第四十四号 - f-fvsc.com

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発行日 2020 年 1 月 発行者 福島県森林ボランティア サポートセンター 〒969-1302 安達郡大玉村玉井字長久保 68 ふくしま県民の森 フォレストパークあだたら内 TEL0243-48-2040 http://www.f-fvsc.com/ E-mail:[email protected] 森ボラ新聞とは 福島県森林ボランティアサポート センターが発行する広報誌のこと。 『森林を守るボランティアの皆さん』 や『森林に関心をお持ちの皆さん』 と『森林』とをつなぐお手伝いをし たい!という願いを形にしたもので す。 新聞では、①森林ボランティアサ ポートセンターのこと、②森林ボラ ンティアに関すること、③森林のこ と、④森林を守り育てるためにでき ることをお伝えしていきます。 森林ボランティア サポートセンターとは 木材価格の低迷、林業従事者の高 齢化や減少により、県土の 7 割を占 める森林の手入れが行き届かなく なっています。水を蓄えたり、必要 以上に山の土砂が流されてしまうの を防いだり、温暖化の原因となる二 酸化炭素を吸収したり…。そうした 森林の力を蘇らせるため、福島県で は「森林文化のくに・ふくしま県民 憲章」を制定、平成 18 年度からは 森林環境税を導入し、県民一人ひと りの参加による森林づくりを推進し ています。 こうしたなか設立された森林ボラ ンティアサポートセンターは、森林 ボランティア活動の支援を通して、 「みんなで森林を守り、育てよう!」 という意識を醸成することを目的と しています。 皆さんからいただいたお金は、森 林の手入れのほか、森林環境教育や 森林文化の保全・継承のために使わ れています。 サポートセンターも森林環境税を 財源として事業を行っています。 【森林環境税の使途】 【設立の背景・目的】 福島県が平成 18 年 6 月に開設した 機関で、 (公財)ふくしまフォレスト・ エコ・ライフ財団が県からの委託を 受けて運営しています。 27 28 17 10 19 17 30 40 - - 17 玉手さん(右)・佐藤さん(左) 竹細工を使ったイベント 整備している竹林

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山を守る、山で盛り上がる、未来が希望で〝やまもり〞になる!

発行日2020 年 1 月発行者福島県森林ボランティア     サポートセンター〒969-1302安達郡大玉村玉井字長久保 68ふくしま県民の森フォレストパークあだたら内TEL0243-48-2040http://www.f-fvsc.com/E-mail:[email protected]

第四十四号

森ボラ新聞とは

 福島県森林ボランティアサポートセンターが発行する広報誌のこと。『森林を守るボランティアの皆さん』や『森林に関心をお持ちの皆さん』と『森林』とをつなぐお手伝いをしたい!という願いを形にしたものです。 新聞では、①森林ボランティアサポートセンターのこと、②森林ボランティアに関すること、③森林のこと、④森林を守り育てるためにできることをお伝えしていきます。

森林ボランティア サポートセンターとは

 木材価格の低迷、林業従事者の高齢化や減少により、県土の 7割を占める森林の手入れが行き届かなくなっています。水を蓄えたり、必要以上に山の土砂が流されてしまうのを防いだり、温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収したり…。そうした森林の力を蘇らせるため、福島県では「森林文化のくに・ふくしま県民憲章」を制定、平成 18 年度からは森林環境税を導入し、県民一人ひとりの参加による森林づくりを推進しています。 こうしたなか設立された森林ボランティアサポートセンターは、森林ボランティア活動の支援を通して、「みんなで森林を守り、育てよう!」という意識を醸成することを目的としています。

 皆さんからいただいたお金は、森林の手入れのほか、森林環境教育や森林文化の保全・継承のために使われています。 サポートセンターも森林環境税を財源として事業を行っています。

【森林環境税の使途】

【設立の背景・目的】

福島県が平成 18 年 6 月に開設した機関で、(公財)ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団が県からの委託を受けて運営しています。

 

今回は、伊達市霊山町地区

を中心に精力的に活動されて

いる「やまもり会@霊山」の

活動について、代表の玉手孝

行(たまて

たかゆき)さんと

会員の佐藤悦美(さとう

えつ

み)さんにお話を伺いました。

【団体の設立経緯】

代表の玉手さんが、平成27年

(2015年)に伊達市の「地

域おこし協力隊」に就任し、

その後3年間、霊山地区で活

動したことが会発足及び活動

のきっかけでした。

「地域おこし協力隊」の活動は

フリーミッションであったた

め、玉手さんは“

地域の未来

可能性を拡大させるため!〞

をミッションに掲げ活動を開

始。団体名は、「山を守る、山

で盛り上がる、未来が希望で

やまもり〞になる!」という

思いを込めて、地域おこしプ

ロジェクト「やまもり会@霊

山」と名付けたとのこと。会

の立ち上げ説明会には、沢山の地域住民の方に参加して頂

き、関心のあらわれを実感したそうです。そして平成28年(2

016年)2月に、様々な年代の会員17名で活動をスター

トしました。

【活動内容】

放置林の整備作業などの里山保全活動を通じて〝地域住民

のコミュニティを呼び戻す〞“

地域産業の振興の機運を高め

る〞ことが活動目的。活動内容は、①放置・荒廃した里山林

の「整美」 

②森林資源の有効活用によるソーシャルビジネ

スの創出 

③森林資源活用の啓発 

の3つが柱です。具体

的には、地域の課題であった荒廃した里山林の景観を美化

させ、住民の心を整えるという意味で「整備」ではなく「整

美」と呼び、有償ボランティアとして僅かながらの日当を

得ながら、地道に少しずつ地域の荒れた里山で「整美」作

業を行ってきました。

また、竹細工や木工製品の制作・販売イベントを開催し、

地域住民や子ども世代が地域振興に興味を示せるような

きっかけづくりを行い、森林資源の有効活用という面でも

地域おこしを実践しています。

【楽しく活動する林業女子】

立ち上げ会員である佐

藤悦美さんは、本業の

事務職の仕事の休日を

活用し、〝林業女子〞と

して活動しています。

会に携わる前から、地

域の荒れ果てた森・山

を何とかしたいという

思いを持っていたそう

です。今は活動がとに

かく楽しいとのこと。まさに「山を守る、山で盛り上がる、

未来が希望で〝やまもり〞になる!」という思いと一緒だ

なと感じました。

【会の運営状況と課題】

 

霊山町地区では、家が山持ちで手入れの届かない状

況を何とかしたいと考える住民が多いと感じます。

 

開始当初は、行政からの支援もなく苦慮されたとの

こと。活動開始3年目から市より10万円/月の支援が

スタートされましたが、それでも参加する会員の方の

日当を賄うことができず、活動経費が不足する場合は、

玉手さんが協力隊員としての自身の給与の一部で補填

することもあったそうです。運営財源の創出と森林資

源の有効活用による地域おこしを実践するため、大人

から子どもまで沢山の住民の方にイベント等に参加し

て頂いてきましたが、イベントや木工製品販売の収入

で会の運営財源とするには課題が多いとのこと。

 

活動には沢山のマンパワーが必要ですが、日当を支

払えないので今は最小限の会員で作業を行っているの

が現状です。無償ボランティアでは、活動の継続・展

開・発展は期待できません。苦痛にならない〝志対価

〞が会員の「やりがい」につながると考えます。

 

取材時に、現在の活動

フィールドである地元民

地の竹林を案内して頂き

ました。以前は鎮守の森

として整備されていまし

たが、神社を別の場所へ

移した後はうっそうとし

た竹林になってしまいま

した。受益者負担として、

地主の方からも作業経費

を頂き、それに林野庁か

らの助成金(森林・山村

多面的機能発揮対策交付金)を合わせて作業する会員

の日当に充てています。雪が降ると竹が道路に覆いか

ぶさり通行できない状況でした。現在は台風19号の被

害で道路が崩落してしまい車が通らないため、なんと

もやりきれないのですが、作業はしやすいとのこと。

 

秋から冬に竹林を伐採し、春に下刈りをする。これ

を数年続けると竹の繁殖が落ち着き、タケノコもとれ

る管理しやすい竹林へと変貌するとのことです。

【今後の展開】

 

玉手さんは、地域おこし協力隊の任期を終えた現

在も、未来可能性を拡大できる学びを得れる別の職

に就きながら、霊山町地区で会の活動を継続させて

います。発足当初は様々な年代の17名でスタートし

ましたが、会員の一部の方とは発展的に別団体に分

かれ活動することになり、現在の正規メンバーは玉

手さんを含めて4名。皆30〜40代と現役の若い世代

です。

 

自己実現と、地域への感謝の

気持ちで活動していますが、活

動の安定と会員のモチベーショ

ンを保つためには、お小遣い程

度でも日当を得ることが大切と

考えます。今後の活動のテーマ

は、「小さな〝生業〞の創出」、

「もう一度人と山がつながる仕

組み構築する」、「森林資源の第

六次産業化」です。これらの実現のために、〝自伐型

林業家の育成〞と、森林環境教育・ワークショップ

の開催を通じて子ども世代が地域振興に興味を示せ

るように取り組んでいきます。そして義務感・責任

感からの活動から、地域振興への自己実現や楽しさ

を基盤とした小さな〝生業〞として、活動の起業化

を目指しますとお話しして頂きました。

 

霊山町地区では、原発事故による山への影響を心

配する方がいる一方、地元に残り生活している住民

の方は、それ以上に放置林の「整美」作業を通じて

の〝地域産業の振興〞を願っていると玉手さんは感

じているそうです。それ故に、行政と地域住民、そ

して小さな〝生業〞の担い手との連携が重要である

と考えているとのこと。「やまもり会@霊山」は、会

員・住民が欲する未来を、皆で活動することで共に

創るコミュニティを目指します。

(森林ボランティアサポートセンター 

佐藤

重敏)

︻お問い合わせ︼

こちらの団体の活動に興味がある方は、サポートセ

ンターを通じてご紹介しますので、ご連絡ください。

 

電話:0243-

48-

2040︵9時~17時︶

団体紹介『やまもり会@霊山』

玉手さん(右)・佐藤さん(左)

竹細工を使ったイベント

整備している竹林

Page 2: 第四十四号 - f-fvsc.com

問合せ先

福島県森林ボランティアサポートセンター

開館時間 9:00~17:00

〒969-1302福島県安達郡大玉村玉井字長久保 68ふくしま県民の森「フォレストパークあだたら」            ビジターセンター内TEL 0243-48-2040FAX 0243-68-2060ホームページ http://www.f-fvsc.com/メール [email protected]

サポートセンターまでのアクセス

東北自動車道二本松ICから車で約 20 分      本 宮ICから車で約 20 分※公共交通機関はございませんので お気をつけてお車でお越しください。

編集後記

福島県森林ボランティア

   

サポートセンター

「森ボラ新聞」は再生紙を使用しています。

 

今年は記録的暖冬で、フォレストパークだけでなく、

周辺のスキー場にも雪が少ない状況です。昨年の台風

19号による被害は記憶に新しいところですが、オース

トラリアの森林火災など世界各地で異常気象による災

害が相次いでいます。このまま異常気象が続いていく

のではないかと不安ばかりが募ります。

 

とはいえ、未来の子どもたちに引き継ぐべき地球が

このままでいいはずはありません。今できることを始

めませんか。森林ボランティアとして、森林整備に係

わるのも一つの方法だと思います。森林

ボランティアについて興味がある方は、

サポートセンターへお問合せください。

遠 藤

 

森林ボランティアへの国の支援策

﹁森林・山村多面的機能発揮対策交付金﹂

1﹁森林・山村多面的機能発揮対策交付金﹂制度

 ﹁森林・山村多面的機能発揮対策交付金﹂は、森林所

有者や地域住民等が協力して行う集落周辺の森林保全活

動などへの支援事業であり、本県でも平成25年から実施

されてきました。

 

交付金によって実施できる森林整備の内容などは少し

ずつ変更されてきましたが、今年度実施されている内容

は次のようになっております。

︵1︶メインメニュー

 

①里山林景観を維持するための活動

  

交付金額:12万円/ha

 

②侵入竹の伐採・除去活動

   

交付金額:28.

5万円/ha

 

③しいたけ原木などとして利用するための伐採活動 

   

交付金額:12万円/ha

︵2︶サイドメニュー︵メインメニューと組み合わせて実施︶

 

①作業用道路の補修や改良

   

交付金額:800円/ha

 

②活動に必要な資材や機材の整備︵草刈り機の購入等︶

   

交付金額:必要額の1/3~1/2

 

森林経営計画の策定されていない0.

1ha以上の森林

での活動に対し、1活動組織に最大500万円/年が国

より支援されます。︵森林経営計画に関しては、森林の

所在する市町村にお問い合わせください。︶

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令和元年度の取り組み状況

 

今年度交付金を活用している団体は12団体であり、方

部別の内訳は次のとおりとなっております。

    

浜通り地方 

4団体

    

中通り地方 

2団体

    

会津地方  

6団体

 

活動内容は、1団体が複数の取り組みをしております

ので、メインメニューとサブメニューに区分すると次の

ようになります。

 ︵1︶メインメニュー

  

①里山林景観を維持するための活動  

 

10団体

  

②侵入竹の伐採・除去活動       

6団体

  

③しいたけ原木などとして利用するための伐採活動 

5団体

 

令和元年10月6日

(日)ふくしま県民の

森(大玉村)で、「第

2回ふくしま植樹祭」

が開催されました。

 

開会式、記念式典

の後、昨年度実施し

た第69回全国植樹祭

で植樹した少花粉ス

ギの補植や下刈り、

コナラやケヤキなど

の広葉樹の植樹を行

いました。

 

午後は、交流イベ

ントが行われ、薪割

り・丸太切り、森林

セラピーヨガ、炭焼

き、森林のアロマづ

くりなどのプログラ

ムにみなさん楽しんで参加されていました。

 

また、会場では冷えた体を温める地元大玉

村の振る舞い鍋や、県内産品の販売ブースも

あり、人気を集めていました。

 

小雨が降る天気でしたが、約2000名の

方々にご参加いただき、第1回に引き続き未

来へつなぐ希望の森林づくりを行うことがで

きました。

︵2︶サイドメニュー

  

①作業用道路の補修や改良    

5団体

  

②活動に必要な資材や機材の整備 

2団体

3 

次年度︵令和2年度︶の取り組み

 

国︵林野庁︶では、令和2年度も継続して交付金事業

を実施する計画であり、令和元年度と同規模の予算の要

求がなされております。

 

福島県では、国からの交付金を受ける窓口事務を﹁ふ

くしま森林・山村多面的機能発揮対策協議会﹂が行って

おり、公益財団法人ふくしまフォレスト・エコ・ライフ

財団内に事務局があります。

 

来年度の事業要望については、随時受け付けておりま

す。1月に一度まとめておりますが、国への追加要望も

可能です。森林・山村多面的機能発揮対策交付金に関す

るご質問等があれば事務局までお問い合わせください。

︵ふくしま森林・山村多面的機能発揮対策協議会事務局 

桃井︶

 ︻お問い合わせ︼

 ︵公財︶ふくしまフォレスト・エコ・ライフ財団

  

電 

話 

0243-

48-

2040

  

メール 

[email protected]

           

             

林野庁ホームページより

「第2回ふくしま植樹祭」開催