイルスは新型インフルエンザの原因になるのではないかと考えられている。そこ

で、ペプチド結合リボソームを利用したCTL誘導型ワクチンの開発を試みた。

 まず、SARSコロナウイルスおよびH5N1亜型鳥インフルエンザウイルス由来の新しいHLA-A2

拘束性CTLエピトープを多数同定し、その中から反応性の高いドミナントエピトープを明らかに

した。通常、ウイルスのCTLエピトープを同定するには、ウイルス感染患者の末梢血リンパ球と

対象となるウイルスが必要である。また、SARSやH5N1亜型鳥インフルエンザでは、ウイルス感

染材料をBSL3施設で取り扱う必要があり、その施設のない埼玉医大など多くの研究機関では実験

できない。そこで我々は、反応性の高いHLA-A2トランスジェニックマウス(HHDマウス)とペプ

チド結合リボソームを使用することにより、この問題を解決した。すなわち、コンピュータープロ

グラムを利用し、エピトープとなるペプチドを予測した。そして、同定したドミナントエピトープ

を結合したペプチド結合リボソームを作製し、田Dマウスに免疫して、ウイルス特異的CTLの誘

導を詳細に検討し、ペプチド結合リボソームのCTL誘導型ワクチンとしての有用性を示した。以

上の操作は、埼玉医科大学微生物学教室のBS:L2:施設で行える。つまり、危険なウイルス材料を使

用しなくても、CT:Lエピトープを多数同定することが可能となったわけである。また、変異の少な

い内部タンパク質、内部調節性タンパク質からエプトープを予測したため、このエプトープを使っ

てCTLを誘導すれば、どの亜型のインフルエンザでも予防に有効である可能性が高くなる。その

ため、微生物学教室のBSL2施設で使用可能であるHINI亜型、 H3N2亜型インフルエンザウイル

スを使って、感染防御実験も行うことができる。

 本研究では、HLA一・A*0201拘束性のエピトープの免疫原性を種々の方法で調べ、ドミナントエピ

トープを探索した。ドミナントエピトープは、免疫原性が高いエピトープと定義できるもので、具

体的には、1)活性の高いCTL(high avidity CT:L)を誘導できること(質的)、および、2)そのエピトー

プ特異的CTLを多数誘導できること(量的)、であると考えられる。 CT:L assayでは、誘導された

CT:しの、エピトープ特異的なkilling活性の強さを評価するものであり、したがって、ドミナントエ

ピトープ判定の中核となる。さらに、細胞内IFN-y’CD8+T細胞数の測定では、エピトープ特異的

一42 一

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に活性化されてIFN一γを産生・分泌するCTLの数を算定できる。この方法では、 flow cytometryに

よる測定の前に、免疫マウスの脾細胞をin vitroでペプチドと培養するが、わずか5時間であるた

め細胞のin・vitroでの増殖は考慮する必要がない。また、 CTLから分泌されるIFN一γは、体内での

ウイルス排除において重要な役割を果たすと考えられていることから、有効なCTLの数がわかる

という点でこのアッセイは意義がある。

 まず、SARS-CoVのppla領域から9個のアミノ酸からなるCTLエピトープを2種類のコンピュー

タープログラムを使って予測した。そして、エピトープの可能性の高いものを30種類選択し、そ

れらに相当するペプチドを合成した。さらに、反応性の高いペプチドを選択するために、静脈投与

したマウスの脾細胞から活性化された細胞内CD8+IZFN一γ’ T細胞数を測定した。その結果、9種類

のペプチド(PPla-2187,PPla-2207,PPIa-2340,PPla-2546,PPla-2755,PPla-2990,PPla-3444,PPIa-3687,

pp l a-3709)でCD8“珊N一γ+丁細胞を誘導することができた。続いて、 CD8+IFN一γ+T細胞を誘導でき

た9種類のペプチドと、すでにエピトープとして報告されているSpike-978、 Spike-1167、 Spike-1203

について、ペプチド結合リボソームを作製した。これらのペプチド結合リボソームとCpGを混合

し、HHDマウスに免疫して、細胞内CD8÷IFN一ジT細胞の測定を行った。その結果、6種類の表面

結合リボソーム(Lip-pp la-2187,:Lip-pp la-2340, Lip-pp l a-2546, Lip-pp l a-2755,:LiP-ppla-2990,

Lip-pp l a-3709)でCD8+IFN一γ÷T細胞を誘導することができた。また、Lip-Spike-1203では細胞内CD8+

IFN一γ+T細胞を誘導することが可能であったのに対して、 Lip-Spike-978、:Lip-Spike-1167では誘導で

きなかった。特にLip・一pp l a-3709、:Lip-ppla-2990を免疫したマウスでは細胞内CD8+IFN一ジT細胞を

顕著に誘導することができた。さらにin vivoの実験系でCT:しの細胞傷害活性を測定したところ、

この実験でも、6種類の表面結合リボソームとLip-spike-12e3で免疫した場合に高い細胞傷害活性

が認められた。特にLip-ppla-2990、 Lip-ppla-3709で免疫したマウスにおいて高い細胞傷害活性が

認められた。反応の高かったppla-2990、ppla-3709について、濃度に依存したペプチド刺激による、

細胞内CD8+IFN一γ+T細胞の誘導能を調べた。その結果、 pp l a-3709はppla-2990に比べて、低濃度

のペプチドで細胞内CD8+IFN一γ+T細胞を誘導することから、 affmityが高いことがわかった。さら

に、pp l a-3709はSpike-1203と比較すると、低濃度でもSpike-1203と同様にCD8なFN一γ+T細胞の誘

導能があることがわかった。以上より、ppla-3709とppla-2990をドミナントエプトープであると考

えた。なお、今回の実験では、同定したpplaのエプトープをコードする遺伝子を挿入した組換え

VVを作製することができなかっため、ウイルスチャレンジ実験は、今後の課題であると考えられ

る。

 次にH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスの内部タンパク質、調節性タンパク質のアミノ酸配列

において、9個のアミノ酸からなるCT:LエピトープをSA:RS-CoVと同様に2種類のコンピューター

プログラムを使って予測した。これより、エピトープの可能性の高いものを47種類選び、それら

に相当するペプチドを合成した。さらに、反応性の高いペプチドを選択するために、静脈投与した

マウスの脾細胞中の活性化された細胞内CD8+IFN一γ÷T細胞数を測定した。9種類のペプチド(M1-1,

一43 一

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M1-6, M2-1,M2-3, NS-1,PB 1-2, PB 1-3,PB 1-10, PB2-1)がCD8’ IFN-y“ T細胞を誘導することが確認で

きた。静脈投与による測定結果から、上記9種類のペプチドについて、ペプチド結合リボソームを

作製することにした。これらのペプチド結合リボソームとCpGを混合して、HHDマウスに免疫し、

cD8+IIFN一γ’ T細胞の測定を行った結果、3種類のペプチド結合リボソーム(:Lip-M 1-1, Lip・・Ns-1,

Lip・・PB 1-2)で極めて顕著に細胞内cD8+IFN一γ+T細胞を誘導することができた。さらに、 in vivoの

実験系でCTLの細胞傷害活性を測定することにした。選択した9種類のペプチド結合型リボソー

ムとCpGを混合して、 HHDマウスに免疫し、 iA vivo CT:L assayを行った。この実験においても、

Lip・・M1・・1、 Lip-NS-1、 Lip-PB 1-2を免疫したマウスにおいて、強い細胞傷害活性が認められ、特にイ

ンフルエンザのCTLエピトープとして、強い免疫誘導を起こすことがすでに知られているMl-1で

は、他のペプチドと比較して、強い細胞内CD8+IFN一ジT細胞の誘導とCT:L活性の増強作用を示し

た。これまでの結果を総合して、Ml-1、 NS-1、 PB1-2をドミナントエピトープと判断した。次にこ

れら3つのペプチド結合リボソームをマウスに免疫して、インフルエンザウイルスの感染防御が可

能かどうかを調べた。まず、Lip-M1-1、:Lip-NS-1、 Lip-PB 1・一2さらにCpGを混合し、 HHDマウスの

fbot padに免疫し、マウスの鼻からHIN1亜型インフルエンザウイルスまたはH5N1亜型鳥インフ

ルエンザウイルスを高用量感染させて、、体重変化を観察した。その結果、3種類のペプチド結合リ

ボソームを免疫したマウスでは感染後体重は元に戻ったが、さらに詳細に調べるために、マウスの

鼻からH:INI亜型インフルエンザウイルスまたは、 H3N2亜型インフルエンザウイルスを感染させ

た時の肺のウイルス量を比較することにした。表面にペプチドを結合していないリボソームを免疫

したコントロールマウスと比較して、3種類の混合リボソームを免疫したマウスでは肺のウイルス

量が有意に低下していることがわかった。以上、本研究ではSARS-CoV、 H:5N1亜型鳥インフルエ

ンザウイルスのドミナントエピトープの同定に基づき、それを結合させたリボソームでCT:Lを効

率よく誘導することに成功した。また、ペプチド結合リボソームを使用することによって、インフ

ルエンザウイルス抵抗性を増強させることが確認できた。つまり、異なる亜型のインフルエンザウ

イルスに対しても発症防御が可能なユニバーサルワクチンの開発に大きく前進したものと考え、リ

ポソニムを使ったCTL誘導型ワクチンの創製に繋がるものと期待する。

 本研究ではCTL誘導型ワクチンの開発を検討してきたが、 SARS-CoV、 H5N1亜型鳥インフルエ

ンザウイルスに対してCTLを誘導する今後の治療戦略については以下のように考えている。 SA:RS

治療ワクチンを開発する上で、すでにSARS-CoVに感染したマウスの血清がSA:RS・・CoVの増殖を

抑えたことから、中和抗体が感染防御に重要であると考えられる46)。特に、抗体の結合する抗原

決定基がSpike領域内のレセプター結合ドメインに存在することから、 Sタンパク質が中和抗体の

抗原として最も重要と思われる。実際に、病状が回復した人の血清中に、Sタンパク質のみに対す

る中和抗体が存在していることからも証明されている46)。一方、SARS-CoVに対する細胞性免疫

の役割は、現在までに明確ではない。急性期においては、患者の95%でCD4 T細胞、 CD8+T細

胞数の減少がみられるが、回復するにつれてT細胞数は増加する。また、あるHLA Class Iアリー

一 44 一

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ルがSARSの病状に関係しているためCTLが一定の割合をしていると考えられており、実際に、

病状が回復した患者において、CT:しが強力に誘導され、 SやNタンパク質からCT:Lエピトープが

同定されている。Yangらによると、 Sタンパク質を発現するDNAワクチンによって中和抗体とS

特異的CTLが誘導されたが、 SARS-CoVの増殖を抑えたのは中和抗体であったとの報告がある46)。

 しかし、CT:LはSタンパクなどの構造タンパク質のみでなく、調節性タンパク質に対しても誘導

できることから、CTLのドミナントエピトープが、小さなSタンパク質よりも、大きな調節性タン

パク質領域に存在する可能性はより高い。最近、SARSから自然に回復した人の免疫反応を調べた

ところ、強いCT:しが検出されており46)、他のウイルス感染症と同様に、 CTLが宿主防御に重要で

あることを強く示唆している。大きな特徴は、そのウイルス由来のタンパク質すべてに対して、特

異的なCTLを誘導できるという点である。変異したSタンパクは中和抗体と反応しないが、 CTL

では、変異の少ないNタンパク質や調節性タンパク質に対しても誘導することが可能であり、アミ

ノ酸変異による影響を最小限に抑えられる。SARS-CoVの場合、極めて大きなpp laとpp lbがあり、

そこにドミナントエピトープが存在する可能性は高く、そのように保存されたエピトープに対する

CTLを誘導できれば、ヒトのSARS-CoVと共に、動物に自然感染してヒトに猛威をふるう可能性

のあるSARS-CoV様ウイルスの両方を防御しうるワクチンが開発できる可能性がある。 SARS-CoV

由来のcT:Lエピトープは、 spike領域由来HLA-A*0201拘束性cTLエピトープ4種類のみが他グ

ループによって同定されているものの、効率良く免疫するには複数のエピトープを利用する必要が

ある。そのため、本研究で、ppla領域からドミナントエピトープを同定し、 CT:Lを誘導すること

は予防ワクチンとして有効な方法であると考えられる。

 インフルエンザ予防ワクチンの開発においては、一般的に、ウイルスエンベロープタンパク質で

あるHAとNAに対する抗体がインフルエンザの予防に大きく関わっていると考えられている47)。

しかし、変異ウイルスが出現した場合にはHA・NAの抗原性が変化するため、現行のワクチンは

無効であり、新しいウイルス亜型に対して中和できないと考えられ、パンデミックアウトブレイク

には対応できない。つまり、抗体では、新たに発生する新型インフルエンザウイルスの抗原を予測

して感染を予防することはできないと考えてよく、一方でCTLはそれが可能である。そのため、

どのインフルエンザの亜型でも変異のないエピトープを利用して、cross-reactiveで強力なCT:Lを誘

導することで、様々な亜型のインフルエンザウイルスに対しても有効なユニバーサルワクチンを開

発することが当然必要となる。実際、CD8“’ T cellを除いたマウスにおいてインフルエンザウイルス

を感染させた場合、肺のウイルスタイターが増加し、死亡率も上昇した48)ことから、インフルエ

ンザウイルス感染防御にcross-reactiveなエピトープを認識するCTLが仲介していることは明らか

である。さらに、ヒトにおいては、McMichaelら49)が同様の事象について実証している。以前に

HIN1亜型インフルエンザウイルスに感染したヒトの一部は、 H2N2亜型インフルエンザウイルス

のパンデミックに対して感染防御できたとの報告がある50)。また、H5N1亜型鳥インフルエンザ

ウイルスに感染していないヒトの末梢血にcross-reactiveなCTLが存在し、このCTLがH5N1亜型

一45一

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鳥インフルエンザウイルスを認識し、感染細胞を殺すことができた51)。その場合、nucleoproteinの

ような内部構造タンパク質のエプトープが、cross-reactiveなCT:Lを誘導することが最も重要なファ

クターとなる52)。

 このような理由から、CTLは抗体よりも新型インフルエンザの予防に有効であると考えられる。

一般に、ウイルスに対する免疫防御反応は、体液性免疫と細胞性免疫が両輪として働く必要がある。

しかし、CTLを誘導することだけでも、体内のかなりのウイルスを減少させることができ、症状を

軽減することが可能であろう。我々の実験結果でも、あらゆる亜型のインフルエンザウイルスの体

内ウイルス量を低下することができた。つまり、この理由からも強力に特異的CTLを誘導できる

ペプチド結合リボソームはユニバーサルワクチンとなりうる。

 今回、HLA-A*0201拘束性CT:Lエピトープの免疫原性をさまざまな方法で調べ、 SARS-CoVおよ

びH5N1亜型インフルエンザウイルスに対するドミナントエピトープを明らかにした。この実験に

は、高反応性のHLA-A*0201トランスジェニックマウスが有効であり、このようにして、ドミナン

トと判定したエピトープをワクチンに使用し、特異的CTLの誘導をコントロールできれば、感染

症を治癒させることに有効であると思われる。今後は、あらゆるタイプのHLAに対しても効果の

高いワクチンの開発が課題となろう。

 治療ワクチンとして、CTLを賦活化する方法は重要な方法である。しかし、難治性のウイルス感

染症に対して、強力な免疫誘導を起こすことは非常に難しく、安全性も含めて、強力に免疫を賦活

する方法が望まれている。本研究では、SARS-CoV、 H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスのドミ

ナントエピトープの同定に基づき、それを結合させたリボソームでCTLを効率よく誘導すること

に成功した。またドミナントエピトープを含むペプチド結合リボソームを使って、インフルエンザ

ウイルス抵抗性を増強させることが明らかになった。つまり、異なる亜型のインフルエンザウイル

スに対しても感染防御できる、ユニバーサルワクチンの開発に前進をもたらしたと言える。さらに、

リボソームを使ったCT:L誘導型ワクチンの創製に、大きく近づけたとともに、その免疫反応を上

げるために、サイトカインなどをリボソーム内に内包して投与する可能性も向上した。本研究でウ

イルス感染防御が確認できたIL-23はその候補でありJL-23の作用に続くシグナル伝達経路を活性

化させる方法は有効な手段の1つと考えられる。現在までのところ明確なプロセスは不明であるも

のの、今後、Th 17の誘導を含めた詳細な経路を明らかにし、ペプチド結合リボソームにサイトカ

インの活性経路を応用したワクチンの実用化を目指したい。

 また、本研究の表面結合リボソームを利用したCT:L誘導型ワクチンは、厚生労働科学研究費補

助金(医療機器開発推進研究事業:ナノメディシン研究)「細胞性免疫誘導能を持つペプチド結合

リボソームを応用したウイルスワクチンの創製」研究班の成果発表会において、大きな反響を呼ん

でおり、インフルエンザの‘万能ワクチン’として広く一般にも知られるようになった。また、新

型インフルエンザのワクチンのみならずぐ季節性のインフルエンザウイルスの感染者を減らすこと

一46一

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ができると大きな期待が寄せられており、今後の研究結果はより一層重要なものになってくると考

えられる。またこの表面結合リボソームを使用すれば、現在難治性とされている感染症のワクチン

として非常に有用である。今後、そういったウイルス感染症に対しても、CTL誘導型ワクチンを開

発して、多くのウイルス感染症に対する‘万能ワクチン’となるようにさらなる研究・開発を重ね

ていきたい。

一47 一

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謝辞

 本博士論文作成にあたり、ご指導とこ鞭燵を承りました城西大学薬学部教授林秀徳先生に深く

感謝致します。

 本研究、博士論文作成にあたり、実際にご指導いただいた、埼玉医科大学微生物学教室准教授松

井政則先生に深く感謝の意を表します。

 また、お忙しいなか、ご指導いただきました、埼玉医科大学総合医療センター薬剤部大野悟史

博士、埼玉医科大学微生物学教室教授赤塚俊隆先生、同准教授守屋修先生をはじめとする、微生

物学教室の諸先生方に深く感謝致します。

 本研究に際し使用した、HHDマウスを供与していただいたフランス・パスツール研究所Lemomier

博士、IIL-12発現プラスミドを供与していただいた東京医科大学善本隆之博士、ペプチド結合リボ

ソームを作製していただいた国立感染症研究所内田哲也博士、エL47 KOマウスを供与していただ

いた東京大二丁科学研究所岩倉洋一郎博士に感謝致します。

 博士論文作成、博士論文発表にあたり、協力をいただいた城西大学薬学部臨床生化学教室の皆様

にお礼を申し上げます。

 本論文の作成、提出に際し、ご指導とこ鞭燵を承りました城西大学薬学部教授近藤誠一先生、

同教授日比野康英先生に心より感謝致します。

一48 一

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