エビデンスに基づく政策形成のための 「科学技術 ......エビデンスに基づく政策形成のための 「科学技術イノベーション政策の科学」の構築
アメリカの財政赤字と オバマ政権の国防政策
-
Upload
daria-parks -
Category
Documents
-
view
45 -
download
0
description
Transcript of アメリカの財政赤字と オバマ政権の国防政策
連邦政府の財政赤字の推移(単位:億ドル/会計年度、 2012 会計年度以降は予測値)
Source: Office of Management and Budget, Historical Tables: Budget of the U.S. Government, Fiscal Year 2013, Table 1.1.
0100020003000400050006000700080009000
100001100012000130001400015000
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
国防省予算権限額の推移(単位:億ドル/会計年度、 2012 会計年度は政府要求額)
青:基礎予算( Base Budget ) ピンク:その他合計(主にイラク・アフガニスタンでの戦費)Source: Department of Defense, National Defense Budget Estimates for FY2013, pp.32-34.
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
財政危機克服の一環としての国防費削減計画
「アメリカの安全保障に対する最大の脅威は赤字だ」 (マレン JCS 議長)
国防費拡大が財政危機の原因ではないが、政府の赤字削減には国防省も協力しなければならない(ゲーツ国防長官)
2010.6 ゲーツ、 FY2012 以降の 5 年間で国防費 1000 億ドル以上を節約する意向を表明
2010.8 統合部隊軍の廃止、軍人・文民職員数の凍結・削減、役務支援外注費の削減等を含む組織再編計画を発表
「節約」から「抜本的削減」へ
2011.1 節約幅を 1500 億ドル以上にまで拡大した国防予算計画を公表 リストラや合理化で約 1000 億ドル節約 ただし、節約分の多くは緊急度の高い分野
(イラクとアフガニスタンにおける作戦に必要な無人機や戦闘車両等)に振り向け
2011.4 オバマ、向こう 12 年以内に 4 兆ドルの赤字を削減する財政再建計画を公表 国防費:単に無駄を削減するだけでなく米軍の任
務や能力を抜本的に見直すことで、戦費を除く国防費を 12 年間で 4000 億ドル削減
予算コントロール法の衝撃(1)
2011.5 政府の債務残高が法定上限に到達
2011.8 予算コントロール法成立
FY2012-2021 で 2.1-2.4 兆ドルの予算削減 2011.11 までに議会が赤字削減法案に合意で
きない場合は 2013.1 から 9 年間で 1.2 兆ドルの強制的予算削減( sequestration )
この間の国防省予算削減額は、最低約 4500億ドル、強制削減実施の場合には約 1 兆ドル
与野党対立により赤字削減法案は不成立
予算コントロール法の衝撃(2)
2011.7 パネッタ CIA 長官が国防長官に就任
パネッタは下院予算委員会委員長や行政管理予算局( OMB )局長を歴任した財政問題の専門家
2011.11 マケインらにパネッタが書簡送付
強制削減が実施された場合、各軍の戦力規模は第 2次大戦後最低レベルにまで落ち込み、 F-35 や新型の爆撃機・無人機・潜水艦等の調達を中止・遅延する必要が発生
国防省基礎予算( Base Budget )の将来計画(単位:億ドル)
会計年度( FY )
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2013-2017 合
計
2012-2021 合
計
FY2012 計画
5530
5707
5864
5982
6106
6216
29875 61406
FY2013 計画
5306
5254
5336
5459
5559
5673
27281 56537
削減額 224 453 528 523 547 543 2594 4869
Source: Department of Defense, Fiscal Year 2013 Budget Request (Briefing Slides), February 2012 , p.4.
国防政策に対する財政問題のインパクト(1)
2009.2 オバマ、 2011 年末までのイラクからの撤退を発表
「国民に約 1 兆ドルもの負担をもたらした……コミットメントを際限なく続けることはできない」
2011.6 オバマ、アフガン撤退計画を発表
「膨れ上がる赤字と厳しい経済状況の中、過去 10 年間で 1 兆ドルを戦争に費やしてきたが、今やアメリカの最も偉大な資源である国民に投資をしなければならない。……自らの国の国家建設に取り組む時がきたのだ」
国防政策に対する財政問題のインパクト(2)
AirSea Battle構想についても、軍種間の能力重複削減というメリットに言及
アジア太平洋での態勢見直しでは、「革新的で、コストが低く、展開部隊を小規模にとどめるアプローチ」を採用
在沖海兵隊グアム移転に対する議会の不満
リビア、シリア介入への躊躇
同盟国、パートナー国による貢献への期待増
「国防戦略ガイダンス」( 2012.1.5 )
国防費削減の指針(ただし強制削減は視野に入れず)
戦略の重点を、海空で敵からの挑戦を受けずに遂行されてきた対テロ・対反乱作戦から、接近阻止・領域拒否( A2/AD ) 環境下での作戦へと移行
A2/AD 能力を向上させている国として中国とイランを明記
敵の A2/AD 能力に対抗するため海中戦力、新型ステルス爆撃機、ミサイル防衛、宇宙システム等に重点的に投資
アジア太平洋と中東におけるプレゼンスを強化
Thank you!