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1 1 國際抜刀道ニュース 平成30年(2018年) 9月 第10号(夏季号) 1 発刊所 國際抜刀道連盟 発行者:会長 中村朋子 管:事務局長 中村憲三 集:本部道場 鶴誠会 夏季 10 ( ) ( ) ( ) 西( )

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1 版 國際抜刀道ニュース 平成30年(2018年) 9月 第10号(夏季号)

第二十一回

國際抜刀道連盟

全国大会

第二十四回戸山流・中村流 抜刀道大会

1

國際抜刀道連盟ニュース

全国大会の開催日程が左記の通りに決まりま

したのでお知らせいたします。

【日時】

平成三十年十月二十八日(日)

【会場】

横浜市鶴見スポーツセンター

【受付】

午前九時より受付開始予定

【開会】

午前九時三十分

*当日は、受付と同時に刀剣検査を行います。

必ず開会式までに受付をお済ませください。

*会場内では、安全のため、指定場所以外で刀

を抜くことを禁止いたします。

國際抜刀道大会実行委員長

中村

憲三

開催要項

発刊所

國際抜刀道連盟 発行者:会長 中村朋子 主 管:事務局長 中村憲三 編 集:本部道場 鶴誠会

夏季

第 10 号

平成三十年度

審判講習会を開催

「海の日」の七月十六日(月)、鶴見

のヨコヤマスポーツガーデンにて本年

度の審判講習会が開催された。全国各地

から各支部の先生方と六段以上の審判

員候補が集まり、うだるような猛暑の

中、総勢三十三名が六時間に及ぶ審判講

習プログラムに取り組んだ。

今年は、全国大会の競技種目の最終決

定、競技ルールや判定基準の確認に加

え、特に審判員育成に焦点を絞ったカリ

キュラムが用意された。これは、年々増

加の傾向にある大会の参加人数への対

応、およびベテラン審判員の負荷軽減を

目的に、審判層の拡充と強化を図るため

である。「各支部の六段以上は積極的に

参加してほしい」との呼びかけに応え

て、多くの高段者にお集まりいただく事

ができた。一方、一般の会員にとっても

審判講習会は、技のポイントを勉強でき

る貴重な機会であり、今回も各支部や本

部道場から有志が多数参加した。

午前十時、会長のご挨拶のあと、予定

通り講習会がスタートした。まず教務部

長の佐藤征二先生から、新たに上梓した

「戸山流・中村流

基本・礼法教則本」

の紹介があった。最近各地で演武する機

会が増えており、どこに出ても恥ずかし

くない礼法と所作を会員に身に付けて

いただきたい、との考えから編集された

ものである。すでに各支部に配布されて

いるので、不明点は先生方に確認の上、

しっかり修得したい。

続いて、大会の競技種目の詳細、およ

び役員会で保留となっていた試斬の競

技内容(

案)

が提議され、承認された。

(

続く)

★鶴見スポーツセンターご案内

【所在】横浜市鶴見区元宮二の十五の一

【電話】〇四五 (

五八四)

五六七一

【アクセス】

JR鶴見駅から横浜市営バス

・西口:六、一四、一〇四系統

・東口:一三、二九、一五五系統

「森永工場前」下車、徒歩五分

【注意事項】

体育室内は土足厳禁です。

体育室内は食事禁止です。ロビーや休

憩室など、指定場所をご利用ください。

(

なお飲物は可です)

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國際抜刀道ニュース 2

競技内容

【形の部】

二段以下:戸山流一、四、五本目

三・四段:制定刀法一本目、戸山流六本目、

制定刀法七本目

五段以上:中村流一本目、制定刀法三本目、

中村流八本目、

【試斬の部】

二段以下:戸山流五本目片手上段から左

袈裟、右袈裟、左袈裟。血振り

から納刀。

三・四段:抜き付けより左袈裟。足を踏み

かえて右袈裟、左斬り上げ、右

真横斬り。左逆納刀。

五段以上:抜き付けより右袈裟、左斬り上げ。

足を踏みかえて右斬り上げ、左

真横斬り、右真横斬り。納刀は

左逆納刀とする。

【組太刀】 一、三、六本目

(三段以上)

【団体戦】 例年通り

*詳細はH

P会員ページをご覧ください。

http://w

ww.ibf-kakuseikai.jp/index2.htm

l

それらを受けて採点時のポイントや判定基準

に関する解説が行われ、刀剣検査の効率化や

円滑な進行のための提案についても話し合わ

れた。その後、配布された「審判心得ハンド

ブック」をもとに、実際に加点/減点する際

のノウハウや、審判に求められる姿勢・役割

などについての具体的なガイダンスがあり、

中身の濃い午前中の座学講習が終了した。

午後からは、審判委員長の野村先生のご指

導のもと、実技講習が行われた。審判員はベ

テラン・新人織り交ぜて二つのグループに分

かれ、有志による模擬演武を実際に採点し、

相互評価を行った。各段位ごとに二、三名が

演武し、その採点結果をじっくり検討するの

である。議論が一区切りついたところで先生

からコメントと判定基準の説明があり、それ

が延々と繰り返される。ともすれば熱の入っ

た議論に発展するが、先生方の冷静できめ細

かなアドバイスを受けながら、次第に判定が

平準化されていくのがよくわかった。

実技講習は、形から試斬、組太刀、団体戦

と続き、すべてが終了した時はすでに予定の

午後四時を回っていた。大会を支えるのは、

判定に対する絶対の信頼である。それを維持

するため、審判員がどれほど真剣に努められ

ているかを目にするたびに、ただもう頭の下

がる思いである。

戸山流・中村流

基本・礼法

教則本

遠路はるばるお越しくだされた香川支部の川

添先生と吉田先生、近大の日高先生、半田支部

および東金支部の諸先生、高段者の皆さま、本

当にお疲れ様でした。

(鶴誠会

高橋

記)

教務部長

佐藤征二

戸山流や中村流は立技主体の流儀で

あることから、立礼しか知らない会員

が多いようです。しかし、宗家の残さ

れた書籍や映像資料を調べてみると、

中村流としての座礼がきちんと定めら

れています。通常の稽古や演武の時は、

立礼のみ行うのが常ですが、当流を学

ぶ者のたしなみとして正しい座礼も修

得するべきです。

また八種の構え、八種の斬り、八種

の納刀についても、中村流の基本とし

て正しく身に付けておきたいもので

す。そうした主旨から、教務部を中心

に審議を重ねた結果を、この小冊子に

まとめました。

すでに各支部に配布していますが、

高段者の皆さんには、内容を正しく理

解したうえで、後進にご指導いただく

ようお願いしたいと思います。

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國際抜刀道ニュース 3

活動報告

同年六月十日(日)、日本武芸奉賛会

主催の奉納演武が、三重県は伊勢神宮

で開催されました。

その日は台風五号が接近しており、

参拝時に雨の心配がされましたが、何

とか演武終了までは時折降る小雨程度

で済みました。

我々愛知半田支部からは、石川支部

長をはじめ北岡、井戸、中根、坂田、

大橋の六名の剣士で奉納させて頂きま

した。

はじめに各流派の代表者が一人ずつ

演武され、我流派からは石川支部長が

中村流の形を奉納しました。代表者演

武終了後は、各流派の門人の演武が開

始され、石川支部長を除いた五名で中

村流の形と組太刀を演武しました。

(

続く)

◆伊勢神宮奉納演武

◆第十七回瀬戸神社居合道奉納演武

平成三十年五月十九日(土)、日本居合

道協会主催の奉納演武会が、神奈川県横浜

市金沢八景の瀬戸神社で開催されました。

「わたつみの瀬戸の杜の神垣に

願ひぞ

みつる潮のまにまに(伝源実朝 詠)」の古

歌で有名な瀬戸神社の汐風薫る境内には、

主催の有心義塾高田道場を中心に、関東一

円ばかりでなく遠く西日本からもの古流

各派の方々が参集し、日ごろの稽古の成果

を神前に奉納しました。朝方は心配された

天気も次第に回復し、開会式のあと演武が

始まる頃には。程よいコンディションとな

りました。神社は駅前の交差点に面してい

るため、休日とあって大勢の人が往来しま

す。中には、境内から聞こえる鋭い気合や

掛け声に足を止め、そのまま演武を見学さ

れる方々も。

鶴誠会からは、中村会長を筆頭に佐藤、

高野の両先生、北村、勝野、高橋の六名が

参加しました。常連とあって、余裕のある

持ち時間の中で戸山流の形と試斬、中村流

組太刀を披露し、最後に佐藤先生が恒例の

八方斬で締めくくりました。実際に真剣で

斬って見せる流派は私たちだけですので、

巻藁が次々に両断される様を息を飲んで見

入る人の目を感じます。このときばかりは、

毎々誇らしい気持ちと共に、中村流を学ぶ

ことができて本当によかったと思います。

無事すべての演武を終えた後、

近くの公民館に移動して直会に

参加しました。乾いたのどを通る

冷えたビールの美味いこと!

しかし、演武会に参加する楽しみ

はこれだけではありません。様々

な流派の方々の話を聞く事がで

きる貴重な機会でもあります。

各々の由来や技のうんちくなど、

武道に惹かれる者同士の楽しい

語らいに、思わず時のたつのを忘

れてしまいます。武道は本当に深

かあ~いものですね。

(鶴誠会

高橋

記)

◆伊勢山皇大神宮古武道奉納演武

同年五月二十日、毎年恒例の古武道奉納演

武が、常太刀会主催で行われました。今年で

十九回目を数え、六十数名、八団体の参加者

で盛大な演武会となりました。

國際抜刀道連盟からは、本部鶴誠会の中村

憲三先生をはじめ、七名が参加しました。

戸山流・中村流の型の演武では、一糸乱れぬ

一体感ある演武で、演武会場の境内に「エ

イ!ヤァ!」と気合が響きわたりました。試

斬の演武では、高野先生が斬り上げた仮標が

斬り落ちず立ったまま。その妙技に、会場が

思わず息を飲みました。

また、演武後の直会では、各団体諸流派の

方々と親睦を深める楽しい場となりました。

(鶴誠会

勝野

記)

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國際抜刀道ニュース 4 ◆

下呂温泉合同稽古会

神宮の緊張感漂う空気をひしひしと感

じ、大勢の参拝者が観覧する中で國際抜刀

道連盟の名を背負っているんだという思

いを胸に、正々堂々と挑ませて頂きまし

た。

(愛知半田支部

大橋

記)

暦の上ではまだ梅雨の六月二十三日、二

十四日の両日、半田支部主催の合同稽古が

岐阜県下呂温泉の県立体育館で行われた。

半田支部二十二名、鶴誠会十五名、近大か

ら日高さん、さらに福山在住のクリスとリ

ンも加わり、総勢四十名が一堂に会してみ

っちり刀を振り、汗を流した。

今回の合同稽古は、連盟初の試みであ

る。各地の支部では、大勢の剣友たちが中

村流・戸山流に親しみ、稽古に励んでいる。

しかし、会員同士が交流できる機会は、

ほとんどない。唯一、全国大会がその場とい

えるが、当日は限られた時間の中で演技・演

目をこなすのに手いっぱい。とても落ち着い

て親睦を図る余裕は持てないのが実情であ

る。そうした中で、剣友同士親しく交歓した

い、また本部の先生方の指導を直接受けたい、

という希望が今回初めて実現したのである。

さて、二十三日の正午、各地から集合した

面々は、ご前中からすでに稽古を始めていた

半田支部の方々と合流し、共に心づくしのお

弁当をいただいた。車座になってぽつりぽつ

り話すうちに、次第に初顔合わせの固さがほ

ぐれていく。お互い馴染んできた頃、進行役

を務める北岡氏の誘導で一同整列、打田さん

の号令に合わせて元気に準備体操を行った。

身も心もほぐれたところで、いよいよ開会

式が始まる。まずは石川先生から歓迎の辞、

それを受けて鶴誠会の中村憲三会長から答

礼。続いて野村・高野両先生による組太刀と、

大橋・井戸両剣士による刀対槍の演武が披露

された。両先生の神韻とした技の冴えには

毎々息を飲むが、刀対槍の形は初めて見る会

員も多く、身を乗り出して熱心に拝見した。

予定の式次第を滞りなく終了し、いよいよ

稽古開始である。この日は、段位や修行レベ

ル別に四つのグループに分かれ、それぞれ担

当の先生から形を中心に指導を受けた。本部

の先生と初めて接する会員もおり、当初は

いささか緊張した雰囲気が漂う。しかし、先生

方のお人柄に触れ、親しくご指導を受けるう

ち、次第にリラックスしてのびのび体が動くよ

うになってきた。また、時間的な余裕のある中

で、きめ細かく技の手ほどきを受けることは、

本部メンバーにとっても貴重な経験になった。

いつの間にか染みついた自己流のくせをそぎ

落とし、しっかり矯正することができたと思

う。こうして充実した時間は瞬く間に過ぎ、五

時前には初日の稽古を終了した。

稽古着のまま手早く後片づけ、迎えのバスで

今宵の宿へ。そして、いよいよ楽しみしていた

温泉と大宴会である。日本三名泉に数えられる

下呂温泉は、高温で湧く無色透明のアルカリ性

単純泉。ほのかな香り漂うまろやかなお湯で汗

を流し、さっぱりした気分で宴会場へ急いだ。

中村朋子会長も無事合流し、宴会の幕が開く。

乾杯の音頭も高らかに、みな一斉に冷えたビー

ルをのどに流し込んだ。飛騨牛やアユを主にし

た豪華な料理に舌鼓みを打ちながら、そこここ

で和やかに会話の花が咲く。井戸さんの巧みな

進行で、宴は一気に盛り上がりをみせた。ひと

しきり騒いで座が崩れてからも、グラスを傾け

ながら親しく談笑がいつまでも続き、旅や稽古

の疲れはすっかり霧消してしまったようだ。

翌二十四日は、昇段審査を受けるグループと

試斬のグループに分かれた。昨日同様、入念な

準備体操を行ったのち、戸山流、中村流

の形をさらう。その後、緊張した雰囲気

の中、十六名の受験者の昇段審査が粛々

と始まった。一方では、半田支部の皆さ

んが用意してくれた大量の巻藁を前に

試斬稽古を行った。先生の指示に従って

基本の袈裟、斬り上げから始め、徐々に

難易度を上げていく。一度にこれほど多

くの本数を切れる機会はめったにない。

みなテーマをもって試標に向かい、斬り

の奥深さと醍醐味を存分に味わった。

(

続く)

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*写真撮影

琴音さん

國際抜刀道ニュース 5 私

たちは、昼食をはさんで午後三時までし

っかり稽古した。少し早めにすべての予定

を消化し、後片付けを終えて閉会式に臨ん

だのは午後二時半。参加したメンバーの顔

には、疲労と共に満ち足りた笑顔が浮かん

でいた。

今回の企画を発案し、ご多忙の中で準備

万端整えてくださった石川先生、そして半

田支部の皆さま、本当にありがとうござい

ました。おかげでとても充実した、この上

なく楽しい二日間を過ごすことができまし

た。この成功を機に、ぜひ今後もこうした

企画を継続していきましょう!

(

鶴誠会

高橋 記)

昇段審査

千葉東金支部

【合格者】

仮初級:今井

涼太、中田

晴人

初級:

野口

賢心

中級:

国吉

丈夫

初段:

山口

達弘、齋藤

健吏、東

琴音

三段:

上原

五段:

内山

甚一郎

錬士:

植松

憲一

平成三十年六月三日及び十七日、二回に

分けて本年度の東金支部昇段審査会が開催

された。三日は小学生の会員に対する仮初

級を含む初段までの六名の審査を行い、十

七日は本部より佐藤、高野両先生をお迎え

し、初段、三段受験者各一名、及び四段以

上の受験者四名、合計六名の審査を行った。

三日は仮初級の中田、今井両剣士を初め、

初めて受験すると言う剣士が多く、初々し

くも気合いの入った剣技を披露された。十

七日には高段位の受験者が多いせいか、年

季を感じさせる重厚な剣技が多い印象を受

けた。最後には本部の佐藤先生から有意義

な講評をいただき、大多数の受験者が合格

を勝ち取るという結果となった。

(千葉東金支部

田代

記)

【受験者のコメント】

〈問〉あなたが抜刀道を始めた理由は?

今井剣士「友達に誘われたから。見学に来

て凄かったから。」

中田剣士「祖母の友人がやっていたから。

見学に行った時にかっこよくて心を引か

れたから」

野口剣士「祖父にすすめられたから。家族

もやっていたから。」

国吉剣士「以前から復古や武士、侍(刀を

持って生きることの精神性)の生き方に

興味を持っていました。年齢が区切りの

良い五十歳となり、今後の生き方に少々

思案していた時に、現在、武士、侍の生

き方(武士、侍イコール刀は安易すぎる

考えですが…)や精神性を学び、養える

ものは居合い、抜刀道と考えて選びまし

た。

山口剣士「試斬に興味があったためと真剣

刀法を学んでみたいと考えたからです。」

齋藤(健)剣士「父親と弟がやっていて興

味を持ったため」

〈問〉あなたにとって抜刀道とは?

剣士「自分を鍛えるためのもの」

上原剣士「自己との対話により自身の

内面を成長させてくれるもの」

内山剣士「趣味。長く続けたいと思い

ます。」

植松剣士「体力と精神の向上を目指す

ため。更に友人づくりにも役立てば

良いと思う。」

齋藤(義)剣士「人生においての修行

であり、生きがいでもある。例えば

剣を抜いて間合いに入った瞬間、斬

れるか斬れないか結果について様

々な雑念が頭をよぎることがある。

その様な場合は往々にして失敗す

ることが多いので、その様な事の

無いよう、精神修養する事が必要で

あると思っている。」

以上、ご回答いただいた皆様、ありが

とうございました。

愛知半田支部

平成三十年六月二十四日、下呂温泉県立体育館にて本

年度の愛知半田支部昇段審査会が開催された。

【合格者】

初段:

浅見

友一朗、長江

貴史、伊藤

友泰、

浩彰

二段:

犬塚

康貴、打田

直寛

六段:

大橋

知彦

*福山から参加したクリス・

フジオカとリンがそれぞれ

四段に合格しました。

このたび合格された皆様、

おめでとうございます。

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國際抜刀道ニュース 6

海外支部便り

◆豪州セミナー

愛知半田支部長

石川

平成三十年六月二十七日、関西空港よ

り深夜便にてオーストラリアへ向かい

ました。毎年恒例となったオーストラリ

アセミナーで、今年で十三回目となりま

す。今回は、初めてワシントンDCから

デェーブさんが参加されると聞き、少し

緊張感をもって搭乗しました。

◆韓国大田支部の

講習会と昇段審査報告

海外担当理事

野村

義隆

六月五日から九日にかけて、中村憲三先

生と私(野村)が韓国中部に位置する大田

広域市にある韓国大田支部を訪問し、講習

会と昇段審査を行ないました。大田市(テ

ジョン)はソウルから車で南に約三時間の

内陸にある韓国五番目の大都市です。

その後、昇段審査を行いました。受審者は

二十一名で、結果は二十名が受審段位に合格

しました。大田支部は昨年までの十年間、ほ

かの抜刀道団体に所属していました。当連盟

の形や組太刀とは全く違いますが、それぞれ

刀法の稽古を積んでおり、基礎はできている

ように見受けられました。特に試斬は皆さん

よくできていました。これからの課題は、当

連盟の刀法や身体操法に早く慣れることで

す。今回は一回目の韓国講習会だったのです

が、ある程度固まるまでは複数回の講習が必

要だと感じました。

なお今年の大会には、十名程度の参加を予

定しているとのことです。

タウンズビル

大田市

二十九日、ゴードンの自宅にてデェー

ブを含めマットやサンドラと講習会の

打ち合わせを行いました。

翌三十日、タウンズビル市の「ローニ

ンドウジョー」に十五人ほどの参加者が

集まり、十時から午前中いっぱい「礼法」

と「戸山流」を練習しました。

午後は、「制定刀法」および「中村流」

と練習をすすめ汗を流しました。

(

続く)

五日夕方、大田市に到着すると文(ムン)

支部長宅で歓迎の軽い夕食をいただき、休

息もそこそこに大田支部の幹部会員十五名

を対象に第一回目の講習を行ないました。

文(ムン)支部長の自宅の地下に五十畳程

の専用道場があり、いつでも稽古できる環

境でした。

翌六日は午前中に二回の講習を行ない、

午後から國際抜刀道連盟大田支部の発足記

念式典が行われました。約三十名の会員が

揃い、中村泰三郎先生の正統後継団体であ

る國際抜刀道連盟の一員に加盟できたこと

を祝い、正統な抜刀道を学ぶことを宣誓す

る式典でした。

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國際抜刀道ニュース 7

初心者は、形を行う時、力に頼った振りに

なってしまいがちで、上体がぶれてしまいま

す。デェーブさんは、非常にうまく、簡潔に

体さばきの基本を初心者に指導してくれま

した。また、中級者以上には、自己練習によ

り我流になっている点が多々見られ、それら

を修正しました。

七月一日、「組太刀」および「刀対槍」を

練習しました。どちらも『間合い』が大事な

ので、組み合わせを変えながら距離感を体感

するよう何度も技を繰り返しました。「刀対

槍」は組太刀と違い、足幅、運び、タイミン

グが異なるため時間を十分にかけました。

千葉東金支部

上原 弘

この寄稿のお話をいただいた当初は、私

のような若輩者が何を書けるのかとお断り

しようと考えておりましたが、同時に今回

の昇段者に対して「あなたにとって抜刀道

とは」という意見を求められていましたの

で、改めて考えてみると一言で表す言葉が

思い付かず、何日も考えさせられました。

そこで、私にとっての抜刀道を考えると共

に、「私の考える抜刀道について」の私見を

述べさせていただきたいと存じます。

技の動きについては、全員が覚えている

が、『残心』や『目付』”などについては、時

間をかけて理解してもらいました。練習時、

「休憩!」と言わない限り、延々と刀を振り

続ける体力には、いつも驚かされます。また

『礼』については、軍隊経験者が多いせいか、

日本より厳しい一面があります。そして彼ら

は、練習のオンとオフの切り替えがうまく、

ランチタイムには、ゴードンを先頭に楽しい

無茶話が絶えません。

夜は、アイリッシュパブのステーキパーテ

ィーで親交を深め、冷たいビールと熱いステ

ーキは、また来年もオーストラリアへ来る為

の招待状になります。

トピックス

◆私の考える抜刀道について

突然ですが、私にとって抜刀道とは『自己と

の対話により自身の内面を成長させてくれる

もの』です。言葉にすると大仰に聞こえますが、

現代においては「日本刀で物体を斬る武道」と

いう行いは、誰かのためでも、何か成すためで

もない行為であり、実際に抜刀道を通しての活

動が直接的に世の中の人や、社会の役に立つと

いうこともないと考えているため抜刀道が「武

道」であるならば、日々の修練の恩恵は、自己

の内面との対話による精神面の成長であると

考えます。

個人的な考えですが、抜刀道というものは、

ただ単に物理的な物体を斬るという行為から

得られる愉悦を目的として行なうべきではな

く、その斬るという行為に到るまでの経緯と結

果を通じて、己の理想とする姿に近づけられる

ように自己研鑽する意識を保つための自己啓

発手段であるべきと考えます。

また、私は普段サラリーマンとして会社組織

の中で活動しており、日頃から社内で価値のあ

る存在であることや会社に対して貢献できて

いることが求められていますが、その面でも抜

刀道に限らず「武道」に携わることで、以下の

ように色々な面で勉強になることが多く、これ

らを吸収することで自分自身を成長させてい

けると考えておりますので、若い方にこそ「武

道」を推奨したいと思います。

●「武道」を通じた恩恵

・礼節やマナー

・ルールの遵守や不正を抑止する心

・人との接し方や円滑な人間関係を築くコミ

ュニケーション力

・物事の進め方や取り組み方

・困難な目標を克服する精神力

・新しいことを学ぶ楽しさ

・短期間で成果を出すための集中力や効率化

の工夫

・ひとつのことをやり続ける忍耐力

更に後十年もすれば、私も定年となり

ますので、その頃には「社会とつながる

ため」の抜刀道というものがあるとも考

えております。この「社会とつながる」

とは、日々の修練を通じて色々な人との

出会いや人との縁を感じたり、様々な人

や物事との関わりを通して、サラリーマ

ン時代とは異なる社会とのつながりが

生み出せることと考えます。

これからの定年後の人生を何もせず

に家に引きこもっているようでは、人の

心は萎えて生きる気力も弱くなります

ので、積極的に外へ出て社会との関わり

の中で生きて行くことで、いくつになっ

ても自分自身の成長が出来るものと思

っています。

それに、人は一人で生きているように

見えても、実は沢山の人に支えられてい

て、決して一人では生きている訳では

ありません。またお互いに助け合わなけ

れば良い社会になりませんので、家族や

友人との人間関係だけではなく、時には

見知らぬ人と助け合っていくことが必

要になると思います。そこで抜刀道の活

動を通して、地域社会との関わりを持つ

ことで、若い人や現役世代と定年した世

代や高齢者とが分け隔てなく、話し合え

て助け合えるような社会環境が生まれ

ると想像すると、これからが楽しみでも

あります。

自分自身の武道歴を振り返ると、中学

時代にはじめた「柔道」や高校時代の「空

手」に社会人として自衛官になってから

の「銃剣道」などを学んできましたが、

どれにも共通していることは「対人格闘

術」であり、現在学んでいる抜刀道とは

「組太刀」での対人練習を除いて、明ら

かに異なるものだと感じております。

(

続く)

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國際抜刀道ニュース 8

《編集後記》

國際抜刀道ニュース「剣魂」夏季第

十号をお届けします。

今期から、東金支部の田代さんと町

島さん、半田支部の大橋さんが編集委

員に加わり、新しい陣容で会報作成に

取り組んでおります。

七月に最初の会合を持ち、今後の編

集方針や企画について話し合いまし

た。その中で様々な提案やアイデアが

出てきました。その一つが、今回初め

て掲載した「会員紹介」です。いかが

でしたでしょうか?

「剣魂」は、情報共有や活動報告と

共に、会員相互のコミュニケーション

の場でもあります。今後も楽しい企画

や記事の掲載を心掛け、内容のさらな

る充実を図っていきたいと存じます。

つきましては、ぜひお気軽に、皆さま

のご意見やアイデアをお寄せくださる

ようお願い申し上げます。

(

高橋

記)

《連絡先》

國際抜刀道連盟

事務局長 中村憲三 〒331-0823

埼玉県さいたま市北区日進町 1-57-6

☎090-9205-1105

または

編集委員代表 高橋淳一

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◆試斬用畳表の上手な作成方法〈その2〉

会員紹介

千葉東金支部長

徳銘

『剣魂』春季第六号に作成方法を掲載しましたが、

その後、会員の方から「その通りに実行しましたら

一ヶ月くらいで、悪臭やカビ等が発生し、困ってい

る。」と相談を受けました。前回までの方法はあく

までも冬期においての取り扱いになります。

夏の場合は気温が二十五度以上の日が続くと三

日目位から悪臭が発生します。畳表を水に浸けるの

は一昼夜くらいが適当だと私は考えます。

古い畳表の水浸けについては、宗家の著書である

「日本刀試し斬りの真髄(講談社)」の第七章「試

し斬りの基本と応用」の中の「試し斬り資材(仮標)

の作成」と言う項に、「三時間から一昼夜が適当で

ある。」と記載されております。また同じ本の中で、

「映画『永遠なる武道』で三日三晩水浸けすると解

説されているが、これは誤りである。」と宗家が断

言されていますが、その事についてはあまり守られ

てない方が多くいるようです。

私見としてワラの悪臭は、ワラの水浸けが大きな

原因となると思っております。気温や湿度に合った

水浸けをするのがよいと思います。注意して取り扱

いましょう。

確かに傍から見ると同様に剣を用いる対人格闘

術である剣道と比較して、日本刀という対人殺傷武

器を使用しますので、危険度合いは遥かに高い武道

ですが、一般的に剣道などの対人格闘術と比較して

身体的差異や身体に掛かる負担が少ないため、老若

男女を問わず、高齢者であっても長く続けられる稀

有な「武道」であると思いますので、これからも長

く続けて有意義な人生を過ごしたいと考えていま

す。

以上、拙い文章にて恐縮ですが、最後までお読み

いただき、ありがとうございました。

「連盟にはどのような会員の方がいるか、

もっと知りたい」という声がありました。リ

クエストにお応えし、会員のプロフィールを

掲載することになりました。

第一弾は愛知半田支部

尾張剣和会です。

●井戸

肇〈四段〉

①抜刀への思い

剣を振るう若山富三郎、萬屋錦之助、

市川雷蔵を見て育ちましたので、いつか

私もあの方々の様な貫目ある剣を振る

える日が来るかな?

との思いで抜刀へ

の道に入りました。しかし、中村流を学

べば学ぶほど剣の術、気の間、刀身の魅

力に虜われ、今は中村流の技を正しく習

得できるように汗するのみです。

そしていつの日か人前でも恥ずかしく

ない演武を行いたい思いがあります!

②好きな言葉(座右の銘)

やってやれない事はない!

やらずにできるはずがない!

③目標

目の前の先輩に追い付く事

●大橋

知彦〈錬士六段〉

①抜刀への思い

保育園児の頃に赤胴鈴之助や六三

四の剣等のアニメを好み、地元の名

門少年剣道の斉年寺の門を泣く泣

く親に連れられて叩きました、

その後は、刀に関わりたいと無双直

伝英信流(

谷村派)

の常滑道場の先生

方に師事し、同じ道場で抜刀道をし

ていると知り、実際に真剣で斬る事

に惹かれ、抜刀一筋で今に至りま

す。

②好きな言葉(座右の銘)

剣徳正世

③目標

私は小心者ですので、自己精神鍛練

としてこの命ある限り抜刀道を

追究したい。