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日本官能評価学会誌 乯⸲ 灰⸱ㄸ ㄲ㌠ ㈰〳 粋媏炕酢 官能評価に役立つ 䕸捥l 関数 池山豊 ⢊博꺉 킃劁它媁完ꒋ蚖箕鐩 啳敦畬 䉵楬琭楮 䕸捥氠 䙵湣瑩潮猠 景爠卥湳潲礠 䕶慬畡瑩潮 奵瑡歡 䥋䕙 䅍䄠 剥獥 α 牣栠 &䑥癥汯灭敮琠 䑩癩獩潮 䭏卅 䍯爱 潲慴楯n 厃뽫α 攭捨o 䭩瑡u 〱ㄴ 〰05 牤敲 t 捡牲礠 畴 獥湳 特 敶慬畡瑩 n 睥 湥敤 t 數慭楮攠 獥湳 特 瑥牭s 獥湳 r 慳獥獳 獡浰汥s 數灥物浥湴慬 摥獩杮 浥瑨 映 獴慴楳瑩捳 摡瑡 捥獳楮g 整挮 坩瑨 瑨敳攠 晵湤慭敮瑡氠 扬敭s 摡瑡 浡湡来浥湴 映瑨攠獥湳 特 慮慬祳楳 楳 慬s 業p 牴慮琠 景爠慮 敦晩捩敮琠 數灥物浥n 周攠 獴慴楳瑩捡氠 晵湣瑩 渠慮搠 瑨攠 獴慴楳瑩捡氠 慤搭楮 映䵩捲 s 䕸捥氠 慲攠 睩摥汹 畳敤 慳 愠畳畡氠 t 氠f 爠慮慬祺攠 瑨攠 摡瑡 映獥湳 特 敶慬畡瑩 渮 䥮 瑨楳 灡灥r s 牫獨敥瑳 畳楮朠 瑨敲 扵楬t 楮 䕸捥氠 晵湣瑩 湳 慲攠 慮搠 瑨攠 敦晩捩敮琠 灲敳敮瑡瑩 映獥湳 慮慬祳楳 牥獵汴 楳楮瑲 摵捥搮 ⡒散敩癥搠 ㌰ A 畳t㈰〳 䅣捥灴敤 㤠卥灴敭扥爠 ㈰〳⤠ 䭥祷 牤猺 䕸捥氠 晵湣瑩 エクセル関数 晲敱略湣y 杲慰栠 頻度グラフ 物湧 採点法, 灡湥氠 瑲慩湩湧 T j レ訓練 はじめに 綃汲욂떂쒓叝 䦂즗颗炂뎂 쒂ꊂ 井上, 評価用語の吟味,評価者の訓練や選定,試料の調 ㄹ㤶 㮒犎劁䌠 ㄹ㤶) が,本報では統計関数以外の 製,官能評価実験の設計,統計処理…など,官能評 䕸捥l 関数を利用したいくつかのワークシートを 価の実施に考慮しなければならない問題が数多く 示し,官能評価結果の効率的なまとめ方を提案す 存在するが,官能評価の現場とくに企業における る⸀ 効率的・効果的な運用という側面から考えると, これら官能評価の内容そのものに関する吟味と並 実施内容 んで重要な問題が,官能評価全体のデータの管理 ㈮ ㄠ 評価票作成續級쪕垂 얂첈 뎊잗 方法であるように思う. かつて手書きあるいは専用ワープロで作成され ツールとして一般に広く使用されている ていた官能評価票も 䕸捥l をワープロとして使用 䵩捲 s 䕸捥l の機能の中でも統計関数やアド することにより作成できる⺂ 북䎓뺂 붃暁[ インの分析ツ綃汲춊꾔岕嶉뾂즔몂꒓搆皏袗揩첃c タの入力,データ処理,結果のグラフ化といった ⠱ㄸ⤠

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日本官能評価学会誌� Vol.7 No.2 pp.118ー� 123 2003年10月

|技術報告|

官能評価に役立つExcel関数

池山豊(株式会社コーセー研究本部)

Useful Built-in Excel Functions for Sensory Evaluation

Yutaka IKEY AMA

Reseαrch &Development Division,KOSE Cor1フoration

Sαkαe-cho,Kita-ku,Toか0114・0005

In .order t.ocarry .out sens.ory evaluati.on,we need t.oexamine sens.ory terms,sens.ory

assess.ors, samples, experimental design, meth.ods .of statistics data pr.ocessing,

etc. With these fundamental pr.oblems,data management .of the sens.ory analysis is als.o

imp.ortant for an efficient experiment.

The statistical functi.on and the statistical add-in .of Micr.os.oft⑧� Excel are widely

used as a usual t.o.ol f.or analyze the data .of sens.ory evaluati.on. In this paper,s.ome

開w .orksheets using .other builtin Excel functi.ons are sh.own,and the efficient

presentati.on .of sens.oryanalysis result is intr.oduced.

(Received 30 A昭� ust2003,Accepted 9 September 2003)

Keyw.ords: Excel functi.on エクセル関数� frequencygraph 頻度グラフ� sC.oring 採点法,�

panel training ノTネjレ訓練�

1. はじめに }ルとして日常的に利用されている(井上,

評価用語の吟味,評価者の訓練や選定,試料の調 1996 ;池山, 1996)が,本報では統計関数以外の�

製,官能評価実験の設計,統計処理…など,官能評 Excel関数を利用したいくつかのワークシートを

価の実施に考慮しなければならない問題が数多く 示し,官能評価結果の効率的なまとめ方を提案す

存在するが,官能評価の現場とくに企業における る.�

効率的・効果的な運用という側面から考えると,

これら官能評価の内容そのものに関する吟味と並 2.実施内容�

んで重要な問題が,官能評価全体のデータの管理 2. 1 評価票作成~結果報告までの一元管理

方法であるように思う. かつて手書きあるいは専用ワープロで作成され

ツールとして一般に広く使用されている� ていた官能評価票も� Excelをワープロとして使用

Micr.os.oft⑧Excelの機能の中でも統計関数やアド することにより作成できる.また,得られたデー

インの分析ツ}ルは官能評価に伴う統計処理のツ タの入力,データ処理,結果のグラフ化といった�

34 (118)

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宮能評価に役立つExcel関数

日常的な一連の作業も� Excelの機能でほとんど賄

うことが可能である.これらの作業をExcelの各

シートで実施しそれらシートの集合体をブックと

して保存することにより,� Fig.1に示すようにプ

ロジ、ェクト単位で官能評価を一元管理することが

できる.

害事� 0_1・H ・H ・..ロ� 0_2………ロ� 0_3・H ・H ・..ロ�

Q lla_2IQ_3IQAI'"

P1 15 I 4 14131 ・�

P2 I 3 I 1 I 2 I 4 I P.3 I 2 I 3 I 4 I3 1..

Fig.l Management of the Sensory Evaluation

Data using Excel

Fig.1の③原データシートに入力されるデータ

は,調査票の回収状況により刻々追加される部分

であるが,この③原データシートの内容を④集計

シート内の統計量ならびに⑤結果まとめシート内

のグラフ等に反映させておけば,回収されたデー

タ分の途中結果を数値あるいはグラフで逐次確認

することができ,集計途上で緊急に判断を求めら

れた場合にも即時対応できる. 一方,官能評価

では評価者に関する事前情報を有している場合が

少なくない.これはデータ収集後の処理の段階で

評価者の層別を前提としているためであるが� 1

名分のデータをExcelのワークシート� 1行に対応

させて入力し,� Excelのフィルタ機能とsubtotal

関数をセットで用いることでこの層別が容易に行

える(池山,� 1996). このような層別に対応した

データ管理がExcel上で簡単に行えるという点は

官能評価データの処理において大きなメリットで

ある.�

2. 2 頻度を示すグラフの作成� (REPT関数)

上記のような一元管理と層別という� 2つのメリ

ットを生かしながら,さらに結呆の表示に力点を

置いたExcel関数の活用の一つ目として,頻度グ

ラフの作成をとりあげる.

選択法や評点法といった手法は官能評価の調査

票で一般的に用いられるものであり,その集計の

第一歩は「各選択肢,各評点に何人がチェックし

たか」をカウントすることである.カウントをデ

ジタル情報の数字で表示するよりもアナログ化し

た方が結果を認識しやすいことから,� Excelのピ

ルトインのグラフ機能が用いられることが多い.�

Excelによって作成される棒グラフなどでも十分

その目的は達せられるが,デフォルトの状態から

軸目盛り,色,凡例などをカスタマイズする手聞

が煩わしい.また,一般に結果に対して評価票は

別紙として添付されることが多く,そのような場

合は「どのような形式の設問に対する結果である�

のか」を確認する際に複数の書類を並べる必要が�

あり,甚だ煩雑な作業が伴うことがある.�

以上のような三点に関しての利便性を考慮に入れ

て,� Excelのグラフを用いずに文字列関数REPT

を用いた手軽なグラフ作成法を示す.� REPT関数

は,指定した文字列を指定した回数繰り返して表

示する関数であり,以下のように記述される.�

=REPT ("文字列繰り返し回数)

ここで,繰り返し数を回答頻度に対応させること

で横棒グラフと同等の機能を持たせることができ

る.� Fig.2はREPT関数を使用した頻度グラフの典

型例である.�

(119) 35

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ig.3 Frequency Plot using

日本官能評価学会誌� Vol.7 No.2 pp.118ー� 123 2003年10月�

エコロジーI1eについてどのよう匂ご愈見を"符ちでしょうか?1司a あなた';'環境問息J'憧康J'21 以下の潮§の� φであなたのの宥えや行動とー践するものの醤号に口をわ付11<.1tさい,� {Otまい〈つでも〉�

3

E

H

旦盟

一旦MM4M

一時

;'0,0 -・固とも虫慢できる-ζ6.IF社会全体のた刷こ(31'1

2いつも橿原に買をつけた主語をしている� 11.3

3.気に入れほーつのブランドを使い臨?るほうだ� 56. -圃圃圃・圃

: 1 -it4噂嶋問題,;自分自身の問題としては考えに〈い� I!.MI.

5自分の.制....,5,り回シンヲルでつつましい方だど思う

6明JlJAl!l慢を雰え自主でを哩佐豆主主世主圭

..‘,

,..‘-・・・圃 -寸� 7飽め替え周がある渇合はできるだけそれを利用する� .12・-・・・・・圃・

8買い物をする阻過鋼包嘗を断る� " ‘-・圃・・・

19.711_9 自然を取り入れた主活をしている�

10社会か'"置かといわれれば家庭を優先Lたい ‘,.・ -圃・・圃圃 ヰ;存

1'

1.

ot using REPT-FunctionFrequency Pl.2Fig (Two Categories)

クファイル内の集計シート� (Fig.1における④)ω

-一一|守|でト出

g自分のgらしぶり"シノフルでつつましい方だ定患う

Hl lH

。~匂たI:r.嶋",w'・,."エコロジーJ・広':)I, ."Ct:0>よ 拘ご..I.fl明ちでしaうか

L以下め帽の判制止のお眠時肱ー肺る制の割に0をお聞1<'t~l\. (0はいの間一一一一一」ー� Fig.2で,集計結果の数値D5~Dl4はExcelブやツ

IO.l

l:i ー~ー

~A

B 社会全体のため山本航ζとも棚..~削i醐1 5141 叩叩一軸間相-1

にリンクさせておく.また,ここではグラフ化の 2いつも..に気を'"抗生活をしてUる 1'1.3叫・B11'8.0110。αX泊。∞一一一一・1

3恥入ればーつのフラノド時 、健油国Z '"‘17.3113棚 oooooooo叩 ー・・・・- 1

・..鳩",...,自分aaの問噛比して"考えに恥� 111“l立 ,..則。0-一一一一一一一一一一・輔l

ための文字列として"I"を用いているが,使用す '''叫線ol23,nl<幻。000。∞一一--' ..輔 自

慨をi潔22W!| 二望朝鋭器禁|る文字列は何でもよい.また,このFig.2で、はl文

詞謂謂ぷii11t-I ・ 8醍~~.!Y.主星生豆主 U重跡、百回肋とがわれればZfitlftむたい字あたりが示す数値は2%となっているが,この

セルF15の数値2%を変更することによりグラフ

の長さ=解像度を変化させるようになっている.

セルE5には以下のようなREPT関数が記述されて

いる.�

=REPT(" I".D5/F$15)

Fig.2のように,結果考察上の便宜という点か

らすれば,グラフ自体はラフであっても設問と結

果を隣接させることのメリットは大きい.また,

グラフイックオフ母ジェクトを一切含んでいないた

め,印制もすばやく行える.�

REPT関数を用いた頻度グラフの応用例として�

Fig.3,Fig.4を挙げておく. Fig.3は対立する2カ

テゴリーの集計結果を左右に展開させて表示した

ものである.文字の右寄せ,左寄せの機能を利用

している.� Fig.4は1まいどちらともいえない

"いいえ"の3カテゴリーの頻度を帯グラフ状に示

したものである."0",11一� "_11のそれぞれの頻

度グラフを&で繋いで新たに文字列として表示し

ている.このFig.4のように複数の文字が含まれ

る文字列を作成する場合はプロボーショナルフォ

ントを使用すると文字幅が揃わなくなるので,定�

l幅のMSゴシックなどをフォントとして指定す

る必要がある.�

Fig.4 Frequency Plot using REPT-Function

(Three Categories)

2. 3 採点法の結果表示� (REPLACE関数)

官能評価では,� S D法や採点法のように,評点を

つける方法が使用される場面が多い.その際,複

数の評価者による平均値が示され,それに相当す

る線分上の位置に印がつけられる,といった図示

が行われる.� Fig.5はREPLACE関数をイ吏用したも

のであり,評点記入欄の数値に対応応、した位置に�

v いが,� Fig.4と同様に定幅フォントを指定する必

要がある.� REPLACE関数は以下のように記述さ

れる.�

=REPLACE("文字列開始位置,文字数置換文

字列")

セルE3には以下のようなREPLACE関数が記述さ

れており,またE3の文字の位置揃えは中央とし

てある.�

=REPLACE(L$1.36-(INT(J3/0.l25)ー5).1."#")

セルJ3の数値3.82に相当する位置が,セルL$lに

ある5段階尺度のスケールを示す文字列TE--:ー;-EE--:"の左から何番目かを計算し,その1文字

を"#�

36 (120)

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官能評価に役立つExcel関数

トーートー一ートーート一一� l

ー了�

----+-

この方法を応用して,試料が複数ある場合のグ

ラフも作成可能である.� Fig.6は試料� A,� Bについ

て表示するためにREPLACE関数を� 2回使用した

ときの例である.先ず試料Aの値を文字列に反

映させるために,セルN3には,�

=REPLACE(N$I,36-(INT(J3/0.l25ト5),1,]$2)次に試料Bの値を反映させるために,セルE3には,�

2),L$I,25)-5).l36-(INT(L3/0,REPLACE(N3=

という式が記述されている.ちなみに,セルJ2,�

L2の文字"AU,"B"を変更すれば,それに連動して

セルE3の文字列内の記号も変化するようになっ

ている.また.この方法を繰り返せば,さらに多く

の試料の値をプロットすることが可能で=あるが,

値によっては試料の記号が重なってしまうことも

あるので,その点については注意を要する.

2. 4 評価者それぞれの評価結果の比較�

(HLOOKUP関数)�

前述のREPT関数,� REPLACE関数を用いた工

夫は,官能評価結果を迅速に表現,印刷すること

であったが,ここに紹介する内容は表現上の利点

だけではなく,官能評価パネルの管理に日常的に

応用できる内容を含んでいる.

企業では評価パネル育成という目的から,複数

の評価者それぞれの結果を比較検討‘したい場面が

ある.その場合.評価者全員のデータを示すので

はなく,その評価者の偏りやクセがどうなってい

るかを知ることを第ーとし「自分の評価と他の

評価者の評価」を対比させた形で結果を示す必要

がある.�

Fig.7は,� 8名から構成される社内評価パネルが�

4項目について7件法で評価したときのデータ例

を用いて,� tこのパネル内で,ある評価者の評価は

どのような状況にあるか」をその本人のみに知ら

せるための工夫である.セルD3:GlOには4項目� 8

名の原データが記入されており,セルC17に取り上

げたい評価者の番号(この場合は4番目の評価者�

P4) を入力すると,下段に3本の折れ線グラフが表

示される.この折れ線グラフの"0"は評価者P4

個人の結果ム1まパネル集団としての� 8名の平均

値,".

る.�

A Plot of each Assessor's Data using .7Fig

HLOOKUP-Function

ここで用いているHLOOKUP関数は以下のよう�

(t2I) 37

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日本官能評価学会誌� Vol.7 No.2 pp.1l8ー� 123 2003年10月

に記述される.�

=HLOOKUPC'検索値範囲,行番号,検索の型)

検索値を範囲の最上行の項目を参照させて,配列

形式の範囲データをなかばベクトル形式のデータ

として扱っている点から考えると,ここでの�

HLOOKUP関数の用い方はやや変則的である.す

なわち,� C13は"評価者"を,� D13は"香り"を,セル�

C2:GI0の範囲内から抽出するため,セルC17の番号

で示された評価者� (Fig.7の場合は4番目の評価者�

P4)のデータがセルC13:G13にピックアップされ

ることになる.セjレC13には�

=HLOOKUP(C2.$C2:$G1O.$C17+l,FALSE)

という式が記述されている.同様にD13は,�

=HLOOKUP(D2.$C2:$GlO.$C17+1.FALSE)

となっている.このセルD13~G13にピックアッ

プされた評価者データを用いて,セルD12 ~G12

に当該評価者のデータを除外した残り� 7名の平均

値が計算されている.たとえば,セルD12には,�

=(D11*$D15-D13)1($D15-1)

という式が記述されている.官能評価がパネル育

成の目的で行われたものであれば,結果をFig.7

のグラフで各評価者に配布することで,評価者個

人の結果110"とその評価者を除いた残り� 7名の平rr

均値"eと見比べることで,各自が評価項目の解

釈や評価基準のズレなどについて認識することが

可能となる.企業においては日常的な業務範囲で,

数多くの官能評価をこなしているが,そのような

データの結果を本方法で評価者にフィードパック

し,評価者が自ら学習していく契機を与えること

の意味は大きいと思われる.�

3.結果と考察:ツールとして利用して

今回,� Excelの関数を利用した� 3つの工夫を実

践した.いずれも必要に応じて実際の業務に使用

しているが,その中でも一番目に示したREPT関

数を用いた頻度グラフによる結果表示は,調査票

と連動して結果を見ることが出来る点で,予想以

上に効果的で便利な機能であるという印象が強

い.また,� HLOOKUP関数を用いたデータの抽出

とグラフ作成についても,パネル管理という官能

評価特有のテーマに必要な情報を簡便に提供でき

るという点から,ある企業ではパネル教育用ツー

ルとして日常的に使用している.

市販の官能評価システムの導入や,業務に即し

たソフトウェアを含むシステム開発が可能であれ

ば,さらに効率的な官能評価環境が構築できると

思われるが,いずれにしても金銭的あるいは人的

コストは無視できない.とくに官能評価の創世記

の企業においてはそのような投資は『何らかの成

呆が見えた上で』はじめて可能となるものであり,

低予算の中で成果を目に見えるものにするために

少数の官能評価担当者が日夜手作業で努力してい

る,そういった姿をよく見かける.そのように,

コストをかけずに的確に官能評価をこなしていく

ために,� Excelというツールは使い方によっては

大きな戦力となる.�

4. まとめ

官能評価の研究課題には,パネル教育,評価用

語,実験設計,多変量解析を含む統計処理など,

数々の学問的側面の話題が多い.その一方で,定

型的かっ定常的に日々の官能評価を実施している

立場から考えると,そのような学問的な問題以上

に単純な作業に多くの時聞が割かれている実情が

ある.すなわち,手作業に近いような面倒な作業

を「昔からやってきたことjとして何の疑問もな

く継続していることがある.このような半ば習慣

化されている作業に対して,長年その業務に従事

しているベテランよりもむしろ新人のほうが敏感

に疑問を感じ改善の策を提案するといったケー

スも稀ではない.ハードウェアならび、にExcelの

ようなソフトウェアは道具として今後も刻々と機

能を高め続けていくと思われるが,わずかな工夫

でそれら機能を活用し,現業務の効率化がはかれ

る余地は案外多く存在すると思われる.専用言語

によるソフトウェア開発などに比べてExcel関数

の利用ははるかに容易であり,その企業における

官能評価業務の特性を考えながら業務分析を行う

ことにより,まだまだ多くの工夫が考えられるで

あろう.�

38 (122)

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官能評価に役立つExcel関数

引用文献

井上裕光(1996) 官能評価データ解析におけるコ

ンピュータ活用法(その1),第26回官能検査シ

ンポジウム発表報文集, 19・22.

池山豊(1996) 官能評価データ解析におけるコン

ピュータ活用法(その2),第26回官能検査シン

ポジウム発表報文集, 23-28.

(123) 39