経営学 Ii 7-2

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経経経 II-7 経経経

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経営学 II-7

原泰史

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先週のおさらい• 企業はマクロ経済的な環境与件によって活動せざるおえない

( オープンシステム ), そのため , さらなる収益を獲得するためには一国だけではない他国展開が必要不可欠となる• 企業規模、対応するマクロ的な環境に応じて、グローバル展開

を図るにあたり必要不可欠な分権化と集権化の度合いは変わっていく

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今日のポイント• 「グローバル化」に最適な組織形態は?• イノベーションってなんだろう• プロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーション

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講義予定 ( 後期 )1. 2013/9/25: イントロダクション : 経営学Ⅰの振り返り - 「組織」

と「戦略」について - 2. 2013/10/2: 企業成長 (1) : どのようにして企業は成長するのか 3. 2013/10/9: 企業成長 (2) : 参入戦略 , 成長戦略と組織 4. 2013/10/16: ( 休講 ; 台風 26 号のため )5. 2013/10/23: ( 休講 ; 学会 @ ロッテルダム参加のため ) 6. 2013/10/30: グローバル戦略 : グローバルとは? 7. 2013/11/6: グローバル戦略 (2): グローバルに対応した組織

イノベーション (1) : イノベーションの種類 8. 2013/11/13: イノベーション (2) : 研究開発とイノベーション 9. 2013/11/20: 中間テスト

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講義予定 ( 後期 )9. 2013/11/27: 研究開発 (1) : なぜ企業は研究開発をするのか 10. 2013/12/4: 研究開発 (2) : 研究開発と ICT 技術 11. 2013/12/11: NPO (1) : 非営利企業と営利企業の違い12. 2013/12/18: NPO (2) : 非営利企業の組織と戦略 ( ゲスト講義 ; 決定! )13. 2014/1/8: イノベーションと経済・経営 : ナショナル・イノベーション・

システム 14. 2014/1/15: イノベーションと経済・経営 : 日本企業の経営課題 15. 2014/1/22: イノベーションと経済・経営 : 知的財産とイノベーション16. 2014/1/29: 期末テスト

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今日の内容• ( 前半 ) グローバル化に最適な組織• Intermission • ( 中盤 ) イノベーション( I )• ( 後半 ) プロダクト・イノベーションとプロセスイノベーション

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グローバル化に最適な組織

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発展にともない組織は変化する

• 「組織は戦略に従う」• 第一段階 : 子会社の自由度は高い

• アメリカ : 自律的海外子会社 (autonomous subsidiaries)

: 派遣した経営者に経営の全権を任せる• ヨーロッパ : マザードーター組織 (mother-daughter form)  : 親会社の経営陣の同族を派遣して子会社の経営を任せる

国際部

製品事業部のグローバル化

グローバルマトリックス化

マザードーター組織

自律的海外子会社

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発展にともない組織は変化する• 第二段階

• 親会社の本社の中に海外業務を担当する専門の部署が現れる• 「国際部」 : スタッフ的位置づけ、収益責任を負わず、海外子会社との折衝を行う• 「国際事業部」 : ライン的位置づけ、収益責任を負い、海外事業を統括する

・海外関係業務を担当できる「英語のとくいなひと」が集まって、業務を実施する ( 全社に対する売上の貢献比は低い )

• 第三段階• 「国際部」が消え、親会社の中の製品事業部や地域事業部が海外事業も含めて一括して

担当するようになる : 「製品事業部のグローバル化」• 複数母国化戦略の場合 : 地域事業部制• 世界化戦略の場合 : 製品事業部のグローバル化

• 第四段階• 多元的国際化戦略では、製品分野別を基本とするマトリックス型の組織体制が採られる

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ストップフォードのグラフ表現•横軸• 売上高の全体に占め

る海外売上高比率•縦軸• 海外での製品多様性

海外売上高比率

海外での製品多様性

グローバルマトリックス

地域事業部

世界規模の製品事業部

国際事業部

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ストップフォードのグラフ表現• 海外売上高比率が低く、海外での製品多様性が低い段階• 国際事業部の活用が典型的

• 海外での売上高が増し、海外での製品多様性が低い水準の場合• 地域別事業部制

• 海外での製品多様性が高い水準になる場合• 製品別事業部制

• 海外売上高の比率および、海外での製品多様性が高くなる場合• 世界規模でのマトリックス型組織

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マトリックス型組織と国際戦略• マトリックス型組織• 組織運営に多大な費用がかかり、手続きも煩雑になる• 事業がうまく行かなくなった場合、対処しずらい

•2つの対応策• 柔軟な統合 : 「トランスナショナルソリューション」• 製品別事業部制への回避によって、組織をグローバルに一本化し、よ

り機動的な展開を目指す

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Intermission

• 成績評価• 中間試験 35点• 必須レポート 10点• 期末試験 55点+ 任意レポート +α点

•レポートの内容• ゲスト講義の予告• 中間テスト対策 +ミクロ経済学対策セッション• 11/13 日または土日 (@横浜駅周辺 or 神奈川大 )

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必須レポートの内容 ( 予定 )

• テーマ• 日本企業の海外進出・世界規模展開の戦略に関するケーススタディ

• 提出方式• 紙(神大フォーマット)• DotCampas 経由で Word 形式で提出 (コピペチェック )• 3000字以上• 英語でも OK

• 提出期間• 中間試験後から , 12月 18 日まで

• その他• 図書を指定

• 「日米企業のグローバル競争戦略」

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ゲスト講義• 12/18 日 (年内最終の講義 )• NPO の代表理事さんをお呼びします• 営利企業と非営利企業の違いについて聞いて、お話してもらう

予定です

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( 参考 ) 日米の就職先人気ランキングtop10 • “日本の就職先人気ランキング上位企業

と言えば金融機関や商社がお決まりだが、米国のランキング一位はなんと、NPO(日本では特定非営利活動法人)だ。ユニバーサム社が今年4月に発表した米国就職先人気ランキング(主要 345大学、調査56900人)によると、文系では教育支援NPO「ティーチ・フォー・アメリカ(TFA)」が、グーグル、アップル、ウォルト・ディズニーらを抜いて1位になった。”

• “TFAのミッションは、米国内の教育格差を解消し、すべての子どもたちに質の高い教育の機会を提供するため、公教育の支援をすることだ。教員免許の有無にかかわらず、大学卒業から2年間、一流大学の学部卒業生を国内各地の教育困難地域にある学校に常勤講師として赴任させる。”

Source: http://www.alterna.co.jp/2446

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2nd half: what is INNOVATION?

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Innovation = technology + art

• Schumpeter Says…• “To Produce other things, or the

same things by a different method, means to combine these materials and forces differently…. Development in our senses in then defined by the carrying out of new combinations.”

(Schumpeter 1934, pp.65-66)

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Short Summary of Innovation

• Innovation is way of thinking to make “something new”• And If you aim to make “something new”, you should know previous knowledge, but you

should make advance.• “Think different” makes differences.

• Innovation is nearly equal to make “new combination”• Only novelty is not enough.• iPhone = computer + phone• iPad = (net)PC + iPhone• Prius = car + electronics system• Statin = lowering cholesterol + fungi• Personal Computer = Desk + computing machine

• What else?

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イノベーションとは?• 定義 : 「革新」を意味し、新しい製品やサービスの開発や導入、新生産手法の開発、新しい流通・販売方法の開拓、新組織の生成等などによって、社会的・経済的な価値を生み出すこと• 新規性だけではイノベーションではない• 経済的なインパクト、あるいは社会的なインパクトをもってはじめてイノ

ベーションと認識される• シュンペーターの 5 つの「新結合 (new combination) 」1. まだ消費者に知られていない新しい商品や商品の新しい品質の開発2. 未知の生産方法の開発3. 従来参加していなかった市場の開拓4. 原料ないし半製品の新しい供給源の獲得5. 新しい組織の実現

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イノベーションはなぜ重要か?• 1. 持続的経済成長を行うためのエンジンだから

• イノベーションによる「創造的破壊 (creative destruction) 」こそが資本主義の本質である (Schumpeter , 1942)

• 画期的な新製品、新サービスの登場が経済を刺激し、成長を呼び起こす• 経済成長を行うためには、資本あるいは労働の増加、もしくは生産性の向上が

必須• 2. 企業の浮沈を左右するから

• 新たな価値を提供できない企業はほとんどが市場から淘汰されてしまう• 3. 生活を変化させるから

• General Purpose Technology

• 4. ( 国体を維持する上で重要な )政策上の重要課題だから• 企業がイノベーションを促進できるような仕組みを政府が用意することが重要

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イノベーションの S字曲線•縦軸• 製品のパフォーマンス

• スピード、信頼性、特定の機能スペック etc…

•横軸• 時間 (投入資源の大き

さ )

• 製品パフォーマンスの改良はある時期急激に進む 時間

製品のパフォーマンス

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S字の交代• t1: 新しい世代の新製品が出始めた地点• t2: その新製品のパフォーマ

ンスが旧世代の製品パフォーマンスを越えた地点• t2-t1: 世代交代に要する時間

の長さ• 例

• ブラウン管 -> 液晶テレビ• ガラケー -> スマホ• エンジン車 -> 電気自動車 , ハイブリッドカー (?) 時間

製品のパフォーマンス

t1 t2

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エジソンと映画• 「映画を発明したのはだれか?」

• エジソンの映画関連の特許 (1891年出願 : US 589168 A)

• キネトスコープ (kinetoscope) : • 動く絵を「ひとりの」見物客にみせる簡単な装置• ゲームセンターの中に置かれ、一定の人気が出たに過ぎない

• 個人が娯楽のために用いる装置• リュミエール兄弟 : シネトグラフと呼ばれる装

置を作り、上映会を開催する• キネトスコープで培われた技術に、映写の機能を組み合わせ、映画という産業をつくりあげる

• 新たな技術により創造される価値をどこに見出すか、新たな市場をどのようにつくるか?• どのような組織を用意するか?

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Schumpeter Mark I

• 企業家 (entrepreneur) がイノベーションを主導する

外生的な科学と発明

(Invention)

企業家活動(Entrepreneur)

新技術への革新的投資 (Product)

新しい生産形態の実現 (Process)

市場構造の変化

(Market)

イノベーションからの利益の獲得 ( また

は損失 )

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Schumpeter Mark II

•大企業と大企業の内部的な技術開発がイノベーションを主導する

外生的な科学と発明

(Invention)

内生的な科学と技

術開発 ( 企業内

での研究開発 )

革新的投資を実行するマネジメント (Product)

新しい生産形態の

実現 (Process)

市場構造の変化

(Market)

イノベーションからの利益

の獲得 ( または損失 )

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プロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーション

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二種類のイノベーション• プロダクト・イノベーション• 生産物に係わるイノベーション

• プロセス・イノベーション• 生産技術に係わるイノベーション

•多くの場合、プロダクト・イノベーションの後、プロセス・イノベーションによる精錬化が行われる

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テイラーの科学的管理法• 1.職人の熟練技術に依存した生産工程• 2.新たな機械の導入• 3. 機械導入しても効率性が上がらない事態が発生• 4. 機械を操作する人間を「管理」する手法の導入• くぎの打ち方や一連動作の効率的な動きを実現するため、工員を観察

し、より単位コストが減らせるような人員の割り当て方や作業の方法を導入する

• 人間労働を細分化し、効率的に再構成する方法を実施する

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フォードの大量生産システム

•流れ作業方式の導入• 部品の互換性を高め規格化を進める• 単一目的の専用機と工具を使って工

場・職場の専門化を推進する• 「移動組立ライン」を活用して工程

全体の同期化を図る• 「一車種大量生産システム」• “Any customer can have a car painted

any colour that he wants so long as it is black” (Henry Ford)

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Ford Model T

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GM の大量生産システム

• 「多車種大量生産システム」• できる限り多くの部品を設計段階

で共通化し、それを他種類の自動車に共通化して利用する : 「部品の共通化システム」• 事業部制組織の導入 (詳しくは前

期の資料を参照 )

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日本企業の生産システム• リーン生産方式• 中間在庫を極力もたないジャストインタイム• 後工程引取による工程全体の同期化• 小ロット主義• ケイレツシステム

• リーン生産方式は日本の自動車業界で発達、その後理論化され、アメリカやインドの IT 業界に輸入される• “The New New Product Development Game” (Nonaka and Takeuchi , 1986)

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プロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションの関係• 産業発展の初期

• 製品概念は不安定で、熟練に依存して様々な商品が提案される

• プロダクト・イノベーションが多く発生する

• 生産工程は各人の技能に依存したバッチ生産

• 産業の中期• 特定の製品概念が市場で有力となる :

「ドミナントデザイン」• ドミナントデザインをベースに、それを効率よく生産するためのプロセスイノベーションが実施される

• プロダクト・イノベーションからプロセス・イノベーションへ主眼が移行し、大量生産システムが確立される 時間

イノベーションの頻度

プロダクト・イノベーション

プロセス・イノベーション

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(Abernathey, 1979) – Productivity Dilemma• プロダクトイノベーションとプロセス・イノベーションの進展に

よって、大規模かつ効率的な生産が実現され、生産性は向上する• 一方、技術選択の幅は狭まり、工程についても製品についても大きな革新は起こりにくく成る•生産性の向上とイノベーションとの間にはトレードオフの関係

がある

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脱成熟とイノベーションの制度化• 脱成熟

• 成熟化した産業が、新たな技術的アプローチの発見を契機として再度活性化され、新たな発展過程がはじまる可能性

• 例• プロペラ機からジェット機へ• カラーテレビにおける真空管から ICへの変化• 腕時計の機械式からクオーツ式への変化

• 新技術によって産業の優位性に係わる条件がリセットされ、新たなイノベーションを生み出す必要性が生じる

• イノベーションの制度化 (Schumpeter Mark II)• 大規模な生産設備を持つことで、そこで生まれたリソースを新製品に繋がる技術開発

に投入できるようになる• プロダクト・イノベーションからプロセス・イノベーションに至るパスを再度実施することができる

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まとめ• やっぱりグローバル化でも組織 (体制 ) は戦略 ( の違い ) に従う• イノベーションって何か新しいことを作り、それを経済的

and/or 社会的なインパクトがあるものにすること• イノベーションにはふたつの種類がある• プロダクト・イノベーション• プロセス・イノベーション

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• 講義の予定を掲載したり、講義資料をアップしたりします• 9月 +10月のパスワード : globalstrategy • 11月のパスワード : creativeresponse

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11月の予定• 2013/11/13: イノベーション (2) : 研究開発とイノベーション• 教科書 pp98-110

• 2013/11/20: 中間テスト• 試験範囲 pp.1-110

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Thanks.