"僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

29
僕が君たちに贈りたいのは、 「つくる」ための道具である。 井庭 崇(Takashi Iba) 慶應義塾大学 総合政策学部 准教授 twitter: takashiiba 武器としてのコラボレーション 2012

description

「僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。」(井庭 崇)@ 井庭崇×瀧本哲史「武器としてのコラボレーション」(2012年12月16日)

Transcript of "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Page 1: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。

井庭 崇(Takashi Iba)慶應義塾大学 総合政策学部 准教授

twitter: takashiiba

武器としてのコラボレーション 2012

Page 2: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

C CCConsumption Communication Creation

消費社会 情報社会 創造社会

Page 3: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

創造社会(Creative Society)

あらゆる人々が、自分たちで自分たちの認識、モノ、仕組み、そして、未来を創造する社会。

Page 4: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「私に言わせれば、創造的であるというのは、要するに、人間的であるということにほかならない。」

(ミヒャエル・エンデ)

Page 5: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

創造Creation ?

本格的な「創造」とは、対象に深く深く潜りながら、その内にある流れをつかまえ、成長させていくことである。

そのとき、自分と対象との間の「主」「客」の境界は曖昧になり、

対象だけでなく、自分自身をもつくることになる。

Page 6: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「創造的行為は、まずその対象となるもの、つまり「客体」を創造するが、同時に、その創造を行うことによって自らをも脱皮変容させる。つまり「主体」も創造されるのであて、一方的に対象を作る出すだけというのは、本当の創造的行為ではないのである。そして創造的であればあるほど、その主体である人間の脱皮変容には目を瞠るものがある。」

( 川喜田 二郎)

Page 7: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「わたしはよく言うのですが、わたしが書く行為は冒険のようなものだって。その冒険がわたしをどこへ連れてゆき、終わりがどうなるのか、わたし自身さえ知らない冒険です。だから、どの本を書いた後もわたし自身がちがう人間になりました。わたしの人生は実際、わたしが書いた本を節として区切ることができる。本を執筆することがわたしを変えるからです。」

(ミヒャエル・エンデ)

Page 8: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「主人公が体験する冒険は、同時に、作家としての僕自身が体験する冒険でもあります。書いているときには、主要な人物が感じていることを僕自身も感じますし、同じ試練をくぐりぬけるんです。言い換えるなら、本を書き終えたあとの僕は、本を書きはじめたときの僕とは、別人になっている、ということです。」

(村上 春樹)

Page 9: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「映画を作っているつもりが、映画の奴隷、下僕になってしまうんです。映画というのは映画になろうとしますから、その道筋をこちらが間違いないように見定めて、映画が映画になろうとするのを、ちゃんとやらなきゃいけないんですよ。」

(宮崎 駿)

Page 10: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「秩序立てて考えられないところで苦しんで、もがいて、必死の思いで何かを生み出そうとする。その先の、自分でつくってやろう、こうしてやろうといった作為のようなものが意識から削ぎ落とされたところに到達すると、人を感動させるような力を持った音楽が生まれてくるのだと思う。」

(久石 譲)

Page 11: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「ものをつくるというのは、そういう多様な面を併せ持った自分を総動員させながらも、本人が意識しているものを剥ぎ取ったところに妙味が出るものではないだろうか。

そのためには、その時々の自分に限界まで行ききることが必要で、その行ききった先に、何か新しく魅力的なものが待っている。そんなふうに思う。自分が考えているものの範疇で勝負していたら、月並みなものしか生まれてこないだろう。」

(久石 譲)

Page 12: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

「書くことによって、多数の地層からなる地面を掘り下げているんです。僕はいつでも、もっと深くまで行きたい。ある人たちは、それはあまりにも個人的な試みだと言います。僕はそうは思いません。この深みに達することができれば、みんなと共通の基層に触れ、読者と交流することができるんですから。つながりが生まれるんです。」

(村上 春樹)

Page 13: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

社会システム(コミュニケーションの連鎖)

心的システム(意識の連鎖)

創造システム(発見の連鎖)

本格的な「創造」とは、対象に深く深く潜りながら、その内にある流れをつかまえ、成長させていくことである。

そのとき、自分と対象との間の「主」「客」の境界は曖昧になり、

対象だけでなく、自分自身をもつくることになる。

Page 14: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Collaboration Patterns Project慶應義塾大学SFC 井庭研究室

Holistic Pattern Mining (Collaboration Patterns Project)http://www.youtube.com/watch?v=plpwld6dIms

Page 15: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Niklas Luhmann

『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平,

慶應義塾大学出版会, 2011)

『社会システム理論 〈上〉〈下〉』(ニクラス・ルーマン, 恒星社厚生閣, 1993)

Social Systems Theory社会システム理論

Page 16: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

社会システム(コミュニケーションの連鎖)

心的システム(意識の連鎖)

社会とは、《コミュニケーション》を要素とするオートポイエティック・システムである。

社会は、思考とは別のシステムとして形成される。思考が社会のプロセスを「駆動」する。

Social Systems Theory社会システム理論

Page 17: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Takashi Iba

『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011)

Takashi Iba, "An Autopoietic Systems Theory for Creativity,"Procedia - Social and Behavioral Sciences, Vol.2, Issue 4, 2010, pp.6610–6625

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1877042810011298

1877-0428 © 2010 Published by Elsevier Ltd.doi:10.1016/j.sbspro.2010.04.071

Procedia Social and Behavioral Sciences 2 (2010) 6305–6625

Available online at www.sciencedirect.com

COINs2009: Collaborative Innovation Networks Conference

1877-0428 © 2010 Published by Elsevier Ltd.doi:10.1016/j.sbspro.2010.04.071

Procedia Social and Behavioral Sciences 2 (2010) 6610–6625

COINs2009: Collaborative Innovation Networks Conference

An Autopoietic Systems Theory for Creativity

Takashi Ibaab aMIT Center for Collective Intelligence, Cambridge MA, USA

bFaculty of Policy Management, Keio University, Japan

AAbstract

In this paper, a new, non-psychological and non-sociological approach to understanding creativity is proposed. The approach is based on autopoietic system theory, where an autopoietic system is defined as a unity whose organization is defined by a particular network of production processes of elements. While the theory was originally proposed in biology and then applied to sociology, I have applied it to understand the nature of creation, and called it "Creative Systems Theory". A creative system is an autopoietic system whose element is "discovery", which emerges only when a synthesis of three selections has occurred: "idea", "association", and "consequence". With using these concepts, we open the way to understand creation itself separated from psychic and social aspects of creativity. On this basis, the coupling between creative, psychic, and social systems is discussed. I suggest, in this paper, the future of creativity studies, re-defining a discipline "Creatology" for inquiring creative systems and propose an interdisciplinary field as "Creative Sciences" for interdisciplinary connections among creatology, psychology, and so on.

Keywords; creativity; systems theory; autopoiesis; pattern language

11. IIntroduction

In this paper, a new, non-psychological and non-sociological approach to understanding creativity is proposed. The approach is based on autopoietic system theory, where an autopoietic system is defined as a unity whose organization is defined by a particular network of production processes of elements. While the theory was originally proposed in biology and then applied to sociology, I have applied it to understand the nature of creation, and called it "Creative Systems Theory". A creative system is an autopoietic system whose element is "discovery", which emerges only when a synthesis of three selections has occurred: "idea", "association", and "consequence". With using these concepts, we open the way to understand creation itself separated from psychic and social aspects of creativity. On this basis, the coupling between creative, psychic, and social systems is discussed. I suggest, in this paper, the future of creativity studies, re-defining a discipline "Creatology" for inquiring creative systems and propose an interdisciplinary field as "Creative Sciences" for interdisciplinary connections among creatology, psychology, and so on.

There are several reasons why study of creativity is pursued from so many angles today. First, against the backdrop of the shift from labor-intensive work to knowledge-intensive work, many people involved in business need to make full use of intelligence and creativity for obtaining

Creative Systems Theory創造システム理論

Page 18: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Creative Systems Theory創造システム理論 創造とは、《発見》を要素とする

オートポイエティック・システムである。

創造システム(発見の連鎖)

社会システム(コミュニケーションの連鎖)

心的システム(意識の連鎖)

創造は、思考やコミュニケーションとは別のシステムとして形成される。思考やコミュニケーションが創造のプロセスを「駆動」する。

Page 19: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

本格的な「創造」とは、対象に深く深く潜りながら、その内にある流れをつかまえ、成長させていくことである。

そのとき、自分と対象との間の「主」「客」の境界は曖昧になり、

対象だけでなく、自分自身をもつくることになる。

創造システム(発見の連鎖)

社会システム(コミュニケーションの連鎖)

心的システム(意識の連鎖)

創造とは、《発見》を要素とするオートポイエティック・システムである。

Page 20: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

創造とは、《発見》を要素とするオートポイエティック・システムである。

創造システム

関連づけ

アイデア 見い出す

Creative Systems Theory創造システム理論

Page 21: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)
Page 22: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

一人による創造

Page 23: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

チームによる創造(コラボレーション)

Page 24: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

オープン・コラボレーション

Page 25: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)
Page 26: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

コラボレーションCollaboration

Page 27: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

Ver. 0.60November, 2012

http://collabpatterns.sfc.keio.ac.jphttp://twitter.com/collabpatterns

[email protected]

Collaboration Patterns Project

創造的コラボレーション

未来への使命感方法のイノベーション伝説をつくる

成長のスパイラル共感のチームづくりレスポンス・ラリー一体感をつくる貢献の領域成長のリターン自発的なコミットメントゆるやかなつながり弱さの共有感謝のことば

創発的な勢いまとまった時間創造の場づくり活動の足あと意味のある混沌アイデアをカタチにインサイド・イノベーターゴールへの道のり臨機応変な動き飛躍のための仕込み

世界を変える力クオリティ・ラインこだわり合う一度こわす期待を超えるファンをつくる広がりの戦略世界の文脈つくり続ける強さ感性を磨く

0

1

2

3

4

56789

10111213

14

151617181920212223

24

252627282930313233 Ver. 0.60

Collaboration Patterns Project

Collaboration Patterns : コ

ラボレーション・パターン ̶ 創造的コラボレーションのパターン・ランゲージ (ver. 0.60)

創造的コラボレーションのパターン・ランゲージコラボレーション・パターン

コラボレーション・パターンCollaboration Patterns

創造的コラボレーションのためのパターン・ランゲージ

Page 28: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

パターン・ランゲージは、創造の秘訣についての共通言語。

パターンには、「デザインの知」(問題発見+問題解決の知)が記述される。

・どのような状況(Context)のときに・どのような問題(Problem)が生じやすく・それをどのように解決すればよいのか(Solution)

状況

問題

解決

問題発見(Problem Finding)

問題解決(Problem Solving)

デザイン(design)

=

C. Alexander, Notes on the Synthesis of Form, Harvard University Press, 1964『形の合成に関するノート』(クリストファー・アレグザンダー, 稲葉武司 訳, 鹿島出版会, 1978)

パターン・ランゲージ

Page 29: "僕が君たちに贈りたいのは、「つくる」ための道具である。"(井庭 崇)

創造システム(発見の連鎖)

社会システム(コミュニケーションの連鎖)

心的システム(意識の連鎖)

パターン・ランゲージは、発見・意識・コミュニケーションを構造的にカップリングするメディアである。