出動する回数 出動回数 章 約1万7000回104 105 日本社会の1日 2章...

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104 105 2 1 7000 5.2 秒に1回) 1日に,119 番通報 で救急車が 出動する回数 消防庁統計 15 1年間では,国民23人 に1人が救急車で搬送 されている。 しかし,救急搬送のう ち,2 人 に 1 人 は 軽 症 者だ。 1931 年に大阪で日本赤十字社が自動車を傷病者の搬送に使用 したのが,日本における救急車の始まりとされている。現在のよ うに救急車が全国の消防署に配備され,24 時間態勢で救急出動 が可能になったのは 1963 年の消防法改正以降のことで,現在は, 全国に約 6,200 台,人口約 2 万人に 1 台の割合で救急車が配備さ れている。2016 年の救急車の出動件数は約 621 万件,1 日平均で は約 1 7000 件,1 年間に全国民の 23 人に 1 人が搬送されたこと になる。 出動件数を事故種別で見ると,50 年前には交通事故がおよそ 3 分の 1 を占めていたが,交通安全対策の推進により,2016 年に はそれが 1 割弱にまで減少し,現在は,急病が全体の 3 2 近く を占めている。年齢別の搬送人員の割合を見ると,65 歳以上の 高齢者が増え続けており,高齢社会と密接な関係があるようだ。 ただ,救急搬送の内訳を見ると,重症者は 1 割に満たず,初診 医師が入院加療の必要なしと判断した軽症者が全搬送者の約半分 を占めている。軽症者が安易に救急車を要請するケースが多いの が,全国どこの自治体でも悩みの種となっている。 「歯が痛いから」 「水虫がかゆいから」「シャワーの水が耳に入ったから」という理 由も信じがたいが,「子どもが膝をすりむいたが,救急車で行け ば優先的に治療してもらえるから」とか「病院へ行くのにタクシー 救急出動件数と搬送人員の推移  〈資料:消防白書〉 事故種別救急出動の割合  〈資料:消防白書〉 搬送人員の年齢別割合  〈資料:消防白書〉 (回) (人) 100万 200万 300万 400万 500万 600万 100万 200万 300万 400万 500万 600万 出動回数 搬送人員 2016年 急病 交通事故 一般負傷 その他 64.0% 7.9% 14.9% 13.2% 2008年 60.9% 10.9% 13.7% 14.5% 1989年 48.8% 24.3% 11.4% 15.5% 2016年 乳幼児 少年 成人 高齢者 5.0% 3.6% 34.1% 57.1% 2008年 5.4% 4.1% 42.2% 48.3% 1989年 7.4% 8.7% 60.5% 23.4% ※乳幼児:6 歳以下 少年:7 〜 17 歳 成人:18 〜 64 歳 高齢者:65 歳以上

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104 105

日本社会の1日

章2

約1万7000回(5.2秒に1回)

1日に,119番通報で救急車が出動する回数

消防庁統計

15 ●1年間では,国民23人に1人が救急車で搬送されている。

●しかし,救急搬送のうち,2人に1人は軽症者だ。

 1931年に大阪で日本赤十字社が自動車を傷病者の搬送に使用

したのが,日本における救急車の始まりとされている。現在のよ

うに救急車が全国の消防署に配備され,24時間態勢で救急出動

が可能になったのは1963年の消防法改正以降のことで,現在は,

全国に約6,200台,人口約2万人に1台の割合で救急車が配備さ

れている。2016年の救急車の出動件数は約621万件,1日平均で

は約1万7000件,1年間に全国民の23人に1人が搬送されたこと

になる。

 出動件数を事故種別で見ると,50年前には交通事故がおよそ

3分の1を占めていたが,交通安全対策の推進により,2016年に

はそれが1割弱にまで減少し,現在は,急病が全体の3分2近く

を占めている。年齢別の搬送人員の割合を見ると,65歳以上の

高齢者が増え続けており,高齢社会と密接な関係があるようだ。

 ただ,救急搬送の内訳を見ると,重症者は1割に満たず,初診

医師が入院加療の必要なしと判断した軽症者が全搬送者の約半分

を占めている。軽症者が安易に救急車を要請するケースが多いの

が,全国どこの自治体でも悩みの種となっている。「歯が痛いから」

「水虫がかゆいから」「シャワーの水が耳に入ったから」という理

由も信じがたいが,「子どもが膝をすりむいたが,救急車で行け

ば優先的に治療してもらえるから」とか「病院へ行くのにタクシー

救急出動件数と搬送人員の推移 〈資料:消防白書〉

事故種別救急出動の割合 〈資料:消防白書〉

搬送人員の年齢別割合 〈資料:消防白書〉

(回) (人)

100万

200万

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100万

200万

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2012

2013

2014

2015

2016

出動回数

搬送人員

2016年

急病 交通事故 一般負傷 その他

64.0% 7.9% 14.9% 13.2%

2008年 60.9% 10.9% 13.7% 14.5%

1989年 48.8% 24.3% 11.4% 15.5%

2016年

乳幼児 少年 成人 高齢者

5.0% 3.6% 34.1% 57.1%

2008年 5.4% 4.1% 42.2% 48.3%

1989年 7.4% 8.7% 60.5% 23.4%

※乳幼児:6 歳以下 少年:7〜17 歳 成人:18 〜 64 歳 高齢者:65 歳以上

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日本人の1日

章3

 「時間なんてもうわからないほど触ってますw いじらないの

は寝るときくらいw 朝起きてすぐ触り始めて寝るギリギリまで

触ってます(´・_・`)お風呂にも持ってきますw」

 これはある女子高生のネットへの書き込みだが,情報セキュリ

ティメーカー「デジタルアーツ」の調査によると,女子高生は1

日あたり平均6時間6分,その1割以上は1日12時間以上スマホ

を使っているという。授業中もスマホを使うと答えた生徒は約

50%,ノート代わりに黒板を撮影する場合もあるが,授業中で

もLINEのチェックは欠かさない。

 2016年の内閣府の調査では,高校生の95%,中学生でも52%

は自分のスマホを持っている。小学生についても防犯目的や連絡

用にキッズ用スマホや携帯を持たせる親が増えている。さらに,

NPO法人e-Lunchの調査によると,2~ 6歳の幼児でさえ,その

51%は日常的にスマホに触れており,スマホ使用の低年齢化が加速している。

 その是非はともかく,この現象は時代の趨勢だろう。ただ,ス

マホには,使い方を誤るとトラブルや犯罪に巻き込まれたり,日

常生活に支障が出たりする危険性が潜んでいることも認識してお

かねばならない。今や,中高生にとってスマホは友人との必須の

コミュニケーションツールだが,メッセージを読んだら3分以内

●中高生の必須ツールのスマホ,これにはどのような功罪が?

●スマホ依存が引き起こす健康障害とは?

6時間06分

日本の女子高生が1日にスマホを使う時間

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デジタルアーツ調査

子どもたちのスマホ所有率の推移 〈資料:内閣府〉

使用頻度が高いスマホアプリ(2015)  〈資料:デジタルアーツ〉

(%)

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

10

0

20

30

40

50

60

70

80

90

100 94.8%

51.7%

27.0%

高校生

中学生

小学生(4~6年生)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

LINE 36.458.3

90.8

ゲーム 33.037.4

58.9

動画視聴 26.234.5

56.8

音楽試聴 18.029.1

58.8

Twitter 5.511.7

71.9

天気予報 5.518.5

25.2

地図交通案内

15.516.0

28.2

ショッピング 6.86.3

22.4

学習 2.95.47.6

小学生中学生高校生