インドの石炭政策、石炭生産、石炭輸出入、石 炭輸 …2010 年代に入り、 ガス、石油の生産量は停滞気味 再エネの生産量は2倍に拡大 石炭は一次エネルギー消費量の56%、
落石対策の課題 - daiichi-c.co.jp · 落石対策の課題 現場のトラブルから学ぶ...
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落石対策の課題
現場のトラブルから学ぶ
平成22年9月24日(金) 名城大学・名駅サテライト
1.技術の変遷2.落石の運動3.落石防護柵4.落石防護柵基礎と防護擁壁5.ポケット式落石防護ネット
(株)第一コンサルタンツ
右城 猛
1
1.落石対策工の技術基準の変遷
落石防護工の設置に関する調査研究報告書(1974年)
落石対策便覧(1983年)
落石対策便覧改訂版(2000年)
落石対策便覧に関する参考資料(2002年)(松尾修)
-落石シミュレーション手法の調査研究資料-
越前海岸岩盤崩壊事故(1989年)豊浜トンネル岩盤崩壊事故(1996年)
落石対策便覧2回目改訂版( ? )
高松で現場落石実験(1980年) 四国技術事務所
落石防護柵基礎の実験(2002年) 四国技術事務所現場落石実験(2003年) 四国技術事務所落石防護ネットの現地実験(2008年) 地盤工学会四国支部落石防護柵の現地実験(2009年) 地盤工学会四国支部
2
2.落石の運動
• 落石対策便覧の予測法• トラブル事例• 運動形態• 等価摩擦係数• 跳躍量• 終端速度
1979年7月 一般国道33号 愛媛県上浮穴郡柳谷村3
落石対策便覧による予測法
●跳躍量 h=2m
h=2m
●速度
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −=
θµ
tan12gHV
等価摩擦係数μの値
区分 落石形状 地質 凹凸 立木 μ
A 丸状 軟岩 小 なし 0.05
B 丸状~角状 軟岩 中~大 なし 0.15
C 丸状~角状 土砂,崖錐 小~中 なし 0.25
D 角状 崖錐,巨礫混じり崖錐 中~大 なし~あり 0.35
●運動エネルギー
1.0≈=V
R
EEβ回転エネルギー係数
mgHmgHE ≤+⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −= )1(
tan1 β
θµ
m40≤H
(40mで終端速度になる)
発生源
Hmg
v
mgsinθmgcosθ
µ・mgcosθ
●運動形態
すべり運動と見なす(ハイムのそりモデル)
θ
4
高知県道東洋安田線・北川村島1996年
79.040tan828.92
7.91
tan2
1
2
2
=⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛××
−=
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−= θµ
gHV
発生源
平均勾配40゚県道
落石停止
H=82m
1.80m
1.30m
0.8m 1.4m
0.7m1.2m
2.5m 2.7m 1.5m
V=9.7m/s
約10tの落石
2.60m擦痕
V=9.7m/sとしてμを推定
5
国道11号鳴門市北灘 1990年10月
ロープ留め金具破断
索端金具破損
金網破網1.60
3.00
発生源
63m
5m
斜面勾配 36゚~40゚
土砂
観光バス乗客乗員49名,3名死亡,14名負傷
3.0
v0=8.2m/s
2.1
落石m=1.4t
柵のエネルギー吸収を50kJと仮定
E=97kJ
国道11号
7.7m
( ) kJ4931.136tan
35.01638.94.11tan
1 =×⎟⎠⎞
⎜⎝⎛ −×××=+⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛ −= β
θµmgHE
6
国道33号吾北村大渡 2003年5月
落石発生源
崖
70m
32m
8m
63゜
33゜
110m
50゜V
岩盤
崖錐
広葉樹
1.5m
3.9m
3.8m
落下点
国道33号
落石対策便覧
V=38m/s(μ=0.35)
3.9m
1.5m
V
2m7m
実際V=12m/s(μ=1.1)
1.1 50tan1028.92
121tan2
122
=⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛××
−=⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−= θµ
gHV
逆算等価摩擦係数
7
芸予地震による国道317号の落石 2001年
落石発生源
27m
36゜
m=1t
3m
推定質量 m=1t
V
国道317号
)1(tan
1 βθ
µ+⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛ −= mgHE
0
50
100
150
200
250
300
350
0 0.2 0.4 0.6 0.8
エネルギー
E(k
J)
等価摩擦係数μ
0.05
0.35
270kJ
150kJ
50kJ
0.6
m=1tH=27mθ=36゜β=0.1
等価摩擦係数を0.35とすると150kJのエネルギーを吸収したことになるが、防護柵の性能は50kJ以下。等価摩擦係数を0.6以上と考えるのが妥当。
θβ
µ tan)1(
1 ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+
−=mgH
E 0.1
8
富士山五合目駐車場落石事故 2009年7月
衝突位置水平距離 X=10m
キャンピング・カー
フェンスの破損によるエネルギー・ロス EL=52kJ
落石の重さ m=1.0t
v2=10.8m/s(39km/h)
高さ Y=4.2m
3.2m
1.5m
v1=14.8m/s(53km/h)
46.0 25tan6008.92
8.141tan2
122
=⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛
××−=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−= θµ
gHV
θ=25゜
H=600m
9
v v
円柱の転がり運動 すべり運動(μ=0.35)
H=600m
θ=25゜
運動力学から導かれた落石の速度とエネルギー
時速320km (89m/s) 時速195km (54m/s)
落石が新幹線のように速ければキャンピングカーの上を飛び越える。落石事故は起きなかったはず。
x=10m x=20m x=40m x=60m
v1v2
v1=53km/h v1= 86km/h v1= 160km/h v1= 236km/h
x
10
落石の最大跳躍量を2mと見なせるか?
2m
6.6m
2.0m
砂
国道33号
既設擁壁
5m
6.5m
一般国道33号愛媛県上浮穴郡柳谷村1981年
薗原ダムの最大跳躍量5mで設計
11
落石の運動エネルギーは意外と小さい
H=8m
重量約80kNの落石
m=8t
落石対策便覧μ=0.05~0.35θ=47゜
0
100
200
300
400
500
600
700
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
エネルギー
E(k
J)
等価摩擦係数μ
0.05
0.35
660kJ
460kJ
120kJ
0.9
)1(tan
1 βθ
µ+⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛ −= mgHE
m=8tH=8mθ=47゜β=0.1この防護ネットのエネルギー
吸収性能は120kJ程度E=460~660kJ ?
0.1
12
落石の運動形態はバウンドが主体的
西土佐村落石実験(高知県、2000年)
土居町落石実験(四国技術事務所、2003年) 土居町落石実験(四国技術事務所、2003年)13
愛媛県土居町の落石実験
四国技術事務所、2003年
14
落石の停止位置
25
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80
水平距離(m)
30kg程度の岩塊はここで停止
崖錐
標高
(m)
① ②③④⑤
投石
到達範囲
tanθ
0 =0.78
θ0
μ=0.05
μ=0.35
落石対策便覧の範囲
tanθ
0 =0.63
θ0=30~38゜
落石の運動方向
⑤
落石の運動方向
④
③②
①小さい岩塊
15
道路際で逆算した等価摩擦係数
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
落石発生源からの斜面平均勾配tanθ
等価摩擦係数μ
0.35
0.05落石対策便覧
µ=tanθ
北灘北川村大月町大渡ダム玉谷町大井野皇踏山大渡山城町富士山
逆算された等価摩擦係数は0.5~1.2と大きい
θµ tan2
12
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−=
gHV
θβ
µ tan)1(
1 ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+
−=mgH
E
エネルギーから逆算
速度から逆算
θ
m
vE
H
発生源
落石の運動をすべり運動と仮定して
0.1
16
落石跳躍量の定義は?
h
h
h
(a)斜面の表面から落石の中心まで?
(c )斜面の勾配が変化している場合の跳躍量は?
(b) 落石径が4mなら転がっていても跳躍は2m
h
17
跳躍量と速度は斜面傾斜角に依存する
θθ
cos2)sin( 2
0
guh =
0
5
10
15
20
25
30
35
0 5 10 15 20 25 30
水平距離(m)
鉛直距離
(m)
u0=10m/s
10.6m/s 12.4m/s15.3m/s19.5m
/s
25.8m/s
θ=40゜(h=2.8m)
θ=30゜(h=1.5m)
θ=20゜(h=0.64m)
θ=10゜(h=0.16m)
θ=50゜(h=4.7m)
飛び出し速度
012345678
0 20 40 60 80斜面傾斜角θ (゜)
跳躍量
h(m
)
神戸
薗原
高松
鳴門
広島
山北
東根下呂
谷花
小樽
高知愛媛
u0
h
u0=10m/s u0=5m/s
θ
釣鐘
θ20 tan41+= uV
最大跳躍量
着地速度
落差40mで終端速度になるという根拠はない
18
現場のトラブルからの教訓
1. 落石の運動はバウンドが主体。2. 落石の速度は自動車なみ。3. 落石現場の道路脇で逆算された等価摩擦係数は
0.5~1.2。4. 等価摩擦係数は斜面の特性値ではない。落下に伴って変化する。
5. 跳躍量の定義は明確でない。6. 斜面勾配が急なほど着地速度と跳躍量が大きくなる。終端速度は存在しない。
19
3.落石防護柵及び基礎
• 設計における5つの前提• トラブル事例• 落石防護柵の現地実験• 緩衝金具を装着した実験
20
設計における5つの前提
1. 金網は25kJのエネルギーを吸収するまで変形できる。
2. 落石を2本のワイヤロープで均等に支持する。3. ワイヤロープの歪みは全長にわたって一定。4. 中間支柱は15度傾斜するまで降伏強度をたもつ。5. ワイヤロープか中間支柱かのいずれかが降伏するまでに柵端金具や端末支柱、金網が破損することはない。
21
トラブル事例 その1 落石が金網を突破
国道11号(1990年,死者3名) 富士山5合目(2009年)
四国技術事務所の実験(2003年)
14kJで金網が破損し,23kJで突破
22
神戸大学と神戸製鋼所の実験 1966年(S41年)
1m
8m
12m
シュート
防護柵 L=51m
神戸丸山グランド
投石櫓
風化花崗岩
45゚
20m
1.55m
1.45m
1.55m
1.45m1.0m
H-150×75
コンクリート300×300
3×7G/O φ18mmワイヤロープ
50×50 φ3.2mm菱形金網
神鋼型落石防止柵供試体(65kg,100kg,400kg,600kg)
コンクリート
神鋼型落石防止柵実地試験報告書(昭和42年4月)より右城が作成
23
現地実験による吸収エネルギーの内訳
落下地点の地盤の吸収33kJ(28%)
ワイヤロープ 13kJ(11%)
支柱 2kJ(2%)雑(落石,金網,地盤) 11kJ(9% )
落石と防止柵の最大進入行程時の運動 8kJ(7%)
回転運動 39kJ(33%)
斜面上の摩擦等による損失12kJ(10%)
線速度エネルギー
(57%)
回転等のエネルギー
(43%)
E=118kJ
雑吸収とは 金網 金網とロープの結束線 落石 埋設土
最大新入行程時に落石と防止柵の合体が持つ線速度エネルギー
金網の存在理由・土砂を含む落石を柵面で受け止める・衝撃力を分散させてロープに伝達させる。5本のロープ中の最大張力と最小張力の比は5:1であった。
W=600kgの実験の場合
神戸製鋼型落石防止柵実地試験報告書(昭和42年4月)より右城が作成
24
金網の吸収エネルギー
25kJ
1.2m
26kJ
●菱形金網(φ3.2×50mm)の最大吸収エネルギーは26kJ●そのときの変位量は1.25m鉄道総研による実験
25
トラブル事例 その2 ワイヤロープが破断
200
100
4@30
0=1,
200
1段目
2段目
3段目
4段目
5段目ずれる
ずれる
z=3m
3段目
4段目
2段目
z=3m
2本のワイヤロープで落石を均等に支持するとはいえない。
26
トラブル事例 その3 中間支柱が座屈
φ=15゜
Fy My
M
φMy
E=Myφ
φ
実際便覧 便覧
実際
27
トラブル事例 その4 柵端金具,端末支柱が破損
引付棒が破断端末支柱のウェブが局部破壊 端末支柱と斜材の連結部の強度不足
ワイヤチャックは衝撃に弱い。楔が緩んでロープが引き抜ける
性能が検証されないまま,価格を重視する傾向がある。
28
マニュアル重視のため基礎が過大設計
0.4m
1.0m
1:0.
5
2.0m 2h/3 1.0m
1.0m
1:0.
5
m=1tv=9.8m/sE=48kJ
経験的断面落石対策便覧
2.1m
1.0m
1:0.
5 落石が基礎を直撃する場合
落石が柵を直撃する場合
h=2.0m
落石防護柵基礎 落石防護擁壁
m=1tv=9.8m/s
H-200×100
区別する必要はない。基礎は擁壁として設計すればよい
会計検査対策のマニュアル重視によって経験が否定され,過大設計になっている。
29
支柱を大きくしたら基礎が不安定になる
H=21.3kN
2m
H-200×100
Py=21.3kN
3m
2m M=85kNm
Py=85.0kN
0.5m
H=85.0kN
M=213kNm
2m
H-200×200
Py=55.5kN
H=55.5kN
M=222kNm
H-200×100
●落石の作用高を柵高の2/3としている根拠は?●柵の下方に作用した方が基礎に対しては危険なのでは?●支柱の断面を大きくしたため基礎の安全率が不足してるが良いのか?
3m
2m
3m
2m
会計検査での指摘
30
防護柵が破損しても基礎は転倒しない
平成9年度落石に関する実態調査報告書 (土木研究所)
0
10
20
30
40
50
60
70
金網
ワイヤ
中間支柱
基礎
件数
変形
破網
脱落
変形
降伏
切断
破損
変形
落石で基礎が転倒した事例はない
31
落石防護柵の重錘衝突実験(H15年)8,300
8,90
0
10,200
重錘離脱装置
離脱装置
重錘吊り上げ装置
光電スイッチ
供試体
1,00
01,
500600
0.47t
四国地方整備局四国技術事務所
32
基礎の応答 (L=4.5m,落下高2.5m)
24/30(sec)
45/30(sec)
12/30(sec)
18/30(sec)
39/30(sec)
9/30(sec)
33/30(sec)
6/30(sec)
15/30(sec)
33
安全率が0.16でも基礎は転倒しない
16.08.12.71
3.0)5.633.3(=
××+
=sF
時間(sec)
衝撃力F(kN)
0
20
40
60
80
0 0.05 0.1 0.15
F=71.2kN
衝撃力による転倒の安全率
転倒の安全率が1以下になれば回転運動を開始
重錘 m=0.47t速度 v=7m/s
W2=63.5kN1.0m
0.6m
1.8m
W1=3.3kN
静的荷重が11.1kNなら転倒の安全率は1.0
F=11.1kN静的荷重
0.18.11.11
3.0)5.633.3(=
××+
=sF
34
基礎の動的解析
0.20 0.4 0.6 0.8モーメント
N(k
Nm
)
0.20.1
00.20 0.4 0.6 0.8回
転角
θ(ra
d)
時間 t(s)
1.51.00.5
0-0.5-1.0-1.5
0.20 0.4 0.6 0.8
角速度
ω(r
ad/s
)
時間 t(s)
時間 t(s)
回転開始
回転最大
元の状態
)()( tytPN =
抵抗モーメント
課題落石による衝撃力波形の決め方
8060
40
20
0
))(cos( tMgNr θφ +=
G
o
Mg
y(t)
θ(t)
Ry(t)
Rx(t)
r
P(t)
)(tVM y&
)(tI xω&
)(tVM x&
φ
tmvP∆
2max ≈
35
現場のトラブルからの教訓
• 落石防護柵の設計上の前提は実際と異なる。• 防護柵のエネルギー吸収性能を過大評価している。• 基礎は転倒安全率が1未満になると回転運動を開始するが転倒するとは限らない。
• 落石荷重は衝撃力なので、基礎の設計は動的設計とするのが合理的。
36
3.ポケット式落石防護ネット
ロングスパン
• トラブル事例• 便覧式の問題点• ロングスパンの現地公開実験
37
トラブル事例
ネットの過大変形金網の破網
吊りロープの破断、支柱の破損
3m3m
38
便覧式の問題点1 金網の吸収エネルギー
δδ=h/4
θ
δ=h/4 P
P
h
δθ ⋅= sin2PEN
横ロープ
横ロープ
δδ
θ224
4sin2h
PPF+
==
δθδ ⋅⋅≈= ∫ sin2214/
0PdFE
hN
F=2PsinθF
δδ=h/4
F
θsin2P
θsin2P
正解
便覧式
39
便覧式の問題点2 横ロープの吸収エネルギー
2sin2 θPT =
2
1
sin2sin
θθPT =
2
2cos
AELTa
a
w ⋅⋅
+=θ
( )20
2
2TT
AELE
wR −
⋅=
a
θ2
P
T
La
θ2
T T
Psinθ1
L便覧式 修正式
T
T0
Tδ
LAET w 2=
( )20
2
22TT
AELEw
R −=
δδ0
40
便覧式の問題点3 衝突時のエネルギーロス
v1
mv1
m1v2v2
Mは金網全体 Mは金網1点
MmMmvEL +
= 212
1
LRNT EEEE ++=
ロープ
金網
ロス
v1
m M
m+M
v2
衝突前
衝突後
41
便覧式の問題点4 衝突時の吸収エネルギー
v
時間 t
反発速度v2
衝突期間
衝突速度v1
0v=0
0
222
1 mv
mv1
v2
残留変形
mv=0
停止
最大変形
落石の速度
ネットの変形
エネルギー
212
1 mv
時間 t
運動エネルギー金網
ロープ
EN
ER
LRNT EEEE ++=
LERNT EEE +=
MmMmvEL +
= 212
1
質点系の非弾性衝突
便覧式
修正式
42
ポケット式落石防護ネットの吸収エネルギーの計算例
4@5m=20m
θ0=85゜
θ=40゜
H=30m横ロープ長 L=50m
W1=2.6kND=0.7m
a=3m
h=5m
金網 φ3.2×50×50Pa=17.0kN/m w=0.037kN/m2
横ロープ3×7G/0 14.0φ
28.1
10.5
4.6
2.9
34.8
0
20
40
60
80
便覧式 修正式
ロス
ロープ
金網
67.5kJ
13.4kJ
便覧式の1/5
エネルギー
(kJ)
43
第1回目の現地公開実験 2008年5月27日
30mm 20mm58mm 44mm
67mm 51mm
27mm 134mm
58mm 35mm
5m
5m
V=17.3m/s
m=1.0t2.3m
2.3m
スリップ
[email protected] [email protected]
緩衝金具
緩衝金具
44
ポケット式落石防護ネットのエネルギー吸収性能
115.4
10.7
23.9
0
20
40
60
80
100
120
140
160
実験 便覧式
緩衝金具
ロープ
金網エネルギー
(kJ)
150kJ以上
26.1
4.5
67.2 ロス
ロープ
金網
可能吸収エネルギー97.8kJ
緩衝金具装着 緩衝金具なし
45
大失敗の第2回目公開実験 2008年10月10日
2tのコンクリート塊
V=19.5m/s,380kJで実験
46
巻付けグリップ
緩衝金具
クリップ止め
衝突前
引き抜けた巻付けグリップ
グリップ止め
緩衝金具
すべり面
失敗の原因
衝突後
巻き付けグリップの引き抜け 支柱基礎地盤の破壊
メーカーのカタログには、「ワイヤーロープの破断荷重と同等の保持力があり、グリップの取付けが簡単で,作業条件による影響が少ないため安定した強度が得られる」と書かれているが、ワイヤーロープの破断荷重157kNの約1/2 の83kNで引き抜けた。 47
現場のトラブルからの教訓
• 落石の直撃を受けて吊りロープや支柱が破損• 金網の破網,過大変形で建築限界を侵す• 便覧式は理論的に問題。修正式で計算すると吸収エネルギーは便覧式の1/5。
• ロングスパンに便覧式を適用すると安全側。• 巻き付けグリップは衝撃力に弱い。• 支柱基礎は岩盤でも風化していると破壊する。